(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0011】
本実施形態に係るゴム組成物は、窒素吸着比表面積(N
2SA)が50m
2/g以下のカーボンブラックAを含むウェットマスターバッチWAと、窒素吸着比表面積(N
2SA)が前記カーボンブラックAよりも大きいカーボンブラックBと、追加のジエン系ゴムとを、乾式混合することにより得られるものであって、ゴム組成物中の全カーボンブラックに占めるカーボンブラックAの割合が15〜48質量%であることを特徴とするものである。
【0012】
このように、比表面積の小さいカーボンブラックAをウェットマスターバッチとすることにより、ゴム組成物中にウェットマスターバッチの島相を形成することができる。また、比表面積の大きなカーボンブラックBを乾式で追加のジエン系ゴムとともに混合することにより、海相に比表面積の大きなカーボンブラックBを配置することができる。そのため、該カーボンブラックBにより通電経路を形成することができる。一方、比表面積の小さなカーボンブラックAからなるウェットマスターバッチ相が低発熱性能に寄与すると考えられる。そのため、本実施形態によれば、ゴム組成物の低発熱性能を向上しつつ導電性を改善することができる。
【0013】
本実施形態に係るゴム組成物において、ゴム成分は、ウェットマスターバッチWA中に含まれるジエン系ゴム(以下、第1のジエン系ゴムとう。)と、乾式混合にて添加される追加のジエン系ゴム(以下、第2のジエン系ゴムという。)とからなる。これら第1及び第2のジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。これらの中でも、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエンゴム及びスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、より好ましくは天然ゴムである。第1のジエン系ゴムと第2のジエン系ゴムは、同種でも異種でもよく、好ましくは同種のジエン系ゴムを用いることである。
【0014】
第1のジエン系ゴムとカーボンブラックAを含むウェットマスターバッチWAにおいて、該カーボンブラックAとしては、窒素吸着比表面積が50m
2/g以下であるものが用いられる。窒素吸着比表面積が50m
2/g以下であることにより、低発熱性能を向上することができる。カーボンブラックAの窒素吸着比表面積は、15〜50m
2/gでもよく、15〜45m
2/gでもよく、20〜35m
2/gでもよい。本明細書において、窒素吸着比表面積はJIS K6217−2に準拠して測定される。
【0015】
ウェットマスターバッチWA中に含まれるカーボンブラックAの量としては、例えば、第1のジエン系ゴム100質量部に対して20〜120質量部でもよく、30〜100質量部でもよく、40〜80質量部でもよい。
【0016】
ウェットマスターバッチWAの製造方法としては、公知の方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、カーボンブラックAを分散溶媒中に分散させたスラリー溶液と、第1のジエン系ゴムを含むゴムラテックス溶液とを混合し、次いで凝固・乾燥させることより、ウェットマスターバッチWAが得られる。一実施形態として、特許第4738551号公報に記載の方法、即ち、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造後、該スラリー溶液と残りのゴムラテックス溶液とを混合し、次いで凝固・乾燥させる方法を用いてもよい。
【0017】
ゴムラテックス溶液としては、上記で列挙した各種ジエン系ゴムのラテックス溶液を用いることができ、特に好ましくは天然ゴムラテックス溶液である。天然ゴムラテックス溶液としては、濃縮ラテックスや、フィールドラテックスといわれる新鮮ラテックスなどを区別なく使用することができ、必要に応じて水を加えて濃度調整したものを用いてもよい。合成ゴムラテックス溶液としては、例えばスチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムを乳化重合により製造したものが挙げられる。好ましい実施形態である天然ゴムラテックス溶液としては、例えば、レヂテックス社製の天然ゴム濃縮ラテックス(DRC(Dry Rubber Content)=60%)、Golden Hope社製のNRフィールドラテックス(DRC=31.2%)等が市販されており、使用可能である。
【0018】
カーボンブラックAを分散させる分散溶媒としては、水を使用することが好ましいが、例えば有機溶媒を含有する水であってもよい。スラリー溶液の調製及びスラリー溶液とラテックス溶液の混合には、例えば、ハイシアーミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を用いることができる。また、凝固乾燥させる際の凝固剤としては、ゴムラテックス溶液の凝固用として通常使用されるギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を使用することができる。凝固後に脱水・乾燥させる方法としては、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤーなどの各種乾燥装置を使用してもよく、押出機を用いて機械的せん断力をかけながら脱水、乾燥させてもよい。
【0019】
ウェットマスターバッチWAには、第1のジエン系ゴム及びカーボンブラックA以外に、所望に応じて、例えば、界面活性剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤を配合してもよい。
【0020】
本実施形態に係るゴム組成物は、ウェットマスターバッチWAと、カーボンブラックBと、第2のジエン系ゴムとを乾式混合して得られる。カーボンブラックBは、ウェットマスターバッチ化せずに、ウェットマスターバッチWAに対して、そのまま添加される。仮に、カーボンブラックBを、ゴムラテックス溶液を用いてウェットマスターバッチ化した上で、ウェットマスターバッチWAに添加した場合、電気抵抗が上昇し、導電性の改良効果が得られない。
【0021】
カーボンブラックBは、窒素吸着比表面積がカーボンブラックAよりも大きく、カーボンブラックBの窒素吸着比表面積(NB)とカーボンブラックAの窒素吸着比表面積(NA)との差(NB−NA)が20〜70m
2/gであるものを用いる。このように窒素吸着比表面積が大きく、従って小粒径であるカーボンブラックBを乾式混合で添加することにより、電気抵抗を低減して導電性を向上させることができる。すなわち、上記の差(NB−NA)が20m
2/g以上であることにより、導電性を向上することができる。この差(NB−NA)が70m
2/g以下であることにより、低発熱性能を改良することができる。上記の差(NB−NA)は30〜70m
2/gであることがより好ましい。カーボンブラックBの窒素吸着比表面積としては、例えば、50〜120m
2/gでもよく、60〜100m
2/gでもよく、70〜95m
2/gでもよい。
【0022】
本実施形態のゴム組成物において、カーボンブラックAの配合量は、次のように設定される。すなわち、ゴム組成物中の全カーボンブラック量に占めるカーボンブラックAの割合を15〜48質量%とする。この割合が15質量%以上であることにより、低発熱性能を向上することができる。また、48質量%以下であることにより、乾式混合にて配合されるカーボンブラックBの含有量を確保して、導電性の改良効果を高めることができる。このカーボンブラックAの割合は、20〜45質量%であることが好ましく、25〜40質量%であることがより好ましい。なお、ゴム組成物に含まれる全カーボンブラック量は、例えば、ゴム組成物に含まれる全ジエン系ゴム100質量部に対して、30〜150質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜100質量部であり、更に好ましくは35〜70質量部である。
【0023】
乾式混合にて配合される第2のジエン系ゴムの配合量は、ゴム組成物の全ジエン系ゴム100質量部中、例えば15〜95質量部とすることができる。好ましくは、ゴム組成物のゴム成分が第2のジエン系ゴムを主成分とすることであり、ゴム組成物の全ジエン系ゴム100質量部中、第2のジエン系ゴムの配合量が50質量部超であることが好ましく、より好ましくは55〜90質量部であり、更に好ましくは60〜85質量部であり、65〜80質量部でもよい。
【0024】
本実施形態に係るゴム組成物において、上記各成分の配合量は、ウェットマスターバッチWA中のカーボンブラックAの体積分率Vaが、ゴム組成物中の全カーボンブラックの体積分率Vtの70%以上(即ち、(Va/Vt)×100≧70)となるように設定することが好ましい。この比率が70%以上であることにより、乾式混合時におけるウェットマスターバッチWAの粘度を高めて島相を形成しやすくなる。そのため、低発熱性能と導電性の両立効果を高めることができる。この比率は、80%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上であり、更に好ましくは110%以上である。この比率の上限は、例えば180%以下でもよく、150%以下でもよい。なお、Vaは特に限定されず、例えば5〜35%でもよく、10〜30%でもよく、15〜25%でもよい。また、Vtは特に限定されず、例えば5〜30%でもよく、10〜25%でもよい。
【0025】
ここで、体積分率Vaは、第1のジエン系ゴムの配合体積(v1)とカーボンブラックAの配合体積(v2)の和に対するカーボンブラックAの配合体積(v2)の比率であり、すなわち、Va=(v2/(v1+v2))×100である。体積分率Vtは、ゴム組成物中に含まれる全ジエン系ゴム(第1のジエン系ゴムと第2のジエン系ゴムの合計)の配合体積(v3)と全カーボンブラック(カーボンブラックAとカーボンブラックBの合計)の配合体積(v4)の和に対する全カーボンブラックの配合体積(v4)の比率であり、すなわち、Vt=(v4/(v3+v4))×100である。なお、配合体積とは、上記各成分の配合量(含有する質量)と密度(真密度)から算出される体積のことである。
【0026】
乾式混合では、上記各成分の他、シリカなどの他の充填剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、酸化亜鉛、老化防止剤、ステアリン酸、加工助剤、熱硬化性樹脂及びその硬化剤、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
【0027】
加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄成分が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量はジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0028】
乾式混合は、ゴム組成物の混練に通常用いられる、バンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機(混練機)を用いて行うことができる。詳細には、本実施形態に係るゴム組成物は、第一混合段階(ノンプロ練り工程)で、ウェットマスターバッチWAに、カーボンブラックB及び第2のジエン系ゴムとともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加して混練し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階(プロ練り工程)で加硫剤及び加硫促進剤を添加して混練することにより調製することができる。
【0029】
このようにして得られるゴム組成物は、タイヤ用、防振ゴム用、コンベアベルト用などの各種ゴム部材に用いることができる。好ましくは、タイヤ用として用いることであり、乗用車用、トラックやバスの大型タイヤなど各種用途、サイズの空気入りタイヤに用いることができる。
【0030】
上記のように低発熱性能と導電性に優れるため、好ましくは、カーカスプライなどの補強層において、補強コードを被覆するプライトッピングゴムとして用いることであり、常法に従い、例えば、カレンダー装置を用いて、該ゴム組成物でコードを被覆してなるトッピング反を作製し、これを補強層として用いてグリーンタイヤを成形し、更に、例えば140〜180℃で加硫成型することにより、空気入りタイヤを製造することができる。このようにプライトッピングゴムとして用いた場合、補強層をタイヤの通電経路として利用することができるので、タイヤの低燃費性を損なうことなく、タイヤに導電性を付与することができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。使用原料及び評価方法は以下の通りである。
【0032】
(使用原料)
・カーボンブラックN110:東海カーボン(株)製「シースト9」(N
2SA;142m
2/g)
・カーボンブラックN330:東海カーボン(株)製「シースト3」(N
2SA;79m
2/g)
・カーボンブラックN339:東海カーボン(株)製「シーストKH」(N
2SA;93m
2/g)
・カーボンブラックN550:東海カーボン(株)製「シーストSO」(N
2SA;42m
2/g)
・カーボンブラックN774:東海カーボン(株)製「シーストS」(N
2SA;27m
2/g)
・天然ゴムラテックス溶液:天然ゴム新鮮ラテックス溶液、Golden Hope社製(DRC=31.2%)に常温で水を加えてゴム成分25質量%に調整したもの
・凝固剤:ギ酸(一級85%、10%溶液に希釈してpH1.2に調整したもの)、ナカライテスク(株)製
・天然ゴム:タイ製、RSS#3
・スチレンブタジエンゴム:住友化学(株)製「SBR1502」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「1号亜鉛華」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・オイル:JX日鉱日石サンエナジー(株)製「JOMOプロセスNC140」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーNS−P」
【0033】
(評価方法)
・低発熱性能:JIS K6265に準じて、150℃で30分間加硫して得られた加硫ゴムにつき、損失正接tanδにより低発熱性能を評価した。tanδは、UBM社製レオスペクトロメーターE4000を使用し、50Hz、80℃、静歪み10%、動的歪±2%の状態で測定し、その値を指標化した。評価は、比較例1を100とした指数評価で示し、数値が小さいほどtanδが小さく、低発熱性能に優れることを意味する。
【0034】
・体積抵抗率:JIS K6911に準じて、150℃で30分間加硫して得られた加硫ゴムの体積抵抗率を測定した。測定条件は、印加電圧1000V、気温25℃、湿度50%とした。
【0035】
(実施例1)
固形分(ゴム)濃度0.5質量%に調整した天然ゴムラテックス溶液にカーボンブラックN550を15質量部添加し、これにPRIMIX社製ロボミックスを使用してカーボンブラックを分散させることにより(該ロボミックスの条件:9000rpm、30分)、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造した(工程I)。ここで、上記0.5質量%の天然ゴムラテックス溶液の使用量は、工程Iで得られるスラリー溶液において、水とカーボンブラックの合計量に対するカーボンブラックの含有量が5質量%となるように設定した(以下の実施例及び比較例のウェットマスターバッチ作製工程において同じ)。工程Iで製造したスラリー溶液に、残りの天然ゴムラテックス溶液(固形分(ゴム)濃度25質量%となるように水を添加して調整したもの)を、工程Iで使用した天然ゴムラテックス溶液と合わせて、固形分(ゴム)量で25質量部となるように添加し、次いでSANYO社製家庭用ミキサーSM−L56型を使用して混合し(ミキサー条件11300rpm、30分)、カーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液を製造した(工程II)。工程IIで製造したカーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液に、凝固剤としてギ酸10質量%水溶液をpH4になるまで添加し、SUS社製パンチングメタルφ3.5Pを使用して固液分離した後、スクイザー式1軸押出脱水機(スエヒロEPM社製V−02型)を用いて水分率1.5%以下まで乾燥・可塑化することにより、ウェットマスターバッチを得た。該ウェットマスターバッチは、表1のマスターバッチ配合に示す通り、天然ゴム25質量部に対してカーボンブラック15質量部を含有するものである。
【0036】
次いで、バンバリーミキサーを使用し、表1のゴム組成物配合に従い、まず、第1工程(ノンプロ混合工程)で、天然ゴム(RSS#3)75質量部に、40質量部の上記ウェットマスターバッチと、30質量部のカーボンブラックN330を添加するとともに、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混合物に、第2工程(ファイナル混合工程)で硫黄と加硫促進剤を添加混合して(排出温度=100℃)、ゴム組成物を調製した。
【0037】
(実施例2〜9、比較例2〜7)
ウェットマスターバッチ作製時におけるカーボンブラック及び天然ゴムラテックス溶液を表1,2のウェットマスターバッチ配合に記載の通りに変更したこと以外は実施例1と同様にしてウェットマスターバッチを作製し、更に、表1,2のゴム組成物配合に従い、実施例1と同様の乾式混合によりゴム組成物を調製した。
【0038】
(比較例1,8)
ウェットマスターバッチは作製せずに、表2に記載のゴム組成物配合に従い、実施例1と同様の乾式混合によりゴム組成物を調製した。
【0039】
(比較例9)
カーボンブラックN330とカーボンブラックN550の双方について、ウェットマスターバッチを作製した。詳細には、実施例1においてカーボンブラックN550の量を、天然ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量100質量部に対し30質量部としてウェットマスターバッチWA−1を作製するとともに、同様の手法によりカーボンブラックN330の量を、天然ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量100質量部に対し60質量部としてウェットマスターバッチWA−2を作製し、これらウェットマスターバッチWA−1及びWA−2を、乾式混合において、ゴム成分が1:1の質量比で合計100質量部(WA−1:65質量部、WA−2:80質量部)となるように混合し、表2に記載のゴム組成物配合に従い、ゴム組成物を調製した。
【0040】
得られた各ゴム組成物について、加硫ゴム物性として、低発熱性能と体積抵抗率を測定した。結果を表1,2に示す通りである。
【0041】
カーボンブラックを全てウェットマスターバッチ化し、乾式混合でカーボンブラックBを添加していない比較例2では、コントロールである比較例1に対して、低発熱性能は改善されたものの、導電性は悪化した。比較例3では、ウェットマスターバッチ化したカーボンブラックAのN
2SAが大きすぎ、低発熱性能が悪化した。比較例4では、カーボンブラックAとカーボンブラックBとのN
2SAの差が小さすぎて、電気抵抗が大きく、導電性が悪化した。比較例5では、カーボンブラックAとカーボンブラックBとのN
2SAの差が大きすぎて、低発熱性能が悪化した。比較例6では、ウェットマスターバッチ化したカーボンブラックAの割合が少なすぎて、比較例1に対し、低発熱性能及び導電性ともに改良効果が不十分であった。比較例7では、ウェットマスターバッチ化したカーボンブラックAの割合が多すぎて、低発熱性能は改善されたものの、電気抵抗が大きく、導電性が悪化した。比較例8では、高比表面積のカーボンブラックと低比表面積のカーボンブラックを、ともにウェットマスターバッチ化せずに乾式混合したため、比較例1に対して、低発熱性能の改良効果が不十分であった。比較例9では、二種類のカーボンブラックをともにウェットマスターバッチ化した上で乾式混合したため、電気抵抗が大きく、導電性が悪化した。これに対し、実施例1〜9であると、比較例1に対して、低発熱性能を改善しつつ、電気抵抗を低減して導電性が改善された。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】