特許第6342364号(P6342364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン軽金属株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6342364-電池モジュール搭載用フレーム構造体 図000002
  • 特許6342364-電池モジュール搭載用フレーム構造体 図000003
  • 特許6342364-電池モジュール搭載用フレーム構造体 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342364
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】電池モジュール搭載用フレーム構造体
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180604BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20180604BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20180604BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20180604BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20180604BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20180604BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M10/625
   H01M10/613
   H01M10/6556
   H01M10/6561
   B60K1/04 Z
   B60K11/06
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-103611(P2015-103611)
(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公開番号】特開2016-219271(P2016-219271A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】川村 貴人
(72)【発明者】
【氏名】川口 聡
(72)【発明者】
【氏名】初見 浩之
(72)【発明者】
【氏名】土屋 豪範
(72)【発明者】
【氏名】井上 重行
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−210207(JP,A)
【文献】 特開2015−157584(JP,A)
【文献】 特開2015−026488(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/145407(WO,A1)
【文献】 特開2005−050616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B60K 1/04
B60K 11/06
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/6561
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部側に電池モジュールを複数段に搭載するためのフレーム構造体であって、
下段側の電池モジュールを締結支持するための車両前後方向にそれぞれ配置した左右一対の第1支持フレームと、
上段側の電池モジュールを締結支持するための車両前後方向にそれぞれ配置した左右一対の第2支持フレームと、
前記上段側の電池モジュールの上方に車両前後方向にそれぞれ配置した左右一対の第3フレームとを備え、
前記第1支持フレーム,第2支持フレーム及び第3フレームの前後方向両端部を前記電池モジュールの後面側に配置した後面パネルと前面側に配置した前面パネルにて枠組連結してあり、
少なくとも前記第1支持フレーム,第2支持フレーム及び後面パネルは中空断面形状であることを特徴とするフレーム構造体。
【請求項2】
前記後面パネルと電池モジュールとの間に所定の隙間からなる空間部を形成したことを特徴とする請求項1記載のフレーム構造体。
【請求項3】
前記後面パネルは中空内に設けたリブにて複数の中空部からなり、
前記リブは高さ方向において前記電池モジュールの側面位置から外れているか又は、リブの延在方向が前記電池モジュールの側面に対して直角方向になっていないことを特徴とする請求項1又は2記載のフレーム構造体。
【請求項4】
前記電池モジュールと後面パネルとの間に形成した空間部は冷媒の通過経路になっていることを特徴とする請求項2記載のフレーム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池モジュール(バッテリーパック)を複数段にして車両に搭載するためのフレーム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車,電気自動車の分野においては、駆動源として二次電池からなる電池モジュールが搭載されている。
走行可能距離の長距離化に伴い、複数の電池モジュールを効率よく搭載することが要求されるとともに、外部からの衝撃荷重に対してこの電池モジュールを保護する必要性もある。
特許文献1には、上段側のバッテリと下段側のバッテリの配置をずらして二段に積層したバッテリ収納装置を開示するが、ケースの側面からの荷重がそのまま電池モジュールに伝達されるため、衝撃荷重に対する電池モジュール(バッテリ)の保護が不充分である。
また、電池モジュールの収納空間が閉塞的であり、組立性が悪く、またケースと電池モジュールの側面が閉塞的になっているため、その部分の冷却が不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−255276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、車両に搭載した電池モジュールの衝撃荷重に対する保護効果が大きく、電池モジュールを複数段に配置するのに好適なフレーム構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るフレーム構造体は、車両の後部側に電池モジュールを複数段に搭載するためのフレーム構造体であって、下段側の電池モジュールを締結支持するための車両前後方向にそれぞれ配置した左右一対の第1支持フレームと、上段側の電池モジュールを締結支持するための車両前後方向にそれぞれ配置した左右一対の第2支持フレームと、前記上段側の電池モジュールの上方に車両前後方向にそれぞれ配置した左右一対の第3フレームとを備え、前記第1支持フレーム,第2支持フレーム及び第3フレームの前後方向両端部を前記電池モジュールの後面側に配置した後面パネルと前面側に配置した前面パネルにて枠組連結してあり、少なくとも前記第1支持フレーム,第2支持フレーム及び後面パネルは中空断面形状であることを特徴とする。
本明細書では、フレーム構造体を車両に搭載した状態で車両の前後方向をフレーム構造体の前後方向と表現し、車両の幅方向をフレーム構造体の左右方向と表現する。
また、電池モジュールには、電池パック,バッテリパック等、各種表現されている全ての二次電池が含まれる。
【0006】
電池モジュールは、複数の電池セルを積層した略長方体になっているものが多い。
その場合に、電池モジュールの長手方向をフレーム構造体の左右方向になるように配置し、この電池モジュールの長手方向に直交する方向に配置した左右一対の第1,第2支持フレーム上にこの電池モジュールを載置し、支持フレームと締結固定するのが好ましい。
【0007】
本発明では、各支持フレームに複数の電池モジュールを並設してもよく、支持フレームの段数も2段に限定されるものではなく、3段以上に電池モジュールを搭載する場合も含まれる。
【0008】
本発明において、後面パネルと電池モジュールとの間に所定の隙間からなる空間部を形成してもよく、その場合に電池モジュールと後面パネルとの間に形成した空間部は冷媒の通過経路になっているのが好ましい。
【0009】
本発明において、後面パネルは中空内に設けたリブにて複数の中空部からなり、前記リブは高さ方向において前記電池モジュールの側面位置から外れているか又は、リブの延在方向が前記電池モジュールの側面に対して直角方向になっていないのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るフレーム構造体は、電池モジュールを搭載する段数に合せて各段の電池モジュールを左右一対の各支持フレームに締結支持し、最上段の電池モジュールの上方に左右一対のフレームを配置し、これらの各支持フレーム及び最上部のフレームの前後方向端部に前面パネルと後面パネルとを配置した枠組体とし、少なくとも支持フレームと後面パネルを中空断面形状に形成してなることにより、後面パネルに外側後方から衝撃荷重が負荷されるとその荷重は中空断面形状からなる、はり状の支持フレームに伝播され、前面パネルを介して枠組体全体に分散される。
また、枠組体が変形した場合には、支持フレームと後面パネルとが一体的に前方方向に移動することになり、電池モジュールとの相対的な前後位置を確保しながら変形することになるため、電池モジュールの保護効果が高い。
【0011】
本発明において、後面パネルと電池モジュールとの間に所定の隙間からなる空間部を形成すると、後面パネルの局部的な変形に対しても保護効果が高く、またこの空間部を利用して冷媒経路を形成すると、電池モジュールの冷却効果も高くなる。
【0012】
本発明において、後面パネルの中空内にリブを設けて複数の中空部からなるパネルにすると、後方から衝撃荷重に対する剛性が向上する。
その際に、リブの配置する高さ方向の位置を電池モジュールの側面位置から外すか、あるいは、リブの方向が電池モジュールの側面に直角方向にならないようにこのリブを水平方向に対し斜めに配置すると、後面パネルが局部変形した際にリブが電池モジュールの側面に直接又は直角方向に当たることがないため、局部的な荷重を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るフレーム構造体の側面図を模式的に示す。
図2】本発明に係るフレーム構造体を形成する前の分解構成例を示し、上段フレーム,中間フレーム及び下段フレームを組み合せた例を示す。
図3】本発明に係るフレーム構造体の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るフレーム構造体の例を二段に分けて搭載する例で以下説明するが、その段数や電池モジュールの並列に載置する数には制限がない。
【0015】
図1に本発明に係るフレーム構造体の側面図を模式的に示し、その斜視図を図3に示す。
フレーム構造体を製作するに当たり、フレームパーツをどのように組み合せるかは自由であるが、本実施例では図2に示すように下段フレーム10,中間フレーム20及び上段フレーム30に分けて製作し、この3つのパーツを組み合せてフレーム構造体にした例で説明する。
【0016】
下段フレーム10は、それぞれ中空断面形状からなる左右の第1支持フレーム11と第1支持フレーム12との前端側を左右方向のフロントフレーム14の側面に突き当てるようにして、このフロントフレーム14に連結してある。
また、後端側は中空断面形状からなる第1後面パネルの下部側前面に突き当てるようにして連結してある。
中間フレーム20は、それぞれ中空断面形状からなる左右一対の第2支持フレーム21と第2支持フレーム22との前端部を前面側の第1前面パネルの上部後面に突き当てるようにしてこの第1前面パネルと連結し、後端部を後面側の第2後面パネル23の下部前面に突き当てるようにして、この第2後面パネル23と連結してある。
この第1前面パネル24及び第2後面パネル23も中空断面形状になっている。
なお、第1前面パネル24は必ずしも中空断面形状である必要はない。
上段フレーム30は、それぞれ中空断面形状の左右一対の第3フレーム31と第3フレーム32との前端部を前面側の第2前面パネル34の上部後面に突き当てるようにして第2前面パネル34に連結し、後端部をリアフレーム33にて突き当て、連結してある。
この第3フレームは、上段側の電池モジュールの上方に位置し、電池モジュールを上段に収容する枠体の一部を構成するものである。
第2前面パネル34及びリアフレーム33は、必ずしも中空断面形状である必要はなく、本実施例ではリアフレーム33を板材で形成した例になっている。
【0017】
これらのフレームパーツを組み合せて枠組体にしたのが、図1及び図3に示すフレーム構造体である。
各フレーム及び各パネルとの連結方法は、溶接,ビス止め,リベット止め等、その連結方法に制限はない。
また、これらのフレーム及びパネルは材質に制限はないが、アルミニウム合金の押出材を用いると、製作が容易である。
【0018】
図1及び図3に示すように、左右の一対の第1支持フレーム(11,12)の上面に架け渡すように、下段側の電池モジュールの下部1aを締結支持(固定)してある。
同様に上段側の電池モジュール1も左右の第2支持フレーム(21,22)に締結支持してある。
【0019】
本実施例では、左右一対の支持フレームの間に空間部があり、電池モジュールと前面パネル及び後面パネルとの間にも空間部を有するのでダクト40を配設し、空気等の冷媒をこの空間部に通過させることで効率的な冷媒経路が形成できる。
本発明に係るフレーム構造体を車両の後部座席の後側に搭載する場合には、必要に応じてカバー部材41を配設してもよい。
【符号の説明】
【0020】
10 下段フレーム
11 第1支持フレーム
12 第1支持フレーム
13 第1後面パネル
20 中間フレーム
21 第2支持フレーム
22 第2支持フレーム
23 第2後面パネル
24 第1前面パネル
30 上段フレーム
31 第3フレーム
32 第3フレーム
34 第2前面パネル
図1
図2
図3