特許第6342181号(P6342181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342181
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   G01N35/02 G
   G01N35/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-32874(P2014-32874)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-158409(P2015-158409A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】小林 信泰
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−025064(JP,A)
【文献】 特開昭59−040171(JP,A)
【文献】 特開2010−243307(JP,A)
【文献】 特開2012−220436(JP,A)
【文献】 米国特許第05246665(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を入射させる入射領域及びこの入射領域から入射させた光が出射する出射領域よりも上方の外面に、予め設定された波長域の光を吸収する水溶性の色素が用いられてなる被検出体が配置され、試料及び試薬の混合液を収容可能な反応容器と、
記反応容器に収容される混合液を、当該反応容器外面と接触する空気を熱媒体として一定の温度に保持する恒温部と、
前記波長域を含む光を前記入射領域へ照射し、前記出射領域から出射された光を検出することで、水溶液に溶解して前記入射領域又は前記出射領域に達した前記被検出体を検出する測定部と
を備える自動分析装置。
【請求項2】
前記反応容器内面を洗浄液により洗浄する洗浄ノズルをさらに備え、
前記測定部は、前記洗浄液の飛散により溶解され、前記入射領域又は前記出射領域に達した前記被検出体を検出する請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記反応容器外面の洗浄が必要であるか否かを判定する判定部を有し、
前記測定部は、前記洗浄ノズルにより洗浄が行われてから前記試料及び前記試薬が吐出される前の前記反応容器を透過した光のうち、前記被検出体で吸収される所定の波長域の検出信号に基づいて判定データを生成し、
前記判定部は、前記判定データが予め設定された許容範囲内である場合に前記反応容器外面洗浄を不要であると判定し、前記判定データが予め設定された許容範囲から外れている場合に前記反応容器外面洗浄を必要であると判定することを特徴とする請求項に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記判定部により外面洗浄が必要であると判定された前記反応容器内への前記試料及び試薬の吐出を停止させる分析制御部を有することを特徴とする請求項に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体から採取された試料等の液体に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された試料に含まれる検査項目成分とこの検査項目の分析に用いる試薬との反応によって生ずる色調や濁りの変化を光学的に測定する。この測定により、試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、試料と試薬の混合液を収容する反応容器が恒温槽内に配置され、一定温度に保持された反応容器に光を照射して混合液を測定する。そして、水等の液体を熱媒体として反応容器を一定の温度に保持する恒温方法が知られている。また、空気を熱媒体として反応容器を一定の温度に保持する恒温方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−149905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、空気を熱媒体とする恒温方法では、光を照射する反応容器外面に液体等の汚れが付着すると光学的測定に悪影響を与えやすいにもかかわらず、すぐには汚れを発見できない問題がある。
【0006】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、反応容器外面の汚れによる悪影響を未然に防ぐことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料及び試薬の混合液を収容する反応容器と、前記反応容器内面を洗浄する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルにより洗浄された前記反応容器内に吐出される前記試料及び試薬の混合液を、当該反応容器外面と接触する空気を熱媒体として一定の温度に保持する恒温部と、前記恒温部により一定温度に保持された前記反応容器内の混合液を、当該反応容器に光を照射して測定する測定部とを備え、前記反応容器は、前記測定部から照射された光が入射する入射領域及びこの入射領域から入射した光が出射する出射領域よりも上方の外面に、水溶液に溶解して前記入射領域又は前記出射領域に達したときに前記測定部により検出可能な被検出体が配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
図2】実施形態に係る分析部の構成を示す斜視図。
図3】実施形態に係る恒温部の構成を示す断面図。
図4】実施形態に係る洗浄ノズルの構成及び反応容器の停止位置の一例を示す図。
図5】実施形態に係る反応容器の動作を示す図。
図6】実施形態に係る反応容器の構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料と各検査項目の分析用の試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部10と、分析部10の所定の分析ユニットの洗浄が必要か否かを判定する判定部60と、分析部10の測定に関る各分析ユニットを駆動する駆動部66と、駆動部66を制御する分析制御部67とを備えている。
【0011】
また、自動分析装置100は、分析部10で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部70と、データ処理部70で生成された検量データや分析データを出力する出力部80と、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力等を行う操作部90と、判定部60、分析制御部67、データ処理部70、及び出力部80を統括して制御するシステム制御部91とを備えている。
【0012】
図2は、分析部10の構成を示した斜視図である。この分析部10は、標準試料や被検試料等の試料を収容する試料容器11と、この試料容器11を移動可能に保持するサンプルラック12と、各検査項分析用の試薬である例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬並びに2試薬系の第2試薬を収容する試薬容器13と、この試薬容器13を保冷する試薬庫17とを備えている。
【0013】
また、試薬庫17内に格納された試薬容器13を移動可能に保持する第1及び第2試薬ラック15,16と、この第1及び第2試薬ラック15,16に保持された試薬容器13に貼付されるラベルから試薬情報を読み取るリーダ18とを備えている。また、回転移動可能に円周上に一列に配列された試料及び試薬を収容する複数の反応容器19と、反応容器19内面を洗浄する洗浄ノズル32とを備えている。
【0014】
また、サンプルラック12に保持された試料容器11内の試料を吸引して洗浄ノズル32により洗浄が行われた反応容器19内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ21と、サンプル分注プローブ21を回動移動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム22とを備えている。
【0015】
また、第1試薬ラック15に保持された試薬容器13内の第1試薬を吸引して試料が吐出された反応容器19内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ23と、第1試薬分注プローブ23を回動移動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム24とを備えている。
【0016】
また、反応容器19内に吐出された試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子25と、第1撹拌子25を回動移動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム26とを備えている。また、第2試薬ラック16に保持された試薬容器13内の第2試薬を吸引して第1試薬が吐出された反応容器19内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ27と、第2試薬分注プローブ27を回動移動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム28とを備えている。
【0017】
また、反応容器19内に吐出された試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子29と、第2撹拌子29を回動移動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム30とを備えている。また、反応容器19外面と接触する空気を熱媒体として反応容器19内の混合液を一定の温度に保持する恒温部20と、恒温部20により一定の温度に保持された反応容器19内の混合液を光学的に測定する測定部31とを備えている。
【0018】
そして、測定部31は、反応容器19に光を照射する光源及び反応容器19を透過した光のうちの例えば近紫外から近赤外までの間の複数の波長域の光を検出する光検出器を備えている。そして、洗浄ノズル32により洗浄された後、試料及び試薬が吐出される前に測定位置を通過する反応容器19に光を照射し、反応容器19を透過した光を検出する検出信号に基づいて、反応容器19外面の洗浄が必要であるか否かを判定するための判定データを生成する。
【0019】
また、測定部31は、標準試料及び試薬が吐出された後に測定位置を通過する反応容器19に光を照射し、反応容器19を透過した光を検出する検出信号に基づいて標準データを生成する。また、被検試料及び試薬が吐出された後に測定位置を通過する反応容器19に光を照射し、反応容器19を透過した光を検出する検出信号に基づいて被検データを生成する。
【0020】
判定部60は、分析部10の測定部31で生成された判定データに基づいて、反応容器19外面の洗浄が必要であるか否かを判定する。そして、判定データが予め設定された許容範囲内である場合、反応容器19の外面が汚染されていないため外面洗浄が不要であると判定する。また、判定データが予め設定された許容範囲から外れている場合、反応容器19の外面が汚染されているため、反応容器19外面の洗浄が必要であると判定する。
【0021】
駆動部66は、分析部10のサンプルラック12を駆動して試料容器11を移動する。また、第1試薬ラック15及び第2試薬ラック16をそれぞれ独立に駆動して試薬容器13を回動する。また、恒温部20の一部を駆動して反応容器19を回転移動する。また、サンプル分注アーム22、第1試薬分注アーム24、第1撹拌アーム26、第2試薬分注アーム28、及び第2撹拌アーム30をそれぞれ回動駆動及び上下駆動して、サンプル分注プローブ21、第1試薬分注プローブ23、第1撹拌子25、第2試薬分注プローブ27、及び第2撹拌子29をそれぞれ回動移動及び上下移動する。また、洗浄ノズル32を上下移動する。
【0022】
また、駆動部66は、サンプル分注プローブ21に試料の吸引及び吐出を行わせるためのポンプを駆動する。また、第1試薬分注プローブ23に第1試薬の吸引及び吐出を行わせるためのポンプを駆動する。第2試薬分注プローブ27に第2試薬の吸引及び吐出を行わせるためのポンプを駆動する。また、第1撹拌子25を撹拌駆動する。また、第2撹拌子29を撹拌駆動する。また、洗浄ノズル32に反応容器19内の洗浄を行わせるためのポンプを駆動する。また、恒温部20を駆動して反応容器19を加熱する。
【0023】
分析制御部67は、駆動部66を制御して反応容器19を一定の温度に保持させる。また、判定部60により洗浄が不要であると判定された反応容器19内への試料、第1試薬及び第2試薬の吐出を実行させる。また、判定部60により洗浄が必要であると判定された反応容器19内への試料、第1試薬及び第2試薬の吐出を停止させる。
【0024】
図1のデータ処理部70は、分析部10の測定部31で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部71と、演算部71で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部72とを備えている。
【0025】
演算部71は、測定部31で生成された標準データ及び標準試料に予め設定された標準値の関係を示す検量データを生成し、生成した検量データを出力部80に出力すると共にデータ記憶部72に保存する。また、測定部31で生成された被検データに対応する検量データをデータ記憶部72から読み出して濃度値や酵素の活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部80に出力すると共にデータ記憶部72に保存する。
【0026】
データ記憶部72は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部71から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部71から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0027】
出力部80は、データ処理部70の演算部71から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部81及び表示出力する表示部82を備えている。そして、印刷部81は、プリンタなどを備え、演算部71から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0028】
表示部82は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部71から出力された検量データや分析データを表示する。また、検査項目毎に分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の被検識別情報の設定及び検査に必要な検査項目を設定するための検査項目設定画面等を表示する。
【0029】
操作部90は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、被検試料の被検識別情報及び検査項目を設定するための入力等を行う。
【0030】
システム制御部91は、CPU及び記憶回路を備え、操作部90からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータ、被検識別情報及び検査項目等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、判定部60、分析制御部67、データ処理部70、及び出力部80を統括してシステム全体を制御する。
【0031】
次に、図2乃至図6を参照して、分析部10における恒温部20、洗浄ノズル32及び反応容器19の構成及び反応容器19の停止位置の一例を説明する。
図3は、恒温部20の構成を示した断面図である。この恒温部20は、反応容器19が配置される恒温槽40と、反応容器19を保持する反応ディスク41とを備えている。また、反応ディスク41を回転可能に支持する回転軸42と、反応容器19内の混合液を一定の温度に保持する加熱部43とを備えている。
【0032】
恒温槽40は、回転移動する反応容器19の円軌道に沿って上端部が開口した円環状空間の通路が形成され、その通路に反応容器19及び加熱部43が配置されている。また、外周側及び内周側の側壁に測定部31からの光が通過する2つの開口が形成されている。そして、外周側の側壁に形成された開口を閉塞するように測定部31の光が透過する例えばガラス材からなる透過窓40aが配設され、内周側の側壁に形成された開口を閉塞するように透過窓40a及び反応容器19の下端部近傍を透過した光が透過する透過窓40bが配設されている。
【0033】
反応ディスク41は、恒温槽40の上部の開口全体を覆うように配置され、縁辺の円周上に等間隔に設けられた複数の開口部で反応容器19の上端部を保持している。また、下側に配置された加熱部43の上端部を保持している。
【0034】
回転軸42は、恒温槽40の中央を貫通して配置され、上端部が反応ディスク41の中心部に連結されている。また、中空をなし、加熱部43に反応容器19を加熱する電力を供給するためのケーブル421が挿通配置されている。そして、駆動部66により回転駆動される。この駆動により反応ディスク41が回転され、反応ディスク41の回転により反応容器19が回転移動する。
【0035】
加熱部43は、恒温槽40内に配置され、反応容器19をこの上端部以外を包囲する空気を熱媒体として加熱するための恒温ブロック50と、恒温ブロック50を加熱するヒータ51と、恒温ブロック50の温度を検出する温度センサ52とを備えている。
【0036】
恒温ブロック50は、例えば熱伝導性に優れたアルミニウム材により形成され、上端部が反応ディスク41に固定されている。また、上端部が開口した円環状空間を形成し、円環状空間に反応容器19上端部以外を近接包囲して恒温槽40内の通路に配置される。また、測定部31から照射され、恒温槽40の透過窓40aを透過した光が測定位置Mの反応容器19に入射可能なように、反応容器19と同じ数の開口部50aが外周側の側壁に形成されている。また、測定位置Mの反応容器19から出射した光が通過可能なように内周側の側壁に反応容器19と同じ数の開口部50bが形成されている。
【0037】
ヒータ51は、例えば恒温ブロック50の内周側の側壁内に環状に配置される。そして、駆動部66により駆動され、恒温ブロック50を加熱する。また、温度センサ52は、恒温部ブロック50上部に配置されている。そして、温度センサ52で検出された温度に基づいてヒータ51の駆動が分析制御部67により制御され、恒温ブロック50に近接された反応容器19内の混合液を、その反応容器19外面と接触する空気を熱媒体として例えば37℃の一定の温度に保持する。
【0038】
図4は、洗浄ノズル32の構成及び各反応容器19が停止する停止位置の一例を示した図である。
洗浄ノズル32は、例えば第1乃至第5洗浄ノズル321乃至325により構成され、駆動部66の上下駆動によりそれぞれ上下方向に移動可能に配置される。そして、恒温部20の反応ディスク41が回転しているとき、反応ディスク41上方の上停止位置で停止している。そして、反応ディスク41が停止しているとき、下方向に移動して洗浄位置Wの第1乃至第5洗浄位置W1乃至W5で停止した反応容器19内に進入して洗浄を行う。洗浄を終了した後、上方向に移動して上停止位置で停止する。
【0039】
第1洗浄ノズル321は、第1洗浄位置W1で停止する反応容器19内の混合液の吸引による洗浄を行う。また、第2洗浄ノズル322は、第1洗浄位置W1で洗浄が行われた後に第2洗浄位置W2で停止する反応容器19内に残留する混合液を洗い落とすための例えばアルカリ性洗浄液等の第1の洗浄液の吐出及び吸引による洗浄を行う。また、第3洗浄ノズル323は、第2洗浄位置W2で洗浄が行われた後に第3洗浄位置W3で停止する反応容器19内に残留する混合液や第1の洗浄液等の液体を洗い落とすための例えば酸性洗浄液等の第2の洗浄液の吐出及び吸引による洗浄を行う。また、第4洗浄ノズル324は、第3洗浄位置W3で洗浄が行われた後に第4洗浄位置W4で停止する反応容器19内に残留する液体を洗い落とすための洗浄水等の第3の洗浄液の吐出及び吸引による洗浄を行う。また、第5洗浄ノズル325は、第4洗浄位置W4で洗浄が行われた後に第5洗浄位置W5で停止する反応容器19内に残留する液体の吸引による洗浄を行う。
【0040】
なお、反応容器19内の洗浄には、測定部31で検出可能な複数の波長域の光をほぼ吸収しない第1乃至第3の洗浄液を用いる。
【0041】
各反応容器19は、駆動部66による反応ディスク41の回転駆動により、1サイクルタイム毎に一方向へ回転移動して移動前とは異なる各停止位置で停止し、1サイクルタイムよりも長い時間である1ラウンドタイム毎に同じ停止位置で停止する。ここでは、図5に示すように、反応ディスク41の角度θの回転駆動により、1サイクルタイム毎に矢印R1方向へ回転移動して、例えば移動前にR1方向とは反対方向に隣接する反応容器19の位置である、1ピッチ進行した位置で停止する。
【0042】
そして、反応容器19は、洗浄を終えて洗浄位置Wの第5洗浄位置W5で停止しているとき分析制御部67により被検試料毎に設定された検査項目の分析用として決定される。検査項目が決定された反応容器19は、所定のサイクルタイム経過後にサンプル分注プローブ21により試料が吐出される試料吐出位置Paで停止する。試料吐出位置Paで停止した後、第1試薬分注プローブ23により第1試薬が吐出される第1試薬吐出位置Pbで停止する。第1試薬吐出位置Pbで停止した後、第1撹拌子25により混合液の撹拌が行われる第1撹拌位置Pcで停止する。第1撹拌位置Pcで停止した後、第2試薬分注プローブ27により第2試薬が吐出される第2試薬吐出位置Pdで停止する。第2試薬吐出位置Pdで停止した後、第2撹拌子29により混合液の撹拌が行われる第2撹拌位置Peで停止する。第2撹拌位置Peで停止した後、洗浄位置Wで停止して洗浄が行われる。
【0043】
図6は、反応容器19の構成を示した図である。この反応容器19は例えば四角柱状をなし、上端部に洗浄ノズル32等が進入する開口部を有する。そして、測定位置Mにおいて、測定部31から照射され、恒温槽40の透過窓40aを透過した光が入射する斜線で示す入射領域19a及びこの入射領域19aから入射した光が出射する斜線で示す出射領域19bよりも上方の外面に、水溶液に溶解して入射領域19a又は出射領域19bに達したときに測定部31により検出可能な被検出体33が配置されている。
【0044】
被検出体33としては、測定部31で検出可能な複数の波長域のうちの第1の波長域で高い吸収を示し、第2の波長域で低い吸収を示す水溶性の色素を用いる。そして、第2乃至第4洗浄ノズル322乃至324のいずれかの洗浄ノズルから吐出された洗浄液が飛散して反応容器19の入射領域19a又は出射領域19bに達する場合に経由する外面の上端部に、色素を保持するテープで包囲するように固定配置されている。
【0045】
このように、反応容器19外面上端部に被検出体33を配置することにより、各第2乃至第4洗浄ノズル322乃至324から吐出され、飛散して反応容器19の入射領域19a又は出射領域19bに達する洗浄液を、この洗浄液に含まれる被検出体33の吸収特性を利用して測定部31で精度よく検出することができる。
【0046】
これにより、反応容器19の入射領域19a又は出射領域19bに洗浄液が達した場合、放置しておくと時間の経過に伴い、入射領域19a又は出射領域19bの洗浄液に付着する空気中の成分や、水分の蒸発により残存する洗浄液の成分による光の散乱等により光学的測定に与える悪影響を未然に防ぐことができる。
【0047】
以下、図1乃至図6を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。
【0048】
操作部90から測定開始の入力が行われると、分析制御部67は、駆動部66を制御して分析部10を作動させる。分析部10の洗浄ノズル32は、洗浄位置Wで停止した反応容器19内面を洗浄する。洗浄が行われた反応容器19は回転移動する。測定部31は、洗浄ノズル32により洗浄が行われてから試料及び試薬が吐出される前の反応容器19を透過した光のうち、第1及び第2の波長域の光を検出する検出信号に基づいて判定データを生成する。
【0049】
ここでは、反応容器19を透過した第1の波長域の光の検出信号を増幅してデジタル信号に変換した第1の透過光強度を求める。また、反応容器19を透過した第2の波長域の光の検出信号を増幅してデジタル信号に変換した第2の透過光強度を求める。そして、第1の透過光強度と第2の透過光強度の差を判定データとして生成する。
【0050】
判定部60は、測定部31で生成された判定データに対応する反応容器19外面の洗浄が必要であるか否かを判定する。そして、判定データが予め設定された許容範囲内である場合、被検出体33の検出が不可能であるため入射領域19a又は出射領域19bが汚染されていないと判断し、反応容器19の外面洗浄が不要であると判定する。また、判定データが許容範囲から外れている場合、判定した反応容器19外面の入射領域19a又は出射領域19bに被検出体33を含む洗浄液が付着して汚染されていると判断し、反応容器19外面の洗浄が必要であると判定する。
【0051】
分析制御部67は、判定部60により洗浄が必要であると判定された反応容器19内への試料、第1試薬及び第2試薬の吐出を停止させ、洗浄が必要であると判定された反応容器19を識別する例えば容器番号等の識別情報をシステム制御部91に出力する。システム制御部91は、判定部60により洗浄が必要であると判定された反応容器19の識別情報をエラーメッセージと共に表示部82に表示させる。
【0052】
このように、外面の洗浄が必要であると判定された反応容器19への試料及び試薬の吐出を停止させることにより、反応容器19外面に付着する洗浄液が原因で測定部31の測定に与える悪影響を未然に防ぐことができる。
【0053】
サンプル分注プローブ21は、外面洗浄が不要であると判定された反応容器19内に被検試料を吐出する。また、第1試薬分注プローブ23は、被検試料が吐出された反応容器19内に第1試薬を吐出する。また、第2試薬分注プローブは、第1試薬が吐出された反応容器19内に第2試薬を吐出する。恒温部20は、被検試料、第1試薬及び第2試薬が吐出された反応容器19内の混合液を一定の温度に保持する。測定部31は、一定温度に保持された反応容器19内の混合液を測定して被検データを生成する。データ処理部70は、測定部31で生成された被検データに基づいて分析データを生成する。出力部80は、データ処理部70で生成された分析データを印刷出力及び表示出力する。
【0054】
なお、操作部90から洗浄開始の入力が行われると、洗浄ノズル32は、洗浄位置Wで停止した反応容器19内面を洗浄する。測定部31は、洗浄ノズル32により洗浄が行われた反応容器19を透過した光のうち、第1及び第2の波長域の光を検出する検出信号に基づいて判定データを生成する。判定部60は、測定部31で生成された判定データに対応する反応容器19外面の洗浄が必要であるか否かを判定する。そして、判定データが許容範囲内である場合、反応容器19の外面洗浄が不要であると判定する。また、判定データが許容範囲から外れている場合、反応容器19外面の洗浄が必要であると判定する。分析制御部67は、判定部60により洗浄が必要であると判定された反応容器19を識別する例えば容器番号等の識別情報をシステム制御部91に出力する。システム制御部91は、判定部60により洗浄が必要であると判定された反応容器19の識別情報をエラーメッセージと共に表示部82に表示させる。
【0055】
以上述べた実施形態によれば、空気を熱媒体として反応容器19内の混合液を一定に保持し、反応容器19に光を照射して混合液を光学的に測定する場合、反応容器19外面上端部に被検出体33を配置することにより、洗浄ノズル32から吐出され、飛散して反応容器19の入射領域19a又は出射領域19bに達する洗浄液を、この洗浄液に含まれる被検出体33の吸収特性を利用して測定部31で精度よく検出することができる。
【0056】
そして、洗浄ノズル32により洗浄が行われてから試料及び試薬が吐出される前の反応容器19を測定して判定データを生成し、生成した判定データに基づいて反応容器19外面の洗浄が必要であるか否かを判定することができる。そして、外面の洗浄が必要であると判定された反応容器19への試料及び試薬の吐出を停止させることにより、反応容器19外面に付着する洗浄液が原因で測定部31の測定に与える悪影響を未然に防ぐことができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
M 測定位置
19 反応容器
19a 入射領域
19b 出射領域
20 恒温部
31 測定部
32 洗浄ノズル
33 被検出体
43 加熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6