【実施例】
【0027】
[ストーバー法]
Sulforhodamine B(関東化学株式会社) 11.7mgをエタノール4mlに溶解した後、0.1mlのtetraethylorthosilicate (TEOS)(和光純薬鉱業株式会社)を加えて混合する。その後、蒸留水1mlを加えて室温で磁気撹拌しながら、濃アンモニア水を0.1ml加えて室温で、約3日間撹拌する。(この段階で、TEOSの加水分解と重縮合が起こりSiO
2が形成を始める。その際、sulforhodamine B分子が混ぜ込まれてシリカナノ粒子内に固定される。濃アンモニア水はこの反応の触媒として作用する。)その後、エタノールを分散媒として限外ろ過装置(ミリポア撹拌式セル)を用いてろ液が着色しなくなるまで洗浄する。その際、YM−100フィルター(孔径約10nm)をセットした限外ろ過装置で10nm以下の試料をろ液として取り出し、その分散液をYM−10フィルター(孔径約2.6nm)をセットした限外ろ過装置で2.6nm以下の試料を含むろ液と2.6nmから10nmまでの試料を含む分散液(限外ろ過装置内)に分ける。最終的に、2.6nm<D<10nmのSulforhodamine Bを固定した(シリカナノ粒子を0.72重量%含む)シリカナノ粒子エタノール分散液5mlを得た。
【0028】
ストーバー法におけるシリカナノ粒子に蛍光分子を取り込む方法としては、(1)及び(2)があげられる。
(1)混ぜ込み法
TEOSの重縮合の前に蛍光分子を溶液に溶解しておくことで、シリカナノ粒子形成時に自然に取り込ませる。
【0029】
(2)シリカカップリング法
蛍光分子の取り込みを確実にするために、シランカップリング試薬と結合させて、蛍光分子にSi−O−を導入することで、TEOSの重縮合時に結合させて取り込む。
【0030】
以上の方法でローダミン色素を含有するシリカナノ粒子を調整できるが、シリカナノ粒子は、コアシェル法やシリカナノ粒子コア表面修飾法によっても製作できる。
コアシェル法は、約15nmの半径の金属粒子の表面−S−か−N−を側鎖にもつ蛍光分子を吸着させ(金属粒子コアの表面積内)、さらにアミノオルソシリケート(APS)を金属粒子コアの表面に吸着させて、その金属粒子コアの吸着したAPSのシリケート基(−Si−O−)のところで、シリケートの重縮合を行うため、水ガラス(NaSi
xO
2−x)を加えて数日反応させる。その後、金属微粒子コアをNaCNで溶解し、シリカカプセルとしたときに内部に蛍光分子が残る。限外濾過で蒸溜水洗浄を数回行って、NaCNとNaAu(CN)
2を除いてシリカナノ粒子とする。
【0031】
製造された蛍光分子含有シリカナノ粒子は、調整時に加える試薬の濃度やアンモニア水の濃度、反応時間、温度により粒径サイズを調整できる。さらに、限外濾過法で、使用するフィルターの孔径を選択して粒径サイズを特定の範囲とすることができる。この方法は、使用するフィルターを組み合わせて、2.6nm<サイズ<10nmや0.6nm<サイズ<2.5nmのサイズの粒径を取り出すことができる。
【0032】
コーティングシートは、蛍光分子の発光を検出してナノファイバーが正常に塗布されているかどうかを判定する。したがって、蛍光分子含有ナノファイバーには、発光を検出できる含有量の蛍光分子を添加する。ローダミン色素を有するシリカナノ粒子の分散液:11.5重量、ポリマー濃度:8重量%、溶媒をDMF(N,N−ジメチルホルムアルデヒド)にて、エレクトロスピニング装置で紡糸して製作する蛍光分子含有ナノファイバーは、基材シート1の表面に0.04g/m
2以上の塗布量で発光を検出できる。
【0033】
蛍光分子含有ナノファイバーは以下の方法で製造できる。ただ、蛍光分子含有ナノファイバーを以下のものに特定するものではない。
(実施例1)
本発明の実施例1として、以下の製造方法により基材シート1の表面にコーティング層2として蛍光分子含有ナノファイバーを塗布する。
1)調整工程
まず200mlビーカーにDMF80.50gを入れ、8.00gのPVDF(ポリビニリデンジフロライド)を入れて完全に溶解させ、9.04重量%のPVDF/DMF溶液を得る。
次に、上記で得られたPVDF/DMF溶液8.85gに対して、1.15gの割合でローダミン色素含有シリカナノ粒子/エタノール分散液を添加して、塗布溶液を得る。
2)紡糸化工程
次に、上記調整工程で製造した塗布溶液を、エレクトロスピニング装置を用いて基材シート1上にコーティング層2として蛍光分子含有ナノファイバーを塗布し、コーティングシートを得る。ここでは回転ドラムコレクター表面に基材シート1として110g/m
2の濾紙を設置し、濾紙上にコーティング層として蛍光分子含有ナノファイバーを塗布しコーティングシートを得る。なお、金属製ノズルとして内径0.40mm、長さ19mmのステンレス製ノズルを使用し、金属製ノズルの下端部から基材シート1表面までの距離を20cmとし、金属製ノズルの移動距離20cm、移動速度5mm/sec、ドラムコレクターの回転数50rpm、印加電圧21kV、塗布溶液の吐出速度は0.2ml/hrとして、温度23度、湿度15%で22.5分間塗布し、コーティング層2として0.045g/m
2の蛍光分子含有ナノファイバー不織布を有するコーティングシートを得る。
【0034】
(実施例2)
紡糸時間を45.0分間にする以外、実施例1と同様にし、コーティング層2として0.090g/m
2の蛍光分子含有ナノファイバー不織布を有するコーティングシート得た。
【0035】
(実施例3)
紡糸時間を67.5分間にする以外、実施例1と同様にし、コーティング層2として0.135g/m
2の蛍光分子含有ナノファイバー不織布を有するコーティングシート得た。
【0036】
以上の工程で得られた蛍光分子含有ナノファイバーを基材シート1の表面に塗布して、コーティング層2を設ける。蛍光分子含有ナノファイバーの塗布量は用途に最適な量に調整される。フィルターのコーティングシートは、基材シート1表面のコーティング層2で微細な異物を除去し、かつコーティング層2に気体や液体を通過できる隙間ができるように、蛍光分子含有ナノファイバーの付着量が調整される。この蛍光分子含有ナノファイバーが塗布されたコーティングシートの発光強度を
図3に示している。この図に示すコーティングシートは、蛍光分子含有ナノファイバーの付着量を、0.04g/m
2以上として発光を検出でき、塗布量を0.08g/m
2以上としてより発光を強く検出でき、さらに0.135g/m
2で検出される発光強度はピークを示した。したがって、以上の工程で製造される蛍光分子含有ナノファイバーは、基材シート1への塗布量を0.04g/m
2以上として、コーティング層2の有無を確実に検出できる。ただ、蛍光分子含有ナノファイバーの発光は、受光器の感度を高くしてより微弱な光を検出できるので、より高感度な受光器を使用することで、より少ない塗布量のコーティング層2を検出でき、また蛍光分子含有量の少ない蛍光分子含有ナノファイバーからなるコーティング層2の有無をも検出できる。
【0037】
以上のコーティングシートは、基材シート1の表面に光を照射し、ナノファイバーの蛍光分子を発光させて、コーティング層2が正常に積層されているかどうかが検査される。
図4は、コーティング層2の検査方法を示している。この図の検査方法は、コーティングシートの全面に光を照射して蛍光分子を励起する。この図は、コーティング層2のナノファイバーに含まれる蛍光分子のローダミン色素を励起するために555nmの可視光をコーティングシートに照射している。励起光は全面に照射され、あるいは走査してコーティングシート全面に照射される。
【0038】
コーティング層2の蛍光分子含有ナノファイバーに含まれるローダミン色素は、555nmの可視光に励起されて590nmの光を放射する。590nmの発光が受光器に検出されて、コーティングシートはコーティング層2が正常に塗布されているかどうかが判定される。コーティング層2の塗布されたコーティングシートは、590nmの光を放射するからである。コーティング層2の発光は、受光器で検出される。図の受光器は、蛍光分子の発光から励起する可視光を除くために、励起光を減衰させるフィルターを配置している。受光器は、コーティング層2の蛍光分子の発光を検出して画像とする受光素子と、この受光素子にコーティングシートを結像するレンズとを備える。受光器は、レンズでコーティングシート像を受光素子に結像して、コーティング層2の有無、すなわち、ナノファイバーが正常に塗布されたかどうかを判定する。中央部の白い部分にコーティング層2が塗布されないコーティングシートは、全面を光で励起して、発光を受光器で検出すると、
図4に示すように、コーティング層2の塗布されない領域が発光せずに白色として検出される。したがって、受光器でコーティングシート全面の発光を検出して、コーティング層2が正常に設けられているかは判定される。
【0039】
図5の(1)〜(4)は、コーティングシートの表面に555nmの光を照射して蛍光分子を励起し、蛍光分子の590nmの発光を検出した濃度図である。ただし、このコーティングシートは、中央部の長方形で示す白色領域にはナノファイバーを付着していない領域を設けて、ナノファイバーの付着領域との濃度差を明確にしている。ただし、これ等の図に示すコーティングシートは、蛍光分子のローダミン色素を含有するシリカナノ粒子を添加してなるナノファイバーを基材シート1の表面の中央部の長方形領域を除く部分に付着している。ナノファイバーに添加しているシリカナノ粒子は実施例1で調整したものを使用し、さらに、ナノファイバーのシリカナノ粒子の添加量は1.02重量%としている。
ただし、
(1)のコーティングシートは、ナノファイバーの付着量を0.045g/m
2とし、
(2)のコーティングシートはナノファイバーの付着量を0.09g/m
2とし、
(3)のコーティングシートはナノファイバーの付着量を0.135g/m
2とし、
(4)のコーティングシートはナノファイバーの付着量を0.18g/m
2としている。