(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リミッタ回路は、前記反射波信号が流れる伝送路に、カソードが接続されるとともにアノードが接地された第1のダイオードと、アノードが接続されるとともにカソードが接地された第2のダイオードとを含み、
前記変圧回路は、更に、前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードが前記伝送路に接続された位置よりも前記変圧回路側の前記伝送路の位置に設けられたコンデンサを含むことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
前記制御信号送信回路は、前記反射波信号に基づいた画像の画質を優先するモードが指定された場合には、前記制御信号として、前記反射波信号を変圧せずに出力するための信号を前記変圧回路に送信することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の各実施形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示す図である。
【0011】
(超音波診断装置の構成例)
図1に示すように、超音波診断装置1は、送受信制御回路11と、送信回路12と、超音波プローブ13と、TRSW(送受信切替スイッチ)14と、受信回路15と、信号処理回路16と、モニタ17と、制御信号送信回路18と、操作受付部19とを有する。
【0012】
送受信制御回路11は、送信回路12及び受信回路15が後述する動作を行うように、送信回路12及び受信回路15を制御する。
【0013】
送信回路12は、送受信制御回路11による制御を受けて、送信信号(高圧パルス波)を超音波プローブ13に内蔵された図示しない後述の振動子に対して供給する。例えば、送信回路12は、TRSW14を介して、送信信号を後述の振動子に対して供給する。例えば、送信信号は、超音波プローブ13の後述の振動子を駆動する通常100Vpp程度の大振幅を有する。
【0014】
超音波プローブ13は、被検体に対して超音波を送信するとともに、被検体内の組織によって反射された反射波を受信する複数の振動素子を含む複数の振動子を有する。なお、複数の振動子は、例えば、アレイ状に配置されている。
【0015】
送信回路12からの送信信号が超音波プローブ13に入力されると、超音波プローブ13の振動子は、送信信号に応じた超音波を被検体に対して送信する。また、振動子は、被検体内で反射された反射波を受信し、受信した反射波を電気信号に変換する。そして、振動子は、この電気信号を、受信信号としてTRSW14に送信する。なお、受信信号は、反射波信号とも称される。
【0016】
TRSW14は、送信回路12から送信された送信信号を振動子に対して送信する。また、TRSW14は、超音波プローブ13から送信された受信信号を受信回路15に送信する。
【0017】
受信回路15は、受信チャンネルごとに設けられる。受信回路15は、変圧回路20と、増幅器21と、遅延加算回路22とを有する。なお、受信回路15は受信チャンネル数と同じだけ設けられているが、説明の便宜上、
図1には一つの受信回路15のみ示すこととし、以下の説明も受信回路15を一つとして行うこととする。また、受信チャンネルの数は後述する振動子の数と同じである。なお、他の例として、送信、受信チャンネルの数を振動子の数よりも少ないチャンネル数として、アナログスイッチを組み合わせて、送受信チャンネルを切換えて全ての振動子に接続できるような構成であってもよい。
【0018】
変圧回路20は、制御信号送信回路18から送信された後述する制御信号に対応する変圧比で、TRSW14から送信された受信信号を変圧する。そして、変圧回路20は、変圧した受信信号を増幅器21に送信する。
【0019】
増幅器21は、変圧回路20から送信された受信信号を所定の増幅率で増幅する。そして、増幅器21は、増幅した受信信号を遅延加算回路22に送信する。例えば、増幅器21は、受信信号を所定の増幅率で増幅するプリアンプである。
【0020】
遅延加算回路22は、受信信号が適切な指向性を実現するように受信信号に遅延を与えて加算する公知の遅延加算処理を受信信号に対して施す。例えば、遅延加算回路22は、アナログ信号である受信信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)変換処理を受信信号に対して施し、デジタル信号に変換された受信信号に対して遅延加算処理を施す。そして、遅延加算回路22は、遅延加算処理が施された受信信号を信号処理回路16に送信する。
【0021】
信号処理回路16は、遅延加算回路22から送信された受信信号に公知の各種の信号処理を施して、超音波画像を示す受信信号を生成する。そして、信号処理回路16は、超音波画像を示す生成した受信信号をモニタ17に送信する。
【0022】
モニタ17は、信号処理回路16から送信された受信信号を受信すると、受信した受信信号が示す超音波画像を表示する。
【0023】
制御信号送信回路18は、操作受付部19によって受け付けられたユーザにより指定された変圧比で受信信号を変圧するように変圧回路20を制御するための制御信号を生成する。制御信号送信回路18は、生成した制御信号を変圧回路20に送信する。
【0024】
操作受付部19は、変圧回路20により受信信号が変圧される際の変圧比の指定をユーザから受け付ける。ここで、ユーザは、変圧回路20において変圧することが可能な変圧比の中から何れかの変圧比を指定する。操作受付部19は、例えば、マウスやキーボードなどのユーザの操作を受け付けるデバイスを有する。
【0025】
次に、TRSW14及び変圧回路20の構成の具体例について説明する。
図2は、
図1に示すTRSW14及び変圧回路20の構成の具体例について説明するための図である。
【0026】
図2の例では、超音波プローブ13及び増幅器21の等価回路も示されている。
図2の例に示すように、超音波プローブ13は、電圧Vsの受信信号を出力する信号源13aに、信号源インピーダンス(内部インピーダンス)Rsに相当する抵抗13bを接続した回路と等価である。また、
図2の例に示すように、増幅器21は、増幅器21の入力インピーダンスRinに相当する抵抗21aを有する回路と等価である。
図2に示すように、超音波プローブ13とTRSW14とはケーブル30によって接続されている。
【0027】
TRSW14は、ダイオードブリッジ回路14aとクランプ回路14bとを有する。ダイオードブリッジ回路14aは、バイアス電源V10,V11と、バイアス電源V10に接続されるバイアス抵抗R10と、バイアス電源V11に接続されるバイアス抵抗R11と、ダイオードD10〜D13とを有する。クランプ回路14bは、互いに異なる極性が接続されたダイオードD14、D15を有する。クランプ回路14bは、接地されている。
図2の例では、ダイオードD14は、受信信号が流れる伝送路にアノードが接続されるとともにカソードが接地されたダイオードである。また、ダイオードD15は、受信信号が流れる伝送路にカソードが接続されるとともにアノードが接地されたダイオードである。
【0028】
送信時にはダイオードブリッジ回路14aとクランプ回路14bを組み合わせたTRSW14の振幅制限機能により変圧回路20及び増幅器21の入力は送信信号の高圧パルスから保護される。
【0029】
一方、受信信号のように、振幅が小さい場合(例えば、数100mVpp未満)には、受信信号はダイオードブリッジ回路14aのバイアス抵抗R10、ダイオードD10〜D13、バイアス抵抗R11を経由して流れるバイアス電流よりも微弱であるため、ダイオードD10〜D13がオフとならないので、受信信号はそのまま通過する。通過した受信信号は、変圧回路20に入力される。例えば、ダイオードD14,D15の順方向電圧Vfが、0.7Vである場合には、変圧回路20に入力される受信信号の電圧は、最大1.4Vpp程度までに制限される。
【0030】
図2に示すように、変圧回路20は、タップ付き単巻変圧器20a(以下、単巻変圧器20aと称する)と、切替スイッチ20bと、コイルL4と、コンデンサC2と、バイアス抵抗R20とを有する。
【0031】
単巻変圧器20aは、コイルL1とコイルL2とを有する。コイルL1とコイルL2とは、直列に接続されている。例えば、コイルL1の一端と、コイルL2の一端とが接続されている。コイルL1の他端は、受信信号が流れる伝送路に接続されている。コイルL2の他端は、コンデンサC2及びバイアス抵抗R20に接続されている。
【0032】
また、単巻変圧器20aは、コイルL1の一端とコイルL2の一端との間に設けられたタップ31aを有する。また、単巻変圧器20aは、コイルL1の他端側に設けられたタップ31bを有する。
【0033】
ここで、単巻変圧器20aにおいて発生するリーケージインダクタンスの大きさは、1次側のコイルと2次側のコイルとが分離された変圧器において発生するリーケージインダクタンスの大きさよりも小さい。これは、
図2におけるコイルL1とコイルL2で昇圧する場合にだけ、コイルL1、L2間にリーケージインダクタンスが発生するが、昇圧しない場合にはコイルL1、L2は増幅器21と並列に接続されるだけで、そのリーケージインダクタンスは等価回路上、受信信号を伝達する系に存在しないと考えられる。この結果、通常の1次側、2次側のコイルが分離された変圧器と比べてリーケージインダクタンスの影響を軽減できる。そのため、単巻変圧器20aは、高周波の周波数特性の悪化を抑制する。したがって、本実施形態によれば、受信感度の悪化を抑制することができる。
【0034】
また、単巻変圧器20aは、1次側のコイルと2次側のコイルとが分離された変圧器よりもサイズが小さい。また、単巻変圧器20aは、1次側のコイルと2次側のコイルとが分離された変圧器よりも価格が低い。したがって、本実施形態によれば、受信回路15の小型化及び低価格化を図ることができる。
【0035】
切替スイッチ20bは、ダイオードスイッチD1,D2を有する。ダイオードスイッチD1は、アノードがコイルL4に接続されるとともに、カソードがタップ31aに接続されている。また、ダイオードスイッチD2は、アノードがタップ31bに接続されるとともに、カソードがコイルL4に接続されている。切替スイッチ20bは、後述のバイアス電流の極性に応じて、ダイオードスイッチD1またはダイオードスイッチD2がオン(ON)となる。
【0036】
なお、本実施形態では、単巻変圧器20aの入力側に、切替スイッチ20bを設けている。これは、単巻変圧器20aの出力側に、切替スイッチ20bを設けると、寄生容量が増加して高周波の周波数特性が悪化してしまうからである。単巻変圧器20aの出力側に寄生容量が存在すると、増幅器21の入力インピーダンスRinは、「1/昇圧比」倍となり低下する。そして、寄生容量によるインピーダンスの影響も同様に「1/昇圧比」倍となる。高周波で寄生容量によるインピーダンスが小さくなるので、単巻変圧器20aによる昇圧効果が期待できる高周波プローブで性能が悪化することを抑制するために、本実施形態では、単巻変圧器20aの入力側に、切替スイッチ20bを設けている。
【0037】
また、切替スイッチ20bに用いられる上述のダイオードスイッチD1,D2は、寄生容量が低いため、高周波特性の悪化を抑制することができる。なお、ダイオードスイッチD1,D2に代えて、FET(Field Effect Transistor)やトランジスタを用いることもできる。
【0038】
コイルL4は、ダイオードスイッチD1,D2をオンさせるためのバイアス電流を流すためのコイルである。コイルL4の一端が接地されるとともに、他端がダイオードスイッチD1のアノード及びダイオードスイッチD2のカソードに接続されている。コイルL4として、例えば、受信信号に対して減衰要素とならないような大きな値のインダクタンス値を有するコイルが用いられる。
【0039】
コンデンサC2の一端はコイルL2の他端に接続されるとともに、コンデンサC2の他端は接地されている。
【0040】
バイアス抵抗R20の一端はコイルL2の他端に接続されるとともに、バイアス抵抗R20の他端は制御信号送信回路18に接続されている。なお、バイアス抵抗R20と制御信号送信回路18との間には、制御信号が入力される入力端子が設けられている。
【0041】
次に、変圧回路20の動作について説明する。
図3は、変圧回路20に入力される制御信号の一例を示す図である。
図3に示すように、制御信号は、ダイオードスイッチD1をオンさせる場合には、電圧がマイナスの信号となり、ダイオードスイッチD2をオンさせる場合には、電圧がプラスの信号となる。以下の説明では、「電圧がマイナスの信号」のことを「マイナスの信号」と表記し、同様に、「電圧がプラスの信号」のことを「プラスの信号」と表記する。
【0042】
例えば、制御信号送信回路18は、受信信号を昇圧させない場合(ユーザにより指定された昇圧比が「1」の場合)には、プラスの信号を制御信号として変圧回路20に送信する。プラスの信号が変圧回路20に入力されると、すなわち、プラスの電圧が入力端子に印加されると、バイアス抵抗R20、コイルL2、コイルL1、ダイオードスイッチD2及びコイルL4にバイアス電流が流れる。このようなバイアス電流によって、ダイオードスイッチD2がオンになる。ダイオードスイッチD2がオンになると、受信信号は、コイルL1及びコイルL2を印加して、昇圧比「(コイルL1の巻数+コイルL2の巻数)/(コイルL1の巻数+コイルL2の巻数)」=「1」で昇圧される。そして、昇圧比「1」で昇圧された受信信号は、増幅器21に送信される。すなわち、プラスの信号が変圧回路20に入力されると、受信信号は、そのまま増幅器21に送信される。なお、受信信号を昇圧させないことと、受信信号を昇圧比「1」で昇圧することとは、同義である。また、昇圧比は、変圧比の一例である。
【0043】
一方、制御信号送信回路18は、1より大きい昇圧比で受信信号を昇圧させる場合(例えば、ユーザにより指定された昇圧比が「(コイルL1の巻数+コイルL2の巻数)/(コイルL2の巻数)」の場合)には、マイナスの信号を制御信号として変圧回路20に送信する。マイナスの信号が変圧回路20に入力されると、すなわち、マイナスの電圧が入力端子に印加されると、コイルL4から、ダイオードスイッチD1及びコイルL2を経由して、バイアス抵抗R20までバイアス電流が流れる。このようなバイアス電流によって、ダイオードスイッチD1がオンになる。ダイオードスイッチD1がオンになると、受信信号は、コイルL2を印加して昇圧比「(コイルL1の巻数+コイルL2の巻数)/(コイルL2の巻数)」で昇圧される。そして、昇圧比「(コイルL1の巻数+コイルL2の巻数)/(コイルL2の巻数)」で昇圧された受信信号は、増幅器21に送信される。すなわち、マイナスの信号が変圧回路20に入力されると、受信信号は、1より大きい昇圧比で昇圧されて増幅器21に送信される。
【0044】
ここで、受信信号を増幅器21に入力する前に昇圧させる理由の一例について説明する。例えば、昇圧比「1」で受信信号が昇圧される場合(すなわち、受信信号がそのまま増幅器21に入力される場合)に、信号源13aにおける熱雑音をVnとし、増幅器21における入力換算電圧ノイズをEnとすると、増幅器21に入力されるトータルのノイズである入力換算ノイズEninは、次の式(1)で表される。ここで、以下の式では、説明の簡略化のために、増幅器のIn(入力換算電流ノイズ)を省略している。
【0045】
Enin=(Vn
2+En
2)
1/2・・・(1)
【0046】
また、昇圧比「1」で受信信号が昇圧される場合のNF(単位:dB)は、次の式(2)で表される。
【0047】
NF=20×log[(Vn
2+En
2)
1/2/Vn]・・・(2)
【0048】
次に、昇圧比「K」で受信信号が昇圧される場合に、増幅器21に入力されるトータルのノイズである入力換算ノイズEninは、次の式(3)で表される。
【0049】
Enin=((K×Vn)
2+En
2)
1/2・・・(3)
【0050】
そして、昇圧比「K」で受信信号が昇圧される場合のNFは、次の式(4)で表される。
【0051】
NF=20×log[((K×Vn)
2+En
2)
1/2/(K×Vn)]・・・(4)
【0052】
NFの値が0に近づくほど、受信感度が良好となる。式(2)が示すように、Vnの値がEnの値に比べて小さくなるほど、NFの値が大きくなる。NFの値が大きくなるほど、受信感度が悪化することとなる。一方、式(4)に示すように、昇圧比「K」が1よりも大きく、昇圧比「K」で受信信号を昇圧させた場合には、昇圧比「1」の場合よりも、NFの値が0に近づき、受信感度が改善されて良好となる。そこで、本実施形態に係る変圧回路20は、NFの値を0に近づけて受信感度を良好にさせるために、受信信号を昇圧する。実際には入力換算電流ノイズInの影響で、変圧器による昇圧比には、受信感度改善の限界がある。
【0053】
なお、超音波プローブ13が、例えば7MHz未満の周波数に対して対応可能なプローブ、いわゆる低周波プローブである場合には、高周波プローブの場合と比較して、信号源インピーダンスRsがさほど大きくない。また、Vnの値は、信号源インピーダンスRsの大きさに比例して大きくなる。そのため、超音波プローブ13が、低周波プローブである場合には、Vnの値がEnの値に比べてさほど大きくない可能性が高い。この場合には受信感度改善はそれほど大きくない。
【0054】
一方、超音波プローブ13が、例えば、7MHz以上の周波数に対して対応可能なプローブ、いわゆる高周波プローブである場合には、低周波プローブの場合と比較して、信号源インピーダンスRsが大きくなる。そのため、超音波プローブ13が、高周波プローブである場合には、Vnの値がEnの値に比べて大きくなる可能性が高くなる。したがって、超音波プローブ13が高周波プローブである場合には、高い昇圧比で受信信号を昇圧し、低周波プローブである場合には、高周波プローブの場合よりも低い昇圧比で受信信号を昇圧するか、または、変圧回路20に入力された受信信号をそのまま増幅器21に送信すればよい。
【0055】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1について説明した。上述したように、超音波診断装置1は、リーケージインダクタンスの大きさが小さい単巻変圧器20aを用いて、複数の昇圧比の中から、超音波プローブ13に関する情報に基づく制御信号に応じた昇圧比で受信信号を変圧する。そのため、超音波診断装置1は、高周波の周波数特性の悪化を抑制する。したがって、超音波診断装置1によれば、受信感度の悪化を抑制することができる。
【0056】
また、上述したように、本実施形態によれば、サイズが小さく価格が低い単巻変圧器20aを用いて受信信号を変圧するので、受信回路15の小型化及び低価格化を図ることができる。
【0057】
また、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、高周波の周波数特性の悪化が抑制されるので、超音波プローブ13が高周波プローブであっても、画質の悪化が抑制された超音波画像を得ることができる。
【0058】
なお、増幅器21の入力インピーダンスRinは、昇圧比の2乗に比例して変化する。したがって、昇圧比に合わせて入力インピーダンスRinを切り替えることが好ましい。そのため、例えば、増幅器21として、入力インピーダンスを切り替えることが可能な公知の増幅器を用いることが好ましい。
【0059】
また、単巻変圧器20aが受信信号を制御信号に応じた昇圧比で昇圧する場合について例示したが、単巻変圧器20aが行う動作は、これに限られない。例えば、単巻変圧器20aは、同様の原理で、受信信号を制御信号に応じた降圧比で降圧することもできる。例えば、単巻変圧器20aは、入力換算ノイズEninが支配的な場合、受信信号を降圧することにより、信号源13aにおける熱雑音Vnを大きくして、受信感度を改善することができる。なお、降圧比は、変圧比の一例である。
【0060】
(第1の実施形態に係る第1の変形例)
なお、上述した第1の実施形態では、制御信号送信回路18が、ユーザにより指定された昇圧比に対応する制御信号を変圧回路20に送信する場合について例示した。しかしながら、制御信号送信回路18は、超音波診断装置1に用いられている超音波プローブ13の信号源インピーダンスに応じた制御信号を変圧回路20に送信することもできる。そこで、このような実施形態を第1の実施形態に係る第1の変形例として、
図4を用いて説明する。
【0061】
図4は、第1の実施形態に係る第1の変形例について説明するための図である。第1の変形例では、制御信号送信回路18は、
図4に示すテーブル40を保持している。テーブル40は、「プローブID」及び「制御信号のレベル」の各項目を有する。
【0062】
「プローブID」の項目には、超音波プローブ13として用いられることが可能な超音波プローブのID(Identification)であるプローブIDが登録される。「制御信号のレベル」の項目には、同一レコードの「プローブID」の項目に登録されたプローブIDが示す超音波プローブの信号源インピーダンスが、所定の閾値よりも大きい場合には、変圧回路20に送信する制御信号がマイナスの信号であることを示す「マイナス」が登録される。なお、変圧回路20に送信する制御信号がマイナスの信号である場合には、受信信号が昇圧される。また、「制御信号のレベル」の項目には、同一レコードの「プローブID」の項目に登録されたプローブIDが示す超音波プローブの信号源インピーダンスが、所定の閾値以下である場合には、変圧回路20に送信する制御信号がプラスの信号であることを示す「プラス」が登録される。なお、変圧回路20に送信する制御信号がプラスの信号である場合には、変圧回路20に入力された受信信号は、そのまま増幅器21に送信される。
【0063】
第1の変形例では、制御信号送信回路18は、超音波診断装置1に用いられている超音波プローブ13(TRSW14に接続されている超音波プローブ13)のプローブIDを特定する。プローブIDの特定方法の一例について説明すると、例えば、制御信号送信回路18は、ケーブル30を介して超音波プローブ13に接続されており、超音波プローブ13からプローブIDを取得することにより、プローブIDを特定する。そして、制御信号送信回路18は、特定したプローブIDに対応する制御信号のレベルをテーブル40から取得する。そして、制御信号送信回路18は、「マイナス」を取得した場合には、マイナスの信号を制御信号として変圧回路20に送信する。また、制御信号送信回路18は、「プラス」を取得した場合には、プラスの信号を制御信号として変圧回路20に送信する。
【0064】
以上、第1の実施形態の第1の変形例に係る超音波診断装置1について説明した。上述したように、第1の変形例に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ13の信号源インピーダンスに適した昇圧比に対応する制御信号を変圧回路20に送信する。例えば、超音波診断装置1は、1よりも大きい昇圧比で受信信号を昇圧することが好ましい場合には、1よりも大きい昇圧比に対応する制御信号を変圧回路20に送信する。また、超音波診断装置1は、そのまま受信信号を変圧回路20に送信することが好ましい場合には、昇圧比「1」に対応する制御信号を変圧回路20に送信する。したがって、第1の変形例に係る超音波診断装置1によれば、ユーザが昇圧比を指定することなく、受信感度の悪化を抑制することができる。
【0065】
(第1の実施形態に係る第2の変形例)
また、制御信号送信回路18は、受信感度を優先するモード及び超音波画像の画質を優先するモードのうち、ユーザによって指定されたモードに応じた制御信号を変圧回路20に送信することもできる。そこで、このような実施形態を第1の実施形態に係る第2の変形例として、
図5を用いて説明する。
【0066】
図5は、第1の実施形態に係る第2の変形例について説明するための図である。第2の変形例では、操作受付部19は、モニタ17に接続されている。そして、操作受付部19は、
図5の例に示すように、受信感度を優先するモード及び超音波画像の画質を優先するモードのうち何れかのモードを指定させることをユーザに促すためのメッセージ「モードを指定して下さい。」とともに、ユーザによって押下可能なボタン50a,50bをモニタ17に表示させる。ボタン50aは、画質を優先するモードをユーザに指定させるためのボタンである。ボタン50bは、受信感度を優先するモードをユーザに指定させるためのボタンである。そして、ボタン50aが押下された場合には、操作受付部19は、画質を優先するモードが指定された旨を制御信号送信回路18に通知する。一方、ボタン50bが押下された場合には、操作受付部19は、受信感度を優先するモードが指定された旨を制御信号送信回路18に通知する。
【0067】
受信感度を優先するモードが指定された旨が通知された場合には、受信感度を優先するモードが解除されるまで、制御信号送信回路18は、上述の第1の実施形態と同様の処理を行う。すなわち、制御信号送信回路18は、受信信号を昇圧させない場合(ユーザにより指定された昇圧比が「1」の場合)には、プラスの信号を制御信号として変圧回路20に送信する。また、制御信号送信回路18は、1より大きい昇圧比で受信信号を昇圧させる場合(例えば、ユーザにより指定された昇圧比が「(コイルL1の巻数+コイルL2の巻数)/(コイルL2の巻数)」の場合)には、マイナスの信号を制御信号として変圧回路20に送信する。
【0068】
一方、画質を優先するモードが指定された旨が通知された場合には、画質を優先するモードが解除されるまで、制御信号送信回路18は、昇圧比「1」に対応する制御信号を変圧回路20に送信する。これにより、変圧回路20に入力された受信信号がそのまま増幅器21に送信されるので、増幅器21での飽和の発生が抑制される。このため、超音波画像の画質が良好となる。
【0069】
以上、第1の実施形態の第2の変形例に係る超音波診断装置1について説明した。上述したように、第2の変形例に係る超音波診断装置1は、受信信号に基づいた超音波画像の画質を優先するモードが指定された場合には、制御信号として、昇圧比「1」で受信信号を昇圧するための信号を変圧回路20に送信する。すなわち、第2の変形例に係る超音波診断装置1は、制御信号として、受信信号を昇圧せずに出力するための信号を変圧回路20に送信する。したがって、第2の変形例に係る超音波診断装置1によれば、受信信号に基づいた超音波画像の画質を優先するモードが指定された場合には、超音波画像の画質を良好にすることができる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る超音波診断装置について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。第2の実施形態に係る超音波診装置は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1と比して、変圧回路20とは異なる変圧回路60を有する点が異なる。
【0071】
図6は、第2の実施形態に係る変圧回路の構成の一例を示す図である。
図6に示すように、第2の実施形態に係る変圧回路60は、変圧回路20の構成に加えて、コンデンサC1及びリミッタ回路61を有する。
【0072】
リミッタ回路61は、互いに異なる極性が接続されたダイオードD3、D4を有する。リミッタ回路61は、接地されている。
図6の例では、ダイオードD3は、受信信号が流れる伝送路にカソードが接続されるとともにアノードが接地されたダイオードである。また、ダイオードD4は、受信信号が流れる伝送路にアノードが接続されるとともにカソードが接地されたダイオードである。リミッタ回路61は、振幅制限機能を有し、ダイオードD3,D4の順方向電圧Vfの値に応じて、増幅器21に入力される受信信号の振幅を制限する。例えば、ダイオードD3,D4の順方向電圧Vfが、0.7Vである場合には、増幅器21に入力される受信信号の電圧は、最大1.4Vpp程度までに制限される。これにより、単巻変圧器20aによって昇圧された受信信号がそのまま増幅器21に入力されて、増幅器21において飽和が発生することを抑制することができる。また、増幅器21において、飽和からの回復時間の増加を抑制することができる。
【0073】
ここで、リミッタ回路61を単巻変圧器20aの後段に設けただけでは、ダイオードD3,D4の順方向電圧Vfにより、増幅器21に入力される受信信号の正負(プラスとマイナス)の対称性が崩れてしまう。例えば、受信信号は、マイナス側にシフトしてしまう。これは、バイアス電流がコイルL4を流れると、コイルL4が有する小さな直列抵抗による電圧降下によって電圧が生じ、リミッタ回路61にDC電圧が発生することに起因する。そこで、受信信号の正負の対称性を良好にするために、第2の実施形態では、リミッタ回路61の前段に、コンデンサC1が設けられている。コンデンサC1は、AC結合(交流結合)により、単巻変圧器20aとリミッタ回路61とに接続されている。すなわち、コンデンサC1は、リミッタ回路61が、受信信号が流れる伝送路に接続された位置よりも変圧回路20側の受信信号が流れる伝送路の位置に設けられている。コンデンサC1は、リミッタ回路61にDC電圧が発生することを抑制する機能を有するので、リミッタ回路61を通過する受信信号の正負の対称性を良好にすることができる。
【0074】
以上、第2の実施形態について説明した。第2の実施形態によれば、リミッタ回路61が振幅制限機能を有するので、増幅器21において飽和が発生することを抑制することができる。また、増幅器21において、飽和からの回復時間の増加を抑制することができる。
【0075】
また、第2の実施形態によれば、リミッタ回路61の前段にコンデンサC1が設けられているので、リミッタ回路61を通過する受信信号の正負の対称性が良好になり、増幅器21に入力される受信信号の正負の対称性を良好にすることができる。
【0076】
また、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1と同様の効果を得ることができる。
【0077】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、受信信号を変圧する際の変圧比が2つである場合について説明したが、受信信号を変圧する際の変圧比を3つ以上とすることもできる。そこで、受信信号を変圧する際の変圧比が3つである実施形態を第3の実施形態として、
図7を用いて説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。第3の実施形態に係る超音波診装置は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1と比して、変圧回路20とは異なる変圧回路70を有する点が異なる。
【0078】
図7は、第3の実施形態に係る変圧回路の構成の一例を示す図である。
図7に示すように、第3の実施形態に係る変圧回路70は、タップ付き単巻変圧器70a(以下、単巻変圧器70aと称する)と、切替スイッチ70bと、コイルL8〜L10と、コンデンサC3〜C5と、バイアス抵抗R2〜R4と、リミッタ回路61と、コンデンサC1とを有する。
【0079】
単巻変圧器70aは、コイルL5〜L7を有する。コイルL5とコイルL6とコイルL7とは、直列に接続されている。例えば、コイルL5の一端と、コイルL6の一端とが接続されている。また、コイルL6の他端と、コイルL7の一端とが接続されている。コイルL5の他端は、受信信号が流れる伝送路に接続されている。コイルL7の他端は、接地されている。
【0080】
また、単巻変圧器70aは、コイルL5の一端とコイルL6の一端との間に設けられたタップ71bと、コイルL6の他端とコイルL7の一端との間に設けられたタップ71cとを有する。また、単巻変圧器70aは、コイルL5の他端側に設けられたタップ71aを有する。
【0081】
ここで、単巻変圧器70aにおいて発生するリーケージインダクタンスの大きさは、1次側のコイルと2次側のコイルとが分離された変圧器において発生するリーケージインダクタンスの大きさよりも小さい。これは、
図7におけるコイルL5とコイルL6コイルL7で昇圧する場合にだけ、コイルL5、L6間やコイルL6、L7間にリーケージインダクタンスが発生するが、昇圧しない場合にはコイルL5、L6、L7は増幅器21と並列に接続されるだけで、そのリーケージインダクタンスは等価回路上、受信信号を伝達する系に存在しないと考えられる。この結果、通常の1次側、2次側のコイルが分離された変圧器と比べてリーケージインダクタンスの影響を軽減できる。そのため、単巻変圧器70aは、高周波の周波数特性の悪化を抑制する。したがって、本実施形態によれば、受信感度の悪化を抑制することができる。
【0082】
また、単巻変圧器70aは、1次側のコイルと2次側のコイルとが分離された変圧器よりもサイズが小さい。また、単巻変圧器70aは、1次側のコイルと2次側のコイルとが分離された変圧器よりも価格が低い。したがって、本実施形態によれば、小型化及び低価格化を図ることができる。
【0083】
切替スイッチ70bは、ダイオードスイッチD5〜D7を有する。ダイオードスイッチD5は、アノードがコンデンサC3及びバイアス抵抗R2に接続されるとともに、カソードがタップ71aに接続されている。また、ダイオードスイッチD6は、アノードがコンデンサC4及びバイアス抵抗R3に接続されるとともに、カソードがタップ71bに接続されている。また、ダイオードスイッチD7は、アノードがコンデンサC5及びバイアス抵抗R4に接続されるとともに、カソードがタップ71cに接続されている。切替スイッチ70bは、バイアス電流の極性に応じて、ダイオードスイッチD5、ダイオードスイッチD6またはダイオードスイッチD7をオンさせる。
【0084】
バイアス抵抗R2の一端は、ダイオードスイッチD5のアノードに接続されるとともに、バイアス抵抗R2の他端は、コイルL8に接続されている。また、バイアス抵抗R3の一端は、ダイオードスイッチD6のアノードに接続されるとともに、バイアス抵抗R3の他端は、コイルL9に接続されている。また、バイアス抵抗R4の一端は、ダイオードスイッチD7のアノードに接続されるとともに、バイアス抵抗R4の他端は、コイルL10に接続されている。
【0085】
コンデンサC3の一端は、TRSW14に接続されるとともに、コンデンサC3の他端は、ダイオードスイッチD5のアノードに接続されている。また、コンデンサC4の一端は、TRSW14に接続されるとともに、コンデンサC4の他端は、ダイオードスイッチD6のアノードに接続されている。また、コンデンサC5の一端は、TRSW14に接続されるとともに、コンデンサC5の他端は、ダイオードスイッチD7のアノードに接続されている。
【0086】
コイルL8〜L10は、ダイオードスイッチD5〜D7をオンさせるためのバイアス電流を流すためのコイルである。コイルL8の一端は、バイアス抵抗R2の他端に接続されるとともに、コイルL8の他端は、制御信号送信回路18に接続されている。また、コイルL9の一端は、バイアス抵抗R3の他端に接続されるとともに、コイルL9の他端は、制御信号送信回路18に接続されている。また、コイルL10の一端は、バイアス抵抗R4の他端に接続されるとともに、コイルL10の他端は、制御信号送信回路18に接続されている。なお、コイルL8と制御信号送信回路18との間には、制御信号が入力される入力端子(第1の入力端子)が設けられている。また、コイルL9と制御信号送信回路18との間には、制御信号が入力される入力端子(第2の入力端子)が設けられている。また、コイルL10と制御信号送信回路18との間には、制御信号が入力される入力端子(第3の入力端子)が設けられている。
【0087】
次に、変圧回路70の動作について説明する。例えば、ユーザにより昇圧比「1」(第1の昇圧比)が指定された場合には、制御信号送信回路18は、プラスの信号を制御信号として第1の入力端子に入力するとともに、マイナスの信号を制御信号として第2の入力端子及び第3の入力端子に入力する。プラスの信号が第1の入力端子に入力され、マイナスの信号が第2の入力端子及び第3の入力端子に入力されると(すなわちプラスの電圧が第1の入力端子に印加され、マイナスの電圧が第2の入力端子及び第3の入力端子に印加されると)、コイルL8、バイアス抵抗R2、ダイオードスイッチD5及びコイルL5〜L7に、バイアス電流が流れる。このようなバイアス電流によって、ダイオードスイッチD5がオンになる。ダイオードスイッチD5がオンになると、受信信号は、コイルL5〜L7を印加して昇圧比「(コイルL5の巻数+コイルL6の巻数+コイルL7の巻数)/(コイルL5の巻数+コイルL6の巻数+コイルL7の巻数)」=「1」で昇圧される。そして、第1の昇圧比で昇圧された受信信号は、増幅器21に送信される。すなわち、受信信号は、そのまま増幅器21に送信される。
【0088】
また、ユーザにより昇圧比「(コイルL5の巻数+コイルL6の巻数+コイルL7の巻数)/(コイルL6の巻数+コイルL7の巻数)」(第2の昇圧比)が指定された場合には、制御信号送信回路18は、プラスの信号を制御信号として第2の入力端子に入力するとともに、マイナスの信号を制御信号として第1の入力端子及び第3の入力端子に入力する。プラスの信号が第2の入力端子に入力され、マイナスの信号が第1の入力端子及び第3の入力端子に入力されると(すなわちプラスの電圧が第2の入力端子に印加され、マイナスの電圧が第1の入力端子及び第3の入力端子に印加されると)、コイルL9、バイアス抵抗R3、ダイオードスイッチD6及びコイルL6,L7に、バイアス電流が流れる。このようなバイアス電流によって、ダイオードスイッチD6がオンになる。ダイオードスイッチD6がオンになると、受信信号は、コイルL6,L7を印加して第2の昇圧比で昇圧される。そして、昇圧された受信信号は、増幅器21に送信される。
【0089】
また、ユーザにより昇圧比「(コイルL5の巻数+コイルL6の巻数+コイルL7の巻数)/コイルL7の巻数」(第3の昇圧比)が指定された場合には、制御信号送信回路18は、プラスの信号を制御信号として第3の入力端子に入力するとともに、マイナスの信号を制御信号として第1の入力端子及び第2の入力端子に入力する。プラスの信号が第3の入力端子に入力され、マイナスの信号が第1の入力端子及び第2の入力端子に入力されると(すなわちプラスの電圧が第3の入力端子に印加され、マイナスの電圧が第1の入力端子及び第2の入力端子に印加されると)、コイルL10、バイアス抵抗R4、ダイオードスイッチD7及びコイルL7に、バイアス電流が流れる。このようなバイアス電流によって、ダイオードスイッチD7がオンになる。ダイオードスイッチD7がオンになると、受信信号は、コイルL7を印加して第3の昇圧比で昇圧される。そして、昇圧された受信信号は、増幅器21に送信される。
【0090】
以上、第3の実施形態について説明した。上述したように、第3の実施形態は、リーケージインダクタンスの大きさが小さい単巻変圧器70aを用いて、複数の変圧比の中から、超音波プローブに関する情報に基づく制御信号に応じた変圧比で受信信号を変圧する。そのため、第3の実施形態は、高周波の周波数特性の悪化を抑制する。したがって、第3の実施形態によれば、受信感度の悪化を抑制することができる。
【0091】
また、上述したように、第3の実施形態によれば、サイズが小さく価格が低い単巻変圧器20aを用いて受信信号を変圧するので、小型化及び低価格化を図ることができる。
【0092】
また、第3の実施形態によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
なお、第3の実施形態では、受信信号を変圧する際の変圧比が3つである場合について説明したが、同様の方法で、超音波診断装置は、4つ以上の変圧比の中から制御信号に応じた何れかの変圧比で受信信号を変圧することもできる。
【0094】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の超音波診断装置によれば、受信感度の悪化を抑制することができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。