特許第6342389号(P6342389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342389
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】経皮的ホルモン補充療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/57 20060101AFI20180604BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 5/34 20060101ALI20180604BHJP
   A61K 31/565 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 5/30 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 15/12 20060101ALI20180604BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   A61K31/57
   A61K47/14
   A61P5/34
   A61K31/565
   A61P5/30
   A61P43/00 121
   A61P15/12
   A61K9/70 401
【請求項の数】20
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-518528(P2015-518528)
(86)(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公表番号】特表2015-520236(P2015-520236A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】US2013046444
(87)【国際公開番号】WO2013192250
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】61/661,302
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/662,265
(32)【優先日】2012年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/684,002
(32)【優先日】2012年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2013/023309
(32)【優先日】2013年1月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/843,362
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514127596
【氏名又は名称】セラピューティックスエムディー インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】THERAPEUTICSMD, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エイ バーニック
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア エム アマディオ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター エイチ アール ペルシカナー
(72)【発明者】
【氏名】ジャニス ルイーズ カカセ
(72)【発明者】
【氏名】ネダ イラニ
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−040937(JP,A)
【文献】 特開昭63−227520(JP,A)
【文献】 特表平11−514989(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/077741(WO,A1)
【文献】 特表2005−531493(JP,A)
【文献】 特開昭63−107409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/57
A61K 9/70
A61K 31/565
A61K 47/14
A61P 5/30
A61P 5/34
A61P 15/12
A61P 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロゲステロンを含む経皮吸収型製剤であって、前記プロゲステロンが、中鎖脂肪酸グリセロールエステルで可溶化され、
前記中鎖脂肪酸は主に、C6〜C10脂肪酸、又はその組み合わせであり、
前記可溶化プロゲステロンが、経皮吸収型のパッチに存在する、経皮吸収型製剤。
【請求項2】
前記中鎖脂肪酸は主に、C8〜C10脂肪酸、又はその組み合わせである、請求項1に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項3】
前記中鎖脂肪酸が、主に飽和している中鎖脂肪酸である、請求項1又は2に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項4】
前記プロゲステロンが、C8〜C10脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリド、又はその組み合わせで可溶化されている請求項1に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項6】
前記プロゲステロンが、C8〜C10脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリド、又はその組み合わせ、及び前記非イオン性界面活性剤で可溶化されている、請求項5に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項7】
前記プロゲステロンが、C8脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、並びに前記非イオン性界面活性剤で可溶化されている、請求項6に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項8】
前記プロゲステロンが、C8及びC10トリグリセリド並びに非イオン性界面活性剤で可溶化されている、請求項6に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項9】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを含む、請求項5〜8の何れか1項に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項10】
前記プロゲステロンの1日当たりの投与量が、パッチあたり10〜100mgである、請求項1に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項11】
17β−エストラジオールを更に含む、請求項1、3〜10の何れか1項に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項12】
前記17β−エストラジオールが可溶化されている、請求項11に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項13】
前記17β−エストラジオールの1日当たりの投与量が、パッチあたり0.01〜0.1mgである、請求項1に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項14】
プロゲステロンを含む経皮吸収型製剤であって、前記プロゲステロンが、中鎖脂肪酸グリコールエステル又はグリセロールエステル及び非イオン性界面活性剤で可溶化され、前記中鎖脂肪酸は主に飽和された、
C6〜C10脂肪酸、又は
C8〜C10脂肪酸であり、
前記可溶化プロゲステロンが、経皮パッチ中に存在する、経皮吸収型製剤。
【請求項15】
前記中鎖脂肪酸が、主にC8〜C10飽和脂肪酸である、請求項14に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項16】
請求項1、3〜10、及び14〜15の何れか1項に記載の経皮吸収型製剤であって、前記経皮吸収型製剤が、治療を必要とする哺乳類における、プロゲステロン不足状態の少なくとも1種の治療に用いられ、前記治療が、経皮吸収型製剤を有効量で投与することを含む、経皮吸収型製剤。
【請求項17】
請求項11又は12に記載の経皮吸収型製剤であって、前記経皮吸収型製剤が、治療を必要とする哺乳類における、プロゲステロン不足状態の少なくとも1種及びエストロゲン不足状態の少なくとも1種の治療に用いられ、前記治療が、経皮吸収型製剤を有効量で投与することを含む、経皮吸収型製剤。
【請求項18】
前記プロゲステロン及び17β−エストラジオールが、周期的順次的方法で投与される、請求項17に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項19】
前記プロゲステロン及び17β−エストラジオールが、持続的併用方法で投与される、請求項17に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項20】
(i)プロゲステロンを約7.14重量%、17β−エストラジオールを約0.29重量%、カプリル酸及びカプリン酸のモノグリセリド/ジグリセリド(例えば、Capmul MCM)を約82.57重量%、ラウロイルポリオキシ−32−グリセリド(例えば、Gelucire 44/14)を約10重量%;
(ii)プロゲステロンを約7.34重量%、17β−エストラジオールを約1.2重量%、及びカプリル酸及びカプリン酸のモノグリセリド/ジグリセリド(例えば、Capmul MCM)を約91.46重量%;または
(iii)プロゲステロンを約9.50重量%、17β−エストラジオールを約1.2重量%、及びプロピレングリコールモノカプリレート(例えば、Capmul PG8)を約89.30重量%;
からなる、請求項11に記載の経皮吸収型製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年6月18日出願の、「エストラジオール製剤」と題された米国特許仮出願第61/661,302号、2012年6月20日出願の、「プロゲステロン製剤」と題された米国特許仮出願第61/662,265号、2012年11月21日出願の、「天然型ホルモン併用補充用製剤及び療法」と題された米国特許出願第13/684,002号、2013年1月25日出願の、「経皮的ホルモン補充療法」と題された国際出願第PCT/US2013/23309号、及び2013年3月15日出願の、「経皮的ホルモン補充療法」と題された米国特許出願第13/843,362号の優先権を主張する。前述の出願の全てが、本明細書に、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、閉経期前の、閉経周辺期の、閉経期の、及び閉経後の女性の、エストロゲン、及びプロゲステロン、の欠乏状態(なお、両者は以下に詳細に定義される)に関する治療のための、エストロゲン及びプロゲステロンそれぞれ単独、並びに両者の組み合わせに対して提供される経皮吸収型製剤を用いた、天然型エストロゲン及びプロゲステロン補充療法に関する。
【背景技術】
【0003】
ホルモン補充療法(HRT)は、適切なホルモン産生を欠いた女性の、ホルモンレベルを引き上げるよう意図された薬物群のうちの1種類以上を用いることを伴う医学的治療法である。HRTは、体内を循環するエストロゲン及びプロゲステロンホルモンが減少することにより引き起こされる症状を、患者が閉経期前、閉経周辺期、閉経期、又は閉経後のいずれであるかに関わらず、緩和したり防いだりすることが可能である。しかしながら、閉経期の進行における各段階で、それぞれ特異な症状が現れる。
【0004】
経皮送達を介するHRTは、現在さまざまな形態で利用可能である。1つの療法は、1種類以上のエストロゲンの投与を伴う。他の療法は、プロゲスチンと呼ばれる、自然に分泌されるプロゲステロンの化学的類似物質の投与を伴う。プロゲステロンの投与は、他の病状治療に加え、例えば、子宮内膜増殖症(肥厚)をはじめとする、エストロゲンの投与に伴う望ましくないある種の副作用を緩和するように作用する。また、子宮内膜がんの発生も抑えることができる。
【0005】
それが自然生成されたものであっても、バイオアイデンティカル(生体同一性の)ものであっても、プロゲステロンについては、以下、本明細書では一般的にまとめて、「プロゲステロン」と呼ぶこととする。
【0006】
さまざまな参考文献が、プロゲストゲンクラスのホルモンの使用を、通常はエストロゲンと組み合わせて、経皮療法に含めるよう示唆している。しかしながら、そのような参考文献の教示するところは一般に、プロゲスチン類に限られている。プロゲスチン類は、時に、文献中において、プロゲステロン又は一般的にプロゲストゲン類と混同されることがある。しかし、プロゲスチン類は、プロゲストゲン類の、他のものとは明確に区別できるサブクラスであり、プロゲステロンと類似の黄体ホルモン効果を有する合成プロゲストゲンである。通常、合成プロゲスチン類は、天然型プロゲステロンと比べて活性がより高く、かなり低用量で投与される。
【0007】
「プロゲストゲン(類)」という用語を本明細書で用いる場合、自然生成の及びバイオアイデンティカルのプロゲステロン、並びにすべての合成プロゲスチン類を含む。「バイオアイデンティカル」なホルモン類という用語を本明細書で用いる場合、ヒトを含む哺乳類により自然に生成されるホルモン類と化学的構造において同一であるホルモンを指す。そうした「バイオアイデンティカル」なホルモン類は、天然型ホルモン補充療法(NHRT)において用いることが可能で、「天然型」ホルモンとして言及されることも多い。
【0008】
広く普及している経皮吸収型貼付剤技術では、プロゲスチン類がプロゲステロンよりもよく使われている。その理由は、中でも、天然型プロゲステロンは、特に高用量では不溶性が比較的高く、そのようなプロゲステロンを可溶化することが困難であることにある。可溶化された製剤原料物質は、さまざまな貼付剤技術、特にマトリックス法及びリザーバ法による当該貼付剤の製造業者によって好まれている。合成プロゲスチン類は、通常、効力が高いので、低用量で済む。製剤原料物質としてのプロゲスチンの量が、製品としての製剤の所与の量に対して少なくて済むため、一般に製剤を溶解することが容易になる。例えば、9平方センチメートルの円形の製品、コンビパッチ((COMBIPATCH)、エストラジオール/酢酸ノルエチンドロン経皮吸収系)には、2.7mgの酢酸ノルエチンドロンが薬物として含有されており、16平方センチメートルの貼付剤製品には、4.8mgの酢酸ノルエチンドロンが薬物として含有されている。
【0009】
他方、プロゲステロンは、その効力が低く、より高い用量を必要とする。貼付剤製品において、製剤原料物質としてのプロゲステロンはより多くの量、最大で200mgもの量、が必要とされる。より高い用量が求められ、比較的溶解しづらいプロゲステロンの特性のため、天然型プロゲステロンを製剤原料物質として採用した経皮吸収型貼付剤で商業的に成功したものは未だ存在しない。
【0010】
昨今、特にヒトのホルモンに関しては、天然型及びバイオアイデンティカルのホルモン剤製品への指向が高まっており、本開示は、さまざまな態様の中でもとりわけ、経皮吸収型貼付剤技術において用いることのできる可溶化したプロゲステロンを提供するものである。また、本開示は、それ単独で、又は、エストラジオールが含まれるが、それに限られない、少なくとも1種類のエストロゲン製剤原料物質と組み合わせて用いられるプロゲステロンと、その他の製剤原料物質であって、エストラジオールの又はエストラジオールのような生物学的活性を有する、当該分野で周知の製剤原料物質と、を含む経皮吸収型貼付剤を提供するものである。
【0011】
HRTにおける薬物投与のタイミングはしばしば周期的に変化する。エストロゲン類は毎日投与され、プロゲステロンは毎月、2週間にわたり投与される。このような方法は、しばしば「周期的順次的」又は「順次的併用」HRTと呼ばれる。この方法は、自然の月経サイクルを真似ることを意図しており、通常、プロゲステロンの投与が止まった後で、月経の期間と類似の生理が引き起こされる。このようなレジメンは、最も典型的には、閉経周辺期の又は新たに閉経期を迎えた女性に対して、代替的持続的方法として採用されるが、しばしば不規則な出血をもたらす。代替的方法の1つで、エストロゲンとプロゲステロンの両方を一定の用量で毎日投与することを伴う方法は、「持続的併用」HRTと呼ばれる。この方法は、通常、生理を引き起こすことがなく、一定期間閉経期にあった女性に対して採用されることが非常に多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
周期的順次的方法、又は持続的併用法のそれぞれで、本明細書で用いられる意味でのエストロゲン及びプロゲステロンのそれぞれは、同じ剤形、又は異なる剤形のいずれで投与されてもよい。同じ剤形で用いられる場合、本開示は、経皮吸収型貼付剤に、エストロゲン及びプロゲステロンをそれぞれ含む。異なる剤形で投与される場合、経皮吸収型貼付剤によって投与されるプロゲステロンを提供する。
【0013】
エストロゲン及びプロゲステロンの組み合わせによる周期的HRTをあらかじめパッケージ化したものへの需要も存在する。例えば、周期的HRTを処方したいと考える医師は、2種類の別々の製品を処方する必要がある。すなわち、1種類のエストロゲン貼付剤と、1種類のエストロゲン/プロゲステロンコンビ貼付剤を、又は1種類のエストロゲン貼付剤を、経口薬又は局所薬を含む、他の剤形のプロゲステロンとともに処方する。このような、別々に投与することが必要なレジメンでは、しばしば患者が決められた服薬を実行できないという結果に終わる。それは、とりわけ、処方された療法期間を通じて、それぞれの薬をいつ、どのようにして使えば良いのかという事に関して患者が混乱してしまうためである。その結果、患者がなかなか治癒しないということが起こる場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示のさまざまな実施形態により、ホルモン補充療法が提供されるが、当該療法は、可溶化したプロゲステロンを単独で、及び任意選択で、エストロゲンとともに含む。また、当該療法は、周期的/順次的及び持続的併用で投与するレジメンを含み、経皮吸収型HRT送達系を介して投与が行われることを含む。可溶化したプロゲステロンが単独で、経皮吸収型貼付剤を介して送達される場合、1種類以上のエストロゲン化合物が、同じ経皮吸収型貼付剤で同時に送達されるか、又は、任意の他の周知の送達方法を介して同時に送達されてよい。そのような製剤においては、プロゲステロンは中鎖脂肪酸グリコールエステルで可溶化されていてよい。当該中鎖脂肪酸グリコールエステルには、例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、若しくはプロピレングリコールのC6〜C12、C6〜C10、C8〜C12、若しくはC8〜C10脂肪酸エステル、又はそれらの混合物が含まれる。そのような製剤は、更に界面活性剤を含んでいてもよい。当該界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤があり、その例としては、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルがある。前述のように、そのような製剤は、エストラジオールを含んでもよい。
【0015】
他の実施形態においては、本発明の経皮吸収型医薬製剤は、プロゲステロンが微粒子化及び部分的に可溶化された製剤を含んでもよい。そのような製剤はまた、上に簡潔に述べ、以下で更に詳細に述べるように、脂肪酸グリコールエステル及び界面活性剤も含んでいてよい。
【0016】
経皮吸収型貼付剤の28日間用、又は1ヶ月用のレジメンが、それぞれの送達される日を特定し、患者が服薬スケジュールを守るのを改善し最適化するような単一のパッケージにパッケージ化されることができる。本発明に係る、上記のようなHRT経皮送達系及びその使用法のさまざまな例が、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面は本開示の更なる理解を促すために提供され、本開示の実施形態を例示するために、本明細書に組み込まれてその一部をなす。添付の図面は、その説明とともに、本開示の諸原理を説明するために役立つものである。
図1】本開示に係る経皮吸収型貼付剤の一実施形態の断面図を示す。
図2】本開示に係る経皮吸収型貼付剤の他の実施形態の断面図を示す。
図3】本開示に係るリザーバ式経皮吸収型製剤の一実施形態の断面図を示す。
図4】本開示に係る、周期的/順次的ホルモン補充療法レジメン用の、別々の順序制御デバイスを示す。
図5】本開示に係る、周期的/順次的ホルモン補充療法レジメン用の、別々の順序制御デバイスを示す。
図6】本開示に係る、周期的/順次的ホルモン補充療法レジメン用の、別々の順序制御デバイスを示す。
図7】本開示に係る、周期的/順次的ホルモン補充療法レジメン用の、別々の順序制御デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
用語の定義
「添加剤」という用語を本明細書において用いる場合、医薬品を調合する際に用いられる、担体、溶媒、オイル、及び潤滑剤等の、不活性な薬物の成分を指す。それらは、米国食品医薬品局が公表しているものを含む、政府等が定めた基準にしたがって、ヒトを含む哺乳動物に投与されるには、一般に安全なものである。
【0019】
「中鎖」という用語を本明細書において用いる場合、C4〜C18を含む任意の中鎖炭素含有物質を意味し、C6〜Cl2物質、グリセロールの脂肪酸エステル、脂肪酸、並びに、そのような物質のモノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドが含まれる。更なる例として、C6〜C14脂肪酸、C6〜C12脂肪酸、及びC8〜C10脂肪酸は、すべて中鎖脂肪酸であり、本明細書が、例えばグリセロールの中鎖脂肪酸エステル又は他のグリコールのように、中鎖脂肪酸の使用を求める例において用いることができるものである。
【0020】
「微粒子化したプロゲステロン」という用語を本明細書において用いる場合、X50粒度値が15μm未満、及び/又は、X90粒度値が25μm未満の微粒子化したプロゲステロンが含まれる。
【0021】
「微粒子化したエストラジオール」という用語を本明細書において用いる場合、X90粒度値が7μm未満の微粒子化したエストラジオールが含まれる。
【0022】
別途記載のない限り、「天然型」という用語を、本明細書で論じられるあるホルモン類について、本明細書において用いる場合、ヒトを含む哺乳動物の身体の中で自然に生成される(すなわち、内因性の)ものの化学的構造及び効果に一致するように調製されたバイオアイデンティカルのホルモン類を意味する。天然型エストロゲンの一例は、エストラジオール(17β−エストラジオール、及びE2とも表現される)であり、天然型プロゲストゲンの一例は、プロゲステロンである。
【0023】
「オイル」という用語を本明細書において用いる場合、それは、ピーナツオイル以外の有機オイルのように、本明細書で説明したような、微粒子化したプロゲステロンを含む任意の好適なプロゲステロン、出発物質、又は前駆物質を懸濁させる、及び/又は可溶化する、薬学上許容される任意の物質であってよい。より具体的には、オイル類には、それらに限られないが例としては、一般的には、中鎖脂肪酸として知られる、少なくとも1種類の、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる群の中鎖脂肪酸が含まれていてよい。
【0024】
「薬学上許容される」という用語は、指定された担体、ビヒクル、希釈剤、添加剤、並びに/又は塩及びその他の誘導体が、一般的に、化学的に及び/又は物理的に、当該処方される薬物の配合中の他の成分と相溶性があること、更に生理学的にその処方の受け手とも適合性があることを示す。
【0025】
「可溶化剤」という用語を本明細書において用いる場合、エストラジオール及び又はプロゲステロンのような医薬品有効成分(API)を可溶化するため、又はその可溶性を高めるために使うことができる任意の物質又は任意の物質の混合物を意味し、それらに限られないが例としては、溶媒、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、オイル、及び担体のような、薬学上許容される適切な添加剤が含まれる。
【0026】
「経皮吸収型貼付剤」という用語を本明細書において用いる場合、哺乳動物の皮膚に粘着するのに適し、かつ1種類以上の製剤原料物質の中で、生理学的に有効な量の可溶化したプロゲステロンを、それらに限られないが例としてはヒトを含む、哺乳動物の皮膚を通して送達するのに適した、任意の粘着性構成物を指す。当該構成物は、所望の量の可溶化したプロゲステロンと、エストロゲンを含む1種類以上の任意選択の追加製剤原料物質とを含んだ、柔軟性に富む条片の形をしていてもよい。
【0027】
「治療」という用語又はその派生語を本明細書において用いる場合、それは、本明細書で説明されるような製剤が、予防的に、又はそのような製剤が投与される病状が発症の後で投与された際に、病状を部分的に又は完全に抑制することを意図する。本開示での使用においては、「予防」という行為は、製剤原料物質をヒトを含む哺乳動物に、当該哺乳動物を、本明細書に記載される障害のうちの任意のもの、及びその他の障害から守るために投与することを指す。
【0028】
「薬物含量」という用語を本明細書において用いる場合、本明細書で説明されるような、所与の製剤における製剤原料物質の量を意味する。
【0029】
「日用量」という用語を本明細書において用いる場合、例えば、平均的な浸透率を有する皮膚を介した製剤原料物質の送達のような、製剤原料物質の名目上の経皮送達率(mg/日)を意味する。
【0030】
「X50」という用語を本明細書において用いる場合、試料中の粒子のうちの半分の直径が、所与の数値未満であることを意味する。例えば、15μmのX50を有する微粒子化したプロゲステロンが意味するのは、微粒子化したプロゲステロンの所与の試料について、その粒子のうちの半分が、15μm未満の直径を有することである。同様に、「X90」という用語は、試料中の粒子のうちの90%の直径が、所与の数値未満であることを意味する。
【0031】
「完全に可溶化したプロゲステロン」という用語を本明細書において用いる場合、当該プロゲステロンのほぼ100%が溶解していること、例えば、少なくとも98%が溶解していることを意味する。
【0032】
「部分的に可溶化したプロゲステロン」という用語を本明細書において用いる場合、100%未満の、例えば、98%未満のプロゲステロンが溶解した状態から、2%以上の微粒子化したプロゲステロンが懸濁している状態までの、いずれかの可溶化状態に当該プロゲステロンがあることを意味する。
【0033】
本明細書において用いる場合、特に指定がない限り、エストラジオール(文献においては、17β−エストラジオール、oestradiol、又はE2と呼ばれたりすることもある)は、無水物及び半水和物形態のエストラジオールを含む。
【0034】
実施形態の説明
本明細書では、可溶化したプロゲステロン(又は、部分的に可溶化したプロゲステロン)を含む経皮吸収型製剤の処方、並びに、可溶化した(又は、部分的に可溶化した)プロゲステロン及び少なくとも1種類のエストロゲン化合物を含む経皮吸収型製剤の処方が提供される。一般に、経皮吸収型貼付剤又は、例えば、ゲル、クリーム、軟膏等のその他の経皮吸収型製剤は、当該分野で周知の方法で調製され、それぞれの技術の、薬物を含有する容量のみにより限定されている。
【0035】
例えば、1つの一般的な経皮吸収型製剤の技術では、高分子のマトリクス(又は複数のマトリクス)のデザインを含む、経皮吸収型薬物送達デバイスが用いられる。当該高分子のマトリクスは、天然の高分子、合成エラストマー、及び/又は合成の単独重合体若しくは共重合体を用いて調製され得る。そうした天然の高分子には、それに限定されないが例えば、セルロース誘導体、ゼイン、ゼラチン、シェラック、ろう、たんぱく質、増粘剤及びその誘導体、天然ゴム、並びにデンプン等が含まれる。合成エラストマーには、それに限定されないが例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ヒドリンゴム、ポリシロキサン、ダウコーニング社(ケンタッキー州エリザベスタウン)から入手できるその他のシリコーン系感圧粘着剤、シリコーンゴム、ニトリル含有化合物、アクリロニトリル、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、及びネオプレン等が含まれる。合成の単独重合体又は共重合体には、それに限定されないが例えば、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸塩、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ尿素、ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、エポキシ、及びポリエチレン/ビニルアセテート等が含まれる。このマトリクスに対して、少なくとも1種類の製剤原料物質及びしばしば、通常、1種類以上の溶媒、及び/又は、1種類以上の界面活性剤を用いる浸透促進剤が適用され、取り込まれる。粘着剤が、経皮吸収型貼付剤を固定するために用いられる。そのような粘着剤は、製剤原料物質を含むマトリクスに、1つの層として固定され得るだけでなく、マトリクスを調製するために用いられる材料の1つとして、固定され得る。他のマトリクス技術は、結晶化抑制剤及びその他の薬学上許容される添加剤を含むことができる。マトリクス技術は、単層の貼付剤又は多層の貼付剤を開発するのに使われる。例えば、それぞれが参照により本明細書に取り込まれる、米国特許第5,474,783号、同第5,958,446号、同第6,440,454号、及びPCT出願公開第WO 97/43989号を参照のこと。
【0036】
リザーバ系を含む経皮吸収型薬物送達デバイスもまた経皮医薬送達の分野では周知である。そのようなデバイスは、剥離ライナーとは別体である、可溶化又は懸濁化した1種類以上の製剤原料物質を収容したコンパートメントであるリザーバを含むことを特徴とする。また、さまざまな粘着系が、リザーバタイプの系用に利用可能である。リザーバ系は、必要な薬物含量が多い場合にしばしば好まれる系である。例えば、米国特許第7,387,789号、同第5,656,286号、同第8,114,434号、及び同第6,024,976、並びに米国特許出願公開第2012/0269878号、及び同第2012/0283671号を参照のこと。これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
他の経皮吸収型貼付剤技術には、それに限定されないが例えば、イオン導入法、電気穿孔法、超音波ソノフォレーシス法、及び顕微的投与法(例えば、顕微針の使用)を用いた経皮吸収型薬物送達デバイスが含まれる(例えば、D.パテルら、「経皮薬物送達系−レビュー」ファルマイノベーション第1巻第4号、2012年、66頁〜75頁(Patel, D., et al., Transdermal Drug Delivery System: A Review, The Pharma Innovation, Vol. 1, No. 4, 2012, pg. 66-75))。
【0038】
他の経皮吸収の形態としては、指又は可撓性のあるアプリケータを用いて皮膚にすりこむことで塗布される、クリーム、軟膏、ゲル等が含まれる。またそのような形態には、スプレーが含まれる。そのような製剤は、圧力のかかった容器からリリースされるとエアロゾル化するものである。
【0039】
本明細書に記載されるような経皮吸収系は、可溶化したプロゲステロンの経皮吸収型貼付剤を調製するのに用いることができるが、少なくとも1種類のエストロゲン製剤原料物質又は適合性のある製剤原料物質を追加的に用いても、用いなくてもよい。
【0040】
本開示の他の態様には、本明細書に記載される製剤の使用が含まれるが、その使用においては、治療有効量の可溶化したプロゲステロンが、ヒトを含む哺乳動物の子宮内膜増殖症及び二次性早発閉経の治療用の前記製剤、並びに前記哺乳動物が短い子宮頚部を有する場合にその早産、及びその他のプロゲステロン補充により治療される病状又は状態(まとめて、「プロゲステロン不足状態」と呼ぶ)を治療する方法としての前記製剤における少なくとも1種類の製剤原料物質であり、且つ当該製剤はエストロゲン製剤原料物質が任意選択で、前記製剤に含まれている。
【0041】
本開示の更なる態様としては、本明細書に記載される製剤の使用が含まれるが、その使用においては、治療有効量の可溶化したプロゲステロン及び少なくとも1種類の可溶化したエストロゲン製剤原料物質(通常、エストラジオール)が、プロゲステロンの投与により治療される病状、及び例えば血管運動症状を含む閉経に関連する症状を有するヒトを含む哺乳動物の治療のための製剤に含まれる。また、そうした製剤は、それに限定されないが例えば、顔面の紅潮及び寝汗(血管運動症状)、睡眠障害、気分の変化、並びに外陰膣委縮症を含む低エストロゲン関連症状の治療に関連して用いられる。更にそうした製剤は、骨粗しょう症及びエストロゲン補充により治療されるその他の非閉経期の病状・症状(まとめて「エストロゲン不足状態」と呼ぶ)の治療に関連しても用いられる。このように、本明細書に記載される、プロゲステロン及びエストロゲン製剤原料物質をともに含有する経皮吸収型貼付剤は、1種類以上のプロゲステロン不足状態及び1種類以上のエストロゲン不足状態の治療に用いることができる。
【0042】
さまざまな態様及び実施形態によれば、可溶性率(すなわち、溶液に入る溶質の比率)が重要である。全溶液の重量に対する、エストラジオールの重量比もまた、本明細書で論じる意図された投与量という点で重要である。特に、経皮吸収型薬物送達デバイスを介して容易に投与され得る量の溶液中にエストラジオールの目標投与量を入れられることが望ましい。
【0043】
本明細書に記載の製剤においては、それぞれの製剤原料物質は、治療を必要とするヒトを含む哺乳動物に投与される。
【0044】
周期的/順次的レジメンの一例は、1日当たりの送達量として0.01mg〜2.0mgのエストラジオールを、14〜18日間投与し、引き続いて、1日当たりの送達量として0.01mg〜2.0mgのエストラジオール及び10mg〜200mgのプロゲステロンを10〜14日間投与することを含む。周期的/順次的レジメンは、閉経期の女性にとりわけ有効である。
【0045】
送達用量の他の例は、1種類以上のエストロゲン製剤原料物質(通常は、エストラジオール、すなわち17β−エストラジオール)を本明細書に記載の製剤中に含む。その量は、例えば、1日当たり、0.01mg、0.025mg、0.05mg、0.0625mg、0.1mg、0.125mg、0.25mg、0.375mg、0.50mg、0.625mg、0.75mg、1.0mg、1.125mg、1.25mg、1.375mg、1.50mg、1.625mg、1.75mg、及び2.0mgであるが、これらに限られない。他の実施形態においては、エストラジオールの1日当たりの送達用量は、0.01mg〜0.1mg、0.05mg〜0.5mg、0.1mg〜1.0mg、0.625mg〜2.0mg、及び0.5mg〜2.0mg、又は1日当たり0.01mgから、及び1日当たり0.05mgから、である。
【0046】
本明細書に記載される製剤に用いるプロゲステロンの送達用量の他の一例には、1日当たり、10mg、12.5mg、20mg、25mg、30mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、及び200mgが含まれるが、ただしこれらに限られない。更に他の実施形態では、プロゲステロンの1日当たりの送達用量は、10mg〜100mg、20mg〜80mg、20mg〜30mg、20mg〜50mg、25mg〜75mg、100mg〜150mg、100mg〜125mg、及び125mg〜150mg、並びに10mg及び20mg、また更に1日当たり30mgからというのが含まれる。
【0047】
エストラジオール及びプロゲステロンの、これらの投薬強度は、本明細書に記載される製剤にて、単独又は組み合わせて投与される。本明細書の経皮送達系で用いられるこれらの投薬強度は、それぞれの技術が薬物を含有する容量によってのみ限定される。エストラジオール以外のエストロゲン製剤原料物質もまた本明細書の経皮吸収型製剤に、ラベルに表示された用量で又は医師の処方により使用できる。
【0048】
したがって、本明細書の経皮吸収型医薬製剤の処方のための薬物含量は、本明細書に例示されるようなものを含む、1日当たりに必要な用量を提供するために、1日に複数枚取り替えながら使用する貼付剤、1日1枚ずつ使用する貼付剤、又は数日で1枚使用する貼付剤にそれぞれ必要な任意の量を含むことができる。
【0049】
本開示の貼付剤用の、可溶化したプロゲステロン薬物含量には、それに限定されないが例えば、1枚当たり10mg、12.5mg、20mg、25mg、30mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、及び700mgが含まれる。更に他の実施形態では、プロゲステロンの薬物含量は、1日当たり10mg、20mg、30mg、100mg、200mg、300mg、200mg、400mg、及び600mg以上である。
【0050】
更に他の実施形態では、1種類以上のエストロゲン製剤原料物質(通常はエストラジオール、すなわち17β−エストラジオール)の薬物含量には、それに限定されないが例えば、0.01mg、0.025mg、0.05mg、0.0625mg、0.1mg、0.125mg、0.25mg、0.375mg、0.50mg、0.625mg、0.75mg、1.0mg、1.125mg、1.25mg、1.375mg、1.50mg、1.625mg、1.75mg、及び2.0mgが含まれる。更に他の実施形態では、1種類以上のエストロゲン製剤原料物質の薬物含量は、1日当たり、0.01mg〜0.1mg、0.05mg〜0.5mg、0.1mg〜1.0mg、0.625mg〜2.0mg、0.5mg〜2.0mg、及び0.5mg〜0.6mg、又は1日当たり0.01mgから、及び1日当たり0.05mgからである。
【0051】
本開示のプロゲステロン製剤は、プロゲステロン製剤原料物質を、薬学上許容されるオイルに混ぜて可溶化することにより調製される。一般に、当該オイルは、少なくとも1種類のモノグリセリド、ジグリセリド、若しくはトリグリセリド、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせからなる中鎖脂肪酸のような、少なくとも1種類の中鎖脂肪酸を含む。可溶化したプロゲステロンを形成するために十分な量のオイルが使用される。それに限定されないが例えば、抗酸化剤、浸透促進剤、結晶化抑制剤等の、他の添加剤を任意選択で追加してもよい。
【0052】
他の実施形態においては、3〜4日毎に、閉経期後の女性に、本開示に係る貼付剤は投与され、次のようなエストラジオール及びプロゲステロンの目標吸収プロファイルを有することができる。エストラジオールについては、30〜60pg/mLの目標定常血清濃度を達成することができる。他の実施形態においては、45〜50pg/mLの目標平均定常血清濃度を達成することができる。これは、閉経期前の女性の卵胞期初期にみられる正常な範囲に当たる。貼付剤の送達から12〜24時間以内で、これらの濃度に達することができるようになっている。また貼付剤は、当該貼付剤を貼った後、エストラジオールの血清濃度の変動が最小になるように構成されている。それはすなわち、貼り付けられてからずっと、一貫した速度でホルモンが送達されることを意味する。プロゲステロンの場合、貼付剤送達系を適用してから12〜24時間以内に目標平均定常血清濃度に達することができるようになっている。
【0053】
他の態様及び実施形態においては、プロゲステロンは完全に可溶化されている。そのために使用されるのは、それらに限定されないが例えば、十分な量のTRANSCUTOL(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、MIGLYOL(カプリルカプリントリグリセリド)、CAPMUL PG−8(プロピレングリコールモノカプリレート)、CAPMUL PG−10(プロピレングリコールモノカプレート)、CAPMUL MCM(中鎖モノ及びジグリセリド)、CAPMUL MCMと非イオン性界面活性剤、CAPMUL MCMとGELUCIRE(ラウロイルマクロゴール−32グリセリドEP、ラウロイルポリオキシル−32グリセリドNF、ラウロイルポリオキシルグリセリド(USA FDA IIG))等であり、それらは単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
【0054】
プロゲステロンを完全に可溶化するために用いる、これらのオイルの比率にはさまざまなものがあり得る。CAPMUL MCMと非イオン性界面活性剤を用いる際の比率には、例えば、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、及び90:10があるがそれらに限られない。CAPMUL MCMとGELUCIREを用いる際の比率には、例えば6:4、7:3、8:2、及び9:1があるが、それらに限られない。その他の組み合わせの中でも、本明細書に定義される上記のオイル及び/又は可溶化剤、並びにそれらの組み合わせは、本開示のエストラジオール及びプロゲステロンの併用製剤を作るために用いることができる。さまざまな実施形態によれば、製剤の中にピーナツオイルは含まれない。ピーナツオイルを用いないのは、ピーナツ系のアレルギーを有する者へのリスクをあらかじめ防ぐためである。
【0055】
薬学上許容されるオイルには、以下のものの少なくとも1種類を使うことが含まれるが、それらには限られない。カプロン脂肪酸;カプリル脂肪酸;カプリン脂肪酸;タウリン酸;ミリスチン酸;リノール酸;コハク酸;グリセリン;モノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドの何れか1つ、その組み合わせ、及びその誘導体;ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールグリセリド(Gelucire(登録商標);ガトフォーズ社(GATTEFOSSE SAS、サンプリースト、フランス)より入手可能);プロピレングリコール;カプリル/カプリントリグリセリド(MIGLYOL(登録商標)、SASOLドイツ社(SASOL Germany GMBH、ハンブルク、ドイツ)。また、MIGLYOLは、MIGLYOL 810(カプリル/カプリントリグリセリド)、MIGLYOL 812(カプリル/カプリントリグリセリド)、MIGLYOL 816(カプリル/カプリントリグリセリド)、及びMIGLYOL 829(カプリル/カプリン/コハクトリグリセリド));カプロン/カプリル/カプリン/ラウリントリグリセリド;カプリル/カプリン/リノールトリグリセリド;カプリル/カプリン/コハクトリグリセリド;プロピレングリコールモノカプリレート;プロピレングリコールモノカプレート;Capmul(登録商標)PG−8及び10(CAPMULのブランドは、ABITEC社(オハイオ州コロンバス)が所有している);プロピレングリコールジカプリレート;プロピレングリコールジカプリレート;中鎖モノ及びジグリセリド(CAPMUL MCM);ジエチレングリコールモノエステル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、TRANSCUTOL(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)を含む);ジエチレングリコールモノエチルエーテル;飽和したココヤシ及びパームヤシ核油のエステル並びにそれらの誘導体;分別蒸留された植物性脂肪酸のトリグリセリド、並びに、これらの組み合わせ及び誘導体。
【0056】
他の態様及び実施形態においては、プロゲステロンが完全に可溶化されている。そのために使用されるのは、それらに限定されないが例えば、十分な量のTRANSCUTOLとMIGLYOL;TRANSCUTOLとMIGLYOLとCAPMUL PG 8及び/又はPG 10;CAPMUL MCM;CAPMUL MCMと非イオン性界面活性剤;CAPMUL MCMとGELUCIRE等である。
【0057】
プロゲステロンを完全に可溶化するために用いる、これらのオイルの比率にはさまざまなものがあり得る。CAPMUL MCMと非イオン性界面活性剤、例えばGELUCIRE 44/14、の場合には、両者は、99:1〜2:1の割合で用いられ、利用できる割合には、例えば、60:40、65:35、70:30、75:25、80:10、80:15、85:20、90:10、及び98:1が含まれるが、それらに限られない。オイル(例えば、モノグリセリド及びジグリセリドの中鎖脂肪酸エステル)の非イオン性界面活性剤に対する比率は、かなり高くなり得る。例えば、後述する例の中には、CAPMUL MCMとGELUCIREが最大で65:1になるさまざまな比率(例えば、8:1、22:1、49:1、65:1、及び66:1)で用いられた。例えば、後述の表13〜17を参照のこと。すなわち、有用な比率は、8:1又はそれより大きくなり得る(例えば60〜70:1)。その他の組み合わせの中でも、本明細書に定義されるこれらのオイル及び/又は可溶化剤、並びにそれらの組み合わせは、本開示のエストラジオールとプロゲステロン併用製剤を調製するために用いることができる。
【0058】
本発明の例示的実施形態においては、エストラジオールを可溶化し、プロゲステロンを懸濁、部分的に可溶化、又は完全に可溶化するために用いるオイルには、さまざまな中鎖脂肪酸エステル(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、又はプロピレングリコールのエステル)、及びその混合物が含まれる。例示的実施形態においては、中鎖脂肪酸は、C6〜C14、又はC6〜C12脂肪酸である。例示的実施形態においては、中鎖脂肪酸は飽和しているか、又は主な部分が飽和している。例えば、60%を超えて飽和しているか、又は75%を超えて飽和している。例示的実施形態においては、エストラジオール若しくはプロゲステロン(又はその両方)が、室温でオイルに溶解している。ただし、オイルが液体の状態になるまで温めることは望ましい。例示的実施形態においては、オイル又は、オイルと界面活性剤は、室温〜50℃の温度で液体である。例えば、50℃若しくはそれ未満、40℃若しくはそれ未満、又は50℃若しくはそれ未満で、それらは液体である。例示的実施形態においては、GELUCIRE 44/14が、65℃に、CAPMUL MCMは40℃に温められて、オイルと、非イオン性界面活性剤とを混合するのを容易にしている。ただし、エストラジオール又はプロゲステロンを溶解するためには、そのように温める必要はない。例示的実施形態においては、エストラジオールのオイル(又はオイルと界面活性剤の混合物)への可溶性は、少なくとも0.5重量%であり、例えば、0.8重量%若しくはそれより高く、又は、1.0重量%若しくはそれより高い。しかしながら、それよりも高い可溶性を実現することも可能である。例えば、後述の実施例においては、エストラジオールは、12mg/g(=12mg/mL)の割合で、CAPMUL MCMに安定して溶解している。実施例17に示されるように、そのような可溶性は、長鎖、不飽和脂肪酸エステルで得られる結果より好ましい。
【0059】
中鎖脂肪酸のモノ及びジグリセリドの例としては、特に、CAPMUL MCM、CAPMUL MCM C10、CAPMUL MCM C8、及びCAPMUL MCM C8 EPが挙げられる。これらのオイルは、C8及びC10の脂肪酸モノ及びジグリセリドである。中鎖脂肪酸のトリグリセリドであるオイルの例としては、さまざまある中で特に、MIGLYOL 810及びMIGLYOL 812が挙げられる。
【0060】
プロピレングリコールの中鎖脂肪酸エステルであるオイルの例としては、さまざまある中で特に、CAPMUL PG−8、CAPMUL PG−2L EP/NF、CAPMUL PG−8 NF、CAPMUL PG−12 EP/NF、及びCapryolが挙げられる。他の例としては、MIGLYOL 840が挙げられる。
【0061】
ポリエチレングリコールの中鎖脂肪酸エステルであるオイルの例としては、さまざまある中で特に、GELUCIRE 44/14(PEG−32グリセリルラウレートEP)が挙げられるが、これは、ポリエチレングリコールグリセリドであって、ポリエチレングリコールのモノ、ジ及びトリグリセリド並びにモノ及びジエステルを含む。特定のメカニズムに拘泥する意図はないが、例えば10重量%以下の、少量のGELUCIREを含むような製剤では少なくとも、このオイルの主たる機能は、非イオン性界面活性剤としての機能であると思われる。
【0062】
これらの例では、中鎖長の、飽和した脂肪酸が主に含まれ、具体的には、C8〜C12の飽和脂肪酸が主に含まれる。なお、留意すべきは、市販のグリセロール及びその他のグリコールの脂肪酸エステルは、しばしば自然由来のオイルから調製されるので、(重量基準で)主な成分をなし、それゆえに製品を特徴づけるために用いられている脂肪酸エステルに対して、追加的な成分を含む場合があるということである。そのような他の成分は、例えば、他の脂肪酸トリグリセリド、モノ及びジエステル、遊離グリセロール、又は遊離脂肪酸であり得る。それゆえ、例えば、オイル/可溶化剤が本明細書で、グリセロールの飽和C8脂肪酸モノ及びジエステルとして記載される場合には、当該オイルの主な(すなわち、50重量%より大きい、例えば、75重量%より大きい、85重量%より大きい、90重量%より大きい)成分は、カプリルモノグリセリド及びカプリルジグリセリドであると理解すべきである。例えば、ABITEC社がCAPMUL MCM C8用に出している技術的データシートには、CAPMUL MCM C8は、中鎖脂肪酸(主にカプリル)モノ及びジグリセリドを含むと記載されており、アルキル含量は、C6が1%以下、C8が95%以上、C10が5%以下、並びにC12及びよりCの大きいものが1.5%以下と記載されている。
【0063】
更なる例として、MIGLYOL 812は一般に、C8〜C10トリグリセリドと表現されるものである。それは、脂肪酸の組成が、少なくとも80%のカプリル(C8)酸及びカプリン(C10)酸を有するからである。しかしながら、MIGLYOL 812は、少量の他の脂肪酸も含んでいる。例えば、5%未満のカプロン(C6)酸、ラウリン(C12)酸、及びミリスチン(C14)酸である。
【0064】
具体的には、SASOL社によるMIGLYOLに対する製品情報シートには、次のような脂肪酸の組成が記載されている。
【0065】
【表1】
【0066】
本発明のある実施形態が、カプセル状のシェル、C8〜C10トリグリセリドに可溶化したエストラジオール、及び増粘剤を含む(又は、本質的にそれらからなる)と記載されている場合には、製剤の脂肪酸エステルの成分は、例えばMIGLYOL 812又は類似の製品であってよいと理解できるであろう。
【0067】
更なる例として、GELUCIRE 44/14は一般に、ラウロイルポリオキシル−32グリセリド、すなわちポリオキシルエチレン32ラウリングリセリド(グリセロールのモノ、ジ及びトリエステル、並びにPEGのモノ及びジエステル混合物)と表現されるが、それは、脂肪酸の組成が、30〜50%のラウリン酸及びそれよりは少ない量のその他の脂肪酸(例えば15%以下のカプリル酸、12%以下のカプリン酸、25%以下のミリスチン酸、25%以下のパルミチン酸、及び35%以下のステアリン酸)であるからである。製品に、エステル化されていないグリコールが少量含まれていてもよい。本発明のある実施形態が、カプセル状のシェル、トリグリセリドに可溶化したエストラジオール、並びに非イオン性界面活性剤であり、グリセロール及びポリエチレングリコールのC8〜C18脂肪酸エステルを含む増粘剤を含む(又は、本質的にそれらからなる)と記載されている場合には、製剤の増粘剤の成分は、例えばGELUCIRE 44/14又は類似の製品であってよいと理解できるであろう。
【0068】
同様に、本発明のある実施形態が、カプセル状のシェル、トリグリセリドに可溶化したエストラジオール、並びに非イオン性界面活性剤であり、PEG−6ステアリン酸塩、エチレングリコールパルミトステアリン酸塩、及びPEG−32ステアリン酸塩を含む増粘剤を含む(又は、本質的にそれらからなる)と記載されている場合には、製剤の増粘剤の成分は、TEFOSE 63又は類似の製品であってよいと理解できるであろう。
【0069】
中鎖脂肪酸のグリセリド(例えば、C6〜C12、C8〜C12、若しくはC8〜C10の脂肪酸のモノ及びジグリセリド、又はモノ、ジ、及びトリグリセリド)の混合物は、エストラジオールを溶解させるのに非常に好適である。C8〜C10の飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリドの混合物が主に含まれるオイルを用いて、好ましい結果が得られている。より長鎖のグリセリドは、エストラジオールの溶解のためにはそれほど好適ではないようである。他方、プロゲステロンの高い可溶性が、中鎖脂肪酸のトリグリセリドが主である混合物によって実現されている。
【0070】
エストラジオールの高い可溶性が、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール(例えばTRANSCUTOL)及びプロピレングリコールモノカプリレート(例えばCapryol(商標)90(Gattefosse社より入手可能))によって実現されている。
【0071】
本発明の例示的実施形態においては、その選択されたオイルは、プロゲステロン又はエストラジオールを可溶化するために、過度に温める必要がない。例えば、製剤が、中鎖脂肪酸のモノ及びジグリセリド(例えば、CAPMUL MCM)及び、界面活性剤としてのポリエチレングリコールのグリセリド(例えば、GELUCIRE)を含む場合、オイル及び/又は界面活性剤は温められる場合がある。例えば、界面活性剤の場合は65℃まで、また、オイルの場合にはそれよりも低い温度まで温められ、オイルと界面活性剤が混ざり合うのを容易にする。エストラジオールは、上記の温度で、又は、混合物が冷めつつあるところで若しくは混合物を冷ましてから、これよりも低い温度で加えることができる。それは、エストラジオールを好適なオイルで可溶化するのには、室温(例えば20℃)より高い温度は必要とされないからである。プロゲステロンも、混合物が例えば40℃より又は30℃より低い温度に、更には室温にまで冷めつつあるところで加えることができる。
【0072】
さまざまな実施形態においては、エストラジオールが可溶化される。可溶化したエストラジオールは、溶媒に90%溶解できる、溶媒に93%溶解できる、溶媒に95%溶解できる、溶媒に97%溶解できる、溶媒に99%溶解できる、及び溶媒に100%溶解できるエストラジオールを含むことができる。可溶性は、質量分率(パーセント重量/重量、又は重量%)として表すことができる。
【0073】
上にプロゲステロン用として言及されたオイルであって、エストラジオールの可溶化剤としても用いることができる、オイルに加えて、他の可溶化剤としては、例えば、グリセリルモノ及びジカプリレート、プロピレングリコール、及び1,2,3−プロパントリオール(別名グリセロール、グリセリン(glycerin)、グリセリン(glycerine))が挙げられるが、それらに限られない。
【0074】
プロゲステロン、及びエストロゲン特にエストラジオールは、可溶化を容易にするために、微粒子化してもよい。プロゲステロン及びエストロゲンは、通常当業者が用いる多くの方法のうちの任意の1つにより微粒子化してもよい。さまざまな実施形態においては、微粒子化したプロゲステロンは、X50粒度値が、15μm未満、10μm未満、5μm未満、及び/又は3μm未満である。さまざまな実施形態においては、微粒子化したプロゲステロンは、X90粒度値が、25μm未満、20μm未満、及び/又は15μm未満である。さまざまな実施形態においては、微粒子化したエストラジオールは、X90粒度値が、10μm未満、8μm未満、及び/又は7μm未満である。
【0075】
粒度は、好適な任意の方法で測定されてよい。例えば、ベックマンコールター社のLS13 320レーザー回折粒度分析器(「ベックマン装置」)を用いて、粒度を測定してもよい。前述したように、粒度は、さまざまな測定基準で表すことができる。例えば、X50粒度、及び/又はX90粒度、また更には、粒度を表す任意の同様の表現法で表すことができる。
【0076】
さまざまな実施形態においては、少なくとも1種類のエストロゲン製剤原料物質(通常はエストラジオール)が可溶化され、そして可溶化したプロゲステロンと組み合わされるか、又は、本明細書で示すように、プロゲステロンとともに共可溶化されてもよい。
【0077】
さまざまな実施形態においては、エストロゲン製剤原料物質(通常はエストラジオール)用の可溶化剤は、少なくとも1種類の溶媒又は共溶媒から選択される。好適な溶媒及び共溶媒としては、任意のモノ、ジ又はトリグリセリド、グリコール、及びそれらを組み合わせたものが挙げられる。より具体的には、他の可溶化剤としては、例えば、グリセリルモノ及びジカプリレート、プロピレングリコール、及び1,2,3−プロパントリオール(別名グリセロール、グリセリン(glycerin)、グリセリン(glycerine))が挙げられるが、それらに限られない。
【0078】
陰イオン性及び/又は非イオン性界面活性剤を、本明細書で開示している、可溶化したプロゲステロン、又はそのようなプロゲステロンと少なくとも1種類の可溶化したエストロゲン製剤原料物質との組み合わせを含む製剤の他の実施形態で用いることが可能である。ある実施形態では、非イオン性界面活性剤が用いられる。非イオン性界面活性剤の一例は、例えば、1種類以上のオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、及びステアリン酸のエステル又はアルコールを含んでいてよいが、それらに限られない。更に他の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリエチレンソルビトールエステルを含んでいてよい。そのようなポリエチレンソルビトールエステルは、TWEEN 80(登録商標)という商標で商業的に入手できる(供給元:シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社、ミズーリ州セントルイス)ポリソルベート80を含む。ポリソルベート80は、60%〜70%のオレイン酸を含み、残りは、主としてリノール酸、パルミチン酸及びステアリン酸を含む。ポリソルベート80は、5%〜50%の範囲の量で使用することが可能であるが、ある実施形態では、製剤の全質量の30%の量である。
【0079】
その他のさまざまな実施形態では、非イオン性界面活性剤は、1種類以上のグリセロール、並びに例えば、ラウロイルマクロゴール−32グリセリド、及び/又はラウロイルポリオキシル−32グリセリドのような、脂肪酸のポリエチレングリコールエステルから選択される。ラウロイルポリオキシル−32グリセリドは、GELUCIREとして商業的に入手でき、例えば、GELUCIRE 44/11及び44/14を含む。これらの界面活性剤を使う際の濃度としては、0.01%より高い濃度がよい。いくつかの実施形態では、0.01%〜10.0%、10.1%〜20%、及び20.1%〜30%とされる場合がある。後述のある例では、GELUCIRE 44/14が、界面活性剤として、1〜10重量%で用いられている。例えば、後述の表13〜17を参照のこと。他の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ラブラソル(Labrasol)(登録商標)PEG−8カプリル/カプリングリセリド(Gattefosse社)及びラバラフィル(Labarafil)(登録商標)コーン/アプリコットオイルPEG−6エステル(Gattefosse社)が含まれる。
【0080】
非イオン性界面活性剤の他の例としては、商業的にはTEFOSE 63として入手できる、PEG−6パルミトステアリン酸塩及びエチレングリコールパルミトステアリン酸塩(PEG−6ステアリン酸塩JPEと、エチレングリコールパルミトステアリン酸塩EP/NF/JPEと、PEG−32ステアリン酸塩JPEとの混合物であって、別名ポリオキシル6及びポリオキシル32パルミトステアリン酸塩/グリコールステアリン酸塩(USA FDA IIG))(「Tefose 63」)(GATTEFOSSE社、サンプリースト、フランス)が含まれる。これは、例えば、CAPMUL MCMとともに用いられることができ、その際の割合は、例えば、MCM:TEFOSE 63=8:2及び9:1である。可溶化剤と非イオン性界面活性剤との組み合わせの追加的な例としては、例えば、MIGLYOLとGELUCIRE 50/13(ステアロイルマクロゴール−32グリセリドEP、ステアロイルポリオキシル−32グリセリドNF、ステアロイルポリオキシルグリセリド(USA FDA IIG))との組み合わせがあり、更にはMIGLYOLとTEFOSE 63との組み合わせがある。
【0081】
陰イオン性界面活性剤は周知のものであり、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ペルフルオロ−オクタンスルホン酸、ラウリル硫酸カリウム、及びステアリン酸ナトリウムを含み得るが、それらに限られない。
【0082】
このように、非イオン性及び/又は陰イオン性界面活性剤は、単独で又は少なくとも1種類の可溶化剤とともに用いることができ、更には、他の界面活性剤と組み合わせて用いることもできる。したがって、上記のような界面活性剤、又は本明細書に記載の他のいかなる添加剤も、可溶化したプロゲステロン製剤原料物質を提供するため、可溶化したエストロゲン製剤原料物質を提供するため、又は、任意選択で、可溶化したプロゲステロン製剤原料物質と少なくとも1種類のエストロゲン製剤原料物質をともに提供するために、又は、任意選択で、可溶化したプロゲステロン製剤原料物質とエストロゲン製剤原料物質をともに提供するために用いられるべきであり、それらは、可溶化したプロゲステロン製剤原料物質及び可溶化したエストロゲン製剤原料物質を一貫して溶解して、及び/又は送達できる本開示の経皮吸収型貼付剤からリリースされると、経皮的に吸収されるのを促す。
【0083】
本明細書に記載のような、担体がグリコールの中鎖脂肪酸エステルであり、非イオン性界面活性剤を含む例示的実施形態は、液体である(すなわち、ゲル、固まった脂肪、又は他の固形の形態ではない)。
【0084】
追加的な実施形態においては、抗酸化剤が用いられる。それには限定されないが、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエンのような、任意の好適な抗酸化剤を用いることができる。
【0085】
浸透促進剤は、製剤原料物質の皮膚を通じた流れを増やす化学的物質である。このような物質には、例えば、ジプロピレン又はプロピレングリコールのようなさまざまなグリコール、オリーブオイルのようなオイル、スクアレン又はラノリン、長鎖エーテル及びエステル、尿素及びさまざまな尿素誘導体、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒、サリチル酸、さまざまなアミノ酸、ビタミンC、ビタミンA、並びにビタミンE等が含まれる。
【0086】
すべてのオイルに関してと同様に、中間的製剤(例えば、生産の最中、可溶化の最中)において用いられる、及び、本明細書に記載される経皮吸収型薬物製品の生産において用いられる、可溶化剤、添加剤、抗酸化剤、浸透促進剤、結晶化抑制剤及びその他のいかなる添加物も、薬学上許容されるものでなければならない。
【0087】
本明細書の実施形態は、可溶化したプロゲステロンの経皮吸収型貼付剤の調製及び使用を提供する。そのような貼付剤は、それ単独で用いることができ、又は、さまざまな投与の形態で、さまざまな投与経路で投与できるエストロゲン製剤原料物質と併用で用いることができる。そのような貼付剤は、可溶化したプロゲステロンと、少なくとも1種類の可溶化したエストロゲン製剤原料物質とを、同時に投与できる。
【0088】
本開示に係る経皮吸収型貼付剤は、好ましいリリースの時間で投与するのに必要な投薬の濃度、実際のリリースのメカニズム、及び貼付剤の形によって、貼付剤の表面の面積がさまざま異なっている。経皮吸収型貼付剤の表面の面積は、例えば、10平方cm未満のものから100平方cmより大きいものまであるが、それに限定されない。例えば、経皮吸収型貼付剤の面積は、2.0平方cmからはじまって、2.5平方cm、3.0平方cm、3.5平方cm、4.0平方cm、4.5平方cm、5.0平方cm、5.5平方cm、6.0平方cm、6.5平方cm、7.0平方cm、7.5平方cm、8.0平方cm、8.5平方cm、9.0平方cm、9.5平方cm、又は10平方cmであってよい。さまざまな実施形態においては、貼付剤の表面の面積は、9平方cm〜16平方cmであってよい。
【0089】
本開示の経皮吸収型貼付剤は、例えば、粘着性のマトリクス、ポリマーマトリクス、リザーバ式貼付剤、マトリクス式若しくはモノリシック型のラミネート構造、又はその他の当該分野で周知のリリース速度を変更できるメカニズムのような、任意の従来の形を含み得る。また、本開示の経皮吸収型貼付剤は、一般に、1つ以上の支持層、粘着剤、浸透促進剤、オプションの速度制御膜、及び、貼付剤を使う前に剥がして粘着剤を露出させる剥離ライナーを含む。また、ポリマーマトリクス貼付剤は、ポリマーマトリクス形成材も含む。
【0090】
本開示の製剤を投与するために、さまざまな送達系を用いることができる。それらには、例えば、リポソームカプセル、マイクロバブル、乳剤、微粒子、微小カプセル、ナノ微粒子、及び微小針等が含まれる。
【0091】
本明細書に記載された追加的実施形態によれば、経皮吸収型貼付剤の28日間又は1ヶ月のレジメンが、単一のキットにパッケージされることができる。当該キットでは、特に、投与の日が特定されており、患者が服薬のスケジュールを守りやすくなっており、服薬のスケジュールを守れないことに関連する諸症状を減らすことができる。1つ以上の経皮吸収型貼付剤には、例えば、エストラジオール及び/又はプロゲステロンが含まれていなくてよい。エストロゲン又はプロゲステロン製剤原料物質を含まない経皮吸収型貼付剤は、プラシーボと呼ぶことができる。
【0092】
可溶化したプロゲステロンを含有する、本開示の経皮吸収により投与される製剤は、子宮内膜増殖症、二次性早発閉経、及びプロゲステロンを補充することで治療されるその他の病状の治療用に用いられる。一般に、本明細書に記載のプロゲステロン含有製剤は、単独で投与されるか、本開示の可溶化したエストラジオール、又はその他のエストロゲン含有製剤とともに投与されるかに関わらず、補充的エストロゲン投与の影響に対処するために用いられる。
【0093】
可溶化したエストラジオールを含有する、本開示の経皮的に投与される製剤は、血管運動症状を含むエストロゲン不足状態の治療のために用いられる。それらに限定されないが例えば、顔面の紅潮及び寝汗(血管運動症状)、睡眠障害、気分の変化、外陰膣委縮症、骨粗しょう症、並びにエストロゲン補充により治療される他の非閉経期の病状を含む、低エストロゲン関連症状の治療に関連して用いられる。
【0094】
本開示のさまざまな目的があるが、プロゲステロンとエストラジオールの両方を有する、単一の製品キットによる簡便な使い勝手を提供することがあり、次に患者に服薬のスケジュールを守らせやすくすることがある。更に、HRTに組み合わされて、広く使われている合成プロゲスチン(酢酸ノルエチンドロン、酢酸メドロキシプロゲステロン等)の代謝系及び血管系への副作用を抑制することがある。そうした副作用には、例えば、脳卒中、心臓発作、血栓、及び乳がんが含まれる。
【0095】
図1は、貼付剤10の断面図を示し、貼付剤10は、支持層13と、活性ホルモンを含有する粘着性のマトリクス11と、剥離可能なリリース層12と、を備える。図1内の矢印は、製剤原料物質の移動する方向を示す。
【0096】
図2は、貼付剤の他の実施形態を示す。当該貼付剤は、ミシン目又はスリット42に沿って破断できるリリース層4と、活性粘着剤層1及び2とを備える。
【0097】
図3は、液体リザーバ式経皮送達デバイスの一実施形態の断面図を示す。当該デバイスは、ハウジング2、多孔層3、剥離可能シール用フィルム4、及び活性ホルモン含有液体組成物1を備える。図3における矢印5は、製剤原料物質の移動する方向を示す。
【0098】
さまざまな実施形態においては、送達系は、1週間にわたって着用でき、他のものでは3〜4日間にわたって着用できる(例えば、その場合には、毎週2枚の系が必要となる)。更に他のものは、他の期間にわたって着用できるよう構成されており、その期間は3〜4日間より短いもの(例えば1日間)、又は1週間より長いものであってもよい(例えば、2〜4週間)。
【0099】
さまざまな実施形態によれば、周期的/順次的に用いられるものであるか、持続的に併用で用いられるものであるかに関わらず、複数の経皮吸収系が一緒にパッケージされる場合がある。当該パッケージには、経皮吸収系の使用をその意図されるサイクルにわたり指示するように更に構成された、パッケージング系(「順序制御デバイス」)が含まれていてよい。その意図されるサイクルの例としては、意図される投薬サイクルのうちの、使用される何日間及び/又は何週間が挙げられる。そのような順序制御デバイスは、とりわけ、患者が服薬スケジュールを守りやすくし、スケジュールを守らないことに関連する症状を減らす利点がある。例としては、さまざまな実施形態によれば、1つの順序制御デバイスに、それぞれ使用される日及び/又は週が特定されている、28日間又は1ヶ月間分の経皮吸収系のレジメンがパッケージされることが可能である。他の実施形態によれば、28日間又は1ヶ月間分の経皮吸収系のレジメンが、複数、例えば2又は4つの順序制御デバイスにパッケージされることが可能である。
【0100】
経皮吸収系とともに用いて、キットを構成するための、さまざまな順序制御デバイスを用いることが可能である。順序制御デバイスの例は、複数の収納要素を備え、それぞれの収納要素は、1日又は数日に対応し、1種類以上の経皮吸収系がその中に封入されて、それぞれ対応する日(例えば、該当する数日間の最初の日)が来ると使用されるようになっている。1つの収納要素は、胞状の袋、ラミネート、又は他の密閉された構成物であって、1種類以上の経皮吸収系をその中に封入されるようになっているものを備えていてよい。
【0101】
順序制御デバイスの例は、任意選択で収納要素間に配置された複数の仕切り要素を備えていることも可能である。それぞれの仕切り要素は、1日間以上の期間に対応し、その期間中は、新たな経皮吸収系を使用しなくてよいように処方がなされている。仕切り要素は、プラシーボ的経皮吸収系に対応していてもよく、又は、経皮吸収系がないことに対応していてもよい。仕切り要素は、1つの収納要素が1日に対応し、封入されている経皮吸収系が、丸1日より長い期間にわたり着用されるように構成されているような実施形態において、特に有益であり得る。
【0102】
順序制御デバイスの例は、共通の基体に順々に結合され、その上で横列及び/又は縦列に隣り合うように整列された複数の収納要素(及び、オプションとして、複数の仕切要素)を備えることができる。
【0103】
追加的に、又は代替的に、順序制御デバイスの例は、順々に積まれた複数の収納要素(及び、オプションとして、仕切り要素)を備えることができる。そのように積まれた要素の順序を維持するための方法はさまざまあり得る。例えば、積まれた要素のそれぞれが、その1つの縁部で共通の基体に結合されていてもよい。あるいは、積み上げられた要素を、一度に1つの収納要素又は仕切り要素しか排出できないような大きさに開くよう構成された排出用縁部を有する容器内に入れるようになっていてもよい。そのような実施形態では、積まれた要素は、例えば、機械的な手段で、又は、もし排出用縁部が、順序制御デバイスの底に位置する場合には、単に重力の影響で、排出用縁部に向けて寄せられるようになっている。
【0104】
例えば、図4は、28日間用の周期的/順次的エストロゲン(「E」)プロゲステロン(「P」)経皮吸収系のレジメンが、順序制御デバイスにパッケージされているのを図示している。そこでは、収納要素は1つの共通の基体上に、縦横にさまざまに隣り合い、順番に配置されている。基体には、複数の刻み目、ミシン目、又は仕切が、隣り合う要素どうしの間に設けられている。本実施形態においては、経皮吸収系は、3〜4日間にわたって着用されるようになっており、各収納要素は、規定通りに3〜4日間に対応している。
【0105】
図4と同様に、図5は、28日間用の周期的/順次的エストロゲン(「E」)プロゲステロン(「P」)経皮吸収系の他のレジメンが、順序制御デバイスにパッケージされているのを図示している。そこでは収納要素と仕切り要素が、1つの共通の基体上に、縦横にさまざまに隣り合い、順番に配置されている。上と同様に、基体には、複数の刻み目、ミシン目、又は仕切が、隣り合う要素どうしの間に設けられている。本実施形態では、経皮吸収系は、3〜4日間にわたって着用されるようになっており、各収納要素は、1つの日に対応している。
【0106】
図6は、28日間用の周期的/順次的エストロゲン(「E」)プロゲステロン(「P」)経皮吸収系のレジメンが、順序制御デバイスにパッケージされている、他の実施形態を図示している。そこでは、収納要素と仕切り要素とが順々に積まれており、積まれた要素は、一度に1つの収納要素又は仕切り要素しか排出できないような大きさに開くよう構成された排出用縁部を容器の下部に有する容器に包含されている。本実施形態においては、積まれた要素は、重力の影響により、排出用縁部に向けて寄せられるようになっている。上のものと同様に、本実施形態において、経皮吸収系は、3〜4日間にわたって着用されるようになっており、各収納要素は、1つの日に対応している。
【0107】
図7は、28日間用の周期的/順次的エストロゲン(「E」)プロゲステロン(「P」)経皮吸収系のレジメンが、順序制御デバイスにパッケージされている、他の実施形態を図示している。そこでは、収納要素が順々に積まれており、それぞれの積まれた要素は、その一縁部が1つの共通する基体に結合されている。本実施形態においては、経皮吸収系は、1週間にわたって着用されるようになっており、各収納要素は、1つの日に対応している。
【0108】
局所用のクリーム、ゲル、軟膏等の場合には、皮膚に対して適切な量の製剤を含ませて分注するために、計量式の塗布器を使うことが可能である。そのようなデバイスのあるものは、製剤を、皮膚上の適切な広さのエリアに広げるために用いることができる。あるいは、ユーザーは製剤を、手又は浸透性のない、柔軟なフィルムのような塗布器によって広げることもできる。
【0109】
例えば、複数の用量を計量できるポンプ式ディスペンサが、アンドロゲル(AndroGel)(登録商標)という商品名のテストステロン1%及び1.62%の局所的投与用に、現在商業的に入手可能である。
【0110】
上記アンドロゲルを包含し分注するために用いられているような、単位用量パッケージを採用することも可能である。
【実施例】
【0111】
以下の実施例により、可溶化したプロゲステロン及びエストラジオールの製剤と、粘着剤の組成物と、液体マトリクス組成物と、リザーバ技術と、を示すが、これらは、可溶化したプロゲステロン及びエストラジオールを、経皮吸収型HRT、特にNHRTに取り込むものである。実施例は、経皮吸収型貼付剤の調製用に、さまざまなサイズのリリース層に粘着剤組成物を充填する目標を示す。実施例は、可溶化したプロゲステロンの液体組成物であって、任意選択でエストラジオールを含む組成物を、液体経皮吸収型送達系で使用可能なリザーバに充填する例を更に示す。本明細書に記載されたマトリクスの任意のものからプロゲステロン及びエストラジオールが皮膚を通して送達される流速は、1平方cm当たり毎時0.1〜20μgの、さまざまな範囲にあり得る。流速を左右する要因としては、マトリクスのタイプすなわち粘着剤と液体組成物のタイプ、不活性な成分、浸透促進剤を含めるかどうか、リリース速度を変更するメカニズム、結晶化抑制剤、及び、哺乳動物(通常はヒト)の対象の生理学的状態が挙げられる。
【0112】
実施例1:可溶化したプロゲステロンのマスターバッチ、任意選択としてのエストラジオールつき
表Aは、可溶化したプロゲステロン製剤の例を示す。さまざまな可溶化剤を熱してから微粒子化したプロゲステロンを加え、更に、任意選択で、エストラジオールを温めた混合物に加えて例示的製剤が調製される。例えば、CAPMUL MCMを、30℃〜50℃、より好ましくは35℃〜45℃に、更に好ましくは、40℃±2℃に温める。GELUCIRE 44/14をCAPMUL MCMに加え、溶解するまで混ぜた。GELUCIRE 44/14は一度に加えても、ある時間をかけて複数回に分けて加えてもよい。必要な可溶化剤を混ぜる間、継続して温め続けた。加熱も混合も不活性ガス又は活性の低いガスの雰囲気中で実行した。この例では、窒素ガス(N2)が用いられた。混合及び/又は加熱は、任意の水中攪拌機を装備したステンレス鋼製の器であって、任意選択として、真空状態にかけられる、又はかけられない、任意の好適な器でなされた。代替的には、GELUCIRE 44/14が65℃に温められ、CAPMUL MCMが40℃±5℃の範囲に温められ、熱から外す前に、オイルと界面活性剤の混合が実現できるようにする。エストラジオールが、上記の混合物が冷やされつつあるところに加えられる。プロゲステロンが、混合物の温度が40℃を下回るところまで冷めたところで加えられる。こうしてできる混合物を、例えば、3回コロイドミルに通す。
【0113】
【表2】
【0114】
実施例2:貼付剤型粘着剤送達マトリクス
表Bは、適切なポリマーを混合し、その後にゆっくりと、表Aの処方による可溶化したプロゲステロンを混ぜた、粘着剤のマトリクスを示す。粘着性組成物の粘度及び乾燥後の粘着性を調整するために、シリコーン溶液、低分子量アルコール、グリコール、又はエーテルのような揮発性の溶媒が加えられる。エストラジオールのような任意の追加的製剤原料物質が混合物に加えられる。その結果生じる粘着性混合物で上記の製剤原料物質を包含するものは、さまざまな経皮吸収型製品を製造するために使用される。
【0115】
適したポリマーがさまざまある中で、可溶化したエストラジオール及びプロゲステロンを包含した感圧性粘着剤(PSA)マトリクスにより好適なポリマーには、ダウコーニング社(Dow Corning Corporation、ミシガン州ミッドランド)から入手可能なポリシロキサンPSAsをはじめ、ポリアクリル酸塩、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、及びポリエチレン/ビニル/アセテートコポリマーが含まれる。好適な粘着性のマトリクスは、理療用シリコーンPSAから、ポリマーを追加する必要なく作成される。
【0116】
【表3】
【0117】
なお、表Aの組成物は、先にエストラジオールが添加してあるので、更にエストラジオールを上記粘着性のマトリクスに加えてはいないことに留意されたい。
【0118】
実施例3:経皮吸収型貼付剤
表Cは、表Bに例示された粘着剤のマトリクスに基づいた経皮送達系を示す。これらの経皮吸収型貼付剤の例を調製するために、表Bの組成物の例が剥離ライナーに塗布された。結果として得た製品を必要に応じて乾燥させ、揮発性物質を取り除いた。最後に、好適な支持材を貼り付けて、粘着性のマトリクスが剥離ライナーと支持材との間に挟まれるようにした。好適な剥離ライナーは、ダウケミカル社((Dow Chemical Co.)ルイジアナ州プラークマイン)及び3M社(ミネソタ州セントポール)から入手した。好適な支持材は、ポリエチレン/ビニルアセテート樹脂、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、ポリ塩化ビニル、及びポリウレタン等のプラスチックフィルム、又は、金属のフォイル、不織布、布、及びさまざまなラミネートフィルムを含んでよい。
【0119】
結果とし得た貼付剤の系は、プロゲステロンを単独で、プロゲステロンとエストラジオールとを組み合わせて、又はエストラジオールを単独で送達するものである。
【0120】
【表4】
【0121】
実施例4:液体用経皮送達マトリクス
表Dは、液体リザーバ式経皮吸収型製剤に使用可能な組成物の例を示す。例示されている組成物は、表Aに示された可溶化したプロゲステロン及びエストラジオール製剤を組み込んだものである。メチルセルロース、エチルセルロース,カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、デンプン、カラギナン、及びペクチンのような1種類以上のサッカリドが使われた。組成物は、キサンタン又はグァー、低分子量グリコール、及び保存料のような増粘剤を更に含んでいた。
【0122】
表Dの例は、図3に一般化される実施形態のような送達系に組み込まれることができる。
【0123】
【表5】
【0124】
実施例5:粒度の分析
微粒子化したエストラジオールの粒度の分析を、ベックマンコールター社のLS 13 320レーザー回折粒度分析器(所謂「ベックマン装置」)を用いて実施した。ベックマン装置は、レーザー回折及び偏光散乱強度差法(PIDS)技術を用いて、材料の粒度の分布を判定するもので、外挿なしで、1回のスキャンにより、0.04μm〜2000μmの全体測定範囲を実現している。分析の結果、1つの試料は、X50値が2.652μm、X90値が6.031μmであった。
【0125】
0.01gの試料を、コールター1B分散剤により分散させ、10mLの脱イオン水で希釈した。引き続いて、希釈した試料を15秒間超音波にかけてから、ベックマン装置にセットして90秒間分析した。粒度の分布が、フラウンホーファーの光学モデルにより判定された。
【0126】
実施例6:粒度の分析
微粒子化したプロゲステロンの粒度の分析がベックマン装置を用いて実施された。試料が用意され、分析された。ベックマン装置の粒子センサによると、当該資料は、X50値が6.67μm、X75値が14.78μm、及びX25値が2.193μmであった。
【0127】
実施例7:クリーム
軟膏又はクリームに用いるビヒクル系を下記の表Eにしたがって準備することができる。表Eのビヒクル系は、粘度及び物理的状態が、特に軟膏又はクリーム用に適している。
【0128】
【表6】
【0129】
本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の発明に対してさまざまな修正及び変更を加えることが可能であることは、当業者には明らかであろう。それゆえ、添付の請求項とその均等物の範囲内にとどまる限り、そのような修正及び変更を、本開示が含むことが意図されている。
【0130】
同様に、製剤、デバイス、及び/又は方法の構造及び機能の詳細とともに、さまざまな代替的形態を含め、多数の特徴及び利点が以上に説明された。本開示は、例示的なものにすぎず、網羅的なものではないものとして意図されている。さまざまな修正が、特に構造、材料、要素、成分、形状、サイズ、及び組み合わせを含む部品の配置に関わる事項に関して、本開示の原理の範囲内で、添付の請求項が表現されている用語の、広い、一般的な意味により示される最大限の程度で可能であることは、当業者には明らかであろう。これらのさまざまな修正が、添付の請求項の趣旨及び範囲から逸脱しない限りにおいて、それらは請求項に包含されるよう意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7