(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1接点部は、前記第1段差面を挟んで前記第1段差面よりも前記第1絶縁体シートに近い位置と前記第1段差面よりも前記第1絶縁体シートから遠い位置に配置された2つの第1接点面を有し、
前記第2接点部は、前記第2段差面を挟んで前記第2段差面よりも前記第2絶縁体シートに近い位置と前記第2段差面よりも前記第2絶縁体シートから遠い位置に配置された2つの第2接点面を有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが互いに嵌合したときに、前記第1接点部の前記2つの第1接点面のどちらか一方が対応する前記第2接点部の前記2つの第2接点面のどちらか一方に接触する請求項1に記載の薄型コネクタ。
それぞれの前記第2コンタクトは、前記第2絶縁体シートの表面に対して垂直方向に突出する突起部と、前記突起部の突出方向の端部において前記第2絶縁体シートの表面に沿って張り出す傘部とを有し、前記第2段差面は、前記傘部に形成され、
それぞれの前記第1コンタクトは、前記第2コンタクトの前記傘部に対応する凹部を有し、前記第1段差面は、前記凹部に形成されている請求項1または2に記載の薄型コネクタ。
それぞれの前記第1コンタクトの前記凹部とそれぞれの前記第2コンタクトの前記突起部および前記傘部は、アディティブメッキにより形成される請求項3に記載の薄型コネクタ。
それぞれの前記第1コンタクトの前記変位可能部は、前記複数の第1コンタクトの配列方向に変位可能なバネ性を備えた第1可動部と、前記第1可動部に連結され且つ前記複数の第1コンタクトの配列方向とは直交する方向に変位可能なバネ性を備えると共に前記第1段差面および前記第1接点部が形成された第2可動部とを有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の薄型コネクタ。
前記第1コンタクトの前記第1可動部は、前記複数の第1コンタクトの配列方向とは直交する方向に延びる片持ち梁形状を有し、前記第2可動部は、前記第1可動部の先端に連結されている請求項6に記載の薄型コネクタ。
それぞれの前記第1コンタクトの前記第1可動部および前記第2可動部のうち前記第1可動部の表面上にのみ前記第1絶縁体シートが貼り付けられている請求項7に記載の薄型コネクタ。
前記第1コネクタは、複数の第1コンタクトが配列されている表面とは反対側の前記第1絶縁体シートの裏面上に貼り付けられた補強板を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の薄型コネクタ。
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタは、前記複数の第1コンタクトおよび前記複数の第2コンタクトの配列方向の両端部にそれぞれ配置され且つ互いの嵌合状態を保持するための第1ロック部および第2ロック部を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の薄型コネクタ。
前記第1コネクタは、互いに隣接する前記第1コンタクトの間に形成されると共に前記複数の第1コンタクトの配列方向におけるそれぞれの前記第1可動部の最大変位量を規制するための複数の変位規制部を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の薄型コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のコネクタは、嵌合時に、レセプタクルコンタクト3の接点部3aの厚さ方向の中央部がプラグコンタクト4の接点部4cの最も窪んだ中央部分に位置する構造を有するため、プラグコンタクト4の先端部4bは、レセプタクルコンタクト3の下面3bよりも下方に位置することとなり、レセプタクル1は、レセプタクルコンタクト3の下方にプラグコンタクト4の先端部4bを収容する空間を確保する必要がある。従って、コネクタの薄型化が困難であった。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、嵌合面上で互いに重ね合わせて嵌合される第1コネクタおよび第2コネクタの嵌合面に垂直な方向への外れを防止しながらも薄型化を図ることができる薄型コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る薄型コネクタは、平板状の第1コネクタと平板状の第2コネクタとを嵌合面上で互いに重ね合わせて嵌合させる薄型コネクタであって、第1コネクタは、第1絶縁体シートと、第1絶縁体シートの表面上に配列され且つそれぞれ第1絶縁体シートの表面に沿って変位可能なバネ性を備えた変位可能部を有すると共に変位可能部に第1絶縁体シート側を向いた第1段差面と第1段差面に隣接して第1絶縁体シートの表面に沿う方向を向いた第1接点部とが配置された複数の第1コンタクトを有し、第2コネクタは、第2絶縁体シートと、第2絶縁体シートの表面上に配列され且つそれぞれ第2絶縁体シート側を向いた第2段差面と第2段差面に隣接して第2絶縁体シートの表面に沿う方向を向いた第2接点部とが配置された複数の第2コンタクトを有し、第1絶縁体シートと第2絶縁体シートが互いに外方を向くように第1コネクタおよび第2コネクタを嵌合面上で互いに重ね合わせて嵌合面に沿って相対的にスライドさせることにより、それぞれの第1コンタクトの変位可能部が変位した状態で第1接点部が対応する第2コンタクトの第2接点部に接触して第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合し、第1コンタクトの第1段差面と対応する第2コンタクトの第2段差面とが嵌合面に垂直な方向に重なり合うものである。
【0008】
第1接点部は、第1段差面を挟んで第1段差面よりも第1絶縁体シートに近い位置と第1段差面よりも第1絶縁体シートから遠い位置に配置された2つの第1接点面を有し、第2接点部は、第2段差面を挟んで第2段差面よりも第2絶縁体シートに近い位置と第2段差面よりも第2絶縁体シートから遠い位置に配置された2つの第2接点面を有し、第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合したときに、第1接点部の2つの第1接点面のどちらか一方が対応する第2接点部の2つの第2接点面のどちらか一方に接触することが好ましい。
また、それぞれの第2コンタクトは、第2絶縁体シートの表面に対して垂直方向に突出する突起部と、突起部の突出方向の端部において第2絶縁体シートの表面に沿って張り出す傘部とを有し、第2段差面は、傘部に形成され、それぞれの第1コンタクトは、第2コンタクトの傘部に対応する凹部を有し、第1段差面は、凹部に形成されるように構成することができる。
それぞれの第1コンタクトの凹部とそれぞれの第2コンタクトの突起部および傘部は、アディティブメッキにより形成することができる。
【0009】
好ましくは、それぞれの第1コンタクトの一端に変位可能部が配置され、他端にはんだ付け端子が配置されている。
また、それぞれの第1コンタクトの変位可能部は、複数の第1コンタクトの配列方向に変位可能なバネ性を備えた第1可動部と、第1可動部に連結され且つ複数の第1コンタクトの配列方向とは直交する方向に変位可能なバネ性を備えると共に第1段差面および第1接点部が形成された第2可動部とを有することが好ましい。
この場合、第1コンタクトの第1可動部は、複数の第1コンタクトの配列方向とは直交する方向に延びる片持ち梁形状を有し、第2可動部は、第1可動部の先端に連結されていることが好ましい。
さらに、それぞれの第1コンタクトの第1可動部および第2可動部のうち第1可動部の表面上にのみ第1絶縁体シートが貼り付けられることが好ましい。
それぞれの第1コンタクトの第1可動部は、第2可動部の幅よりも広い幅を有することができる。
【0010】
好ましくは、第1絶縁体シートおよび第2絶縁体シートは、それぞれポリイミドから形成されている。
また、第1コネクタは、複数の第1コンタクトが配列されている表面とは反対側の第1絶縁体シートの裏面上に貼り付けられた補強板を有することができる。
さらに、第1コネクタおよび第2コネクタは、複数の第1コンタクトおよび複数の第2コンタクトの配列方向の両端部にそれぞれ配置され且つ互いの嵌合状態を保持するための第1ロック部および第2ロック部を有することが好ましい。
また、第1コネクタは、互いに隣接する第1コンタクトの間に形成されると共に複数の第1コンタクトの配列方向におけるそれぞれの第1可動部の最大変位量を規制するための複数の変位規制部を有することもできる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、第1コネクタの第1コンタクトが変位可能部を有すると共に変位可能部に第1段差面と第1接点部とが配置され、第2コネクタの第2コンタクトに第2段差面と第2接点部とが配置され、第1コネクタおよび第2コネクタを嵌合面上で互いに重ね合わせて嵌合したときに、第1コンタクトの変位可能部が変位した状態で第1接点部が対応する第2コンタクトの第2接点部に接触し、第1コンタクトの第1段差面と対応する第2コンタクトの第2段差面とが嵌合面に垂直な方向に重なり合うので、嵌合面上で互いに重ね合わせて嵌合される第1コネクタおよび第2コネクタの嵌合面に垂直な方向への外れを防止しながらも薄型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る薄型コネクタのレセプタクルとプラグを斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る薄型コネクタのレセプタクルとプラグを斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】実施の形態1の薄型コネクタに用いられたレセプタクルを示し、(A)は斜め上方から見た斜視図、(B)は斜め下方から見た斜視図、(C)は平面図、(D)は底面図である。
【
図4】レセプタクルに用いられた補強板を示す平面図である。
【
図5】レセプタクルに用いられた絶縁体シートを示す平面図である。
【
図6】レセプタクルコンタクトを示す平面図である。
【
図7】(A)および(B)はそれぞれレセプタクルの要部を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】レセプタクルコンタクトを示す部分拡大断面図である。
【
図9】補強板を除去した状態のレセプタクルの要部を示す部分平面図である。
【
図10】レセプタクルの端部導電部材を示す斜視図である。
【
図11】レセプタクルの端部導電部材の部分拡大断面図である。
【
図13】実施の形態1の薄型コネクタに用いられたプラグを示し、(A)は斜め上方から見た斜視図、(B)は斜め下方から見た斜視図、(C)は平面図、(D)は底面図である。
【
図14】プラグコンタクトに形成された突起部を示し、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【
図15】プラグの端部導電部材に形成された突起部を示す断面図である。
【
図17】実施の形態1に係る薄型コネクタの嵌合前の状態を示す平面図である。
【
図18】(A)は嵌合前のレセプタクルコンタクトとプラグコンタクトの位置関係を示す部分平面図、(B)は嵌合開始時のレセプタクルコンタクトとプラグコンタクトの位置関係を示す部分平面図である。
【
図19】実施の形態1に係る薄型コネクタの嵌合完了時の状態を示す平面図である。
【
図20】嵌合完了時のレセプタクルコンタクトとプラグコンタクトの位置関係を示す部分平面図である。
【
図21】嵌合完了時のプラグコンタクトの突起部とレセプタクルコンタクトを示す断面図である。
【
図22】嵌合完了時のレセプタクルコンタクトとプラグコンタクトの位置関係を示す部分斜視図である。
【
図23】嵌合完了時のレセプタクルの端部導電部材とプラグの端部導電部材を示す部分平面図である。
【
図24】嵌合完了時のレセプタクルの端部導電部材とプラグの端部導電部材を示す部分断面図である。
【
図25】嵌合前後のレセプタクルコンタクトとプラグコンタクトの位置関係を示す部分平面図である。
【
図26】実施の形態2に係る薄型コネクタのレセプタクルに用いられたレセプタクルコンタクトを示す平面図である。
【
図27】実施の形態3に係る薄型コネクタのレセプタクルを示し、(A)は斜め上方から見た斜視図、(B)は平面図である。
【
図28】実施の形態3に係る薄型コネクタのレセプタクルにおけるレセプタクルコンタクトの近傍を示し、(A)は部分斜視図、(B)は部分平面図である。
【
図29】実施の形態3の変形例に係る薄型コネクタのレセプタクルにおけるレセプタクルコンタクトの近傍を示す部分平面図である。
【
図30】従来のコネクタの構成を示す斜視図である。
【
図31】従来のコネクタに用いられたレセプタクルを示す平面図である。
【
図32】従来のコネクタに用いられたプラグを示す斜視図である。
【
図33】従来のコネクタのプラグコンタクトを示す側面図である。
【
図34】嵌合時の従来のコネクタを示す部分側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1および
図2に、この発明の実施の形態1に係る薄型コネクタの構成を示す。薄型コネクタは、平板状のレセプタクル(第1コネクタ)11と平板状のプラグ(第2コネクタ)12とを備えており、これらレセプタクル11およびプラグ12を互いに重ね合わせた状態で嵌合が行われる。
図1および
図2では、レセプタクル11およびプラグ12が互いに平行で間隔を隔てて配置され、斜め上方から見た様子、および、斜め下方から見た様子がそれぞれ示されている。
【0014】
レセプタクル11は、2列に配列された複数のレセプタクルコンタクト(第1コンタクト)13を有し、プラグ12は、2列に配列された複数のプラグコンタクト(第2コンタクト)14を有している。これら複数のレセプタクルコンタクト13と複数のプラグコンタクト14は、互いに同一のピッチPで配列されている。
ここで、平板状のレセプタクル11およびプラグ12が延びる平面をXY面、複数のレセプタクルコンタクト13および複数のプラグコンタクト14の配列方向をY方向とし、レセプタクル11がプラグ12に対してZ方向に間隔を隔てて配置されているものとする。
【0015】
レセプタクル11は、
図3(A)〜(D)に示されるように、ステンレス等からなる補強板15と、ポリイミド等からなる絶縁体シート(第1絶縁体シート)16と、銅等からなる導電材17が−Z方向に向かって順次貼り合わされた3層構造を有している。
導電材17をXY面内でパターニングすることにより、2列に配列された複数のレセプタクルコンタクト13と、複数のレセプタクルコンタクト13を挟むように+Y方向端部および−Y方向端部にそれぞれ配置された矩形状の端部導電部材18が形成されている。
また、レセプタクル11の+Y方向端部および−Y方向端部には、それぞれ積層体をZ方向に貫通する開口部19が形成されている。
【0016】
図4に示されるように、補強板15は、枠形状を有する部材であり、それぞれY方向に延び且つX方向に間隔を隔てて平行に配置された一対の長辺部15aと、一対の長辺部15aの+Y方向端部および−Y方向端部をそれぞれ連結する一対の矩形状の短辺部15bを備えている。補強板15の中央には、一対の長辺部15aと一対の短辺部15bとにより囲まれた開口部15cが形成されている。また、一対の短辺部15bは、それぞれ枠形状を有し、内側に開口部15dを有している。
【0017】
図5に示されるように、絶縁体シート16も、補強板15に対応した枠形状を有する部材であり、それぞれY方向に延び且つX方向に間隔を隔てて平行に配置された一対の長辺部16aと、一対の長辺部16aの+Y方向端部および−Y方向端部をそれぞれ連結する一対の矩形状の短辺部16bを備えている。一対の短辺部16bの間には、複数のレセプタクルコンタクト13と同一の配列ピッチPでY方向に配列され且つそれぞれX方向に延びて一対の長辺部16aの間を連結する複数のブリッジ部16cが配置され、互いに隣接するブリッジ部16cの間に開口部16dが形成されている。また、一対の短辺部16bは、それぞれ枠形状を有し、内側に開口部16eを有している。
【0018】
レセプタクルコンタクト13は、XY面上に延びる平板状の部材であるが、レセプタクル11の2列のレセプタクルコンタクト13のうち、+X方向側に配列された複数のレセプタクルコンタクト13は、それぞれ、
図6に示されるように、絶縁体シート16の長辺部16aに貼り付けられて保持される保持部13aを有し、保持部13aの+X方向端部には、絶縁体シート16から+X方向へ突出するはんだ付け端子部13bが形成されている。一方、保持部13aの−X方向端部には、−X方向に延びる片持ち梁形状の第1可動部13cの付け根部分が連結され、第1可動部13cの先端部分に第2可動部13dの付け根部分が連結されている。第2可動部13dは、第1可動部13cの先端部分から+X方向および−Y方向に向かって斜めに延び、第2可動部13dの先端部分13eは、所定の曲率で丸みを帯びた円弧形状を有し、この先端部分13eにより形成される円弧の延長線上に、先端部分13eに連続して、ほぼ+X方向を向いた円弧状のレセプタクル接点部(第1接点部)13fが形成されている。
また、第1可動部13cに対向するように、保持部13aの−X方向端部から−X方向および+Y方向に延びる補助腕部13gが配置され、補助腕部13gの先端部分に、ほぼ−X方向を向いた円弧状のレセプタクル補助接点部(第1接点部)13hが形成されている。
【0019】
レセプタクル11の2列のレセプタクルコンタクト13のうち、−X方向側に配列された複数のレセプタクルコンタクト13は、X方向に関して、
図6に示したレセプタクルコンタクト13と対称の向きに配置されている。
レセプタクルコンタクト13がこのような形状を有することにより、第1可動部13cは、複数のレセプタクルコンタクト13の配列方向であるY方向に変位可能なバネ性を有し、一方、第2可動部13dは、複数のレセプタクルコンタクト13の配列方向と直交する方向であるX方向に主に変位可能なバネ性を有している。
【0020】
図7(A)および(B)に示されるように、それぞれのレセプタクルコンタクト13の第1可動部13cの直上(+Z方向側)に絶縁体シート16の対応するブリッジ部16cが位置し、第1可動部13cの表面上にブリッジ部16cが貼り付けられている。これに対して、レセプタクルコンタクト13の第2可動部13dの直上には絶縁体シート16のブリッジ部16cは存在していない。
【0021】
第2可動部13dには、円弧形状の先端部分13eに沿って+Z方向側に円弧状の凹部R1が形成され、凹部R1に、絶縁体シート16側を向いた、すなわち、+Z方向を向いた段差面(第1段差面)13qが形成されている。そして、段差面13qよりも絶縁体シート16に近い+Z方向側に隣接し且つ先端部分13eの円弧に沿って絶縁体シート16の表面に沿う方向を向いた接点面(第1接点面)13rが形成されると共に、段差面13qよりも絶縁体シート16から遠い−Z方向側に隣接し且つ先端部分13eの円弧に沿って絶縁体シート16の表面に沿う方向を向いたもう1つの接点面(第1接点面)13kが形成され、これら2つの接点面13rおよび13kによりレセプタクル接点部13fが形成されている。
【0022】
また、補助腕部13gには、円弧形状の先端部分に沿って+Z方向側に円弧状の凹部R2が形成され、凹部R2に、絶縁体シート16側を向いた、すなわち、+Z方向を向いた段差面(第1段差面)13mが形成されている。そして、段差面13mよりも絶縁体シート16に近い+Z方向側に隣接し且つ補助腕部13gの先端部分の円弧に沿って絶縁体シート16の表面に沿う方向を向いた接点面(第1接点面)13nが形成されると共に、段差面13mよりも絶縁体シート16から遠い−Z方向側に隣接し且つ補助腕部13gの先端部分の円弧に沿って絶縁体シート16の表面に沿う方向を向いたもう1つの接点面(第1接点面)13pが形成され、これら2つの接点面13nおよび13pによりレセプタクル補助接点部13hが形成されている。
【0023】
図8に示されるように、第2可動部13dの段差面13qと補助腕部13gの段差面13mは、互いに同一のZ方向位置に位置しており、第2可動部13dの接点面13rおよび13kが、それぞれ、補助腕部13gの接点面13nおよび13pに対向している。
【0024】
図9に示されるように、絶縁体シート16の複数のブリッジ部16cが、それぞれ、対応する一対のレセプタクルコンタクト13の第1可動部13c、すなわち、+X方向側に配置されたレセプタクルコンタクト13の第1可動部13cと−X方向側に配置されたレセプタクルコンタクト13の第1可動部13cの表面上に貼り付けられており、それぞれのレセプタクルコンタクト13の第2可動部13dおよび補助腕部13gは、絶縁体シート16の対応する開口部16dを通して露出している。
【0025】
このように、レセプタクルコンタクト13の第1可動部13cおよび第2可動部13dのうち第1可動部13cの表面上にのみ絶縁体シート16のブリッジ部16cが貼り付けられているため、互いに同じ大きさの応力で且つ第1可動部13cにY方向を向いた応力が、第2可動部13dにX方向を向いた応力が、それぞれ作用したときに、第2可動部13dの方が変位しやすく、第1可動部13cは、絶縁体シート16のブリッジ部16cにより変位が抑制されて第2可動部13dよりも変位しにくくなる。
【0026】
図10に示されるように、導電材17の端部導電部材18は、枠形状を有し、内側に矩形状の開口部18aを有している。さらに、開口部18aの+X方向端部および−X方向端部には、それぞれ、Y方向に延び且つX方向に弾性変形可能な梁部材18bが配置され、双方の梁部材18bのY方向における中央部に、互いに対向するように開口部18aの内部を向いた突起18cが形成されている。
開口部18aの−X方向端部に配置されている梁部材18bの突起18cには、
図11に示されるように、+Z方向を向いた段差面18dが形成されている。開口部18aの+X方向端部に配置されている梁部材18bの突起18cにも、同様に、+Z方向を向いた段差面18dが形成されている。
そして、これらの梁部材18b、突起18cおよび段差面18dにより、第1ロック部が構成されている。
【0027】
レセプタクル11は、例えば、
図12に示されるように、ポリイミドと銅からなる2層構造の積層体のポリイミド層をエッチング加工して絶縁体シート16を形成すると共に銅層をエッチング加工し、さらに、アディティブメッキを施すことにより凹部R1およびR2を有する複数のレセプタクルコンタクト13と一対の端部導電部材18からなる導電材17を形成した後、導電材17にニッケル/金メッキを施し、熱硬化接着シートを用いて、エッチング加工あるいはプレス加工により形成されたステンレス製の補強板15を絶縁体シート16の上に貼り付けることで作製することができる。
【0028】
このとき、補強板15の一対の長辺部15aが絶縁体シート16の一対の長辺部16aの上に貼り付けられる。また、補強板15の一対の短辺部15bの開口部15dと、絶縁体シート16の一対の短辺部16bの開口部16eと、導電材17の一対の端部導電部材18の開口部18aが、互いに位置合わせされて、レセプタクル11の一対の開口部19を形成する。
なお、複数のレセプタクルコンタクト13と一対の端部導電部材18は、エッチング加工ではなく、アディティブメッキを施すことにより形成してもよく、この場合、ポリイミドシートの表面上に銅シード層が形成された材料を使用することができる。
【0029】
プラグ12は、
図13(A)〜(D)に示されるように、ポリイミド等からなる絶縁体シート(第2絶縁体シート)21の−Z方向側の表面上に、銅等からなる導電材22が貼り合わされた2層構造を有している。
導電材22をXY面内でパターニングすることにより、+X方向側と−X方向側の2列に配列された複数のプラグコンタクト14が形成されると共に、複数のプラグコンタクト14を挟むように+Y方向端部および−Y方向端部にそれぞれ配置された一対の矩形状の端部導電部材23が形成され、さらに、+X方向側の複数のプラグコンタクト14と−X方向側の複数のプラグコンタクト14の間をY方向に延びて双方の端部導電部材23を互いに連結する連結部材24が形成されている。
【0030】
複数のプラグコンタクト14は、それぞれ、絶縁体シート21を貫通して+Z方向に突出する突起部14aを有し、一対の端部導電部材23は、それぞれ絶縁体シート21を貫通して+Z方向に突出する矩形状の突起部23aを有している。なお、複数のプラグコンタクト14の突起部14aは、それぞれレセプタクル11の複数のレセプタクルコンタクト13に対応する位置に形成されているものとする。
また、一対の端部導電部材23の突起部23aは、第2ロック部を構成するもので、それぞれレセプタクル11の一対の開口部19に対応する位置に形成されると共に、レセプタクル11の端部導電部材18に形成された一対の梁部材18bのX方向の間隔よりわずかに短く且つ一対の突起18cのX方向の間隔よりわずかに長いX方向長さを有し、また、レセプタクル11の対応する開口部19のY方向長さに対して1/2程度のY方向長さを有している。
【0031】
プラグ12の2列のプラグコンタクト14のうち、+X方向側に配列された複数のプラグコンタクト14に形成されている突起部14aは、それぞれ、
図14(A)に示されるように、中心軸がZ方向に向けられた、ほぼ5角柱形状を有している。この突起部14aの5つの側面のうち、YZ面に沿って延び且つ−X方向を向いた側面に平坦なプラグ接点部(第2接点部)14bが形成され、YZ面に沿って延び且つ+X方向を向いた側面、すなわち、プラグ接点部14bとは反対側の側面に平坦なプラグ補助接点部(第2接点部)14cが形成されている。
さらに、突起部14aの5つの側面のうち、プラグ接点部14bの+Y方向側に隣接する側面は、−X方向および+Y方向を向いており、プラグ接点部14bに対して傾斜する傾斜面14dを形成している。
【0032】
図14(B)に示されるように、突起部14aの+Z方向端部には、レセプタクルコンタクト13の凹部R1およびR2に対応し且つXY面に沿って張り出す傘部Uが形成され、傘部Uに、絶縁体シート21側を向いた、すなわち、−Z方向を向いた段差面(第2段差面)14eが形成されている。そして、突起部14aの−X方向側の側部において、段差面14eよりも絶縁体シート21から遠い+Z方向側に隣接し且つ絶縁体シート21の表面に沿う方向を向いた接点面(第2接点面)14fが形成されると共に、段差面14eよりも絶縁体シート21に近い−Z方向側に隣接し且つ絶縁体シート21の表面に沿う方向を向いたもう1つの接点面(第2接点面)14gが形成され、これら2つの接点面14fおよび14gによりプラグ接点部14bが形成されている。
【0033】
また、突起部14aの+X方向側の側部において、段差面14eよりも絶縁体シート21から遠い+Z方向側に隣接し且つ絶縁体シート21の表面に沿う方向を向いた接点面(第2接点面)14hが形成されると共に、段差面14eよりも絶縁体シート21に近い−Z方向側に隣接し且つ絶縁体シート21の表面に沿う方向を向いたもう1つの接点面(第2接点面)14qが形成され、これら2つの接点面14hおよび14qによりプラグ補助接点部14cが形成されている。
【0034】
プラグ12の2列のプラグコンタクト14のうち、−X方向側に配列された複数のプラグコンタクト14に形成されている突起部14aは、それぞれ、X方向に関して、
図14(A)に示した突起部14aと対称の向きに配置されている。
また、
図15に示されるように、それぞれの端部導電部材23の突起部23aには、XY面上に、−Z方向を向いた段差面23cが形成されている。
【0035】
プラグ12は、例えば、
図16に示されるように、ポリイミドと銅からなる2層構造の積層体のポリイミド層を銅層の表面が露出するまでエッチング加工して、複数のプラグコンタクト14の突起部14aに対応した複数の孔21aを形成すると共に一対の端部導電部材23の突起部23aに対応した一対の矩形状の孔21bを形成する一方、銅層を複数のプラグコンタクト14と一対の端部導電部材23と連結部材24の形状にエッチング加工し、さらに、アディティブメッキを施すことにより複数のプラグコンタクト14の傘部Uを有する突起部14aおよび一対の端部導電部材23の突起部23aを形成した後、導電材22にニッケル/金メッキを施すことで作製することができる。
なお、複数のプラグコンタクト14と一対の端部導電部材23と連結部材24は、エッチング加工ではなく、ポリイミドシートの表面上に銅シード層が形成された材料を使用し、アディティブメッキを施すことにより形成することもできる。
【0036】
次に、実施の形態1に係る薄型コネクタの嵌合時の動作について説明する。まず、
図1に示したように、プラグ12の上方(+Z方向)にレセプタクル11を位置させ、レセプタクル11を下降させてプラグ12の上に重ね合わせる。このとき、レセプタクル11の絶縁体シート16とプラグ12の絶縁体シート21が互いに外方を向くように、レセプタクル11とプラグ12が配置され、レセプタクル11の導電材17の下面(−Z方向を向いた面)およびプラグ12の絶縁体シート21の上面(+Z方向を向いた面)により薄型コネクタの嵌合面が形成される。
また、
図17に示されるように、プラグ12の複数のプラグコンタクト14の突起部14aが、それぞれ、レセプタクル11の絶縁体シート16の対応する開口部16d内で、対応するレセプタクルコンタクト13に対向すると共に、プラグ12の一対の端部導電部材23の突起部23aが、それぞれ、レセプタクル11の対応する開口部19に挿入されて開口部19内の−Y方向側端部に位置するように、レセプタクル11とプラグ12との位置合わせがなされる。
【0037】
プラグ12の端部導電部材23の突起部23aがレセプタクル11の対応する開口部19内の−Y方向側端部に位置することで、この突起部23aは、開口部19内において、レセプタクル11の端部導電部材18に形成された一対の突起18cに接触することなく、一対の梁部材18bの間に位置するが、上述したように、突起部23aは、レセプタクル11の一対の梁部材18bのX方向の間隔よりわずかに短いX方向長さを有している。このため、突起部23aの位置が一対の梁部材18bによって拘束されることはなく、プラグ12は嵌合面上で+Y方向にスライド可能な状態にある。
【0038】
また、このとき、
図18(A)に示されるように、プラグ12の複数のプラグコンタクト14の突起部14aは、それぞれ、対応するレセプタクルコンタクト13に対向するものの、レセプタクルコンタクト13から離れており、プラグコンタクト14とレセプタクルコンタクト13は、互いに電気的に遮断されている。なお、プラグコンタクト14の突起部14aは、−X方向および+Y方向に向けられた傾斜面14dが、対応するレセプタクルコンタクト13の第2可動部13dの先端部分13eに対向している。
【0039】
この状態から、プラグ12をレセプタクル11に対して相対的に+Y方向にスライドさせると、まず、
図18(B)に示されるように、プラグコンタクト14の突起部14aの傾斜面14dが、対応するレセプタクルコンタクト13の第2可動部13dの丸みを帯びた先端部分13eに接触し、その後、この先端部分13eを−X方向および+Y方向へ押し込みながら+Y方向に移動する。これにより、レセプタクルコンタクト13の第2可動部13dは、−X方向へ変位し、第1可動部13cは、+Y方向へ変位する。
【0040】
そして、
図19に示されるように、プラグ12の一対の端部導電部材23の突起部23aが、それぞれ、レセプタクル11の対応する開口部19内の+Y方向側端部に位置するまでプラグ12をレセプタクル11に対して相対的に+Y方向にスライドさせると、
図20に示されるように、プラグコンタクト14の突起部14aが、レセプタクルコンタクト13の第2可動部13dのレセプタクル接点部13fと補助腕部13gのレセプタクル補助接点部13hにより挟まれる位置まで進み、−X方向へ変位したレセプタクルコンタクト13の第2可動部13dのバネ性により、プラグコンタクト14の突起部14aの−X方向に向けられた側面に形成されているプラグ接点部14bとレセプタクルコンタクト13の第2可動部13dの+X方向を向いたレセプタクル接点部13fとが所定の接触力をもって接触し、互いに電気導通される。これにより、レセプタクル11とプラグ12とが嵌合状態となる。
【0041】
このとき、
図21に示されるように、レセプタクルコンタクト13の第2可動部13dの2つの接点面13r、13kのどちらか一方が、プラグコンタクト14の突起部14aの2つの接点面14f、14gのどちらか一方に接触することで、レセプタクル接点部13fとプラグ接点部14bとが電気導通されることとなる。
同様に、レセプタクルコンタクト13の補助腕部13gの2つの接点面13n、13pのどちらか一方が、プラグコンタクト14の突起部14aの2つの接点面14h、14qのどちらか一方に接触することで、レセプタクル補助接点部13hとプラグ補助接点部14cとの間においても、電気導通がなされるように構成されている。
【0042】
また、レセプタクル11とプラグ12の嵌合状態においては、レセプタクルコンタクト13の第2可動部13dの+Z方向を向いた段差面13qとプラグコンタクト14の突起部14aの−Z方向を向いた段差面14eとが、互いに対向しつつ嵌合面に垂直なZ方向に重なり合うと共に、レセプタクルコンタクト13の補助腕部13gの+Z方向を向いた段差面13mとプラグコンタクト14の突起部14aの−Z方向を向いた段差面14eとが、互いに対向しつつ嵌合面に垂直なZ方向に重なり合って、
図22に示されるように、レセプタクルコンタクト13の段差面13qおよび13mの+Z方向の直上にプラグコンタクト14の段差面14eが位置することとなる。このため、レセプタクル11とプラグ12との間に、嵌合面に対して垂直なZ方向に互いに引き離そうとする外力が作用しても、レセプタクル接点部13fがプラグ接点部14bからZ方向に外れることが防止されると共に、レセプタクル補助接点部13hがプラグ補助接点部14cからZ方向に外れることが防止される。
【0043】
なお、プラグ12の一対の端部導電部材23の突起部23aが、それぞれ、レセプタクル11の対応する開口部19内の+Y方向側端部に位置すると、
図23に示されるように、突起部23aは、開口部19内において、レセプタクル11の端部導電部材18に形成された一対の突起18cによりX方向に挟まれ、一対の梁部材18bが弾性変形してプラグ12の突起部23aを押さえつける。これにより、レセプタクル11とプラグ12の嵌合状態がロックされ、レセプタクル接点部13fとプラグ接点部14bの電気導通およびレセプタクル補助接点部13hとプラグ補助接点部14cの電気導通が維持される。
このとき、
図24に示されるように、レセプタクル11の突起18cの+Z方向を向いた段差面18dとプラグ12の突起部23aの−Z方向を向いた段差面23cとが、互いに対向しつつ嵌合面に垂直なZ方向に重なり合う。このため、レセプタクル11の突起18cがプラグ12の端部導電部材23からZ方向に外れることが防止される。
【0044】
このように、レセプタクル11とプラグ12の嵌合状態においては、レセプタクル11のレセプタクルコンタクト13の段差面13qおよび13mとプラグ12のプラグコンタクト14の段差面14eがZ方向に重なり合うと共に、レセプタクル11の端部導電部材18の段差面18dとプラグ12の端部導電部材23の段差面23cがZ方向に重なり合うので、レセプタクル11とプラグ12との間に嵌合面に対して垂直なZ方向に互いに引き離そうとする外力が作用しても、レセプタクル11とプラグ12はZ方向に外れることが防止される。
【0045】
また、レセプタクルコンタクト13の第1可動部13cは、Y方向に変位可能に形成されているため、レセプタクルコンタクト13およびプラグコンタクト14の寸法公差を吸収しつつレセプタクル接点部13fとプラグ接点部14bの電気導通がなされるが、レセプタクルコンタクト13の第1可動部13cおよび第2可動部13dのうち第1可動部13cの表面上にのみ絶縁体シート16のブリッジ部16cが貼り付けられているので、第2可動部13dの方が変位しやすく、第1可動部13cは第2可動部13dよりも変位しにくく構成されている。
従って、
図25に示されるように、プラグコンタクト14の突起部14aの相対的な移動による第1可動部13cのY方向における変位量ΔYは、最大値でも、第2可動部13dのX方向における変位量ΔXよりも小さくなる。すなわち、レセプタクルコンタクト13の第2可動部13dは、X方向に大きく変位してレセプタクル接点部13fとプラグ接点部14bの間に所定の接触力を生成するが、第1可動部13cのY方向における変位量ΔYは小さく、接続の信頼性を高めながらも狭ピッチ化を図ることが可能となる。
【0046】
レセプタクルコンタクト13の第2可動部13dの段差面13qの+Z方向側および−Z方向側に隣接する2つの接点面13r、13kのどちらか一方が、プラグコンタクト14の突起部14aの段差面14eの+Z方向側および−Z方向側に隣接する2つの接点面14f、14gどちらか一方に接触することで、レセプタクル接点部13fとプラグ接点部14bとの電気導通を行うので、プラグコンタクト14の突起部14aのZ方向の高さおよびレセプタクルコンタクト13のZ方向の厚さを小さくすることができると共にレセプタクル11の絶縁体シート16およびプラグ12の絶縁体シート21を薄くすることができ、コネクタの薄型化を図ることが可能となる。
【0047】
さらに、レセプタクル11の絶縁体シート16を薄くすることができるので、レセプタクルコンタクト13を1枚の金属板から形成してレセプタクルコンタクト13の一端をはんだ付け端子部13bとして利用する場合、コネクタを搭載する図示しない基板のはんだ付けパッドからはんだ付け端子部13bまでの距離が短くなり、はんだ付け作業が容易となる。
また、プラグコンタクト14の突起部14aの高さを小さくすることができるので、突起部14aの作製に係るメッキ形成量および作業時間が削減され、コストダウンが可能となる。
さらに、プラグコンタクト14の突起部14aの高さを小さくすることで、レセプタクル11とプラグ12との嵌合時における突起部14aの破損等のおそれを低減することができる。
【0048】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、レセプタクルコンタクト13の第1可動部13cおよび第2可動部13dのうち第1可動部13cの表面上にのみ絶縁体シート16のブリッジ部16cを貼り付けることで、第1可動部13cを第2可動部13dよりも変位しにくい構造とし、レセプタクル11とプラグ12の嵌合の前後におけるレセプタクルコンタクト13の第1可動部13cのY方向における変位量ΔYを第2可動部13dのX方向における変位量ΔXよりも小さくしているが、これに限るものではない。
【0049】
図26に、実施の形態2に係る薄型コネクタのレセプタクルに用いられるレセプタクルコンタクト33を示す。このレセプタクルコンタクト33は、
図6に示した実施の形態1におけるレセプタクルコンタクト13において、第1可動部13cの代わりに幅広の第1可動部33cを用いたもので、その他の部分は、実施の形態1におけるレセプタクルコンタクト13と同様である。
第1可動部33cの幅W1が第2可動部13dの幅W2よりも広く設定されており、第1可動部33cは、第2可動部13dよりも変位しにくい構造を有している。
【0050】
このようなレセプタクルコンタクト33を使用すれば、第1可動部33cの表面上に絶縁体シート16のブリッジ部16cを貼り付けることなく、レセプタクル11とプラグ12の嵌合の前後におけるレセプタクルコンタクト33の第1可動部33cのY方向における変位量ΔYを第2可動部13dのX方向における変位量ΔXよりも小さくすることができる。
このため、実施の形態1と同様に、レセプタクル11とプラグ12のZ方向への外れを防止すると共にコネクタの薄型化を実現しながらも、さらなる狭ピッチ化を図ることが可能となる。
【0051】
実施の形態3
実施の形態3に係る薄型コネクタのレセプタクル41を
図27(A)および(B)に示す。
レセプタクル41は、平板形状を有し、枠形状のレセプタクルインシュレータ42と、レセプタクルインシュレータ42に保持され且つ2列に配列された複数のレセプタクルコンタクト(第1コンタクト)43を有している。レセプタクルインシュレータ42は、Y方向に隣接するレセプタクルコンタクト43の間を仕切るようにX方向に延びる複数の梁形状の変位規制部45を有している。
ここで、平板状のレセプタクル41が延びる平面をXY面、複数のレセプタクルコンタクト43の配列方向をY方向とし、XY面に垂直な方向をZ方向とする。
【0052】
レセプタクルコンタクト43は、
図28(A)に示されるように、実施の形態1で用いられたレセプタクルコンタクト13と同様に、レセプタクルインシュレータ42に保持される保持部43aと、保持部43aから−X方向に延びる片持ち梁形状の第1可動部43cと、第1可動部43cの先端部分に連結された第2可動部43dを有し、第2可動部43dの先端部分にほぼ+X方向を向いたレセプタクル接点部(第1接点部)43fが形成されている。
第1可動部43cは、複数のレセプタクルコンタクト43の配列方向であるY方向に変位可能なバネ性を有し、一方、第2可動部43dは、複数のレセプタクルコンタクト43の配列方向と直交する方向であるX方向に主に変位可能なバネ性を有している。
【0053】
図28(B)に示されるように、このようなレセプタクル41のレセプタクルコンタクト43の近傍に、図示しないプラグの対応するプラグコンタクトの突起部44aを位置させ、レセプタクル41に対するプラグの相対的なスライド動作に伴って突起部44aを−Y方向に移動させると、突起部44aにより押し込まれて、レセプタクルコンタクト43の第2可動部43dは、−X方向へ変位し、第1可動部43cは、−Y方向へ変位する。そして、レセプタクル41とプラグとが嵌合状態になると、突起部44aの側面に形成されたプラグ接点部44bとレセプタクルコンタクト43の第2可動部43dのレセプタクル接点部43fとが所定の接触力をもって接触し、互いに電気導通される。
【0054】
なお、図示省略されているが、レセプタクル接点部43fは、実施の形態1におけるレセプタクル接点部13fと同様に、+Z方向を向いた段差面を挟んで段差面の+Z方向側と−Z方向側にそれぞれ隣接する2つの接点面を有し、プラグ接点部44bは、実施の形態1におけるプラグ接点部14bと同様に、−Z方向を向いた段差面を挟んで段差面の+Z方向側と−Z方向側にそれぞれ隣接する2つの接点面を有している。そして、嵌合時には、レセプタクル接点部43fの2つの接点面のどちらか一方がプラグ接点部44bの2つの接点面のどちらか一方に接触することで電気導通がなされると共に、レセプタクル接点部43f側の段差面とプラグ接点部44b側の段差面とが、互いに対向しつつ嵌合面に垂直なZ方向に重なり合うように構成されている。
このため、レセプタクル41とプラグのZ方向への外れを防止すると共にコネクタの薄型化を実現することが可能となる。
【0055】
また、レセプタクルインシュレータ42には、Y方向に隣接するレセプタクルコンタクト43の間を仕切るようにX方向に延びる梁形状の変位規制部45が形成されているので、−Y方向へ変位する第1可動部43cの最大変位量が変位規制部45によって規制され、第1可動部43cが変位規制部45に接触すると、第1可動部43cは、それ以上−Y方向に変位できなくなる。一方、第2可動部43dに対しては、X方向への変位を規制する変位規制部が存在しない。このため、第1可動部43cのY方向における変位量は、第2可動部43dのX方向における変位量よりも小さくなる。その結果、接続の信頼性を高めながらも狭ピッチ化を図ることが可能となる。
【0056】
なお、Y方向に隣接するレセプタクルコンタクト43の間を仕切るようにX方向に延びる複数の梁形状の変位規制部45の代わりに、
図29に示されるように、それぞれのレセプタクルコンタクト43の第1可動部43cの先端部分の−Y方向側に近接して突起状の変位規制部55を配置することもできる。
コネクタの嵌合時に、−Y方向へ変位するレセプタクルコンタクト43の第1可動部43cが変位規制部55に接触すると、第1可動部43cは、それ以上−Y方向に変位できなくなり、第1可動部43cの最大変位量が変位規制部55によって規制される。
このような構造としても、第1可動部43cのY方向における変位量を、第2可動部43dのX方向における変位量よりも小さくすることができる。従って、レセプタクル41とプラグ12のZ方向への外れを防止すると共にコネクタの薄型化を実現しながらも、さらなる狭ピッチ化を図ることが可能となる。
【0057】
なお、上記の実施の形態1〜3では、レセプタクル11および41が、2列に配列された複数のレセプタクルコンタクト13、33または43を有し、プラグ12も、2列に配列された複数のプラグコンタクト14を有しているが、複数のレセプタクルコンタクトおよび複数のプラグコンタクトは、1列に配列してもよく、あるいは、3列以上に配列してもよい。