(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態の鍵保管ロッカー1を示した図である。
図2は、
図1のA−A線断面図である。なお、
図2において、鍵収納板2の断面に対するハッチングは省略されている。
【0011】
鍵保管ロッカー1は、読取装置および物品保管装置の一例である。鍵保管ロッカー1は、取付部102にてRFIDタグ101が取り付けられた金属製の鍵103を保管する。取付部102によって鍵103にはRFIDタグ101が取り付けられているため、RFIDタグ101(RFIDタグ101に保持されている情報)は鍵103と一体になっている。
RFIDタグ101は、920MHz帯の電波にて通信可能な非接触IC(Integrated Circuit)タグである。なお、RFIDタグ101が通信に利用する電波帯は920MHz帯に限らず適宜変更可能である。各RFIDタグ101は、互いに異なる識別情報(例えば、物品情報)を保持している。各RFIDタグ101は、電波を用いた通信を行うためのアンテナを有している。各RFIDタグ101は、ほぼ直方体の形状であり同一サイズである。RFIDタグ101は、RFIDタグ101の長手方向の一方の端部側で取付部102と連接されている。
【0012】
鍵保管ロッカー1は、鍵収納板2と、筐体3と、読取部4a〜4dと、を含む。
鍵収納板2は、電磁遮蔽板の一例である。鍵収納板2は金属で構成されている。金属は電磁遮蔽材の一例である。鍵収納板2には、複数の貫通穴2aが形成されている。
【0013】
貫通穴2aは、RFIDタグ101が挿脱可能な形状を有する。RFIDタグ101は、RFIDタグ101の長手方向の他方の端部(取付部102が連接されていない端部)側から、鍵収納板2の表側の面21から裏側の面22へ向かう方向で貫通穴2aに挿入される。面21に存在する貫通穴2aの端部2a1は、RFIDタグ101の挿入口として機能する。貫通穴2aに挿入されたRFIDタグ101は、貫通穴2aと嵌合する部分と、面22に存在する貫通穴2aの端部2a2から突出する部分と、を有することになる。
本実施形態では、各貫通穴2aに挿入されたRFIDタグ101のアンテナが同じ向きになるように、各貫通穴2aの形状が揃っている。
図1、
図2に示した例では、RFIDタグ101のアンテナは、
図1の左右方向を向いている。
各貫通穴2aの形状は、RFIDタグ101をRFIDタグ101の長手方向と直交する面で切断した断面(以下、単に「断面」と称する)の形状に対応している。例えば、各貫通穴2aの形と断面の形とは相似の関係にあり、貫通穴2aの面積が断面の面積の1.1〜1.2倍になっている。なお、面積比は、1.1〜1.2に限らず適宜変更可能である。また、各貫通穴2aの形と断面の形とは相似の関係になっていなくてもよい。
【0014】
筐体3は、電磁遮蔽部材の一例である。筐体3は金属で構成されている。筐体3は、一面が開口した直方体の箱型の形状を有する。筐体3の開口部分には、鍵収納板2が設けられている。鍵収納板2の面22と筐体3の内面3aとで構成された空間5は、読取空間の一例である。
【0015】
読取部4a〜4dは、それぞれ空間5に配置されている。本実施形態では、読取部4aおよび4bは、
図1における空間5の左側に配置され、読取部4cおよび4dは、
図1における空間5の右側に配置されている。読取部4aと読取部4cは、互いに対向するように配置され、読取部4bと読取部4dは、互いに対向するように配置されている。読取部4a〜4dは、それぞれ、貫通穴2aから突出したRFIDタグ101から電波を用いて情報を読み取る。電波は電磁波の一例である。
【0016】
空間5を形成する鍵収納板2および筐体3は金属で構成されているので、読取部4a〜4dやRFIDタグ101が用いる電波は、空間5以外の空間に存在する物品の影響を受け難くなる。
【0017】
次に、動作を説明する。
RFIDタグ101が空間5に突出し、かつ、取付部102と鍵103が空間5の外部に存在するように、取付部102にて鍵103に取り付けられたRFIDタグ101が、貫通穴2aの端部2a1(挿入口)から貫通穴2aに挿入される。
なお、RFIDタグ101が空間5に突出し、かつ、取付部102と鍵103が空間5の外部に存在する状態は、取付部102にてRFIDタグ101が取り付けられた金属製の鍵103が、鍵保管ロッカー1に保管された状態となる。
【0018】
この状態で、空間5に存在する読取部4a〜4dは、それぞれ、読み出し用の電波(920MHz帯の電波)を出力する。
空間5を形成する鍵収納板2および筐体3は金属で構成されているので、読取部4a〜4dから出力された電波は、空間5以外の空間に存在する物品(取付部102や鍵103)の影響を受け難くなる。
よって、RFIDタグ101は、読み出し用の電波を高い確率で受信できる。
【0019】
RFIDタグ101は、読み出し用の電波を受信すると、RFIDタグ101に予め記憶されている情報(例えば、鍵103の識別情報)を、電波(920MHz帯の電波)を用いて送信する。
RFIDタグ101も読取部4a〜4dと同様に空間5に存在するので、RFIDタグ101からの電波も、空間5以外の空間に存在する物品(取付部102や鍵103)の影響を受け難くなる。
このため、読取部4a〜4dは、RFIDタグ101から電波を用いて送信された情報を高い確率で受信することができる。
【0020】
次に、本実施形態の効果を説明する。
金属製の鍵収納板2は、取付部102にて金属製の鍵103に取り付けられたRFIDタグ101が挿脱可能な貫通穴2aを有する。読取部4a〜4dは、空間5に配置され、貫通穴2aから突出したRFID101から電波を用いて情報を読み取る。
空間5に配置された読取部4a〜4dが用いる電波は、鍵収納板2にて遮蔽される。このため、RFIDタグ101が空間5に突出し取付部102と鍵103が貫通穴2aの挿入口2a1側の空間に位置するようにRFIDタグ101が貫通穴2aに挿入されると、読取部4a〜4dが用いる電波は、取付部102や鍵103の影響を受け難くなる。このため、読取部4a〜4dがRFIDタグ101から情報を読み取りやすくなり、情報の読み取りミスを減らすことが可能になる。
【0021】
また、金属製の筐体3は金属製の鍵収納板2と共に空間(読取空間)5を形成する。このため、空間5の内部で読取部4a〜4dとRFID101との間で送受信される電波は、空間5の外部に存在する物品(取付部102や鍵103)の影響を受け難くなる。このため、読取部4a〜4dがRFIDタグ101から情報を読み取りやすくなり、情報の読み取りミスを減らすことが可能になる。
【0022】
また、筐体3が、空間5を画定する電磁遮蔽部材を兼用するため、空間5を画定する電磁遮蔽部材と筐体3とを別構成にする場合に比べて、構成の簡略化を図ることが可能になる。
【0023】
また、各貫通穴2aの形状が揃っているので、各貫通穴2aに挿入されたRFIDタグ101のアンテナの向きを同じにすることが可能になる。このため、読取部4a〜4dの向きに対する、各貫通穴2aに挿入されたRFIDタグ101のアンテナの向きを揃えることが可能になる。
【0024】
また、RFIDタグ101は、RFIDタグ101の長手方向の一方の端部側で取付部102と連接されている。このため、RFIDタグ101の長手方向の他方の端部側から貫通穴2aに挿入されると、RFIDタグ101の多くの部分が貫通穴2aから空間5内に突出可能になる。よって、読取部4a〜4dがRFIDタグ101から情報を読み取りやすくなり、情報の読み取りミスを減らすことが可能になる。
【0025】
上記実施形態は、例えば以下のように変更されてもよい。
筐体3が有する底面3bに対する鍵収納板2の傾きは、
図2に示した傾きに限らず適宜変更可能である。例えば、鍵収納板2は、底面3bに対して垂直であってもよい。
空間5内での読取部4a〜4dの位置は、
図1、
図2に示したような空間5の左右に限らず適宜変更可能である。
図3は、RFIDタグ101の挿入方向に存在する筐体3の面に読取部4a〜4dを設けた例を示した図である。
図4は、
図3のB−B線断面図である。
図3、
図4において、
図1、
図2に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
図5は、読取部4aおよび4bを空間5の上部に設け、読取部4cおよび4dを空間5の下部に設けた例を示したである。
図6は、
図5のC−C線断面図である。
図5、
図6において、
図1、
図2に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。なお、
図5、
図6に示した例では、読取部4a〜4dとRFIDタグ101のアンテナとが対向するように、貫通穴2aが
図1に示した貫通穴2aに対して90度傾いている。
空間5に配置される読取部の数は1以上であればよい。
鍵収納板2に設けられる貫通穴2aの数は1以上であればよい。
鍵103は、金属製でなくてもよい。
RFIDタグ101にて管理される物品は、鍵に限らず適宜変更可能である。
鍵収納板2は、金属と異なる材質の板に金属層が取り付けられたものでもよい。
以上説明した実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。