(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側デッキ板には、前記可動デッキ板または前記延長デッキ板を開閉させるアクチュエータが一体に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエレベータ式駐車場設備の乗降デッキ装置。
【背景技術】
【0002】
この種のエレベータ式駐車場設備において、特許文献1の
図4Gに示されるように、乗入室3におけるパレット20とエレベータ搬器13との間の段差を解消して車両への乗降を容易にし、且つ車椅子利用者でも乗降できるように、パレット20の両側となる位置に内側エレベータデッキ32と外側エレベータデッキ33とを設置し、外側エレベータデッキ33の高さを昇降機構50(
図4E、
図4F参照)によって可変させるようにしたものがある。
【0003】
昇降機構50はアクチュエータ51によって駆動されるリンク部材52を用いたシザース機構であり、この昇降機構50により、外側エレベータデッキ33は、エレベータ搬器13に搭載された横送りアーム43の旋回軌跡の高さよりも低い位置から上下動可能となっている。横送りアーム43は、エレベータ搬器13と図示しない格納棚との間でパレット20の受け渡しを行う機構である。
【0004】
このように、外側エレベータデッキ33の高さを昇降機構50により可変できるようにしてあるため、乗入室3において車両に乗降する際には外側エレベータデッキ33の高さを内側エレベータデッキ32と同じにし、デッキ面積を広くして乗降性を向上させることができる。
【0005】
一方、エレベータ搬器13の昇降時は、外側エレベータデッキ33の高さを内側エレベータデッキ32よりも下げ、両デッキ32,33の間から横送りアーム43を突出させて、
図4Gに示される角度に対して90度旋回した位置にあるパレット20を格納棚に出し入れしたり、昇降中におけるパレット20の動きを規制したりしている。
【0006】
また、特許文献2の
図5〜
図7に開示されているように、乗入室3において車両に乗降する際に、乗入室3の反入出庫口側に設けられた移動デッキ80をパレット20の両側までスライドさせることにより、車両に近接した広いデッキを形成し、乗降性を向上させるとともに、車椅子利用者の乗降をも可能にしたものもある。
【0007】
さらに、車椅子利用者に対応するために、
図20に示すように、ピットP内に床板昇降装置100を設けたものもある。この床板昇降装置100は、4本の支柱101にクロスビーム102とスライダ103を設け、クロスビーム102上に設置した回動アーム104を回動させることによってスライダ103を昇降させ、スライダ103に設けた乗降デッキ板105を上下させるものである。
【0008】
車椅子利用者だけでなく、健常者についても、このようなエレベータ式駐車場設備を安全に利用するためには、上記のように乗入室において車両の両側に設けられる乗降デッキの面積を大きくすることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1,2および
図20に示すいずれの方式の場合も、その構造が複雑であるために建造コストが高くならざるを得ないことと、既に建設された既存のエレベータ式駐車場設備においては、その乗降デッキを広く改修することが困難であるという問題があった。
【0011】
特に、
図20に示す、ピットP内に床板昇降装置100を設ける方式では、床板昇降装置100を作動させるにあたり、図示しないエレベータ搬器に搭載されているパレット移送機構の横送りアームをエレベータ搬器よりも外側に一旦退避させて床昇降装置と干渉しないようにする必要がある。横送りアームを退避させるためには、通常よりもピットPの幅Wを広げる必要があり、新設の場合はよいが、既存のエレベータ式駐車場設備においては改修が困難である。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、入出庫時のパレット角度と格納時のパレット角度とが異なるために入出庫時にパレット両側の乗降スペースに段差が発生するエレベータ式駐車場設備において、簡素で安価な構成により、パレット両側に段差の無い広い乗降デッキを形成して乗降性を向上させるとともに、既存のエレベータ式駐車場設備を容易に改修することができるエレベータ式駐車場設備の乗降デッキ装置、これを備えたエレベータ式駐車場設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
即ち、本発明の第一態様に係るエレベータ式駐車場設備の乗降デッキ装置は、垂直な昇降通路と、前記昇降通路に沿って多段状に設けられた格納棚と、前記昇降通路内を昇降し、車両が積載されるパレットを前記格納棚に格納、または前記格納棚から搬出するエレベータ搬器と、前記エレベータ搬器に搭載されて前記パレットを前記格納棚に対して受け渡しする横送りアーム式のパレット移送機構と、前記パレットに前記車両の積み降ろしを行う乗入室と、前記パレットの高さが前記乗入室の床面の高さに近似するように前記エレベータ搬器を所定の高さまで沈下させるピットと、前記ピットに設けられて前記パレットを前記車両が前記乗入室に入出庫する時の角度と前記格納棚に格納する時の角度との間で旋回させるパレット旋回機構と、前記エレベータ搬器に搭載されて共に昇降し、前記エレベータ搬器が前記ピット内に沈下した時に前記ピットの開口縁部に受承されて前記エレベータ搬器から浮上し、前記パレットと前記エレベータ搬器との間に発生する段差を無くす乗降デッキ板と、を備え、前記乗降デッキ板は、前記ピットの開口縁部に受承される前段階では前記横送りアームの先端部を突出させるアーム開口部を間に有する少なくとも二段の階段状であるとともに、前記アーム開口部を開閉する可動デッキ板を備え、前記乗降デッキ板は、前記ピットの開口縁部に受承されると同時に前記乗入室の床面の高さに合わせて平坦化し、この平坦化した後で前記可動デッキ板により前記アーム開口部が閉塞されることを特徴とする。
【0014】
上記構成の乗降デッキ装置によれば、エレベータ搬器に搭載された乗降デッキ板は、ピットの開口縁部に受承される前段階、即ちエレベータ搬器がピット以外の位置に居る時には、アーム開口部を間に有する少なくとも二段の階段状であり、アーム開口部から、エレベータ搬器に搭載されているパレット移送機構の横送りアームが突出する。この横送りアームにより、エレベータ搬器に搭載されているパレットが格納棚に対して受け渡しされるとともに、エレベータ搬器の昇降動作中にはパレットの動きが規制される。
【0015】
そして、エレベータ搬器が乗入室に到着し、ピット内に沈下すると、エレベータ搬器に搭載された乗降デッキ板がピットの開口縁部に受承(掛止)され、それまで階段状であった乗降デッキ板はエレベータ搬器から浮上して平坦化する。この時点ではアーム開口部が開いている。その後、パレットの旋回が行われ、可動デッキ板によりアーム開口部が閉塞される。これにより、パレットとエレベータ搬器との間の段差が無くなり、パレットの両側に、段差や開口部の無い広い乗降デッキが形成される。
【0016】
このように、エレベータ搬器に高さが変化する乗降デッキ板を搭載し、この乗降デッキ板にアーム開口部を設け、エレベータ搬器が乗入室(ピット内)にある時にはアーム開口部を可動デッキ板で閉塞するようにしたので、簡素で安価な構成により、パレットの両側に段差の無い広い乗降デッキを形成して乗降性を向上させることができる。また、既存のエレベータ式駐車場設備についても、エレベータ搬器に乗降デッキ板を追加設置するのみで容易に改修することができる。
【0017】
上記構成の乗降デッキ装置においては、前記乗降デッキ板を、前記パレットの向きが前記乗入室への入出庫方向に沿う時に該パレットの両側に隣接して位置する内側デッキ板と、この内側デッキ板よりも外側に位置する外側デッキ板とを備えて構成し、前記内側デッキ板と前記外側デッキ板との間に前記アーム開口部を設け、前記可動デッキ板を前記外側デッキ板側に設けるのが好ましい。
【0018】
上記構成とすることにより、既設のエレベータ式駐車場設備にこの乗降デッキ装置を追加装着する改修工事を行う場合には、多くの既設のエレベータ式駐車場設備において既にパレットの両側に設けられている幅の狭い乗降デッキ板を内側デッキ板としてそのまま流用し、この乗降デッキ板の外側に、新たに外側デッキ板および可動デッキ板を設置するだけでよいため、改修工事を非常に容易にすることができる。
【0019】
上記構成の乗降デッキ装置においては、前記乗降デッキ板を、前記パレットの向きが前記乗入室への入出庫方向に沿う時に該パレットの両側に隣接して位置する内側デッキ板と、前記内側デッキ板よりも外側に位置する外側デッキ板と、を備えて構成し、前記外側デッキ板の、前記アーム開口部を閉塞する前記可動デッキ板が設けられている縁部とは反対側の縁部に、該縁部から前記ピットの先端部にかけて存在する段差状開口部を閉塞する開閉可能な延長デッキ板をさらに設けてもよい。
【0020】
上記構成とすることにより、アーム開口部が可動デッキ板によって閉塞されることに加えて、段差状開口部が延長デッキ板によって閉塞される。このため、乗降デッキ板をピットの先端部まで連続する広くて平坦なものにし、乗降性を一層向上させることができる。
【0021】
さらに、前記外側デッキ板には、前記可動デッキ板または前記延長デッキ板を開閉させるアクチュエータを一体に設けるのが好ましい。これにより、外側デッキ板とアクチュエータとがユニット化されるので、エレベータ搬器への設置、ひいては既存のエレベータ式駐車場設備の改修工事を容易にすることができる。
【0022】
また、本発明の第二態様に係るエレベータ式駐車場設備は、上記の乗降デッキ装置を備えたことを特徴とする。これにより、簡素で安価な構成により、パレット両側に段差の無い広い乗降デッキを形成して乗降性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明に係るエレベータ式駐車場設備の乗降デッキ装置、これを備えたエレベータ式駐車場設備によれば、入出庫時のパレット角度と格納時のパレット角度とが異なるエレベータ式駐車場設備において、簡素で安価な構成により、段差の無い広い乗降デッキを形成するとともに、既存のエレベータ式駐車場設備への改修を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る乗降デッキ装置を適用可能なタワー型のエレベータ式駐車場設備の一例を示す透視斜視図である。このエレベータ式駐車場設備1は、鉄骨躯体2(
図2参照)の外面に外装板3が設けられた駐車塔4を有し、この駐車塔4の地上階が乗入室5となっている。
図2は乗入室5の平面図である。乗入室5の正面には、図示しない入出庫扉により開閉される入出庫口6が開設され、この入出庫口6の外部近傍に操作盤7が設けられている。
【0027】
図3にも示すように、乗入室5の床面5aには下方に凹むピット8が形成され、このピット8内にパレット旋回機構9が設置されている。
図2に示すように、入出庫口6から見てピット8よりも奥側の壁面には駐車位置誘導用の鏡11が設けられるとともに、制御装置12が設置されている。また、ピット8の四隅には4本の支持柱13が立設され、これら4本の支持柱13に囲まれて駐車塔4内に垂直な昇降通路14が形成され、この昇降通路14内にエレベータ搬器15が上下に昇降可能に設けられている(
図1、
図2参照)。
【0028】
エレベータ搬器15は、駐車塔4の上部に設けられたウインチ17から滑車18,19を経て下方に配索された4本のワイヤロープ20により四隅を吊持され、ウインチ17が起動することにより、昇降通路14内を上下に昇降する。なお、4本のワイヤロープ20の他端はバランスウェイト21に連結されており、エレベータ搬器15を上昇させる時の動力軽減が図られている。
【0029】
一方、昇降通路14を挟むようにして両側に複数の格納棚24が多段状に設けられており、これらの格納棚24には駐車車両が積載されるパレット25が1枚ずつ格納されている。このエレベータ式駐車場設備1は、入出庫口6から乗入室5内への車両乗り入れ方向に対し、各格納棚24の長手方向が90°異なる、所謂90°下部乗入方式と呼ばれるタイプである。これは、平面視でパレット25を3枚横並びに収容可能な長方形とされる乗入室5の形状と、一般に間口よりも奥行が長くされる土地形状との関係に起因している。なお、乗入室5への車両乗り入れ方向と格納棚24の相対角度は90°に限定されることはなく、90°以下、あるいは90°以上であっても、後述する本発明の乗降デッキ装置を適用することができる。以下の説明では90°の場合について述べる。
【0030】
図2〜
図4に示すように、エレベータ搬器15は、パレット25の平面形状とほぼ同じ大きさの長方形をなしており、その長手方向の中央部には、ピット8内に設置されたパレット旋回機構9が通過できる大きさの四角いパレット旋回穴15aが形成されている(
図4参照)。また、エレベータ搬器15の前部と後部には、公知の横送りアーム式のパレット移送機構27が搭載されている。さらに、
図2〜
図11に示すように、エレベータ搬器15の両端部には、パレット25を水平方向にスライド可能に搭載させるローラレール28が設けられ、パレット25の両端部下面にはローラレール28の上に載る図示しないレールが固定されている。
【0031】
格納棚24からパレット25を取り出して乗入室5に搬送する時は、エレベータ搬器15が昇降通路14を上昇して所定の格納棚24の高さで停止し、前後のパレット移送機構27の横送りアーム27aを外回りに回動させてその先端に設けられたローラ27b(
図2〜
図4参照)を、格納棚24に格納されたパレット25の縁部(図示しない係合レール)に係合させ、そのまま前後の横送りアーム27aを外回りに回動させる。これにより、パレット25が格納棚24から引き出されてエレベータ搬器15の両端部に設けられたローラレール28の上を転動し、エレベータ搬器15上に渡される。また、エレベータ搬器15に載置されたパレット25を格納棚24に格納する時も同様に、前後の横送りアーム27aを回動させてパレット25をエレベータ搬器15から格納棚24に渡す。
【0032】
乗入室5では、エレベータ搬器15に搭載されたパレット25に車両Vの積み降ろしが行われる。パレット25を搭載したエレベータ搬器15がピット8内の所定の高さまで沈下することにより、パレット25の高さが乗入室5の床面5aの高さに近似する。前述のように、乗入室5内への車両乗り入れ方向に対して格納棚24の長手方向が90°異なるため、乗入室5内に乗り入れてエレベータ搬器15上のパレット25上に乗り上げた車両Vは、パレット25ごとパレット旋回機構9によって少し持ち上げられ、その向きを90°を変えられてから再びエレベータ搬器15に載置され、エレベータ搬器15によって格納棚24に搬送される。
【0033】
図3に示すように、ピット8は、車両乗り入れ方向に対して90°向きが異なっており、その深さは一般に1.5メートル前後に設定されている。また、平面視でピット8と交わる方向、即ち車両乗り入れ方向に沿う方向に延びる浅いパレット凹部8aが形成されている。このパレット凹部8aの深さは10センチ程度であり、パレット旋回機構9によって車両乗り入れ方向に沿う向きに旋回されたパレット25がここに載置される。
【0034】
平面視では、パレット旋回機構9が、十字状に交わるピット8とパレット凹部8aとの交点に設置されており、このパレット旋回機構9とエレベータ搬器15のパレット旋回穴15aとが合致している。
図3〜
図5に示すように、パレット25を搭載したエレベータ搬器15がピット8に下降すると、パレット旋回機構9はエレベータ搬器15のパレット旋回穴15a(
図4参照)を潜ってパレット25の底面に接触し、パレット25をエレベータ搬器15から数センチ程度持ち上げて
図6に示すように90°旋回させた後、
図7に示すようにパレット25をパレット凹部8aに降ろす。
【0035】
また、
図2〜
図4および
図11、
図12に示すように、ピット8の開口縁部には、平面視でパレット凹部8aと重ならない範囲に複数のアングル材30が固定されている。これらのアングル材30には後述する乗降デッキ板33(内側デッキ板34と外側デッキ板35)が掛止される。
【0036】
次に、本発明に係る乗降デッキ装置32について説明する。
この乗降デッキ装置32は、
図2、
図4、および
図6〜
図9に示すように、エレベータ搬器15に乗降デッキ板33が搭載されたものである。乗降デッキ板33はエレベータ搬器15と共に昇降し、エレベータ搬器15がピット8内に沈下した時に、ピット8の開口縁部に設けられたアングル材30の上に掛止されることによってピット8の開口縁部に受承され、この乗降デッキ板33の上面が乗入室5の床面5aと同一の高さになる(
図7参照)。このため、パレット25と、ピット8内に沈下しているエレベータ搬器15との間に発生する20センチ位の段差が解消され、広くて平坦な乗降デッキDが形成される。なお、
図4は、
図3に示すパレット25を省略し、エレベータ搬器15に対する乗降デッキ板33の搭載位置関係を明確にした図である。
【0037】
図2および
図6〜
図9に示すように、乗降デッキ板33は、パレット25が車両乗り入れ方向に沿う角度にある時に、パレット25の両側に隣接して位置する内側デッキ板34と、この内側デッキ板34よりも外側に位置する外側デッキ板35とを備えて構成されている。
図6に示すように、内側デッキ板34と外側デッキ板35との間に、幅20〜30センチ程度のアーム開口部36が設けられ、このアーム開口部36を閉塞可能な可動デッキ板37が複数のヒンジ38を介して外側デッキ板35に枢着されている。即ち、可動デッキ板37は外側デッキ板35側に設けられている。
【0038】
図11(A)〜(E)および
図12(A)〜(C)に示すように、内側デッキ板34と外側デッキ板35のそれぞれの下面には、鉛直下方に延びる4本またはそれ以上のガイドロッド41,42が突設されている。一方、エレベータ搬器15には、各ガイドロッド41,42の位置に対応して鉛直上方に延びる2種類の高さのガイドチューブ43,44が設けられており、各ガイドロッド41,42が各ガイドチューブ43,44に摺動自在に挿入されることにより、内側デッキ板34と外側デッキ板35とがエレベータ搬器15に対して上下に昇降可能に保持されている。
【0039】
図11(A)に示すように、内側デッキ板34を支持するガイドチューブ43は、外側デッキ板35を支持するガイドチューブ44よりも背が高い。エレベータ搬器15がピット8よりも上方にある時、即ち内側デッキ板34と外側デッキ板35とがアングル材30の上に掛止(受承)される前の段階では、内側デッキ板34はエレベータ搬器15に搭載されているパレット移送機構27の横送りアーム27aの直ぐ上方を覆う高さに保たれている。
【0040】
一方、外側デッキ板35は、横送りアーム27aよりも低い位置に保たれている。このため、内側デッキ板34と外側デッキ板35とが二段の階段状となっており、その間にあるアーム開口部36から横送りアーム27aの先端部(ローラ27b)が突出している。この時点では可動デッキ板37は開放位置37aにあって外側デッキ板35の上面に重なっている。
【0041】
この状態からエレベータ搬器15が下降してピット8内に沈下すると、
図11(B)および
図12(B)に示すように、内側デッキ板34と外側デッキ板35とがピット8の開口縁部(アングル材30)に受承され、これと同時に内側デッキ板34と外側デッキ板35とが同一の高さとなる。このため、二段の階段状であった乗降デッキ板33は平坦化し、相対的に横送りアーム27a全体が内側デッキ板34と外側デッキ板35よりも下方に位置する。
【0042】
この状態からエレベータ搬器15はさらに下降し、
図11(C)および
図12(C)に示す位置に停止する。このように、内側デッキ板34と外側デッキ板35とがピット8の開口縁部に受承されてからも、エレベータ搬器15がさらに下降するため、各ガイドロッド41,42が各ガイドチューブ43,44から上方にスライドして行くが、各ガイドロッド41,42は各ガイドチューブ43,44から抜けてしまうことのない長さに設定されているため、各デッキ板34,35が横方向に移動することはない。
【0043】
次に、
図11(D)に示すように、パレット旋回機構9によりパレット25の旋回が行われる。上記のようにエレベータ搬器15を十分にピット8内に沈下させておくことにより、パレット25の旋回時にエレベータ搬器15のパレット旋回穴15aを潜って上方に立ち上がるパレット旋回機構9がエレベータ搬器15に干渉することを防止できる。次に、
図11(E)に示すように、可動デッキ板37が後述するアクチュエータに駆動されて閉塞位置37bに回動し、アーム開口部36が閉塞されて乗降デッキ板33が完全にフラットになる。
【0044】
図13、
図14に示すように、外側デッキ板35には、可動デッキ板37を開閉させるアクチュエータ48が一体に設けられている。このアクチュエータ48は、例えばサーボモータ49と減速機50とが一体化されたものであり、図示しないブラケットによって外側デッキ板35の下面に固定されている。サーボモータ49の軸方向は可動デッキ板37のヒンジ38の軸方向に対して直交しており、減速機50の両側からヒンジ38の軸方向に沿う回転軸51が突出していて、サーボモータ49の回転が減速機50内部のベベルギア等により回転軸51に伝達されるようになっている。
【0045】
回転軸51の両端にはクランクアーム52が回転一体に設けられ、このクランクアーム52と、可動デッキ板37の下面に固定された回動ブラケット53との間がクランクリンク54で連結されて四節リンク機構が構成されている。なお、可動デッキ板37には、回動ブラケット53に隣接するスリット55が設けられており、可動デッキ板37が開放位置37aに回動した時には、このスリット55をクランクリンク54が通る。本構成において、サーボモータ49の回転は減速機50により減速されて回転軸51に伝達され、クランクアーム52、クランクリンク54、回動ブラケット53を経て可動デッキ板37に伝達され、可動デッキ板37を開放位置37aと閉塞位置37bとの間で開閉させる。
【0046】
なお、アクチュエータ48の代わりに、例えば
図15に示すように、サーボモータ57と往復シリンダ58とを一体化したアクチュエータ59を用いてもよい。このアクチュエータ59は本体回動ブラケット60によって外側デッキ板35の下面に設置されており、可動デッキ板37のヒンジ38の軸方向に沿う回動軸61回りに回動自在である。往復シリンダ58は、サーボモータ57の回転を伸縮ロッド62の伸縮運動に変換するものである。
【0047】
外側デッキ板35の下面に固定された固定側回動ブラケット63に直線状の第1リンク64の一端が枢着され、この第1リンク64の他端と、可動デッキ板37の下面に固定された可動側回動ブラケット65との間が直線状の第2リンク66によって連結されている。そして、第2リンク66の中間部に伸縮ロッド62の先端が回動軸67を介して枢着されている。本構成において、サーボモータ57が回転すると、その回転方向に応じて往復シリンダ58の伸縮ロッド62が伸縮する。伸縮ロッド62が伸びると第2リンク66の中間部が押されて可動デッキ板37が閉塞位置37bにスライドし、伸縮ロッド62が縮むと第2リンク66の中間部が引かれて可動デッキ板37が開放位置37aにスライドする。なお、閉塞位置37bでは、可動デッキ板37の前後両端が外側デッキ板35の端部と内側デッキ板34の端部の上に重なるようになっている。
【0048】
以上のように構成された乗降デッキ装置32を備えたエレベータ式駐車場設備1において、車両Vが入出庫する時の流れを、
図16に示す動作フロー図を参照しながら順に説明する。
【0049】
ユーザーが車両Vを入庫、または出庫させる時は、入出庫口6の近傍に設けられた操作盤7(
図1、
図2参照)で認証操作等を行った後に起動ボタン(非図示)を押す。これにより、入庫時には空のパレット25、出庫時には出庫車両Vが積載されたパレット25が乗入室5に呼び出される。
【0050】
まず、エレベータ搬器15が所定の格納棚24の高さまで上昇し、エレベータ搬器15に搭載されたパレット移送機構27とローラレール28とにより、格納棚24からエレベータ搬器15上にパレット25が移送される(ステップS1)。次に、エレベータ搬器15が昇降通路14を下降し(ステップS2)、エレベータ搬器15がピット8に沈下し始める頃に乗降デッキ板33(内側デッキ板34、外側デッキ板35)がピット8の開口縁部に固定されたアングル材30の上に掛止されて開口縁部に着床(受承)され、乗降デッキ板33(34,35)の段差が無くなってフラットになる(ステップS3)。その直後にパレット25がパレット旋回機構9に着床する(ステップS4)。その後、エレベータ搬器15はさらに下降してピット8内に停止する(ステップS5)。
【0051】
次に、パレット旋回機構9が上昇してパレット25を持ち上げ、パレット25を格納棚24に沿う向きから乗入室5内への車両乗り入れ方向に沿う向きに90°旋回させた後(ステップS6)、下降してパレット25をパレット凹部8aに載置する(ステップS7)。次に、アクチュエータ48または59によって乗降デッキ装置32の可動デッキ板37が開放位置37aから閉塞位置37bに回動され、アーム開口部36が閉塞される(ステップS8)。この可動デッキ板37を動かす動作は、パレット25の旋回完了と同時に発信される動作信号がアクチュエータ48または59に入力されることによって実行される。可動デッキ板37が閉塞位置37bに閉じることにより、パレット25の両側に段差や開口部の無い広い乗降デッキDが形成される(
図7参照)。
【0052】
次に、入出庫口6が開かれる(ステップS9)。ユーザーは、入庫時においては車両Vを運転して乗入室5内に乗り入れ、パレット25上に停車させてから退出し、出庫時においては乗入室5内に入室してパレット25上に積載されている車両Vに乗り込み、車両Vを乗入室5の外に移動させる(ステップS10)。そして、乗入室5内の安全(無人)を確認してから操作盤7を操作して入出庫口6を閉じる(ステップS11)。
【0053】
入出庫口6が閉じると、アクチュエータ48または59によって可動デッキ板37が閉塞位置37bから開放位置37aに回動され、アーム開口部36が開放される(ステップS12)。そして、パレット旋回機構9が上昇してパレット25を持ち上げ(ステップS13)、パレット25を乗入室5内への車両乗り入れ方向に沿う向きから格納棚24に沿う向きに90°旋回させた後に下降してエレベータ搬器15の上に載置する(ステップS14)。
【0054】
この後、エレベータ搬器15の上昇が開始され(ステップS15)、エレベータ搬器15がピット8から出る際に乗降デッキ板33(内側デッキ板34、外側デッキ板35)とパレット25とがエレベータ搬器15によってすくい上げられる(ステップS16)。これにより、内側デッキ板34と外側デッキ板35との相対高さが変わり、乗降デッキ板33の形状がアーム開口部36を間に有する二段の階段状に変化する。
【0055】
その後、エレベータ搬器15は所定の格納棚24の高さまで上昇して停止し(ステップS17)、エレベータ搬器15に搭載されたパレット移送機構27とローラレール28とにより、パレット25がエレベータ搬器15上から格納棚24に移送される(ステップS18)。こうして、入出庫の動作が完了する。
【0056】
以上のように、この乗降デッキ装置32は、エレベータ搬器15に乗降デッキ板33が搭載されており、この乗降デッキ板33は、エレベータ搬器15と共に昇降し、エレベータ搬器15がピット8内に沈下した時にピット8の開口縁部(アングル材30)に受承されてエレベータ搬器15から浮上し、パレット25とエレベータ搬器15との間に発生する段差を無くすようになっている。
【0057】
そして、乗降デッキ板33は、ピット8の開口縁部(アングル材30)に受承される前段階では横送りアーム27aの先端部(ローラ27b)を突出させるアーム開口部36を間に有する二段の階段状であるとともに、このアーム開口部36を開閉する可動デッキ板37を備えており、ピット8の開口縁部に受承されると同時に平坦化し、この平坦化した後で可動デッキ板37によりアーム開口部36を閉塞するようになっている。
【0058】
このように、乗降デッキ板33は、ピット8の開口縁部に受承される前段階、即ちエレベータ搬器15がピット8の外に居る時には、アーム開口部36を間に有する二段の階段状であり、そのアーム開口部36から、エレベータ搬器15に搭載されたパレット移送機構27の横送りアーム27aが突出するため、横送りアーム27aは乗降デッキ板33に阻害されることなくパレット25の受け渡し動作を行うことができる。
【0059】
そして、エレベータ搬器15が乗入室5に到着し、ピット8内に沈下すると、乗降デッキ板33がピット8の開口縁部に受承(掛止)され、それまで二段の階段状であった乗降デッキ板33はエレベータ搬器15から浮上して平坦化する。そして、パレット25の旋回が行われた後に可動デッキ板37によってアーム開口部36が閉じられる。このため、パレット25とエレベータ搬器15との間の段差が無くなり、パレット25の両側に、段差や開口部の無い広い乗降デッキDが形成される。これにより、パレット25に積載された車両Vへの乗降を容易且つ安全なものにすることができる。
【0060】
しかも、この乗降デッキ装置32は、エレベータ搬器15に上下可動式の乗降デッキ板33を搭載するという極めて簡素且つ安価で軽量な構成であるため、既存のエレベータ式駐車場設備についても、そのエレベータ搬器15に乗降デッキ板33を追加設置するのみで容易に改修を行うことができる。
【0061】
また、この乗降デッキ装置32の乗降デッキ板33は、乗入室5内においてパレット25が入出庫方向に沿う向きにある時にパレット25の両側に隣接して位置する内側デッキ板34と、この内側デッキ板34よりも外側に位置する外側デッキ板35とを備えて構成されており、内側デッキ板34と外側デッキ板35との間にアーム開口部36が設けられ、このアーム開口部36を開閉する可動デッキ板37が外側デッキ板35側に設けられている。
【0062】
本構成とすることにより、既設のエレベータ式駐車場設備にこの乗降デッキ装置32を追加装着する改修工事を行う場合には、多くの既設のエレベータ式駐車場設備において既にパレットの両側に設けられている幅の狭い乗降デッキ板を内側デッキ板34としてそのまま流用し、この乗降デッキ板の外側に、新たに外側デッキ板35および可動デッキ板37を設置するだけでよい。したがって、改修工事を安価且つ容易に行うことができる。
【0063】
さらに、この乗降デッキ装置32は、可動デッキ板37を開閉させるアクチュエータ48(59)が外側デッキ板35に一体に設けられているため、外側デッキ板35とアクチュエータ48(59)とをユニット化し、エレベータ搬器15への設置を容易にし、ひいては既存のエレベータ式駐車場設備の改修工事を容易にすることができる。
【0064】
また、このような乗降デッキ装置32を備えたエレベータ式駐車場設備1によれば、簡素で安価な構成により、パレット25の両側に段差の無い広い乗降デッキDを形成し、乗入室5内における車両Vへの乗降性を格段に向上させることができる。
【0065】
[第2実施形態]
図17は、本発明の第2実施形態を示す斜視図である。この
図17における乗入室5の内部状況は、第1実施形態における
図7の状況に相当する。即ち、乗入室5の内部において、パレット25が乗入室5への車両乗り入れ方向に沿う角度に置かれ、
図7の乗降デッキ板33に相当する乗降デッキ板33Aがフラットになった状態を示している。
【0066】
この第2実施形態における乗降デッキ装置70は、第1実施形態の乗降デッキ装置32における乗降デッキ板33と同様な構成の乗降デッキ板33Aを備えている。乗降デッキ板33Aは、第1実施形態と同様な構成および作用を奏する内側デッキ板34と外側デッキ板35と可動デッキ板37とを備えている。第1実施形態における乗降デッキ板33との違いは、外側デッキ板35に延長デッキ板71が追加されている点であり、その他の構成は同一であるため、各部に同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
延長デッキ板71は、外側デッキ板35の、可動デッキ板37Aが枢着されている縁部とは反対側(反パレット25側)の縁部に複数のヒンジ38を介して枢着されている。この延長デッキ板71は、可動デッキ板37よりも幅広で、自身が枢着されている外側デッキ板35の縁部からピット8の先端部にかけて存在する段差状開口部72を閉じるものであり、
図18に示すように、外側デッキ板35の上面に重なった開放位置71aと、段差状開口部72を閉塞する閉塞位置71bとの間を回動することができる。可動デッキ板37と延長デッキ板71は後述するアクチュエータ74に駆動されて同期して開閉するが、個別に開閉させるようにしてもよい。
【0068】
このような乗降デッキ装置70とすることにより、アーム開口部36が可動デッキ板37によって閉塞されると同時に、段差状開口部72が延長デッキ板71によって閉塞される。このため、乗降デッキ板33Aをピット8の先端部まで連続する、開口部や凹部が皆無な広くて平坦なものにし、パレット25上の車両への乗降性を一層向上させることができる。
【0069】
図18は、
図17のXVIII−XVIII線に沿う縦断面図であり、
図19は、
図18のXIX−XIX線に沿う縦断面図である。
図18、
図19に示すように、外側デッキ板35には、可動デッキ板37と延長デッキ板71とを開閉させるアクチュエータ74が一体に設けられている。このアクチュエータ74は、例えばサーボモータ75とベベルギアボックス76とが一体化されたものであり、図示しないブラケットによって外側デッキ板35の下面に固定されている。
【0070】
サーボモータ75の軸方向は可動デッキ板37および延長デッキ板71のヒンジ38の軸方向に対して直交しており、ベベルギアボックス76の両側からヒンジ38の軸方向に沿う原動軸78,79が突出していて、サーボモータ75の回転がベベルギアボックス76内部のベベルギア80,81,82により減速され、軸方向を直角に変更されて原動軸78,79に伝達されるようになっている。このため、原動軸78,79は互いに逆方向に回転する。各原動軸78,79の先端にはそれぞれドライブスプロケット83,84が回転一体に設けられている。
【0071】
可動デッキ板37が枢着されるヒンジ38の真下と、延長デッキ板71が枢着されるヒンジ38の真下には、それぞれ原動軸78,79に平行する従動軸85,86が図示しない軸受によって回転自在に軸支されている。これらの従動軸85,86には、それぞれドリブンスプロケット87,88とクランクアーム89,90とが回転一体に設けられている。ドライブスプロケット83とドリブンスプロケット87の周囲にチェーン91が巻装され、ドライブスプロケット84とドリブンスプロケット88の周囲にチェーン92が巻装されている。
【0072】
そして、可動デッキ板37と延長デッキ板71とに、それぞれ回動軸93,94が設けられ、回動軸93とクランクアーム89との間がクランクリンク95により連結され、回動軸94とクランクアーム90との間がクランクリンク96により連結されて、それぞれ四節リンク機構が構成されている。
【0073】
図18、
図19に示すように、例えばアクチュエータ74がR方向に回転すると、原動軸78,79および従動軸85,86がチェーン91,92により連動して開方向に回転し、可動デッキ板37が開放位置37aに回動してアーム開口部36が開かれるとともに、延長デッキ板71が開放位置71aに回動して段差状開口部72が開かれる。
また、アクチュエータ74がL方向に回転すると、原動軸78,79および従動軸85,86がチェーン91,92により連動して閉方向に回転し、可動デッキ板37が閉塞位置37bに回動してアーム開口部36が閉じられるとともに、延長デッキ板71が閉塞位置71bに回動して段差状開口部72が閉じられる。
【0074】
このように、可動デッキ板37と延長デッキ板71とを外側デッキ板35に枢着し、外側デッキ板35の下面に設けた1基のアクチュエータ74によって可動デッキ板37と延長デッキ板71の両方を回動させるようにしたので、外側デッキ板35と可動デッキ板37と延長デッキ板71とアクチュエータ74とをユニット化し、エレベータ搬器15への設置を容易にし、ひいては既存のエレベータ式駐車場設備の改修工事を容易にすることができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更を加えることができ、このように変更や改良を加えた実施形態も本発明の権利範囲に含まれるものとする。
【0076】
例えば、本実施形態では、駐車塔4の一階部分が乗入室5とされた下部乗入方式のエレベータ式駐車場設備1について説明したが、乗入室5が駐車塔4の最上部に設けられた上部乗入方式や、乗入室5が駐車塔4の中間部に設けられた中間乗入方式のエレベータ式駐車場設備についても本発明に係る乗降デッキ装置を適用することができる。この場合は、エレベータ搬器15がピット8を通過(貫通)することになるため、乗降デッキ板33(34,35)を係止(受承)させるためのアングル材30(
図4参照)の代わりに、水平方向に出没可能な突起部等を設け、エレベータ搬器15がピット8を通過する時には突起部を引っ込め、エレベータ搬器15がピット8に停止する時にのみ突起部を突出させる制御を行う必要がある。
【0077】
また、各部の機構等についても、本実施形態のものに限定されることはなく、他の機構を用いることも可能である。