(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高周波検出手段は、前記高周波生成手段で生成された前記高周波が入力される第1のポート、当該高周波が出力される第2のポート、前記進行波を出力する第3のポート及び前記反射波を出力する第4のポートを有する方向性結合器で構成され、
前記マトリクスデータは、前記第1,第2のポートから前記方向性結合器に入力される異周波fnの2つの入力波をそれぞれa1(fn),a2(fn)、前記3,第4のポートから出力される異周波fnの前記進行波と前記反射波をそれぞれb3(fn),b4(fn)とすると、S31(fn)=b3(fn)/a1(fn)、S32(fn)=b3(fn)/a2(fn)、S41(fn)=b4(fn)/a1(fn)、S42(fn)=b4(fn)/a2(fn)を成分とするSパラメータであり、
前記補正手段は、前記異周波抽出手段で抽出される異周波fnの進行波と反射波をそれぞれb3(fn),b4(fn)とすると、
a1(fn)=S13(fn)・b3(fn)+S14(fn)・b4(fn) …(A1)
a2(fn)=S23(fn)・b3(fn)+S24(fn)・b4(fn) …(A2)
但し、S13(fn)=S42(fn)/Δ(fn) …(B1)
S23(fn)=−S41(fn)/Δ(fn) …(B2)
S14(fn)=−S32(fn)/Δ(fn) …(B3)
S24(fn)=S31(fn)/Δ(fn) …(B4)
Δ(fn)=S31(fn)・S42(fn)+S32(fn)・S41(fn)…(B5)
を演算することにより、前記高周波検出手段の第1のポートに入力される異周波fnの進行波a1(fn)と前記高周波検出手段の第2のポートに入力される異周波fnの反射波a2(fn)を算出する、請求項1に記載の高周波電源。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理システムは、例えば、フッ素系のガスと半導体ウェハや液晶基板等の被加工物をプラズマ処理装置のチャンバー内に封入し、そのチャンバー内の一対の電極に高周波電源から高周波電力を供給して放電させ、その放電によりガスのプラズマを発生させて被加工物に薄膜形成処理やエッチング処理を行うシステムである。
【0003】
従来、周波数の異なる2つの高周波を重畳してプラズマ処理装置に供給するタイプのプラズマ処理システムが知られている。このプラズマ処理システムに用いられる第1周波数f
1と第2周波数f
2は、例えば、40MHzと2MHz等の組み合わせである。第1周波数f
1の高周波は、主としてプラズマ処理装置内にプラズマを発生させるために用いられ、第2周波数f
2の高周波は、プラズマ加工を効率良く行うためのバイアスとして用いられる。
【0004】
2種類の高周波を重畳してプラズマ処理装置に供給するタイプのプラズマ処理システムでは、高周波電源とプラズマ処理装置とがインピーダンス不整合の状態になっている場合、プラズマ処理装置で高周波の反射が発生し、その反射波が高周波電源に進入して高周波電源内の増幅素子に悪影響を与える。その反射波の周波数成分は、高周波電源から出力される高周波の基本波や高調波のほか、これらの周波数と異なる周波数が含まれる。例えば、第1周波数f
1が40MHzで第2周波数f
2が2MHzの場合、40±2MHzや40±4MHz等の周波数成分が含まれる。
【0005】
一般に、高周波電源には基本波よりも高い周波成分の出力を抑制するために出力段にローパスフィルタが設けられている。第1周波数f
1が40MHzで第2周波数f
2が2MHzの場合、2MHzの高周波を出力する高周波電源では、ローパスフィルタによって基本波の周波数よりも低い2MHzの高調波の反射波や基本波の周波数に近い40±2MHzや40±4MHz等の周波数を有する反射波等を阻止できるので、反射波の増幅素子への悪影響は少ない。しかし、40MHzの高周波を出力する高周波電源では、ローパスフィルタによって2MHzの高調波の反射波や40±2MHzや40±4MHz等の周波数を有する反射波を阻止することはできないので、過大な反射波が高周波電源内に進入して増幅素子を破壊する恐れがある。
【0006】
従来、反射波の増幅素子への悪影響を低減する方法として、反射波のレベルを検出し、そのレベルに応じて出力電力を抑制することにより、進行波と反射波の合計値が増幅素子の最大定格を超えないようにする出力制御(以下、「反射保護制御」という。)が知られている(特許文献1参照)。
【0007】
具体的には、
図11に示されるように、高周波電源100のローパスフィルタ104の後段に方向性結合器105を設け、(1)方向性結合器105で進行波電圧v
fと反射波電圧v
tを分離して制御部106に入力し、(2)制御部106内の進行波電力検出部106bと反射波電力検出部106cでそれぞれ進行波電力P
fと反射波電力P
rを求め、(3)高周波出力制御部106dで両電力の合計値P
m(=P
f+P
r)を予め設定された基準値P
thと比較し、(4)合計値P
mが基準値P
thを超えた場合に反射保護制御に移行し、その超えた分ΔP(=P
th−P
m)に応じた量だけ出力電力量を低減させる出力制御指令信号S
CをDC−DC変換部102に出力する、という処理が行われる。合計値P
mが基準値P
thを超えない場合は、進行波電力検出部106bで検出される基本波の進行波電力P
fFを出力電力設定部107で設定された目標出力電力P
setに一致させるための出力制御指令信号S
CをDC−DC変換部102に出力する通常の出力制御が行われる。
【0008】
なお、AC−DC変換部101は、商用電源から直流電圧を生成し、その直流電圧を駆動電圧としてDC−DC変換部102に供給するブロックである。AC−DC変換部101及びDC−DC変換部102は、DC−RF変換部103に直流電力を供給する機能を果たす。DC−RF変換部103は、スイッチング・アンプで構成され、制御部106内の高周波制御部106aから入力される高周波信号vで直流電力をスイッチングすることにより高周波電力に変換する。
【0009】
進行波電力検出部106bは、基本波を中心周波数とするバンドパスフィルタ(BPF)に方向性結合器105から出力される進行波電圧v
fを通して基本波の進行波電圧v
fFを抽出した後、変換部110で所定の演算処理により基本波の進行波電力P
fFを検出するとともに、方向性結合器105から出力される進行波電圧v
fに対して変換部110で同様の演算処理をして基本波及び基本波以外の周波数成分を含む進行波電力P
fを検出する機能を果たす。反射波電力検出部106cも進行波電力検出部106bと同様の構成で、方向性結合器105から出力される反射波電圧v
rを用いて基本波の反射波電力P
rFと基本波及び基本波以外の周波数成分を含む反射波電力P
rを検出する機能を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図11の構成において、方向性結合器105は、一般に、高周波電源100から出力される高周波電力の基本波を含む狭帯域の周波数範囲に対して十分なアイソレーション特性が保証されるように設計されているので、方向性結合器105から出力される進行波電圧v
fに含まれる上記の周波数範囲以外の周波数成分には十分な検出精度がない。方向性結合器105から出力される反射波電圧v
rに含まれる上記の周波数範囲以外の周波数成分についても同様である。
【0012】
従って、進行波電力検出部106bと反射波電力検出部106cでそれぞれ検出される進行波電力P
fと反射波電力P
rのレベルの検出精度が基本波の進行波電力P
fFと反射波電力P
rFの検出精度よりも低下するので、進行波電力P
f及び反射波電力P
rを用いた反射保護制御による保護精度も低下するという問題がある。
【0013】
特に、2種類の高周波を用いるプラズマ処理システムに第2周波数f
2よりも高い第1周波数f
1の高周波を供給する高周波電源では、インピーダンス不整合の場合に第1周波数f
1に第2周波数f
2を加算した周波数成分(f
1+f
2)や第1周波数f
1から第2周波数f
2を減算した周波数成分(f
1−f
2)等の反射波が比較的高いレベルで高周波電源に戻ってくるので、これらの周波数成分の反射波電力P
rの検出精度が不十分であれば、反射保護制御が十分に機能せず、DC−RF変換部103内の半導体スイッチ素子の損傷若しくは破壊を招く恐れがある。
【0014】
この問題を回避するために、基本波以外の優勢なレベルを有する周波数成分(基本波の一次高調波、二次高調波、三次高調波、第1周波数f
1に第2周波数f
2を加算した周波数成分(f
1+f
2)や第1周波数f
1から第2周波数f
2を減算した周波数成分(f
1−f
2)等の周波数成分)について、周波数成分毎に方向性結合器105を設けることが考えられるが、この方法では、ローパスフィルタ104の後段に多数の方向性結合器105を並設する必要があり、高周波電源の小型化や低コスト化を考慮すると、現実的でなく、採用しがたい。
【0015】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、方向性結合器から出力される基本波以外の周波数成分の進行波と反射波を補正することにより、基本波以外の周波数成分を用いた出力制御の精度の低下を抑制することができる高周波電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る高周波電源は、高周波を生成する高周波生成手段と、前記高周波生成手段の後段で当該高周波生成手段から負荷に向かう進行波と当該負荷から前記高周波生成手段に向かう反射波をそれぞれ検出する高周波検出手段と、前記高周波の基本波とは異なる所定の異周波について、前記高周波検出手段で検出される前記進行波から前記異周波の進行波を抽出し、前記高周波検出手段で検出される前記反射波から前記異周波の反射波を抽出する異周波抽出手段と、を備えた高周波電源であって、前記異周波毎に、予め取得された、前記高周波検出手段の2つの入出力ポートからそれぞれ当該
高周波検出手段に入力する2つの入力波と前記高周波検出手段から出力される前記進行波及び前記反射波との間の伝送特性を示す
Sパラメータのマトリクスデータを記憶するマトリクスデータ記憶手段と、前記異周波抽出手段で抽出される前記異周波の進行波及び反射波に前記マトリクスデータ記憶手段に記憶されたマトリクスデータを用いた
行列の積の演算処理を行って、前記異周波の進行波と反射波をそれぞれ前記高周波検出手段の2つの入出力ポート
に入力される進行波と反射波に補正する補正手段と、を備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0017】
上記の高周波電源において、前記高周波検出手段は、前記高周波生成手段で生成された前記高周波が入力される第1のポート、当該高周波が出力される第2のポート、前記進行波を出力する第3のポート及び前記反射波を出力する第4のポートを有する方向性結合器で構成され、前記マトリクスデータは、前記第1,第2のポートから前記方向性結合器に入力される異周波f
nの2つの入力波をそれぞれa
1(f
n),a
2(f
n)、前記3,第4のポートから出力される異周波f
nの前記進行波と前記反射波をそれぞれb
3(f
n),b
4(f
n)とすると、S
31(f
n)=b
3(f
n)/a
1(f
n)、S
32(f
n)=b
3(f
n)/a
2(f
n)、S
41(f
n)=b
4(f
n)/a
1(f
n)、S
42(f
n)=b
4(f
n)/a
2(f
n)を成分とするSパラメータであり、前記補正手段は、前記異周波抽出手段で抽出される異周波f
nの進行波と反射波をそれぞれb
3(f
n),b
4(f
n)とすると、
a
1(f
n)=S
13(f
n)・b
3(f
n)+S
14(f
n)・b
4(f
n)…(A1)
a
2(f
n)=S
23(f
n)・b
3(f
n)+S
24(f
n)・b
4(f
n)…(A2)
但し、S
13(f
n)=S
42(f
n)/Δ(f
n) …(B1)
S
23(f
n)=−S
41(f
n)/Δ(f
n) …(B2)
S
14(f
n)=−S
32(f
n)/Δ(f
n) …(B3)
S
24(f
n)=S
31(f
n)/Δ(f
n) …(B4)
Δ(f
n)=S
31(f
n)・S
42(f
n)+S
32(f
n)・S
41(f
n)…(B5)
を演算することにより、前記高周波検出手段の第1のポートに入力される異周波f
nの進行波a
1(f
n)と前記高周波検出手段の第2のポートに入力される異周波f
nの反射波a
2(f
n)を算出するとよい(請求項2)。
【0018】
上記の高周波電源において、前記マトリクスデータ記憶手段は、前記高周波検出手段の前記Sパラメータを実測した測定データを記憶するとよい(請求項3)。
【0019】
上記の高周波電源において、前記マトリクスデータ記憶手段は、前記高周波検出手段の前記Sパラメータを実測した測定データS
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n)を前記(B1)式乃至(B5)式の演算式によって変換した前記S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n)を成分とするSパラメータを記憶し、前記補正手段は、前記異周波抽出手段で抽出される異周波f
nの進行波b
3(f
n)と反射波b
4(f
n)を用いて前記(A1)式と前記(A2)式を演算することにより前記異周波f
nの進行波a
1(f
n)と反射波a
2(f
n)を算出するとよい(請求項4)。
【0020】
上記の高周波電源において、前記高周波検出手段で検出される前記進行波と前記反射波からそれぞれ前記高周波の基本波の成分を抽出する基本波抽出手段と、前記所定の異周波のうち、前記補正手段で補正する異周波を決定する異周波決定手段と、前記基本波抽出手段で抽出される前記基本波の進行波及び反射波と前記異周波決定手段で決定された異周波に対して前記異周波
抽出手段と前記補正手段とによって算出される補正後の進行波及び反射波とに基づいて、前記高周波生成手段から出力される前記高周波を制御する出力制御手段と、を更に備え、前記異周波決定手段は、所定の周期で、前記所定の異周波に対して、前記異周波
抽出手段と前記補正手段とによって前記高周波検出手段の2つの入出力ポート
に入力される進行波と反射波を算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果と予め設定された異周波レベルの閾値とに基づいて、前記所定の異周波のうち、前記補正手段で補正する異周波を設定する異周波設定手段と、を含むとよい(請求項5)。
【0021】
また、上記の高周波電源において、前記高周波検出手段で検出される前記進行波と前記反射波からそれぞれ前記高周波の基本波の成分を抽出する基本波抽出手段と、作業者による指示によって、前記所定の異周波のうち、前記補正手段で補正する異周波を決定する異周波決定手段と、前記基本波抽出手段で抽出される前記基本波の進行波及び反射波と前記異周波決定手段で決定された異周波に対して前記異周波
抽出手段と前記補正手段とによって算出される補正後の進行波及び反射波とに基づいて、前記高周波生成手段から出力される前記高周波を制御する出力制御手段と、を更に備え、前記異周波決定手段は、前記作業者により異周波の決定処理が指示されると、前記所定の異周波に対して、前記異周波
抽出手段と前記補正手段とによって前記高周波検出手段の2つの入出力ポート
に入力される進行波と反射波を算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づいて、各異周波のレベルを前記作業者がモニタ可能に表示する異周波表示手段と、前記異周波表示手段の表示に基づき前記作業者から入力される異周波の情報を前記補正手段で補正する異周波に設定する異周波設定手段と、を含むとよい(請求項6)。
【0022】
上記の高周波電源において、前記マトリクスデータ記憶手段には、前記所定の異周波の一部に対して前記マトリクスデータが記憶されており、前記マトリクスデータ記憶手段に記憶されていない異周波のマトリクスデータを前記マトリクスデータ記憶手段に記憶されているマトリクスデータを用いて所定の補間演算により補間するマトリクスデータ補間手段を更に備え、前記補正手段は、前記マトリクスデータ記憶手段に記憶されていない異周波の進行波と反射波を補正する場合、前記マトリクスデータ補間手段により当該異周波のマトリクスデータを補間し、その補間値を用いて異周波の進行波と反射波の補正を行うとよい(請求項7)。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、高周波検出手段及び異周波抽出手段で検出される異周波の進行波には高周波検出手段の進行波と反射波を分離する周波数特性に起因して異周波の反射波が含まれるが、異周波の進行波の検出値に対し、予め取得した当該異周波のマトリクスデータを用いて異周波の反射波を含まない異周波の進行波に変換する補正が行われる。高周波検出手段及び異周波抽出手段で検出される異周波の反射波についても同様で、当該反射波の検出値に対し、予め取得された当該異周波のマトリクスデータを用いて異周波の進行波を含まない異周波の反射波に変換する補正が行われる。
【0024】
例えば、異周波f
nの進行波と反射波の検出値をそれぞれb
3(f
n),b
4(f
n)とし、異周波f
nのマトリクスデータをS
31(f
n)、S
32(f
n)、S
41(f
n)、S
42(f
n)を成分とするSパラメータとすると、
a
1(f
n)=S
13(f
n)・b
3(f
n)+S
14(f
n)・b
4(f
n)…(A1)
a
2(f
n)=S
23(f
n)・b
3(f
n)+S
24(f
n)・b
4(f
n)…(A2)
ただし、S
13(f
n)=S
42(f
n)/Δ(f
n) …(B1)
S
23(f
n)=−S
41(f
n)/Δ(f
n) …(B2)
S
14(f
n)=−S
32(f
n)/Δ(f
n) …(B3)
S
24(f
n)=S
31(f
n)/Δ(f
n) …(B4)
Δ(f
n)=(S
31・S
42+S
32・S
41)…(B5)
の演算処理により、検出値b
3(f
n),b
4(f
n)は、第1のポートから高周波検出手段に入力される異周波f
nの進行波a
1(f
n)と第2のポートから高周波検出手段に入力される異周波f
nの反射波a
2(f
n)に補正される。
【0025】
異周波f
nの進行波a
1(f
n)は高周波生成手段から高周波検出手段に入力される反射波a
2(f
n)の成分を含まない波(推定値)であり、異周波f
nの反射波a
2(f
n)は負荷側から高周波検出手段に入力される進行波a
1(f
n)の成分を含まない波(推定値)であるから、異周波f
nの進行波と反射波の検出精度を高くすることができる。これにより、高周波の基本波と異周波の検出値を用いて高周波の出力制御をする場合、高周波電源の構成の複雑化や大型化を招くことなく、高周波の出力制御の精度を高めることができる。
【0026】
また、所定の異周波の全てについて進行波と反射波の補正をするのではなく、補正すべき異周波を自動的に、若しくは作業者の操作によって設定し、その設定された異周波についてだけ進行波と反射波の補正処理をするので、補正処理の負担を低減することができる。
【0027】
また、マトリクスデータ記憶手段に所定の異周波の一部に対してマトリクスデータを記憶し、残りのマトリクスデータを、マトリクスデータ記憶手段に記憶されているマトリクスデータを用いて所定の補間演算により算出する構成にすることにより、マトリクスデータ記憶手段の記憶容量を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。特に、プラズマ処理システムに適用される高周波電源を例に説明する。
【0030】
図1は、プラズマ処理システムの構成を示す図である。
図2は、本発明に係る高周波電源の内部構成を示すブロック図である。
【0031】
プラズマ処理システム1の基本構成は、高周波電源2、インピーダンス整合装置3、プラズマ処理装置4及びシステム制御部5を含む。本実施形態では、高周波電源2が、50[Ω]の負荷が接続された場合に最適な電力伝送効率で高周波電力を出力するように設計されているので、高周波電源2の出力ポートは、特性インピーダンスZ
oが50[Ω]の同軸ケーブル6によってインピーダンス整合装置3の入力ポートに接続されている。一方、プラズマ処理装置4はインピーダンス整合装置3の出力ポートに直結するように接続されている。
【0032】
プラズマ処理装置4は、例えば、フッ素系のガスと半導体ウェハや液晶基板等の被加工物をチャンバー内に封入し、そのチャンバー内に高周波電力を供給してプラズマを発生させ、そのプラズマを用いて被加工物に薄膜形成処理やエッチング処理を行う装置である。図示は省略しているが、プラズマ処理装置4は、ガスや被加工物を封入する密閉可能なチャンバーと、チャンバー内のガス圧を調整する減圧ポンプと、高周波電源2から供給される高周波電力を放電させる一対の電極を備える。
【0033】
プラズマ処理装置4は、高周波電源2から高周波電力が供給されると、その高周波電力を一対の電極間で放電させてチャンバーに封入されたガスをプラズマの状態にし、そのプラズマを用いてエッチング等の処理を行う。プラズマ処理装置4は、プラズマ処理を開始してから終了するまでの間にプラズマ処理装置4の入力端からプラズマ処理装置4側を見たインピーダンスZ
L=R
L+j・X
L(以下、「負荷インピーダンスZ
L」という。)が大きく変動する。プラズマ処理で高周波電源2から出力される高周波電力を最適な電力伝送効率でプラズマ処理装置4に供給するために、負荷インピーダンスZ
Lの変動に応じて当該負荷インピーダンスZ
Lを50[Ω]に対する所定のインピーダンス整合範囲に変換するインピーダンス整合装置3が設けられている。
【0034】
インピーダンス整合装置3は、図示を省略しているが、例えば、特開2007−295447号公報に示される構成を含む。すなわち、インピーダンス整合装置3は、第1の可変キャパシタとインダクタの直列回路と第2の可変キャパシタを逆L型に接続したインピーダンス整合回路と、インピーダンス整合装置3の入力ポートにおける高周波電圧(RF電圧)、高周波電流(RF電流)、FR電圧とRF電流の位相差を検出するRF検出器と、第1,第2の可変キャパシタの各容量値を制御してインピーダンス変換動作を行う制御部とを含む構成である。
【0035】
インピーダンス整合装置3は、制御部でRF検出器の検出値に基づいて入力ポートから負荷側を見たインピーダンスZ
1を算出し、その算出値が50[Ω]に対する所定のインピーダンス整合範囲(反射係数が所定の基準値以下となる範囲)となるように第1,第2の可変キャパシタの各容量値(若しくは各調整位置)を制御する。そして、インピーダンス整合装置3は、制御部が各可変キャパシタの容量値をインピーダンス整合範囲の容量値に変更することにより、高周波電源2とプラズマ処理装置4とのインピーダンス整合を行う。
【0036】
システム制御部5は、プラズマ処理システム1全体の動作を統括的に制御する制御部である。システム制御部5は、インピーダンス整合装置3内の制御部との間でプラズマ処理装置4の入力ポートにおける伝送特性のデータ(負荷インピーダンスZ
L等のデータ)を取得し、そのデータを用いて、プラズマ処理システム1の運転状態の監視や異常発生の検出やプラズマ処理の結果予測等を行う。システム制御部5は、例えば、異常発生を検出すると、図示省略の報知手段でメッセージ表示やアラーム音等による異常報知をしたり、高周波電源2に停止信号を出力して高周波電力の出力を停止させたりする。
【0037】
高周波電源2は、高周波信号を生成し、その高周波信号を、例えば、D級アンプからなるスイッチング・アンプで増幅して出力するスイッチング電源で構成される。高周波電源2は、
図2に示されるように、AC−DC変換部21、DC−DC変換部22、DC−RF変換部23、RF検出部24、駆動信号生成部25、高周波生成部26及びRF電力制御部27を含む構成である。
【0038】
AC−DC変換部21は、商用電源からDC−DC変換部22への入力電圧(直流電圧)V
ccを生成する。AC−DC変換部21は、例えば、4個の半導体整流素子をブリッジ接続した整流回路で商用電源から入力される商用電圧(例えば、AC200[V])を全波整流し、整流後のレベルを平滑回路で平滑化して直流電圧V
ccを生成する周知の電源回路で構成される。
【0039】
DC−DC変換部22は、AC−DC変換部21から入力される直流電圧V
ccを任意の電圧値の直流電圧V
dcに変換してDC−RF変換部23に入力する。DC−DC変換部22の後段には直流電圧検出部28Aと直流電流検出部28Bが設けられている。直流電圧検出部28Aと直流電流検出部28Bの両検出値V
dc,I
dcは、DC−DC変換部22から出力される直流電力P
dcを算出するためにRF電力制御部27に入力される。
【0040】
高周波電源2から負荷側を見たインピーダンスは、実用上DC−RF変換部23から負荷側を見たインピーダンスと見なすことができるので、DC−RF変換部23に接続されている負荷のインピーダンスを「Z」とし、DC−RF変換部23の動作状態によって決まる係数を「K」とすると、DC−DC変換部22の出力電圧V
dcとDC−RF変換部23の出力電力P
outとの間には、
P
out=K×(V
dc2/|Z|)…(1)
の関係がある。インピーダンスZがインピーダンス整合装置3により50[Ω]に対する所定のインピーダンス整合範囲内に制御された状態では、DC−RF変換部23の出力電力P
outは、(1)式よりDC−DC変換部22の出力電圧V
dcの二乗に比例する。
【0041】
(1)式より、DC−RF変換部23の出力電力P
outはDC−DC変換部22の出力電圧V
dcによって決まるので、RF電力制御部27は、DC−DC変換部22の出力電圧V
dcを変化させることによりDC−RF変換部23から出力される出力電力P
outを制御する。本実施形態では、RF電力制御部27は、進行波電力一定制御法と損失低減制御法によってDC−RF変換部23の出力電力P
outを制御する。
【0042】
進行波電力一定制御法による制御は、DC−RF変換部23から出力される出力電力P
outを予め設定された目標値P
setに一致させる制御である。目標値P
setは、作業者による入力操作や予め設定されたプログラムによってRF電力制御部27に設定される。高周波電源2の出力ポートには、高周波電源2からプラズマ処理装置4に向かう進行波電力P
fと、プラズマ処理装置4で反射されて高周波電源2に戻ってくる反射波電力P
rが存在する。DC−RF変換部23の出力電力P
outは、高周波電源2の出力ポートにおける進行波電力P
fに相当するので、以下では、混乱を避けるため、DC−RF変換部23の出力電力の符号を「P
f」と表記する。
【0043】
進行波電力P
fと反射波電力P
rには、基本波以外の周波数(以下、この周波数を「異周波」という。)の成分も含まれるが、本実施形態の進行波電力一定制御法による制御では、後述するように、基本波の進行波電力P
fF(添え字の「F」は、基本波のものであることを示す。以下、同じ。)を目標値P
setに一致させる制御が行われる。
【0044】
進行波電力P
fFは、RF検出部24のインピーダンスを50[Ω]とすると、RF検出部24で検出される進行波電圧v
fから基本波の進行波電圧v
fFを抽出し、その進行波電圧v
fFを用いてP
fF=v
fF2/50の演算により算出される。
【0045】
損失低減制御法による制御は、DC−RF変換部23における電力損失P
lossを予め設定した基準値P
k以下に抑制する制御である。基準値P
kも作業者による入力操作や予め設定されたプログラムによってRF電力制御部27に設定される。電力損失P
lossは、
P
loss=P
dc−(P
f−P
r)…(2)
又は、
P
loss=P
dc−P
f …(3)
を演算することにより算出される。
【0046】
直流電力P
dcは、直流電圧検出部28Aの検出値V
dcと直流電流検出部28Bの検出値I
dcの乗算をすることによって算出される。進行波電力P
fと反射波電力P
rは、RF検出部24で検出される進行波電圧v
fと反射波電圧v
rを用いて、P
f=v
f2/50、P
r=v
r2/50の演算により算出される。RF電力制御部27の進行波電力一定制御法と損失低減制御法による具体的な出力制御については、後述する。
【0047】
DC−DC変換部22は、例えば、4個の半導体スイッチ素子をブリッジ接続したフル・ブリッジ回路からなるインバータに整流・平滑回路を組み合わせた周知のDC−DCコンバータで構成される。DC−DC変換部22の出力電圧V
dcは、駆動信号生成部25から入力される駆動信号S
dで4個の半導体スイッチ素子のオン・オフ動作が制御されることによって制御される。
【0048】
DC−RF変換部23は、DC−DC変換部3から入力される直流電力P
dcを予め設定された周波数f
Fの高周波電力P
fFに変換して出力する。高周波電力P
fFの周波数f
Fは、2.0MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.0MHzなどのプラズマ処理用に規定された周波数である。
【0049】
DC−RF変換部23は、例えば、
図3に示すハーフ・ブリッジ型のスイッチング・アンプで構成される。同図に示すスイッチング・アンプは、一対の電源端子b,b’の間に2つの同一タイプの半導体スイッチ素子Q
Bの直列回路を接続したスイッチング回路と、そのスイッチング回路に駆動信号を入力するドライブ回路と、そのスイッチング回路から出力される高周波信号を外部に出力する出力回路とで構成される。
【0050】
ドライブ回路は、一次巻線に互いに逆方向に巻かれた2つの二次巻線を結合したトランスTで構成される。トランスTの一次巻線には、高周波生成部26から力される高周波信号vが入力され、トランスTの一方の二次巻線(
図3では上側の巻線)から高周波信号vと同相の高周波信号v’が出力され、トランスTの他方の二次巻線(
図3では下側の巻線)から高周波信号vと逆相の高周波信号−v’が出力される。
【0051】
出力回路は、キャパシタC
1とインダクタが直列接続された共振回路と、インダクタとキャパシタC
2がL型接続されたインピーダンス変換回路とを接続したフィルタ回路231で構成される。
図3のインダクタLは、共振回路のインダクタとインピーダンス変換回路のインダクタを合成したものである。フィルタ回路231は、スイッチング回路から出力される高周波信号から直流成分と不要な高周波成分(ノイズ成分)を除去する。フィルタ回路231から出力されるた高周波信号v
outが負荷に出力される。
【0052】
一対の半導体スイッチ素子Q
BにはNチャネル型のMOSFETが用いられるが、バイポーラトランジスタ等の他の種類のトランジスタを用いることができる。また、一対の半導体スイッチ素子Q
BをNチャネル型とPチャネル型を組み合わせたコンプリメンタリ型にしてもよい。この場合は、トランスTの二次巻線は一つでよく、高周波電圧v’をそれぞれNチャネル型のMOSFETとPチャネル型のMOSFETのゲートに入力すればよい。
【0053】
本実施形態では、DC−RF変換部23をハーフ・ブリッジ型のスイッチング・アンプで構成しているが、フル・ブリッジ型やプッシュ・プル型のスイッチング・アンプで構成してもよい。
【0054】
トランスTの一次巻線に入力される高周波信号v(電圧信号。以下、必要に応じて「高周波電圧」と表記する。)をv=A・sin(2πf
F・t)(f
F:基本周波数)とすると、DC−RF変換部23では、トランスTの一方の二次巻線から同相の高周波電圧v’=A’・sin(2πf
F・t)が出力され、トランスTの他方の二次巻線から逆相の高周波電圧−v’=−A’・sin(2πf
F・t)が出力される。同相の高周波電圧v’は、一方の半導体スイッチ素子Q
B(
図3では上側の半導体スイッチ素子Q
B)に入力され、逆相の他方の高周波電圧−v’は、他方の半導体スイッチ素子Q
B(
図3では下側の半導体スイッチ素子Q
B)に入力される。2つの半導体スイッチ素子Q
Bは、Nチャネル型MOSFETであるから、一方の半導体スイッチ素子Q
Bは、高周波電圧v’のハイレベル期間にオン動作をし、他方の半導体スイッチ素子Q
Bは、高周波電圧−v’のハイレベル期間にオン動作をする。すなわち、2つの半導体スイッチ素子Q
Bは、高周波電圧v’の半周期毎に交互にオン・オフ動作を繰り返す。
【0055】
2つの半導体スイッチ素子Q
Bが交互にオン・オフ動作を繰り返すことによって接続点aの電圧v
aはv’>0の期間に「V
dc」となり、v’≦0の期間に接地レベルとなるように矩形波状に変化し、その矩形波がフィルタ回路231で直流分とスイッチングノイズが除去されて出力端子c,c’から高周波電圧v
out=V・sin(2πf
F・t+φ)が出力される。この高周波電圧v
outは正弦波の高周波電圧vを増幅した電圧である。
【0056】
RF検出部24は、例えば、特性インピーダンスが50[Ω]で、使用可能な周波数帯域に周波数f
Fを含む双方向性結合器で構成される。例えば、周波数f
Fが13.56[MHz]の場合、RF検出部24の周波数帯域は、13.56[MHz]を中心周波数f
oとした所定の周波数帯域f
o±Δf[MHz]に設計されている。RF検出部24では、高周波電源2の出力ポートにおける高周波電圧が進行波電圧v
fと反射波電圧v
rに分離されて出力され、RF電力制御部27に入力される。RF検出部24で検出された進行波電圧v
fと反射波電圧v
rは、RF電力制御部27で高周波電源2の出力ポートにおける進行波電力P
f、反射波電力P
rの算出に用いられる。
【0057】
駆動信号生成部25は、駆動信号S
dとして、例えば、三角波比較法によりパルス幅変調(PWM)信号を生成する。駆動信号生成部25は、例えば、ダイレクト・ディジタル・シンセサイザー(Direct Digital Synthesizer)で構成されるキャリア信号発生回路と、コンパレータ等のレベル比較器で構成されるPWM信号生成回路を備える。駆動信号生成部25は、例えば、キャリア信号発生回路で発生した鋸波のキャリア信号C
cとRF電力制御部27から入力される制御指令値C
oのレベルをレベル比較器で比較してC
c≦C
oの期間をパルス幅とする第1のパルス幅変調信号を生成し、その第1のパルス幅変調信号をDC−DC変換部22に出力する。また、駆動信号生成部25は、第1のパルス幅変調信号のレベルを反転し、所定のデッドタイムで各パルスのパルス幅を調整した第2のパルス幅変調信号を生成し、その第2のパルス幅変調信号をDC−DC変換部22に出力する。
【0058】
DC−DC変換部22内のフル・ブリッジ回路の第1のアームのハイサイドとローサイドに位置する2つの半導体スイッチ素子を第1の半導体スイッチ素子と第2の半導体スイッチ素子とし、第2のアームのハイサイドとローサイドに位置する2つの半導体スイッチ素子を第3の半導体スイッチ素子と第4の半導体スイッチ素子とすると、第1のパルス幅変調信号は、第1の半導体スイッチ素子と第4の半導体スイッチ素子に対する駆動信号S
dであり、第2のパルス幅変調信号は、第2の半導体スイッチ素子と第3の半導体スイッチ素子に対する駆動信号S
dである。
【0059】
DC−DC変換部22では、第1,第4の半導体スイッチ素子のオン・オフ動作と第2,第3の半導体スイッチ素子のオン・オフ動作が交互に繰り返され、フル・ブリッジ回路から矩形波の交流電圧が出力される。そして、その交流電圧を整流・平滑回路で全波整流し、レベルの平滑化を行ってDC−DC変換部22から直流電圧V
dcが出力される。
【0060】
高周波生成部26は、例えば、ダイレクト・ディジタル・シンセサイザーで構成される。高周波生成部26は、RF電力制御部27から入力される高周波情報(周波数f
F、振幅A、初期位相φ等の情報)に基づいて、DC−RF変換部23内の半導体スイッチ素子Q
Bの駆動を制御する高周波電圧v=A・sin(2πf
F・t+φ)を生成し、DC−RF変換部23に出力する。
【0061】
RF電力制御部27は、高周波電源2の出力電力P
fFを制御するとともに、高周波電源2の出力ポートから逆入力される反射波電力P
rによるDC−RF変換部23内の半導体スイッチ素子Q
Bの損傷を防止する制御(以下、「反射保護制御」という。)をする。RF電力制御部27は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータで構成される。RF電力制御部27は、FPGA(field-programmable gate array)等の演算デバイスで構成してもよい。
【0062】
RF電力制御部27は、処理機能としてDC-DC変換部22の出力電圧V
dcを制御する直流制御部271と、DC−RF変換部23から出力される高周波電圧v
outを制御する高周波制御部272と、RF検出部24で検出される進行波電圧v
f及び反射波電圧v
rの基本波f
Fの成分v
fF,v
rFを検出する基本波検出部273と、RF検出部24で検出された進行波電圧v
f及び反射波電圧v
rの基本波f
F以外の周波数f
n(以下、この周波数を「異周波f
n」という。)の成分v
fn,v
rn(添え字のnは、N個の異周波f
nが抽出されるとした場合に各異周波f
nを識別するために付された番号n(=1,2,…,N)に対応することを示す。以下、他の符号についても同様。)を検出する異周波検出部274を含む。
【0063】
なお、高周波電圧v
outは、進行波電圧v
fFに相当する。また、進行波電圧v
f及び反射波電圧v
rの異周波f
nの成分v
fn,v
rnは、基本波f
F以外の周波数成分である。異周波成分には、一次高調波や二次高調波等の高調波成分が含まれるが、プラズマ処理システム1に周波数の異なる2つの高周波電力が入力される場合は2つの周波数f
1,f
2の差の周波数(f
1−f
2)や和の周波数(f
1+f
2)等の周波数成分も含まれる。
【0064】
直流制御部271は、フィードバック制御により駆動信号生成部25に入力する制御指令値C
oを制御してDC-DC変換部22から出力される直流電圧V
dcを制御する機能ブロックである。この制御では、上述した進行波電力一定制御法、損失低減制御法及び反射保護制御により制御指令値C
oが制御される。直流制御部271には、DC−DC変換部22から出力される直流電力P
dcを演算する直流電力演算部271a、DC−RF変換部23から出力される基本波f
Fの進行波電力P
fFと基本波f
Fの反射波電力P
rFを演算する基本波電力演算部271b、DC−RF変換部23から出力される異周波f
nの進行波電力P
fnと異周波f
nの反射波電力P
rnを演算する異周波電力演算部271c及び制御指令値生成部271dが含まれる。
【0065】
直流電力演算部271aは、直流電圧検出部28Aと直流電流検出部28Bから入力される検出値V
dc,I
dcを乗じて直流電力P
dc(=V
dc×I
dc)を算出する。基本波電力演算部271bは、基本波検出部273から出力される基本波f
Fの進行波電圧v
fF及び基本波f
Fの反射波電圧v
rFとRF検出部24の特性インピーダンスZ
o(50[Ω])とから基本波f
Fの進行波電力P
fF(=v
fF2/50)と基本波f
Fの反射波電力P
rF(=v
rF2/50)を演算する。
【0066】
異周波電力演算部271cは、異周波検出部274から出力される各異周波f
nの進行波電圧v
fn及び反射波電圧v
rnとRF検出部24の特性インピーダンスZ
o(50[Ω])とから各異周波f
nの進行波電力P
fn(=v
fn2/50)と各異周波f
nの反射波電力P
rn(=v
rn2/50)を演算する。
【0067】
制御指令値生成部271dは、予め設定された目標値P
setに対する基本波電力演算部271bで算出された基本波f
Fの進行波電力P
fFの差分ΔP
fF(=P
set−P
fF)を算出し、その差分P
fFに所定のPI補償処理を行って制御指令値C
oを生成する。この制御指令値C
oは、差分ΔP
fFを零にする駆動信号S
dを生成するための制御指令値である。すなわち、制御指令値C
oは、フィードバック制御によりDC−RF変換部23から出力される基本波f
Fの進行波電力P
fFを目標値P
setに維持するためにRF電力制御部27からDC−RF変換部23に入力される制御指令値である(進行波電力一定制御法によるRF出力制御)。
【0068】
制御指令値生成部271dは、直流電力演算部271aで算出された直流電力P
dcと、基本波電力演算部271bで算出された基本波f
Fの進行波電力P
fF及び反射波電力P
rFと、異周波電力演算部271cで算出された各異周波f
nの進行波電力P
fn及び反射波電力P
rnの基本波成分P
fF,P
rFとを用いて、DC−RF変換部23における電力損失P
lossを算出する。制御指令値生成部271dは、基本波f
Fの進行波電力P
fFと各異周波f
nの進行波電力P
fnを加算して進行波電力P
f(=P
fF+ΣP
fn(n=1,2,…,N))を算出するとともに、基本波f
Fの反射波電力P
rFと各異周波f
nの反射波電力P
rnを加算して反射波電力P
r(=P
rF+ΣP
rn(n=1,2,…,N))を算出し、両電力P
f,P
rを用いて(2)式又は(3)式を演算することにより電力損失P
lossを算出する。
【0069】
制御指令値生成部271dは、算出した電力損失P
lossを予め設定された基準値P
kと比較し、P
loss≦P
kであれば、制御指令値生成部271dで生成した制御指令値C
oを駆動信号生成部25に出力する。一方、P
k<P
lossであれば、制御指令値生成部271dは、閾値P
thに対する電力損失P
lossの差分ΔP
loss(=P
k−P
loss)を算出し、その差分ΔP
lossで基本波f
Fの進行波電力P
fFを補正した後、所定のPI補償処理を行って制御指令値C
o’を生成し、その制御指令値C
o’を駆動信号生成部25に出力する。この制御指令値C
o’は、電力損失P
lossを閾値P
k以下にする駆動信号S
dを生成するための制御指令値である(損失低減制御法によるRF出力制御)。
【0070】
更に、制御指令値生成部271dは、算出した進行波電力P
fと反射波電力P
rを加算し、その電力値P(=P
f+P
r=P
fF+P
rF+ΣP
fn+ΣP
rn)を予め設定された基準値P
hと比較し、P≦P
hであれば、制御指令値生成部271dで生成した制御指令値C
oを駆動信号生成部25に出力する。一方、P
h<Pであれば、制御指令値生成部271dは、基準値P
hに対する電力値Pの差分ΔP(=P
h−P)を算出し、その差分ΔPで基本波f
Fの進行波電力P
fFを補正した後、所定のPI補償処理を行って制御指令値C
o”を生成し、その制御指令値C
o”を駆動信号生成部25に出力する。この制御指令値C
o”は、電力値Pを基準値P
h以下にする駆動信号S
dを生成するための制御指令値である(反射保護制御によるRF出力制御)。
【0071】
高周波制御部272は、高周波生成部26に入力する高周波情報を制御してDC−RF変換部23から出力される進行波電圧v
fFの波形を制御する機能ブロックである。高周波制御部272は、高周波生成部26で生成させる高周波電圧vの振幅A、周波数f
F、初期位相φのパラメータ情報を高周波生成部26に入力する。
【0072】
基本波検出部273は、RF検出部24で検出される進行波電圧v
f及び反射波電圧v
rから基本波f
Fの進行波電圧v
fFと反射波電圧v
rFを抽出する機能ブロックである。基本波検出部273は、基本波f
Fを中心周波数とする2つのディジタル・バンドパス・フィルタ273a,273b(以下、「BPF273a」、「BPF273b」と表記する。)を備える。BPF273a,BPF273bは、例えば、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタやアクティブ・フィルタ(適応型フィルタ)で構成される。基本波検出部273は、RF検出部24で検出された進行波電圧v
fに対してBPF273aでフィルタリング演算処理を行うことにより基本波f
Fの進行波電圧v
fFを抽出し、RF検出部24で検出された反射波電圧v
rに対してBPF273bでフィルタリング演算処理を行うことにより基本波f
Fの反射波電圧v
rFを抽出する。
【0073】
異周波検出部274は、RF検出部24で検出される進行波電圧v
f及び反射波電圧v
rから異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを抽出する機能ブロックである。異周波検出部274は、異周波f
n毎に、異周波f
n(n=1,2,…N)を中心周波数とする進行波用のBPF274aと、異周波f
nを中心周波数とする反射波用のBPF274bと、BPF274a及びBPF274bで検出された進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnをそれぞれ補正する異周波補正部274cと、異周波補正部274cで用いる補正データを記憶する補正データ記憶部274dを含む。
【0074】
BPF274a
,BPF274b内にはそれぞれN個の異周波f
nに対応してN個のディジタル・バンドパス・フィルタが含まれるが、
図2では図示を省略している。異周波補正部274cと補正データ記憶部274dは、本実施形態に係る高周波電源2の特徴的な構成である。
【0075】
RF検出部24に用いる双方向性結合器は、基本波f
Fを含む一定の周波数範囲については所定の検出精度を保証するように設計されているが、その周波数範囲は狭帯域(基本波f
Fの数%程度)であるので、異周波f
nの進行波電圧v
fnや反射波電圧v
rnに対しては基本波f
Fの進行波電圧v
fFや反射波電圧v
rFと同様の検出精度は保証されていない。異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnについても基本波f
Fと同様の検出精度を保証しようとすると、異周波f
n毎に双方向性結合器を設ける必要があり、検出対象とする異周波
fnの数Nが多くなると、全ての異周波の進行波電圧v
fn及び反射波電圧v
rn(n=1,2,…,N)に対して双方向性結合器を設けることは構成的にもコスト的に無理がある。
【0076】
そこで、本実施形態では、RF検出部24に用いる双方向性結合器の2つの入出力ポートと2つの検出ポートとの間の異周波f
n毎の伝送特性(Sパラメータ)を予め測定しておき、2つの検出ポートから出力される進行波電圧v
fと反射波電圧v
rから異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを検出し、以下に説明するように、その検出値v
fn,v
rnと伝送特性(Sパラメータ)を用いて入出力ポートにおける異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを求めることにより検出精度を保証するようにしている。
【0077】
RF検出部24に用いる双方向性結合器において、
図4に示すように、入力ポートP
1から出力ポートP
2に向かう高周波を「進行波」と称し、出力ポートP
2から入力ポートP
1に向かう高周波を「反射波」と称し、入力ポートP
1側の伝送線路を伝送する高周波を進行波a
1と反射波b
1とし、出力ポートP
2側の伝送線路を伝送する高周波を進行波b
2と反射波a
2とする。また、第1の検出ポートP
3から出力される高周波を進行波b
3、第2の検出ポートP
4から出力される高周波を反射波b
4とする。
【0078】
入力ポートP1と第1,第2の検出ポートP3,P4との間の伝送特性を示すSパラメータの成分をS
31,S
32,S
41,S
42とすると、進行波a
1及び反射波b
2と進行波b
3及び反射波b
4との間には、
b
3=S
31・a
1+S
32・a
2 …(4)
b
4=S
41・a
1+S
42・a
2 …(5)
の関係がある。
【0079】
(4)式及び(5)式を進行波b
3及び反射波b
4から進行波a
1と反射波a
2を求める式に変形すると、
a
1=S
13・b
3+S
14・b
4 …(6)
a
2=S
23・b
3+S
24・b
4 …(7)
但し、S
13=S
42/Δ …(8a)
S
23=−S
41/Δ …(8b)
S
14=−S
32/Δ …(8c)
S
24=S
31/Δ …(8d)
Δ=S
31・S
42+S
32・S
41 …(8e)
となる。
【0080】
(6)式及び(7)式は、異周波f
n毎のSパラメータ(S
31,S
32,S
41,S
42)若しくは(S
13,S
23,S
14,S
24)が既知であれば、進行波b
3から異周波f
nの成分b
3(f
n)((f
n)は、異周波f
nの成分であることを示す。以下、同じ。)と反射波b
4から異周波f
nの成分b
4(f
n)を検出し、両検出値b
3(f
n),b
4(f
n)と異周波f
nのSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))若しくは(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))を用いて(6)式及び(7)式を演算すれば、入力ポートP
1側の伝送線路を伝送する異周波f
nの進行波a
1(f
n)(推定値)と出力ポートP
2側の伝送線路を伝送する異周波f
nの反射波a
2(f
n)(推定値)を求めることができることを示している。
【0081】
異周波f
nの周波数領域では、双方向性結合器のアイソレーション特性が不十分であるから、異周波f
nの進行波b
3(f
n)には進行波a
1(f
n)に対して無視できない割合で反射波a
2(f
n)が含まれ、異周波f
nの反射波b
4(f
n)には反射波a
2(f
n)に対して無視できない割合で進行波a
1(f
n)が含まれている。このため、異周波f
nの進行波b
3(f
n)と反射波b
4(f
n)の検出精度は不十分である。
【0082】
一方、異周波f
nの進行波a
1(f
n)は双方向性結合器の入力ポートP
1側の伝送線路を伝送する異周波f
nの進行波の推定値であり、異周波f
nの反射波a
2(f
n)は双方向性結合器の出力ポートP
2側の伝送線路を伝送する異周波f
nの反射波の推定値であるから、いずれも双方向性結合器のアイソレーション特性の影響を受けておらず、進行波b
3(f
n)及び反射波b
4(f
n)よりも高い精度を有している。本実施形態では、第1の検出ポートP
3から出力される進行波b
3(f
n)の検出値と第2の検出ポートP
4から出力される反射波b
4(f
n)の検出値を、周波数f
nのSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))若しくは(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))を用いて、入力ポートP
1の進行波a
1(f
n)と出力ポートP
2の反射波a
2(f
n)に補正することにより、異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnの検出精度を信頼性のあるレベルにしている。
【0083】
上述したように、本実施形態では、RF検出部24に用いる双方向性結合器の異周波f
n毎のSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))若しくは(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))が必要であるので、ネットワーク・アナライザーを用いて、抽出しようとする全ての異周波f
nについて、双方向性結合器のSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))若しくは(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))を測定し、各測定値を異周波f
nに対応つけて補正データ記憶部274dに記憶している。
【0084】
Sパラメータの成分S
31は、ネットワーク・アナライザーの第1のポートP
Aと第2のポートP
Bをそれぞれ双方向性結合器の入力ポートP
1と第1の検出ポートP
3に接続し、第1のポートP
Aから出力された異周波f
nの基準高周波信号を入力ポートP
1から双方向性結合器に入力し、第1の検出ポートP
3から出力される高周波信号を第2のポートP
Bに入力する構成で測定される。異周波f
nの基準高周波信号を「a
1(f
n)」、第1の検出ポートP
3から出力される高周波信号を「b
3(f
n)」とすると、ネットワーク・アナライザーでb
3(f
n)/a
1(f
n)の演算を行うことにより成分S
31(f
n)が測定される。
【0085】
Sパラメータの成分S
41は、ネットワーク・アナライザーの第1のポートP
Aと第2のポートP
Bをそれぞれ双方向性結合器の入力ポートP
1と第2の検出ポートP
4に接続し、第1のポートP
Aから出力された異周波f
nの基準高周波信号を入力ポートP
1から双方向性結合器に入力し、第2の検出ポートP
4から出力される高周波信号を第2のポートP
Bに入力する構成で測定される。異周波f
nの基準高周波信号を「a
1(f
n)」、第2の検出ポートP
4から出力される高周波信号を「b
4(f
n)」とすると、ネットワーク・アナライザーでb
4(f
n)/a
1(f
n)の演算を行うことにより成分S
41(f
n)が測定される。
【0086】
Sパラメータの成分S
32は、ネットワーク・アナライザーの第1のポートP
Aと第2のポートP
Bをそれぞれ双方向性結合器の出力ポートP
2と第1の検出ポートP
3に接続し、第1のポートP
Aから出力された異周波f
nの基準高周波信号を出力ポートP
2から双方向性結合器に入力し、第1の検出ポートP
3から出力される高周波信号を第2のポートP
Bに入力する構成で測定される。異周波f
nの基準高周波信号を「a
2(f
n)」、第2の検出ポートP
3から出力される高周波信号を「b
3(f
n)」とすると、ネットワーク・アナライザーでb
3(f
n)/a
2(f
n)の演算を行うことにより成分S
32(f
n)が測定される。
【0087】
Sパラメータの成分S
42は、ネットワーク・アナライザーの第1のポートP
Aと第2のポートP
Bをそれぞれ双方向性結合器の出力ポートP
2と第2の検出ポートP
4に接続し、第1のポートP
Aから出力された異周波f
nの基準高周波信号を出力ポートP
2から双方向性結合器に入力し、第2の検出ポートP
4から出力される高周波信号を第2のポートP
Bに入力する構成で測定される。異周波f
nの基準高周波信号を「a
2(f
n)」、第2の検出ポートP
4から出力される高周波信号を「b
4(f
n)」とすると、ネットワーク・アナライザーでb
4(f
n)/a
2(f
n)の演算を行うことにより成分S
42(f
n)が測定される。
【0088】
ネットワーク・アナライザーで測定された異周波f
n毎のSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))は、RF電力制御部27に出力され、補正データ記憶部274dに異周波f
nに対応つけて記憶される。なお、RF電力制御部27で(8a)式〜(8e)式の演算を行ってSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))の測定値をSパラメータ(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))に変換した後、異周波f
nに対応付けて補正データ記憶部274dに記憶するようにしてもよい。
【0089】
図5は、補正データ記憶部274dにおける補正データ(Sパラメータのデータ)の記憶内容を示すイメージ図である。
【0090】
補正データ記憶部274dは、N個の記憶領域に分けられ、各記憶領域に異周波f
nとSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))の測定値が記憶されている。異周波f
nとSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))の測定値は、識別番号順に並べて各記憶領域にアドレス順に順番に記憶されている。
図5では、Sパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))の測定値を記憶しているが、Sパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))をSパラメータ(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))に変換した値を記憶してもよい。
【0091】
補正データ記憶部274dにSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))の測定値が直接記憶されている場合は、異周波補正部274cは、先ず、進行波電圧v
fn及び反射波電圧v
rnの異周波f
nに対応するSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))を補正データ記憶部274dから読み出し、(8a)式〜(8e)式を演算してそのSパラメータ(S
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n))をSパラメータ(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))に変換する。その後、異周波補正部274cは、BPF274aから出力される進行波電圧v
fnと、BPF274bから出力される反射波電圧v
rnと、Sパラメータ(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))とを用いて(6)式及び(7)式を演算することにより入力ポートP
1側の伝送線路を伝送する異周波f
nの進行波電圧v
fn’(推定値)(上記のa
1(f
n)に相当)と出力ポートP
2側の伝送線路を伝送する異周波f
nの反射波電圧v
rn’(推定値)(上記のa
2(f
n)に相当)を算出する。
【0092】
一方、補正データ記憶部274dに変換後のSパラメータ(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))が記憶されている場合は、異周波補正部274cは、進行波電圧v
fn及び反射波電圧v
rnの異周波f
nに対応するSパラメータ(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))を補正データ記憶部274dから読み出し、そのSパラメータ(S
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n))と、BPF274aから出力される進行波電圧v
fnと、BPF274bから出力される反射波電圧v
rnとを用いて(6)式及び(7)式を演算することにより入力ポートP
1側の伝送線路を伝送する異周波f
nの進行波電圧v
fn’(推定値)と出力ポートP
2側の伝送線路を伝送する異周波f
nの反射波電圧v
rn’(推定値)を算出する。
【0093】
次に、
図6のフローチャートを用いて、RF電力制御部27における出力電力の制御手順について説明する。
【0094】
RF電力制御部27は、高周波電源2が高周波電力の出力を開始すると、その出力を停止するまで所定の周期で
図6の制御手順を繰り返す。
【0095】
RF電力制御部27は、制御処理を開始すると、まず、高周波電力の出力目標値P
setを設定する(S1)。続いて、RF電力制御部27は、直流電圧検出部28Aから出力される直流電圧V
dcと直流電流検出部28Bから出力される直流電流I
dcを読み込むとともに、RF検出部24から出力される進行波電圧v
fと反射波電圧v
rを読み込む(S2)。RF電力制御部27は、読み込んだ直流電圧V
dcと直流電流I
dcの乗算を行ってDC-DC変換部22からDC−RF変換部23に供給される直流電力P
dcを算出する(S3)。
【0096】
続いて、RF電力制御部27は、読み込んだ進行波電圧v
fと反射波電圧v
rに対して基本波f
Fを中心周波数とするバンドパス・フィルタのフィルタリング処理を行って、基本波f
Fの進行波電圧v
fFと反射波電圧v
rFを抽出し(S4)、その進行波電圧v
fFと反射波電圧v
rFを用いて所定の演算処理により基本波f
Fの進行波電力P
fFと反射波電力P
rFを算出する(S5)。また、RF電力制御部27は、基本波f
Fの進行波電力P
fF及び反射波電力P
rFの算出処理と並行して異周波f
n毎に進行波電力P
fn及び反射波電力P
rnの算出処理を行う(S6〜S10)。
【0097】
すなわち、RF電力制御部27は、読み込んだ進行波電圧v
fと反射波電圧v
rに対して異周波f
nを中心周波数とするバンドパス・フィルタのフィルタリング処理を行って、各異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを抽出する(S6)。続いて、RF電力制御部27は、補正データ記憶部274dから各異周波f
nのSパラメータS
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n)を読み出し(S7)、上記した(8a)式〜(8e)式の演算を行ってSパラメータS
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n)に変換する(S8)。続いて、RF電力制御部27は、抽出した各異周波f
nの進行波電圧v
fn及び反射波電圧v
rnとSパラメータS
13(f
n),S
23(f
n),S
14(f
n),S
24(f
n)用いて、上記した(6)式及び(7)式の演算を行ってRF検出部24の入力ポートP
1における各異周波f
nの進行波電圧v
fn’とRF検出部24の出力ポートP
2における異周波f
nの反射波電圧v
rn’を算出する(S9)。そして、RF電力制御部27は、算出した各異周波f
nの進行波電圧v
fn’と反射波電圧v
rn’を用いて所定の演算処理により各異周波f
nの進行波電力P
fnと反射波電力P
rnを算出する(S10)。
【0098】
基本波f
Fの進行波電力P
fF及び反射波電力P
rFと各異周波f
nの進行波電力P
fn及び反射波電力P
rnを算出すると、RF電力制御部27は、基本波f
Fの進行波電力P
fFと全ての異周波f
nの進行波電力P
fnを加算して進行波電力P
fを算出するとともに、基本波f
Fの反射波電力P
rFと全ての異周波f
nの反射波電力P
rnを加算して反射波電力P
rを算出する(S11)。また、RF電力制御部27は、算出した進行波電力P
fと反射波電力P
rを加算してRF検出部24の入力ポートP
1を伝送する高周波電力P=P
f+P
rを算出する(S11)。
【0099】
続いて、RF電力制御部27は、算出した直流電力P
dc、進行波電力P
f及び反射波電力P
rを用いて、上記の(2)式を演算することによりDC−RF変換部23における電力損失P
lossを算出する(S12)。なお、ステップS12では、(2)式の電力損失P
lossに代えて(3)式の電力損失P
lossを算出するようにしてもよい。
【0100】
続いて、RF電力制御部27は、算出した電力損失P
lossを予め設定された基準値P
kと比較するとともに(S13)、算出した高周波電力Pを予め設定された基準値P
hと比較する(S14)。RF電力制御部27は、P
k<P
lossであれば(S13:NO)、上述した損失低減制御によりDC−RF変換部23から出力される高周波電力の電力値を制御して(S15)、ステップS1に戻り、P
loss≦P
k及びP≦P
hであれば(S13:YES,S14:YES)、上述した進行波電力一定制御によりDC−RF変換部23から出力される高周波電力の電力値を制御して(S16)、ステップS1に戻り、P
loss≦P
k及びP
h<Pであれば(S13:YES,S14:NO)、上述した反射保護制御によりDC−RF変換部23から出力される高周波電力の電力値を制御して(S17)、ステップS1に戻る。
【0101】
図6の制御手順では、検出対象とするN個の異周波f
nの全てに対してSパラメータS
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n)を予め測定し、補正データ記憶部274dに記憶しておく場合について説明したが、N個の異周波f
nについて取得したSパラメータの成分毎の周波数特性に近似曲線が得られるようであれば、成分毎に近似曲線を設定し、N個の異周波f
nの一部についてSパラメータS
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n)の測定値を補正データ記憶部274dの記憶しておき、残りの異周波f
nのSパラメータの各成分は、測定済みのSパラメータを用いて近似曲線による補間演算により算出するようにしてもよい。この場合は、補正データ記憶部274dの記憶容量を低減することができる利点がある。
【0102】
例えば、Sパラメータが異周波f
mについては未測定で、当該異周波f
mに隣接する異周波f
m-1,f
m+1について測定済みの場合、ステップS7で、Sパラメータの成分毎に異周波f
m-1,f
m+1の測定値を読み出し、成分毎の近似曲線と両測定値を用いて補間演算により異周波f
mのSパラメータの成分を算出する処理をすればよい。
【0103】
上記のように、本実施形態に係る高周波電源2によれば、RF検出部24で検出される進行波電圧v
fと反射波電圧v
rから予め設定された異周波f
nのバンドパス・フィルタのフィルタリング処理により異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを抽出した後、異周波f
n毎に予め取得したRF検出部24のSパラメータS
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n)を用いてRF検出部24の入力ポートP
1における進行波電圧v
fn’と出力ポートP
2における反射波電圧v
rn’に変換するようにしているので、RF検出部24の構成の複雑化や大型化を招くことなく、異周波f
nの進行波電圧v
fn’と反射波電圧v
rn’の検出精度を高めることができる。
【0104】
また、異周波f
nの進行波電圧v
fn’と反射波電圧v
rn’を用いて損失低減制御と反射保護制御による出力制御をするので、その出力制御を高精度で行うことができる。
【0105】
ところで、上記の実施形態では、Sパラメータを測定した全ての異周波f
n(n=1,2,…N)について、進行波電力P
fnと反射波電力P
rnを算出するようにしているが(
図6のステップS10,S11の処理参照)、プラズマ処理の内容によっては、N個の異周波f
nのうち、一部の異周波f
nは、ステップS11の進行波電力P
f(=P
fF+ΣP
fn)と反射波電力P
r(=P
rF+ΣP
rn)の算出値に影響を与えない場合がある。
【0106】
また、プラズマ処理装置4では、プラズマ処理中に負荷インピーダンスZ
Lが時々刻々と変化するので、その負荷インピーダンスZ
Lの変化に応じて各異周波f
nの進行波電力P
fnと反射波電力P
rnも変動し、N個の異周波f
nのうち、一部の異周波f
nがステップS11の進行波電力P
f(=P
fF+ΣP
fn)と反射波電力P
r(=P
rF+ΣP
rn)の算出値に影響を与えなくなる場合もある。
【0107】
このような場合は、ステップS11の進行波電力P
fと反射波電力P
rの算出値に影響を与えない異周波f
nについても、ステップS6〜S10の処理を行うことはRF電力制御部27の処理負担と処理時間を必要以上に大きくすることになるので、ステップS11の進行波電力P
fと反射波電力P
rの算出値に影響を与える異周波f
nについてだけステップS6〜S10の処理をすることが好ましい。
【0108】
図7は、
図6のフローチャートに対して、ステップS11の進行波電力P
fと反射波電力P
rの算出値に影響を与える異周波f
nについてだけステップS6〜S10の処理をするように処理手順を変形したフローチャートの一例である。
【0109】
図7のフローチャートは、
図6のフローチャートにおいて、ステップS1の前(すなわち、出力電力の制御を開始する前)に
図8に示すステップS20の処理を追加したものである。ステップS20の処理は、ステップS11の進行波電力P
fと反射波電力P
rの算出値に影響を与える異周波f
nを異周波検出部274で抽出すべき異周波f
nとして設定する処理である。
【0110】
図7のフローチャートは、上述した
図6の処理手順に対してステップS20とステップS6’の処理内容が異なるだけであるので、以下では、その相違する部分についてだけ説明する。
【0111】
図7の処理手順では、出力電力の制御を開始すると、まず、ステップS20に移行し、
図8に示す処理手順に従って異周波検出部274で抽出すべき異周波f
nの設定が行われる。
【0112】
ステップS20に移行すると、RF電力制御部27は、作業者による入力操作や予め設定されたプログラムによって入力される異周波抽出用の電力閾値P
thを設定する(S20−1)。続いて、RF電力制御部27は、Sパラメータが測定されている異周波f
nの数Nをカウントするカウンタnに「1」をセットし(S20−2)、n番目の異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを抽出する(S20−3)。
【0113】
RF電力制御部27は、RF検出部24から出力される進行波電圧v
fと反射波電圧v
rを読み込み、その進行波電圧v
fと反射波電圧v
rに対して異周波f
nを中心周波数とするバンドパス・フィルタのフィルタリング処理を行って、異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを抽出する。
【0114】
続いて、RF電力制御部27は、抽出した異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnに対してステップS6〜S10の処理と同様の処理を行って異周波f
nの進行波電力P
fnと反射波電力P
rnを算出する。すなわち、RF電力制御部27は、抽出した異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを当該異周波f
nのSパラメータS
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n)を用いてRF検出部24の入力ポートP
1における異周波f
nの進行波電圧v
fn’とRF検出部24の出力ポートP
2における異周波f
nの反射波電圧v
rn’に変換した後、その進行波電圧v
fn’と反射波電圧v
rn’を用いて所定の演算処理により異周波f
nの進行波電力P
fnと反射波電力P
rnを算出する。
【0115】
そして、RF電力制御部27は、進行波電力P
fnと反射波電力P
rnを加算して異周波f
nの電力P
nを算出する(S20−4)。
【0116】
続いて、RF電力制御部27は、算出した電力P
nを閾値P
thと比較し(S20−5)、P
th<P
nであれば(S20−5:YES)、n番目の異周波f
nをRAMに保存して(S20−6)、ステップS20-7に移行する。一方、P
n≦P
thであれば(S20−5:NO)、RF電力制御部27は、ステップS20−6をスキップしてステップS20-7に移行する。
【0117】
ステップS20−7に移行すると、RF電力制御部27は、カウンタnの値が「N」に達しているか否かを判別し(S20−7)、n<Nであれば(S20−7:NO)、カウンタnを「1」だけ増加して(S20−8)、ステップS20−3に戻り、n=Nになっていれば(S20−7:YES)、異周波f
nの設定処理を終了し、
図7のステップS1に移行する。すなわち、
図6を用いて説明した出力電力の制御処理に移行する。
【0118】
図7のフローチャートでは、ステップS20でN個の異周波f
nのうち、異周波検出部274で抽出すべき異周波f
nが設定されるので、ステップS6’では、ステップS20で設定された異周波f
nに対してだけ進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnが抽出される。従って、ステップS7〜S10でもステップS20で設定された異周波f
nに対してだけ進行波電力P
fnと反射波電力P
rnが算出される。
【0119】
従って、
図7の処理手順によれば、Sパラメータを測定したN個の異周波f
nの全てに対して進行波電力P
fnと反射波電力P
rnの算出処理をしないので、
図6の処理手順よりもRF電力制御部27の処理負担と処理時間を低減することができる。
【0120】
なお、
図7のフローチャートでは、ステップS15〜S17で出力電力の制御方式を決定した後、ステップS1に戻るようにしているが、
図7の点線で示すようにステップS20に戻るようにしてもよい。ステップS1に戻るようにした場合、異周波検出部274で抽出すべき異周波f
nは、出力電力の制御の開始時に設定され、その設定値は出力電力の制御が終了するまで保持されるが、ステップS20に戻るようにすると、周期的に異周波f
nの電力P
nをモニタしてその都度抽出すべき異周波f
nが設定されるようになる。
【0121】
上述したように、プラズマ処理中は負荷インピーダンスZ
Lに応じて異周波f
nの電力P
nも変動するから、異周波f
nの電力P
nの変動に応じて抽出すべき異周波f
nを適宜設定する方が好ましい。
図7の点線で示すステップS20に戻る処理にすれば、常に最適な抽出すべき異周波f
nが設定されるので、異周波f
nの電力P
nの変動に応じて抽出すべき異周波f
nが変化する場合にも十分に対応することができる。
【0122】
なお、
図7で、通常は実線で示すようにステップS15〜S17からステップS1に戻り、所定の時間が経過したときに点線で示すようにステップS15〜S17からステップS20に戻るようにしてもよい。このようにした場合は、異周波f
nの変更の周期を長くすることができるので、異周波f
nが頻繁に変更されて処理が複雑になるのを抑制することができる。
【0123】
また、
図6、
図7の処理手順では、抽出すべき異周波f
nの設定処理のタイミングが予めプログラムで決定されているが、作業者が異周波f
nの電力P
nの変動状態をモニタして抽出すべき異周波f
nの設定を行うようにしてもよい。
【0124】
図9は、
図7のフローチャートに対して、作業者が異周波f
nの電力P
nの変動状態をモニタして抽出すべき異周波f
nの設定を行う処理を含む処理手順に変更したフローチャである。具体的には、
図7のステップS20の処理内容を作業者が異周波f
nの電力P
nの変動状態をモニタして抽出すべき異周波f
nの設定を行う処理手順に変更したものである。
【0125】
図9の処理手順に対応する高周波電源2には、
図10に示すように、異周波f
nの電力P
nのレベルを表示する表示部29と、作業者がその表示部に異周波f
nの電力P
nのレベルを表示させ、その表示に基づいて抽出すべき異周波f
nを設定する操作をするための操作部30が設けられている。
【0126】
図10の構成では、異周波電力演算部271cで演算される異周波f
nの電力P
nが表示部29に表示され、作業者はその表示部29に表示された各異周波f
nの電力P
nを見て抽出すべき異周波f
nを判断し、その判断結果を、操作部30を操作してRF電力制御部27に入力する。異周波補正部274cには、作業者によって入力された異周波f
nの情報に基づき、補正処理をすべき異周波f
nが設定される。
【0127】
図9の処理手順では、RF電力制御部27は、出力電力の制御を開始すると、まず、作業者によって当該作業者が異周波f
nを設定するための異周波設定モードに移行する操作が行われた否かが判定され(S20−1’)、操作が行われていなければ(S20−1’:NO)、直ちに
図7のステップS1に移行する。この場合は、抽出すべき異周波f
nがN個の異周波f
nの全てに設定されているので、ステップS1からステップS6’に移行すると、N個の異周波f
nの全てに対して進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnが抽出されることになる。
【0128】
一方、操作が行われていれば(S20−1’:YES)、RF電力制御部27は、カウンタnに「1」をセットし(S20−2’)、n番目の異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを抽出する(S20−3’)。RF電力制御部27は、RF検出部24から出力される進行波電圧v
fと反射波電圧v
rを読み込み、その進行波電圧v
fと反射波電圧v
rに対して異周波f
nを中心周波数とするバンドパス・フィルタのフィルタリング処理を行って、異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを抽出する。
【0129】
続いて、RF電力制御部27は、抽出した異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnに対してステップS6〜S10の処理と同様の処理を行って異周波f
nの進行波電力P
fnと反射波電力P
rnを算出する。すなわち、RF電力制御部27は、抽出した異周波f
nの進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnを当該異周波f
nのSパラメータS
31(f
n),S
32(f
n),S
41(f
n),S
42(f
n)を用いてRF検出部24の入力ポートP
1における異周波f
nの進行波電圧v
fn’とRF検出部24の出力ポートP
2における異周波f
nの反射波電圧v
rn’に変換した後、その進行波電圧v
fn’と反射波電圧v
rn’を用いて所定の演算処理により異周波f
nの進行波電力P
fnと反射波電力P
rnを算出する。
【0130】
そして、RF電力制御部27は、進行波電力P
fnと反射波電力P
rnを加算して異周波f
nの電力P
nを算出する(S20−4’)。
【0131】
続いて、RF電力制御部27は、カウンタnの値が「N」に達しているか否かを判別し(S20−5’)、n<Nであれば(S20−5’:NO)、カウンタnを「1」だけ増加して(S20−6’)、ステップS20−3’に戻り、n=Nになっていれば(S20−5’:YES)、表示部に算出したN個の異周波f
nの電力P
nを表示する(S20−7’)。これにより、作業者はN個の異周波f
nの電力P
nのレベルの分布をモニタすることができる。
【0132】
続いて、RF電力制御部27は、作業者により抽出すべき異周波f
nの設定操作がなされたか否かを判定し(S20−8’)、異周波f
nの設定をしない操作がなされると(S20−8’:NO)、現在の異周波f
nの設定値を変更することなくステップS1に移行する。一方、異周波f
nの設定操作がなされると(S20−8’:YES)、RAMに書き込まれている現在の異周波f
nの設定値を作業者によって設定された異周波f
nに変更して(S20−9’)、ステップS1に移行する。
【0133】
ステップS20−9’で異周波f
nが変更された場合は、抽出すべき異周波f
nが作業者によってN個の異周波f
nのうちの一部に設定されているので、ステップS1からステップS6’に移行すると、設定された一部の異周波f
nに対してだけ進行波電圧v
fnと反射波電圧v
rnが抽出されることになる。
【0134】
図9の処理手順では、作業者により異周波設定モードに移行する操作が行われると、ステップS20-1'〜S20-9'で異周波f
nの電力P
nを表示部に表示し、その表示に基づいて作業者が所望の異周波f
nを抽出すべき異周波f
nに設定することができるので、この場合もRF電力制御部27の処理負担と処理時間を低減することができる。
【0135】
また、RF電力制御部27は、ステップS15〜S17で出力電力の制御方式を決定すると、ステップS20−1’に戻って作業者が異周波設定モードに移行する操作をするか否かの監視をするので、作業者はプラズマ処理中に所望のタイミングで抽出すべき異周波f
nの内容を変更することができる。そして、
図9の処理手順では、作業者が異周波f
nのレベルをモニタして抽出すべき異周波f
nを設定するので、異周波f
nの設定内容の信頼性を向上することができる。