(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
本発明は、プリント配線板と、このプリント配線板に実装される1又は複数の温度センサとを備える温度センシングデバイスであって、上記プリント配線板が、ベースフィルムと、このベースフィルムに直接又は他の層を介して積層される導電パターンと、上記ベースフィルム及び導電パターンを有する積層体に接着層を介して積層されるカバーフィルムとを備え、上記接着層が、シロキサン変性ポリイミド、エポキシ樹脂及び無機フィラーを含有し、上記シロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)が25,000以上150,000以下である。
【0013】
当該温度センシングデバイスは、接着層がエポキシ樹脂を含有することで、接着層の耐熱性、特にリフロー耐熱性が向上するものと考えられる。エポキシ樹脂を含有することで接着層の耐熱性が向上する理由は明確ではないが、エポキシ樹脂がシロキサン変性ポリイミドマトリクス中で単独で硬化するか、若しくはエポキシ樹脂が硬化の際にシロキサン変性ポリイミドの末端のカルボン酸やアミンと反応することによって緩く架橋されるためであると考えられる。また、かかるエポキシ樹脂による架橋により、接着層の耐湿性、機械的強度が向上するものと考えられる。
【0014】
さらに、接着層がシロキサン変性ポリイミドとして重量平均分子量(Mw)が特定範囲のものを含有することで、シロキサン変性ポリイミドの凝集を抑制できる。そのため、接着層は、このようなシロキサン変性ポリイミドを含むことでシロキサン変性ポリイミドの凝集に起因する剥離強度の低下を抑制できる。その結果、接着層の耐熱性を改善することが可能となる。また、上記接着層が無機フィラーを含有することで、機械的強度及び剥離強度がより向上する。
【0015】
加えて、上記接着層は、エポキシ樹脂による架橋、変性ポリイミドの凝集防止等によって、耐マイグレーション性が向上する。すなわち、接着層は、メッキ層を有する導電パターンの表面に形成される場合、メッキ成分の接着層への移行(マイグレーション)を抑制することができる。その結果、マイグレーションに起因する接着層の剥離強度の低下、脆弱化、白化等の色移りなどの発生を抑制できる。
【0016】
上記シロキサン変性ポリイミドは、下記式(1)で表される第1構造単位及び下記式(2)で表される第2構造単位を含むとよい。
【化2】
(式(1)及び式(2)中、Arは、4価の芳香族テトラカルボン酸残基である。
式(1)中、R
1は、2価のジアミンシロキサン残基である。
式(2)中、R
2は、2価の芳香族ジアミン残基である。
上記式(1)中、mは、上記シロキサン変性ポリイミドの全構造単位における上記第1構造単位のモル比率を表し、0.35以上0.65以下である。
上記式(2)中、nは、上記シロキサン変性ポリイミドの全構造単位における上記第2構造単位のモル比率を表し、0.35以上0.65以下である。
但し、mとnとの合計が1を超える場合はない。)
【0017】
上記シロキサン変性ポリイミドは、上記式(1)及び式(2)で表される構造単位の比率が、それぞれ0.35以上0.65以下、すなわち分子中のシロキサン残基の数が芳香族ジアミン残基と同程度とされている。このように接着層におけるシロキサン変性ポリイミドは、耐熱性等の特性を低下させ得るシロキサン残基が過剰に含まれるものではない。その結果、シロキサン残基に起因する接着層の耐熱性等の低下を抑制できる。
【0018】
上記無機フィラーの含有量としては、上記シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して10質量部以上100質量部以下が好ましい。このように無機フィラーの含有量を上記範囲とすることで、無機フィラーを配合することによる効果、すなわち接着層の機械的強度、剥離強度等の向上効果により優れる。
【0019】
上記無機フィラーの平均粒径としては、2μm以上20μm以下が好ましい。このように無機フィラーの平均粒径が上記範囲であることで、接着層ひいては当該温度センシングデバイスの耐熱性等の特性がより向上する。
【0020】
上記無機フィラーが板状であることが好ましく、上記無機フィラーのアスペクト比としては5以上100以下が好ましい。このように無機フィラーのアスペクト比が上記範囲であることで、接着層ひいては当該温度センシングデバイスの耐熱性等の特性がより向上する。
【0021】
上記エポキシ樹脂の含有量としては、上記シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して50質量部以下が好ましい。このようにエポキシ樹脂の配合量を上記範囲とすることで、エポキシ樹脂によりシロキサン変性ポリイミドを好適に架橋し、当該温度センシングデバイスの接着層の耐熱性、機械的強度等の特性がより向上するものと考えられる。エポキシ樹脂成分の過剰な添加は、接着層の長期耐熱信頼性を低下させるものと考えられる。
【0022】
上記接着層がフェノール樹脂をさらに含有するとよい。このようにフェノール樹脂を含有することで、このフェノール樹脂によりエポキシ樹脂を架橋等により硬化させることができ、エポキシ樹脂がシロキサン変性ポリイミドを架橋することによって得られる耐熱性、機械的強度等の向上効果と相俟って、接着層の耐熱性、機械的強度等がより向上する。
【0023】
上記シロキサン変性ポリイミドの側鎖としては、不飽和二重結合を含まないものでもよい。接着層は、変性ポリイミドと共にエポキシ樹脂を含有することで耐熱性が改善されるため、変性ポリイミドとして側鎖に不飽和二重結合を含まないものを使用できる。そのため、ジアミン成分及び芳香族テトラカルボン酸二無水物として使用できる化合物の制約が少なく選択の自由度が高いため、接着層に種々の特性を与えやすく、またコスト低減を図りやすくなる。
【0024】
上記導電パターンが、ベース導体と、このベース導体における外表面の少なくとも一部に形成される1以上の表面処理層とを有し、上記1以上の表面処理層の主成分が金(Au)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)又はアルミニウム(Al)であるとよい。このように導電パターンが上記主成分を含む表面処理層を有することで、導電パターンからの導電成分の漏出及び導電パターンの導電成分に対する反応性成分の導電パターンへの拡散を抑制することができる。このように表面処理層により導電パターンからの導電成分の漏出を抑制することで、導電パターンの脆弱化を抑制することができる。また、表面処理層により導電パターンへの上記反応性成分の拡散を抑制することで、この反応性成分と導電パターンの導電成分との反応が抑制され、導電パターンの脆弱化を抑制することができる。その結果、プリント配線板における導電パターンと接着層との密着性が改善されることで耐熱性が向上する。特に、接着層が耐マイグレーション性に優れることから、導電パターンが金(Au)等により表面処理層が形成される場合であっても、マイグレーションに起因する接着層の剥離強度の低下、脆弱化、白化等の色移りなどの発生を抑制できる。
【0025】
当該温度センシングデバイスは、85℃、85%RHの空気中に1,000時間放置した後の上記カバーフィルムと導電パターンとの剥離強度が3.4N/cm以上であることが好ましい。このような特性を持つことで、当該温度センシングデバイスは、高温高湿の環境下においても好適に使用することができる。
【0026】
上記複数の温度センサが平面的に配置されているとよい。このように複数の温度センサを平面的に配置することで、温度分布を好適に計測することが可能となる。そのため、当該温度センシングデバイスの用途を拡大することができる。
【0027】
上記プリント配線板が可撓性又は屈曲性を有することが好ましい。このように可撓性又は屈曲性を有することで、当該温度センシングデバイスは平坦な状態だけでなく屈曲させた状態でも配置することができる。そのため、当該温度センシングデバイスを配置できる箇所の制約が少なくなり利便性が高まる。
【0028】
本発明は、当該温度センシングデバイスと、この温度センシングデバイスに実装される1又は複数の電子部品を備える回路基板を含む。このように当該回路基板が1又は複数の発光ダイオード等の電子部品を備えることで、発光ダイオード等の電子部品の周辺の温度又は温度分布を計測することができる。また、1つの基板に計測対象の電子部品を温度センサと共に実装することで、当該回路基板を製造する際のプロセスを簡略化できる。さらに、当該回路基板は、複数の電子部品をダイオード、トランジスタ、抵抗器等とすることで、携帯通信端末のバッテリー用の保護回路等として利用することもできる。これにより、保護回路において、バッテリー周辺の温度を計測することが可能となる。
【0029】
ここで、「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量である。本発明の重量平均分子量(Mw)は、以下の測定条件により測定した値である。
【0030】
測定装置:東ソー社の「HLC−8220GPC」
カラム:GMH−HR−H
移動相:N−メチル−2−ピロリドン
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:10μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0031】
「主成分」とは、最も含有量が多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。以下において「主成分」という場合も同様である。また、「1以上の表面処理層の主成分」とは、表面処理層が単層の場合には、この表面処理層の主成分であり、表面処理層が複数層の場合には、各表面処理層の主成分をいう。「剥離強度」は、JIS−K−6854−2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に準じて測定したピール強度である。このピール強度は、例えば島津製作所社の引張試験機「オートグラフAG−IS」を用いて測定することができる。なお、カバーフィルムと導電パターンとの剥離強度とは、カバーフィルムと、パターニングしていない導体(例えば銅箔)との剥離強度である。
【0032】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の温度センシングデバイス及び回路基板について図面を参照しつつ説明する。
【0033】
[温度センシングデバイス]
図1の温度センシングデバイス1は、プリント配線板2と、このプリント配線板に実装される複数の温度センサ3とを備える。
【0034】
〔温度センサ〕
温度センサ3としては、例えば白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対等が挙げられ、面実装型のものが好ましい。また、温度センサ3は、ベアチップであっても、ベアチップを樹脂等でパッケージングしたものであってもよい。
【0035】
複数の温度センサ3は、マトリクス状に平面的に配置されている。複数の温度センサ3を配置することで、温度分布を計測することが可能となり、特に複数の温度センサ3を平面的に配置することで、温度分布をより好適に計測することが可能となる。このように当該温度センシングデバイス1は、温度分布を好適に計測することができるため、種々の用途に適用することができる。当該温度センシングデバイス1の用途としては、特に限定はないが、携帯通信端末における発熱要素、例えば発光ダイオードやバッテリーの周辺の温度分布の計測に好適である。
【0036】
なお、複数の温度センサ3の配置は、用途等に応じて適宜設計すればよく、千鳥状に配置してもよく、不規則に配置されていてもよい。
【0037】
〔プリント配線板〕
プリント配線板2は、
図2Aに示すように平坦な平面形状を有するが、
図2Bに示すような湾曲変形が可能な可撓性を有するフレキシブルプリント配線板として構成されている。このようにプリント配線板2が可撓性を有することで、温度センシングデバイス1は、平坦な状態だけでなく、屈曲させた状態で配置することもできる。そのため、温度センシングデバイス1は、配置箇所の制約が少なく利便性が高い。
【0038】
このプリント配線板2は、平面視において矩形状に形成されている。このプリント配線板2は、
図3に示すように、ベースフィルム4、導電パターン5及びカバーレイ6を備える。
【0039】
<ベースフィルム>
ベースフィルム4は絶縁性を有し、さらに可撓性を有することが好ましい。このベースフィルム4の主成分としては、例えばポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げられ、可撓性及び強度の観点からポリイミド樹脂が好ましい。ベースフィルム4は、ポリイミド樹脂等の例示した樹脂以外の他の樹脂、帯電防止剤等が含有されていてもよい。
【0040】
ベースフィルム4の平均厚みの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましく、12μmが特に好ましい。また、ベースフィルム4の平均厚みの上限としては、特に限定されないが、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましく、25μmが特に好ましい。ベースフィルム4の平均厚みが上記下限未満であると、絶縁性及び機械的強度が不十分となるおそれがある。一方、ベースフィルム4の平均厚みが上記上限を超えると、プリント配線板2の厚みが大きくなりすぎるおそれがあると共に、ベースフィルム4に可撓性が求められる場合には可撓性が不十分となるおそれがある。
【0041】
ここで、「平均厚み」とは、任意の十点において測定した厚みの平均値をいう。なお、以下において他の部材等に対して「平均厚み」という場合にも同様に定義される。
【0042】
<導電パターン>
導電パターン5は、ベースフィルム4の表面側に直接又は他の層(接着層)を介して積層されるものである。導電パターン5は、ベース導体50、表面処理層51及びランド部52を有している。
【0043】
(ベース導体)
ベース導体50は、例えば銅、アルミニウム等の金属箔をエッチングすることによって所望のパターンに形成されている。このベース導体50の平均厚みの下限としては、特に限定はないが、2μmが好ましく、5μmがより好ましい。ベース導体50の平均厚みの上限としては、特に限定はないが、100μmが好ましく、75μmがより好ましい。この平均厚みが上記下限未満であると、導通性が不十分となるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超えると可撓性が低下するおそれがあると共に薄型化の要請に反するおそれがある。
図2Bに示すようにプリント配線板2を3次元的に変形させる場合には、ベース導体50の厚さは小さいことが好ましい。
【0044】
(表面処理層)
表面処理層51は、ベース導体50からの導電成分の漏出、又はベース導体50への導電成分に対する反応性成分(酸素、硫黄等)の拡散を防止するものである。この表面処理層51は、ベース導体50の表面を被覆しており、ベース導体50の側面を一連に被覆していてもよい。表面処理層51の材質としては、ベース導体50からの導電成分の漏出又はベース導体50への反応性成分の拡散を防止できるものであれば特に限定されず、例えば金属、樹脂、セラミック、それらの混合物等が挙げられる。中でも、表面処理層51の材質としては、Au、Ni、Sn、Alが好ましい。表面処理層51は、単層として形成しても、複数層として形成してもよい。
【0045】
表面処理層51の平均厚みの下限としては、特に限定はないが、0.01μmが好ましく、0.03μmがより好ましく、0.05μmがさらに好ましい。表面処理層51の平均厚みの上限としては、特に限定はないが、6.0μmが好ましく、1.0μmがより好ましく、0.5μmがさらに好ましい。表面処理層51の平均厚みが上記下限未満であると、銅等のベース導体50の導電成分の漏出及びベース導体50への反応性成分の拡散の防止が十分でないおそれがある。一方、上記平均厚みが上限を超えると、厚みの増加によるコスト上昇に比して、これに見合うだけのベース導体50からの導電成分の漏出及びベース導体50への反応性成分の拡散の防止の効果の上積みを期待できないおそれがある。
【0046】
なお、表面処理層51を形成することに代えてベース導体50の表面にカッパーブライトで防錆処理を施してもよい。ここで、カッパーブライトは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子を、イソプロピルアルコール、ヒドロキシ酪酸に溶解したものである。このような防錆処理を施すことで、ベース導体50の表面にはポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子が付着することが予想される。ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が付着したベース導体50は、従来の接着剤を使用すると耐熱性が低下する。これに対して、ベース導体50に防錆処理を施した場合、後述のカバーレイ6の接着層61の耐熱性を良好に維持できる。
【0047】
(ランド部)
ランド部52は、カバーレイ6に覆われずに露出する部分である。ランド部52は、温度センサ3が実装される部分である。ランド部52は、表面処理層51上に金メッキ層等のメッキ層として形成される。このようなメッキ層は、例えば電解メッキにより形成することができる。
【0048】
<カバーレイ>
カバーレイ6は、導電パターン5等を保護するものである。このカバーレイ6には、ランド部52に対応する部分に複数の開口60Aが形成されている。すなわち、複数の開口60Aは、ランド部52を規定するものである。このようなカバーレイ6は、カバーフィルム60及び接着層61を備えている。
【0049】
(カバーフィルム)
カバーフィルム60は、可撓性を有するものであり、さらに絶縁性を有することが好ましい。カバーフィルム60の主成分としては、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。特に、耐熱性の観点からポリイミドが好ましい。なお、このカバーフィルム60は、主成分以外の他の樹脂、耐候剤、帯電防止剤等が含有されていてもよい。
【0050】
カバーフィルム60の平均厚みの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、10μmがより好ましい。また、カバーフィルム60の平均厚みの上限としては、特に限定されないが、500μmが好ましく、150μmがより好ましい。カバーフィルム60の平均厚みが上記下限未満であると、導電パターン5等の保護が不十分となるおそれがあると共に、カバーフィルム60に絶縁性が求められる場合には絶縁性が不十分となるおそれがある。一方、カバーフィルム60の平均厚みが上記上限を超えると、導電パターン5等の保護効果の上積みが少なくなるおそれがあると共に、カバーフィルム60に可撓性が求められる場合には可撓性が不十分となるおそれがある。
【0051】
(接着層)
接着層61は、カバーフィルム60をベースフィルム4及び導電パターン5に接着するものである。この接着層61の平均厚みは、特に制限がないが、下限としては5μmが好ましく、10μmがより好ましい。接着層61の平均厚みの上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましい。接着層61の平均厚みが上記上限未満である、又は上記上限を超えると、この接着層61の形成が困難となるおそれがある。また、接着層61の平均厚みが大きいほど接着層61を形成するときの接着剤組成物の塗工、乾燥時の反りが大きくなり易く、また接着層61中の残留溶剤量が多くなるためリフロー時にそれらが気化しボイドとなり剥離強度の低下や外観不良を引き起こす可能性が高くなる。接着層61には導電パターンを埋め込むことのできる厚みを有することが要求されるため導電パターンが厚い場合には接着層61も厚くする必要がある。
【0052】
接着層61は、UL−94 VTM−0を満たす難燃性を有することが好ましい。接着層61がある程度の難燃性を有することで、カバーレイ6がVTM−0の難燃性を満たし、それによりカバーレイ6を使用するプリント配線板2に難燃性を付与することができる。ここで、UL−94 VTM−0の難燃試験は、以下の標準サンプルを用いて行うものとする。
【0053】
標準サンプル構造:ポリイミドフィルム/接着層/ポリイミドフィルムの積層体
ポリイミドフィルム:東レ・デュポン社の「カプトン100H」(厚み25μm)
接着層の厚み:35μm
標準サンプルの作製方法:ポリイミドフィルム、接着剤及びポリイミドフィルムを積層し加熱加圧して接着する。なお、今回の評価では、加圧力を3MPa、加熱温度を180℃、加圧時間を45分として熱圧着することで標準サンプルを作製した。
【0054】
かかる接着層61は、シロキサン変性ポリイミド、エポキシ樹脂及び無機フィラーを含有するものである。この接着層61は、好適成分としてフェノール樹脂を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、他の任意成分を含有していてもよい。
【0055】
(シロキサン変性ポリイミド)
シロキサン変性ポリイミドは、接着層61における主たる接着成分である。このシロキサン変性ポリイミドは、シロキサン骨格を有する構造単位を含むポリイミドである。シロキサン変性ポリイミドは、側鎖が不飽和二重結合を含まないもの、すなわちシロキサン変性ポリイミドの構造単位の側鎖が不飽和二重結合を含まないことが好ましい。シロキサン変性ポリイミドとしては、例えば下記式(1)で表される第1構造単位及び下記式(2)で表される第2構造単位を含むものが好ましい。
【0057】
式(1)及び式(2)中、Arは、4価の芳香族テトラカルボン酸残基である。
式(1)中、R
1は、2価のジアミンシロキサン残基である。
式(2)中、R
2は、2価の芳香族ジアミン残基である。
【0058】
上記Arで表される4価の芳香族テトラカルボン酸残基としては、例えば下記の式(3)又は式(4)で表される4価の基が挙げられる。
【0060】
式(4)中、Wは、単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO
2−、−NH−、又は−CONH−である。これらの中でも、Wとしては炭素数1〜15の2価の炭化水素基、単結合又は−O−が好ましい。
【0061】
上記Wで表される炭素数1〜15の2価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜15の直鎖状又は分岐状の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜15の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基、又はこれらの基を組み合わせた2価の基等が挙げられる。
【0062】
上記R
1で表される2価のジアミンシロキサン残基は、シロキサン結合(−Si−O−Si−)を有する基である。このシロキサン結合の割合を増加させることによって、可塑剤の配合量を少なくしても接着層61に十分な柔軟性を付与することができる。上記2価のジアミンシロキサン残基としては、例えば下記の式(5)で表される2価の基が挙げられる。
【0064】
式(5)中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子を含有していてもよい2価の有機基である。R
5〜R
8は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基である。aは、上記ジアミンシロキサン残基におけるシロキサン単位(−SiR
5R
6−O−)の平均繰り返し数を表し、1〜20の整数である。aが1より小さいと接着層61の柔軟性が低下するおそれがある。一方、aが20を超えると接着層61の接着性が低下するおそれがある。かかる点から、aとしては、5〜15の整数が好ましい。
【0065】
上記R
2で表される2価の芳香族ジアミン残基としては、例えば下記の式(6)〜式(8)で表される2価の基が挙げられる。
【0067】
式(6)〜式(8)中、R
9は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基である。Zは、単結合、炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO
2−、−NH−又は−CONH−である。bは、0〜4の整数である。
【0068】
上記式(1)中のmは、上記シロキサン変性ポリイミドの全構造単位における上記第1構造単位のモル比率を表す。上記式(2)中のnは、上記シロキサン変性ポリイミドの全構造単位における上記第2構造単位のモル比率を表す。m及びnは、それぞれ独立して、0.35以上0.65以下である。ただし、mとnとの合計が1を超える場合はない。mが0.65を超えると(nが0.35未満であると)、接着層61の耐熱性が低下するおそれがある。また、接着層61の透湿性が増すことが原因で、高温高湿下において剥離強度が低下し易くなるおそれがある。一方、mが0.35未満であると(nが0.65を超えると)、シロキサン変性ポリイミド中のシロキサン結合の割合が小さくなって接着層61に十分な柔軟性を付与することができないおそれがある。また、接着層61を形成する接着剤組成物の低温での流動性が低下し、200℃以下で貼り合わせた場合に十分な剥離強度が得られないおそれがある。なお、200℃を超えた温度で貼りあわせた場合には導体パターン5の酸化や熱膨張・収縮による残留応力の発生等による特性の低下が懸念される。また熱プレスでの圧力を均一に伝えるための補材等、貼り合わせ加工に用いる補材に耐熱性を有する特殊品を使う必要があるため製造コストが高くなる。さらに、mが0.35未満であると(nが0.65を超えると)、接着層61の熱膨張率が大きくなることで、ベースフィルム4との熱膨張率の差が大きくなるため、接着層61を形成するときの接着剤組成物の塗工、乾燥時に熱膨張率の差に起因してカバーレイ6が反り易く、作業性が低下するおそれがある。
【0069】
シロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、25,000以上150,000以下である。上記重量平均分子量(Mw)の下限としては、40,000がより好ましく、50,000がさらに好ましい。上記重量平均分子量(Mw)の上限としては125,000がより好ましく、90,000がさらに好ましい。シロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)が上記下限未満であると、接着層61を形成するときの接着剤組成物の凝集力が低下するため十分な剥離強度を確保できないおそれがある。また、260℃程度のリフロー温度で接着層61の弾性率が低いことが原因で接着層61に残存する溶剤により膨れが生じるおそれがある。一方、シロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)が上記上限を超えると、シロキサン変性ポリイミドの分子鎖の凝集が生じ易くなり、剥離強度が低下するおそれがある。
【0070】
(シロキサン変性ポリイミドの合成方法)
シロキサン変性ポリイミドは、酸二無水物成分とジアミノシロキサンを含むジアミン成分との縮合物として合成することができる。具体的には、シロキサン変性ポリイミドは、酸二無水物成分及びジアミン成分を有機溶媒に添加した反応溶液を用いてポリアミック酸溶液を生成させた後、加熱閉環(イミド化)させることにより重合体溶液として調製できる。
【0071】
酸二無水物成分としては、例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0072】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えばオキシジフタル酸二無水物が挙げられる。オキシジフタル酸二無水物としては、例えば4,4’−オキシジフタル酸二無水物(別名;5,5’−オキシビス−1,3−イソベンゾフランジオン)(ODPA)、3,3’−オキシジフタル酸二無水物、3,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられる。例示した芳香族テトラカルボン酸二無水物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0073】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としてはさらに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよく、中でも、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)は、低価格であり、ある程度の柔軟性を有するので好ましい。
【0074】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)と3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BPDA)との混合物が好ましく、これらのモル比が4:6〜6:4の混合物がより好ましい。また、上述のようにジアミノシロキサンの組成比を特定の範囲とすることで接着層61を柔軟(低弾性率)で反りが生じにくいものとすることができるので、芳香族テトラカルボン酸二無水物中の4,4’−オキシジフタル酸二無水物の割合を低くしても、柔軟(低弾性率)で反りが生じにくい接着層61を得ることができる。従って、高価な4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)の使用量を低減することができ、コスト低減を図ることができる。
【0075】
ジアミン成分としては、例えばジアミノシロキサン、芳香族ジアミンが挙げられる。
【0076】
ジアミノシロキサンとしては、上記式(5)で表されるジアミノシロキサン残基の2つの末端にアミノ基が結合したものが挙げられる。ジアミン成分としてジアミノシロキサンを用いることで、ポリイミド中にシロキサン骨格を導入することができる。これにより、ジアミノシロキサン残基によりポリイミドに可溶性が付与される。その結果、プリント配線板2における接着層61とベースフィルム4や導電パターン5との密着性が向上する。
【0077】
ジアミノシロキサンとしては、下記式(9)〜式(13)で表されるものが好ましく、これらの中でも式(9)で表されるジアミノシロキサンがより好ましい。下記式(9)〜式(13)で表されるジアミノシロキサンは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0079】
式(9)〜式(13)中、aは、上記式(5)と同義である。
【0080】
上記芳香族ジアミンとしては、例えば2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)が好ましい。例示した芳香族ジアミンは、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0081】
反応溶液における芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分(ジアミノシロキサン及び芳香族ジアミン)との配合比は、略等モル比、例えば45:55〜55:45とされる。ジアミノシロキサンと芳香族ジアミンとの配合比(モル比)は、35:65以上6525以下である。ジアミノシロキサンと芳香族ジアミンとの配合比(モル比)を上記範囲とすることで、シロキサン変性ポリイミド中におけるシロキサン残基の数が芳香族ジアミン残基と同程度とされている。そのため、シロキサン変性ポリイミドは、短期耐熱性を低下させ得るシロキサン残基が多くなり過ぎることが抑制されている。その結果、接着層61の短期耐熱性を向上させることができる。
【0082】
上記シロキサン変性ポリイミドの合成に使用する有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、キシレン、トルエン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても2種以上併用して使用してもよい。
【0083】
反応溶液における有機溶媒の含有量は、この反応溶液から生成されるポリアミック酸溶液中のポリアミック酸の含有量が5質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜40質量%となる範囲とされる。
【0084】
ポリアミック酸の生成反応の条件は、反応溶液の温度が0℃〜100℃、反応時間が30分〜24時間とされる。
【0085】
ポリアミック酸溶液は、通常そのまま使用することができるが、必要に応じて濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換して使用してもよい。
【0086】
ポリアミック酸のイミド化は、例えばポリアミック酸溶液を80℃〜400℃の温度で1時間〜24時間加熱することで行われる。
【0087】
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、接着層61の耐熱性、機械的強度等を向上させるものである。これは、エポキシ樹脂がシロキサン変性ポリイミドマトリクス中で単独で硬化するか、若しくはエポキシ樹脂が硬化する際にシロキサン変性ポリイミド末端のカルボン酸やアミンと反応することによってシロキサン変性ポリイミドを緩く架橋するためであると推定される。このエポキシ樹脂でシロキサン変性ポリイミドを架橋することにより、接着層61を形成する接着剤組成物の凝集力が大きくなり、接着層61の耐熱性、機械的強度等が向上するものと推察される。また同様に、高温高湿下における剥離強度の保持力も向上するが、これには凝集力の向上による透湿の抑制や、ポリイミドに比較して低い吸水率が影響しているものと推察される。
【0088】
このようなエポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂であれば特に制限ない。エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂(エポキシアクリレート)、リン含有エポキシ樹脂、これらのハロゲン化物(臭素化エポキシ樹脂等)や水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が耐熱性及び低吸湿性の観点から好ましい。例示したエポキシ樹脂は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0089】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば「jER152」、「jER154」(以上、ジャパンエポキシレジン社)、「EPPN−201−L」(日本化薬社)、「エピクロンN−740」、「エピクロンN−770」(以上、DIC社)、「エポトートYDPN−638」(新日鉄住金化学社)等が挙げられる。
【0090】
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば「EOCN−1020」、「EOCN−102S」、「EOCN−103S」、「EOCN−104S」(以上、日本化薬社)、「エピクロンN−660」、「エピクロンN−670」、「エピクロンN−680」、「エピクロンN−695」(以上、DIC社)等が挙げられる。
【0091】
ノボラック型エポキシ樹脂の中でも、常温で固体であり、軟化点が120℃以下のエポキシ樹脂が、シロキサン変性ポリイミドの耐熱性向上の観点から好ましい。
【0092】
エポキシ樹脂の配合量の下限としては、上記シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して15質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。エポキシ樹脂の配合量の上限としては、上記シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して50質量部が好ましく、40質量部がより好ましく、20質量部がさらに好ましい。エポキシ樹脂の配合量が上記下限未満であると、上記シロキサン変性ポリイミドを十分に架橋することができず、耐熱性及び透湿抑制性を十分に改善できないおそれがある。一方、エポキシ樹脂の配合量が上記上限を超えると、未架橋のエポキシ樹脂の割合が増え、却って耐熱性が低下するおそれがある。
【0093】
(無機フィラー)
無機フィラーは、接着層61のベースフィルム4や導電パターン5に対する剥離強度、機械的強度等を向上させるものである。
【0094】
無機フィラーとしては、例えばタルク、シリカ、アルミナ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、チタンカーバイド、タングステンカーバイド、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、マイカ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
【0095】
無機フィラーの形態としては、例えば板状、球状、針状、繊維状、不定形等が挙げられる。中でも、無機フィラーの形態としては、板状が好ましい。
【0096】
無機フィラーが板状等である場合において、無機フィラーのアスペクト比の下限としては、5が好ましく、8がより好ましく、10がさらに好ましい。無機フィラーのアスペクト比の上限としては、100が好ましく、75がより好ましく、40がさらに好ましい。無機フィラーのアスペクト比が上記下限未満であると、剥離強度を十分に向上させることができないおそれがある。一方、無機フィラーのアスペクト比が上記上限を超えると、接着層61が脆弱化すると推定され、剥離強度が低下するおそれがある。
【0097】
無機フィラーの平均粒径の下限としては、2μmが好ましく、3μmがより好ましい。上記平均粒径の上限としては、20μmが好ましく、15μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。上記平均粒径が上記下限未満であると、剥離強度を十分に向上させることができないおそれがある。一方、上記平均粒径が上記上限を超えると、接着層61が脆弱化し剥離強度が低下するおそれがある。
【0098】
ここで、「平均粒径」は、レーザ回折法で測定した累積分布から算出されるメディアン径(d50)又はメーカーの公称値である。
【0099】
無機フィラーの含有量の下限としては、シロキサン変性ポリイミド100質量部に対して10質量部であり、20質量部が好ましい。無機フィラーの含有量の上限としては、100質量部であり、70質量部が好ましく、50質量部がより好ましい。上記配合量が上記下限未満であると、剥離強度を十分に向上させることができないおそれがある。一方、上記配合量が上記上限を超えると、接着層61が脆弱化し剥離強度が低下するおそれがある。
【0100】
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂は、エポキシ樹脂を架橋するものである。このフェノール樹脂には、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂の他、キシレン樹脂、レゾルシン樹脂、レゾルシン変性フェノール樹脂、クレゾール変性フェノール樹脂、アルキルフェノール変性樹脂等が含まれる。このフェノール樹脂は、例えばフェノール成分とアルデヒド成分とから合成することができる。
【0101】
上記フェノール成分としては、例えばフェノールの他、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール等のアルキルフェノール;レゾルシン等の二価のフェノール;p−ビニルフェノール等のビニルフェノールなどが挙げられる。これらのフェノール成分は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0102】
上記アルデヒド成分としては、ホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド基含有化合物が挙げられる。これらのアルデヒド成分は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0103】
フェノール樹脂の市販品としては、例えば、
「スミカノール610」(田岡化学工業社);
「タマノル1010R」、「タマノル100S」、「タマノル510」、「タマノル7509」、「タマノル7705」(以上、荒川化学工業社);
「ショウノールCKM−1634」、「ショウノールCKM−1636」、「ショウノールCKM−1737」、「ショウノールCKM−1282」、「ショウノールCKM−904」、「ショウノールCKM−907」、「ショウノールCKM−908」、「ショウノールCKM−983」、「ショウノールCKM−2400」、「ショウノールCKM−941」、「ショウノールCKM−2103」、「ショウノールCKM−2432」、「ショウノールCKM−5254」、「BKM−2620」、「BRP−5904」、「RM−0909」、「BLS−2030」、「BLS−3574」、「BLS−3122」、「BLS−362」、「BLS−356」、「BLS−3135」、「CLS−3940」、「CLS−3950」、「BRS−324」、「BRS−621」、「BLL−3085」、「BRL−113」、「BRL−114」、「BRL−117」、「BRL−134」、「BRL−274」、「BRL−2584」、「BRL−112A」、「BRL−120Z」、「CKS−3898」(以上、昭和電工社);
「SP−460B」、「SP103H」、「HRJ−1367」(以上、スケネクタディーケミカル社);
「レジトップPL2211」(群栄化学工業社);
「PR−HF−3」、「PR−52194」、「PR−52195」(住友ベークライト社);
「ニカノールPR1440」、「ニカノールL」、「ニカノールP100」(フドー社);
「プライオーフェン5010」、「プライオーフェン503」、「TD−447」(DIC社)等が挙げられる。
【0104】
フェノール樹脂に加えて、又はフェノール樹脂に代えて他の硬化剤を含有してもよい。
【0105】
他の硬化剤としては、公知のものを使用することができ、例えばポリアミン系硬化剤、酸二無水物系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、三フッ化ホウ素アミン錯塩、芳香族ジアミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0106】
ポリアミン系硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン、テトラエチレンテトラミン等の脂肪族アミン系硬化剤;イソホロンジアミン等の脂環式アミン系硬化剤;ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン系硬化剤などが挙げられる。
【0107】
酸二無水物系硬化剤としては、例えば無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリト酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0108】
イミダゾール系硬化剤としては、例えばメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール等が挙げられる。
【0109】
接着層61を形成するための接着剤組成物における硬化剤の含有量は、目的とする硬化の程度等に応じて決定すればよい。硬化剤の含有量の下限としては、エポキシ樹脂100質量部に対して、0質量部であってもよいが、1質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。硬化剤の含有量の上限としては、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましい。この硬化剤の含有量が上記下限未満であるとシロキサン変性ポリイミドの耐熱性が十分に向上しないおそれがある。一方、上記硬化剤の含有量が上記上限を超えると硬化剤の含有量に比して耐熱性の向上効果が見込めずコスト高となるおそれがある。
【0110】
(任意成分)
任意成分としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、酸化防止剤、隠蔽剤、滑剤、加工安定剤、発泡剤、カップリング剤等が挙げられる。
【0111】
可塑剤としては、例えば、
トリメチルホスヘート、トリエチルホスヘート、トリブチルホスヘート、トリ−2−エチルヘキシルホスヘート、トリブトキシエチルホスヘート、トリオレイルホスヘート、トリフェニルホスヘート、トリクレジルホスヘート、トリキシレニルホスヘート、クレジルジフェニルホスヘート、キシレニルジフェニルホスヘート、2−エチルヘキシルジフェニルホスヘート等のリン酸エステル系可塑剤;
アジピン酸1,3ブチレングリコール類等のポリエステル系可塑剤;
ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n −オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル系可塑剤;
ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチル−アセチルリシノレート等の脂肪酸エステル系可塑剤などが挙げられる。これらの可塑剤は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0112】
難燃剤は、接着層61に難燃性を付与するものである。難燃剤としては、例えば、
塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルペンタシクロデカン等の塩素系難燃剤;
エチレンビスペンタブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、テトラブロモエタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタル酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、臭化アンモニウム等の臭素系難燃剤;
トリアリルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、アルキルホスフェート、ジメチルホスフォネート、ホスフォリネート、ハロゲン化ホスフォリネートエステル、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3ジブロモプロピル)2,3ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、芳香族ポリホスフェート、ジブロモネオペンチルグリコール、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミ等のリン酸エステル又はリン化合物;
ホスホネート型ポリオール、ホスフェート型ポリオール、ハロゲン元素等のポリオール類;
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンチモン、ホウ酸、モリブテン酸アンチモン、酸化モリブテン、リン・窒素化合物、カルシウム・アルミニウムシリケート、ジルコニウム化合物、錫化合物、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム水和物、酸化銅、金属銅粉、炭酸カルシウム、メタホウ酸バリウム等の金属粉又は無機化合物;
メラミンシアヌレート、トリアジン、イソシアヌレート、尿素、グアニジン等の窒素化合物;
シリコーン系ポリマー、フェロセン、フマール酸、マレイン酸等のその他の化合物などが挙げられる。これらの中でも、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤が好ましい。臭素系難燃剤及び塩素系難燃剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0113】
難燃助剤は、接着層61の難燃性をより向上させるものである。難燃助剤としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
【0114】
顔料は、接着層61を着色するものである。顔料としては、公知の種々のものを使用することができ、例えば酸化チタン等が挙げられる。
【0115】
酸化防止剤としては、接着層61の酸化を防止するものである。酸化防止剤としては、公知の種々のものを使用することができ、例えばフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
【0116】
接着層61に任意成分を配合する場合、任意成分の合計含有量の下限としては、ポリイミド樹脂100質量部に対して、1質量部が好ましく、2質量部がより好ましい。上記合計含有量の上限としては、10質量部が好ましく、7質量部がより好ましい。
【0117】
プリント配線板2は、85℃、85%RHの空気中に1,000時間放置した後のカバーフィルム60と導電パターン5との剥離強度が3.4N/cm以上であることが好ましい。このような特性を持つことで、プリント配線板2は、高温高湿の環境下においても好適に使用することができる。
【0118】
〔プリント配線板の製造方法〕
次に、プリント配線板2を製造する方法について、
図4A〜
図4Dを参照しつつ説明する。プリント配線板2の製造方法は、絶縁性及び可撓性を有するベースフィルム4を用い、このベースフィルム4の表面側に積層される銅製の導電パターン5を形成する工程、ベースフィルム4の表面側にカバーレイ6を積層する工程、及び温度センサ3を実装する工程を備える。本実施形態では、表面処理層51がNiメッキの場合を説明する。
【0119】
<導電パターン形成工程>
導電パターン形成工程は、
図4A〜
図4Cに示すようにベースフィルム4に銅箔(銅膜)3Aを積層した銅張積層板7を用い、銅箔5Aをパターニングすることで所定の平面形状のベース導体50を形成した後、このベース導体50に表面処理層51を形成することで行われる。
【0120】
(銅張積層板)
図4Aに示す銅張積層板7は、ベースフィルム4に銅箔5Aを積層したものである。ベースフィルム4に銅箔5Aを積層する方法としては、例えばベースフィルム4に接着剤を用いて銅箔5Aを貼り合わせる接着法、銅箔5A上にベースフィルム4の材料である樹脂組成物を塗布するキャスト法、ベースフィルム4上にスパッタリングや蒸着法等で厚み数nmの薄い導電層(シード層)を形成した後、このシード層上に電解メッキで金属層を形成するスパッタ/メッキ法、金属箔を熱プレスで貼り付けるラミネート法等が挙げられる。
【0121】
銅箔5Aの平均厚みの下限としては、特に限定はないが、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。銅箔5Aの平均厚みの上限としては、特に限定はないが、100μmが好ましく、75μmがより好ましい。この平均厚みが上記下限未満であると、導通性が不十分となるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超えると可撓性が低下するおそれがあると共に薄型化の要請に反するおそれがある。
【0122】
(パターニング)
図4Bに示すように、銅箔5Aのパターニングは、公知の方法、例えばフォトエッチングにより行うことができる。フォトエッチングは、銅箔5Aの表面に所定のパターンを有するレジスト膜を形成した後に、レジスト膜から露出する導体層をエッチング液で溶解させ、レジスト膜を除去することにより行われる。
【0123】
(表面処理層の形成)
図4Cに示すように、表面処理層51は、例えばメッキ処理、熱CVD、プラズマCVD等の化学蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法、ガス式溶射、電気的溶射等の溶射法などによって形成される。この表面処理層51は、ベース導体50にNi又はSnのメッキ処理を施すことにより、Alを蒸着することにより形成することが好ましい。
【0124】
メッキ処理としては、電解メッキ及び無電解メッキを用いることができる。無電解メッキを用いれば簡便かつ確実に表面処理層51の厚みを均一にすることができる。一方、電解メッキを用いることで、緻密な表面処理層51を形成することができ、またベース導体50の側面にも簡便に表面処理層51を設けることができる。特に、薄くて均一な厚みの表面処理層51を安価な設備でメッキできることから、無電解メッキを用いることが好ましい。
【0125】
このように表面処理層51をメッキ処理で形成することにより、低コストで適当な厚みを有すると共に、効果的にベース導体50からの導電成分の漏出及びベース導体50の反応性成分の拡散を防止できる表面処理層51を形成することができる。かかる観点から、表面処理層51は、メッキ処理で形成が容易なNi及びSnを主成分とすることが好ましい。特に、プリント配線板2は、その製造時においてリフロー炉による半田付け等の高温工程を経ることが一般的であること、また150℃という高温での使用を想定していることから、耐熱性に優れるNiを主成分とすることがより好ましい。
【0126】
なお、表面処理層51を形成することに代えて、ベース導体50の表面をカッパーブライトで防錆処理してもよい。ここで、カッパーブライトは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子を、イソプロピルアルコール、ヒドロキシ酪酸に溶解したものである。このような防錆処理を施すことで、ベース導体50の表面にはポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子が付着することが予想される。ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が付着したベース導体50は、従来の接着剤を使用すると耐熱性が低下する。これに対して、接着層61は、防錆処理したベース導体50を使用した場合でも耐熱性が良好である。
【0127】
<カバーレイ積層工程>
図4Dに示すように、カバーレイ積層工程においては、まずカバーフィルム60の片面に接着層61を積層したカバーレイ6を、接着層61側を表面処理層51及びベースフィルム4に対向させた状態で載置する。なお、カバーレイ6には、導電パターン5におけるランド部52に対応する箇所は、予め開口部を設けておくことが好ましい。続いて、ベースフィルム4及び導電パターン5と共にカバーレイ6を加熱し接着層61を硬化させる。この加熱温度としては、120℃以上200℃以下が好ましく、加熱時間としては1分以上60分以下が好ましい。加熱温度及び加熱時間を上記範囲とすることで、接着層61の接着性を効果的に発揮できると共にベースフィルム4等の変質を抑制することができる。加熱方法としては、特に限定されず、例えば熱プレス、オーブン、ホットプレート等の加熱手段を用いて加熱する方法等が挙げられ、熱プレスによる加圧加熱が好ましい。
【0128】
また、カバーレイ積層工程後、カバーレイ6の開口部から露出する表面処理層51上にランド部52を形成する。ランド部52は、表面処理層51と同様にメッキ処理により形成することができる。なお、ランド部52の形成は、導電パターン形成工程において、表面処理層51の形成後に行ってもよい。
【0129】
<温度センサ実装工程>
温度センサ実装工程においては、温度センサ3をプリント配線板2に実装する。この温度センサ実装工程は、例えば半田リフロー、異方性導電フィルムや異方性導電ペーストを用いる熱圧着等により行うことができる。
【0130】
[利点]
当該温度センシングデバイス1は、接着層61がエポキシ樹脂を含有することで、接着層61の耐熱性が向上するものと考えられる。エポキシ樹脂を含有することで接着層61の耐熱性が向上する理由は明確ではないが、エポキシ樹脂がシロキサン変性ポリイミドマトリクス中で単独で硬化するか、若しくはエポキシ樹脂が硬化の際にシロキサン変性ポリイミドの末端のカルボン酸やアミンと反応することによって緩く架橋されるためであると考えられる。また、かかるエポキシ樹脂による架橋により、接着層61の耐湿性、機械的強度が向上するものと考えられる。
【0131】
また、接着層61がシロキサン変性ポリイミドとして重量平均分子量(Mw)が特定範囲のものを含有することで、シロキサン変性ポリイミドの凝集を抑制できる。そのため、接着層61は、このようなシロキサン変性ポリイミドを含むことでシロキサン変性ポリイミドの凝集に起因する剥離強度の低下を抑制できる。その結果、接着層61の耐熱性を改善することが可能となる。さらに、接着層61が無機フィラーを含有することで、機械的強度及び剥離強度がより向上する。
【0132】
加えて、接着層61は、エポキシ樹脂による架橋、変性ポリイミドの凝集防止等によって、耐マイグレーション性が向上する。すなわち、接着層61は、メッキを施した導体等の表面に形成される場合、メッキ成分が接着層61に移行するマイグレーションを抑制することができる。その結果、マイグレーションに起因する接着層61の剥離強度の低下、脆弱化、白化等の色移りなどの発生を抑制できる。
【0133】
[回路基板]
次に、本発明の回路基板の一実施形態について、
図5を参照しつつ説明する。なお、
図5においては、
図1〜
図3の温度センシングデバイス1と同様な要素等について同一の符号を付してあり、以下における重複説明を省略する。
【0134】
図5の回路基板7は、温度センシングデバイス80、複数の電子部品81及び複数の温度センサ3を備える。
【0135】
〔温度センシングデバイス〕
温度センシングデバイス80は、
図1〜
図4の温度センシングデバイス1と基本的に同様なものであるが、電子部品81を実装するための開口部(図示略)が形成されている点で異なっている。
【0136】
〔電子部品〕
複数の電子部品81は、平面的に配置されている。電子部品81は、温度センサ3以外のものである。電子部品81としては、例えば発光ダイオードの他、ICチップ、チップ抵抗器等に代表される通常の回路基板を構成する各種の電子部品が含まれる。
【0137】
〔温度センサ〕
複数の温度センサ3は、電子部品81を囲むように平面的に配置されている。図示した例では、1つの電子部品81を4つの温度センサ3で囲んでいる。また、1つの電子部品81を囲む4つの温度センサ3は電子部品81と等距離に配置されている。このように温度センサ3を配置することで、電子部品81の温度分布を好適に計測することができる。
【0138】
[回路基板の製造方法]
回路基板8は、
図1〜
図3の温度センシングデバイス1と同様な方法により温度センシングデバイス80を形成した後、電子部品81を実装することで製造できる。電子部品81の実装は、温度センサ3と同様に、例えば半田リフロー、熱圧着により行うことができる。このような電子部品81の実装は、温度センサ3と同一工程において行うことができる。
【0139】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0140】
上記実施形態では、当該温度センシングデバイスのプリント配線板としてフレキシブルプリント配線板を例にとって説明したが、プリント配線板は必ずしも可撓性を有している必要はない。また、
図6に示すように、プリント配線板2Aは、屈曲性を有していてもよい。このようにプリント配線板2Aが屈曲性を有することで、温度センシングデバイス1Aは、平坦な状態だけでなく、屈曲させた状態で配置することもできる。そのため、温度センシングデバイス1Aは、配置箇所の制約が少なく利便性が高くなる。ここで、プリント配線板2Aに屈曲性を付与する方法としては、例えばベースフィルムにおける導電パターンが形成される面やこの面の反対側の面に線条溝を設ける方法、ベースフィルムの側端部に切欠を設ける方法等が挙げられる。線状溝は、連続したものであっても、不連続なものであってもよい。
【0141】
当該温度センシングデバイスプリント配線板は、片面に導電パターンが形成される片面プリント配線板に限らず、両面に導電パターンが形成される両面プリント配線板であってもよく、複数層の導電パターンが積層される多層プリント配線板であってもよい。
【0142】
当該温度センシングデバイスのプリント配線板は、導電パターンにおける表面処理層を省略したものであってもよい。
【0143】
当該温度センシングデバイスの平面視形状は、矩形状である必要はなく、当該温度センシングデバイスを接地する場所に応じて設計変更可能であり、例えば円形状等であってもよい。
【0144】
また、温度センサの個数は、複数に限らず1つであってもよい。
【0145】
さらに、
図7に示すように、温度センサ3の表面を樹脂のコーティングにより形成した保護層10で被覆してもよい。このように温度センサの表面をコーティングすることで、当該温度センシングデバイスを液体等に浸漬して用いることができる。
【実施例】
【0146】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0147】
[シロキサン変性ポリイミドの合成]
酸無水物成分及びジアミン成分の種類及び配合比を表1に示す通りとし、以下に示す方法によりシロキサン変性ポリイミド(A1)〜(A8)を合成した。
【0148】
<合成例1>(シロキサン変性ポリイミド(A1)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.4:0.6のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリイミド前駆体溶液中のポリアミド樹脂の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0149】
上記反応溶液の温度を180℃として16時間反応させてシロキサン変性ポリイミド前駆体をイミド化することでシロキサン変性ポリイミド(A1)を含む重合体溶液を得た。
【0150】
得られたシロキサン変性ポリイミド溶液中のシロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、92,000であった。なお、重量平均分子量(Mw)の定義及び測定方法は上述した通りである。
【0151】
<合成例2>(シロキサン変性ポリイミド(A2)の合成)
反応溶液の温度として180℃で14時間反応させることでポリアミック酸を生成させてシロキサン変性ポリイミド前駆体溶液を得た以外は合成例1と同様にし、シロキサン変性ポリイミド(A2)を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A2)の重量平均分子量(Mw)は、75,000であった。
【0152】
<合成例3>(シロキサン変性ポリイミド(A3)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.6:0.4のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリアミド樹脂の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0153】
上記反応溶液の温度を180℃として10時間反応させてシロキサン変性ポリイミド前駆体をイミド化することでシロキサン変性ポリイミド(A3)を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A3)の重量平均分子量(Mw)は、42,000であった。
【0154】
<合成例4>(シロキサン変性ポリイミド(A4)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.5:0.5のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリイミド前駆体溶液中のポリアミド樹脂の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0155】
上記反応溶液の温度を180℃として13時間反応させてシロキサン変性ポリイミド前駆体をイミド化することでシロキサン変性ポリイミド(A4)を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A4)の重量平均分子量(Mw)は、64,000であった。
【0156】
<合成例5>(シロキサン変性ポリイミド(A5)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.5:0.5のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリアミド樹脂の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0157】
上記反応溶液の温度を180℃として10時間反応させてシロキサン変性ポリイミド前駆体をイミド化することでシロキサン変性ポリイミド(A5)を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A5)の重量平均分子量(Mw)は、45,000であった。
【0158】
<合成例6>(シロキサン変性ポリイミド(A6)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.4:0.6のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリアミド樹脂含有量が30質量%となる量に設定した。
【0159】
上記反応溶液の温度を180℃として12時間反応させてシロキサン変性ポリイミド化を含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A6)の重量平均分子量(Mw)は、56,000であった。
【0160】
<合成例7>(シロキサン変性ポリイミド(A7)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.3:0.7のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリイミド前駆体溶液中のポリアミック酸の含有量が30質量%となる量に設定した。
【0161】
上記反応溶液の温度を180℃として16時間反応させてシロキサン変性ポリイミドを含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A7)の重量平均分子量(Mw)は、77,000であった。
【0162】
<合成例8>(シロキサン変性ポリイミド(A8)の合成)
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に、酸無水物としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、芳香族ジアミンとしての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)及びシロキサンジアミンとしての上記式(9)で表わされるアミン当量が420g/eqの化合物(PSA)を1.0:0.4:0.6のモル比で添加して反応溶液を得た。なお、反応溶液における有機溶媒の配合量は、シロキサン変性ポリイミドの含有量が30重量%となる量に設定した。
【0163】
上記反応溶液の温度を180℃として8時間反応させてシロキサン変性ポリイミドを含む重合体溶液を得た。なお、シロキサン変性ポリイミド(A8)の重量平均分子量(Mw)は、29,000であった。
【0164】
【表1】
【0165】
<接着剤組成物の調製>
(実施例1)
溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンとキシレンの1:1混合溶媒(質量比)に溶解したシロキサン変性ポリイミド(A1)100質量部(固形分相当量)、無機フィラーとしてのタルク(日本タルク社の「MICRO ACE K1」:平均粒径8μm)45質量部、エポキシ樹脂(DIC社の「EPICLON N695」(軟化点90℃〜100℃、エポキシ等量209g/eq〜219g/eq))4質量部、及び硬化剤としてのフェノール樹脂(日本化薬社の「GPH−65」)3質量部を混合することで接着剤組成物を得た。
【0166】
(実施例2〜4及び比較例1〜8)
下記表2に示す種類及び含有量の成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、接着剤組成物を調製した。なお、表2中の「−」は、該当する成分を配合しなかったことを示す。
【0167】
【表2】
【0168】
<評価試料の作製>
評価試料としては、下記方法に従い、
図8に示す両面銅張積層板(評価試料1)、
図9に示すカバーレイ付銅張積層板(評価試料2)、この評価試料2の銅箔にニッケルメッキ処理を施したカバーレイ付銅張積層板(評価試料3)、及び
図10に示す孔付き片面銅張積層板(評価試料4)を作製した。
【0169】
(評価試料1)
図8の評価試料1は、厚みが45μm〜55mとなるように接着剤組成物を塗工した2枚の銅箔(厚み35μm)により、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社の「カプトン100H」;厚み25μm)を、加圧力を3MPa、加熱温度を180℃、加圧時間を45分として熱圧着することで作製した。また、銅箔としては、カッパーブライトで防錆処理したものを用いた。この防錆処理は、水溶性高分子であるポリオキシエチレンアルキルエーテルをイソプロピルアルコール及びヒドロキシ酪酸に溶解させた防錆溶液を用いて行った。なお、接着剤組成物は両面で同じものを使用した。
【0170】
(評価試料2)
図9の評価試料2は、ポリイミドフィルム東レ・デュポン社の「カプトン100H」に厚みが45μm〜55μmとなるように接着剤組成物を塗工したカバーレイを、表面にカッパーブライト処理を施した厚み35μmの銅箔から成る銅張積層板に貼着することで作製した。カバーレイの貼着は、加圧力を3MPa、加熱温度を180℃、加圧時間を45分として熱圧着することで行った。なお、銅張積層板としては、厚み35μmの銅箔と厚み25μmのポリイミドフィルム(カプトン100H)をエポキシ樹脂系の接着剤で貼り合わせたものを使用した。なお、銅箔表面は評価試料1と同様にカッパーブライトで防錆処理している。
【0171】
(評価試料3)
評価試料3は、
図9の評価試料2の作製において、銅張積層板に無電解ニッケルメッキ処理を施すことで銅箔表面に厚みが0.1μmの表面処理層を形成した以外は、評価試料2と同様にして作製した。
【0172】
(評価試料4)
図10の評価試料4の作製に当たっては、まず、ポリイミドフィルム東レ・デュポン社の「カプトン100H」に厚み45μm〜55μmとなるように接着剤組成物を塗工したカバーレイを形成した。次いで、このカバーレイに直径1.5mmの円形孔を開けた後、表面にカッパーブライト処理を施した厚み35μmの銅箔から成る銅張積層板にカバーレイを載置して加圧加熱して接着層を硬化させることで評価試料4を作製した。上記加圧加熱は加圧力を3MPa、加熱温度を180℃、加圧時間を45分として熱圧着することで行った。なお、銅箔としては、評価試料1と同様な手法によりカッパーブライトで防錆処理したものを用いた。
【0173】
<評価>
実施例1〜4及び比較例1〜9の接着剤組成物を使用した評価試料1〜4について、下記の手法に従い、流れ出し、剥離強度及びリフロー耐熱性の評価を実施した。評価結果を表3に示す。なお、表3における評価項目の「−」は、未評価(評価できなかった)であることを意味する。また、表中の(*)はATFオイルの染み込みが確認されたことを意味する。
【0174】
(剥離強度)
剥離強度は、以下の5つの条件で、JIS−K−6854−2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に準じてピール強度として測定した。この剥離強度は、島津製作所社の引張試験機「オートグラフAG−IS」を用いて測定した。なお、剥離強度の測定においては、評価試料2又は評価試料3の銅張積層板の端部の全体を挟むと共に、ポリイミドフィルムを固定して引きはがし力を作用させることで測定した。
【0175】
剥離強度1:評価試料2を作製した初期の常温での剥離強度
剥離強度2:評価試料2を150℃で1,000時間放置した後の常温での剥離強度
剥離強度3:ニッケルメッキ処理を施した評価試料3を、150℃で1,000時間放置した後の常温での剥離強度
剥離強度4:評価試料2をトヨタ自動車社のATFオイル「トヨタ純正オートフルード(WS)」に浸漬した状態とし、150℃で1,000時間放置した後の常温での剥離強度
剥離強度5:評価試料2を作製した初期の150℃での剥離強度
剥離強度6:評価資料1を85℃、85%で1,000時間放置した後の常温での剥離強度
【0176】
(リフロー耐熱性)
リフロー耐熱性は、評価試料1又は評価試料2を260℃の恒温槽に1分放置した後に変形の有無を確認することで評価した。評価基準は、以下の通りである。なお、表3におけるリフロー耐熱性1は評価試料1を用いた結果であり、リフロー耐熱性2は評価試料2を用いた結果である。
【0177】
A:変形が認められない
B:変形が認められる
【0178】
(流れ出し)
流れ出しは、円形孔を形成した評価試料4について、平面視における円形孔の内面からの接着剤の流出距離d(
図11参照)を測定することで評価した。なお、接着剤組成物には、流出距離が200μm未満であることが求められる。
【0179】
【表3】
【0180】
表3から明らかなように、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料は、比較例1〜8の接着剤組成物を使用した評価試料に比べて、剥離強度が高く、リフロー耐熱性に優れていた。具体的には、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料2は初期剥離強度に相当する剥離強度1,5の評価、及び長期剥離強度に相当する剥離強度2,3の評価について特に問題はないと共に、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料4は長期耐油性に相当する剥離強度4の評価について特に問題はなかった。
【0181】
また、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料1,2は、リフロー耐熱性1の評価に優れる傾向があった。このリフロー耐熱性1に使用した評価試料1は、ポリイミドフィルムの両面に接着層を介して銅箔を積層した構造のものである(
図8参照)。そのため、評価試料1は、接着層組成物に含まれる溶媒がリフロー時に気体となったときに、この気体が接着層から排出され難くことから、気体が接着層に残存する、いわゆるポップコーン現象により剥離強度が低下しやすい構造を有する。従って、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料1は、リフロー時のポップコーン現象の発生が抑止された結果、剥離強度に優れているものと考えられる。
【0182】
<参考例1〜4>
参考例1〜4の接着剤組成物は、無機フィラーとして表4に示す平均粒径及びアスペクト比のものを用いた以外は比較例3と同様にして調製した。また、なお、表4に示す無機フィラーB1〜B5は下記の通りである。
【0183】
B1:日本タルク社の「MICRO ACE K1」
B2:日本タルク社の「MICRO ACE P8」
B3:日本タルク社の「GAT−40」
B4:日本タルク社の「MICRO ACE P2」
B5:日本ミストロン社の「ミストロンベーパータルク」
【0184】
この接着剤組成物を用いて評価試料1〜4を作製し、上述した剥離強度及びリフロー耐熱性を評価した。評価結果については表4に示した。この表4には比較例3の評価結果を同時に示した。
【0185】
【表4】
【0186】
表4から明らかなように、参考例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料1〜4は、剥離強度1,2及びリフロー耐熱性2が比較例3と同程度又はそれ以上であった。そのため、平均粒径及びアスペクト比が参考例1〜4の範囲である無機フィラーを、実施例1〜4の接着剤組成物に配合した場合、実施例1〜4の接着剤組成物を使用した評価試料1〜4と同程度かそれ以上の剥離強度や耐熱性が得られるものと推察される。