特許第6342207号(P6342207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342207
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】自然循環式冷房装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20180604BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   F24F5/00 L
   F25B1/00 399C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-91296(P2014-91296)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-210011(P2015-210011A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】呉 鐵雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 良則
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−292025(JP,A)
【文献】 特開平09−273876(JP,A)
【文献】 特開2011−112249(JP,A)
【文献】 特開平07−151353(JP,A)
【文献】 特開2000−046423(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101520219(CN,A)
【文献】 特開平11−148680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が通過する過程で蒸発して冷房を行う空調用熱交換器と、前記空調用熱交換器よりも高所に配置された凝縮器とを備えており、前記空調用熱交換器の出口と凝縮器の入口とは冷媒ガス戻り管路で接続されて、前記空調用熱交換器の入口と凝縮器の出口とは冷媒液送り管路とで接続されており、前記冷媒液送り管路のうち空調用熱交換器の近くの部位に膨張弁を設けている構成であって、
前記冷媒液送り管路の下端部でかつ前記膨張弁の上流側の部位に、前記冷媒液送り管路に発生したガスを膨張弁の下流側に逃がすバイパス通路を接続し、前記バイパス通路に、前記膨張弁の上流側の近傍部の圧力が予め設定した圧力以下に低下すると開くリリーフ弁を設けている、
自然循環式冷房装置。
【請求項2】
前記バイパス通路は、前記冷媒液送り管路の下端部のうち前記膨張弁を挟んだ両側に接続されている、
請求項1に記載した自然循環式冷房装置。
【請求項3】
前記冷媒液送り管路の下部のうち前記膨張弁よりも上流側でかつ前記膨張弁に近い部位か、又は、前記バイパス通路のうちリリーフ弁よりも上流側に圧力検知手段を設けており、前記圧力検知手段に基づいて前記リリーフ弁の開閉が制御される、
請求項1又は2に記載した自然循環式冷房装置。
【請求項4】
前記バイパス通路は略水平状の姿勢に配置されている、
請求項1〜3のうちのいずれかに記載した自然循環式冷房装置。
【請求項5】
前記リリーフ弁は、気体は通すが液体は全く又は殆ど通さないドレントラップタイプである、
請求項1〜4のうちのいずれかに記載した自然循環式冷房装置。
【請求項6】
前記リリーフ弁は気液ともに通すタイプであり、前記リリーフ弁が開いている状態では前記膨張弁は全閉されているか又は通常運転状態よりも絞られている、
請求項1〜4のうちのいずれかに記載した自然循環式冷房装置。
【請求項7】
前記空調用熱交換器は、伝熱性基板に冷媒流路を設けた放射冷却パネルより成っている、
請求項1〜6のうちのいずれかに記載した自然循環式冷房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、空調用熱交換器と凝縮器との高低差を利用して冷媒を無動力で循環させる自然循環式冷房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自然循環式冷房装置ではフロンのような気化温度(沸点)が低い冷媒が使用されており、空調用熱交換器(室内機)よりも高い位置に凝縮器を配置している。凝縮器からは液体の冷媒(冷媒液)が重力によって空調用熱交換器に流れ、空調用熱交換器を通って蒸発した冷媒(冷媒ガス)は空気よりも軽いため冷媒ガス戻り管路を通って凝縮器に戻り、冷媒ガスは凝縮器で冷却されて冷媒液に戻って冷媒液送り管路から再び空調用熱交換器に向かう、という循環を繰り返す。冷媒液送り管路の下端部には電磁式等の膨張弁を設けており、膨張弁の開度を調節することで冷房温度が調節される。
【0003】
凝縮器は水冷方式が一般的であり、冷却水が通る細管に冷媒ガスを接触させることで冷媒ガスを液化している。そして、自然循環式冷房装置では、凝縮器に冷却水を通すことで運転が開始されるが、長時間に亙って運転を停止した後に装置を始動すると、凝縮器の内部の温度が低下して凝縮器の内圧が低くなることに起因して、冷媒液送り管路の下部にガス(フォーミングガス、フラッシュガス)が発生することがある。
【0004】
そして、空調用熱交換器にガスが排出されると、膨張弁を挟んだ両側で圧力差が殆どなくなってしまって、冷媒の循環が行われずに冷房機能を発揮できなくなってしまう。また、複数台の空調用熱交換器を備えた設備で一部の空調用熱交換器を停止することで、相対的に他の空調用熱交換器に対する凝縮器の能力が高くなることによっても、冷媒液送り管路にガスが発生することがあり、この場合も、自然循環が停止又は抑制されることがあり得る。更に、冷房装置の運転停止によって冷媒液送り管路にガスが発生することもある。
【0005】
そこで、始動時等に冷媒液送り管路に発生したガスを除去することが考えられており、その例として特許文献1には、冷媒液送り管路のうち膨張弁の上流側に電磁弁を設けて、冷媒ガス戻り管路と冷媒液送り管路との圧力差が所定値に低下すると電磁弁を全開してガスを空調用熱交換器に排出することが開示されている。
【0006】
他方、特許文献2には、膨張弁の開度を制御してガスを冷媒ガス戻り管路に排出することが開示されている。更に、特許文献3,4には、冷房装置の運転を停止しているときに膨張弁を開くことで、冷媒液送り管路に溜まったガスを冷媒ガス戻り管路に排出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−151353号公報
【特許文献2】特開2005−337540号公報
【特許文献3】特開2000−292025号公報
【特許文献4】特開2005−308302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2は、ガスの発生を不可避としてガスを逃がすものであるが、いずれにしてもガスは膨張弁を通じて空調用熱交換器(室内機)に逃がすものであるため、ガスの逃げ量は膨張弁の開度に依存するが、膨張弁は少量の液体の流量を調節するものであるため、大量のガスを一気に逃がすようなことはできず、このため、ガスの排出に時間掛かって、冷房の立ち上がりが遅いという問題がある。
【0009】
他方、特許文献3,4では、運転停止によって生じたガスは排除できても、始動によって発生したガスの排除はできないという問題がある。
【0010】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明の自然循環式冷房装置は、 冷媒が通過する過程で蒸発して冷房を行う空調用熱交換器と、前記空調用熱交換器よりも高所に配置された凝縮器とを備えており、前記空調用熱交換器の出口と凝縮器の入口とは冷媒ガス戻り管路で接続されて、前記空調用熱交換器の入口と凝縮器の出口とは冷媒液送り管路とで接続されており、前記冷媒液送り管路のうち空調用熱交換器の近くの部位に膨張弁を設けている
という基本構成である。
【0012】
そして、本願発明は上記の基本構成の下で多くの特徴ある構成を含んでおり、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明では、前記冷媒液送り管路の下端部でかつ前記膨張弁の上流側の部位に、前記冷媒液送り管路に発生したガスを膨張弁の下流側に逃がすバイパス通路を接続し、前記バイパス通路に、前記膨張弁の上流側の近傍部の圧力が予め設定した圧力以下に低下すると開くリリーフ弁を設けている。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1において、前記バイパス通路は、前記冷媒液送り管路の下端部のうち前記膨張弁を挟んだ両側に接続されている。また、請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記冷媒液送り管路の下部のうち前記膨張弁よりも上流側でかつ前記膨張弁に近い部位か、又は、前記バイパス通路のうちリリーフ弁よりも上流側に圧力検知手段を設けており、前記圧力検知手段に基づいて前記リリーフ弁の開閉が制御されるようになっている。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記バイパス通路は略水平状の姿勢に配置されており、請求項5の発明は、請求項1〜4のうちのいずれかにおいて、前記リリーフ弁は、気体は通すが液体は全く又は殆ど通さないドレントラップタイプになっている。他方、請求項6の発明は、請求項1〜4のうちのいずれかにおいて、前記リリーフ弁は気液ともに通すタイプであり、前記リリーフ弁が開いている状態では前記膨張弁は全閉されているか又は通常運転状態よりも絞られている。
【0015】
本願発明の空調用熱交換器はファンコイルタイプも使用可能であるが、請求項7の発明では、請求項1〜6のうちのいずれかにおいて、前記空調用熱交換器は、伝熱性基板に冷媒流路を設けた放射冷却パネルより成っている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明では、冷媒液送り管路に発生したガスは、専用のバイパス通路によって膨張弁の下流側に排出される。このため、ガスの排除を迅速に行って、冷媒液送り管路が液体の冷媒で満たされた状態を早期に実現ができる。その結果、冷媒が自然循環する条件を早期に整えて、冷房のサイクルを素早く立ち上げることができる。
【0017】
バイパス通路の出口は、例えば冷媒ガス戻り管路に接続したり凝縮タンクに接続したりすることも可能であるが、この場合は、バイパス通路の長さが長くなるため、コストアップや重量増大の問題が生じるおそれがある。これに対して請求項2のようにバイパス通路の入口と出口を膨張弁の近くに接続すると、バイパス通路の長さをできるだけ短くしてコスト及び重量の抑制に貢献できる。
【0018】
また、請求項2では、バイパス通路からリークした冷媒は、ガスの状態であっても液体の状態であっても全て空調用熱交換器を流れるため、バイパス通路にガスが溜まったままになるような問題はないと共に、液体の冷媒を空調用熱交換器に流すことで冷房の立ち上がりを促進できるという利点もある。
【0019】
請求項3の構成を採用すると、膨張弁に近い部位の圧力をリリーフ弁の作動に反映させることができるため、ガスの発生に対するリリーフ弁の作動の応答性を高めることができる。その結果、ガスを早期に排除して、冷房のスムースな立ち上がりをより確実化できる利点がある。
【0020】
また、請求項4の構成を採用すると、ガスがバイパス通路に溜まることを的確に防止できるため、リリーフ弁を閉じた後にバイパス通路に溜まったガスが空調用熱交換器に逃げてベイパーロック現象を発生させるような不具合を無くすことができる。
【0021】
請求項5のように、リリーフ弁としてドレントラップタイプのバルブを使用すると、液体の冷媒が空調用熱交換器に過剰に供給されることを防止できるため、冷媒が自然循環する環境をより早く実現できる利点がある。この場合は、膨張弁を適当な開度で開くことで冷房機能も発揮できるため、冷房システムの立ち上がり性も向上できる。他方、請求項6の構成を採用すると、リリーフ弁を通ってきた液体の冷媒に冷房の仕事をさせることができるため、この場合も、冷房の立ち上がりを早くすることができる。
【0022】
本願発明では,空調用熱交換器としてはファンコイルタイプのものも使用できるが、請求項7のように放射パネルを採用すると、ファンの動力が不要になるため、冷媒の搬送動力を無くしてコスト抑制や騒音を無くすという自然循環式冷房装置のコンセプトとマッチしている。すなわち、請求項7の発明は、自然循環式冷房装置に好適であると云える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態の模式的な正面図である。
図2図1のII-II 視平面図である。
図3】(A)(B)は作用を示す模式的な正面図、(C)は制御を示すグラフである。
図4】変形例を示す図である。
図5】更に他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(1).第1実施形態
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1〜3に示す実施形態を説明する。本実施形態の自然循環式冷房装置は、空調空間の天井面に配置した多数枚の放射パネル1から成る空調用熱交換器2と、空調用熱交換器2の群よりも高い位置(例えば屋上)に配置された凝縮器3とを備えている。
【0025】
凝縮器3は、凝縮タンク4の内部(上部)に細管群よりなる冷媒用熱交換ユニット5を配置した構成であり、空調用熱交換器2の出口と凝縮タンク4の入口とが冷媒ガス戻り管路6で接続されて、空調用熱交換器2の入口と凝縮タンク4の出口とが冷媒液送り管路7で接続されている。凝縮器3の冷媒用熱交換ユニット5には冷却配管8が接続されており、冷却配管8には冷却水制御弁9を設けている。空調用熱交換器2と凝縮器3とは高さが相違するので、冷媒ガス戻り管路6と冷媒液送り管路7とは、上下方向(重力方向)に長い部分を有している。
【0026】
上記のとおり、空調用熱交換器2は多数枚の放射パネル1で構成されており、図2に示すように、放射パネル1は縦横に整列して配置されている。各放射パネル1は、平面視長方形の基板10の上面部に冷媒パイプ11をジグザグ状に蛇行させて配置した(或いは一体化した)構造であり、複数枚の放射パネル1をその長手方向に直列配置することで1つのパネルユニット12を構成し、パネルユニット12において隣り合った放射パネル1の冷媒パイプ11を継手(図示せず)で接続している。また、多数のパネルユニット12が並列配置されている。
【0027】
冷媒ガス戻り管路6の水平状下端部は、パネルユニット12の並び方向に長い水平姿勢の集合管6aになっており、この集合管6aに、パネルユニット12における冷媒パイプ11の出口が枝管6bを介して接続されている。
【0028】
他方、冷媒液送り管路7の下端は水平状下部7aになっており、水平状下部7aからパネルユニット12の並び方向に長い分配管7bを分岐させて、分配管7bには、各パネルユニット12における冷媒パイプ11の入口が枝管7cを介して接続されている。
【0029】
そして、冷媒液送り管路7の水平状下部部7aには、電磁式の膨張弁13を介在させていると共に、膨張弁13を挟んだ上流側と下流側とに水平姿勢のバイパス通路14が接続されており、バイパス通路14の中途部に電磁式のリリーフ弁15を設けている。本実施形態のリリーフ弁15は、気液とも通すタイプを使用している。冷媒液送り管路7の水平状下部7aのうち、膨張弁13の上流側でかつバイパス通路14の始端よりも下流側の部位に、圧力センサ16を設けている。
【0030】
冷房装置は、マイコンや記憶デバイス等を備えた制御装置(コントローラ)17を有しており、各弁9,13,15や圧力センサ16は、制御装置17に電気的に接続されている。また、制御装置17には、操作パネル(或いはリモコン)18も接続されている(操作パネル18に制御装置17を組み込むことも可能である。)。
【0031】
(2).まとめ
冷媒(例えばフロン)が気相を呈するか液相を呈するかは温度と圧力とに関連しており、冷房装置の運転を長時間に亙って停止させると、図3(A)に示すように、温度は外気温と同じになるが圧力が運転状態よりも上昇することで、冷媒液送り管路7の内部で冷媒は液相になっており、凝縮タンク4の内部では、液相と気相とが分離し均衡している。
【0032】
この状態から冷房装置の運転スイッチをONして装置を始動させると、冷却水制御弁9が開いて冷水が冷媒用熱交換ユニット5に流れ、このため凝縮タンク4の内部は温度が低下する。すると、図3(B)に示すように,凝縮タンク4にあった気相の冷媒が液化することで凝縮タンク4の液面が上昇し、すると、冷媒液送り管路7で圧力が低下するため、冷媒液送り管路7の下部(或いは下半部)で冷媒の一部がガス化する。すなわち、冷媒液送り管路7の下部では、液相と気相とが混在した気液混在状態になる。
【0033】
そして、この状態で膨張弁13を開くと、冷媒液送り管路7の下部では冷媒が気液混合状態になっていて圧力が低いことから、膨張弁13を挟んだ両側において圧力差があまりない一方、膨張弁13はニードル方式であって液体の冷媒が通るにはある程度の圧力差が必要であるため、冷媒が膨張弁13を通らずに冷房されない状態が長く続いてしまい、使用者に不快感を与えることがある。
【0034】
これに対して本実施形態では、図3(B)に示すように、膨張弁13の直上流部の圧力が所定値以下であることを圧力センサ16によって検知したら、リリーフ弁15を開いて、冷媒液送り管路7の下部を膨張弁13を挟んだ上流側と下流側とを連通させる。すると、冷媒液送り管路7に発生したガスは液体の冷媒と共に各放射パネル1の冷媒パイプ11にダイレクトに流れ、放射パネル1を通過して冷媒ガス戻り管路6に流れていく。この場合、膨張弁13は全閉しておくか、ごく僅かの開度に絞っている。
【0035】
放射パネル1を通過した冷媒ガスは冷媒ガス戻り管路6から凝縮器3に至り、凝縮器3で冷却されることで液化していく。このため、冷媒液送り管路7では冷媒の液化比率は時間と共に進んでいき、やがて、冷媒液送り管路7は液体冷媒のみで満たされ、これに伴って、冷媒液送り管路7の下部の圧力も上昇していく。
【0036】
図3(C)では、冷媒液送り管路7の下部における圧力の変化を表示しており、始動(t0)から僅かのタイムラグをおいたt1から圧力は低下していき、下限まで低下すると上昇に転じ、やがて、P2まで上昇すると安定した定常状態になる。そして、圧力が予め設定した値P1まで低下するとリリーフ弁15を開き、圧力が設定値P1を超えるとリリーフ弁15を閉じる。
【0037】
従って、圧力がP1以下になっているt1からt3までの範囲がリリーフ弁15の開き領域であるが、専用のバイパス通路14を使用してガスを早期に排除できるため、冷媒液送り管路7が液体冷媒で満たされて自然循環がスムースに行われる定常状態に至る時間t4を短縮できるのである。
【0038】
リリーフ弁15としてON・OFF式のものを使用して、一定の開度に開いた状態に保持してもよいし、開度を調節できるものを使用し、圧力に応じて開度を調節してもよい。すなわち、圧力が低いと開度を大きくして、圧力が高いと開度が小さくなる、というように制御することも可能である。また、リリーフ弁15が開く圧力とリリーフ弁15が閉じる圧力とを異ならせることも可能である。
【0039】
また、リリーフ弁15の作動は必ずしも圧力センサ16の絶対値に基づく必要はないのであり、例えば冷媒ガス戻り管路6の始端部に他の圧力センサを設けて、冷媒液送り管路7と冷媒ガス戻り管路6との圧力差が所定値よりも低い状態になったらリリーフ弁15を開き操作する、といったことも可能である。
【0040】
更に、リリーフ弁15として、気体のみを通しドレントラップタイプ(気液分離通過タイプ)のバルブを使用して、バイパス通路14からガスのみを放射パネル1に逃がすことも可能である。この場合は、膨張弁13を適度に開いて液体の冷媒を放射パネル1に流すことで、始動と共に冷房もスタートさせるのが好ましい。冷媒液送り管路7の圧力が非常に低い場合、膨張弁13も全開させてガスの排出をサポートさせることは可能である。
【0041】
図1ではバイパス通路14は冷媒液送り管路7の水平状下部7aから上向きに突出している状態に表示しているが、これは図面の制約による便宜的なものであり、実際には、図2のようにバイパス通路14は水平姿勢に配置されている。このため、リリーフ弁15を閉じた後にはガスは放射パネル1に向けて吸引されて、ガスがバイパス通路14に残るようなことはない。
【0042】
(3).変形例・その他
図4に示す変形例では、圧力センサ16は、バイパス通路14のうちリリーフ弁15よりも下流側の部位に設けている。図ではバイパス通路14は上向きに突出した状態に描いているが、実際には水平姿勢になっている。
【0043】
また、図5に示す変形例では、各パネルユニット12ごとに膨張弁13とバイパス通路14とを設けている。この例では、各パネルユニット12ごとにきめ細かく制御できる利点がある。バイパス通路14及びリリーフ弁15をどの程度の密度で設けるかは、冷媒の配管系統や空調面積等を勘案して任意に設定できる。
【0044】
冷媒液送り管路7にガスが発生するのは始動時に多いが、1台の凝縮器3で複数の系統の空調用熱交換器2を駆動していて、そのうちの一部をOFFすることで残りの空調用熱交換器2に対する凝縮器3の能力が過剰になった場合も、残りの冷媒液送り管路7が過冷却状態になってガスが発生するおそれがあるので、この場合も、圧力センサ16からの信号に基づいてリリーフ弁15を開き作動させることでガスを排除できる。
【0045】
凝縮器としては、冷媒が通る細管に冷却水を散水する方式も採用できる。また、コストやスペース等の条件が許せば、図4に一点鎖線で示すように、バイパス通路14のうちリリーフ弁15の下流側の部位14aを上向きに設けて、ガスを冷媒ガス戻り管路6や凝縮タンク4に戻すことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明は、実際に自然循環式冷房装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 放射パネル
2 空調用熱交換器
3 凝縮器
4 凝縮タンク
5 冷媒用熱交換ユニット
6 冷媒ガス戻り管路
7 冷媒液送り管路
10 基板
11 冷媒パイプ
12 パネルユニット
13 膨張弁
14 バイパス通路
15 リリーフ弁
16 圧力検知手段の一例としての圧力センサ
17 制御装置(コントローラ)
図1
図2
図3
図4
図5