特許第6342322号(P6342322)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342322
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】エンジンの回転速度制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/04 20060101AFI20180604BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   F02D41/04 330B
   F02D41/04 330P
   F02D41/04 330G
   F02D45/00 314A
   F02D45/00 362J
   F02D45/00 364G
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-258839(P2014-258839)
(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公開番号】特開2016-118168(P2016-118168A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】小浦 真裕
(72)【発明者】
【氏名】上原 敦
【審査官】 藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−274291(JP,A)
【文献】 特開平04−330349(JP,A)
【文献】 特開2000−064880(JP,A)
【文献】 特開2008−008181(JP,A)
【文献】 特開2010−144647(JP,A)
【文献】 特開2000−104628(JP,A)
【文献】 特開2009−156206(JP,A)
【文献】 特開2005−207234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/00 〜 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルの開度、クランク軸の回転速度と、燃焼室への燃料の噴射量とを検知可能な検知装置と、
上記検知装置から、上記アクセルの開度、上記回転速度と、上記噴射量を表す情報を含む信号を受けると共に、定常状態の制御マップと、過渡状態の制御マップとを記憶している記憶部を有する制御装置と
を備え、
上記制御装置が、
上記アクセルの開度、上記回転速度と、上記噴射量のうちの少なくとも一つの単位時間当たりの変化率に基づいて、エンジンが定常状態か過渡状態かを判断し、上記エンジンが定常状態であると判断した場合には、上記定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置を制御する一方、上記エンジンが過渡状態であると判断した場合には、上記過渡状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように上記燃料噴射装置を制御する第1制御と、
上記過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、上記回転速度の変化が予め定められた条件を充足すると判断すると、上記定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように上記燃料噴射装置を制御する第2制御と
を実行可能であるとともに、
上記制御装置は、上記過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、予め定められた期間において、上記アクセルの開度の変動幅が予め定められた閾値以下であって、上記回転速度の変動幅が、予め定められた閾値以上であり、かつ、上記回転速度の変動周期が、予め定められた閾値以下であると判断すると、上記第2制御を実行することを特徴とするエンジンの回転速度制御装置。
【請求項2】
アクセルの開度、クランク軸の回転速度と、燃焼室への燃料の噴射量とを検知可能な検知装置と、
上記検知装置から、上記アクセルの開度、上記回転速度と、上記噴射量を表す情報を含む信号を受けると共に、定常状態の制御マップと、過渡状態の制御マップとを記憶している記憶部を有する制御装置と
を備え、
上記制御装置が、
上記アクセルの開度、上記回転速度と、上記噴射量のうちの少なくとも一つの単位時間当たりの変化率に基づいて、エンジンが定常状態か過渡状態かを判断し、上記エンジンが定常状態であると判断した場合には、上記定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置を制御する一方、上記エンジンが過渡状態であると判断した場合には、上記過渡状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように上記燃料噴射装置を制御する第1制御と、
上記過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、上記噴射量の変化が予め定められた条件を充足すると判断すると、上記定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように上記燃料噴射装置を制御する第2制御と
を実行可能であるとともに、
上記制御装置は、上記過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、予め定められた期間において、上記アクセルの開度の変動幅が予め定められた閾値以下であって、単位時間あたりの上記噴射量の変動幅が、予め定められた閾値以上であり、かつ、単位時間あたりの上記噴射量の噴射周期が、予め定められた閾値以下であると判断すると、上記第2制御を実行することを特徴とするエンジンの回転速度制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの回転速度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの回転速度制御装置としては、特開2001−41090号公報(特許文献1)に記載されているものがある。この回転速度制御装置は、燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量を電子制御している。また、この回転速度制御装置は、エンジンの回転速度(回転数)の変動状態に応じて燃料噴射量を制御し、エンジンの回転速度に基づくフィードバック制御も行っている。
【0003】
詳しくは、この回転速度制御装置は、必要な燃料噴射量を演算する際に、それ以前のエンジンの回転速度を参照し、この参照したエンジンの回転速度が目標回転速度よりも低い場合には、燃料噴射量を増量する一方、上記参照したエンジンの回転速度が目標回転数よりも高い場合には、燃料噴射量を減量する制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−41090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、上記従来の回転速度制御装置に関し、次に示す課題を見出した。
【0006】
すなわち、上記フィードバック制御においては、過渡入力に対する応答性と、定常状態における制御の安定性との間に背反関係(トレードオフの関係)がある。したがって、双方を両立させるための最適解を獲得するために、応答性および安定性の夫々に、ある程度の妥協が必要になる。
【0007】
しかしながら、これらのファクタに妥協をしたがために、吸気温度や外的負荷等で悪条件が重なると、回転変動が発生して回転変動が収束しない場合や、応答性が不十分となる場合がある。
【0008】
ここで、エンジンの定常状態と、エンジンの過渡状態との夫々で専用の制御マップを用意し、エンジンの定常状態とエンジンの過渡状態とで制御を切り換えると、エンジンの定常状態での安定性を良くでき、エンジンの過渡状態での応答性も促進できる。
【0009】
しかしながら、エンジンの定常状態とエンジンの過渡状態とで、専用の制御マップを用いた場合でも、過渡状態の制御マップでの制御中に、振幅や振動数が大きい回転変動が生じることがある。しかしながら、そのような場合、制御装置が、上記振幅や振動数が大きい回転変動に基づいて、エンジンが過渡状態であると判断して、過渡状態の制御マップを選択し続けることがある。そして、その結果、いつまでも回転変動が収束しないという不具合が発生することがある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、過渡状態の制御の応答性が良好で、定常状態に対する制御の安定性も向上でき、かつ、過渡状態の制御マップでの制御中に生じた回転変動も収束させ易いエンジンの回転速度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明のエンジンの回転速度制御装置は、
アクセルの開度、クランク軸の回転速度および燃焼室への燃料の噴射量とのうちの少なくとも一つを検知可能な検知装置と、
上記検知装置から、上記開度、上記回転速度および上記噴射量のうちの少なくとも一つを表す情報を含む信号を受けると共に、定常状態の制御マップと、過渡状態の制御マップとを記憶している記憶部を有する制御装置と
を備え、
上記制御装置が、
上記開度、上記回転速度および上記噴射量のうちの少なくとも一つの単位時間当たりの変化率に基づいて、エンジンが定常状態か過渡状態かを判断し、上記エンジンが定常状態であると判断した場合には、上記定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置を制御する一方、上記エンジンが過渡状態であると判断した場合には、上記過渡状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように上記燃料噴射装置を制御する第1制御と、
上記過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、上記回転速度の変化または上記噴射量の変化が予め定められた条件を充足すると判断すると、上記定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように上記燃料噴射装置を制御する第2制御と
を実行可能であることを特徴としている。
【0012】
尚、この明細書では、上記燃料噴射装置を、エンジンにおいて制御装置に制御されることによって燃料の噴射に寄与する構成部分と定義する。
【0013】
本発明によれば、制御装置が、第1制御で、エンジンが過渡状態であると判断すると、制御装置が、過渡状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置を制御する。したがって、エンジンが過渡状態であるときに、過渡状態の制御マップに従って燃料を噴射できるから、過渡状態の制御の応答性を良好なものにできる。
【0014】
また、本発明によれば、制御装置が、第1制御で、エンジンが定常状態であると判断すると、制御装置が、定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置を制御する。したがって、定常状態でのエンジンの安定性をより高くできる。
【0015】
更には、本発明によれば、制御装置が、第2制御で、過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、回転速度の変化または噴射量の変化が予め定められた条件を充足すると判断すると、制御装置が、定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置を制御する。しがって、従来技術とは異なり、過渡状態の制御マップに従う制御中に、渡状態の制御マップに従う制御がふさわしくない振幅や振動数が予め定められた値よりも大きい回転変動等が生じた場合でも、制御装置が、エンジンが過渡状態であると判断し続けることがなく、過渡状態の制御マップを選択し続けることがない。したがって、この場合に、いつまでも回転変動が収束しないという不具合が発生することを抑制できて、回転変動をより速く収束させることができる。したがって、過渡状態の制御マップでの制御中に生じた回転変動の収束性を向上させることができる。
【0016】
また、一実施形態では、
上記制御装置は、上記過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、予め定められた期間において、上記開度の変動幅が予め定められた閾値以下であって、上記回転速度の変動幅が、予め定められた閾値以上であり、かつ、上記回転速度の変動周期が、予め定められた閾値以下であると判断すると、上記第2制御を実行する。
【0017】
上記実施形態によれば、過渡状態の制御マップでの制御中に生じた回転変動を簡易な制御で効率的に収束させることができる。
【0018】
また、一実施形態では、
上記制御装置は、上記過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、予め定められた期間において、上記開度の変動幅が予め定められた閾値以下であって、単位時間あたりの上記噴射量の変動幅が、予め定められた閾値以上であり、かつ、単位時間あたりの上記噴射量の噴射周期が、予め定められた閾値以下であると判断すると、上記第2制御を実行する。
【0019】
上記実施形態によれば、過渡状態の制御マップでの制御中に生じた回転変動を簡易な制御で効率的に収束させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、過渡状態の制御の応答性を良好にでき、定常状態に対する制御の安定性も向上でき、かつ、過渡状態ではありえない回転変動もより速く収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態のディーゼルエンジンの構成の一部を示す模式構成図である。
図2】時間と、エンジンの回転速度との関係を模式的に表す図であり、ECUの燃料噴射制御を、わかり易く説明するための模式図である。
図3】時間と、エンジンの回転速度との関係を模式的に表す図であり、ECUの燃料噴射制御を、わかり易く説明するための模式図である。
図4】実際に生じた回転変動の一例を示す図であり、ECUが第2制御を行うか否かを如何に判定するかを説明するための図である。
図5】本実施形態におけるECUの制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のディーゼルエンジンの構成の一部を示す模式構成図である。
【0024】
図1に示すように、このディーゼルエンジンは、蓄圧式の燃料噴射装置10と、回転数制御装置20とを備える。燃料噴射装置10は、複数のインジェクタ1と、コモンレール2と、複数の分岐管3と、燃料タンク4と、フィルタ5と、低圧ポンプ(フィードポンプ)6と、燃料管7と、高圧ポンプ8と、燃料供給配管9と、燃料戻し管11とを有する。一方、回転数制御装置20は、制御装置としてのECU(エンジンコントロールユニット)12と、圧力センサ13と、回転速度検出装置14とを有する。
【0025】
各インジェクタ1は、高圧の燃料を図示しない燃料室に噴射するようになっている。コモンレール2は、高圧燃料を蓄圧するようになっている。各分岐管3は、各インジェクタ1と、コモンレール2とを連通している。
【0026】
燃料タンク4は、燃料を蓄える役割を有する。燃料管7は、燃料タンク4と、高圧ポンプ8とを連通している。フィルタ5は、燃料管7に接続され、燃料から水分等の異物を除去する役割を果たしている。低圧ポンプ6は、燃料を燃料タンク4側から高圧ポンプ8側にフィードする役割を果たしている。高圧ポンプ8は、プランジャ式のサプライ用の燃料供給ポンプである。高圧ポンプ8は、燃料タンク4側からフィードされた燃料を、運転状態等に基づいて定められる高圧に昇圧して、高圧となった燃料を、燃料供給配管9に吐出するようになっている。燃料供給配管9は、高圧ポンプ8と、コモンレール2とを接続している。高圧ポンプ8が吐出した高圧の燃料を、燃料供給配管9を介してコモンレール2に供給している。そして、高圧の燃料を、コモンレール2から各分岐管3を介して各インジェクタ1に供給している。各インジェクタ1は、燃料を燃焼室に噴射するようになっている。
【0027】
燃料戻し管11は、各インジェクタ1およびコモンレール2と、分岐管3とを接続している。燃料戻し管11は、分岐管3からインジェクタ1に供給された燃料のうちで燃焼室への噴射に費やされなかった燃料や、コモンレール2の内圧が過上昇した場合の余剰燃料を、燃料タンク4に戻すために設けられている。
【0028】
圧力センサ13は、コモンレール2に取り付けられ、コモンレール2の内圧を検出するようになっている。回転速度検出装置14は、例えば、パルサリングを有する公知の磁気センサで構成されている。回転速度検出装置14は、図示しないクランク軸の回転速度を検出している。圧力センサ13は、コモンレール2の内圧を表す信号を、ECU12に出力し、回転速度検出装置14は、エンジンの回転速度(回転数)を表す信号を、ECU12に出力するようになっている。また、図1に示すように、アクセル15から、アクセル開度を表す信号が、ECU12に出力されるようになっている。ECU12は、アクセル15の開度を検知するアクセル開度検出装置としての役割を兼用している。
【0029】
ECU12は、各インジェクタ1と、高圧ポンプ8とを電子制御している。ECU12は、各インジェクタ1に一体的に組み込まれた図示しない噴射制御用電磁弁への通電および通電停止(ON/OFF)を制御している。各インジェクタ1は、内蔵の噴射制御用電磁弁が開弁している間、コモンレール2から供給された高圧燃料をエンジンの燃焼室に向けて噴射するようになっている。
【0030】
ECU12は、回転速度検出装置14およびアクセル15から受けたエンジン回転数およびエンジン負荷を表す信号に基づいて、燃料噴射時期及び燃料噴射量を決定し、上記噴射制御用電磁弁に制御信号を出力することが可能となっている。
【0031】
ECU12は、エンジン回転数やエンジン負荷に基づいて、燃料噴射圧力が適切になるように高圧ポンプ8に対して制御信号を出力するようになっている。ECU12は、圧力センサ13からの信号がエンジン回転数やエンジン負荷に応じて適切になるように高圧ポンプ8からコモンレール2に吐出する燃料吐出量を制御するようになっている。
【0032】
各インジェクタ1は、ECU12の制御によって、コモンレール2から供給された燃料を適切な噴射時期に適切な燃料噴射量でもって、対応する燃焼室内に噴射するようになっている。各インジェクタ1から噴射される燃料の噴射圧は、コモンレール2に貯留されている燃料の圧力に略等しいので、コモンレール2内の圧力を制御することにより、燃料の噴射圧を制御できる。
【0033】
ECU12は、各インジェクタ1の噴射制御用電磁弁の開閉期間と、圧力センサ13から受けたコモンレール2の圧力の情報とに基づいて、コモンレール2が噴射した実際の噴射量(各インジェクタ1が噴射した噴射量の合計の噴射量)を算出するようになっている。このことから、ECU12は、コモンレール2の噴射量を検出する噴射量検出装置としての役割を兼用している。圧力センサ13と、回転速度検出装置14と、ECU12とは、検知装置を構成している。
【0034】
ECU12は、記憶部60を有する。その記憶部60は、定常状態の燃料噴射制御マップ(以下、単に、定常状態の制御マップという)と、過渡状態の燃料噴射制御マップ(以下、単に、過渡状態の制御マップという)とを記憶している。上記定常状態の制御マップには、定常時におけるPID(Proportional-Integral-Derivative)ゲインの情報と、定常時における噴射パターンの情報と、定常時における噴射時期の情報とが記載されている。また、上記過渡状態の制御マップには、過渡時におけるPIDゲインの情報と、過渡時における噴射パターンの情報と、過渡時における噴射時期の情報とが記載されている。上記定常状態の制御マップでの制御は、過渡状態の制御マップでの制御よりも、制御の安定性を重視した制御となっている。また、過渡状態の制御マップでの制御は、定常状態の制御マップでの制御よりもより応答性を重視した制御となっている。定常状態の制御マップは、例えばPIDゲインに小さな値を設定し、一方、過渡状態の制御マップは、例えばPIDゲインに大きな値を設定する。この場合、定常状態の制御マップで設定されているPIDゲインの値は、過渡状態の制御マップで設定されているPIDゲインの値よりも小さくなっている。
【0035】
ECU12は、計時部(タイマー)61を有する。ECU12は、コモンレール2が噴射した実際の噴射量、すなわち、各インジェクタ1が噴射した噴射量の合計の噴射量と、その噴射が行われた時間とから、燃料の噴射量の時間当たりの変化率を算出するようになっている。ECU12は、この噴射量の時間当たりの変化率が、予め定められた閾値より小さい場合に、エンジンが定常状態であると判断する一方、この噴射量の時間当たりの変化率が、予め定められた閾値以上である場合に、エンジンが過渡状態であると判断するようになっている。
【0036】
ECU12は、次に示す第1制御を行うようになっている。すなわち、ECU12は、エンジンが定常状態であると判断した場合には、上記定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置10を制御する一方、上記エンジンが過渡状態であると判断した場合には、上記過渡状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置10を制御するようになっている。
【0037】
エンジンの状態(エンジンの回転速度や燃料の噴射量等で特定)と、定常状態の制御マップに記載の情報とを参照すれば、エンジンの状態が異なる定常状態(例えば、エンジンの回転速度が互いに異なる定常状態)の夫々における燃料噴射制御が一意に確定するようになっている。また、エンジンの状態(エンジンの回転速度や燃料の噴射量等で特定)と、過渡状態の制御マップに記載の情報とを参照すれば、エンジンの状態が異なる過渡状態(例えば、エンジンの回転速度が互いに異なる過渡状態)の夫々における燃料噴射制御が一意に確定するようになっている。
【0038】
また、ECU12は、次に示す第2制御を行うようになっている。すなわち、ECU12は、過渡状態の制御マップに従う制御をおこなっているときに、アクセル15の開度と、エンジンの回転速度の変動周期と、エンジンの回転速度の変動幅とに基づいて、エンジンに過渡状態で実用上あり得ない回転変動が発生していると判断すると、定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置10を制御するようになっている。尚、この実用上ありえない回転変動については、以下の図4以下で詳細に説明を行う。
【0039】
図2および図3は、時間と、エンジンの回転速度との関係を模式的に表す図であり、ECU12の燃料噴射制御を、わかり易く説明するための模式図である。
【0040】
図2に示す例では、時刻t1からt2にかけて、回転速度の傾きが大きくなっており、回転速度の変化率が、大きくなっている。この時、噴射量の時間当たりの変化率は、予め定められた閾値以上になっており、ECU12は、過渡状態の制御マップに基づいて燃料噴射装置10の噴射制御を行っている。また、時刻t2からt3にかけては、回転速度の傾きが小さくなっており、回転速度の変化率が、小さくなっている。この時、噴射量の時間当たりの変化率は、予め定められた閾値より小さくなっており、ECU12は、定常状態の制御マップに基づいて燃料噴射装置10の噴射制御を行っている。また、同様に、時刻t3からt4にかけては、回転速度の傾きが大きくなっており、時刻t4からt5にかけては、回転速度の傾きが小さくなっている。また、時刻t5からt6にかけては、回転速度の傾きが大きくなっており、時刻t6からt7にかけては、回転速度の傾きが小さくなっている。そして、ECU12は、時刻t3からt4までの間と、時刻t5からt6までの間とに、過渡状態の制御マップに基づいて燃料噴射装置10の噴射制御を行う一方、時刻t4からt5までの間と、時刻t6からt7までの間とに、定常状態の制御マップに基づいて燃料噴射装置10の噴射制御を行っている。
【0041】
一方、図3に示す例では、t1’からt4’までは、エンジンの回転速度が、図2に示す例と同様に変位する一方、t4’からt5’においては、エンジンの回転速度が振動し、回転速度に、振幅が大きくて周期が短い(振動数が大きい)回転変動が生じている。この回転変動は、吸気温度や外的負荷等で悪条件が重なることにより生じるものである。
【0042】
図3に示す例では、t1’からt4’までは、ECU12が、図2に示す例と同様に燃料噴射装置10の噴射制御を行う一方、回転変動を生じているt4’からt5’にかけては、ECU12が、定常状態の制御マップに基づいて燃料噴射装置10の噴射制御を行っている。すなわち、ECU12は、過渡状態の制御マップに基づいて制御をしている際に、エンジンの回転速度が振動し、回転速度に、振幅が大きくて周期が短い(振動数が大きい)回転変動が生じると、定常状態の制御マップに従った燃料噴射装置10の噴射制御を行うようになっている。この制御については、以下の図4以下で詳細に説明する。
【0043】
尚、図2および3において、r[r.p.m]は、ローアイドル状態での回転速度を表している。一実施例では、rは、800[r.p.m]程度の値となるが、エンジンの仕様によって、ローアイドル状態の回転数が、適宜変化することは言うまでもない。
【0044】
図4は、実際に生じた回転変動の一例を示す図であり、ECU12が第2制御を行うか否かを如何に判定するかを説明するための図である。
【0045】
図4を参照して、この実施形態では、ECU12は、過渡状態の制御マップに基づいて燃料噴射装置10の噴射制御を行っているときに、予め定められた期間A[sec]におけるアクセル開度の変動幅が、予め定められた閾値以下となり、かつ、上記期間Aにおけるエンジンの回転速度の変動幅Dが、予め定められた閾値E以上となり、かつ、エンジンの回転速度の変動周期が、予め定められた時間以下となると、第2制御を行うようになっている。
【0046】
詳しくは、ECU12は、アクセル15からの信号に基づいて、期間Aの間におけるアクセル開度の最大値と最小値とを決定し、アクセル開度の最大値と最小値との差から、期間Aにおけるアクセル開度の変動幅を算出するようになっている。
【0047】
また、ECU12は、回転速度検出装置14からの信号に基づいて、期間Aの間における最大の回転速度と最小の回転速度とを決定するようになっている。そして、最大の回転速度と最小の回転速度との差に基づいて、エンジンの回転速度の変動幅Dを算出するようになっている。
【0048】
また、ECU12は、期間Aの間において、エンジンの回転速度の値が、予め定められた閾値Eの上限を超えた回数(Eを下から上に横切った回数)Nをカウントするようになっている。そして、エンジンの回転速度の変動周期Tを、T=A/N[sec]により算出するようになっている。尚、図4に示す例では、回数Nが、6回となっているが、回数Nが、回転変動で6以外の自然数となっている場合があるのは、言うまでもない。
【0049】
そして、過渡状態の制御マップを選択している最中に、上記算出したアクセル開度の変動幅が、予め定められた閾値以下となり、かつ、上記算出した回転速度の変動幅Dが、予め定められた閾値E以上となり、かつ、上記算出した変動周期が、予め定められた時間以下となると、第2制御を行うようになっている。
【0050】
本実施形態では、過渡状態の制御マップを選択している最中に発生する回転変動であって、かつ、上記算出したアクセル開度の変動幅が、予め定められた閾値以下となり、かつ、上記算出した回転速度の変動幅Dが、予め定められた閾値E以上となり、かつ、上記算出した変動周期が、予め定められた時間以下となる回転変動を、実用上あり得ない回転変動と定義する。
【0051】
図5は、本実施形態におけるECU12の制御のフローチャートである。
【0052】
ECU12が、エンジンが安定状態であると判断して、制御がスタートすると、ステップS1で、ECU12が、定常状態の制御マップに基づいて所定時間(この所定時間は、如何なる時間でも良く、例えば、0より大きくて1時間より小さい時間を採用できる。)燃料噴射装置10の噴射制御を行う。
【0053】
続いて、ステップS2では、エンジンが停止しているか否かを判断する。エンジンが停止していれば、ステップS3に移行して、制御が終了する。一方、ステップS2で、エンジンが停止していない場合には、ステップS4に移行する。
【0054】
ステップS4では、ECU12が、各インジェクタ1の噴射制御用電磁弁の開閉期間と、圧力センサ13から受けたコモンレール2の圧力の情報とに基づいて、エンジンが過渡状態に移行したか否かを判断する。
【0055】
そして、ECU12が、エンジンが過渡状態に移行していないと判断すると、ステップS1に戻って、ステップS1以下の制御を再度行う。一方、ECU12が、エンジンが過渡状態に移行したと判断すると、ステップS5に移行して、ECU12が、過渡状態の制御マップに基づいて所定時間(この所定時間は、如何なる時間でも良く、例えば、0より大きくて1時間より小さい時間を採用できる。このステップS5の所定時間は、ステップS1での所定時間と同じでも、異なっても良い。)燃料噴射装置10の噴射制御を行う。
【0056】
ステップS5に続くステップS6では、エンジンが停止しているか否かを判断する。エンジンが停止していれば、ステップS3に移行して、制御が終了する。一方、ステップS6で、エンジンが停止していない場合には、ステップS7に移行する。
【0057】
ステップS7では、ECU12が、各インジェクタ1の噴射制御用電磁弁の開閉期間と、圧力センサ13から受けたコモンレール2の圧力の情報とに基づいて、エンジンが定常状態に移行したか否かを判断する。
【0058】
そして、ECU12が、エンジンが定常状態に移行していると判断すると、ステップS1に戻って、ステップS1以下の制御を再度行う。一方、ECU12が、エンジンが定常状態に移行していないと判断すると、ステップS8に移行する。
【0059】
ステップS8では、図4を用いて説明したように、ECU12が、予め定められた期間において、アクセル15の開度の変動幅と、エンジンの回転速度の変動周期と、エンジンの回転速度の変動幅とを算出するようになっている。そして、算出したアクセル開度の変動幅が、予め定められた閾値以下となり、かつ、上記算出した回転速度の変動幅Dが、予め定められた閾値E以上となり、かつ、上記算出した変動周期が、予め定められた時間以下となっているか否かを判断し、過渡状態の制御マップに従う制御中に、エンジンに上記実用上あり得ない回転変動が発生しているか否かを判断するようになっている。
【0060】
そして、ステップS8で、ECU12が、過渡状態の制御マップに従う制御中に上記実用上あり得ない回転変動が発生していると判断すると、ステップS1以下の制御を再度行うようになっている。すなわち、ステップS8で、ECU12が、過渡状態の制御マップに従う制御中に上記実用上あり得ない回転変動が発生していると判断すると、ステップS1に戻って、ECU12による、定常状態の制御マップに従う制御を行うようになっている。
【0061】
一方、ステップS8で、ECU12が、過渡状態の制御マップに従う制御中に上記実用上あり得ない回転変動が発生していないと判断すると、ステップS5に戻って、ステップS5以下の制御を再度繰り返すようになっている。
【0062】
上記実施形態によれば、ECU12が、第1制御で、エンジンが過渡状態であると判断すると、過渡状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置10を制御する。したがって、エンジンが過渡状態であるときに、過渡状態の制御マップに従って燃料を噴射できるから、過渡状態の制御の応答性を良好なものにできる。
【0063】
また、上記実施形態によれば、ECU12が、第1制御で、エンジンが定常状態であると判断すると、定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置10を制御するから、定常状態でのエンジンの安定性をより高くできる。
【0064】
また、上記実施形態によれば、ECU12が、第2制御で、過渡状態の制御マップに従う制御中に上記実用上あり得ない回転変動が発生していると判断すると、定常状態の制御マップに従う燃料の噴射を行うように燃料噴射装置10を制御する。しがって、従来技術とは異なり、過渡状態ではありえない回転変動が生じた場合に、ECU12が、上記回転変動に基づいて、エンジンが過渡状態であると判断し続けることがなく、過渡状態の制御マップを選択し続けることがない。したがって、この場合に、いつまでも回転変動が収束しないという不具合が発生することがなく、回転変動をより速く収束させることができる。したがって、定常状態に対する制御の安定性を更に向上できる。
【0065】
また、上記実施形態によれば、ECU12が、過渡状態の制御マップに従う制御中に、予め定められた期間において、アクセル15の開度の変動幅が予め定められた閾値以下であって、かつ、エンジン回転速度の変動幅Dが、予め定められた閾値E以上であり、かつ、エンジンの回転速度の変動周期Tが、予め定められた閾値以下である場合に、上記実用上あり得ない回転変動が発生していると判断する。したがって、過渡状態の制御マップでの制御中に生じた回転変動を簡易な制御で効率的に収束させることができる。
【0066】
尚、上記実施形態では、第1制御において、ECU12が、噴射量の時間当たりの変化率が予め定められた閾値よりも小さいかそれ以上であるかを判断することによって、エンジンが定常状態か過渡状態であるかを判断した。
【0067】
しかしながら、この発明では、制御装置(ECU)が、回転速度検出装置からの信号に基づいて、回転速度の単位時間当たりの変化率を算出するようにしてもよい。そして、ECUが、上記算出した回転速度の単位時間当たりの変化率が予め定められた閾値よりも小さいかそれ以上であるかを判断することによって、エンジンが定常状態か過渡状態であるかを判断してもよい。
【0068】
また、この発明では、制御装置が、アクセルからの信号に基づいて、アクセルの開度の単位時間当たりの変化率を算出するようにしてもよい。そして、制御装置が、算出したアクセルの開度の単位時間当たりの変化率が予め定められた閾値よりも小さいかそれ以上であるかを判断することによって、エンジンが定常状態か過渡状態であるかを判断してもよい。
【0069】
また、この発明では、噴射量の時間当たりの変化率、回転速度の単位時間当たりの変化率およびアクセルの開度の単位時間当たりの変化率のうちの二以上の値に基づいて、エンジンが定常状態か過渡状態であるかを判断してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ECU12が、アクセル15からの信号に基づいて、予め定められた期間A[sec]の間におけるアクセル開度の最大値と最小値とを決定し、アクセル開度の最大値と最小値との差から、期間Aにおけるアクセル開度の変動幅を算出するようになっていた。また、ECU12が、回転速度検出装置14からの信号に基づいて、期間Aの間における最大の回転速度と最小の回転速度とを決定して、最大の回転速度と最小の回転速度との差に基づいて、エンジンの回転速度の変動幅Dを算出するようになっていた。また、ECU12が、期間Aの間において、エンジンの回転速度の値が予め定められた閾値Eの上限を超えた回数Nをカウントして、エンジンの回転速度の変動周期Tを、T=A/N[sec]により算出するようになっていた。そして、ECU12が、過渡状態の制御マップを選択している最中に、上記算出したアクセル開度の変動幅が、予め定められた閾値以下となり、かつ、上記算出した回転速度の変動幅Dが、予め定められた閾値E以上となり、かつ、上記算出した変動周期が、予め定められた時間以下となると、第2制御を行うようになっていた。
【0071】
しかしながら、この発明では、制御装置が、アクセルからの信号に基づいて、予め定められた期間A’[sec]の間におけるアクセル開度の最大値と最小値とを決定し、アクセル開度の最大値と最小値との差から、期間A’におけるアクセル開度の変動幅を算出するようになっていてもよい。また、制御装置が、各インジェクタの噴射制御用電磁弁の開閉期間と、圧力センサから受けたコモンレールの圧力の情報とに基づいて、コモンレールが噴射した単位時間当たりの噴射量(各インジェクタが噴射した単位時間当りの噴射量の合計の噴射量)を算出して、上記期間A’における、最大の単位時間当たりの燃料噴射量と最小の単位時間当たりの燃料噴射量との差に基づいて、エンジンの単位時間当たりの燃料噴射量の変動幅を算出してもよい。また、制御装置が、単位時間当たりの燃料噴射量の値が予め定められた閾値の上限を超えた回数N’をカウントして、単位時間当たりの燃料噴射量の変動周期T’を、T’=A’/N’[sec]により算出するようにしてもよい。そして、ECUが、過渡状態の制御マップを選択している最中に、上記算出したアクセル開度の変動幅が、予め定められた閾値以下となり、かつ、上記算出した単位時間当たりの燃料噴射量の変動幅が、予め定められた閾値以上となり、かつ、上記算出した単位時間当たりの燃料噴射量の変動周期T’が、予め定められた時間以下となると、第2制御を行うようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、予め定められた時間Aと、エンジンの回転速度の値が予め定められた閾値Eの上限を超えた回数(下から上に横切った回数)Nとに基づいて、変動周期を算出した。しかしながら、この発明では、予め定められた時間と、エンジンの回転速度の値または単位時間当たりの燃料噴射量の値が、予め定められた閾値の上限を下回った回数(上から下に横切った回数)とに基づいて、変動周期を算出してもよい。また、この発明では、予め定められた時間と、エンジンの回転速度の値または単位時間当たりの燃料噴射量の値が、予め定められた閾値の下限を下回った回数(上から下に横切った回数)とに基づいて、変動周期を算出してもよい。また、この発明では、予め定められた時間と、エンジンの回転速度の値または単位時間当たりの燃料噴射量の値が、予め定められた閾値の下限を上回った回数(下から上に横切った回数)とに基づいて、変動周期を算出してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、燃料噴射装置を、複数のインジェクタ1と、コモンレール2と、複数の分岐管3と、燃料タンク4と、フィルタ5と、低圧ポンプ(フィードポンプ)6と、燃料管7と、高圧ポンプ8と、燃料供給配管9と、燃料戻し管11とで構成した。しかしながら、この発明では、燃料噴射装置が、これらの構成から一部の構成を削除した構成からなっていても良く、これらの構成に必要な構成を適宜追加した構成からなっていてもよい。この発明では、燃料噴射装置は、エンジンにおいて制御装置に制御されることによって燃料の噴射に寄与する構成部分からなっていれば良く、エンジンの仕様毎に異なっても良く、エンジンの仕様毎に適宜構成されればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ECU12が、図5に示す制御を行ったが、この発明では、例えば、図5に示す制御と比較して、S2と、S4との順序を入れ替えると共に、S6と、S7との順序を入れ替える制御等を行ってもよい。このように、制御装置が、本発明を実現できる制御は、図5に示す制御に限らない。
【0075】
また、上記実施形態において、以上を、より大きいと読み替えた発明、以下を、より小さいと読み替えた発明、より大きいを、以上と読み替えた発明、より小さいを、以下と読み替えた発明が、本発明の範疇に入ることは言うまでもない。例えば、上記実施形態において、ある閾値以下を、ある閾値より小さいと、読み替えた発明が、本願発明に含まれることは言うまでもない。
【0076】
また、上記実施形態では、記憶部60が、制御装置であるECU12に内蔵されていて、制御装置が、記憶部を有していたが、この発明では、記憶部が、ECUの外部に外付けで設けられても良く、制御装置が、記憶部と、ECUとを有してもよい。
【0077】
また、本発明では、上記記載の各閾値は、如何なる値であっても良く、仕様によって適宜適切に決定されればよい。
【0078】
また、本発明の回転速度制御装置が適用されるエンジンは、如何なるエンジンであってもよい。例えば、本発明の回転速度制御装置が適用されるエンジンは、何気筒でも良く、横型でも良く、縦型でも良く、水冷でも良く、空冷でも良く、コモンレールを有さなくてもよい。
【0079】
また、本発明が適用されるエンジンは、ディーゼルエンジンでも、ガソリンエンジンでも、ガスエンジンでも良く、それ以外のエンジンでもよい。また、本発明の回転速度制御装置が適用されるエンジンは、車両用(例えば、トラックや、自動車や、建機や、ゴルフ場で使用するカート等)でも良く、舶用でもよい。
【0080】
また、上記実施形態および変形例で説明した全ての構成のうちの二以上の構成を組み合わせて新たな実施形態を構築できることは、勿論である。
【符号の説明】
【0081】
1 インジェクタ
2 コモンレール
3 分岐管
4 燃料タンク
5 フィルタ
6 低圧ポンプ
7 燃料管
8 高圧ポンプ
9 燃料供給配管
10 燃料噴射装置
11 燃料戻し管
12 ECU
13 圧力センサ
14 回転速度検出装置
15 アクセル
20 回転数制御装置
図1
図2
図3
図4
図5