(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アナログ・テストは、前記スイッチ入力の高側電圧の測定値が前記薬配送装置のバッテリ電圧の第1の所定の割合より低い、または前記スイッチ入力の低側電圧の測定値が前記バッテリ電圧の第2の所定の割合より高い場合に、前記アナログ・テストを失敗させるステップを含む、請求項1に記載の装置。
前記アナログ・テストはアナログ・デジタル変換器(ADC)を用いて前記スイッチ入力の高側電圧および低側電圧を逐次的に測定し、前記アナログ・テストは、前記高側電圧が第1の所定の閾値を下回るかまたは前記低側電圧が第2の所定の閾値を上回る場合に失敗する、請求項1に記載の装置。
前記アナログの検証を実施するステップは、前記スイッチ入力の高側電圧の測定値が前記薬配送装置のバッテリ電圧の第1の所定の割合より低い、または前記スイッチ入力の低側電圧の測定値が前記バッテリ電圧の第2の所定の割合より高い場合に、前記アナログ検証を失敗させるステップを含む、請求項8または9に記載の方法。
前記アナログの検証を実施するステップはアナログ・デジタル変換器(ADC)を用いて前記スイッチ入力の高側電圧および前記スイッチ入力の低側電圧を逐次的に測定するステップと、前記高側電圧が第1の所定の閾値を下回るかまたは前記低側電圧が第2の所定の閾値を上回る場合に前記アナログ検証を失敗させるステップを含む、請求項8または9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で説明する諸実施形態では、薬配送装置、より具体的にはイオン導入式薬配送装置のような装置における故障および故障の前兆をアクティブに検出する回路および方法を提供する。
【0022】
幾つかの実施形態では、薬配送装置(例えば、薬配送ポンプ、電気搬送装置またはイオン導入装置)のようなスイッチ動作式装置が提供される。当該装置は、(a)ユーザにより動作されるように構成された装置スイッチであって、ユーザにより動作されたときにスイッチ信号を装置コントローラのスイッチ入力に提供する装置スイッチと、(b)当該スイッチに動作可能に接続された当該スイッチ入力を有し、当該スイッチ信号を当該スイッチから受信するように構成された装置コントローラであって、当該スイッチ信号がある所定の条件を満たすとき当該装置を作動させるように構成された装置コントローラと、(c)スイッチにおける故障または故障の前兆を検出するように構成され、それにより、故障または故障の前兆を検出したときに当該コントローラがスイッチ故障サブルーチンを実行するスイッチ完全性テスト・サブ回路と、を備える。当該装置がイオン導入式薬配送装置であるときは、当該装置はさらに、電極、アクティブ貯蔵庫とも呼ばれる1つまたは複数の薬、患者入力に応答して薬を患者に配送できる1つまたは複数の対イオン貯蔵庫のような、他の構成要素を備える。以下ではイオン導入式薬配送装置(イオン導入装置)を説明するが、イオン導入は良く特徴づけられており、例えば特許文献1で詳細に説明されている。
【0023】
幾つかの実施形態では、当該スイッチ完全性テスト・サブ回路はスイッチ内の故障もしくは故障の前兆または回路結線をチェックし検出するように構成される。幾つかの好適な実施形態では、故障または故障の前兆をチェックする動作は、回路およびその構成要素に故障または故障の前兆がない場合に所定のパラメータ内に入ることが期待される回路内の応答(例えば、電圧変化、電流変化)を引き起こすための回路条件を設定することを含む。幾つかの実施形態では、スイッチ完全性テスト・サブ回路は、汚染、短絡(断続的な短絡を含む)、回路構成要素の障害(抵抗器、集積回路ピンもしくはインタフェース、および/またはコンデンサの誤動作を含む)、等から構成されるグループから選択したグループ要素のような、少なくとも1つの故障または故障の前兆をテストし検出するように構成される。本明細書で説明する装置および方法の利点のうち、装置を誤動作させて患者の快適さ、安全性および/または服薬順守を危うくするように故障の前兆が現れる前に故障の前兆を検出しそれに応答するための能力を述べる。この装置および方法の態様を本明細書でより詳細に説明するが、当該態様は、所定の正常な回路特性からの回路特性の微妙な偏差をアクティブにテストし検出する能力を含む。
【0024】
幾つかの実施形態では、当該スイッチ完全性テスト・サブ回路は、スイッチ入力とアースまたはアース(低電圧、V
L)より高い何らかの中間電圧の間の短絡と、スイッチ入力とプルアップ電圧またはプルアップ電圧(高電圧、V
H)より低いまたは何らかの中間電圧の間の短絡との間の電圧または電圧変化をテストし検出するように構成される。幾つかの好適な実施形態では、スイッチ完全性テスト・サブ回路は、スイッチ入力とアース(低電圧、V
L)より高い何らかの中間電圧の間の短絡および/またはスイッチ入力とプルアップ電圧(高電圧、V
H)より低い中間電圧の間の短絡の間の電圧または電圧変化をテストし検出するように構成される。このように、スイッチ完全性テスト・サブ回路は、損傷した回路抵抗器、汚染(例えば、湿度、微粒子)、腐食および/または損傷した集積回路ピンまたは集積回路インタフェース、等をテストし検出するように構成される。特定の実施形態では、スイッチ完全性テスト・サブ回路は、コントローラおよび当該コントローラの制御下にある追加の回路構成要素を備える。当該コントローラは、当該回路構成要素を、回路に特定の影響を及ぼす特定の状態にすることができる。コントローラが回路構成要素をこれらの所定の状態にしたときに生ずる影響を検出し、当該影響を装置に対して正常と考えられるものと比較することによって、コントローラは装置の回路における故障および故障の前兆を検出することができる。当該装置および方法の際立った利点は、故障の前兆がその影響を患者が受けるように現れる前に当該故障の前兆を検出できることである。
【0025】
当該スイッチ完全性テスト・サブ回路が故障または故障の前兆を検出すると、スイッチ完全性テスト・サブ回路は故障信号をコントローラに提供し、コントローラがスイッチ故障サブルーチンを起動する。スイッチ故障サブルーチンは、例えば、ユーザ警告機能の起動、故障または故障の前兆の検出の記録、装置の停止、またはそれらの1つもしくは複数の組合せのうち少なくとも1つを含む。当該ユーザ警告機能は、システムの動作が危険に晒されていると考えられるとユーザに警告するための様々な手段を備えることができる。幾つかの実施形態では、装置は故障の前兆を検出するように構成されるので、当該装置は、患者が受ける影響の原因となる故障を検出する前でもユーザ警告を起動することができる。当該ユーザ警告は、有色LED(light emitting diode)のようなインジケータの光、(繰返しの「ビープ音」のような)可聴音、(LCD(liquid crystal display)のような)読取可能な表示、(患者、介護者、またはその両方が参照可能な、装置に送信されたテキスト・メッセージ、電子メール、音声メール、または他の電子メッセージのような)他のユーザ参照可能インジケータ、またはそれらの2つ以上からなる組合せであってもよい。
【0026】
本明細書で使用する際、特に定義または限定しなければ、「とき」という用語は、基礎となる事象と同時またはそれからしばらくして後続の事象が発生することを示す。明確さのため、「スイッチ完全性テスト・サブ回路が故障または故障の前兆を検出し、スイッチ完全性テスト・サブ回路が故障信号をコントローラに提供し、コントローラがスイッチ故障サブルーチンを実行する・・・」は、スイッチ故障サブルーチンを実行した後の動作が、基礎となる故障または故障の前兆の検出事象の結果として(例えば、その検出事象と同時またはその検出事象からしばらくして)発生することを示そうとするものである。「とき」という用語は、特に示さない限り、本開示全体にわたって同様な効果を有する。
【0027】
幾つかの実施形態では、当該コントローラはまた、故障または故障の前兆の検出をフラッシュ・メモリのようなメモリに記録することができる。幾つかのかかる実施形態では、コントローラは一定の種類の故障を検出し、当該故障に故障コードを割り当て、当該故障コードを後で取り出すためにメモリに記録する。例えば、コントローラは、高電圧が正常動作回路に対して期待される点および条件下の低電圧、正常動作回路に対して期待される電圧よりも高いかまたは低い点および条件下の電圧、正常動作回路に対して期待されるよりも長いかまたは短い電圧上昇時間、正常動作回路に対して期待されるよりも長いかまたは短い電圧降下時間、またはそれらの2つ以上からなる組合せ、のうち1つを検出し記録してもよい。
【0028】
幾つかの実施形態では、当該スイッチ故障サブルーチンは装置の停止を含む。例えば、電圧供給を薬配送回路から不可逆的に切り離し、パワー・セルをアースに短絡し、回路内のヒューズ可能リンクのヒューズを飛ばすこと、等により装置を停止する方法が知られている。幾つかの実施形態では、本明細書に引用により取り込まれる特許文献1で採用されている回路および方法、特に特許文献1の列6の行65から列8の行12までに記載されている回路および方法(および添付図面)を使用して、コントローラが所定のパラメータ外にある電圧もしくは電流またはそれらの変化を検出したときに回路を停止してもよい。
【0029】
幾つかの好適な実施形態では、本明細書に教示されている装置および方法は、ユーザ警告機能を起動する機能(例えば、光および/または可聴音の起動)、検出した故障もしくは故障の前兆を記録する機能、および/または装置を停止する機能のうち2つ以上を実施することができる。幾つかの好適な実施形態では、本明細書に教示されている装置および方法は、ユーザ警告機能を起動し、装置を停止し、場合によっては検出した故障または故障の前兆を記録することができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、当該コントローラは、スイッチ入力での電圧または電圧変化速度を測定し、スイッチ入力での電圧または電圧変化速度が1つまたは複数の所定のパラメータを満たすことができなかったときにスイッチ故障サブルーチンを実行するように構成される。幾つかの実施形態では、当該装置は第1および第2の電極および貯蔵庫を備えたイオン導入配送装置であり、当該貯蔵庫のうち少なくとも1つはイオン導入により配送すべき治療薬を含む。「より高い」および「より低い」という用語は相対的であることは理解される。装置が故障の前兆を検出しそれに応答できる実施形態では特に、「より高い」および「より低い」という用語は期待値からわずか10%、5%、2%または1%の偏差を表してもよい。例えば、電圧に関して、期待されたよりも高い電圧は、テストした点および条件のもとで期待される正常電圧よりも10〜200mV、10〜100mV、10〜50mV、20〜200mV、20〜100mV、20〜50mV、50〜200mV、50〜100mV、または100〜200mVだけ高くてもよい。特に、「より高い」電圧はテストした条件下の同じ点で期待されたよりも10mV、20mV、50mV、75mV、100mV、125mV、150mV、175mV、200mVまたは250mVだけ高くてもよい。やはり電圧に関して、期待されたよりも低い電圧は、少なくとも、テストした点および条件のもとで期待される電圧よりも10〜200mV、10〜100mV、10〜50mV、20〜200mV、20〜100mV、20〜50mV、50〜200mV、50〜100mV、または100〜200mVだけ低いものであってもよい。特に、「より低い」電圧はテストした条件下の同じ点で期待されたよりも少なくとも10mV、20mV、50mV、75mV、100mV、125mV、150mV、175mV、200mVまたは250mVだけ低くてもよい。電圧の上昇および降下の時間は、期待された電圧状態を実現するためにテストした条件下の点に対して必要な(例えば、msまたはμsで測定した)時間量で特徴付けてもよい。上昇または降下の時間に関して、上昇または降下の時間の期待された上昇または降下の時間からの差分が、特定の条件のもとでテストした点に応じて、わずか1ミリ秒または高々20ミリ秒、例えば、1、2、5、10、12.5、15または20ミリ秒であってもよい。2つの選択した時間点の間の電圧変化または電流変化を測定し、それらをテストした点および条件のもとで正常回路に対して期待される電圧変化または電流変化と比較することによって、電圧および電流の上昇時間を特徴付けてもよい。
【0031】
幾つかの好適な実施形態では、当該装置は、電圧、電流、電圧変化または電流変化であろうとなかろうと、回路状態の微妙な差分を検出することができる。これらの微妙な変化は、回路基盤が1つまたは複数の汚染物質で汚染されたこと、回路基盤に回路構成要素の間の断続的な短絡が発生していること、回路基盤に1つまたは複数の回路構成要素の障害があること、またはそれらの組合せを示してもよい。かかる実施形態により、装置は、薬の配送に影響を及ぼす回路の障害として故障の前兆が現れる前に、特に、患者が故障の前兆を通知するか故障の前兆が患者に影響を及ぼす前に、故障の前兆を特定することができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、装置を作動させるための所定の条件は、ユーザが所定の期間内に少なくとも2回スイッチを起動したことを含む。この機能により、装置は、ユーザ(患者または介護者、好適には患者)がスイッチを意図的に起動したことと、例えば、出荷または保管中に生じたボタン押下、汚染により生じたボタン押下、または患者に対して装置を配置する最中もしくは装置を患者に適用した後の患者の移動中に偶然に生じたボタン押下のような偽のまたは偶然のボタン押下とを区別することができる。本明細書では、複数のボタン押下等によるスイッチの起動を、図面を参照して説明する。ボタン押下の間の時間は、これは一般には少なくとも数百ミリ秒(ms)のオーダであるが、装置のコントローラがスイッチ回路をアクティブにテストできる1つの時間ウィンドウを提供する。幾つかの実施形態では、当該装置は、2つの異なるボタン押下を所定の時間間隔、例えば100msから400msのオーダ、好適には300msで受け取ったときに、薬配送を開始するように構成される。この期間は、デバウンス期間とも呼ぶことができるが、その期間中はコントローラが(スイッチ完全性テスト・サブ回路を用いて)特定の回路パラメータを設定し、特定の点で電圧または電圧変化をテストし、どの正常動作回路、即ち、故障または故障の前兆が現れていない回路、が現れるかを示す所定の値と当該電圧または電圧変化を比較することができる。例えば、コントローラは、スイッチ入力を低状態に設定して高供給電圧(V
DD)を除去し、スイッチ入力が低供給電圧(V
SS、例えば、アースまたはアースより高い何らかの電圧)より高い0mVの(期待される)正しい低電圧を実現するかどうかをチェックし、V
SSより高い少なくとも5mVから少なくとも250mV高い(例えば、V
SSより少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、200、225または250mV高い)かかる正しい低電圧を実現できなかったかどうかをチェックしてもよい。故障または故障の前兆が検出された場合は、装置のコントローラは本明細書の他所に記載のように、スイッチ故障サブルーチンを開始する。
【0033】
本明細書で使用する際、V
DDは任意の所定の高電圧(V
H)を指し、電源から利用できる最高電圧である必要はない。同様に、V
SSは任意の所定の低電圧(V
L)を指し、「アース」を示す必要はない。他の利点のうち、本明細書で説明した装置および方法の1つの利点は、中間電圧を使用してスイッチの完全性をテストしてもよいことであり、これにより、汚染物質(例えば、湿度、微粒子、腐食、等)および他の故障および故障の前兆を示すスプリアス電圧を検出することができる。V
DDおよびV
SSの正確な値は、装置の設計中に当業者により選択される。
【0034】
他の例示的な実施形態では、例えば、当該コントローラは、スイッチ入力をV
DD(例えば、5Vまたは10Vのような、2Vから15Vの値)に設定し、当該スイッチ入力をV
SS(例えば、アースより高い0Vから1Vの値)に接続し、当該スイッチ入力が(期待された)V
DDに達するかどうかをチェックし、または、V
DDから少なくとも5mVから少なくとも250mVだけ低い(例えば、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、200、225または250mVだけよりV
DDだけ低い)V
DDに達することができなかったかどうかをチェックしてもよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、当該スイッチ入力は、当該スイッチが開いているときはV
DDに引き上げられ、当該スイッチが閉じているときはV
SSである。他の構成も可能である。例えば、コントローラのロジックが変化すると、スイッチ入力をV
SSにバイアスすることができる。これは、ボタン押下時にスイッチ入力が高に引き上げられることを意味する。3つ、4つまたはそれより多くの逐次的なボタン押下を必要とする構成を含めて他の構成を使用してもよいことは当業者には理解されるが、発明者らは一般に2つのボタン押下が殆どの目的に対して十分であると考える。
【0036】
本明細書で説明する幾つかの諸実施形態では、スイッチ動作式装置におけるスイッチ故障の検出方法を提供する。当該装置は、(a)装置コントローラのスイッチ入力に接続された装置スイッチと、(b)当該スイッチ入力を備える装置コントローラと、(c)スイッチ完全性テスト・サブ回路とを備える。当該方法は、当該コントローラが(i)スイッチ完全性テスト・サブ回路を起動するステップと、(ii)スイッチ入力での電圧条件を検出するステップと、(iii)スイッチ入力での電圧条件が1つまたは複数の所定の条件を満たすことができない場合にスイッチ故障サブルーチンを起動するステップと、を含む。これらの方法を、例えば本明細書で説明した回路および装置を用いて実行してもよい。
【0037】
幾つかの実施形態では、スイッチ完全性テスト・サブ回路を起動しスイッチ入力での電圧条件を検出するステップを、装置の動作全体にわたって連続的または定期的に実行する。限定ではなく、かかる方法はデジタル・テストまたはアナログ・テストを含んでもよい。デジタル・テストは、比較的高速であり、ボタン押下の間のデバウンス期間の間に実施するのに良く適している。アナログ・テストは、どれだけ多くのデータ点を収集するかに応じて、高速か低速の何れかでありうる。アナログ・テストはより敏感であってもよく幾つかの実施形態ではそうであり、故障の前兆を示す期待される装置パラメータからの非常に微妙な偏差の検出に対して良く適合されている。高速なアナログ・テストは任意のボタンの跳ね返りまたはボタン押下に見える(コントローラによりボタン押下と解釈できる)任意のもの(任意の電圧信号)の後の検出に良く適している。アナログ・テストはまた、薬が患者に配送されている期間(即ち、装置が2つの別々のボタン押下により起動されるケースでは第2のボタン押下の後)に対して、または、薬配送の間の期間中(即ち、装置が依然として患者に取り付けられているが現在は薬が配送されていないとき)に対して良く適している。後者のケースでは、装置はコントローラがそのアクティブなチェックを実行している短期間(例えば、500msから10秒、より好適には500mssから5秒、さらにより好適には500msから1秒)非常に少量の電流を流してもよい。本明細書で説明したように、アナログ・チェックは、ボタン押下の間であろうと、服用期間中または服用期間の間であろうと、非常に敏感であり、回路特性の微妙な変化が本格的な故障へと成長する前に当該変化を検出することができ、したがって、それが現れる前に厄介な事象を回避することができる。幾つかの実施形態では、テストがデジタル・テストとアナログ・テストの組合せを含んでもよい。幾つかの好適な実施形態では、(コントローラがボタン押下と解釈する任意の電圧信号をコントローラが検出することを含む)高速なアナログ・テストを任意のボタン押下の後に行い、かつ/または、デジタル・テストを第2のボタン押下の後に行う。幾つかの好適な実施形態では、(コントローラがボタン押下と解釈する任意の電圧信号をコントローラが検出することを含む)高速なアナログ・テストを任意のボタン押下の後に行い、デジタル・テストを第2のボタン押下の後に行う。幾つかの実施形態では、第2のボタン押下の後しばらくして、デジタル・テストに加えて低速なアナログ・テストを行う。
【0038】
本明細書で説明する幾つかの実施形態では、(a)電源と、(b)第1および第2の電極および貯蔵庫であって、当該貯蔵庫のうち少なくとも1つが治療薬を含む、第1および第2の電極および貯蔵庫と、(c)ユーザにより動作されたときにスイッチ信号を装置コントローラのスイッチ入力に提供する装置スイッチであって、当該装置コントローラは、当該スイッチに動作可能に接続され当該スイッチ入力を有し、それにより当該コントローラが当該スイッチ信号を当該スイッチから受信し、当該装置コントローラは治療薬を患者に配送するために当該第1および第2の電極に電力を提供する電源に動作可能に接続される、装置スイッチと、(d)当該スイッチ内の故障を検出し、故障が検出されたときに当該コントローラにスイッチ故障サブルーチンを実行させるように構成されたスイッチ完全性テスト・サブ回路と、を備えるスイッチ動作式イオン導入治療薬配送装置を提供する。幾つかの実施形態では、治療薬はフェンタニルまたはスフェンタニルである。明確さのため、「フェンタニル」はフェンタニル塩酸塩のような薬学的に許容可能なフェンタニルの塩を含み、「スフェンタニル」は薬学的に許容可能なスフェンタニルの塩を含む。
【0039】
本明細書で説明する幾つかの実施形態では、ユーザ動作式のイオン導入治療薬配送装置におけるスイッチ故障の検出方法を提供する。当該装置は、(a)電源と、(b)第1および第2の電極および貯蔵庫であって、当該貯蔵庫のうち少なくとも1つが治療薬を含む、第1および第2の電極および貯蔵庫と、(c)装置コントローラのスイッチ入力に接続された装置スイッチと、(d)当該スイッチ入力を備え、当該第1および第2の電極への電力を制御するように構成され、それにより治療薬の配送を制御する、装置コントローラと、(e)スイッチ完全性テスト・サブ回路とを備え、当該方法は、当該コントローラが(i)スイッチ完全性テスト・サブ回路を起動しスイッチ入力で電圧条件を検出するステップと、(ii)スイッチ入力での電圧条件が1つまたは複数の所定の条件を満たすことができなかった場合にはスイッチ故障サブルーチンを起動するステップとを含む。幾つかの実施形態では、当該スイッチ故障サブルーチンは、例えば、ユーザ警告を起動するステップ、装置を停止するステップ、またはその両方を含む。
【0040】
本発明は、一般に、電気泳動式の薬配送の安全性を高めるために使用される装置(例えば、電気回路)に関する。特にイオン導入式薬配送での使用可能性を有する薬には、天然の麻酔薬と合成の麻酔薬が含まれる。かかる物質のうち代表的なものは、限定ではなく、フェンタニル、スフェンタニル、カーフェンタニル、ロフェンタニル、アルフェンタニル、ヒドロモルフォン、オキシコドン、プロポキシフェン、ペンタゾシン、メサドン、チリジン、ブトルファノール、ブプレノルフィン、レボルファノール、コデイン、オキシモルホン、メペリジン、ジヒドロコデイノンおよびコカインのような鎮痛薬である。イオン導入の状況では、薬に言及するとき、特に述べない限り、全ての薬学的に許容可能な薬物の塩を含むものであることは理解される。例えば、フェンタニルに言及するとき、発明者らは、フェンタニル塩酸塩のようなイオン導入による配送に適したフェンタニル塩をその用語が含むことを意図している。他の例示的な薬学的に許容可能な塩は、当業界の技術者には明らかであろう。
【0041】
明確さのため、本明細書で使用する際、「治療薬」および「薬」という用語は類語として使用され、対象に処方したとき治療的に有効な効果をもたらすと期待される承認薬および化学物質の両方を含む。さらなる明確さのため、特定の薬または治療薬に言及する場合、当該言及はこれらの治療薬の治療的に有効な塩を含むものである。
【0042】
次に、図を参照する。図は本明細書で教示する装置および方法の特に例示的な実施形態を示す。図示した回路および方法の修正および様々な配置構成が本開示および諸請求項の範囲内にあることは当業者には理解される。
【0043】
図1は、例示的な治療薬配送システムを示す。治療薬配送システム100は、起動スイッチ102、コントローラ104および治療薬配送機構106を備える。起動スイッチ102を、押下ボタン・スイッチ、スライド・スイッチおよびロッカー・スイッチのような様々なスイッチ・タイプから選択することができる。幾つかの実施形態では、押下ボタン・スイッチを使用する。「瞬時オン」または「瞬時オフ」の何れかの押下ボタン・スイッチを使用できるが、明確さのため、瞬時オンの押下ボタン・スイッチを各例において与える。コントローラ104は、患者への薬の処方を、薬の具体的な投薬速度および投薬量に関して制御する。コントローラ104を使用して、服用間隔を制限することもできる。例えば鎮痛剤に関して、コントローラは所定の期間に高々1回、例えば、5分、10分、15分、20分、1時間または2時間ごとに1回、患者が1回分を受け取れるようにすることができる。コントローラ104はまた、バッテリのような電源を備えることができ、または、単にコントローラ外部の電源を制限することができる。一般に、コントローラ104が制御する電源を使用して、治療薬配送機構106を介した治療薬の配送を駆動する。コントローラ104を、当業界で公知な幾つかの方法で実装することができる。コントローラ104は、マイクロプロセッサと命令を含むメモリとを備えることができる。あるいは、コントローラ104は、適切にプログラムされたFPGA(field−programmable gatearray)を備えることができる。コントローラ104を、離散ロジックまたはASIC(application specific integrated circuit)で実装することができる。
【0044】
治療薬配送機構106を、イオン導入ポンプおよび静脈注射ライン・ポンプを含む様々な様々な投薬機構から選択することができる。前者のケースでは、コントローラ104により制御される少量の充電を用いて患者の皮膚を通じて薬をを配送する。後者のケースでは、コントローラ104は、薬を静脈ラインに導入するポンプを制御する。明確さのため、本明細書の例ではイオン導入式の薬ディスペンサを参照する。
【0045】
図2はイオン導入式治療薬配送機構の1実施形態を示す。イオン導入式治療薬配送機構200は、アクティブ電極202、アクティブ貯蔵庫204、リターン電極212、対イオン貯蔵庫214を備える。アクティブ電極202およびリターン電極212は、コントローラ104に電気的に接続されている。イオン導入式治療薬配送機構200はしばしば、患者の皮膚(220)に取り付けたパッチの形態をとる。アクティブ貯蔵庫204は、イオン治療薬206を含む。イオン治療薬206は、本明細書で説明する薬、薬剤または他の治療薬であってもよく、アクティブ電極と同じ極性を有する。対イオン貯蔵庫214は対イオン物質216を含む。対イオン物質216は、生理食塩水または電解質でありうる、イオン治療薬と反対の極性のイオン物質である。他の実施形態では、イオン導入式治療薬配送機構200がさらに、追加のアクティブおよび/または対イオンの貯蔵庫を備えることができる。
【0046】
コントローラ104がアクティブ電極202およびリターン電極212に電圧を印加すると、患者の体が回路を完成する。このように生成された電界が、イオン治療薬206をアクティブ貯蔵庫204から患者に導く。本例では、コントローラ104は、バッテリでありうる電源240を備える。他の実施形態では、コントローラ104は外部電源を制御する。治療薬配送機構200はしばしば繊維またはポリマのような生体適合材料を備える。これらは当業界で公知であり、治療薬配送機構200を患者の皮膚に取り付けるための接着剤である。
【0047】
幾つかの実施形態では、コントローラ104およびイオン導入式治療薬配送機構200は、治療薬の利用時に纏められる。このパッケージ化により、即時の利用が可能となり治療薬の完全性が保証されるが、配送装置のさらなる故障点が入り込むおそれもある。
【0048】
治療薬配送システム100はしばしば、患者が薬を自己投与できる環境において使用される。例えば、(特に塩酸塩または他の配送可能な塩の形のフェンタニルまたはスフェンタニルのような)鎮痛薬を、かかる装置を用いて自己投与してもよい。かかる環境では、
患者は痛みを感じたとき常に、または、患者の痛みが患者の痛みの許容限界を超えたとき常に、鎮痛薬を自己投与することができる。患者の安全を保証するために、多数の安全装置および安全機能がコントローラ104に組み込まれる。イオン導入式治療薬配送システムにおける正確な配送を保証するために、回路の他の要素のうち患者の皮膚の可変抵抗を考慮するように装置を構成してもよい。このように、コントローラ104は、電流を監視し(例えば、電流検知抵抗器にわたる電圧を測定し)それに応じて電圧を上下に調節することによって、患者に配送される電流の量を制限して治療薬の安定した配送を可能とすることができる。さらに、電圧供給の条件が正確な動作を妨げる場合(例えば、充電不足の場合)、装置を停止することができる。
【0049】
動作の際、薬の塗布の詳細に精通しない患者、および、ひどく苦しんでいるかもしれない患者がボタンを押下して治療薬の配送を起動できるようにすることがしばしば都合がよい。コントローラ104は、起動の際、一回分の用量を所定の速度で投与することができる。不用意な処方を防ぐために、コントローラ104は患者が起動スイッチ102を所定の間隔で2回起動することを要求することができる。前述のように、所定のデバウンス間隔を使用して、患者による1回のスイッチ起動の試みが2回のスイッチ起動の試みと誤って解釈されないことを保証することができる。本明細書で説明したように、このデバウンス間隔は、本明細書で説明した装置が例えばアナログまたはデジタルの故障チェック方法を用いて故障または故障の前兆を検出しそれに応答できる、1つの都合のよい期間を提供する。
【0050】
図3は、起動スイッチに接続されたコントローラの例示的な実施形態を示す。起動スイッチ302は、押下ボタンの瞬時「オン」スイッチとして示されており、スイッチ入力308を介してアース面およびコントローラ300に接続されている。コントローラ300は、プルアップ抵抗器304および制御回路306を備える。プルアップ抵抗器304は、供給電圧V
DDおよびスイッチ入力308に接続されている。制御回路306もスイッチ入力308に接続されている。起動スイッチ302が開いているとき、プルアップ抵抗器304はスイッチ入力308での電圧を供給電圧V
DDのレベルまで引き上げる。起動スイッチ302が閉じているときは、プルアップ抵抗器304はスイッチ入力308での電圧をアースまで引き下げる。
【0051】
説明の目的のためここではV
DD、V
SSおよび「アース」について言及するが、V
DDについて言及する場合は常に、特に指定がない限り、これは任意の所定の任意の所定のロジック・レベル高(V
H)を含むものであることは理解される。同様に、V
SSまたは「アース」について言及する場合は常に、特に指定がない限り、任意の所定のロジック・レベル低(V
L)を含むものである。幾つかの好適な実施形態では、ロジック高レベルはV
DDより低い中間電圧であり、かつ/または、ロジック低レベルはアースより高い何らかの中間電圧である。幾つかの好適な実施形態では、実際には、ロジック高レベルはV
DDより低い中間電圧であり、ロジック低レベルはアースより高い何らかの中間電圧である。明確さのため、本明細書の一部の箇所ではロジック高をV
Hと称し、ロジック低をV
Lと称することもある。V
DDより低いV
Hおよび/またはアース(もしくはV
SS)より高いV
Lを使用することにより、汚染、腐食または他の故障および故障の前兆から生ずる中間電圧信号を検出することができる。
【0052】
図4は、起動シーケンスの例示的なタイミングを示す。トレース400は、スイッチ入力での電圧のプロットを時間の関数として示す。時刻402で、押下ボタンが押下されスイッチ入力308での電圧がアース電位まで低下する。時刻404で、押下ボタンが解放されてスイッチ入力308での電圧が供給電圧レベルに戻る。装置の起動の堅牢性をさらに高めるために、コントローラ300は、第1のボタン押下および第2のボタン押下の後のボタン解放間の所定の最小時間間隔406および所定の最大時間間隔412を強制する。所定の最小時間間隔406が経過する前にボタン押下が発生した場合には、かかるボタン押下は無視される。なぜならば、この期間中は、第2のボタン押下が意図したものか否かが明らかではないからである。この間隔は偶然の読取りを回避するのに十分な長さであるが、平均的な患者が所定の最小時間間隔よりも早くボタンを押下するのに苦労するには十分に短い。例示的な所定の最小時間間隔は上述の概要において与えられている。時刻408は、所定の最小時間間隔が経過した後に来るが、当該時刻で第2のボタン押下が発生し、その後時刻410でボタンが解放される。第2のボタン押下を時刻410の後に検証すると、コントローラ300は、第2のボタン押下が所定の最大時間間隔の経過後例えば3秒以内に完了した場合には、当該シーケンスを妥当な起動シーケンスとして受け入れて、治療薬の配送を開始することができる。これにより、偶然の第1のボタン押下により治療薬配送装置を作動可能なままにして第2の偶然のボタン押下により治療薬の配送が起動されることがないようにする。この起動シーケンスにより、治療薬が偶然に配送されないようにする。患者がそれを望んだときにのみ治療薬が配送されるようにすることに加え、コントローラ300は、治療薬を過度に処方することを防ぎ所定の使用期限後に治療薬を投薬することを防ぐロジックおよび/または回路を組み込むこともできる。かかるロジックおよび回路は例えば特許文献1に記載されており、引用によりその全体が、特に本明細書の何れかの場所に説明されているかのように取り込まれる。繰り返すが、V
DDおよびV
SSは
図4において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をV
SSの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>V
SSである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>V
SSである。
【0053】
スイッチの完全性を保証するための追加の安全装置をコントローラ300に実装してもよい。例えば、コントローラ300は、スイッチ302とアース面または電源トレースの何れかの間に短絡(断続的な短絡を含む)が存在するか否かを検出することができる。当該短絡は、汚染または腐食から生じうる。回路の短絡は、「強固な」短絡または断続的な短絡であってもよい。短絡は、断続的な短絡も含めて、例えば、回路上の腐食または汚染により引き起こされうる。腐食または汚染は電気的な経路をもたらす可能性があり、連続的またはスプリアスである場合もある。さらに、コントローラ300は、スイッチ入力に損傷があるか否かを検出することができ、当該スイッチ入力は集積回路ピンまたは集積回路インタフェース・パッドでありうる。汚染または腐食に起因する短絡、特に断続的な短絡は、それ自体必ずしも装置を誤動作させるものではないかもしれない。最初は、汚染または腐食はスイッチ302とアース面または電源トレースの間の高抵抗路の中に現れるが、時間とともに、汚染または腐食が蓄積すると、この経路の抵抗は最終的にスイッチが故障しうるまで減少するおそれがある。したがって、高抵抗短絡の存在も将来の故障を暗示するものである。したがって、本明細書で説明したように、幾つかの実施形態では、当該コントローラは説明したような断続的な短絡を検出し適切なスイッチ故障サブルーチンを開始する。例えば、スイッチ故障サブルーチンは、1つまたは複数の適切なユーザ警告(例えば、可聴音または可視インジケータ)を設定すること、および/または、(例えば、電源を電極から切り離すことによって)装置を停止することを含んでもよい。
【0054】
図5は、スイッチ完全性テストを具現化する治療薬配送装置の例示的な実施形態を示す。コントローラ300と同様に、コントローラ510は制御ロジック306、プルアップ抵抗器304、およびスイッチ入力308を備える。コントローラ510はさらに、(プルアップ抵抗器304をスイッチ入力308から電気的に切り離すために使用できる)スイッチ502を備えるスイッチ完全性テスト・サブ回路と、スイッチ完全性テスト出力506と、制御ロジック306内部の完全性テスト・サブロジック512とを備える。スイッチ完全性テスト・サブ回路は、スイッチ完全性テストが行われているときに起動される。完全性テスト・サブロジック512は、スイッチ502を開き、特定のスイッチ完全性テストに従ってスイッチ完全性出力506を所定の電圧または一連の電圧に設定するように構成される。コントローラ510を集積回路に搭載する実装形態では、スイッチ完全性テスト出力506を汎用目的のI/Oポートまたはアナログ・アウトライン・ピンで実装することができる。スイッチ完全性テスト出力506は、一般に高抵抗(例えば、1MΩ)である抵抗器504によりスイッチ入力308に接続される。スイッチ完全性テスト出力506が電源に接続されてなくてもよく、高供給電圧(V
DD)を提供するかまたは低供給電圧(V
SS)(例えば、アース電位)を提供してもよい。テストの最中は、スイッチ502は電気的に開いており、プルアップ抵抗器304をスイッチ入力308から切り離す。所望のテストに応じて、スイッチ完全性テスト出力506は高供給電圧または低供給電圧を提供する。さらなる詳細は、下記で説明する。明確さのため、完全性テスト・サブロジック512は以降の図では省略している。繰り返すが、V
DDおよびアースは
図5において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をアースの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>アースである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>アースである。
【0055】
図6は、スイッチ完全性テストを有する治療薬配送装置の例示的な実施形態を示す。より具体的には、コントローラ510、特に完全性サブロジック512(図示せず)は、制御ロジック602によって制御されるスイッチ604およびスイッチ606を備える。スイッチ604およびスイッチ606が開いているとき、スイッチ完全性テスト出力506は電源に接続されていない。スイッチ604が閉じており、かつ、スイッチ606が開いているときは、スイッチ完全性テスト出力506は高供給電圧を提供する。スイッチ604が開いており、かつ、スイッチ606が閉じているときは、スイッチ完全性テスト出力506は低供給電圧を提供する。繰り返すが、V
DDおよびアースは
図6において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をアースの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>アースである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>アースである。
【0056】
様々なテストを本構成において実施することができる。
図7を参照すると、偶然の処方に対して2重に安全装置のボタンが押下されたために、スイッチ完全性テストを行う機会が数回存在する。時刻404でボタンが解放された後、所定の最小時間間隔406が経過するまでスイッチ302を無視し、この期間の間、スイッチ302の完全性とそのインタフェースをテストすることができる。当該テストが最小時間間隔406より短い限り、短絡テスト(例えば、高速なアナログ・テストまたはデジタル・テスト)を実施することができる。幾つかの実施形態では、高速なアナログ・テストを実施する。
図7には、時間短絡テストを実施できる期間702を示してある。時刻410で第2のボタンが解放された後、別のテスト(例えば、デジタルまたは高速なもしくは低速なアナログ・テスト)を治療薬の配送中に行うことができる。なぜならば、この期間ではスイッチ302による任意の信号を無視できるからである。
図7に、期間704における第2のテストを示す。繰り返すが、V
DDおよびV
SSは
図7において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をV
SSの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>V
SSである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>V
SSである。
【0057】
図8は、短期間のスイッチ・アース完全性テストにおける治療薬配送装置500の均等な回路構成を示す。
図8で抵抗器504をアースしているように、当該短期間のスイッチ・テストの最中は、スイッチ完全性テスト出力506は高供給電圧状態から低供給電圧状態にされている。さらにスイッチ502はテストの最中開いている。テストの最中は、抵抗器504はプルダウン抵抗器として動作してスイッチ入力308での電圧をV
DDからV
SSに低下させる。電圧低下速度は、抵抗電気容量(「RC」)時間定数に基づく。回路内の抵抗は抵抗器504により与えられ、電気容量は、スイッチ入力308および回路の中に内在する電気容量である。例えば、コントローラ510がPCB(printedcircuitboard)にマウントしたASICで実装される場合、PCB内の金属製トレース、インタフェース・ピン、ASICパッケージ内のボールまたはランドは主な電気容量の源である。実験により、コントローラ510の正常な電気容量を決定することができる。スイッチ入力308で観測された電圧の減衰率における任意の偏差は、抵抗器504の不良、汚染、短絡、開放回路(「開放」)、PCBトレースの欠陥もしくは不良、またはASICインタフェースの不良に起因しうる。例えば、製造中、梱包中、補完中、または使用中のESD(electrostatic discharge)によりASICインタフェースが損傷するおそれがある。繰り返すが、V
DDおよびアースは
図8において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をアースの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>アースである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>アースである。
【0058】
図9は、短期間のスイッチ・アース完全性テストにおける信号処理を示す。信号トレース902は、最初にV
DDから始まり急激にV
SSに低下する、完全性スイッチ・テスト出力506からの信号である。信号トレース904は、「良好な」治療薬配送装置についてスイッチ入力308で観測される信号である。完全性スイッチ・テスト出力506の電圧が低下した後所定の期間910が経過した後に、当該信号は矢印912で示すように既知の値に減衰する。しかし、所定の期間910の後にスイッチ入力308で観測された信号トレース906で示す信号が矢印914で示すように期待されたよりも高速に既知の値へと減衰しない場合には、テスト回路に過剰な電気容量または抵抗が存在する可能性がある。これは、上述のように故障または故障の前兆の存在を示す可能性がある。繰り返すが、V
DDおよびV
SSは
図9において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をV
SSの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>V
SSである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>V
SSである。
【0059】
図10は、短期間の電力スイッチ完全性テストにおける治療薬配送装置500の均等な回路構成を示す。短期間のスイッチ・テストの最中は、
図10に示すようにスイッチ完全性テスト出力506は低供給電圧状態から高供給電圧状態にされている。ここでも、テスト中にスイッチ502は開いている。テスト中は、抵抗器504はプルアップ抵抗器として動作してスイッチ入力308での電圧をV
SSからV
DDに上昇させる。短期間のスイッチ・アース完全性テストについて上述したのと同様に、電圧上昇速度はRC時間定数に基づく。再度、上述の正常なRC時間定数からの偏差の原因は、抵抗器504の不良、汚染、短絡、開放、PCBトレースの欠陥もしくは不良、またはASICインタフェースの不良に起因しうる。繰り返すが、V
DDおよびアースは
図10において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をアースの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>アースである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>アースである。
【0060】
図11は、短期間の電力スイッチ完全性テストにおける信号処理を示す。当該信号は、
図9に示すものに対して論理的に補完するものである。信号トレース1102は、最初にV
SSから始まり急激にV
DDに上昇する、完全性スイッチ・テスト出力506からの信号である。信号トレース1104は、「良好な」治療薬配送装置についてスイッチ入力308で観測される信号である。完全性スイッチ・テスト出力506の電圧が低下した後所定の期間1110が経過した後に、当該信号は矢印1112で示すように既知の値に上昇する。しかし、所定の期間910の後にスイッチ入力308で観測された信号トレース906で示す信号が矢印1114で示すように期待されたよりも高速に既知の値へと上昇しない場合には、テスト回路に過剰な電気容量または抵抗が存在する可能性がある。これは、上述のように故障または故障の前兆の存在を示す可能性がある。例えばデジタル・テストを使用する幾つかの実施形態と同様に、テストが第2のボタン押下の後に行われる場合、時間要素は何ら必要ではなく、かかる幾つかの実施形態では時間要素はないことに留意されたい。繰り返すが、V
DDおよびV
SSは
図11において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をV
SSの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>V
SSである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>V
SSである。
【0061】
図12は、長期間のアナログ・スイッチ・アース完全性テストにおける治療薬配送装置500の均等な回路構成を示す。
図12に示す均等な回路構成は、基本的に、
図8に示したものと実質的に同じ構成である。さらに、制御ロジック306は、スイッチ入力308での電圧を測定する手段を備える。図示した実施形態では、電圧を測定するための手段はアナログ・デジタル変換器(「ADC」)1204であるが、ADCの代わりに1組の比較器回路を使用して、比較器の閾値と比較されるアナログ信号の電圧レベルを測定するといった、他の電圧測定方法を実装してもよい。
図8と同様に、スイッチ完全性テスト出力506は低供給電圧状態に低下され、そのため抵抗器504はプルダウン抵抗器として動作する。(1202で示す)汚染または腐食がスイッチ302、スイッチ入力308または接続配線および電気系統の金属製トレースのような高電源の間に存在する場合は、当該汚染または腐食が、抵抗器504に対して上昇させる抵抗器として動作し、分圧器をもたらすこととなりうる。その結果、抵抗器504がスイッチ入力308での電圧を完全にV
SSへ引き下げることができなくなる。スイッチ入力308が電圧をV
SSに安定させることができなかった場合は、汚染、腐食、または他の装置の破損が、スイッチ302および/またはスイッチ入力308および高電源の間の短絡を引き起こす。繰り返すが、V
DDおよびV
SSは
図12において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をV
SSの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>V
SSである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>V
SSである。
【0062】
図13は、長期間のアナログ・スイッチ・アース完全性テストにおける信号処理を示す(長期間のアナログのアース完全性テストに言及するが、収集したデータ点の数を調節することによってテストを短期間にしてもよい)。信号トレース1302は、最初にV
DDから始まり急激にV
SSに低下する、完全性スイッチ・テスト出力506からの信号である。信号トレース1304は、「良好な」治療薬配送装置についてスイッチ入力308で観測される信号である。完全性スイッチ・テスト出力506の電圧が低下した後所定の期間910が経過した後に、当該信号は最終的な値に減衰する。所定の間隔1310は、
図9に示す所定の間隔910とは異なる。短期間のテストの目的は減衰速度を測定することであるため、所定の間隔910は、RC時間定数の何らかの変化が観測されるのに十分なほど短いべきである。対照的に、所定の間隔1310は、スイッチ入力308で観測された信号がRC時間定数と無関係に(または、少なくともRC時間定数の合理的な範囲内で)定常状態電圧に減衰するのに十分なほど長いべきである。信号トレース1306は、破損または他の何らかの原因により高電源およびスイッチ302および/またはスイッチ入力308の間の短絡が生じたときに、治療薬配送手段に対してスイッチ入力308で観測される信号である。定常状態電圧とV
SSの間の差異を矢印1308により示す。繰り返すが、V
DDおよびV
SSは
図13において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をV
SSの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>V
SSである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>V
SSである。
【0063】
動作上は、所定の期間1310の後、制御ロジック306がスイッチ入力308での電圧を測定する。定常状態電圧が所与の閾値を超過した場合は、故障をコントローラ510により示すことができる。さらにまたはあるいは、定常状態電圧が第2の閾値を超過した場合は、コントローラ510により故障の前兆を示し、適切な措置をとることができる。
【0064】
図14は、長期間のアナログ電力スイッチ完全性テストにおける治療薬配送装置500の均等な回路構成を示す。
図14に示す均等な回路構成は、基本的に、
図10に示したものと実質的に同じ構成である。再度、制御ロジック306はさらにスイッチ入力308での電圧を測定するための手段を備える。
図10と同様に、スイッチ完全性テスト出力506は高供給電圧状態にされ、そのため抵抗器504はプルアップ抵抗器として動作する。(1402に示す)汚染または腐食がスイッチ302、スイッチ入力308または接続配線およびアース・トレースのような低電源の間に存在する場合、または、汚染または腐食がスイッチ302の二極の間に侵入してスイッチ302を短絡させた場合には、当該汚染または腐食は、抵抗器504に対して低下させる抵抗器として動作し、分圧器をもたらすこととなりうる。その結果、抵抗器504がスイッチ入力308での電圧を完全にV
DDへ上昇させることができなくなる。スイッチ入力308が電圧をV
DDに安定させることができなかった場合は、汚染、腐食、または他の装置の破損が低電源への短絡を引き起こす。繰り返すが、V
DDおよびV
SSは
図14において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をV
SSの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>V
SSである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>V
SSである。
【0065】
図15は、長期間のアナログ電力スイッチ完全性テストにおける信号処理を示す。信号トレース1502は、最初にV
SSから始まり急激にV
DDに上昇する、完全性スイッチ・テスト出力506からの信号である。信号トレース1504は、「良好な」治療薬配送装置についてスイッチ入力308で観測される信号である。完全性スイッチ・テスト出力506の電圧が上昇した後所定の期間1510が経過した後に、当該信号は最終的な値に上昇する。再度、所定の間隔1310と所定の間隔910の差異と同様の理由により、所定の間隔1510は
図11に示す所定の間隔1110と異なる。信号トレース1506は、破損または他の何らかの原因により低電源およびスイッチ302および/またはスイッチ入力308の間の短絡が生じたときに、治療薬配送手段に対してスイッチ入力308で観測される信号である。定常状態電圧およびV
DDの間の差異を矢印1508により示す。繰り返すが、V
DDおよびV
SSは
図15において例示の目的で使用されているが、任意のロジック高(V
H)をV
DDの代わりに使用することができ、任意のロジック低(V
L)をV
SSの代わりに使用することができる。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDまたはV
L>V
SSである。幾つかの実施形態ではV
H<V
DDおよびV
L>V
SSである。
【0066】
動作上は、所定の期間1510の後、制御ロジック306がスイッチ入力308での電圧を測定する。定常状態電圧とV
DDの電圧差が所与の閾値を超過した場合は、故障をコントローラ510により示すことができる。さらにまたはあるいは、当該電圧差が第2の閾値を超過した場合は、コントローラ510により故障の前兆を示し、適切な措置をとることができる。
【0067】
図16は、スイッチ完全性テストを伴う治療薬配送装置の1実施形態の投薬動作の流れ図を示す。ステップ1602で、当該装置はボタンの解放を待機する。これは、
図7における事象待機404に対応する。ボタンが解放された後ステップ1604で、
図8乃至11で上述したように1つまたは複数の短絡スイッチ完全性テストを実施することができる。ステップ1606で、当該装置は第2のボタン解放を待機する。ボタンが解放された後、ステップ1608で、第2のボタン押下が所定の最小時間間隔で発生したかどうかを判定する。所定の最小時間間隔で発生しなかった場合は、最後のボタン解放を無視し、当該装置はステップ1606に戻って別のボタン解放を待機する。所定の最小時間間隔で発生した場合は、第1のボタン解放から最大時間間隔が経過したかどうかを判定する。最大時間間隔が経過した場合は、当該装置がステップ1604に戻るので第2のボタン解放を第1のボタン解放として扱う。最大時間が経過していない場合は、ステップ1612で、治療薬の配送を開始する(
図16では明示していないが、ステップ1610およびステップ1612の間にデジタル・スイッチ完全性チェックまたは高速なアナログ完全性チェックのような1つまたは複数のスイッチ完全性チェックを実施してもよいことは理解される)。治療薬の配送と並行して、当該装置は1つまたは複数の任意の長期間のスイッチ完全性テストをステップ1614で実施することができる。それと並行して、当該装置の停止を保証するのに十分なほどの重大度で故障が発生したかどうかをステップ1616で判定する。発生した場合は、ステップ1618で装置を停止する。
【0068】
図17は、スイッチ完全性テストのプロセスの例示的な実施形態を示す。示した流れ図は、ステップ1604および/またはステップ1614で使用される典型的なスイッチ完全性プロセスのうち代表的なものである。ステップ1702で、装置500はそのスイッチ完全性サブ回路を起動する。上で与えた例では、これは、スイッチ502を開くこと、スイッチ完全性テスト出力をV
DDまたはV
SSのような所定の電圧に設定すること、および/または、
図12および
図14に示す構成のように任意にADC1204の電源を入れるかまたはADC1204を起動すること、を含むことができる。幾つかの実施形態では、テストしていないときにADC回路の電源を切って電力を節約することができる。ステップ1704で、1つまたは複数の所定の電圧条件をテストする。これらの条件の例は
図8乃至15で上述した。例えば、
図8乃至11で説明した短絡テストでは、スイッチ完全性テスト出力を所定の電圧に設定した後所定の期間が経過した後に、スイッチ入力308での電圧を測定する。測定した電圧が期待された電圧に上昇または減衰した場合は、電圧条件が検出されたものと見なされる。別の例では、
図12乃至16で説明した長期間のテストにおいて、スイッチ完全性テスト出力を所定の電圧に設定した後所定の期間が経過した後に、スイッチ入力308での電圧を測定する。所定の電圧と測定した電圧の間に差異が存在する場合は、電圧条件が検出されたものと見なされる。
【0069】
ステップ1706で、所定の電圧条件が検出されたかどうかを判定し、検出された場合は、ステップ1708で故障サブルーチンを起動する。より具体的には、各所定の電圧条件に故障または故障の前兆を関連付ける。故障サブルーチンは、故障または故障の前兆の重大度に応じて、1つまたは複数回の措置をとることができる。例えば、ユーザ警告機能を起動することにより患者または介護者に警告することができる。前述のように、ユーザ警告機能は、システムの動作が危険に晒されていると考えられるとユーザに警告するための様々な手段を備えることができる。幾つかの実施形態では、当該装置は、患者が受ける影響を引き起こす故障が検出される前でも装置がユーザ警告を起動できるように故障の前兆を検出するように構成される。当該ユーザ警告は、有色LED(light emitting diode)のようなインジケータの光、(繰返しの「ビープ音」のような)可聴音、(LCD(liquid crystal display)のような)読取可能な表示、他のユーザ参照可能インジケータ、外部監視装置への通信(例えば、中央コンソールへの無線通信)またはそれらの2つ以上からなる組合せであってもよい。
【0070】
別の例では、故障および故障の前兆をメモリに記録してもよい。幾つかのかかる実施形態では、コントローラは一定の種類の故障を検出し、当該故障に故障コードを割り当て、当該故障コードを後で取り出すためにメモリに記録する。例えば、コントローラは、高電圧が正常動作回路に対して期待される点および条件下の低電圧、正常動作回路に対して期待される電圧よりも高いかまたは低い点および条件下の電圧、正常動作回路に対して期待されるよりも長いかまたは短い電圧上昇時間、正常動作回路に対して期待されるよりも長いかまたは短い電圧降下時間、またはそれらの2つ以上からなる組合せ、のうち1つを検出し記録してもよい。これらの記録を幾つかの方法で取り出すことができる。例えば、当該記録を、フラッシュ・メモリのような取外し可能メモリ媒体により取り出し、ディスプレイ装置への1つまたは複数の視覚メッセージにより介護者が参照し、または外部監視装置へ送信してもよい。
【0071】
別の例では、本明細書で説明したように、十分な重大度を有する故障が患者にリスクをもたらすとき、例えば、ソフトウェア・ロジックの手段により、電圧供給を薬配送回路から不可逆的に切り離すこと、パワー・セルをアースに短絡すること、回路内のヒューズ可能リンクのヒューズを飛ばすこと、等によって、当該装置を停止することができる。
【0072】
別の例では、故障サブルーチンは説明した1組の動作を実施することができる。例えば、最初に故障の前兆を記録するが、潜在的な故障の重大度が増すとユーザ警告を発する。最後に、潜在的な故障が実際の故障となり、重大度が十分に高くなったとき、装置はステップ1618で停止する。
【0073】
ステップ1706で電圧条件が見つからなかった場合、または、ステップ1708で電圧条件を処理した後、場合によっては、スイッチ完全性プロセスはステップ1710に進むことができ、当該装置は、次のテストに備えるかまたは最後のテストの完了に備えるかの何れかである。前者のケースでは、当該装置はスイッチ完全性テスト出力を別の電圧に設定してもよい。例えば、
図8、
図9、
図12、
図13で上述したアース・テストのうち1つに備えて、スイッチ完全性テスト出力をV
DDに設定し、アース・テストがステップ1702で開始したときにスイッチ完全性テスト出力をV
SSにして当該テストを開始できるようにすることができる。しかし、これを、適切なテストの選択により最小化することができる。例えば、電力テストとアース・テストを交互に行う場合、スイッチ完全性テスト出力を別の電圧に設定する必要はない。なぜならば、各テストにより、スイッチ完全性テスト出力が他のテストを開始するのに適切な電圧になっているからである。後者のケースでは、ステップ1710で、装置はスイッチ完全性サブ回路を停止することができる。例えば、スイッチ完全性テスト出力をその非テストのデフォルト状態に設定することができる。当該デフォルト状態は、高供給電圧か低供給電圧の何れかであってもよい。あるいは、スイッチ完全性テスト出力が電源に接続されていなくともよい。さらに、抵抗器304がそのプルアップ機能を再開できるように、スイッチ502は閉じている。
【0074】
本明細書では本発明の好適な実施形態を示し説明したが、かかる実施形態は例としてのみ提供されていることは当業者には理解される。当業者は、本発明から逸脱しない多数の変形、変更、および置換に想到するであろう。本明細書で説明した本発明の諸実施形態に対する様々な代替物を、本発明の実施において採用してもよいことは理解される。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義すること、および、これらの諸請求項およびその均等物の範囲内の方法および構造が添付の特許請求の範囲により包含されることが意図されている。