(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の部位は、基端側へ向かって前記凸部の高さ、前記凹部の深さ、前記凸部の軸線方向における密度、および前記凹部の軸線方向における密度の少なくとも1つが、軸線方向に沿って徐々に変化する請求項1または2に記載のカテーテル。
前記凸部の頂点を挟んで先端側の前記凹部に向かう先端側傾斜面の前記軸線に対する傾斜角は、前記凸部の頂点を挟んで基端側の前記凹部に向かう基端側傾斜面の前記軸線に対する傾斜角よりも小さい請求項4に記載のカテーテル。
前記シャフトは、前記第1の部位および前記第2の部位の間に、前記第1の部位から連続する前記突出部および前記中間部が形成されるとともに前記第2の部位から連続する前記凹部および前記凸部が形成される混合部を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のカテーテル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カテーテルシャフトの血管内滑り性を高めると、バックアップが取り難くなり、結果的に押し込み性(プッシャビリティ)が低下する虞がある。なお、バックアップとは、カテーテルのシャフトの一部を血管内壁面に接触させて、カテーテルの位置を安定的に維持できるように固定することを意味する。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされ、高い滑り性および押し込み性を両立可能なカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明に係るカテーテルは、生体管腔内へ挿入可能なシャフト
および前記シャフトの先端に拡張可能に設けられるバルーンを備えるカテーテルであって、前記シャフトは、
前記バルーンよりも基端側に設けられ、当該シャフトの軸線と直交する断面において外表面に外側へ突出する突出部および当該突出部よりも曲率が
小さい中間部が交互に配置される第1の部位と、前記第1の部位よりも基端側に設けられ、前記シャフトの軸線と平行な断面において外表面に凸部および凹部が交互に並んで配置される第2の部位と、を有
し、前記第1の部位は、基端側へ向かって前記突出部の曲率と前記中間部の曲率との差が徐々に小さくなる。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成したカテーテルは、生体管腔内へ挿入する際に、第1の部位の突出部が管腔壁面と接触しやすくなるとともに中間部が管腔壁面と接触し難くなるため、管腔壁面に対する接触面積が減少し、接触抵抗が低減して滑り性を高めることができる。さらに、カテーテルは、生体管腔内へ挿入する際に、第1の部位よりも基端側に設けられる第2の部位の凸部が管腔壁面と接触して適度な接触抵抗が得られ、バックアップ力を高めて、結果として押し込み性をも高めることができる。
前記第1の部位は、基端側へ向かって前記突出部の曲率と前記中間部の曲率との差が徐々に小さくなる。これにより、第1の部位の外表面は、先端側ほど接触抵抗が小さく、基端側へ向かうにしたがって接触抵抗が徐々に大きくなるため、第1の部位の先端側においては滑り性を高めつつ、第1の部位の基端側においては、滑り性を低減させてバックアップ力の低下を抑制して、良好な押し込み性を得ることができる。
【0008】
前記第1の部位は、前記シャフトの軸線と平行な断面において外表面が平滑であるようにすれば、第1の部位の滑り性をより向上させることができる。
【0010】
前記第2の部位は、基端側へ向かって前記凸部の高さ、前記凹部の深さ、前記凸部の軸線方向における密度、および前記凹部の軸線方向における密度の少なくとも1つが、軸線方向に沿って徐々に変化するようにすれば、第2の部位の外表面の接触抵抗を、軸線に沿って徐々に変化させることができ、軸線方向の部位に応じて適切なバックアップ力を設定することができる。
【0011】
前記第2の部位は、先端方向へ移動する際の接触抵抗が、基端方向へ移動する際の接触抵抗よりも小さいようにすれば、カテーテルが先端方向へ移動する際には低い接触抵抗によって押し込み性が損なわれず、かつカテーテルが基端方向へ移動する際に適度な接触抵抗が得られてバックアップ力を高め、押し込み性を高めることができる。
【0012】
前記凸部の頂点を挟んで先端側の前記凹部に向かう先端側傾斜面の前記軸線に対する傾斜角は、前記凸部の頂点を挟んで基端側の前記凹部に向かう基端側傾斜面の前記軸線に対する傾斜角よりも小さいようにすれば、先端側傾斜面および基端側傾斜面の傾斜角の差によって、第2の部位が先端方向へ移動する際の接触抵抗を、基端方向へ移動する際の接触抵抗よりも小さくすることができる。
【0013】
前記シャフトは、前記第1の部位および前記第2の部位の間に、前記第1の部位から連続する前記突出部および前記中間部が形成されるとともに、前記第2の部位から連続する前記凹部および前記凸部が形成される混合部を有するようにすれば、混合部において、シャフトの先端から基端にわたってシャフトの形状が連続的に変化することになり、接触抵抗のみならず、シャフトの物性の変化も連続的に変化する。このため、第1の部位、混合部および第2の部位の各々の境界において応力が集中し難くなり、キンクの発生を抑制できるとともに、シャフトの破損等を抑制して安全性を高めることができる。
【0014】
前記第1の部位は、親水性材料が被覆されるようにすれば、滑り性が要求される第1の部位の接触抵抗をより低下させて、滑り性をより向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
【0017】
なお、以下の説明において、カテーテルの手元側を「基端側」、挿入される側を「先端側」と称す。また、「カテーテル」は、医療用に使用される管体を含むものを表すものである。カテーテルの用途は治療用に限定されず、例えば検査用であってもよい。
<第1実施形態>
【0018】
第1実施形態に係るカテーテル10は、例えばPTCA用の拡張カテーテル(バルーンカテーテル)や、ステントを縮径状態で狭窄部まで搬送し、狭窄部にて拡径、留置して狭窄部を拡張維持するためのカテーテル(ステント運搬用カテーテル)として使用される。カテーテル10は、
図1に示すように、長尺なカテーテル本体20と、カテーテル本体20の先端に設けられるバルーン30と、カテーテル本体20の基端に固着されたハブ40と、耐キンクプロテクタ50と、X線不透過部材60とを有している。また、カテーテル本体20の外表面には、親水性材料で構成された親水性被覆層70が被覆(コーティング)される。
【0019】
カテーテル本体20は、先端および基端が開口した管状体である外管80(シャフト)と、外管80の内部に配置される内管90とを備えている。外管80および内管90の間には、バルーン30を拡張するための拡張用流体が流通する拡張ルーメン21が形成されており、内管90の内側には、ガイドワイヤーが挿通されるガイドワイヤールーメン22が形成されている。
【0020】
外管80は、ハブ40から先端方向へ延びる外管基端部81(第2の部位)と、外管基端部81から先端方向へ延びる外管先端部82(第1の部位)とを備えている。
【0021】
外管先端部82は、
図2に示すように、外管80の軸線Xと直交する断面において外表面が多角形(本実施形態では六角形)で形成されている。外管先端部82の多角形の角部に対応する部位が、径方向の外側へ突出する突出部83を構成し、多角形の辺に対応する部位が、突出部83よりも曲率が
小さい中間部84を構成しており、突出部83および中間部84が周方向に交互に配置されている。なお、突出部83は、鋭利に形成されずに曲面で形成されることが好ましいが、鋭利に形成されてもよく、または面取りされて形成されてもよい。突出部83が鋭利に形成されても、外管80の材料が柔軟であるため、生体組織への負担は比較的小さい。
【0022】
突出部83の曲率(曲率半径の逆数)は、特に限定されないが、1〜1000(1/mm)であることが好ましく、1.2〜500(1/mm)であることがより好ましく、2〜100(1/mm)であることがさらに好ましい。曲率が大きくなると、接触抵抗が減少するが、突出部83が鋭利となって接触する生体組織への負担が大きくなる。曲率が小さくなると、接触する生体組織への負担が小さくなるが、血管と接触する面積が増加し、押し込み性(プッシャビリティ)が低下する。なお、本実施形態では、突出部83および中間部84の曲率は、軸線Xに沿ういずれの位置においても略一定となっているが、位置によって異なってもよい。
【0023】
また、外管先端部82は、
図3に示すように、外管80の軸線Xと平行な断面において外表面が平滑となっており、凹凸形状が形成されていない。
【0024】
外管先端部82の軸線Xに沿う長さは、特に限定されず、カテーテル10の用途によって適宜設定されることが好ましいが、例えば100〜500mmである。外管先端部82の最大外径(六角形の角部における外径)は、特に限定されず、カテーテル10の用途によって適宜設定されることが好ましいが、例えば100〜500mmである。
【0025】
外管基端部81は、
図4に示すように、外管80の軸線Xと直交する断面において外表面が円形で形成されている。また、外管基端部81は、
図5に示すように、外管80の軸線Xと平行な断面において、凸部86および凹部85が交互に並んで配置されている。各々の凸部86および凹部85は、外管80の外周面を360度にわたって環状に形成されている。凸部86は、凸部86の頂点を挟んで先端側の凹部85に向かう先端側傾斜面87と、凸部86の頂点を挟んで基端側の凹部85に向かう基端側傾斜面88とを備えている。先端側傾斜面87の軸線Xに対する傾斜角αは、基端側傾斜面88の軸線Xに対する傾斜角βよりも小さい。
【0026】
凸部86の高さ(凹部85の深さ)は、特に限定されないが、例えば0.001〜0.200mmであることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.100mmであり、さらに好ましくは0.010〜0.050mmである。
【0027】
傾斜角αは、特に限定されないが、例えば1〜85度であることが好ましく、より好ましくは10〜60度であり、さらに好ましくは15〜45度である。傾斜角βは、特に限定されないが、傾斜角αより大きいことが好ましく、より好ましくは傾斜角αよりも10度以上大きく、さらに好ましくは傾斜角αよりも45度以上大きい。なお、傾斜角βは、傾斜角αと等しくてもよい。また、傾斜角βは、90度を超えてもよい。凸部86の頂点は、鋭利に形成されてもよく、曲面で形成されてもよく、または面取りされてもよい。凸部86の頂点が鋭利であっても、凸部86が小さく、かつ外管80の材料が柔軟であるため、生体組織への負担は小さい。なお、凸部86の頂点が面取りされていれば、生体組織への負担を低減でき、凸部86の頂点が曲面で形成されていれば、生体組織への負担をより低減できる。
【0028】
外管80および内管90は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましく、そのような材料としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、熱可塑性フッ素樹脂等である。外管80および内管90の構成材料は、同一でもよく、異なってもよい。
【0029】
親水性被覆層70は、外管80の外管先端部82を被覆し、かつ外管基端部81を被覆していない。親水性被覆層70は、外管80の血管内での滑り性を向上させる。なお、親水性被覆層70が形成される範囲は、外管先端部82の全体であってもよく、一部であってもよく、外管基端部81の一部を含んでもよい。一例として、親水性被覆層70は、外管80の先端から基端方向へ320〜400mmの範囲でコーティングされる。
【0030】
親水性被覆層70が湿潤すると、潤滑性を生じて摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減し、血管等の生体管腔内での滑り性が向上する。
【0031】
親水性被覆層70を構成する親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0032】
バルーン30は、拡張可能な管状の部材であり、先端側が内管90に接着され、基端側が外管80に接着されており、バルーン30の内部が、拡張ルーメン21に連通している。
【0033】
バルーン30は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましく、そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。
【0034】
ハブ40は、外管80の拡張ルーメン21と連通して拡張用流体を流入出させる第1開口部41と、ガイドワイヤールーメン22と連通してガイドワイヤーを挿入する第2開口部42とを備えている。
【0035】
耐キンクプロテクタ50は、カテーテル本体20とハブ40とを連結している部分に被せられる。耐キンクプロテクタ50は、弾性材料からなり、カテーテル本体20とハブ40とを連結している部分の付近での折れ曲がり(キンク)を防止することができる。
【0036】
X線不透過部材60は、バルーン30内に位置する内管90の外表面に固定される環状の部材であり、本実施形態では、2カ所に設けられている。X線不透過部材60が設けられることで、カテーテル10を体内へ挿入した際に、カテーテル10の位置をX線透視下で確認することができる。
【0037】
X線不透過部材60の材料としては、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステン、プラチナ、プラチナ−イリジウム合金等である。
【0038】
次に、第1実施形態に係るカテーテル10の作用について説明する。
【0039】
第1実施形態に係るカテーテル10は、外管先端部82に、外管80の軸線Xと直交する断面において外側へ突出する突出部83と、突出部83よりも曲率が
小さい中間部84が交互に配置されている。このため、カテーテル10を血管内へ挿入した際に、外管先端部82の突出部83が血管壁面と接触しやすくなるとともに、中間部84が血管壁面と接触し難くなる。このため、外管先端部82の血管壁面に対する接触面積を減少させることができ、接触抵抗を低減させて、血管内での滑り性を高めることができる。さらに、カテーテル10は、外管基端部81に、外管80の軸線Xと平行な断面において凹部85および凸部86が交互に並んで配置されている。このため、カテーテル10を血管内へ挿入した際に、外管基端部81の凸部86が血管壁面と接触して適度な接触抵抗が得られ、バックアップ力が高まり、押し込み性を高めることができる。このように、滑り性が要求される先端部位の血管内での滑り性を外管先端部82により高めつつも、滑り性が高まることにより生じやすいバックアップ力の低下を、外管先端部82よりも基端側に位置して押し込み力を先端側へ伝達する外管基端部81により補完することが可能となり、良好な押し込み性をも提供できる。
【0040】
また、外管先端部82は、外管80の軸線Xと平行な断面において外表面が平滑であるため、外管先端部82の血管内での滑り性をより向上させることができる。
【0041】
また、凸部86の頂点を挟んで先端側の凹部85に向かう先端側傾斜面87の軸線Xに対する傾斜角αが、当該凸部86の頂点を挟んで基端側の凹部85に向かう基端側傾斜面88の軸線Xに対する傾斜角βよりも小さいため、外管基端部81が血管壁面(接触対象物)に対して先端方向へ滑る場合の接触抵抗を、基端方向へ滑る場合の接触抵抗よりも小さくすることができる。このため、カテーテル10が先端方向へ移動する際には低い接触抵抗によって押し込み性が損なわれず、かつカテーテル10が基端方向へ移動する際に適度な接触抵抗が得られてバックアップ力を高め、押し込み性を高めることができる。
【0042】
また、外管先端部82は、親水性被覆層70が被覆されるため、滑り性が要求される外管先端部82の接触抵抗をより低下させて、滑り性をより向上させることができる。なお、本実施形態における外管先端部82は、突出部83および中間部84が形成されるため、仮に親水性被覆層70が設けられずとも、高い滑り性を備えることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、外管先端部82の外表面が軸線Xと直交する断面において六角形で形成されるが、多角形であれば角の数は限定されない。また、外管先端部82の外表面に形成される多角形は、正多角形でなくてもよい。また、
図6に示す変形例のように、外管先端部82Aの外表面が軸線Xと直交する断面において星形となり、中間部84Aの曲率が負(マイナス)となってもよい。中間部84Aの曲率が負となれば、中間部84Aが血管壁面にさらに接触し難くなり、滑り性をさらに高めることができる。
【0044】
また、外管80および内管90の少なくとも一方が、複数層で構成されたり、線状体や網状体からなる補強層が設けられてもよい。
【0045】
また、傾斜角αが、傾斜角β以上であってもよい。また、凸部および凹部は、外管の外表面に沿って螺旋状に形成されてもよい。
【0046】
また、
図7に示す変形例のように、外管基端部81Aの凸部86Aは、軸線Xに沿って間隔を開けて設けられてもよい。この場合、凸部86A同士の間に形成される平坦な部位が、凹部85Aを構成する。また、凹部が、軸線Xに沿って間隔を開けて設けられてもよい。この場合、凹部同士の間に形成される平坦な部位が、凸部を構成する。
<第2実施形態>
【0047】
第2実施形態に係るカテーテル100は、外管先端部111の外表面の形状のみが、第1実施形態に係るカテーテル10と異なる。なお、第1実施形態と同一の機能を有する部位には、同一の符号を付し、重複を避けるため、説明を省略する。
【0048】
第2実施形態に係るカテーテル100の外管110の外管先端部111(第1の部位)は、
図8〜12に示すように、外管110の軸線Xと直交する断面において外表面が多角形(本実施形態では六角形)で形成されている。外管先端部111の多角形の角部に対応する部位が、径方向の外側へ突出する突出部112を構成し、多角形の辺に対応する部位が、突出部112よりも曲率が
小さい中間部113を構成しており、突出部112および中間部113が周方向に交互に配置されている。そして、外管先端部111は、突出部112の曲率が、基端側へ向かって徐々に小さくなっており、突出部112の曲率と中間部113の曲率との差が、基端側へ向かって徐々に小さくなっている。
【0049】
次に、第2実施形態に係るカテーテル100の作用について説明する。
【0050】
第2実施形態に係るカテーテル100は、外管先端部111の突出部112の曲率と、中間部113の曲率との差が、基端側へ向かって徐々に小さくなっているため、カテーテル100を血管内へ挿入した際に、曲率の差が大きい先端側では、中間部113が血管壁面と接触し難いために接触面積が減少する程度が大きく、曲率の差が小さい基端側では、曲率の差が大きい先端側と比較して、中間部113もある程度血管壁面と接触しやすくなるために、先端側と比較して接触面積が減少する程度が小さい。このため、外管先端部111の外表面は、先端側ほど接触抵抗が小さく、基端側へ向かうにしたがって、接触抵抗が徐々に大きくなる。このため、外管先端部111の先端側においては、血管内滑り性を高めつつ、外管先端部111の基端側においては、滑り性を低減させてバックアップ力の低下を抑制して、良好な押し込み性を得ることができる。
【0051】
このため、滑り性が要求されるカテーテル100の先端側の部位において高い滑り性を付与しつつ、バックアップ力が要求されるカテーテル100の基端側の部位において滑り性を低減させて、良好な押し込み性を得ることができる。
【0052】
また、外管先端部111の突出部112の曲率と、中間部113の曲率との差が、基端側へ向かって徐々に小さくなることで、外管先端部111の基端側の形状が、外管基端部81の形状に近くなるため、外管先端部111と外管基端部81との境界において形状変化が小さくなり、接触抵抗のみならず、外管110の物性の変化も小さくなる。このため、外管先端部111と外管基端部81との境界において応力が集中し難くなり、キンクの発生を抑制できるとともに、外管110の破損等を抑制して安全性を向上できる。
<第3実施形態>
【0053】
第3実施形態に係るカテーテル120は、外管基端部131の外表面の形状のみが、第1実施形態に係るカテーテル10と異なる。なお、第1実施形態と同一の機能を有する部位には、同一の符号を付し、重複を避けるため、説明を省略する。
【0054】
第3実施形態に係るカテーテル120の外管130の外管基端部131(第2の部位)は、外管130の軸線Xと直交する断面において外表面が円形で形成されており、外管130の軸線Xと平行な断面において、
図13に示すように、凸部133および凹部132が交互に並んで配置されている。各々の凸部133および凹部132は、外管130の外周面を360度にわたって環状に形成されている。外管基端部131は、基端側の凹部132ほど深さが徐々に深くなっており、これにより、凸部133も基端側ほど高くなっている。
【0055】
次に、第3実施形態に係るカテーテル120の作用について説明する。
【0056】
第3実施形態に係るカテーテル120は、基端側の凹部132ほど深さが徐々に深くなっており、これにより、凸部133も基端側ほど高くなっているため、カテーテル120を血管内へ挿入した際に、凹部132が深く凸部133が高い先端側ほど、血管壁面と接触した際の接触抵抗が大きくなっている。このように、外管基端部131の外表面の接触抵抗を軸線X方向の部位に応じて変化させることで、軸線X方向の部位に応じて適切なバックアップ力を設定することができる。特に、外管基端部131の基端側においてはバックアップ力が高められるとともに、外管基端部131の先端側においてはバックアップ力が抑えられることで、バックアップ力が要求されるカテーテル120の基端側の部位において高いバックアップ力を付与しつつ、滑り性が要求されるカテーテル120の先端側の部位においてはバックアップ力を低減させて、良好な押し込み性を得ることができる。
【0057】
なお、第3実施形態に係るカテーテル120の変形例として、
図14に示すように、軸線Xに沿って基端側ほど外管基端部131Aの接触抵抗が大きくなるように、基端側の凸部133Aほど高さを高くし、これにより、凹部132Aも基端側ほど深くなってもよい。
【0058】
また、第3実施形態に係るカテーテル120の他の変形例として、
図15に示すように、軸線Xに沿って基端側ほど外管基端部131Bの接触抵抗が大きくなるように、基端側の凸部133Bおよび凹部132Bほど、密度(凸部133Bまたは凹部132Bの、軸線Xに沿う単位長さ当たりの数)が高くなってもよい。
【0059】
また、上述した凸部の高さ、凹部の深さ、凸部の密度、および凹部の密度の少なくとも2つを、組み合わせて変化させてもよい。
<第4実施形態>
【0060】
第4実施形態に係るカテーテル140は、
図16に示すように、混合部151を有する点で、前述の他の実施形態と異なる。なお、前述の他の実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、重複を避けるため、説明を省略する。
【0061】
第4実施形態に係るカテーテル140の外管150は、第2実施形態の構成と同様の外管先端部111と、第3実施形態の構成と同様の外管基端部131と、外管先端部111および外管基端部131の間に設けられる混合部151とを有している。
【0062】
外管先端部111(第1の部位)は、第2実施形態と同様に、突出部112の曲率が基端側へ向かって徐々に小さくなっており、突出部112の曲率と中間部113の曲率との差が、基端側へ向かって徐々に小さくなっている(
図9〜12を参照)。
【0063】
外管基端部131(第2の部位)は、第3実施形態と同様に、基端側の凹部132ほど深さが徐々に深くなり、かつ、凸部133も基端側ほど高くなっており、基端側ほど接触抵抗が大きくなっている(
図13を参照)。
【0064】
混合部151は、
図17〜19に示すように、外管先端部111から連続する突出部152および中間部153を備えるとともに、外管基端部131から連続する凹部154および凸部155を備えている。
【0065】
混合部151は、突出部152の曲率が、外管先端部111から連続して、基端側へ向かって徐々に小さくなっており、突出部152の曲率と中間部153の曲率との差が、基端側へ向かって徐々に小さくなっている。さらに、混合部151は、外管基端部131から連続して、先端側の凹部154ほど深さが徐々に浅くなり、かつ凸部155も先端側ほど低くなっており、基端側ほど接触抵抗が大きくなっている。
【0066】
次に、第4実施形態に係るカテーテル140の作用について説明する。
【0067】
第4実施形態に係るカテーテル140は、混合部151において、外管先端部111から連続して、突出部152の曲率と中間部153の曲率との差が基端側へ向かって徐々に小さくなるとともに、外管基端部131から連続して、先端側の凹部154ほど深さが徐々に浅くなり、かつ凸部155も先端側ほど低くなっている。このため、混合部151において、外管150の先端から基端にわたって、外管150の形状が連続的に変化することになり、接触抵抗のみならず、外管150の物性の変化も連続的に変化する。このため、外管先端部111、混合部151および外管基端部131の各々の境界において応力が集中し難くなり、キンクの発生を抑制するとともに、外管150の破損等を抑制して安全性が向上する。
【0068】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述した実施形態に係るカテーテルは、バルーン30を有するバルーンカテーテルであるが、バルーンカテーテルでなくてもよく、生体管腔内に挿入可能なシャフトを有するカテーテルであれば、本発明を適用できる。
【0069】
また、上述の各実施形態に係るカテーテルは、ガイドワイヤーがカテーテルの全長にわたって挿入されるオーバーザワイヤ型(Over−the−wire type)であるが、ガイドワイヤーがカテーテルの先端部にのみ挿入されるラピッドエクスチェンジ型(Rapid exchange type)であってもよい。