特許第6342246号(P6342246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342246
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】外壁材吊上げ用治具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   E04G21/16
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-146451(P2014-146451)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2016-23423(P2016-23423A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(73)【特許権者】
【識別番号】504082025
【氏名又は名称】株式会社イング
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】小濱 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昌信
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】桂 大輔
(72)【発明者】
【氏名】永木 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 悦二
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−282291(JP,A)
【文献】 特開平07−304587(JP,A)
【文献】 特開2000−345712(JP,A)
【文献】 実開昭61−038188(JP,U)
【文献】 特開平04−191292(JP,A)
【文献】 特公昭47−019216(JP,B1)
【文献】 特開平07−033380(JP,A)
【文献】 特公昭51−002705(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0197350(US,A1)
【文献】 米国特許第04834442(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/16
B66C 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊上げ対象となる外壁材が、屋内側および屋外側の表面のうちの片方の表面の上端付近に幅方向に延びる溝状凹部を有し、もう片方の表面の上端の角に幅方向に延びる切欠状凹部を有する外壁材である外壁材吊上げ用治具であって、
第1および第2の垂下部とこれら両垂下部の上端間に続く主部とでなる下向きU字状に形成されて前記外壁材の上端部に被さる治具本体を有し、前記主部は吊索を掛ける吊索掛け部を有し、前記第1の垂下部は、前記外壁材の前記溝状凹部側に位置し、かつ前記溝状凹部の上縁に係合する溝側当接部が設けられ、前記第2の垂下部は、前記外壁材の前記切欠状凹部側に位置し、かつ下部から壁厚さ方向の内向き上方に延びて壁厚さ方向に回動自在な回動片が取り付けられ、この回動片の上端に切欠側当接部が設けられ、前記切欠側当接部が前記外壁材の前記切欠状凹部の縦面に当接した状態に保持する当接状態保持手段を設けたことを特徴とする外壁材吊上げ用治具。
【請求項2】
請求項1に記載の外壁材吊上げ用治具において、前記外壁材は、屋内側および屋外側の表層部をそれぞれ構成する2つの金属板の間に断熱材を介在させた外壁パネルである外壁材吊上げ用治具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の外壁材吊上げ用治具において、前記当接状態保持手段は、前記切欠側当接部が前記外壁材の前記切欠状凹部の前記縦面から離れる方向に前記回動片が回動するのを規制する規制体を有する外壁材吊上げ用治具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の外壁材吊上げ用治具において、前記当接状態保持手段は、前記切欠側当接部を前記外壁材の前記切欠状凹部の前記縦面に押し付ける方向に前記回動片を直接または間接的に付勢するばね部材を有する外壁材吊上げ用治具。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の外壁材吊上げ用治具において、前記当接状態保持手段は、前記切欠側当接部が前記外壁材の前記切欠状凹部の縦面に当接した状態に前記回動片を直接または間接的に固定する固定部材を有する外壁材吊上げ用治具。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の外壁材吊上げ用治具において、前記溝側当接部および切欠側当接部が緩衝材からなる外壁材吊上げ用治具。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の外壁材吊上げ用治具において、前記治具本体が前記外壁材の幅方向に並んで複数設けられ、これら複数の治具本体の前記溝側当接部および切欠側当接部は、互いに繋がった壁幅方向に長い棒状の部材である外壁材吊上げ用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外壁材を建築現場の仮置き場から建物躯体まで吊り上げて移動させるとき等に用いられる外壁材吊上げ用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
物流施設、コンビニエンスストア等の建物の外壁に用いられる外壁材として、図8のように、屋外側および屋内側の2枚の金属板21,22で断熱材23を挟み込んだ外壁パネルが多く用いられる。この種の外壁パネルからなる外壁材20は大きくて重いため、仮置き場から建物躯体の近傍までクレーン等で吊り上げて移動させることが多い。その場合、一般的には、図9のように、金属板21,22における建て込み時に上側となる縁部に孔Hを開けてボルト25を挿通し、このボルト25に掛けたワイヤ27にクレーンのフック28を引っ掛けて、外壁材20を吊り上げている。
【0003】
外壁材に孔を開けることなく取り付けられる外壁材吊上げ用の治具が特許文献1,2に提案されている。これらの治具は、外壁材の上枠材を下から支えることで外壁材を吊り上げる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−11854号公報
【特許文献2】特開2008−274715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外壁材20にボルト25を挿通して吊り上げる従来の方法では、ボルト挿通用の孔Hにかかる荷重が金属板21,22の強度限界を超えないように十分な安全率を持たせるため、通常の吊上げ作業で金属板21,22の孔Hの周辺部が変形することはない。また、孔Hが開けられる金属板21,22の縁部は、建て込み状態では上側の外壁材20の金属板21,22の下端部が被せられ外部に露出しないため、通常では孔Hから水が浸入する等の不都合は生じない。
【0006】
しかし、何らかの事情で外壁材20に大きな力が加わった場合、金属板21,22の孔Hの周辺部が変形する可能性があり、また台風等の強い風雨では孔Hから水が浸入する可能性も皆無とは言えない。そして何よりも、完成品である外壁材20に一種の傷である孔Hを開けるのは好ましくない。しかも、外壁材20に孔Hを開けてボルト25等を取り付けるという工程を現場で行うのは、現場作業の負担増となる。
【0007】
特許文献1、2に記載の外壁材吊上げ用の治具は、上枠材を有する外壁材には適用できるが、図8のような上枠材を有しないパネル形状の外壁材には適用できない。
【0008】
この発明の目的は、上枠材を有しない外壁材であっても、孔を開けたり傷を付けたりすることなく、簡単な操作で吊り上げることができる外壁材吊上げ用治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の外壁材吊上げ用治具は、吊上げ対象となる外壁材が、屋内側および屋外側の表面のうちの片方の表面の上端付近に幅方向に延びる溝状凹部を有し、もう片方の表面の上端の角に幅方向に延びる切欠状凹部を有する外壁材である場合に適用される。この外壁材吊上げ用治具は、第1および第2の垂下部とこれら両垂下部の上端間に続く主部とでなる下向きU字状に形成されて前記外壁材の上端部に被さる治具本体を有し、前記主部は吊索を掛ける吊索掛け部を有し、前記第1の垂下部は、前記外壁材の前記溝状凹部側に位置し、かつ前記溝状凹部の上縁に係合する溝側当接部が設けられ、前記第2の垂下部は、前記外壁材の前記切欠状凹部側に位置し、かつ下部から壁厚さ方向の内向き上方に延びて壁厚さ方向に回動自在な回動片が取り付けられ、この回動片の上端に切欠側当接部が設けられ、前記切欠側当接部が前記外壁材の前記切欠状凹部の縦面に当接した状態に保持する当接状態保持手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
この外壁材吊上げ用治具は、第1の垂下部が外壁材の溝状凹部側に位置し、かつ第2の垂下部が外壁材の切欠状凹部側に位置するように、治具本体を外壁材の上端部に被せる。そして、第1の垂下部の溝側当接部を外壁材の溝状凹部の上縁に係合させ、第2の垂下部に設けられた回動片の切欠側当接部を外壁材の切欠状凹部の縦面に当接させる。当接状態保持手段により、前記切欠側当接部が前記縦面に当接した状態に保持される。
この状態で吊索掛け部に掛けた吊索を上へ引くと、溝側当接部と外壁材の接点すなわち溝状凹部の上縁を支点にして治具本体が上方に回動する。それに伴って切欠側当接部が切欠状凹部の縦面に強く押し当てられて、前記縦面と切欠側当接部との間に摩擦力が作用する。このように、溝側当接部と切欠側当接部とで外壁材の両面を挟持した状態で、さらに吊索を上へ引くことで、外壁材吊上げ用治具を介して外壁材が吊り上げられる。これにより、外壁材に孔を開けたり傷を付けたりすることなく、外壁材を吊り上げることができる。上記外壁材吊上げ用治具の操作は簡単であり、かつ他の部材が不要であるため、外壁材の吊上げ作業の効率化を図ることができる。
【0011】
この発明において、前記外壁材は、屋内側および屋外側の表層部をそれぞれ構成する2つの金属板の間に断熱材を介在させた外壁パネルであっても良い。
この種の外壁パネルは一般的に大きくて重いが、この外壁材吊上げ用治具を用いることで、孔を開けたり傷を付けたりすることなく吊り上げることができる
【0012】
この発明において、前記当接状態保持手段は、前記切欠側当接部が前記外壁材の前記切欠状凹部の前記縦面から離れる方向に前記回動片が回動するのを規制する規制体を有する構成であっても良い。また、前記切欠側当接部を前記外壁材の前記切欠状凹部の前記縦面に押し付ける方向に前記回動片を直接または間接的に付勢するばね部材を有する構成であって良い。さらに、前記切欠側当接部が前記外壁材の前記切欠状凹部の縦面に当接した状態に前記回動片を直接または間接的に固定する固定部材を有する構成であっても良い。
いずれの構成であっても、前記切欠側当接部が前記外壁材の前記切欠状凹部の縦面に当接した状態に保持することができる。
【0013】
この発明において、前記溝側当接部および切欠側当接部が緩衝材からなっていても良い。これにより、外壁材が傷付くことを防げる。
【0014】
この発明において、前記治具本体が前記外壁材の幅方向に並んで複数設けられ、これら複数の治具本体の前記溝側当接部および切欠側当接部は、互いに繋がった壁幅方向に長い棒状の部材であっても良い。
この場合、複数の治具本体を溝側当接部で互いに連結し、かつ各治具本体に設けられた回動片を切欠側当接部で互いに連結したため、枠状の剛構造となり強度が高い。複数の治具本体と、これら複数の治具本体を互いに連結する溝側当接部および切欠側当接部とで剛構造が構成されるため、外壁材吊上げ用治具の強度が向上する。また、溝側当接部および切欠側当接部が壁幅方向に長い棒状であるため、外壁材と接する壁幅方向の長さが長く、外壁材を安定して吊り上げることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明の外壁材吊上げ用治具は、吊上げ対象となる外壁材が、屋内側および屋外側の表面のうちの片方の表面の上端付近に幅方向に延びる溝状凹部を有し、もう片方の表面の上端の角に幅方向に延びる切欠状凹部を有する外壁材であり、第1および第2の垂下部とこれら両垂下部の上端間に続く主部とでなる下向きU字状に形成されて前記外壁材の上端部に被さる治具本体を有し、前記主部は吊索を掛ける吊索掛け部を有し、前記第1の垂下部は、前記外壁材の前記溝状凹部側に位置し、かつ前記溝状凹部の上縁に係合する溝側当接部が設けられ、前記第2の垂下部は、前記外壁材の前記切欠状凹部側に位置し、かつ下部から壁厚さ方向の内向き上方に延びて壁厚さ方向に回動自在な回動片が取り付けられ、この回動片の上端に切欠側当接部が設けられ、前記切欠側当接部が前記外壁材の前記切欠状凹部の縦面に当接した状態に保持する当接状態保持手段を設けたため、上枠材を有しない外壁材であっても、孔を開けたり傷を付けたりすることなく、簡単な操作で吊り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかる外壁材吊上げ用治具の正面図、(B)はその平面図、(C)はその側面図である。
図2図1の外壁材吊上げ用治具による外壁材の吊上げ動作の説明図である。
図3】(A)はこの発明の異なる実施形態にかかる外壁材吊上げ用治具の正面図、(B)はその平面図、(C)はその側面図である。
図4】この発明のさらに異なる実施形態にかかる外壁材吊上げ用治具の側面図である。
図5】この発明のさらに異なる実施形態にかかる外壁材吊上げ用治具の側面図である。
図6】この発明のさらに異なる実施形態にかかる外壁材吊上げ用治具の側面図である。
図7】この発明の外壁材吊上げ用治具を用いて外壁材を吊り上げる過程を示す説明図である。
図8】外壁材の上端部の断面図である。
図9】従来の外壁材吊上げ方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1はこの発明の一実施形態にかかる外壁材吊上げ用治具の正面図、平面図、および側面図である。この外壁材吊上げ用治具1は、並列に配置された2つの治具本体2と、各治具本体2のそれぞれに設けられた回動片3および規制体4と、2つの治具本体2および回動片3にわたってそれぞれ設けられた溝側当接部5および切欠側当接部6とで構成される。前記2つの治具本体2は、互いに同一形状または対称形状である。前記規制体4は、請求項で言う「当接状態保持手段」である。以下の説明では、2つの治具本体2の並び方向を壁幅方向、この壁幅方向と垂直な水平方向を壁厚さ方向とする。
【0018】
前記治具本体2は金属材からなる板状の部材であり、対象とする外壁材20の厚さ以上の壁厚さ方向寸法を有する主部10と、この主部10の壁厚さ方向の両端から下方に延びる第1および第2の垂下部11,12とからなる下向きU字状である。詳しくは、第1の垂下部11は、主部10から垂直に下方に延びているのに対し、第2の垂下部12は、主部10から壁厚さ方向の内側に斜め下方に延びている。2つの治具本体2の主部10の間に渡り、吊索を掛けるための丸棒状の吊索掛け部13が設けられている。吊索掛け部13の壁厚さ方向の位置は、第2の垂下部12よりも第1の垂下部11の側に偏らせてある。
【0019】
前記溝側当接部5は、断面多角形、例えば四角形の幅方向に長い棒状の部材であり、両端に近い2箇所で各治具本体2の第1の垂下部11における壁厚さ方向内側の側面にそれぞれ固定されている。溝側当接部5は、後述する外壁材20の表面に設けられる金属板21,22と比較して柔らかい材質でできた緩衝材からなる。緩衝材である溝側当接部5の材質は、例えばプラスチック、ゴム等である。
【0020】
前記回動片3はアーム状であって、第2の垂下部12の下端に、壁幅方向の支持軸14により回動自在に支持されている。そして、各回動片3の先端に、前記切欠側当接部6が設けられている。切欠側当接部6は、断面多角形、例えば四角形の幅方向に長い棒状の部材であり、両端に近い2箇所で各回動片3にそれぞれ固定されている。切欠側当接部6も、溝側当接部5と同様の緩衝材からなる。
【0021】
前記規制体4は、後述するように回動片3の回動を規制するためのものであり、この実施形態では、回動片3と同じ壁幅方向の位置に設けられ、回転支持軸15の回りを回転可能な円形偏心板からなる。規制体4の回転支持軸15は、第2の垂下部12の基部付近に位置している。
【0022】
この外壁材吊上げ用治具1の取付け対象となる外壁材20は、例えば図8に示すように、屋内側および屋外側の表層部をそれぞれ構成する2枚の金属板21,22で断熱材23を挟み込んだ外壁パネルである。金属板21,22は、メッキ鋼板、アルミニウム板等である。断熱材23は、ロックウール、発泡スチロール、ウレタン等である。この外壁材20は、物流施設等の鉄骨系建物等における外壁材として用いられる。
【0023】
外壁材20の上端部の屋外側面は、屋外側の金属板21を折り曲げ加工して、他の箇所よりも壁厚さ方向内側に後退した後退部25になっている。さらに、この後退部25の上下中央部は、幅方向に延びる溝状凹部26となっている。また、外壁材20の上端部の屋内側面は、屋内側の金属板22を折り曲げ加工して、他の箇所よりも壁厚さ方向内側に後退して幅方向に延びる切欠状凹部27になっている。溝状凹部26の上縁26aと切欠状凹部27の段部27aの高さ位置を比較すると、段部27aの方が若干高くなっている。これら屋外側の後退部25および屋内側の切欠状凹部27は、外壁材20を上下に重ね合わせたときに、上側の外壁材20の金属板21,22の下端部が嵌り込む箇所である。金属板21,22の上端側の先端には、内側に屈曲したリップ部21a,22aが形成されている。
【0024】
外壁材吊上げ用治具1による外壁材20の吊上げ動作を図2と共に説明する。ここでは、屋外側の面を上にして平積みされている外壁材20を吊り上げる場合を例にとる。
【0025】
同図(A)のように、第1の垂下部11を上側にして、治具本体2を外壁材20の上端部に被せる。外壁材20の上端部は、外壁材20を吊上げたときに上側となる端部のことである。このとき、円形偏心板からなる規制体4は、自重により回転支持軸15から外周までの距離が長い部分である大径部が下方に位置する姿勢となり、また回動片3は、先端が前記規制体4により下から支えられた姿勢となっている。この状態から、吊索掛け部13に掛けた吊索(図示せず)を上へ引くと、第2の垂下部12により下から押されて、同図(B)のように外壁材20が起立する。
【0026】
外壁材20が起立したら、指等により規制体4を回転させて、同図(C)のように、規制体4の大径部が外壁材20の側に位置する姿勢にする。これに伴い、回動片3が外壁材20の側に回動し、回動片3に設けられた切欠側当接部6が外壁材20の切欠状凹部27の縦面27bに当接する。このとき、規制体4の大径部の重量で回動片3の回動を規制して、切欠側当接部6が切欠状凹部27から外れることを防止している。また、切欠側当接部6により外壁材20を第1の垂下部11の側に押すことで、第1の垂下部11に設けられた溝側当接部5が外壁材20の溝状凹部26の上縁に係合する。
【0027】
この状態で、吊索を上へ引くと、同図(D)のように、溝側当接部5と外壁材20の接点すなわち溝状凹部26の上縁26aを支点にして治具本体2が上方に回動する。それに伴って切欠側当接部6が切欠状凹部27の縦面27bに強く押し当てられて、前記縦面27bと切欠側当接部6との間に摩擦力が作用する。このように、溝側当接部5と切欠側当接部6とで外壁材20の両面を挟持した状態で、さらに吊索を上へ引くことで、外壁材吊上げ用治具1を介して外壁材20が吊り上げられる。なお、同図(D)では、切欠側当接部6が切欠状凹部27の縦面27bに食い込んでいるように図示してあるが、切欠側当接部6は比較的柔らかい緩衝材からなるため、実際には食い込むわけではない。
【0028】
このように、溝側当接部5と切欠側当接部6とで外壁材20の両面を挟持して吊り上げるため、外壁材20に孔を開けたり傷を付けたりしなくて済む。また、溝側当接部5と切欠側当接部6とで外壁材20を強固に挟持することができるため、図8に示すような、大きくて重い外壁パネルからなる外壁材20も吊り上げることができる。上記外壁材吊上げ用治具1の操作は簡単であり、かつ他の部材が不要であるため、外壁材20の吊上げ作業の効率化を図ることができる。
【0029】
横幅の広い外壁材20を吊り上げる場合は、例えば図7に示すように、外壁材20の壁幅方向の2箇所に外壁材吊上げ用治具1を配置し、各外壁材吊上げ用治具1の吊索掛け部13にクレーン等の吊索30を引っ掛けて吊り上げる。
【0030】
この実施形態の外壁材吊上げ用治具1は、2つの治具本体2を備え、これら2つの治具本体2を吊索掛け部13および溝側当接部5で互いに連結し、かつ各治具本体2に設けられた回動片3を切欠側当接部6で互いに連結したため、枠状の剛構造となり強度が高い。また、溝側当接部5および切欠側当接部6が壁幅方向に長い棒状であるため、外壁材20と接する壁幅方向の長さが長く、外壁材20を安定して吊り上げることができる。ただし、治具本体2は1つだけであっても良く、3つ以上であっても良い。
【0031】
上記実施形態の外壁材吊上げ用治具1は、当接状態保持手段が円形偏心板からなる規制体4である、当接状態保持手段はこれ以外の形態であっても良い。
図3に示す外壁材吊上げ用治具1は、当接状態保持手段がばね部材30からなる。ばね部材30はねじりコイルばねであり、回動片3の支持軸14の外周に設けられ、両端が第2の垂下部12と回動片3にそれぞれ係止されている。ばね部材30の弾性復元力により、切欠側当接部6を外壁材20の切欠状凹部27の縦面27bに押し付ける方向に回動片3を付勢している。この場合も、前記切欠側当接部6が前記縦面27bに当接した状態に保持することができる。
【0032】
図3に示す例は、ばね部材30により回動片3を直接に付勢しているが、図4に示す例のように、ばね部材31により規制体4を介して回動片3を間接的に付勢しても良い。この場合のばね部材31は引っ張りコイルばねであり、回動片3の支持軸14と、規制体4の大径部に設けたばね支持軸32との間に配置されて、規制体4を介して、前記同様に切欠側当接部6を外壁材20の切欠状凹部27の縦面27bに押し付ける方向に回動片3を付勢している。
【0033】
図5に示す外壁材吊上げ用治具1は、当接状態保持手段を、切欠側当接部6が外壁材20の切欠状凹部27の縦面27bに当接した状態に回動片3を固定する固定部材33としている。固定部材33は、例えばピンであり、第2の垂下部12および回動片3にそれぞれ設けられた貫通孔に挿脱可能である。切欠側当接部6を縦面27bに当接させた状態で前記各貫通孔に固定部材33を挿入することで、固定部材33を当接状態に固定する。
【0034】
図5に示す例は、固定部材33により回動片3を直接に固定しているが、図6に示す例のように、固定部材34により規制体4を介して回動片3を間接的に固定しても良い。この場合、第2の垂下部12および規制体4にそれぞれ設けられた貫通孔に固定部材34を挿入する。これにより、第2の垂下部12に対して規制体4が固定され、規制体4により回動片3を、切欠側当接部6が外壁材20の切欠状凹部27の縦面27bに当接した状態に固定する。
【符号の説明】
【0035】
1…外壁材吊上げ用治具
2…治具本体
3…回動片
4…規制体(当接状態保持手段)
5…溝側当接部
6…切欠側当接部
10…主部
11…第1の垂下部
12…第2の垂下部
20…外壁材
21,22…金属板
23…断熱材
26…溝状凹部
26a…上縁
27…切欠状凹部
27b…縦面
30,31…ばね部材(当接状態保持手段)
33,34…固定部材(当接状態保持手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9