(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
化学療法薬、抗増殖薬、アテローム性動脈硬化症を治療するための薬剤、肺線維症を治療するための薬剤、及びこれらの組み合わせから選択される治療薬をさらに含有する、請求項13記載の医薬組成物。
前記治療薬が、アドリアマイシン、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、イクサベピロン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、デキサメタゾン、エトポシド、フルオロウラシル、アファチニブ、アリセルチブ、アムバチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、ブリバニブ、カボザンチニブ、セジラニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、ダヌセルチブ、ドビチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ガネテスピブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、イニパリブ、ラパチニブ、レンバチニブ、リニファニブ、リンシチニブ、マシチニブ、モメロチニブ、モテサニブ、ネラチニブ、ニラパリブ、ニロチニブ、オプロゾミブ、オラパリブ、パゾパニブ、ピクチリシブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、リゴセルチブ、ルカパリブ、ルクソリチニブ、サラカチニブ、サリデジブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タソシチニブ、テラチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トファシチニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、ベリパリブ、ベムラフェニブ、ビスモデジブ、ボラセルチブ、インターフェロン、カルボプラチン、トポテカン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、テモゾロミド、トシツモマブ、トラベクテジン、ベリムマブ、ベバシズマブ、ブレンツキシマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ又はこれらの組み合わせである、請求項14に記載の医薬組成物。
前記増殖性障害が、転移性癌、大腸癌、胃腺癌、膀胱癌、乳癌、腎癌、肝癌、肺癌、皮膚癌、甲状腺癌、頭頸部癌、前立腺癌、膵臓癌、CNSの癌、膠芽腫、骨髄増殖性障害、アテローム性動脈硬化症、又は肺線維症である、請求項16記載の使用のための化合物又は医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(発明の詳細な説明)
(定義及び一般的用語法)
ここより、本発明のある実施形態に関して詳細に言及することとし、その例を、付随する構造及び式において例示する。本発明は、特許請求の範囲によって定義される通りの本発明の範囲内に含まれ得るすべての代替物、改変物、及び等価物を包含するものとする。当業者は、本発明の実施の際に使用することができる、本明細書に記述した方法及び材料と同様又は等価な多くの方法及び材料を理解するであろう。本発明は、本明細書に記述した方法及び材料に、決して限定されない。限定はされないが、用語の定義、用語の用法、記載された技術などを含めて、組み込まれた文献、特許、及び類似の資料の1以上が、本出願と異なる又は矛盾する場合、本出願が支配する。
【0048】
本明細書で使用する場合、別段の指示のない限り、以下の定義を適用するものとする。本発明の目的では、化学元素は、「元素の周期表(Periodic Table of the Element)」(CAS式)、及び「化学・物理学ハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)」(第75版、1994年)に従って同定される。加えて、有機化学の一般原理は、Thomas Sorrellの文献「有機化学(Organic Chemistry)」(University Science Books、Sausalito:1999年)、及びMichael B. Smith及びJerry Marchの文献「マーチ最新有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)」(John Wiley & Sons、New York: 2007年)に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【0049】
本明細書に記述する場合、本明細書に開示された化合物は、下に大まかに例示する、又は本発明の特定のクラス、サブクラス、及び種によって例示されるものなどの、1以上の置換基で任意に置換することができる。語句「任意に置換された」は、語句「置換又は無置換の」と互換的に使用されることを理解されたい。一般に、用語「置換された」とは、所与の構造内の1以上の水素ラジカルの、指定された置換基のラジカルとの置き換えをいう。別段の指示のない限り、任意に置換された基は、その基の置換可能な各位置に置換基を有することができる。所与の構造における2以上の位置が、指定された基から選択された2以上の置換基で置換可能である場合、置換基は、各位置において同じ又は異なり得る。
【0050】
用語「脂肪族」又は「脂肪族基」とは、完全に飽和したか又は不飽和の単位を1以上含む、直鎖(すなわち、分岐していない)又は分岐した、置換又は無置換の炭化水素鎖をいう。別段の指示のない限り、脂肪族基は、1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の炭素原子を含み、また他の実施形態において、脂肪族基は、1〜3個の炭素原子を含む。好適な脂肪族基は、直鎖又は分岐した、置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、(C
1-C
6)脂肪族基は、分岐していない又は分岐した、無置換の又は好適に置換された(C
1-C
6)アルキル基、(C
2-C
6)アルケニル基、又は(C
2-C
6)アルキニル基を含む。脂肪族ラジカルは、本明細書記載の1以上の置換基により独立に任意に置換されている。
【0051】
用語「アルキル」又は「アルキル基」は、1〜20個の炭素原子の、直鎖又は分岐鎖の飽和した一価の炭化水素ラジカルをいい、ここでは、該アルキルラジカルは、独立に、以下に記述する1以上の置換基で任意に置換され得る。別段の指定がない限り、アルキル基は、1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態では、アルキル基は、1〜8個の炭素原子を含む。他の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を含み、また他の実施形態において、アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含む。
【0052】
いくつかの非限定的アルキル基の例としては、メチル(Me、-CH
3)、エチル(Et、-CH
2CH
3)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CH
2CH
2CH
3)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH
3)
2)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CH
2CH(CH
3)
2)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH
3)CH
2CH
3)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH
3)
3)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-ペンチル(-CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3-ペンチル(-CH(CH
2CH
3)
2)、2-メチル-2-ブチル(-C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3-メチル-l-ブチル(-CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2-メチル-1-ブチル(-CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1-ヘキシル(-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-ヘキシル(-CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3-ヘキシル(-CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH
3)C(CH
3)
3)、1-ヘプチル、1-オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
用語「アルキル」及び接頭辞「アルク(alk-)」は、直鎖の飽和した炭素鎖と分岐した飽和した炭素鎖との両方を含む。
【0054】
用語「アルキレン」とは、2個の水素原子の除去により、直鎖又は分岐鎖の飽和した炭化水素から誘導された飽和した二価の炭化水素基をいう。別段の指示のない限り、アルキレン基は、1〜10個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、アルキレン基は、1〜6個の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルキレン基は、1〜4個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、アルキレン基は、1〜2個の炭素原子を含み、メチレン(-CH
2-)、エチレン(-CH
2CH
2-)、イソプロピレン(-CH(CH
3)CH
2-)などにより例示される。
【0055】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素-炭素、sp2二重結合を伴う、2〜12個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖の一価の炭化水素ラジカルをいい、ここで該アルケニルラジカルは、本明細書記載の1以上の置換基により独立に任意に置換されてよく、且つ「シス」及び「トランス」配向、あるいは「E」及び「Z」配向を有するラジカルを含む。アルケニル基は、好ましくは炭素原子2〜8個を、より好ましくは炭素原子2〜6個を含む。例としては、エチレニル又はビニル(-CH=CH
2)、アリル(-CH
2CH=CH
2)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
用語「アルキニル」とは、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素-炭素、sp三重結合を伴う、2〜12個の炭素原子の直鎖又は分岐した一価の炭化水素ラジカルをいい、ここで該アルキニルラジカルは、本明細書記載の1以上の置換基により独立に任意に置換されてよい。アルキニル基は、好ましくは炭素原子2〜8個、より好ましくは炭素原子2〜6個を含む。例としては、エチニル(-C≡CH)、プロピニル(プロパルギル、-CH
2C≡CH)、-C≡C-CH
3などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
用語「アルコキシ」とは、酸素原子を介して主鎖の炭素原子と結合する、上で定義した通りのアルキル基をいう。別段の指定がない限り、アルコキシ基は、1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルコキシ基は、1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態では、アルコキシ基は、1〜8個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルコキシ基は、1〜6個の炭素原子を含む。また他の実施形態では、アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を含む。更なる実施形態において、アルコキシ基は、1〜3個の炭素原子を含む。アルコキシラジカルは、本明細書記載の1以上の置換基により独立に任意に置換される。
【0058】
アルコキシ基のいくつかの非限定的例としては、メトキシ(MeO、-OCH
3)、エトキシ(EtO、-OCH
2CH
3)、1-プロポキシ(n-PrO、n-プロポキシ、-OCH
2CH
2CH
3)、2-プロポキシ(i-PrO、i-プロポキシ、-OCH(CH
3)
2)、1-ブトキシ(n-BuO、n-ブトキシ、-OCH
2CH
2CH
2CH
3)、2-メチル-1-プロポキシ(i-BuO、i-ブトキシ、-OCH
2CH(CH
3)
2)、2-ブトキシ(s-BuO、s-ブトキシ、-OCH(CH
3)CH
2CH
3)、2-メチル-2-プロポキシ(t-BuO、t-ブトキシ、-OC(CH
3)
3)、1-ペントキシ(n-ペントキシ、-OCH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-ペントキシ(-OCH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3-ペントキシ(-OCH(CH
2CH
3)
2)、2-メチル-2-ブトキシ(-OC(CH
3)
2CH
2CH
3)、3-メチル-2-ブトキシ(-OCH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3-メチル-1-ブトキシ(-OCH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2-メチル-1-ブトキシ(-OCH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」又は「ハロアルコキシ」とは、1個以上のハロゲン原子で場合により置換されたアルキル、アルケニル、又はアルコキシをいう。
【0060】
用語「炭素環式」、「カルボシクリル」、「炭素環」、及び「脂環式」とは、単環、二環、又は三環の環系として3〜12個の炭素原子を有する、飽和した又は部分的に不飽和の一価又は多価の非芳香族環をいう。適切な脂環式基としては、限定はされないが、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルが挙げられる。脂環式基のさらなる例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニルなどが挙げられる。
【0061】
用語「シクロアルキル」とは、単環、二環、又は三環の環系として3〜12個の炭素原子を有する、一価又は多価の飽和環をいう。二環の環系は、スピロビシクリル又は縮合されたビシクリルを含む。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、3〜10個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、シクロアルキルは、3〜8個の炭素原子を含み、また他の実施形態において、シクロアルキルは、3〜6個の炭素原子を含む。シクロアルキルラジカルは、本明細書記載の1以上の置換基により、独立に任意に置換される。
【0062】
本明細書で互換的に使用される用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環式」とは、その環の1以上の環員がヘテロ原子から独立に選択され、かつその環が完全に飽和している又は1以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではないような、該分子の残りへの単一の結合点を有する、単環、二環、又は三環の環系をいう。二環の環系は、スピロビシクリル又は縮合されたビシクリルを含み、それらの環の一つは、モノカルボシクリル又はモノヘテロシクリル(monohetercycle)のいずれかであることができる。1以上の環原子は、独立に、本明細書記載の1以上の置換基で任意に置換されている。いくつかの実施形態では、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環式」基は、3〜7個の環員を有する単環(2〜6個の炭素原子と、N、O、P、及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子であって、S又はPは1以上のオキソで任意に置換され、基SO又はSO
2、PO又はPO
2が提供される)である。他の実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「複素環式」基は、3〜6個の環員を有する単環(2〜5個の炭素原子と、N、O、P、及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子であって、S又はPは1以上のオキソで任意に置換され、基SO又はSO
2、PO又はPO
2が提供される)、あるいは、7〜10個の環員を有する二環(4〜9個の炭素原子と、N、O、P、及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子であって、S又はPは1以上のオキソで任意に置換され、基SO又はSO
2、PO又はPO
2が提供される)である。
【0063】
ヘテロシクリルは、炭素ラジカル又はヘテロ原子ラジカルであり得る。複素環の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルフォリノ、チオモルフォリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモ-ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサアゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。環上の2個の炭素原子がオキソ(=O)部分で置換された複素環式基の例は、ピリミジンジオニル及び1,1-ジオキソ-チオモルフォリニルである。
【0064】
用語「ヘテロ原子」とは、1以上の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素(酸化されたあらゆる形の窒素、硫黄、又はリンを含めて);四級化された形のあらゆる塩基性窒素;又は複素環の置換可能な窒素、例えばN(例えば3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにあるような)、NH(例えばピロリジニルにあるような)、又はNR(例えばN-置換型ピロリジニルにあるような)をいう。
【0065】
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、又はIをいう。
【0066】
用語「H」は、単一の水素原子をいう。このラジカルは、例えば酸素原子に結合して、ヒドロキシルラジカルを形成することができる。
【0067】
用語「D」又は「
2H」は、単一の重水素原子をいう。この1個のラジカルは、例えばメチル基に結合して、モノ-ジュウテリウムメチル基(-CDH
2)を形成することができ、2個の重水素原子は、メチル基に結合して、ジ-ジュウテリウムメチル(-CD
2H)を形成することができ、且つ3個の重水素原子は、メチル基に結合して、トリ-ジュウテリウムメチル基(-CD
3)を形成することができる。
【0068】
用語「N
3」は、アジド部分をいう。このラジカルは、例えばメチル基に結合して、アジドメタン(メチルアジド、MeN
3)を形成するか;又は、フェニル基に結合して、フェニルアジド(PhN
3)を形成することができる。
【0069】
単独で、又は、「アラルキル」、「アラルコキシ」、又は「アリールオキシアルキル」中にあるようなより大きな部分の一部として使用される用語「アリール」とは、合計6〜14個の環員、好ましくは6〜12個の環員、より好ましくは6〜10個の環員を有する、単環、二環、及び三環の炭素環の環系をいい、ここでは、該環系中の少なくとも1つの環は、芳香族であり、ここでは、該環系中の各環は、3〜7個の環員を含有し、かつ該分子の残りへの単一の結合点を有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用することができる。アリール環の例としては、フェニル、ナフチル、及びアントラセンが挙げられるであろう。アリールラジカルは、本明細書記載の1以上の置換基により独立に任意に置換される。
【0070】
単独で、又は、「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」中にあるようなより大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」とは、合計5〜14個の環員、好ましくは5〜12個の環員、より好ましくは5〜10個の環員を有する、単環、二環、及び三環の環系をいい、ここでは、該環系中の少なくとも1つの環は、芳香族であり、該環系中の少なくとも1つの環は、1個以上のヘテロ原子を含み、ここでは、該環系中の各環は、5〜7個の環員を含み、かつ該分子の残りへの単一の結合点を有する。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」又は用語「ヘテロ芳香族」と互換的に使用することができる。ヘテロアリールラジカルは、本明細書記載の1以上の置換基により独立に任意に置換される。
【0071】
ヘテロアリール環のいくつかの非限定的例としては、以下の単環:2-フラニル、3-フラニル、N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、N-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、ピリダジニル(例えば3-ピリダジニル)、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、テトラゾリル(例えば5-テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば2-トリアゾリル及び5-トリアゾリル)、2-チエニル、3-チエニル、ピラゾリル(例えば2-ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、並びに以下の二環:ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば2-インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば、2-キノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル)、及びイソキノリニル(例えば、1-イソキノリニル、3-イソキノリニル、又は4-イソキノリニル)が挙げられる。
【0072】
用語「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、単独で使用される場合でも、又は「カルボキシアルキル」など他の用語と共に使用される場合でも、-CO
2Hを示す。用語「カルボニル」は、単独で使用される場合でも、又は「アミノカルボニル」など他の用語と共に使用される場合でも、-(C=O)-を示す。
【0073】
用語「アルキルアミノ」は、アミノ基が独立に、それぞれ1個のアルキルラジカルで又は2個のアルキルラジカルで置換された、「N-アルキルアミノ」及び「N,N-ジアルキルアミノ」を包含する。アルキルアミノラジカルのいくつかの非限定的例は、窒素原子に結合した、炭素原子が1〜6個のアルキルラジカル1又は2個を有する、「低級アルキルアミノ」ラジカルである。適切なアルキルアミノラジカルは、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどのモノ又はジアルキルアミノであり得る。
【0074】
用語「アリールアミノ」とは、N-フェニルアミノなどの1又は2個のアリールラジカルで置換されているアミノ基をいう。アリールアミノラジカルは、該ラジカルのアリール環部分でさらに置換される可能性がある。
【0075】
用語「アミノアルキル」とは、1〜約10個の炭素原子(そのうちのいずれか1つが、1以上のアミノラジカルで置換される可能性がある)を有する、直鎖又は分岐したアルキルラジカルをいう。より好ましいアミノアルキルラジカルは、1〜6個の炭素原子と1以上のアミノラジカルとを有する「低級アミノアルキル」ラジカルである。こうしたラジカルの例としては、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、及びアミノヘキシルが挙げられる。
【0076】
用語「不飽和」は、ある部分が、1以上の不飽和の単位を有することを意味する。
【0077】
用語「〜を含む」は、他の要素を除外せずに、示された構成要素を含む、オープンエンドであると意図される。
【0078】
別段の記述のない限り、本明細書に図示した構造はまた、その構造のすべての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び幾何異性体(又は配座異性体))形;例えば、各不斉中心に対するR及びS配置、(Z)及び(E)二重結合異性体、並びに(Z)及び(E)配座異性体を含むことが意図される。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体に加え、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び幾何異性体(又は配座異性体)の混合物は、本発明の範囲内である。
【0079】
用語「互変異性体」又は「互変異性体形」とは、低いエネルギー障壁を通して相互変換可能な、エネルギーの異なる構造異性体をいう。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー型(prototropic)互変異性体としても公知である)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化などの、プロトンの移動を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は、いくつかの結合電子の再編成による相互変換を含む。
【0080】
別段の記述のない限り、本明細書に開示された化合物のすべての互変異性体形が、本発明の範囲内である。加えて、別段の記述のない限り、本明細書に図示した構造にはまた、1以上の同位体的に濃縮された原子の存在のみが異なる化合物が含まれることが意図される。
【0081】
用語「プロドラッグ」とは、インビボにおいて式(I)又は(II)の化合物に変換される化合物をいう。こうした変換は、例えば、血液における加水分解、又は血液もしくは組織におけるプロドラッグ形の親形への酵素的変換によって影響を受け得る。本明細書に開示された化合物のプロドラッグは、例えばエステルであることができる。本発明においてプロドラッグとして利用することができるエステルは、フェニルエステル、脂肪族(C
1-C
24)エステル、アシルオキシメチルエステル、炭酸エステル、カルバミン酸エステル、及びアミノ酸エステルである。例えば、OH基を含む本明細書に開示された化合物は、そのプロドラッグ形では、この位置でアシル化され得る。他のプロドラッグ形としては、リン酸エステル、例えば、親化合物上のOH基のホスホン酸化から得られるリン酸エステルなどが挙げられる。プロドラッグの十分な考察は、T.Higuchi及びV.Stellaの文献「新規送達システムとしてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Delivery Systems)」(A.C.S. Symposium Seriesの第14巻)、Edward B.Roche編「薬剤設計における生体可逆性坦体(Bioreversible Carriers in Drug Design)」(American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年)、J.Rautioらの文献「プロドラッグ:設計と臨床応用(Prodrugs:Dssign and Clinical Applications」(Nature Review Drug Discovery, 2008年, 7, 255-270)、及びS.J.Heckerらの文献「リン酸エステル及びホスホン酸エステルのプロドラッグ(Prodrugs of Phosphates and Phosphonates)」(Journal of Medicinal Chemistry, 2008年, 51, 2328-2345)に提供されており、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれている。
【0082】
「代謝産物」とは、体内での特定の化合物又はその塩の代謝を通して生成される産物をいう。ある化合物の代謝産物は、当該技術分野で公知の慣例的技術を使用して同定することができ、また、その代謝産物の活性は、本明細書に記述した試験などの試験を使用して決定することができる。こうした産物は、例えば、投与される化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的切断などから得ることができる。したがって、本発明には、本明細書に開示された化合物を、その代謝産物を生じるのに十分な時間、哺乳類と接触させることを含むプロセスによって生成される化合物を含めた、本明細書に開示された化合物の代謝産物が含まれる。
【0083】
本明細書で使用される立体化学的定義及び規則は、概して、S.P.Parker編「マグローヒル化学用語辞典(McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms)」(1984年)(McGraw-Hill Book Company社、New York);並びに、Eliel,E.及びWilen,S.の文献「有機化合物の立体化学(Stereochemistry of Organic Compounds)」(John Wiley & Sons社、New York、1994年)に従う。本明細書に開示された化合物は、不斉中心又はキラル中心を含むことができるので、様々な立体異性体形で存在する。本明細書に開示された化合物のすべての立体異性体形(限定はされないが、ジアステレオマー、鏡像異性体、及びアトロプ異性体に加え、ラセミ混合物などのそれらの混合物を含めて)は、本発明の一部をなすことが意図されている。多くの有機化合物は、光学活性な形で存在する、すなわち、多くの有機化合物は、平面偏光面を回転する能力を有する。光学活性な化合物を記述する際には、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心(1つ又は複数)に関する分子の絶対配置を示すために使用される。接頭辞d及びl又は(+)及び(-)は、化合物による平面偏光の回転の記号を示すために用いられ、(-)又はlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdという接頭辞が付いた化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、互いに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、鏡像異性体ともいうことができ、こうした異性体の混合物は、鏡像異性体混合物と呼ばれることが多い。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ化合物といい、これらは、化学反応又はプロセスにおいて立体選択又は立体特異性が存在しない場合に生じ得る。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ化合物」とは、光学活性を失った、2つの鏡像異性体種の等モル混合物をいう。
【0084】
「薬学的に許容され得る塩」とは、本明細書に開示された化合物の有機塩又は無機塩をいう。薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences, 66:1-19,1977(該論文を参照により本明細書に組み込む)において、薬学的に許容され得る塩を詳細に記載している。薬学的に許容され得る非毒性の塩の例としては、無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸など)を用いて、又は、有機酸(酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、又はマロン酸など)を用いて、又は、イオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成される、アミノ基の塩が挙げられるが、これに限定されない。薬学的に許容され得る他の塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から得られる塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN
+(C
1-4アルキル)
4の塩が挙げられる。本発明は、本明細書で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定している。水又は油に溶解可能か又は分散可能な生成物は、こうした四級化によって得ることができる。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。薬学的に許容され得るさらなる塩としては、適切な場合には、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、C
1-8スルホン酸、及びアリールスルホン酸などの対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、及びアミン陽イオンが挙げられる。
【0085】
「溶媒和物」とは、1以上の溶媒分子と本明細書に開示された化合物との会合体又は複合体をいう。溶媒和物を形成する溶媒の例としては、限定はされないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが挙げられる。用語「水和物」とは、溶媒分子が水である該複合体をいう。
【0086】
用語「保護基」又は「PG」とは、化合物上の他の官能基を反応させる間に特定の官能性をブロック又は保護するために一般に用いられる置換基をいう。例えば、「アミノ保護基」は、化合物におけるアミノ官能性をブロック又は保護するためにアミノ基に結合される置換基である。適切なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシ-カルボニル(BOC、Boc)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ、Cbz)、及び9-フルオレニルメチレンオキシ-カルボニル(Fmoc)が挙げられる。同様に、「ヒドロキシ保護基」とは、ヒドロキシ官能性をブロック又は保護する、ヒドロキシ基の置換基をいう。適切な保護基としては、アセチル及びシリルが挙げられる。「カルボキシ保護基」とは、カルボキシ官能性をブロック又は保護する、カルボキシ基の置換基をいう。一般的なカルボキシ保護基としては、-CH
2CH
2SO
2Ph、シアノエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エトキシ-メチル、2-(p-トルエンスルホニル)エチル、2-(p-ニトロフェニルスルフェニル)-エチル、2-(ジフェニルホスフィノ)-エチル、ニトロエチルなどが挙げられる。保護基及びその使用の包括的説明については、T.W.Greeneの文献「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(John Wiley & Sons社、New York、1991年);及びP.J.Kocienskiの文献「保護基(Protecting Groups)」(Thieme社、Stuttgart、2005年)を参照のこと。
【0087】
(本発明の化合物の説明)
本発明は、受容体チロシンキナーゼ、特にVEGFR、c-Met、Ron及び/又はAxl受容体によって調節される疾患、状態、及び障害の治療に潜在的に有用である、置換ピラゾロン化合物、その塩及び医薬製剤を提供する。より具体的には、本発明は、式(I)の化合物、又はそれらの立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N−オキシド、溶媒和物、水和物、代謝産物、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを提供する:
【化4】
(式中、Q、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、W、X、Y及びZの各々は、本明細書において定義されている。)。
【0088】
ある実施形態において、式(I)のQは、D、-N(R
c)C(=O)NR
aR
b、-N(R
c)C(=O)R
d、-C(=O)NR
aR
b、-N(R
c)S(=O)NR
aR
b、-N(R
c)S(=O)R
a、-N(R
c)S(=O)
2NR
aR
b、又は-N(R
c)S(=O)
2R
aであり;
式(I)のWは、CR
7又はNであり;
式(I)のX、Y及びZの各々は、独立に、H、D、(C
1-C
6)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
8)シクロアルキル、(C
3-C
7)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
7)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール又は-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C
1-C
6)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
8)シクロアルキル、(C
3-C
7)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
7)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール及び-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、Br、CN、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、OR
a、NR
aR
b、-(C
1-C
4)アルキレン-OR
a及び-(C
1-C
4)アルキレン-NR
aR
bから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により任意に置換されており;
式(I)のR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7の各々は、独立に、H、D、F、Cl、Br、CN、N
3、OR
a、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
2-C
6)アルケニル又は(C
2-C
6)アルキニルであり;
式(I)のR
a、R
b及びR
cの各々は、独立に、H、(C
1-C
6)脂肪族、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール又は-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C
1-C
6)脂肪族、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール及び-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、CN、N
3、OH、NH
2、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)アルコキシ及び(C
1-C
6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されており;並びに
式(I)のR
dは、D、(C
3-C
8)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、又は-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C
3-C
8)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール、5〜10員のヘテロアリール及び-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、Br、CN、OR
a、NR
aR
b、(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、-(C
1-C
4)アルキレン-OR
a及び-(C
1-C
4)アルキレン-NR
aR
bから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている。
【0089】
別の実施形態において、式(I)のR
a、R
b及びR
cの各々は、独立に、H、(C
1-C
6)脂肪族、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール又は-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C
1-C
6)脂肪族、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール及び-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、CN、N
3、OH、NH
2、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)アルコキシ及び(C
1-C
6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されており;並びに
式(I)のR
dは、D、(C
3-C
8)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、又は-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C
3-C
8)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール、5〜10員のヘテロアリール及び-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、Br、CN、OR
a、NR
aR
b、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、-(C
1-C
4)アルキレン-OR
a、及び-(C
1-C
4)アルキレン-NR
aR
bから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている。
【0090】
別の実施形態において、式(I)のQは、-N(R
c)C(=O)NR
aR
b、-N(R
c)C(=O)R
d、又は-C(=O)NR
aR
bである。
【0091】
別の実施形態において、式(I)のX、Y及びZの各々は、独立に、(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリル、フェニル、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
2)アルキレン-フェニル又は-(C
1-C
2)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリル、フェニル、5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
2)アルキレン-フェニル及び-(C
1-C
2)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、CN、(C
2-C
4)アルケニル、(C
2-C
4)アルキニル、OR
a、NR
aR
b、-(C
1-C
2)アルキレン-OR
a、及び-(C
1-C
2)アルキレン-NR
aR
bから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている。
【0092】
別の実施形態において、式(I)のR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7の各々は、独立に、H、D、F又はClである。
【0093】
別の実施形態において、式(I)のR
a、R
b及びR
cの各々は、独立に、H、(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)ハロアルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル又は-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリルであり、ここで(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)ハロアルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル及び-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリルの各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、CN、N
3、OH、NH
2、(C
1-C
3)ハロアルキル、(C
1-C
3)アルコキシ及び(C
1-C
3)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている。
【0094】
別の実施形態において、式(I)のR
dは、(C
3-C
6)シクロアルキルであり、ここで(C
3-C
6)シクロアルキルは、無置換であるか、又はD、F、CN、OR
a、NR
aR
b、(C
1-C
3)アルキル、(C
2-C
4)アルケニル、(C
2-C
4)アルキニル、-(C
1-C
2)アルキレン-OR
a及び-(C
1-C
2)アルキレン-NR
aR
bから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている。
【0095】
別の実施形態において、式(I)のX、Y及びZの各々は、独立に、H、D、CH
3、1、2もしくは3個の重水素原子により置換されたメチル基、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、又は、D、F及びClから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により置換されているフェニル基である。
【0096】
別の実施形態において、式(I)のQは、
【化5】
である。
【0097】
別の実施形態において、本発明は、式(II)を有する化合物を提供する:
【化6】
(式中、Q、X、Y及びZの各々は、本明細書に定義されている通りである。)。
【0098】
ある実施形態において、式(II)のQは、-N(R
c)C(=O)NR
aR
b、-N(R
c)C(=O)R
d、-N(R
c)S(=O)NR
aR
b、-N(R
c)S(=O)R
a、-N(R
c)S(=O)
2NR
aR
b、-N(R
c)S(=O)
2R
a又は-C(=O)NR
aR
bであり;
式(II)のX、Y及びZの各々は、独立に、H、D、(C
1-C
6)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル、(C
3-C
7)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
8)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
7)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール又は-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C
1-C
6)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル、(C
3-C
7)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
8)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
7)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール及び-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、D、F、Cl、Br、CN、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、OR
a、NR
aR
b、-(C
1-C
4)アルキレン-OR
a及び-(C
1-C
4)アルキレン-NR
aR
bから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により任意に置換されていてもよく;
式(II)のR
a、R
b及びR
cの各々は、独立に、H、(C
1-C
6)アルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール又は-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C
1-C
6)アルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、(C
6-C
10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
4)アルキレン-(C
6-C
10)アリール及び-(C
1-C
4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、D、F、Cl、CN、N
3、OH、NH
2、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)アルコキシ及び(C
1-C
6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3、又は4個の置換基により任意に置換されていてもよく;並びに
式(II)のR
dは、(C
3-C
8)シクロアルキルであり、ここで(C
3-C
8)シクロアルキルは、D、F、Cl、OH、NH
2、(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルコキシ及び(C
1-C
6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3、又は4個の置換基により任意に置換されていてもよい。
【0099】
別の実施形態において、式(II)のQは、-N(R
c)C(=O)NR
aR
b、-N(R
c)C(=O)R
d、-N(R
c)S(=O)NR
aR
b、-N(R
c)S(=O)
2NR
aR
b、-N(R
c)S(=O)
2R
a、又は-C(=O)NR
aR
bであり;並びに
式(II)のR
dは、(C
3-C
8)シクロアルキルであり、ここで(C
3-C
8)シクロアルキルは、D、F、Cl、OH、NH
2、(C
1-C
6)アルコキシ及び(C
1-C
6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3、又は4個の置換基により任意に置換されていてもよい。
【0100】
別の実施形態において、式(II)のQは、-N(R
c)C(=O)NR
aR
b、-N(R
c)C(=O)R
d、又は-C(=O)NR
aR
bである。
【0101】
別の実施形態において、式(II)のX、Y及びZの各々は、独立に、H、D、(C
1-C
4)アルキル又はフェニルであり、ここで(C
1-C
4)アルキル及びフェニルの各々は、D、F及びClから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により任意に置換されていてもよい。
【0102】
別の実施形態において、式(II)のR
a、R
b及びR
cの各々は、独立に、H、(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル又は-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリルであり、ここで(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
3-C
6)ヘテロシクリル、-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)シクロアルキル及び-(C
1-C
2)アルキレン-(C
3-C
6)ヘテロシクリルの各々は、D、F、Cl、CN、N
3、OH、NH
2、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)アルコキシ及び(C
1-C
6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3、又は4個の置換基により任意に置換されていてもよい。
【0103】
別の実施形態において、式(II)のX、Y及びZの各々は、独立に、H、D、Me、CH
2D、CHD
2、CD
3、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、又はD、F及びClから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により任意に置換されるフェニル基である。
【0104】
別の実施形態において、式(II)のQは、
【化7】
である。
【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された化合物、並びにそれらの薬学的に許容され得る塩及びその溶媒和物の非限定的例を、以下に示す:
表1
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0106】
本発明はまた、上で述べたものを含めた急性的又は慢性的な過剰増殖性疾患状態及び/又は血管新生介在性疾患状態のいずれかの治療のための医薬品の製造における、本明細書に開示された化合物、又は薬学的に許容され得るその塩の使用も含む。本明細書に開示された化合物は、抗癌医薬品の製造において有用である。本明細書に開示された化合物はまた、プロテインキナーゼの阻害を通して障害を減弱する又は予防するための医薬品の製造にも有用である。本発明は、式(I)又は(II)の化合物の治療有効量を、薬学的に許容され得る担体、アジュバント、又は希釈剤のうちの少なくとも1種と組み合わせて含有する医薬組成物を含む。
【0107】
本発明はまた、過剰増殖及び血管新生関連障害を、こうした障害を罹患する又はこうした障害に罹りやすい対象において治療する方法であって、式(I)又は(II)の化合物の治療有効量を用いて該対象を治療することを含む前記方法も含む。
【0108】
別段の記述のない限り、本明細書に開示された化合物の、すべての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、代謝産物、塩、及び薬学的に許容され得るプロドラッグは、本発明の範囲内にある。
【0109】
ある実施形態では、前記の塩は、薬学的に許容され得る塩である。語句「薬学的に許容され得る」とは、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分と、及び/又はこれを用いて治療される哺乳類と、化学的に及び/又は毒物学的に適合性がなければならないことを示す。
【0110】
本明細書に開示された化合物には、必ずしも薬学的に許容され得る塩である必要がなく、また、式(I)又は(II)の化合物を調製及び/もしくは精製するための並びに/又は式(I)又は(II)の化合物の鏡像異性体を分離するための中間体として有用であり得る該化合物の塩も含まれる。
【0111】
所望の塩は、例えば、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)での、又は有機酸(酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのピラノシジル酸、クエン酸もしくは酒石酸などのアルファヒドロキシ酸、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸もしくは桂皮酸などの芳香族酸、p-トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などのスルホン酸など)での遊離塩基の処理などの、当技術分野で利用可能な任意の適切な方法によって調製することができる。
【0112】
(本明細書に開示された化合物の組成物、製剤、及び投与)
一態様において、本発明は、式(I)又は(II)の化合物、表1に列挙した化合物;並びに、薬学的に許容され得る担体、アジュバント、又はビヒクルを含む医薬組成物を特徴とする。本明細書に開示された医薬組成物中の化合物の量は、生体試料において又は患者においてプロテインキナーゼを検出可能な程度に阻害するのに有効であるような量である。
【0113】
本明細書に開示されたある種の化合物は、治療のための遊離の形で、又は適切な場合には薬学的に許容され得るその誘導体として存在することができることも理解されるであろう。薬学的に許容され得る誘導体のいくつかの非限定的例は、薬学的に許容され得るプロドラッグ、塩、エステル、こうしたエステルの塩、あるいは、必要とされる患者に投与された場合に、本明細書に別に説明した通りの化合物又はその代謝産物又は残基を直接的又は間接的に提供することが可能な、任意の他の付加物又は誘導体が挙げられる。
【0114】
上に記述した通り、本明細書に開示された医薬組成物又は薬学的に許容され得る組成物は加えて、薬学的に許容され得る担体、アジュバント、又はビヒクルを含有し、これらとしては、本明細書で使用する場合、所望の特定の剤形に適した、任意のかつすべての溶媒、希釈剤、又は他の液体ビヒクル、分散又は懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤又は乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などが挙げられる。Remingtonの文献「調剤の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」(第21版、2005年、D.B.Troy編、Lippincott Williams & Wilkins社、Philadelphia)、及び「製剤工学百科事典(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology)」(J. Swarbrick及びJ.C.Boylan編、1988〜1999年、Marcel Dekker社、New York)(これらの各々の内容を参照により本明細書に組み込む)には、薬学的に許容され得る組成物を製剤化する際に使用される種々の担体、及びその調製のための公知の技術が開示されている。任意の従来の担体媒体が、 (例えば、何らかの望ましくない生物学的影響をもたらすことによって、又は薬学的に許容され得る組成物のいずれかの他の成分(1種又は複数)と有害な様式で相互作用することによって)本明細書に開示された化合物と適合しない場合を除いて、その使用は本発明の範囲内であることが意図される。
【0115】
薬学的に許容され得る担体として働くことができる材料のいくつかの例としては、限定はされないが、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、又はソルビン酸カリウムなど)、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、羊毛脂、糖(ラクトース、グルコース、及びスクロースなど);デンプン(トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなど);セルロース及びその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなど);トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤(カカオ脂及び坐剤用ワックスなど);油(ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油など);グリコール(プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなど);エステル(オレイン酸エチル及びラウリル酸エチルなど);寒天;緩衝剤(水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなど);アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張塩類溶液;リンゲル液;エチルアルコール、及びリン酸緩衝液が挙げられ、また、他の非毒性の適合性のある滑沢剤(ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなど)に加え、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤及び芳香剤、保存剤及び酸化防止剤も、製剤者の判断に従って、該組成物中に存在することができる。
【0116】
本明細書に開示された組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸内に、経鼻的に、口腔内に、膣内に、又は埋め込み型リザーバーを介して投与することができる。本明細書で使用する用語「非経口」には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、髄腔内、眼内、肝臓内、病巣内、及び頭蓋内注射又は注入技術が含まれる。好ましくは、該組成物は、経口的に、腹腔内に、又は静脈内に投与される。滅菌注射形の本明細書に開示された組成物は、水性又は油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用する当技術分野で公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中の(例えば、1,3-ブタンジオールの溶液としての)滅菌注射用溶液又は懸濁液であり得る。用いることができる許容し得るビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌した不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として、従来用いられている。
【0117】
この目的のために、合成のモノ又はジグリセリドを含めた、いかなる無刺激性の不揮発性油も用いることができる。特にポリオキシエチル化された形のオリーブ油又はヒマシ油などの薬学的に許容され得る天然の油がそうであるように、オレイン酸などの脂肪酸及びそのグリセリド誘導体は、注射可能物質の調製において有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、乳剤及び懸濁剤を含めた薬学的に許容され得る剤形の製剤において一般に使用される、カルボキシメチルセルロース又は同様の分散剤などの、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤も含むことができる。一般に使用される他の界面活性剤(Tween、Span、及び他の乳化剤など)、又は薬学的に許容され得る固体、液体、又は他の剤形の製造において一般に使用される生物学的利用能増強剤も、製剤の目的で使用することができる。
【0118】
本明細書に開示された薬学的に許容され得る組成物は、限定はされないが、カプセル剤、錠剤、水性の懸濁剤又は液剤を含めて、任意の経口的に許容し得る剤形で経口的に投与することができる。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体としては、ラクトース及びトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も、一般的に添加される。カプセル形での経口投与については、有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性の懸濁剤が、経口使用のために必要とされる場合、活性成分が、乳化剤及び懸濁化剤と合わせられる。所望される場合、ある種の甘味料、香味剤、又は着色剤も添加することができる。
【0119】
あるいは、本明細書に開示された薬学的に許容され得る組成物は、直腸内投与のための坐剤の形で投与することができる。これらは、薬剤を適切な非刺激性の賦形剤(これは、室温では固体であるが直腸温では液体であるので、直腸内で溶けて薬物を放出することとなる)と混合することによって調製することができる。こうした材料としては、カカオ脂、蜜蝋、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0120】
特に、治療の標的が、眼、皮膚、又は下位腸管の疾患を含めた、局所適用によって容易に到達可能な部位又は臓器を含む場合、本明細書に開示された薬学的に許容され得る組成物は、局所的に投与することができる。適切な局所用製剤は、これらの部位又は臓器の各々のために、容易に調製される。
【0121】
下位腸管のための局所適用は、直腸内坐剤剤形(上記参照)で、又は適切な浣腸剤形で行うことができる。局所的経皮貼付剤も使用することができる。局所適用については、薬学的に許容され得る該組成物は、1種以上の担体中に懸濁又は溶解させた活性成分を含有する適切な軟膏に製剤化することができる。本明細書に開示された化合物の局所投与用の担体としては、限定はされないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋、及び水が挙げられる。あるいは、薬学的に許容され得る該組成物は、薬学的に許容され得る1種以上の担体中に懸濁又は溶解させた活性成分を含有する適切なローション又はクリームに製剤化することができる。適切な担体としては、限定はされないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水が挙げられる。
【0122】
眼科使用については、薬学的に許容され得る該組成物は、例えば、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤を含む又は含まない、等張性のpH調整された滅菌塩類溶液もしくは他の水溶液中の微粒子化懸濁液として、又は好ましくは、等張性のpH調整された滅菌塩類溶液もしくは他の水溶液中の溶液として製剤化することができる。あるいは、眼科使用については、薬学的に許容され得る該組成物は、ワセリンなどの軟膏に製剤化することができる。本明細書に開示された薬学的に許容され得る組成物は、経鼻エアロゾル又は吸入によって投与することもできる。こうした組成物は、医薬製剤の技術分野で周知の技術に従って調製され、また、ベンジルアルコール又は他の適切な保存剤、生物学的利用能を向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/又は他の従来の可溶化剤又は分散剤を用いて、塩類溶液中の溶液として調製することができる。
【0123】
経口投与のための液体剤形としては、限定はされないが、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ、及びエリキシルが挙げられる。液体剤形は、活性化合物に加えて、当技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物など)を含有することができる。経口用組成物は、不活性な希釈剤に加えて、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤、甘味料、香味剤、及び芳香剤も含むことができる。
【0124】
注射用調製物、例えば、滅菌した注射可能な水性又は油性の懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って調製することができる。滅菌した注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中の、例えば、1,3-ブタンジオールの溶液としての、滅菌した注射用液剤、懸濁剤、又は乳剤であり得る。用いることができる許容し得るビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液(米国薬局方)、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌した不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として従来用いられている。この目的のために、合成のモノ又はジグリセリドを含めた、いかなる無刺激性の不揮発性油も用いることができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能物質の調製に使用される。
【0125】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、又は使用前に滅菌水もしくは他の滅菌した注射用媒体に溶解又は分散させることができる滅菌した固形状組成物の形の滅菌剤を導入することによって、滅菌することができる。本発明の化合物の効果を延長させるために、皮下又は筋肉内注射による化合物の吸収を遅延させることが、しばしば所望される。これは、水溶性が低い結晶性又は非結晶性材料の液体懸濁液の使用によって実現することができる。したがって、化合物の吸収の速度は、その溶解の速度に応じて決まり、ひいては結晶サイズ及び結晶形に応じて決まり得る。あるいは、化合物を油ビヒクルに溶解又は懸濁させることによって、非経口的に投与された化合物剤形の吸収遅延が実現される。
【0126】
注射用デポー剤形は、化合物をポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって製造される。ポリマーに対する化合物の割合及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、身体組織と適合性があるリポソーム又はマイクロエマルジョンに化合物を閉じこめることによって調製される。
【0127】
直腸内又は膣内投与用の組成物は、周囲温度では固体であるが体温では液体であるので、直腸又は膣腔内で溶けて活性な化合物を放出するような、適切な非刺激性の賦形剤又は担体(カカオ脂、ポリエチレングリコール、又は坐剤用ワックスなど)と、本明細書に開示された化合物を混合することによって調製することができる坐剤であることが好ましい。
【0128】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が挙げられる。こうした固体剤形では、活性な化合物は、以下と混合される:薬学的に許容され得る少なくとも1種の不活性な賦形剤又は担体(クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなど)、及び/又はa)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸など、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシアゴムなど、c)保湿剤、例えばグリセロールなど、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなど、e)溶解遅延剤、例えばパラフィンなど、f)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物など、g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなど、h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレーなど、並びにi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、並びにこれらの混合物。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、これらの剤形は、緩衝剤も含むことができる。
【0129】
同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトース又は乳糖に加え、高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、ソフト及びハード-充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング及び医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製することができる。これらは、不透明化剤を任意に含有することができ、また、任意に遅延方式で、腸管の、ある部分においてのみ又はそこで優先的に活性成分(1種又は複数)を放出するような組成物であることができる。使用することができる埋込組成物の例としては、高分子物質及びワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトース又は乳糖に加え、高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、ソフト及びハード-充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることができる。
【0130】
活性な化合物はまた、上で述べた通りの1種以上の賦形剤を用いてマイクロカプセル化された形であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製することができる。こうした固体剤形では、活性な化合物は、スクロース、ラクトース、又はデンプンなどの少なくとも1種の不活性な希釈剤と混合することができる。こうした剤形はまた、通常の実施においてそうであるように、不活性な希釈剤以外の追加の物質、例えば、打錠滑沢剤(tableting lubricant)及び他の打錠補助剤(ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースなど)を含有することができる。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、これらの剤形は、緩衝剤も含有することができる。これらは、不透明化剤を任意に含有することができ、また、任意に遅延方式で、腸管の、ある部分においてのみ又はそこで優先的に活性成分(1種又は複数)を放出するような組成物であってもよい。使用することができる埋込組成物の例としては、高分子物質及びワックスが挙げられる。
【0131】
本明細書に開示された化合物の局所又は経皮投与のための剤形としては、軟膏、泥膏、クリーム、ローション、ゲル、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤、又は貼付剤が挙げられる。活性な成分は、必要に応じて、薬学的に許容され得る担体及び任意の必要とされる保存剤又は緩衝液と、無菌条件下で混合される。眼用製剤、点耳剤、及び点眼剤も、本発明の範囲内であることが意図される。加えて、本発明は、身体への化合物の制御送達を提供するという追加的利点を有する経皮貼付剤の使用を意図する。こうした剤形は、化合物を適切な媒体に溶解又は分散させることによって製造することができる。皮膚を超えた化合物の流入を増大させるために、吸収増強剤も使用することができる。流入の速度は、速度制御膜を提供することによって、又は化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることによって制御することができる。
【0132】
本明細書に開示された化合物は、投与の簡易性及び投薬量の均一性のために、単位剤形に製剤化されることが好ましい。表現「単位剤形」とは、本明細書で使用する場合、治療されることとなる患者に適した、薬剤の物理的に不連続な単位をいう。しかし、本明細書に開示された化合物及び組成物の1日の総使用量は、正確な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることとなることが理解されよう。任意の特定の患者又は生物にとっての具体的な有効投与レベルは、以下を含めた様々な要因に応じて決まることとなる:治療される障害及びその障害の重症度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別、及び食事;用いられる具体的な化合物の投与時刻、投与経路、及び排泄速度;治療の期間;用いられる具体的な化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬物、並びに医療分野で周知の同様の因子。
【0133】
単一剤形の組成物を製造するために担体材料と組み合わせることができる本明細書に開示された化合物の量は、治療される宿主、個別の投与様式に応じて変わることとなる。好ましくは、該組成物は、これらの組成物を与えられる患者に、0.01〜200mg/体重(kg)/日の投薬量の阻害剤が投与可能であるように製剤化されるべきである。
【0134】
本明細書に開示された化合物は、単独の医薬品として、又は、1種以上の他の追加の治療用(医薬用)薬剤と組み合わせて(ここでは、この組み合わせは、許容し難い有害作用を引き起こさない)投与することができる。これは、癌などの過剰増殖性疾患の治療に特に関連することができる。この場合、本明細書に開示された化合物は、公知の細胞毒性物質、シグナル伝達阻害剤と、又は他の抗癌剤と、さらにはこれらの混合物及び組み合わせと組み合わせることができる。本明細書で使用する場合、ある特定の疾患又は状態を治療するために通常投与される追加の治療薬は、「治療される疾患又は状態にとって適切である」ことが公知である。本明細書で使用する場合、「追加の治療薬」には、化学療法薬及び他の抗増殖薬が含まれることが意図される。
【0135】
例えば、化学療法薬又は他の抗増殖薬を、本明細書に開示された化合物と組み合わせて、増殖性疾患又は癌を治療することができる。化学療法薬又は他の抗増殖薬の例としては、限定はされないが、SAHA、MS-275、MGO 103、及びWO 2006/010264、WO 03/024448、WO 2004/069823、US 2006/0058298、US 2005/0288282、WO 00/71703、WO 01/38322、WO 01/70675、WO 03/006652、WO 2004/035525、WO 2005/030705、WO 2005/092899に記載されているものを含めたHDAC阻害剤、並びに、限定はされないが、5-アザ-dC、ビダザ、及びデシタビン、及び、US 6,268,137、US 5,578,716、US 5,919,772、US 6,054,439、US 6,184,211、US 6,020,318、US 6,066,625、US 6,506,735、US 6,221,849、US 6,953,783、US 11/393,380に記載されているものを含めた脱メチル化剤が挙げられる。
【0136】
本発明の別の実施形態では、例えば、化学療法薬又は他の抗増殖薬を本明細書に開示された化合物と組み合わせて、増殖性疾患及び癌を治療することができる。公知の化学療法薬の例としては、限定はされないが、例えば、本発明の独創的な抗癌剤と組み合わせて使用することができる他の療法又は抗癌剤が挙げられ、また、手術、放射線治療(ほんの数例に過ぎないが、例を挙げると、γ線照射、中性子ビーム放射線治療、電子ビーム放射線治療、陽子線治療、密封小線源治療、及び全身用放射性同位体)、内分泌療法、タキサン(タキソール(登録商標)、タキソテールなど)、白金誘導体、生体応答修飾物質(数例を挙げると、インターフェロン、インターロイキン、及び腫瘍壊死因子(TNF)、TRAIL受容体ターゲティング剤)、温熱療法及び寒冷療法、任意の有害作用を減弱するための薬剤(例えば制吐薬)、並びに、限定はされないが、以下を含めた、他の認可された化学療法薬が挙げられる:アルキル化薬(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗剤(メトトレキサート、ペメトレキセドなど)、プリンアンタゴニスト及びピリミジンアンタゴニスト(6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル、シタラビル、ゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、細胞周期阻害剤(KSP有糸分裂キネシン阻害剤、CENP-E、及びCDK阻害剤)、酵素(アスパラギナーゼ)、及びホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、及びメゲストロール)、グリベック(登録商標)、アドリアマイシン、デキサメタゾン、及びシクロホスファミド;血管新生阻害剤(アバスチンなど);モノクローナル抗体(ベリムマブ(BENLYSTA(登録商標))、ブレンツキシマブ(アドセトリス(登録商標))、セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))、ゲムツズマブ(MYLOTARG(登録商標))、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、オファツムマブ(ARZERR(登録商標))、パニツムマブ(ベクチビックス(登録商標))、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、トシツモマブ(ベキサール(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)));キナーゼ阻害剤(イマチニブ(グリベック(登録商標))、スニチニブ(スーテント(登録商標))、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))、ダサチニブ(スプリセル(登録商標))、ニロチニブ(タシグナ(登録商標))、ラパチニブ(タイカーブ(登録商標))、クリゾチニブ(XALKORI(登録商標))、ルクソリチニブ(JAKAFI(登録商標))、ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標))、バンデタニブ(CAPRELSA(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(登録商標))、など);mTORなどの癌経路、HIF(低酸素症誘導因子)経路を阻害する又は活性化する薬剤(エベロリムス及びテムシロリムスなど)、及びその他。最新の癌療法の、より包括的な議論については、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、http://www.nci.nih.gov/、FDA認可の癌治療薬のリスト(http://www.fda.gov/cder/cancer/druglist-rame.htm)、及び「メルクマニュアル(The Merck Manual)」(第18版、2006年)を参照されたい。
【0137】
別の実施形態では、本明細書に開示された化合物は、細胞毒性抗癌剤と組み合わせることができる。こうした薬剤の例は、「メルクインデックス(the Merck Index)」の第13版(2011年)に認めることができる。これらの薬剤としては、限定はされないが、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エトポシド、5-フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビンデシンが挙げられる。
【0138】
本明細書に開示された化合物と共に使用するのに適した他の細胞毒性薬としては、限定はされないが、例えば、「グッドマン・ギルマン薬理書(Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics)」(第9版、1996年、McGraw-Hill社)中の化合物などの、腫瘍性疾患の治療に使用されることが認めらているような化合物が挙げられる。これらの薬剤としては、限定はされないが、アミノグルテチミド、L-アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5-アザシチジンクラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2',2'-ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロデオキシウリジン一リン酸、リン酸フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N-ホスホノアセチル-L-アスパラギン酸(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジン、及びビノレルビンが挙げられる。
【0139】
本明細書に開示された化合物と組み合わせて使用するのに適した他の細胞毒性抗癌剤としてはまた、オキサリプラチン、ゲムシタビン、カペシタビン、エポチロン及びその天然又は合成誘導体、テモゾロミド(Quinnらの論文、J.Clin.Oncology 2003、21(4)、646-651)、トシツモマブ(ベキサール(登録商標))、トラベクテジン(Vidalらの論文、Proceedings of the American Society for Clinical Oncology,2004,23(抄録3181))などの新たに発見された細胞毒性要素、並びに、キネシン紡錘体タンパク質Eg5の阻害剤(Woodらの論文、Curr. Opin. Pharmacol. 2001, 1, 370-377)も挙げられる。
【0140】
別の実施形態では、本明細書に開示された化合物は、他のシグナル伝達阻害剤と組み合わせることができる。こうした薬剤の例としては、限定はされないが、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))及びペルツズマブなどの抗体療法剤が挙げられる。こうした療法の例としてはまた、限定はされないが、イマチニブ(グリベック(登録商標))、スニチニブ(スーテント(登録商標))、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))、ダサチニブ(スプリセル(登録商標))、ニロチニブ(タシグナ(登録商標))、ラパチニブ(タイカーブ(登録商標))、クリゾチニブ(XALKORI(登録商標))、ルクソリチニブ(JAKAFI(登録商標))、ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標))、バンデタニブ(CAPRELSA(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(登録商標))、アファチニブ、アリセルチブ、アムバチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、ブリバニブ、カネルチニブ、カボザンチニブ、セジラニブ、クレノラニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダヌセルチブ、ドビチニブ、フォレチニブ、ガネテスピブ、イブルチニブ、イニパリブ、レンバチニブ、リニファニブ、リンシチニブ、マシチニブ、モメロチニブ、モテサニブ、ネラチニブ、ニラパリブ、オプロゾミブ、オラパリブ、ピクチリシブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、リゴセルチブ、ルカパリブ、サラカチニブ、サリデジブ、タンヅチニブ、タソシチニブ、テラチニブ、タイバンチニブ、チボザニブ、トファシチニブ、トラメチニブ、バタラニブ、ベリパリブ、ビスモデジブ、ボラセルチブ、BMS-540215、BMS777607、JNJ38877605、TKI258、GDC-0941(Folkesらの論文、J. Med. Chem. 2008、51、5522)、BZE235などの低分子キナーゼ阻害剤も挙げられる。
【0141】
別の実施形態では、本明細書に開示された化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤と組み合わせることができる。こうした薬剤の例としては、限定はされないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、LAQ-824(Ottmannらの論文、Proceedings of the American Society for Clinical Oncology 2004,23(抄録3024))、LBH-589(Beckらの論文、Proceedings of the American Society for Clinical Oncology 2004,23(抄録3025))、MS-275(Ryanらの論文、Proceedings of the American Association of Cancer Research 2004,45(抄録2452))、FR-901228(Piekarzらの論文、Proceedings of the American Society for Clinical Oncology 2004,23(抄録3028)、及びMGCDOl 03(米国特許第6,897,220号)が挙げられる。
【0142】
別の実施形態では、本明細書に開示された化合物は、プロテアソーム阻害剤及びm-TOR阻害剤などの他の抗癌剤と組み合わせることができる。これらの抗癌剤としては、限定はされないが、ボルテゾミブ、及びCCI-779(Wuらの論文、Proceedings of the American Association of Cancer Research 2004,45(抄録3849)が挙げられる。本明細書に開示された化合物は、限定はされないがカンプトテシンを含めた、トポイソメラーゼ阻害剤などの他の抗癌剤と組み合わせることができる。
【0143】
これらの追加の薬剤は、反復投与計画の一部として、該化合物を含有する組成物とは別に投与することができる。あるいは、これらの薬剤は、単一の組成物中に本明細書に開示された化合物と混合された単一剤形の一部であり得る。反復投与計画の一部として投与する場合、2種の活性な薬剤を、これらの薬剤の所望の活性がもたらされるように、同時に、連続的に、又は互いに一定の期間をあけて提供することができる。
【0144】
単一の剤形を製造するための担体材料と組み合わせることができる、(上述の追加の治療薬を含有する組成物中の)該化合物と追加の治療薬のどちらの量も、治療される宿主及び特定の投与様式に応じて変わることとなる。通常、本明細書に開示された組成物中に存在する追加の治療薬の量は、単独の活性な薬剤としてその治療薬を含む組成物中で通常投与される量を超えないであろう。好ましくは、ここで明らかにする組成物中の追加の治療薬の量は、単独の治療的に活性な薬剤として該薬剤を含有する組成物中に通常存在する量の、約50%から100%の範囲となる。追加の治療薬を含有する組成物では、追加の治療薬と本明細書に開示された化合物は、相乗的に作用することができる。
【0145】
(本明細書に開示された化合物及び組成物の使用)
本発明は、式(I)又は(II)の化合物又は表1に列挙した化合物と、薬学的に許容され得る担体、アジュバント、又はビヒクルとを含む医薬組成物を特徴とする。本明細書に開示された組成物中の化合物の量は、VEGFR、c-Met、Ron又はAxl阻害活性などの、プロテインキナーゼを検出可能な程度に阻害するのに有効であるような量である。本明細書に開示された化合物は、抗腫瘍剤としての治療法において、あるいはVEGFR、c-Met、Ron及び/又はAxl受容体シグナル伝達の悪影響を最小限にするために、有用である。
【0146】
本明細書に開示された化合物は、有効量の本明細書に開示された化合物又は組成物を患者に投与することにより、限定はされないが、患者における増殖性疾患、状態、又は障害の予防又は治療に有用であろう。こうした疾患、状態、又は障害としては、癌、特に転移性癌、アテローム性動脈硬化症、及び肺線維症が挙げられる。
【0147】
本明細書に開示された化合物は、限定はされないが、以下を含めた、癌及び転移を含めた腫瘍形成の治療に有用であろう:膀胱癌、乳癌、大腸癌、腎癌、肝癌、肺癌(小細胞肺癌を含めて)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、及び皮膚癌(扁平上皮癌を含めて)などの癌腫;リンパ系の造血系腫瘍(白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞性リンパ腫、及びバーキットリンパ腫を含めて);骨髄細胞系統の造血系腫瘍(急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、及び前骨髄球性白血病を含めて);間葉起源の腫瘍(線維肉腫及び横紋筋肉腫、並びに例えば軟組織及び骨などの他の肉腫を含めて);中枢神経及び末梢神経系の腫瘍(星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、及び神経鞘腫を含めて);並びに他の腫瘍(黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞癌、及びカポジ肉腫を含めて)。
【0148】
本明細書に開示された化合物はまた、眼科的状態、例えば角膜移植拒絶反応、眼内血管新生、網膜血管新生(損傷又は感染症後の血管新生を含めて)、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症、及び血管新生緑内障など;網膜虚血;硝子体出血;胃潰瘍などの潰瘍性疾患;病的であるが悪性でない状態、例えば血管腫(小児血管腫、鼻咽頭血管線維腫、及び無血管性骨壊死を含めて)など;並びに、子宮内膜症などの女性生殖系障害の治療にも有用であろう。該化合物はまた、浮腫、及び血管透過性亢進状態の治療にも有用である。
【0149】
本明細書に開示された化合物はまた、糖尿病性網膜症及び微小血管障害などの糖尿病性状態の治療にも有用である。本明細書に開示された化合物はまた、対象の腫瘍における血流の減少にも有用である。本明細書に開示された化合物はまた、対象における腫瘍の転移の減少にも有用である。
【0150】
本明細書に開示された化合物はまた、ヒト治療に有用であるのに加えて、伴侶動物、外来動物、及び家畜動物(哺乳類、げっ歯類などを含めて)の獣医学的治療にも有用である。より好ましい動物としては、ウマ、イヌ、及びネコが挙げられる。本明細書で使用する場合、本明細書に開示された化合物には、薬学的に許容され得るその誘導体も含まれる。
【0151】
化合物、塩などについて、複数形が使用される場合、これは、単独の化合物、塩なども意味するものと解釈される。
【0152】
本明細書に開示された化合物又は組成物を投与することを含む治療方法は、化学療法もしくは抗増殖薬、又は抗炎症剤から選択される追加の治療薬を患者に投与すること(併用療法)をさらに含むことができ、ここでは、追加の治療薬は、治療される疾患に適しており、かつ、該追加の治療薬は、単一剤形として、本明細書に開示された化合物又は組成物と一緒に、又は複数の剤形の一部として、該化合物又は組成物とは個別に、投与される。追加の治療薬は、本明細書に開示された化合物と同時に、又は別の時点で投与することができる。後者の場合、投与は例えば、6時間、12時間、1日、2日、3日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、又は2ヶ月、ずらすことができる。
【0153】
本発明はまた、VEGFR、c-Met、Ron又はAxlを発現する細胞の成長を阻害する方法であって、該細胞を、本明細書に開示された化合物又は組成物と接触させ、それによって、該細胞の成長の阻害を引き起こすことを含む前記方法を特徴とする。成長を阻害することができる細胞の例としては、以下が挙げられる:乳癌細胞、結腸直腸癌細胞、肺癌細胞、乳頭状癌細胞、前立腺癌細胞、リンパ腫細胞、大腸癌細胞、膵臓癌細胞、卵巣癌細胞、子宮頚癌細胞、中枢神経系癌細胞、骨原性肉腫細胞、腎癌細胞、肝細胞癌細胞、膀胱癌細胞、胃癌細胞、頭頸部扁平上皮癌細胞、黒色腫細胞、又は白血病細胞。
【0154】
本発明は、生体試料中のVEGFR、c-Met、Ron又はAxlキナーゼ活性を阻害する方法であって、該生体試料を本明細書に開示された化合物又は組成物と接触させることを含む前記方法を提供する。用語「生体試料」は、本明細書で使用する場合、生きている生物の外にある試料を意味し、限定はされないが、細胞培養物又はその抽出物;哺乳類から得られる生検材料又はその抽出物;及び、血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、又はその他の体液、あるいはそれらの抽出物が挙げられる。生体試料における、キナーゼ活性、特にVEGFR、c-Met、Ron又はAxlキナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の様々な目的のために有用である。こうした目的の例としては、限定はされないが、輸血、臓器移植、生物学的標本の保管、及び生物学的アッセイが挙げられる。
【0155】
本発明のある実施形態では、化合物、又は薬学的に許容され得る組成物の「有効量」又は「有効用量」は、前述の1以上の障害を治療する又は重症度を軽減するのに有効な量である。該化合物及び組成物は、本発明の方法に従って、障害又は疾患を治療する又は重症度を軽減するのに有効な任意の量及び任意の投与経路を使用して投与することができる。必要とされる正確な量は、対象の人種、年齢、及び全身状態、感染症の重症度、特定の薬剤、その投与様式などに応じて、対象ごとに変わることとなる。化合物又は組成物はまた、上述の通り、1種以上の他の治療薬と共に投与することもできる。
【0156】
本明細書に開示された化合物又はその医薬組成物はまた、人工器官、人工弁、血管移植片、ステント、及びカテーテルなどの移植可能な医療用具をコーティングするために使用することもできる。例えば、血管ステントは、再狭窄(損傷後の血管壁の再度の狭窄)を克服するために使用されている。しかし、ステント又は他の移植可能な用具を使用している患者は、血栓形成又は血小板活性化のリスクがある。本明細書に開示された化合物を含む、薬学的に許容され得る組成物で、用具を予めコーティングすることによって、これらの望ましくない影響を予防又は緩和することができる。
【0157】
適切なコーティング及びコーティングされた移植可能な用具の一般的調製は、米国特許第6,099,562号;第5,886,026号;及び第5,304,121号に記載されており、これらの各々の内容を参照により本明細書に組み込む。これらのコーティングは、典型的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、及びそれらの混合物などの、生体適合性のある高分子材料である。これらのコーティングは、該組成物に制御放出特性を与えるために、フルオロシリコーン、多糖、ポリエチレングリコール、リン脂質、又はそれらの組み合わせの適切なトップコートによって、任意に、さらに被覆することができる。本明細書に開示された化合物でコーティングされた移植可能な用具は、本発明の別の実施形態である。該化合物を、ビーズなどの移植可能な医療用具上にコーティングする、あるいはポリマー又は他の分子と共に製剤化して、「薬物デポー」を提供する(それによって、薬物を、その薬物の水溶液の投与よりも長い時間放出させることが可能になる)こともできる。
【0158】
(一般合成手順)
本発明を例示するために、以下の実施例が挙げられる。しかし、これらの実施例は、本発明を限定せず、かつ本発明を実施する方法を示唆することを意図するに過ぎないことを理解されたい。
【0159】
一般に、本発明における化合物は、本明細書に記述した方法によって調製することができ、ここでは、置換基は、さらに注記されている場合を除いて、上で式(I)又は(II)について定義した通りである。以下の非限定的なスキーム及び実施例は、本発明をさらに例証するために示す。当業者は、本明細書に記述した化学反応を、本明細書に開示された多くの他の化合物を調製するように容易に適合できること、また、本明細書に開示された化合物を調製するための代替方法は、本発明の範囲内であるとみなされることを理解するであろう。例えば、本発明に係わる例証されていない化合物の合成は、当業者に明らかな改変によって、例えば、妨害基を適切に保護することによって、記述した試薬以外の当技術分野で公知の他の適切な試薬を利用することによって、及び/又は反応条件の慣例的改変を行うことによって、成功裏に実施することができる。あるいは、本明細書に開示した又は当技術分野で公知である他の反応を、本明細書に開示された他の化合物を調製するために適用できるものと理解されるであろう。
【0160】
以下に記述する実施例では、別段の指示のない限り、温度はすべて、摂氏度で記載する。試薬は、Aldrich Chemical社、Arco Chemical社及びAlfa Chemical社、Shanghai Medpep社、Aladdin-Shanghai Jinchun Reagents社などの商業的供給元から購入し、別段の指示のない限り、さらなる精製を行わずに使用した。通常の溶媒は、Shantou XiLong Chemical Factory社、Guangdong Guanghua Reagent Chemical Factory社、Guangzhou Reagent Chemical Factory社、Tainjin YuYu Fine Chemical社、Qingdao Tenglong Reagent Chemical社、及びQingdao Ocean Chemical Factory社などの商業的供給元から購入した。
【0161】
無水THF、ジオキサン、トルエン、及びエーテルは、その溶媒をナトリウムと共に還流させることによって得た。無水CH
2Cl
2及びCHCl
3は、その溶媒をCaH
2と共に還流させることによって得た。EtOAc、PE、ヘキサン、DMA及びDMFは、使用前に無水Na
2SO
4で処理した。
【0162】
下に記載した反応は一般に、窒素又はアルゴンの陽圧下で、又は、無水溶媒中の乾燥チューブ(別段の記述のない限り)を用いて行い、かつ、反応フラスコには一般的に、シリンジを介して基質及び試薬を導入するするためのラバーセプタムを備え付けた。ガラス器具は、オーブン乾燥及び/又は熱乾燥させた。
【0163】
カラムクロマトグラフィーは、シリカゲルカラムを使用して実施した。シリカゲル(300〜400メッシュ)は、Qingdao Ocean Chemical Factory社から購入した。
1H NMRスペクトルは、Bruker 400 MHz分光計を用いて周囲温度で記録した。
1H NMRスペクトルは、参照標準としてTMS(0ppm)又はクロロホルム(7.25ppm)を使用して、CDCl
3、DMSO-d
6、CD
3OD、又はアセトン-d
6溶液(ppmで報告)として得た。ピーク多重度が報告される場合、次の省略語を使用する:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、m(多重線)、br(ブロード)、dd(二重の二重線)、dt(三重の二重線)。結合定数は、示される場合、ヘルツ(Hz)で報告する。
【0164】
低解像度質量スペクトル(MS)データは一般に、210/254nmでのUV検出及び低共鳴エレクトロスプレーモード(ESI)を用いて、Agilent 1200シリーズLCMS(Zorbax SB-C18、2.1×30mm、4ミクロン、10分運転、流速0.6mL/分、0.1%ギ酸(H
2O溶液)中0.1%ギ酸(CH
3CN溶液)の5%から95%溶液)上で求めた。
【0165】
化合物の純度は、210nm及び254nmでのUV検出を用いて、Agilent 1100シリーズ高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって評価した。カラムは通常、40℃で操作した。
【0166】
本明細書全体を通して、次の略語を使用する:
ATP アデノシン三リン酸
BINAP 2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル
BBr
3 三臭化ホウ素
BSA ウシ血清アルブミン
BOC、Boc ブチルオキシカルボニル
Ca(SO
3CF
3)
2 トリフルオロメチルスルホン酸カルシウム
Cs
2CO
3 炭酸セシウム
CH
2Cl
2、DCM 塩化メチレン
CHCl
3 クロロホルム
CDCl
3 重水素化クロロホルム
Cu 銅
CuI ヨウ化銅(I)
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
D
2 重水素ガス
DIBAL 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DIEA、DIPEA、iPr
2Net N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DEAD アゾジカルボン酸ジメチル
DMF ジメチルホルムアミド
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニルホスホリルアジド
DTT DL-ジチオスレイトール
EDC、EDCI 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
EDTA エチレンジアミン四酢酸
Et
3N、TEA トリエチルアミン
EtOAc、EA 酢酸エチル
Et
2O ジエチルエーテル
EtOH エタノール
FBS ウシ胎児血清
Fe 鉄
g グラム
h 時間
HATU 2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HBr 臭化水素酸
HCl 塩酸
HOAc 酢酸
HOAT 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
H
2 水素
H
2O 水
H
2O
2 過酸化水素
H
3PO
4 オルトリン酸
H
2SO
4 硫酸
HNO
3 硝酸
HCOOK ギ酸カリウム
LiHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)-アミド
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MBP ミエリン塩基性タンパク
MCPBA メタ-クロロ過安息香酸
MeCN、CH
3CN アセトニトリル
MgSO
4 硫酸マグネシウム
MeOH、CH
3OH メタノール
MeI ヨウ化メチル
MOPS 3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸
2-MeTHF 2-メチルテトラヒドロフラン
mL、ml ミリリットル
N
2 窒素
NMP N-メチルピロリジノン
NaHCO
3 炭酸水素ナトリウム
NaBH
4 水素化ホウ素ナトリウム
NaBH
3CN シアノ水素化ホウ素ナトリウム
NaOtBu ナトリウムtert-ブトキシド
NaOH 水酸化ナトリウム
NaClO
2 亜塩素酸ナトリウム
NaClO 次亜塩素酸ナトリウム
NaCl 塩化ナトリウム
NaH
2PO
4 リン酸水素ナトリウム(sodium biphosphate)
NaH 水素化ナトリウム
NaI ヨウ化ナトリウム
Na
2SO
4 硫酸ナトリウム
NH
3 アンモニア
NH
4Cl 塩化アンモニウム
Pd/C 炭素担持パラジウム
Pd
2(dba)
3 ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム
Pd(OAc)
2 酢酸パラジウム
Pd(OH)
2 水酸化パラジウム
Pd(PPh
3)
4 テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム
Pd(dppf)Cl
2 1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムクロリド
P(t-bu)
3 トリ(tert-ブチル)ホスフィン
PE 石油エーテル(60〜90℃)
PBS リン酸緩衝塩類溶液
POCl
3 オキシ塩化リン
PhI(OAc)
2 ヨードベンゼンジアセテート
K
2CO
3 炭酸カリウム
KOH 水酸化カリウム
RT rt r.t. 室温
Rt 保持時間
SOCl
2 塩化チオニル
t-BuOK カリウムt-ブトキシド(Potassium tert-butanolate)
TBTU O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロ母ラート
TBS トリス緩衝塩類溶液
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TEAC ビス(テトラ-エチルアンモニウム)カーボネート
Tris トリヒドロキシメチルアミノメタン
【0167】
本明細書に開示された化合物の調製のための代表的合成手順を、下記スキームにおいて概説する。別段指定しない限りは、X、Y、Z、W、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
dの各々は、式(I)又は(II)と結びつけて先に記された定義を有する。
(スキーム1)
【化8】
【0168】
本明細書に開示された化合物は、スキーム1に例示され、且つ実施例において詳述される一般的合成方法に従い調製することができる。スキーム1に関して、6-アミノピリジン-3-オール(1)は、最初に置換型ピラゾロン(2)と縮合され、化合物(3)を提供する。ピコリンアミド(4)の化合物(3)との、塩基性条件下(例えば、t-BuOK又はNaH)、高温で、DMFなどの極性溶媒中でのカップリングは、所望のアミド(5)をもたらす。このアミドの、PhI(OAc)
2又はNaClOなどの酸化剤の存在下での転位は、アミノピリジン(6)に繋がる。アミノピリジン(6)の塩化アシル(7)によるアシル化は、キナーゼ阻害剤(8)を生じた。
(スキーム2)
【化9】
【0169】
あるいは、本明細書に開示された化合物はまた、スキーム2に示された合成経路を用いて、調製することができる。スキーム2に関して、アリール化合物(9)(遊離OH基を持つ)は、置換型ピリジン(10)と、高温でカップリングされ、ジアリールエーテル(11)をもたらす。ジアリールエーテル(11)の置換型ピラゾロン(2)との縮合は、所望のキナーゼ阻害剤(12)に繋がる。
(スキーム3)
【化10】
【0170】
所望の阻害剤(12)及び(15)はまた、スキーム3に例示されたプロセスにより合成することができる。スキーム3に関して、アリール(9)(遊離OH基を持つ)の酸(2)による、EDCI又はHATUなどのカップリング試薬の存在下でのカップリングは、アミド化合物(13)を供した。化合物(13)の置換型ピリジン(10)との、DMAP、iPr
2Net、Et
3N、t-BuOK、NaH、又はCs
2CO
3などの塩基の存在下でのカップリングは、アミド化合物(12)を生じた。酸化剤PhI(OAc)
2又はNaClOの存在下でのアミド化合物(12)の転位は、アミノピリジン(14)に繋がり、これはさらに所望のキナーゼ阻害剤としての尿素型(15)へ変換される。
(実施例)
(実施例1 3-クロロ-4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピコリンアミド)
【化11】
工程1) N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【0171】
DCM(30mL)中の4-アミノフェノール(1.09g, 10mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(2.37g, 10.2mmol)の混合物に、EDCI(2.3g, 12mmol)及びHOAT(0.27g, 2mmol)を添加した。この混合物を、46℃で4時間攪拌し、次にrtまで冷却し、EtOAc(10mL)及び水(10mL)により希釈した。この混合物を、rtで1時間攪拌し、その後濾過し、表題化合物を白色固形物として得た(1.7g, 52.5%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 324.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.68 (s, 3H), 3.32 (s, 3H), 6.72 (d, J=8.8 Hz, 2H), 7.36-7.42 (m, 4H), 7.49 (t, J=7.4 Hz, 1H), 7.57 (t, J=7.6 Hz, 2H), 9.21 (s, 1H), 10.46 (s, 1H).
【0172】
工程2) 3,4-ジクロロピコリンアミド
ジエチルエーテル(50mL)中の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(6.2mL, 37.2mmol)の混合物へ、ヘキサン中のn-BuLi(2.5M, 23mL, 57.5mmol)を、0℃でシリンジにより15分間かけて添加した。この混合物を、0℃で0.5時間攪拌し、次に-78℃まで冷却した。この混合物へ、ジエチルエーテル(20mL)中の3,4-ジクロロピリジン(5.00g, 33.8mmol)の溶液を、シリンジにより15分間かけて添加した。この反応液を、-78℃で2時間攪拌し、次にイソシアナトトリメチルシラン(純度94%, 6.7mL, 50.7mmol)を添加した。この混合物をrtまで温め、さらに2時間攪拌し、水35mL中の酢酸(6.76g, 112.6mmol)によりクエンチした。この混合物をさらに一晩攪拌した。表題生成物を、一晩かけて、白色固形物として沈殿させ、これを濾過により収集した。更なる生成物を、濾液から回収した。こうして濾液を、酢酸エチル(50mL×3)により抽出し、一緒にした有機相を、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。この固形物を一緒にし、35mLのEt
2Oにより洗浄し、表題化合物を淡黄色固形物として得た(2.20g, 34.0%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 191.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 8.48 (d, J=5.2 Hz, 1H), 8.09 (br s, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.81 (d, J=5.2 Hz, 1H).
【0173】
工程3) 3-クロロ-4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピコリンアミド
マイクロウェーブ用バイアル内のDMSO(4mL)中のN-(4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(356mg, 1.1mmol)の混合物へ、NaH(88mg, 2.2mmol, 鉱油中60%分散された)をrtで添加した。この反応液を、rtで30分間攪拌し、次に3,4-ジクロロピコリンアミド(191mg, 1.0mmol)を添加した。この混合物を、160℃で2時間マイクロウェーブ処理し、その後rtまで冷却し、水(10mL)で希釈した。得られた混合物を酢酸エチル(30mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(30mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=50/1)により精製し、表題化合物を淡黄色固形物として得た(140mg, 29%)。
MS(ESI, pos. ion) m/z: 478.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.71 (s, 3H), 3.35 (s, 3H), 6.82 (d, J=5.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J=9.0 Hz, 2H), 7.44 (d, J=7.5 Hz, 2H), 7.53 (m, 1H), 7.59 (m, 2H), 7.74 (m, 3H), 8.02 (s, 1H), 8.33 (d, J=5.4 Hz, 1H), 10.84 (s, 1H).
【0174】
(実施例2 3-クロロ-4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド)
【化12】
工程1) 4-(4-アミノ-2-フルオロフェノキシ)-3-クロロピコリンアミド
DMF(5mL)中の4-アミノ-2-フルオロフェノール(254mg, 2.0mmol)の溶液へ、t-BuOK(359mg, 3.2mmol)を添加した。この混合物を、rtで30分間攪拌した。次に3,4-ジクロロピコリンアミド(420mg, 2.2mmol)を添加し、この混合物を、120℃で2時間マイクロウェーブ処理した。この混合物をrtまで冷却し、水25mLでクエンチした。得られた溶液を、EtOAc(30mL×3)により抽出し、一緒にした有機相をブライン(30mL×3)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=2/1)により精製し、表題化合物を淡黄色固形物として得た(306mg, 54.4%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 282.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 8.30 (d, J=5.6 Hz, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.03 (t, J=9.0 Hz, 1H), 6.72 (dd, J=0.8 Hz, 5.6 Hz, 1H), 6.53 (dd, J=2.4 Hz, 13.2 Hz, 1H), 6.44 (dd, J=1.8 Hz, 8.7 Hz, 1H), 5.55 (s, 2H).
【0175】
工程2) 3-クロロ-4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド
DCM(6mL)中の4-(4-アミノ-2-フルオロフェノキシ)-3-クロロピコリンアミド(306mg, 1.40mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(390mg, 1.68mmol)の懸濁液へ、EDCI(322mg, 1.68mmol)及びHOAT(38mg, 0.28mmol)を添加した。この混合物を、45℃で14.5時間攪拌し、その後rtまで冷却し、水5mLによりクエンチした。この混合物を、EtOAc(10mL×3)により抽出し、一緒にした有機相を、ブライン(10mL×3)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=1/4)により精製し、表題化合物を淡黄色固形物として得た(647mg, 93.2%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 496.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.98 (s, 1H), 8.33 (d, J=5.6 Hz, 1H), 8.06 (br s, 1H), 7.99 (dd, J=2.2 Hz, 13.2 Hz, 1H), 7.75 (br s, 1H), 7.60 (t, J=7.2 Hz, 2H), 7.52 (m, 1H), 7.45 (d, J=5.6 Hz, 2H), 7.35 (m, 2H), 6.84 (d, J=5.5 Hz, 1H), 3.37 (s, 3H), 2.71 (s, 3H).
【0176】
(実施例3 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2,3-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド)
【化13】
工程1) 1-(ベンジルオキシ)-2,3-ジフルオロ-4-ニトロベンゼン
DMF(10mL)中の2,4,5-トリフルオロニトロベンゼン(5.00g, 28.2mmol)及びベンジルアルコール(3.07g, 28.4mmol)の溶液へ、K
2CO
3(5.87g, 42.5mmol)を添加した。この反応液を、rtで72時間攪拌し、次に水(35mL)で希釈し、4℃で一晩さらに攪拌した。沈殿物を、濾過により収集し、水(20mL)で洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/20)により精製し、表題化合物を淡黄色固形物として得た(2.15g, 28.7%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 7.90 (m, 1H), 7.43 (s, 2H), 7.42 (s, 2H), 7.39 (m, 1H), 6.86 (m, 1H), 5.27 (s, 2H).
【0177】
工程2) 4-アミノ-2,3-ジフルオロフェノール
CH
3OH(45mL)及びTHF(9mL)中の1-(ベンジルオキシ)-2,3-ジフルオロ-4-ニトロベンゼン(1.93g, 0.73mmol)の懸濁液へ、Pd/C(333mg, Pd含量6%, 水含量53%〜55%)を添加した。この混合物を、H
2大気下で、32℃で13時間攪拌した。この混合物を、セライト(登録商標)パッドを通して濾過し、これをEtOAc 50mLで洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、CH
2Cl
2 30mLで洗浄し、表題化合物を暗褐色固形物として得た(0.89g, 84%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 146.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 6.49 (m, 1H), 6.38 (m, 1H), 4.71 (s, 2H).
【0178】
工程3) 4-(4-アミノ-2,3-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド
DMF(4mL)中の4-アミノ-2,3-ジフルオロフェノール(208mg, 1.43mmol)の溶液へ、t-BuOK(257mg, 2.29mmol)を添加した。この反応液を、rtで30分間攪拌し、次に4-クロロピコリンアミド(249mg, 1.59mmol)を添加した。この混合物を、120℃で3時間マイクロウェーブ処理し、次にrtまで冷却し、水25mLで希釈した。得られた混合物を、EtOAc(30mL×3)により抽出し、一緒にした有機相を、ブライン(30mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=1/2)により精製し、表題化合物をオレンジ色固形物として得た(110mg, 41.5%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 266.0 [M+H]
+, 283.2 [M+NH
4]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 8.42 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.84 (br s, 1H), 7.65 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.03 (m, 1H), 6.77 (m, 1H), 6.56 (m, 1H), 5.56 (br s, 1H), 3.08 (s, 2H).
【0179】
工程4) 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2,3-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド
DCM(4mL)中の4-(4-アミノ-2,3-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド(180mg, 0.68mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(161mg, 0.69mmol)の懸濁液へ、EDCI(157mg, 0.82mmol)及びHOAT(19mg, 0.14mmol)を添加した。この混合物を、45℃で12時間攪拌し、次にさらに1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(87mg, 0.37mmol)を添加し、この反応液を45℃で5時間さらに攪拌した。この混合物をrtまで冷却し、水5mLによりクエンチし、EtOAc(10mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(10mL×3)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc 100%)により精製し、表題化合物をオレンジ色固形物として得た(108mg, 33.2%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 480.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 11.20 (s, 1H), 8.55 (d, J=5.7 Hz, 1H), 8.34 (m, 1H), 8.16 (br s, 1H), 7.76 (br s, 1H), 7.64 (m, 3H), 7.59 (d, J=7.8 Hz, 1H), 7.46 (m, 3H), 7.28 (m, 1H), 3.38 (s, 3H), 2.71 (s, 3H).
【0180】
(実施例4 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2,5-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド)
【化14】
工程1) 1-(ベンジルオキシ)-2,5-ジフルオロ-4-ニトロベンゼン
DMF(20mL)中の2,4,5-トリフルオロニトロベンゼン(5.4g, 30.5mmol)及びベンジルアルコール(3.2mL, 30.5mmol)の溶液へ、K
2CO
3(6.33g,46.1mmol)を添加した。この反応液を、室温で72時間攪拌した。水(60mL)を、0℃で添加し、得られた混合物を、4℃で24時間さらに攪拌した。固形物を濾過により収集し、水30mLで洗浄し、真空中で45℃で乾燥し、表題化合物を淡黄色固形物として供した(6.0g, 74%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 5.22 (s, 2H), 6.85-6.89 (m, 1H), 7.40-7.43 (m, 5H), 7.89-7.94 (m, 1H).
【0181】
工程2) 4-アミノ-2,5-ジフルオロフェノール
CH
3OH(25mL)及びTHF(5mL)中の1-(ベンジルオキシ)-2,5-ジフルオロ-4-ニトロベンゼン(1.06g, 4mmol)の懸濁液へ、Pd/C(Pd含量50%, 185mg)を添加した。この反応液を、32℃で、H
2大気下で10時間攪拌した。この混合物を、セライト(登録商標)パッドを通して濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を、DCM(15mL)で洗浄し、表題化合物を暗褐色固形物として得た(500mg, 86%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 146.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 4.68 (s, 2H), 6.53-6.65 (m, 2H), 9.06 (br, 1H).
【0182】
工程3) 4-(4-アミノ-2,5-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド
DMF(2mL)中の4-アミノ-2,5-ジフルオロフェノール(100mg, 0.64mmol)、及び4-クロロピコリンアミド(110mg, 0.71mmol)の混合物へ、NaH(80mg, 1.3mmol, 鉱油中60%分散された)を添加した。この反応混合物を、120℃で1.5時間、マイクロウェーブ処理し、その後rtまで冷却し、水(20mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(80mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=4/1)により精製し、表題化合物を褐色固形物としてもたらした(52mg, 26%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 266.2 [M+H]
+.
【0183】
工程4) 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2,5-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド
DCM(10mL)中の4-(4-アミノ-2,5-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド(200mg, 0.76mmol)、及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(165mg, 0.75mmol)の溶液へ、EDCI(175mg, 0.93mmol)、及びHOAT(26mg, 0.15mmol)を添加した。この反応液を、45℃で16時間攪拌し、rtまで冷却し、EtOAc(20mL)で希釈した。固形物を濾過により収集し、45℃で一晩真空中で乾燥し、表題化合物を白色固形物として得た(230mg, 63.7%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 480.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 11.24 (s,1H), 8.53-8.57 (m, 2H), 8.15 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.53-7.59 (m, 4H), 7.44-7.45 (m, 3H), 7.24-7.25 (d, J=5.2 Hz, 1H), 3.43 (s, 3H), 2.70 (s, 3H).
【0184】
(実施例5 3-クロロ-4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2,5-ジフルオロフェノキシ)ピコリンアミド)
【化15】
DMF(5.0mL)中のN-(2,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(395mg, 1.1mmol)の溶液へ、t-BuOK(202mg, 1.8mmol)を添加し、この混合物をrtで30分間攪拌した。その後3,4-ジクロロピコリンアミド(190mg, 1.0mmol)を添加し、この混合物を、120℃で2時間マイクロウェーブ処理し、その後rtまで冷却し、水(30mL)でクエンチし、EtOAc(50mL×3)で抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(50mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM(v/v)=1/30)により精製し、表題化合物を淡黄色固形物として得た(310mg, 60%)。
MS(ESI, pos. ion) m/z: 514.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.70 (s, 3H), 3.38 (s, 3H), 6.96 (d, J=5.5 Hz, 1H), 7.45 (d, J=7.0 Hz, 2H), 7.51-7.55 (m, 1H), 7.58-7.66 (m, 3H), 7.75 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 8.34 (d, J=5.5 Hz, 1H), 8.53-8.58 (m,1H), 11.25 (s,1H).
【0185】
(実施例6 4-(3-クロロ-4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピコリンアミド)
【化16】
工程1) 4-(4-アミノ-3-クロロフェノキシ)ピコリンアミド
DMSO(4mL)中の4-アミノ-2-クロロフェノール塩酸塩(446mg, 2.4mmol)の混合物へ、NaH(280mg, 7.0mmol, 鉱油中60%分散された)を添加した。この反応液を、rtで30分間攪拌し、引き続き4-クロロピコリンアミド(345mg, 2.2mmol)を添加した。この反応液を、160℃で2時間、マイクロウェーブ処理し、その後rtまで冷却し、水(20mL)で希釈した。得られた混合物を、酢酸エチル(20mL×3)により抽出し、一緒にした有機相をブライン(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=1/1)により精製し、表題化合物をオレンジ色固形物として得た(170mg, 29%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 264.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 5.45 (s, 2H), 6.89 (d, J=8.7 Hz, 1H), 6.92 (m, 1H), 7.11 (m, 1H), 7.16 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.34 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.68 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 8.47 (d, J=5.6 Hz, 1H).
【0186】
工程2) 4-(3-クロロ-4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピコリンアミド
DCM(10mL)中の4-(4-アミノ-3-クロロフェノキシ)ピコリンアミド(191mg, 0.72mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(168mg, 0.72mmol)の懸濁液へ、EDCI(166mg, 0.86mmol)及びHOAT(20mg, 0.14mmol)を添加した。この反応液を、46℃で6時間攪拌し、引き続き1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(32mg, 0.14mmol)及びEDCI(27mg, 0.14mmol)を添加した。この混合物を、46℃で13時間さらに攪拌し、その後rtまで冷却し、水(10mL)で希釈した。得られた混合物を、酢酸エチル(10mL×3)により抽出し、一緒にした有機相を、ブライン(10mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=50/1)により精製し、表題化合物を淡黄色固形物として得た(160mg, 46.5%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 478.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.71 (s, 3H), 3.37 (s, 3H), 7.19 (m, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.43 (m, 3H), 7.50 (m, 2H), 7.60 (m, 2H), 7.72 (s, 1H), 8.13 (s,1H), 8.52 (d, J=5.6 Hz, 1H), 8.63 (d, J=9.1 Hz, 1H), 11.19 (s, 1H).
【0187】
(実施例7 4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド)
【化17】
工程1) 4-((6-アミノピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド
DMF(2.5mL)中の6-アミノピリジン-3-オール(220mg, 2mmol)及びt-BuOK(225mg, 2.16mmol)の混合物へ、4-クロロピコリンアミド(315mg, 2mmol)を添加した。この反応液を、80℃で5時間加熱し、その後rtまで冷却し、EtOAc(50mL)及びH
2O(50mL)で希釈した。有機相を、真空中で濃縮し、且つ残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/CH
3OH(v/v)=30/1)により精製し、表題化合物を褐色固形物として得た(230mg, 50%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 231.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 6.09 (s, 2H), 6.53-6.56 (d, J=8.88 Hz, 1H), 7.12-7.14 (dd, J=2.64 Hz, 5.6 Hz, 1H), 7.31-7.34 (dd, J=2.92 Hz, 8.88 Hz, 1H), 7.35-7.36 (d, J=2.48 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.83-7.84 (d, J=2.8 Hz, 1H), 8.11 (s, 1H), 8.46-8.49 (d, J=5.6 Hz, 1H).
【0188】
工程2) 4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド
DCM(5mL)中の4-((6-アミノピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド(230mg, 1mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(237mg, 1.02mmol)の懸濁液へ、EDCI(230mg, 1.2mmol)及びHOAT(27mg, 0.2mmol)を添加した。この反応液を、45℃で28時間攪拌し、次にrtまで冷却し、水(10mL)及びDCM(20mL)で希釈した。有機相を、真空中で濃縮し、且つ残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/CH
3OH(v/v)=40/1)により精製し、表題化合物を明灰色固形物として得た(111mg, 25%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 445.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.72 (s, 3H), 3.33 (s, 3H), 7.20-7.22 (dd, J=2.64 Hz, 5.64 Hz, 1H), 7.43-7.46 (m, 3H), 7.52-7.54 (m, 1H), 7.58-7.62 (m, 2H), 7.72 (s, 1H), 7.75-7.78 (dd, J=2.88 Hz, 8.96 Hz, 1H), 8.13 (s, 1H), 8.27-8.28 (d, J=2.68 Hz, 1H), 8.34-8.36 (d, J=9.08 Hz, 1H), 8.52-8.54 (d, J=5.6 Hz, 1H), 11.26 (s, 1H).
【0189】
(実施例8 N-(5-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化18】
工程1) N-(5-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
EtOAc(2mL)、CH
3CN(2mL)及びH
2O(1mL)中の4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド(111mg, 0.25mmol)の溶液へ、PhI(OAc)
2(97mg, 0.3mmol)を添加した。この反応液を、0℃で30分間攪拌し、その後rtまで温め、12時間さらに攪拌した。この混合物を、真空中で濃縮し、且つ残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/CH
3OH(v/v)=40/1)により精製し、表題化合物を明ベージュ色固形物として得た(85mg, 81.7%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 417.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.71 (s, 3H), 3.38 (s, 3H), 5.83 (s, 1H), 5.98 (s, 2H), 6.17 (s, 1H), 7.08-7.10 (m, 2H), 7.42-7.81 (m, 6H), 7.80-7.81 (d, J=5.8 Hz, 1H), 8.17 (s, 1H), 8.29-8.31 (d, J=8.56 Hz, 1H), 11.19 (s, 1H).
【0190】
工程2) N-(5-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DCM(5mL)及びトリエチルアミン(1mL)中のN-(5-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(500mg, 1.2mmol)の懸濁液へ、シクロプロパンカルボニルクロリド(377mg, 3.6mmol)を0℃でゆっくり添加した。この混合物をrtまで温め、4.5時間攪拌し、その後DCM(10mL)及び水(10mL)で希釈した。有機相を分離し、真空中で濃縮した。残渣を、MeOH(30mL)、飽和Na
2CO
3溶液(30mL)中に溶解した。得られた混合物を、rtで2時間攪拌し、その後濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=50/1)により精製し、表題化合物を帯黄白色固形物として得た(350mg, 60%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 485.3 [M+H]
+;
HPLC: 99.7%;
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 11.25 (s, 1H), 9.42 (s, 1H), 8.37 (t, J=12.0 Hz, 1H), 8.17 (t, J=7.5 Hz, 1 H), 8.10 (t, J=9.8 Hz, 1 H), 7.93 (d, J=2.1 Hz, 1 H), 7.60-7.51 (m, 2 H), 7.51-7.42 (m, 2 H), 7.41-7.36 (m, 2 H), 6.64 (dd, J=6.1 Hz, 2.4 Hz, 1 H), 5.32 (s, 1 H), 3.39 (s, 3 H), 2.81 (s, 3 H), 1.14-1.05 (m, 2 H), 0.97-0.88 (m, 2 H).
【0191】
(実施例9 3-クロロ-4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド)
【化19】
工程1) N-(5-ヒドロキシピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DMF(10mL)中の6-アミノピリジン-3-オール(330mg, 3mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(710mg, 306mmol)の懸濁液へ、EDCI(690mg, 3.6mmol)及びHOAT(80mg, 0.6mmol)を添加した。この反応液を、60℃で4時間攪拌し、その後rtまで冷却し、水(100mL)及びEtOAc(2mL)で希釈した。この混合物を、0℃まで冷却し、一晩攪拌した。得られた固形物を、濾過により収集し、表題化合物を明褐色固形物として得た(680mg, 70%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 325.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.50 (s, 3H), 3.33 (s, 3H), 7.18-7.20 (dd, J=2.3 Hz, 8.8 Hz, 1H), 7.40-7.42 (d, J=7.5 Hz, 2H), 7.48-7.52 (m, 1H), 7.56-7.60 (m, 2H), 7.81-7.82 (d, J=2.2 Hz, 1H), 7.95 (s, 1H), 8.04-8.06 (d, J=8.8 Hz, 1H), 9.61 (s, 1H), 10.85 (s, 1H).
【0192】
工程2) 3-クロロ-4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド
DMF(2mL)中の6-アミノピリジン-3-オール(324mg, 1mmol)及びt-BuOK(135mg, 1.2mmol)の混合物へ、3,4-ジクロロピコリンアミド(191mg, 1mmol)を添加した。この反応液を、80℃で15時間加熱し、その後rtまで冷却し、EtOAc(1mL)及びH
2O(20mL)で希釈した。この混合物を一晩攪拌し、得られた固形物を濾過により収集し、表題化合物を褐色固形物として得た(290mg, 60.5%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 479.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 2.72 (s, 3H), 3.35 (s, 3H), 6.91-6.92 (d, J=5.5 Hz, 1H), 6.09 (s, 2H), 7.43-7.45 (m, 2H), 7.50-7.54 (m, 1H), 7.58-7.62 (m, 2H), 7.73- 7.76 (m, 2H), 8.03 (s, 1H), 8.26-8.27 (d, J=2.7 Hz, 1H), 8.33-8.36 (m, 2H), 11.26 (s, 1H).
【0193】
(実施例10 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド)
【化20】
工程1) N-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DCM(60mL)中の4-アミノ-2-フルオロフェノール(2.54g, 20mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(4.74g, 20.4mmol)の懸濁液へ、EDCI(4.6g, 24mmol)及びHOAT(0.54g, 4mmol)を添加した。この反応液を、45℃で12時間攪拌し、その後rtまで冷却し、H
2O(10mL)でクエンチし、さらに4時間攪拌した。固形物を濾過により入手し、DCM(20mL×3)により洗浄し、その後60℃、真空中で12時間乾燥させ、表題化合物を淡黄色固形物として得た(6.37g, 93.4%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 342.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.59 (s, 1H), 9.58 (s, 1H), 7.64 (dd, J=2.4 Hz, 13.5 Hz, 1H), 7.60 (m, 2H), 7.50 (m, 1H), 7.42 (m, 2H), 6.97 (m, 1H), 6.88 (dd, J=9.6 Hz, 8.8 Hz, 1H), 3.34 (s, 3H), 2.70 (s, 3H).
【0194】
工程2) 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド
DMSO(12mL)中のN-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(2.2g, 6.4mmol)、4-クロロピコリンアミド(1g, 6.39mmol)の懸濁液へ、NaH(615mg, 12.3mmol, 鉱油中50%分散された)を添加した。この反応液を、160℃で20時間攪拌し、その後rtまで冷却し、H
2O(70mL)で希釈した。この混合物を、EtOAc(100mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=1/4)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(0.85g, 29%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 462.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.87 (s, 1H), 8.40-8.41 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.88-7.92 (dd, J=2.4 Hz, 12.6 Hz, 1H), 7.82-7.83 (d, J=3.9 Hz, 1H), 7.71-7.71 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.54-7.58 (m, 2H), 7.46-7.49 (m, 1H), 7.35-7.37 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.07-7.11 (m, 1H), 6.96-6.98 (dd, J=2.5 Hz, 5.6 Hz, 1H), 5.56 (s, 1H), 3.37 (s, 3H), 2.79 (s, 3H).
【0195】
(実施例11 N-(4-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化21】
工程1) N-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3- ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
EtOAc(8mL)、MeCN(8mL)及びH
2O(4mL)の混合液中の4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド(0.4g, 0.86mmol)及びPhI(OAc)
2(419mg, 1.5mmol)の溶液を、0℃まで冷却し、30分間攪拌した。この反応液をつぎに、rtまで温め、さらに8時間攪拌した。この混合物を、NaHCO
3(水性、60mL)で希釈し、EtOAc(100mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=10/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(0.21g, 56%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 434.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.83 (s, 1H), 7.91-7.92 (d, J=5.9 Hz, 1H), 7.83-7.86 (dd, J=2.4 Hz, 10.1 Hz, 1H), 7.56-7.58 (m, 2H), 7.46-7.52 (d, J=5.9 Hz, 2H), 7.35-7.37 (d, J=8.6 Hz, 2H), 7.04-7.09 (m, 1H), 6.29-6.31 (m, 1H), 5.92-5.93 (d, J=2.1 Hz, 1H), 4.45 (s, 2H), 3.37 (s, 3H), 2.79 (s, 3H).
【0196】
工程2) N-(4-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DCM(5mL)中のN-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(217mg, 0.5mmol)の溶液へ、Et
3N(253mg, 2.5mmol)及びシクロプロパンカルボニルクロリド(125mg, 1.2mmol)を0℃で添加した。この反応混合物を、rtで4時間攪拌し、H
2O(10mL)によりクエンチし、DCM(50mL×3)で抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(50mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、CH
3OH(20mL)、H
2O (1mL)中のNa
2CO
3(106mg, 1.0mmol)の溶液中に溶解した。得られた混合物を、rtで1時間攪拌し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(純粋なDCM)で精製し、表題化合物をベージュ色固形物として得た(158mg, 63.2%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 502.3 [M+H]
+;
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.93 (s, 1H), 10.73 (s, 1H), 8.03 (d, J=6.0 Hz, 2H), 7.96 (dd, J=12.5 Hz, 2.3 Hz, 1H), 7.59 (t, J=7.8 Hz, 2H), 7.51 (d, J=7.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J=7.4 Hz, 2H), 7.30 (d, J=9.2 Hz, 1H), 7.12 (t, J=8.7 Hz, 1H), 6.74 (dd, J=6.3 Hz, 1.9 Hz, 1H), 3.40 (s, 3H), 2.81 (s, 3H), 1.79 (m, 1H), 1.12 (m, 2H), 0.97 (m, 2H).
【0197】
(実施例12 4-(5-クロロ-4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド)
【化22】
工程1) 1-クロロ-4,5-ジフルオロ-2-ニトロベンゼン
フラスコへ、4-クロロ-1,2-ジフルオロベンゼン (8.97g, 60.4mmol)を添加し、引き続き98%の濃H
2SO
4(16.1mL, 302mmol)及び65%の濃HNO
3(5.0mL, 66.4mmol)を、0℃で添加した。この混合物を、rtで5時間攪拌し、次に氷水(500mL)へ注いだ。得られた混合物を、酢酸エチル(200mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、飽和NaHCO
3水溶液(200mL×2)及びブライン(200mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮し、表題化合物を黄色液体として得た(11.31g, 96.7%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 7.41-7.45 (m, 1H), 7.86-7.90 (m, 1H).
【0198】
工程2) カリウム5-クロロ-2-フルオロ-4-ニトロフェノラート
1-クロロ-4,5-ジフルオロ-2-ニトロベンゼン(5.12g, 26.5mmol)及び15%KOH水溶液(19.9g)の混合液を、還流温度で3時間攪拌し、次にrtまで冷却し、濾過し、表題化合物を黄色晶質物として得た(5.67g, 93.3%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 6.20 (d, J=13.2 Hz, 1H), 7.70 (d, J=8.6 Hz, 1H).
【0199】
工程3) 4-アミノ-5-クロロ-2-フルオロフェノール
95%EtOH(22mL)及びH
2O(8mL)中のカリウム5-クロロ-2-フルオロ-4-ニトロフェノラート(1.0g, 4.35mmol, Yuxiang)の溶液へ、Fe(0.97g, 17.4mmol)及びNH
4Cl (1.86g, 34.8mmol)を添加した。この混合物を、rtで10時間攪拌し、次にメタノール(100mL)及び酢酸エチル(100mL)で希釈した。濾過し、この濾液を真空中で濃縮した。残渣を、水(50mL)及び酢酸エチル(50mL)に溶解した。有機相を分離し、水相を、酢酸エチル(50mL×2)により抽出した。一緒にした有機層を、ブライン(50mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮し、表題化合物を淡色固形物として得た(0.6g, 85.3%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 4.90 (s, 2H), 6.60 (d, J=12.9 Hz, 1H), 6.79 (d, J=8.8 Hz, 1H), 9.11 (s, 1H).
【0200】
工程4) N-(2-クロロ-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DMF(20mL)中の4-アミノ-5-クロロ-2-フルオロフェノール(0.97g, 6mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(1.42g, 6.12mmol)の懸濁液へ、EDCI(0.38mg, 7.2mmol)及びHOAT(0.16g, 1.2mmol)を添加した。この混合液を、80℃まで温め、24時間攪拌させた。次にH
2O(200mL)及びEtOAc(2mL)を添加した。得られた混合物を、0℃で2時間攪拌し、その後濾過し、表題化合物を明褐色固形物として得た(1.2g, 53.2%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 376.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.68 (s, 3H), 3.34 (s, 3H), 7.02-7.04 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.41-7.43 (m, 2H), 7.48-7.52 (m, 1H), 7.56-7.60 (m, 2H), 829-8.33 (d, J=13.8 Hz, 1H), 10.08 (s, 1H), 10.95 (s, 1H).
【0201】
工程5) 4-(5-クロロ-4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド
DMF(4mL)中のN-(2-クロロ-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(751.6mg, 2mmol)及びt-BuOK(224.4mg, 2mmol)の懸濁液へ、4-クロロピコリンアミド(313.2mg, 2mmol)を添加した。この反応液を、120℃まで温め、15時間攪拌した。混合物をrtまで冷却した後、H
2O(40mL)を添加し、得られた混合物をrtで一晩攪拌した。濾過し、そのフィルターケーキを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/CH
3OH(v/v)=50/1)により精製し、表題化合物を明黄色固形物として得た(290mg, 60.5%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 496.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 11.37 (s, 1H), 8.69-8.66 (d, J=13.4 Hz, 1H), 8.55-8.54 (d, J=5.6 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.78-7.75 (m, 2H), 7.62-7.58 (m, 2H), 7.55-7.51 (m, 1H), 7.46-7.43 (m, 3H), 7.26-7.24 (dd, J=5.6 Hz, 2.6 Hz, 1H), 3.38 (s, 3H), 2.72 (s, 3H).
【0202】
(実施例13 4-(2-クロロ-4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピコリンアミド)
【化23】
工程1) N-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DCM(70mL)中の4-アミノ-2-クロロフェノール(4.0g, 28.00mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(7.4g, 30.11mmol)の懸濁液へ、EDCI(6.65g, 30.11mmol)及びHOAT(0.76g, 5.68mmol)を添加した。この混合物を、45℃で20時間攪拌し、その後rtまで冷却し、濾過した。フィルターケーキを、DCM(20mL×3)で洗浄し、真空炉中において50℃で一晩乾燥させ、表題生成物を灰色固形物として得た(7.1g, 72.1%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 358.1 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.56 (s, 1H), 9.92 (s, 1H), 7.59 (m, 2H), 7.50 (m, 1H), 7.42 (m, 2H), 7.83 (dd, J=2.6 Hz, 8.7 Hz, 1H), 6.90 (d, J=8.7 Hz, 1H), 6.88 (dd, J=9.6 Hz, 8.8 Hz, 1H), 3.33 (s, 3H), 2.68 (s, 3H).
【0203】
工程2) 4-(2-クロロ-4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピコリンアミド
DMF(12mL)中のN-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(1.074g, 3.0mmol)の懸濁液へ、t-BuOK(539mg, 4.8mmol)を添加した。この混合物を、rtで30分間攪拌し、その後4-クロロピコリンアミド(517mg, 3.3mmol)を添加した。この混合物を、120℃で36時間攪拌し、その後rtまで冷却し、水50mLでクエンチし、EtOAc (50mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(50mL×3)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/PE(v/v)=3/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(580mg, 40.4%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 478.0 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.95 (s, 1H), 8.53 (d, J=5.6 Hz, 1H), 8.16 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.13 (br s, 1H), 7.72 (br s, 1H), 7.60 (m, 2H), 7.51 (m, 2H), 7.44 (d, J=7.3 Hz, 2H), 7.38 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.32 (d, J=2.6 Hz, 1H), 7.17 (dd, J=2.6 Hz, 5.6 Hz, 1H), 3.16 (d, J=5.2 Hz, 3H), 2.70 (s, 3H).
【0204】
(実施例14 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-3-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド)
【化24】
工程1) 4-アミノ-3-フルオロフェノール
THF/H
2O(70mL/20mL)中の3-フルオロ-4-ニトロフェノール(2.0g, 12.73mmol)、10%Pd/C(0.4g)及びHCOOK(8.75g, 101.85mmol)の懸濁液を、50℃で5時間攪拌し、その後rtまで冷却し、セライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を、水(30mL)で希釈し、THF(50mL)により抽出した。有機層を、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、水(50mL)で希釈し、DCM(50mL)により抽出した。有機層を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮し、表題化合物を褐色固形物として得た(1.17g, 72.3%)。
MS (ESI, pos, ion) m/z: 128.1 [M+H]
+,
Rt=0.204分。
【0205】
工程2) N-(2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
CH
2Cl
2(20mL)中の4-アミノ-3-フルオロフェノール(1.0g, 7.87mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(2.19g, 9.44mmol)の懸濁液へ、EDCI(3.02g, 15.7mmol)及びHOAT(0.21g, 1.57mmol)を添加した。この反応混合液を、20時間還流し、その後rtまで冷却した。水(10mL)を添加し、この混合液をrtで一晩攪拌し、その後濾過し、フィルターケーキを水(5mL)で洗浄し、引き続きシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2/MeOH(v/v)=70/1)により精製し、表題化合物をベージュがかった白色固形物として得た(1.25g, 46.6%)。
MS (ESI, pos, ion) m/z: 342.1 [M+H]
+,
Rt=2.712分。
【0206】
工程3) 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-3-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド
N-(2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(300mg, 0.879mmol)及びt-BuOK (118mg, 1.05mmol)の混合物へ、DMF(2.5mL)を添加した。得られた混合物を、rtで30分間攪拌し、その後4-クロロピコリンアミド(165mg, 1.05mmol)を添加した。この混合物を、120℃で5時間加熱し、その後rtまで冷却し、H
2O(50mL)及びEtOAc(2mL)を添加した。得られた混合液を、rtで一晩攪拌した。濾過し、沈殿物を水(5mL)で洗浄し、表題化合物を暗褐色固形物として得た(370mg, 91.2%)。
MS (ESI, pos, ion) m/z: 462.2 [M+H]
+,
Rt=3.012分。
【0207】
(実施例15 3-クロロ-4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-3-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド)
【化25】
DMF(3mL)中のN-(2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(300mg, 0.879mmol)及びt-BuOK(118mg, 1.05mmol)の混合物を、rtで30分間攪拌し、その後3,4-ジクロロピコリンアミド(201mg, 1.05mmol)を添加した。この反応混合物を、120℃まで加熱し、12時間攪拌した。EtOAc(1mL)及びH
2O(20mL)を添加し、得られた混合物をrtで一晩攪拌した。濾過し、表題化合物を褐色固形物として得た(379mg, 87.0%)。
MS (ESI, pos, ion) m/z: 496.0 [M+H]
+,
Rt=2.642分。
【0208】
(実施例16 N-(4-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化26】
工程1) 4-アミノフェノール
THF(210mL)及びH
2O(70mL)中の4-ニトロフェノール(7g, 50.3mmol)及びHCOOK (1.8g, 21.48mmol)の混合物へ、Pd/C(110mg, Pd含量10%, 水含量53%〜55%)を添加した。この反応液を、50℃で24時間攪拌し、その後真空中で濃縮した。残渣を、DCM(100mL)で希釈し、セライト(登録商標)パッドを通して濾過した。濾液を真空中で濃縮し、表題化合物を淡オレンジ色固形物として得た(3.28g, 60%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 110.1 [M+H]
+.
【0209】
工程2) 4-(4-アミノフェノキシ)ピリジン-2-アミン
DMSO(2.5mL)中の4-アミノフェノール(218mg, 2mmol)及び4-クロロピリジン-2-アミン(256mg, 2mmol)の混合物へ、NaOCH
3(216mg, 4mmol)を添加した。この反応液を、180℃で40分間マイクロウェーブ処理し、その後rtまで冷却し、水(10mL)によりクエンチした。この混合物を、EtOAc(10mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/CH
3OH(v/v)=30/1)により精製し、表題化合物を褐色固形物として得た(103mg, 26%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 202.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 3.65 (s, 2H), 4.37 (s, 1H), 5.89-5.90 (d, J=2.04 Hz, 1H), 6.25-6.27 (dd, J=2.08 Hz, 5.88 Hz, 1H), 6.68-6.71 (m, 2H), 6.86-6.89 (m, 2H), 7.88-7.89 (d, J=5.88 Hz, 1H).
【0210】
工程3) N-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DCM(5mL)中の4-(4-アミノフェノキシ)ピリジン-2-アミン(101mg, 0.5mmol)及び1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(118mg, 0.51mmol)の混合物へ、EDCI(115mg, 0.6mmol)及びHOAT(13.6mg, 0.1mmol)を添加した。この反応液を、45℃で3時間攪拌し、その後水(20mL)によりクエンチした。有機相を分離し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/CH
3OH(v/v)=20/1)により精製し、表題化合物を明灰色固形物として得た(110mg, 49.2%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 416.4 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 2.71 (s, 3H), 3.36 (s, 3H), 5.80-5.81 (d, J=2.16 Hz, 1H), 5.92 (s, 2H), 6.12-6.14 (dd, J=2.24 Hz, 5.8 Hz, 1H), 7.08-7.10 (m, 2H), 7.42-7.45 (m, 2H), 7.51-7.53 (m, 1H), 7.57-7.61 (m, 2H), 7.65-7.67 (m, 2H), 7.77-7.79 (d, J=5.8 Hz, 1H).
【0211】
工程4) N-(4-((2-(シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DCM(5mL)中のN-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(200mg, 0.48mmol)の溶液へ、トリエチルアミン(1mL)を添加し、引き続きシクロプロパンカルボニルクロリド(104.5mg, 0.96mmol)を0℃で添加した。この反応混合物を、rtまで温め、3時間攪拌し、その後水(10mL)によりクエンチした。分離した有機層に、飽和Na
2CO
3水溶液(10mL)及びEtOH(30mL)を添加した。この混合物を、rtで30分間攪拌し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=80/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(130mg, 56%)。
HPLC:99.5%;
MS (ESI, pos. ion) m/z: 484.3 [M+H]
+;
1H NMR (600 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.77 (s, 1H), 9.45 (s, 1H), 8.05 (d, J=5.8 Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.74 (d, J=8.9 Hz, 2H), 7.57 (t, J=7.8 Hz, 2H), 7.48 (t, J=7.5 Hz, 1H), 7.38 (d, J=7.4 Hz, 2H), 7.05 (d, J=8.9 Hz, 2H), 6.62 (dd, J=6.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 3.37 (s, 3H), 2.81 (s, 3H), 1.65 (td, J=7.7 Hz, 4.0 Hz, 1H), 1.26 (d, J=12.8 Hz, 2H), 1.10 (dt, J=7.9 Hz, 4.0 Hz, 2H).
【0212】
(実施例17 N-(5-((2-(3-(2-ヒドロキシエチル)ウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化27】
工程1) 4-クロロピコリンアミド
DCM(10mL)中の4-クロロピコリン酸(100mg, 0.64mmol)の溶液へ、DMFの1滴及びSOCl
2(0.14mL, 1.92mmol)を添加した。この反応液を、rtで一晩攪拌し、その後真空中で濃縮した。得られた残渣を、THF(10mL)に溶解し、引き続きEt
3N(0.2mL, 0.13mmol)を添加した。この混合物を、アンモニアガス大気中で1時間攪拌し、その後真空中で濃縮し、水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(10mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc(v/v)=5/1)により精製し、表題化合物を黄色固形物として得た(70mg 70%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 157.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CD
3OD): δ (ppm) 8.48 (d, J=5.15 Hz, 1H), 8.22 (d, J=2.10 Hz, 1H), 7.79 (br s, 1H), 7.46 (dd, J=5.28 Hz, 2.13 Hz, 1H), 5.80 (br s, 1H).
【0213】
工程2) N-(5-ヒドロキシピリジン-2-イル)-2,5-ジメチル-3-オキソ-1-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DMF(8mL)中の2-アミノ-5-ヒドロキシピリジン塩酸塩(500mg, 3.41mmol)及びEt
3N(0.77mL, 5.5mmol)の懸濁液を、rtで1時間攪拌した。同時に、DMF(8mL)中の1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(0.64g, 2.75mmol)、HOAT(449mg, 3.3mmol)及びEDCI(0.63g, 3.3mmol) の溶液へ、Et
3N(0.77mL, 5.5mmol)を滴加した。この混合液を、rtで1時間攪拌し、引き続き先に調製した混合物を添加した。この反応液を、60℃で5時間加熱し、その後rtまで冷却し、水(150mL)で希釈し、HCl(1M)によりpH=6に調節した。この混合物を、EtOAc(20mL×4)により抽出し、一緒にした有機相を、ブライン(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=10/1)により精製し、表題化合物を淡黄色固形物として得た(699mg, 78%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 325.1 [M+H]
+.
【0214】
工程3) 4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド
DMF(30mL)中のN-(5-ヒドロキシピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(468mg, 1.4mmol)の溶液へ、カリウムtert-ブトキシド(486mg, 4.33mmol)を添加した。この溶液を、rtで20分間攪拌し、引き続き4-クロロピコリンアミド(293mg, 1.87mmol)を添加した。この反応液を、120℃で2時間加熱し、その後rtまで冷却し、水(15mL)により希釈し、EtOAc(20mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(20mL)により洗浄し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=50/1)により精製し、表題化合物を帯黄白色固形物として得た(285mg, 44%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 444.8 [M+H]
+.
【0215】
工程4) N-(5-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
EtOAc/MeCN/H
2O(2mL/2mL/1mL)中の4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピコリンアミド(60mg, 0.13mmol)の溶液へ、ヨードベンゼンジアセテート(54mg, 0.16mmol)を0℃で添加した。この反応液を、rtで2時間攪拌し、その後真空中で濃縮した。得られた残渣を、EtOAc(10mL)中に溶解し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄し、その後無水Na
2SO
4上で乾燥させた。有機溶液を、真空中で濃縮し、表題化合物を黄色固形物として得た(43mg, 77%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 416.9 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 11.21 (s, 1H), 8.31 (d, J=9.0 Hz, 1H), 8.13 (d, J=2.8 Hz, 1H), 7.92 (d, J=5.9 Hz, 1H), 7.57-7.27 (m, 6H), 6.29 (dd, J=5.91 Hz, 2.13 Hz, 1H), 5.94 (d, J=2.19 Hz, 1H), 4.51 (br s, 2H), 3.37 (s, 3H), 2.79 (s, 3H).
【0216】
工程5) (4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル
DCM(20mL)中のN-(5-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(0.25g, 0.6mmol)の懸濁液へ、ピリジン(0.65mL, 6mmol)を添加した。この懸濁液を、0℃まで冷却し、引き続きDCM(5mL)中のフェニルカルボノクロリデート(phenylcarbonochloridate)(98mg, 0.63mmol)の溶液をゆっくり添加した。この反応液を、rtで2時間攪拌し、DCM(20mL)で希釈し、その後水(25mL×2)で洗浄し、引き続きブライン(25mL)で洗浄した。有機溶液を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、その後真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=100/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(134mg, 42%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 536.8 [M+H]
+.
【0217】
工程6) N-(5-((2-(3-(2-ヒドロキシエチル)ウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
(4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(0.1g, 0.187mmol)、NMP(10mL)及び2-アミノエタノール(14.0mg, 0.224mmol)の混合物を、40℃で2時間加熱した。溶媒を減圧下、40℃で蒸発させ、その後EtOAc(20mL)で希釈した。沈殿物を、濾過により収集し、EtOAc(3mL)により洗浄し、表題化合物を白色固形物として得た(92mg, 98%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 504.2 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 11.23 (s, 1H), 9.14 (s, 1H), 8.33 (d, J=9.0 Hz, 1H), 8.21 (d, J=2.9 Hz, 1H), 8.08 (d, J=5.8 Hz, 1H), 8.04 (br s, 1H), 7.69 (dd, J=8.9 Hz, 2.9 Hz, 1H), 7.63-7.43 (m, 5H), 6.97 (d, J=2.19 Hz, 1H), 6.58 (d, J=5.8 Hz, 1H), 4.73 (t, J=5.2 Hz, 2H), 3.43 (q, J=5.7 Hz, 2H), 3.37 (s, 3H), 3.32 (s, 3H), 3.18 (q, J=5.6 Hz, 2H), 2.72 (s, 3H).
【0218】
(実施例18 N-(5-((2-(3-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化28】
(4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(30mg, 0.05mmol)、NMP(5mL)及び2-(メチルアミノ)エタノール(5.0mg, 0.06mmol)の混合物を、40℃で1.5時間加熱した。この混合物を、rtまで冷却し、EtOAc(15mL)及び水(10mL)で希釈した。分離された有機層を、水(10mL×3)で洗浄し、引き続きブライン(10mL)で洗浄し、無水MgSO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=20/1)により精製し、その後エーテル(5mL)で洗浄し、表題化合物を白色固形物として得た(17mg, 59%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 518.2 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CD
3OD): δ (ppm) 8.44 (d, J=9.0 Hz, 1H), 8.24 (d, J=2.85 Hz, 1H), 8.20 (d, J=7.14 Hz, 1H), 7.73 (dd, J=9.0 Hz, 2.88 Hz, 1H), 7.64-7.56 (m, 3H), 7.46-7.43 (m, 2H), 3.72 (t, J=5.2 Hz, 2H), 3.53 (t, J=5.2 Hz, 2H), 3.43 (s, 3H), 3.08 (s, 3H), 2.80 (s, 3H).
【0219】
(実施例19 N-(5-((2-(シクロブタンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化29】
THF(13mL)中のN-(5-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(50mg, 0.12mmol)の懸濁液へ、Et
3N(0.034mL, 0.24mmol)を添加した。この懸濁液を、0℃まで冷却し、その後この混合物へ、THF(3mL)中のシクロブタンカルボニルクロリド(28.5mg, 0.24mmol)の溶液を、ゆっくり添加した。この反応液を、rtで1.25時間攪拌し、その後EtOAc(15mL)で希釈した。この混合物を、水(15mL×2)で洗浄し、引き続きブライン(15mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=60/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(25mg, 41%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 499.2 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 11.21 (s, 1H), 8.35 (d, J=9.0 Hz, 1H), 8.14 (d, J=2.6 Hz, 1H), 8.13-8.08 (m, 2H), 7.89-7.88 (m, 1H), 7.55-7.35 (m, 1H), 6.56 (d, J=3.0 Hz, 1H), 3.36 (s, 3H), 3.22-3.11 (m, 1H), 2.78 (s, 3H), 2.43-2.29 (m, 2H), 2.26-2.15 (m, 2H), 2.04-1.87 (m, 2H).
【0220】
(実施例20 N-(5-((2-(3-ヒドロキシシクロブタンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化30】
工程1) 3-アセトキシシクロブタンカルボン酸
DCM(10mL)中の3-ヒドロキシシクロブタンカルボン酸(100mg, 0.86mmol)の溶液へ、DMAP(1.0mg, 0.086mmol)を添加した。この溶液を、0℃まで冷却し、引き続き塩化アセチル(0.14mL, 2.6mmol)を添加した。この反応液を、45℃で4時間加熱し、その後rtまで冷却し、DCM(20mL)で希釈した。この混合物を、水(10mL)で洗浄し、引き続きブライン(10mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、粗生成物を得、これをさらに精製することなく次工程で使用した。
【0221】
工程2) 3-((4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)カルバモイル)シクロブチルアセテート
DMF(5mL)中のN-(5-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(50mg, 0.12mmol)、HOAT(19mg, 0.24mmol)、EDCI(28mg, 0.14mmol)及びDIPEA(0.1mL, 0.6mmol)の溶液へ、DMF(5mL)中の3-アセトキシシクロブタンカルボン酸の溶液を0℃で添加した。この反応液を、120℃で5時間加熱し、その後rtまで冷却し、水(50mL)で希釈し、EtOAc(30mL×3)により抽出した。一緒にした有機相を、ブライン(10mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc(v/v)=1/2)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(20mg, 30%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 556.9 [M+H]
+.
【0222】
工程3) N-(5-((2-(3-ヒドロキシシクロブタンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
MeOH(2.5mL)中の3-((4-((6-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)ピリジン-3-イル)オキシ)ピリジン-2-イル)カルバモイル)シクロブチルアセテート(40mg, 0.072mmol)の溶液を、0℃まで冷却し、その後この混合物へ、NaOH(6mg, 0.144mmol)を添加した。この反応液を、rtで1時間攪拌し、その後真空中で濃縮した。残渣を、水(5mL)及びエーテル(5mL)で洗浄し、その後濾過し、表題化合物を白色固形物として得た(17mg, 42%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 515.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 11.24 (s, 1H), 10.48 (s, 1H), 8.33 (d, J=9.0 Hz, 1H), 8.23 (d, J=2.88 Hz, 1H), 8.19 (d, J=5.7 Hz, 1H), 7.73-7.69 (m, 2H), 7.63-7.5 (m, 3H), 7.46-7.43 (m, 2H), 6.72 (dd, J=2.4 Hz, 5.7 Hz, 1H), 5.09 (d, J=7.3 Hz, 1H), 3.96 (m, 1H), 3.37 (s, 3H), 2.72 (s, 3H), 2.77-2.66 (m, 1H), 2.34-2.26 (m, 2H), 2.04-1.91 (m, 2H).
【0223】
(実施例21 N-(4-((2-(シクロブタンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化31】
工程1) 4-アミノ-2-フルオロフェノール
メタノール(200mL)中の2-フルオロ-4-ニトロフェノール(5.0g, 31.8mmol)の溶液へ、Pd/C(1.0g, 10%)を添加した。この反応液を、H
2大気中、rtで一晩攪拌した。この混合物を、セライト(登録商標)パッドを通して濾過し、その後MeOH(5mL)により洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、表題化合物を褐色固形物として得た(4.02g, >99%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 128.1 [M+H]
+.
【0224】
工程2) N-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DMF(200mL)中の1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(6.12g, 26.3mmol)、HOAT(4.3g, 31.6mmol)及びEDCI(6.03g, 31.6mmol)の溶液へ、Et
3N(9.2mL, 65.8mmol)を滴加した。この溶液を、rtで20分間攪拌し、その後このシステムに、DMF(20mL)中の4-アミノ-2-フルオロフェノール(4.02g, 31.6mmol)の溶液を添加した。この反応液を、70℃で4時間加熱し、その後真空中で2mLまで濃縮し、H
2O/EtOAc(150mL/50mL)により希釈した。沈殿物を濾過により入手し、その後EtOAc(10mL)で洗浄し、乾燥し、褐色の生成物を得(5.49g);この濾液を分離し、有機相を真空中で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc(v/v)=10/1)により精製し、黄色固形物を得た(1.692g)。前記沈殿物と黄色固形物を一緒にすることにより、表題化合物を収率80%で得た。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 342.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.58 (s, 1H), 7.72 (dd, J=2.4 Hz, 12.69 Hz, 1H), 7.58-7.32 (m, 5H), 7.09-7.04 (m, 1H), 6.89 (t, J=9.3 Hz, 1H), 3.34 (s, 3H), 2.78 (s, 3H).
【0225】
工程3) 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド
DMF(200mL)中のN-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(7.18g, 21.1mmol)の溶液へ、カリウムtert-ブトキシド(7.08g, 63.2mmol)を添加した。この溶液を、rtで20分間攪拌し、引き続き4-クロロピコリンアミド(4.27g, 25.2mmol)を添加した。この反応液を、120℃で3時間加熱し、その後真空中で2mLまで濃縮し、水(60mL)で希釈した。沈殿物を濾過により入手し、その後水(10mL)で洗浄した。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc/MeOH(v/v/v)=1/1/0.05)により精製し、表題化合物を黄色固形物として得た(4.15g, 収率43%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 462.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.97 (s, 1H), 8.53 (d, J=6.0 Hz, 1H), 8.12 (br s, 1H), 7.97 (dd, J=2.0 Hz, 13.23 Hz, 1H), 7.72 (br s, 1H), 7.63-7.42 (m, 5H), 7.42-7.32 (m, 3H), 7.21 (dd, J=2.7 Hz, 5.7 Hz, 1H), 3.37 (s, 3H), 2.71 (s, 3H).
【0226】
工程4) N-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
EtOAc/MeCN/H
2O(60mL/60mL/30mL)中の4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピコリンアミド(2.5g, 6.0mmol)の溶液へ、ヨードベンゼンジアセテート(2.9g, 9.0mmol)を0℃で添加した。この反応液を、rtで2時間攪拌し、その後真空中で濃縮した。得られた残渣を、EtOAc(150mL)で溶解し、飽和NaHCO
3水溶液(80mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をDCM/エーテル(1/10, 22mL)で洗浄し、表題化合物を黄色固形物として得た(2.09g, 収率81%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 434.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.83 (s, 1H), 7.92 (d, J=5.8 Hz, 1H), 7.84 (dd, J=2.4 Hz, 12.5 Hz, 1H), 7.60-7.33 (m, 5H), 7.26-7.22 (m, 1H), 7.06 (t, J=8.7 Hz, 1H), 6.29 (dd, J=2.2 Hz, 5.9 Hz, 1H), 5.92 (d, J=2.19 Hz, 1H), 4.40 (br s, 2H), 3.37 (s, 3H), 2.79 (s, 3H).
【0227】
工程5) N-(4-((2-(シクロブタンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
THF/DMF(15mL/0.5mL)中のN-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(100mg, 0.231mmol)の懸濁液へ、Et
3N(0.058mL, 0.462mmol)を添加した。この懸濁液を0℃まで冷却し、その後この混合物へ、THF(5mL)中のシクロブタンカルボニルクロリド(30mg, 0.254mmol)の溶液を、1時間かけて滴加した。この反応液を、rtで2時間攪拌し、その後EtOAc(20mL)で希釈した。この混合物を、水(25mL×3)で洗浄し、引き続きブライン(25mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc/MeOH(v/v/v)=100/20/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(51mg, 44%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 516.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.84 (s, 1H), 8.06 (d, J=5.8 Hz, 1H), 7.91-7.86 (m, 3H), 7.59-7.35 (m, 5H), 7.28-7.24 (m, 1H), 7.09 (t, J=8.7 Hz, 1H), 6.56 (dd, J=2.9 Hz, 5.8 Hz, 1H), 3.68 (s, 3H), 3.16 (m, 1H), 2.79 (s, 3H), 2.43-2.29 (m, 2H), 2.26-2.15 (m, 2H), 2.06-1.84 (m, 2H).
【0228】
(実施例22 N-(3-フルオロ-4-((2-(3-(2-ヒドロキシエチル)ウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化32】
工程1) (4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル
DCM/ピリジン(50mL/25mL)中のN-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(500mg, 1.10mmol)の懸濁液を、0℃まで冷却し、その後この混合物へ、DCM(5mL)中のフェニルカルボノクロリデート(450mg, 2.90mmol)の溶液を0.5時間かけてゆっくり添加した。この反応液を、rtで2時間攪拌し、その後DCM(250mL)で希釈した。この混合物を、水(150mL×3)で洗浄し、引き続きブライン(150mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=150/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(352mg, 46%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 554.0 [M+H]
+.
【0229】
工程2) N-(3-フルオロ-4-((2-(3-(2-ヒドロキシエチル)ウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
(4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(100mg, 0.18mmol)、NMP(5mL)及び2-アミノエタノール(3.0mg, 0.22mmol)の混合物を、40℃℃で2時間加熱した。この溶媒を、減圧下、40℃で蒸発させ、EtOAc(20mL)で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、その後EtOAc(3mL)で洗浄し、表題化合物を白色固形物として得た(65mg, 69%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 521.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.94 (s, 1H), 9.14 (s, 1H), 8.06 (d, J=5.9 Hz, 1H), 8.00 (br s, 1H), 7.94 (dd, J=1.50 Hz, 12.84 Hz, 1H), 7.63-7.42 (m, 5H), 7.31-7.29 (m, 2H), 6.97 (d, J=2.04 Hz, 1H), 6.56 (dd, J=2.4 Hz, 5.9 Hz, 1H), 4.72 (t, J=5.1 Hz, 1H), 3.42 (q, J=5.4 Hz, 2H), 3.37 (s, 3H), 3.17 (q, J=5.6 Hz, 2H), 2.70 (s, 3H).
【0230】
(実施例23 N-(3-フルオロ-4-((2-(3-(2-ヒドロキシプロピル)-3-メチルウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化33】
(4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(100mg, 0.18mmol)、NMP(5mL)及び1-アミノプロパン-2-オール(16mg, 0.2mmol)の混合物を、40℃で2時間加熱した。溶媒を減圧下、40℃で蒸発させ、その後EtOAc(20mL)で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、表題化合物を白色固形物として得た(58mg, 60%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 535.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.94 (s, 1H), 9.14 (s, 1H), 8.06 (d, J=5.8 Hz, 1H), 7.98 (br s, 1H), 7.93 (dd, J=1.5 Hz, 12.8 Hz, 1H), 7.63-7.42 (m, 5H), 7.31-7.29 (m, 2H), 6.97 (d, J=2.1 Hz, 1H), 6.56 (dd, J=2.4 Hz, 5.8 Hz, 1H), 4.73 (d, J=4.8 Hz, 1H), 3.69-3.61 (m, 1H), 3.37 (s, 3H), 3.18-3.10 (m, 1H), 3.00-2.92 (m, 1H), 2.70 (s, 3H), 1.02 (d, J=6.2 Hz, 3H).
【0231】
(実施例24 N-(4-((2-(3,3-ジメチルウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化34】
(4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(100mg, 0.18mmol)、NMP(5mL)及びジメチルアミン水溶液(0.045mL, 33%)の混合物を、40℃で2時間加熱した。溶媒を減圧下、40℃で蒸発させ、その後EtOAc(20mL)で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、表題化合物を白色固形物として得た(25mg, 27%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 505.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CD
3OD): δ (ppm) 8.07 (d, J=5.8 Hz, 1H), 7.88 (dd, J=2.4 Hz, 12.9 Hz, 1H), 7.66-7.43 (m, 5H), 7.31-7.27 (m, 1H), 7.21 (t, J=8.7 Hz, 1H), 6.59 (dd, J=2.4 Hz, 5.8 Hz, 1H), 4.84 (s, 3H), 3.41 (s, 3H), 3.00 (s, 6H), 2.76 (s, 3H).
【0232】
(実施例25 N-(4-((2-(3-エチル-3-メチルウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)-3-フルオロフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化35】
(4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)-2-フルオロフェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(100mg, 0.18mmol)、NMP(5mL)及びN-メチルエタンアミン(12mg, 0.2mmol)の混合物を、40℃で2時間加熱した。溶媒を減圧下、40℃で蒸発させ、その後水(10mL)で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=60/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(55mg, 62%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 519.3 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CD
3OD): δ (ppm) 8.07 (d, J=5.8 Hz, 1H), 7.88 (dd, J=2.4 Hz, 12.9 Hz, 1H), 7.66-7.43 (m, 5H), 7.31-7.27 (m, 1H), 7.21 (t, J=8.6 Hz, 1H), 6.59 (dd, J=2.4 Hz, 5.8 Hz, 1H), 3.41 (s, 3H), 3.40 (q, J=7.2 Hz, 2H), 2.99 (s, 3H), 1.76 (s, 3H), 1.16 (t, J=7.2, 3H).
【0233】
(実施例26 N-(4-((2-(シクロブタンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化36】
工程1) 4-アミノフェノール
EtOH(80mL)中の4-ニトロフェノール(2g, 14.4mmol)の溶液へ、Pd/C(10%, 300mg)を添加した。この反応液を、H
2大気中、rtで5時間攪拌し、その後セライト(登録商標)パッドを通して濾過し、これをEtOH(10mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、表題化合物を褐色固形物として得た(1.58g, >99%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 110.1 [M+H]
+.
【0234】
工程2) N-(4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
DMF(40mL)中の1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(1.70g, 7.35mmol)、HOAT(1.2g, 8.82mmol)、及びEDCI(1.68g, 8.82mmol)の溶液へ、Et
3N(2.6mL, 18.38mmol)を滴加した。この溶液を、rtで20分間攪拌し、その後この反応システムへ、DMF(6mL)中の4-アミノフェノール(994mg, 9.11mmol)の溶液を滴加した。この反応液を、70℃で5時間加熱し、その後真空中で2mLまで濃縮し、水(50mL)で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、水(5mL)で洗浄し、乾燥した。粗生成物を、DCM(20mL)により洗浄し、表題化合物を褐色固形物として得た(2.02g, 85%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 324.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.46 (s, 1H), 9.17 (s, 1H), 7.61-7.55 (m, 2H), 7.52-7.46 (m, 1H), 7.43-7.34 (m, 4H), 6.73-6.68 (m, 2H), 3.33 (s, 3H), 2.69 (s, 3H).
【0235】
工程3) 4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピコリンアミド
DMF(35mL)中のN-(4-ヒドロキシフェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(1.80g, 5.57mmol)の溶液へ、カリウムtert-ブトキシド(1.87g, 16.7mmol)を添加した。この溶液を、rtで20分間攪拌し、引き続き4-クロロピコリンアミド(1.046g, 6.68mmol)を添加した。この反応液を、120℃で3時間加熱し、その後真空中で2mLまで濃縮し、水(60mL)で希釈した。沈殿物を濾過により入手し、水(5mL)で洗浄し、乾燥した。粗生成物を、DCM(20mL)で洗浄し、表題化合物を褐色固形物として得た(1.8g, 73%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 444.2 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.84 (s, 1H), 8.51 (d, J=5.64 Hz, 1H), 8.11 (d, J=2.64 Hz, 1H), 7.75-7.69 (m, 3H), 7.63-7.56 (m, 2H), 7.54-7.48 (m, 1H), 7.46-7.39 (m, 3H), 7.22-7.15 (m, 3H), 3.36 (s, 3H), 2.71 (s, 3H).
【0236】
工程4) N-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
EtOAc/MeCN/H
2O(20mL/20mL/10mL)中の4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピコリンアミド(picolinamid)(1.773g, 3.998mmol)の溶液へ、ヨードベンゼンジアセテート(1.6g, 4.96mmol)を0℃で添加した。この反応液を、rtで一晩攪拌し、その後真空中で濃縮し、EtOAc(100mL)で希釈した。混合物を飽和NaHCO
3水溶液(60mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(v/v)=30/1)により精製し、表題化合物を黄色固形物として得た(799mg, 48%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 416.1 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.77 (s, 1H), 7.78 (d, J=9.8 Hz, 1H), 7.68-7.63 (m, 2H), 7.62-7.56 (m, 2H), 7.54-7.48 (m, 1H), 7.45-7.41 (m, 2H), 6.13 (dd, J=2.3 Hz, 9.8 Hz, 1H), 5.90 (br s, 2H), 5.82 (d, J=2.2 Hz, 1H), 3.36 (s, 3H), 2.71 (s, 3H).
【0237】
工程5) N-(4-((2-(シクロブタンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
THF/DMF(15mL/1mL)中のN-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(100mg, 0.241mmol)の懸濁液に、Et
3N(0.06mL, 0.482mmol)を添加した。この懸濁液を、0℃まで冷却し、その後この反応システムに、THF(5mL)中のシクロブタンカルボニルクロリド(31.0mg, 0.265mmol)の溶液を1時間かけて滴加した。この反応液を、rtで5時間攪拌し、その後EtOAc(20mL)で希釈した。得られた混合物を、水(25mL×3)で洗浄し、引き続きブライン(25mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc/MeOH(v/v)=100/25/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(30mg, 25%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 498.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.73 (s, 1H), 8.05 (d, J=5.8 Hz, 1H), 7.87-7.86 (m, 2H), 7.74-7.70 (m, 2H), 7.58-7.36 (m, 5H), 7.07-7.03 (m, 2H), 6.54 (dd, J=2.3 Hz, 5.8 Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.22-3.10 (m, 1H), 2.80 (s, 3H), 2.43-2.31 (m, 2H), 2.26-2.15 (m, 2H), 2.08-1.86 (m, 2H).
【0238】
(実施例27 N-(4-((2-(シクロペンタンカルボキサミド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化37】
THF/DMF(20mL/1mL)中のN-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(100mg, 0.241mmol)の懸濁液へ、Et
3N(0.06mL, 0.481mmol)を添加した。この懸濁液を、0℃まで冷却し、この反応混合物へ、THF(5mL)中のシクロペンタン塩化カルボニル(64.0mg, 0.481mmol)の溶液を2時間かけて滴加した。この反応液を、rtで1.5時間攪拌し、その後EtOAc(25mL)で希釈した。得られた混合物を、水(25mL×3)で洗浄し、引き続きブライン(25mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc/MeOH(v/v)=80/15/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(39mg, 32%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 512.2 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 10.73 (s, 1H), 8.05 (d, J=5.7 Hz, 1H), 8.01 (br s, 1H), 7.73-7.68 (m, 2H), 7.58-7.34 (m, 5H), 7.06-7.01 (m, 2H), 6.54 (dd, J=2.4 Hz, 5.7 Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 2.79 (s, 3H), 2.71-2.63 (m, 1H), 1.95-1.57 (m, 8H).
【0239】
(実施例28 N-(4-((2-(3-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化38】
工程1) (4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル
DCM/ピリジン(30mL/20mL)中のN-(4-((2-アミノピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(600mg, 1.44mmol)の懸濁液を、0℃まで冷却し、その後この混合物へ、DCM(10mL)中のフェニルカルボノクロリデート(565mg, 3.61mmol)の溶液を1時間かけてゆっくり添加した。この反応液を、rtで2時間攪拌し、その後DCM(200mL)で希釈した。この混合物を水(140mL×4)で洗浄し、引き続きブライン(150mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc(v/v)=2/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(327mg, 42%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 536.0 [M+H]
+.
【0240】
工程2) N-(4-((2-(3-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
(4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(50mg, 0.093mmol)、NMP(3mL)及び2-(メチルアミノ)エタノール(8.4mg, 0.112mmol)の混合物を、40℃で2時間加熱した。溶媒を、減圧下、40℃で蒸発させ、その後EtOAc(10mL)で希釈した。得られた混合物を、水(7mL×3)で洗浄し、引き続きブライン(10mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、EtOAc(2mL)で洗浄し、表題化合物を白色固形物として得た(25mg, 52%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 517.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.80 (s, 1H), 9.04 (s, 1H), 8.06 (d, J=5.7 Hz, 1H), 7.70-7.65 (m, 2H), 7.62-7.41 (m, 5H), 7.36 (d, J=2.2 Hz, 1H), 7.14-7.09 (m, 2H), 6.54 (dd, J=2.3 Hz, 5.7 Hz, 1H), 5.31 (br s, 1H), 3.56 (q, J=4.8 Hz, 2H), 3.36 (s, 3H), 3.36-3.33 (m, 2H), 2.88 (s, 3H), 2.71 (s, 3H).
【0241】
(実施例29 1,5-ジメチル-N-(4-((2-(3-メチルウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化39】
(4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(100mg, 0.187mmol)、NMP(3mL)及びメチルアミン溶液(25%, 0.2mL)の混合物を、40℃で一晩加熱した。溶媒を減圧下、40℃で蒸発させ、その後水(10mL)で希釈した。沈殿物を濾過により収集し、その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc/MeOH(v/v/v)=1/1/0.01)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(46mg, 52%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 473.1 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.81 (s, 1H), 9.13 (s, 1H), 8.04 (d, J=5.9 Hz, 1H), 7.99-7.94 (m, 1H), 7.71-7.65 (m, 2H), 7.62-7.42 (m, 5H), 7.15-7.09 (m, 2H), 6.87 (d, J=2.28 Hz, 1H), 6.51 (dd, J=2.3 Hz, 5.9 Hz, 1H), 3.36 (s, 3H), 2.71 (s, 3H), 2.68 (d, J=4.6 Hz, 3H).
【0242】
(実施例30 N-(4-((2-(3-エチルウレイド)ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)
【化40】
NMP(3mL)中のエチルアミン塩酸塩(29mg, 0.356mmol)の溶液へ、Et
3N(0.1mL)を添加した。この溶液をrtで10分間攪拌し、引き続き(4-(4-(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)フェノキシ)ピリジン-2-イル)カルバミン酸フェニル(100mg, 0.187mmol)を添加した。この反応液を、40℃で一晩攪拌し、その後真空中で40℃で濃縮し、水(10mL)により希釈した。沈殿物を、濾過により収集し、その後シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc/MeOH(v/v/v)=80/40/1)により精製し、表題化合物を白色固形物として得た(46mg, 50%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 487.0 [M+H]
+;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ (ppm) 10.81 (s, 1H), 9.13 (s, 1H), 8.04 (d, J=5.9 Hz, 1H), 7.99-7.94 (m, 1H), 7.71-7.65 (m, 2H), 7.62-7.42 (m, 5H), 7.15-7.09 (m, 2H), 6.87 (d, J=2.3 Hz, 1H), 6.51 (dd, J=2.3 Hz, 5.9 Hz, 1H), 3.36 (s, 3H), 2.71 (s, 3H), 2.68 (d, J=4.6 Hz, 3H).
【0243】
(生物学的試験)
本分析において使用したLC/MS/MSシステムは、Agilent 1200シリーズ真空脱ガス装置、バイナリーポンプ、ウェル-プレート自動サンプラー、サーモスタッド付きカラムコンパートメント、エレクトロスプレーイオン化(ESI)発生源を備えたAgilent G6430三連四重極型質量分析計からなる。定量分析は、MRMモードを用いて行った。MRM遷移に関するパラメータを、表Aに記す。
【表A】
【0244】
分析のために、Agilent XDB-C18、2.1×30mm、3.5μMカラムを使用した。試料5μLを注入した。分析条件:移動相は、(A)水中0.1%ギ酸、及び(B)メタノール中0.1%ギ酸であった。流量は、0.4mL/分であった。また移動相の勾配を、表Bに示す。
【表B】
【0245】
あるいは、G1312Aバイナリーポンプ、G1367A自動サンプラー及びG1314C UV検出器を装備したAgilent 6330シリーズLC/MS/MS分光計を、本分析において使用した。ESI発生源を、LC/MS/MS分光計において使用した。本分析は、適宜正イオンモードで行い、各被検体に関するMRM遷移は、標準溶液を用いて最適化した。この分析時には、Capcell MP-C18 100×4.6mm I.D.、5μMカラム(Phenomenex社、Torrance、カリフォルニア州、米国)を使用した。移動相は、(A)水中5mM酢酸アンモニウム、0.1%MeOH:(B)アセトニトリル中5mM酢酸アンモニウム、0.1%MeOH(70:30, v/v)であった。流量は、0.6mL/分であった。カラムは、外界温度で維持した。試料20μLを注入した。
【0246】
(実施例A:ヒト及びラット肝ミクロソームにおける化合物安定性)
ヒト又はラットの肝ミクロソームのインキュベーションを、ポリプロピレンチューブ内で、2つ組で行った。代表的インキュベーション混合物は、総量200μLのリン酸カリウム緩衝液(PBS, 100mM, pH7.4)中に、ヒト又はラットの肝ミクロソーム(0.5mgタンパク質/mL)、関心対象の化合物(5μM)及びNADPH(1.0mM)からなった。化合物は、DMSO中に溶解し、PBSで希釈し、DMSOの最終濃度を0.05%とした。3分間のプレインキュベーション後、タンパク質を添加し、酵素反応を開始し、37℃の蓋のない水浴中でインキュベーションした。様々な時点で(0、5、10、15、30、60分)で、等量の氷冷したアセトニトリルを添加することにより、反応を停止した。試料は、LC/MS/MSアッセイ時まで、-80℃で貯蔵した。
【0247】
ヒト又はラットの肝ミクロソームのインキュベーション混合物中の化合物の濃度は、LC/MS/MS法により決定した。この濃度範囲における直線性の範囲を、各被験化合物について決定した。
【0248】
陰性対照として、変性したミクロソームを使用し、並行してインキュベーションを行い、37℃でのインキュベーション後、反応を様々な時点で停止した(0、15、60分)。
【0249】
デキストロメトルファン(70μM)を、陽性対照として選択し、37℃でのインキュベーション後、反応を様々な時点で停止した(0、5、10、15、30、60分)。このミクロソームのインキュベーション系の完全性を確実にするために、陽性及び陰性の両方の対照試料を、各アッセイに含んだ。
【0250】
(データ解析)
ヒト又はラットの肝ミクロソームインキュベーション中の化合物の濃度を、各反応に関する該当するゼロ時点対照に対する割合としてプロットした。インビボCL
intを、外挿した(参考文献:Naritomi Y, Teashita S, Kimura S, Suzuki A, Kagayama A, Sugiyama Y.の文献、「インビボ動物実験及び動物とヒトの肝ミクロソームのインビトロ代謝試験からのヒト肝クリアランスの予測(Prediction of human hepatic clearance from in vivo animal experiments and in vitro metabolic studies with liver microsomes from animals and humans)」、Drug Metabolism and Disposition 2001, 29: 1316-1324)。
【表2】
【0251】
本明細書に開示された化合物は、ラット肝ミクロソームにおいて非常に安定している。例えば実施例8、11及び16は、実験条件下で、ラット肝ミクロソームにおいてインキュベーションされた場合に、ほとんど代謝されず、結果的に長い半減期(T
1/2)を示した。
【0252】
(実施例B:マウス、ラット、イヌ及びサルにおける本明細書開示の化合物の静脈内投与及び経口投与後の薬物動態の評価)
本明細書に開示された化合物を、マウス、ラット、イヌ及びサルでの薬物動態試験において評価した。本化合物は、水溶液、水溶液中2%HPMC+1%TWEEN(登録商標)80、塩類溶液中5%DMSO+5%ソルトール、4%MC懸濁液又はカプセル剤として投与した。静脈内投与に関して、動物には一般に、投与量1又は2mg/kgで投与した。経口(p.o.)投与に関して、マウス及びラットには一般に、投与量5又は10mg/kgで投与し、イヌ及びサルには一般に投与量10mg/kgで投与した。血液試料(0.3mL)を、0.25、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、6.0、8.0、12及び24時間の時点で、又は0.083、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0及び24時間の時点で採取し、3,000又は4000rpmで2〜10分間遠心分離した。血漿溶液を収集し、前述のようなLC/MS/MSによる分析まで、-20℃又は-70℃で貯蔵した。
【表3】
【0253】
本明細書に開示された化合物が静脈内投与又は経口投与された場合、本化合物は、望ましいクリアランス(Cl)、半減期(T
1/2)及び優れた経口生物学的利用能を伴う、最適化された薬物動態特性を示した。
【0254】
c-Met、VEGFR、Ron、及びAxl関連活性などの受容体チロシンキナーゼの阻害剤としての、また、異種移植動物モデルにおける抗腫瘍剤としての、本明細書開示の化合物の有効性を、次の通りに評価することができる。これらのアッセイ結果は、本明細書開示のある種の化合物が、細胞におけるc-Met、VEGF-R2、Ron、及びAxlリン酸化を強力に阻害することを実証し、また、ある種の異種移植モデルにおける強力な用量依存性の抗腫瘍活性を実証することができる。
【0255】
(キナーゼアッセイ)
固定化されたミエリン塩基性タンパク質(MBP)へのγ-
33P ATPの取り込みの測定によって、キナーゼアッセイを実施することができる。高結合型白色384ウェルプレート(Greiner社)を、20μg/ml MBP(Tris-緩衝塩類溶液(TBS;50mM Tris pH8.0、138mM NaCl、2.7mM KCl)中)の60μl/ウェルの4℃での24時間のインキュベーションによって、MBP(Sigma社 #M-1891)でコーティングする。プレートを100μl TBSで3回洗浄する。キナーゼ緩衝液(5mM Hepes pH7.6、15mM NaCl、0.01%ウシガンマグロブリン(Sigma社 #I-5506)、10mM MgCl
2、1mM DTT、0.02% TritonX-100)中で、総量34μlで、キナーゼ反応を実施する。DMSO中で化合物希釈を実施し、アッセイウェルに加えて、1%の最終DMSO濃度とする。各データポイントを、2つ組で測定し、個々の化合物測定のために、少なくとも2回の2つ組アッセイを実施する。酵素を、例えば10nM又は20nMの最終濃度となるよう添加する。非標識ATPとγ-
33P ATPとの混合物を添加し、反応を開始する(通常、ウェルあたり2×10
6cpmのγ-
33P ATP(3000Ci/mmol)と、10μM非標識ATP)。振盪しながら室温で1時間、反応を実施する。プレートをTBSで7回洗浄し、続いて、50μl/ウェルのシンチレーション液(Wallac社)を添加する。Wallac Triluxカウンターを使用してプレートを読み取る。これは、こうしたアッセイの1つの形式に過ぎず;当業者に公知であるように、種々の他の形式が可能である。
【0256】
上のアッセイ手順を使用して、阻害についてのIC
50及び/又は阻害定数Kiを求めることができる。IC
50は、そのアッセイの条件下で酵素活性を50%低下させるために必要とされる化合物の濃度と定義される。IC
50値は、1/2 log希釈系列を使用して、10点曲線を作成することによって推定される(例えば、次の化合物濃度を使用して、典型的な曲線を作成することができる;100μM、30μM、10μM、3μM、1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、及び0μM)。
【0257】
(c-Met(h)アッセイ)
Met(h)を、8mM MOPS pH7.0、0.2mM EDTA、250μM KKKSPGEYVNIEFG、10mM酢酸マグネシウム、及び[γ-
33P-ATP](比活性およそ500cpm/pmol、必要とされる濃度)と共にインキュベーションする。MgATP混合物の添加によって反応を開始する。室温での40分間のインキュベーション後、3%リン酸溶液の添加によって反応を停止する。次いで、この反応物の10μLをP30フィルターマット上にスポットし、75mMリン酸中で5分間を3回、メタノール中で1回洗浄した後、乾燥及びシンチレーション測定を行う。
【0258】
(KDR(h)(VEGF-R2(h))アッセイ)
KDR(h)を、8mM MOPS pH7.0、0.2mM EDTA、0.33mg/mLミエリン塩基性タンパク質、10mM酢酸マグネシウム、及び[γ-
33P-ATP](比活性およそ500cpm/pmol、必要とされる濃度)と共にインキュベーションする。MgATP混合物の添加によって反応を開始する。室温での40分間のインキュベーション後、3%リン酸溶液の添加によって反応を停止する。次いで、この反応物の10μLをP30フィルターマット上にスポットし、75mMリン酸中で5分間を3回、メタノール中で1回洗浄した後、乾燥及びシンチレーション測定を行う。
【0259】
(Axl(h)アッセイ)
Axl(h)を、8mM MOPS pH7.0、0.2mM EDTA、250μM KKSRGDYMTMQIG、10mM酢酸マグネシウム、及び[γ-
33P-ATP](比活性およそ500cpm/pmol、必要とされる濃度)と共にインキュベーションする。MgATP混合物の添加によって反応を開始する。室温での40分間のインキュベーション後、3%リン酸溶液の添加によって反応を停止する。次いで、この反応物の10μLをP30フィルターマット上にスポットし、75mMリン酸中で5分間を3回、メタノール中で1回洗浄した後、乾燥及びシンチレーション測定を行う。
【0260】
本明細書記載のキナーゼアッセイは、Millipore UK社(Dundee Technology Park, Dundee DD2 1SW, UK)において実施することができる。
【0261】
あるいは、本化合物のキナーゼ活性は、固定された活性部位を指向したリガンドと競合する化合物の能力を定量的に測定する競合結合アッセイを基にしている、KINOMEscan(商標)を用いて測定することができる。このアッセイは、三つの成分を組み合わせることにより実行した:DNA-タグ付けされたキナーゼ;固定されたリガンド;及び、被験化合物。固定されたリガンドと競合する被験化合物の能力は、DNAタグの定量的PCRにより測定した。
【0262】
ほとんどのアッセイに関して、キナーゼ-タグ付けされたT7ファージ株は、BL21株由来の大腸菌宿主において調製した。大腸菌は、対数増殖相まで増殖させ、T7ファージにより感染させ、溶菌するまで32℃で振盪しながらインキュベーションした。溶菌液を遠心分離し、濾過し、細胞デブリを除去した。残存するキナーゼは、HEK-293細胞において生成され、引き続きqPCR検出のためにDNAによりタグ付けした。ストレプトアビジン-コーティングされた磁気ビーズを、ビオチニル化された小型分子リガンドにより、室温で30分間処理し、キナーゼアッセイのためのアフィニティ樹脂を作製した。リガンド化されたビーズを、過剰なビオチンでブロックし、ブロッキング緩衝液(SEABLOCK(商標)(Pierce社)、1%BSA、0.05%TWEEN(登録商標)20、1mM DTT)で洗浄し、未結合のリガンドを除去し、非特異的結合を減らした。結合反応は、1×結合緩衝液(20%SEABLOCK(商標)、0.17×PBS、0.05%TWEEN(登録商標)20、6mM DTT)中で、キナーゼ、リガンド化されたアフィニティビーズ、及び被験化合物を一緒にすることにより、構成した。全ての反応は、ポリスチレン96-ウェルプレートにおいて、最終容積0.135mLで行った。これらのアッセイプレートは、室温で、振盪しながら1時間インキュベーションし、アフィニティビーズを、洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%TWEEN(登録商標)20)により洗浄した。その後これらのビーズを、溶離緩衝液(1×PBS、0.05%TWEEN(登録商標)20、0.5μMビオチニル化されないアフィニティリガンド)中に再度懸濁させ、室温で、振盪しながら30分間インキュベーションした。溶離液中のキナーゼ濃度は、qPCRにより測定した。
【0263】
本明細書記載のキナーゼアッセイは、KINOMEscan(商標)Profiling Service(DiscoveRx社、42501 Albrae St. Fremont, CA 94538, USA)を用いて実施し、且つ選択された結果を、表4に列記した。
【表4】
【0264】
本明細書に開示された化合物は、c-Met(h)、及びKDR(h)アッセイにおいて強力な活性を示した。
【0265】
(細胞リン酸化アッセイ)
一般に、細胞は、完全な標的結合を可能にするために、被験化合物と共に予めインキュベーションする。自己リン酸化レベルは、サンドイッチ-ELISA技術によって決定した。IC
50値は、片対数ステップにおいて8つの化合物濃度(各濃度は2つ組)を試験することによって決定した。本明細書記載の細胞リン酸化アッセイは、ProQinase社(Breisacher Strabe 117 D-79106 Freiburg、Germany)で実施した。
【0266】
(c-Metリン酸化アッセイ)
ヒト胃腺癌細胞株MKN45は、c-Metを過剰発現することがわかっている。c-Met過剰発現は、キナーゼの構成的なリガンド非依存性の自己リン酸化をもたらす。SU11274を添加することによって、リン酸化METレベルが大きく低下するので、化合物の潜在的阻害能力を決定するための動的挙動が得られた。続いて、リン酸化METシグナルを、サンドイッチ-ELISA技術によって数量化する。このアッセイは、METキナーゼ活性の公知の阻害剤に基づいて実証された。
【0267】
(VEGF-R2リン酸化アッセイ)
不死化されたヒト臍帯静脈内皮細胞(HUE)は、ヒトVEGF-R2を過剰発現することが知られている。この細胞をその生理学的リガンドVEGF-Aで刺激することは、頑強な受容体自己リン酸化をもたらす。完全な標的結合を可能にするために、細胞刺激の前に、化合物を予めインキュベーションした。刺激条件を最適化してリン酸化VEGF-R2シグナルの用量関連の阻害を決定し、続いて、サンドイッチ-ELISA技術によって数量化した。このアッセイは、VEGF-R2キナーゼ活性の公知の阻害剤に基づいて実証された。
【0268】
(Axlリン酸化アッセイ:)
細胞のAXLリン酸化アッセイを、マウス胎児線維芽細胞(MEF)バックグラウンドについて行った。細胞を、完全長のAXLタンパク質を発現するように形質移入した。クローン選別の後、高レベルの自己リン酸化されたAXLを伴う形質転換された細胞株が得られた。スタウロスポリンを添加することによって、リン酸化AXLレベルが大きく低下するので、化合物の潜在的阻害能力を判定するための動的挙動が得られた。リン酸化AXLレベルは、引き続きサンドイッチ-ELISA技術によって数量化した。
【0269】
(腫瘍異種移植モデル)
本明細書に開示された化合物の有効性を、腫瘍形成の標準のマウスモデルにおいて評価した。ヒト腫瘍細胞(ATCCからのU87MG膠芽腫細胞)を、培養に使用し、収集し、生後6〜7週の雌の胸腺欠損ヌードマウス(BALB/cA nu/nu、Hunan SLAC Laboratory Animal社)の脾腹に皮下注射した(ビヒクル群及び各投薬群についてn=6〜10)。腫瘍体積が100〜250mm
3に到達したら、動物をビヒクル対照群(例えば、5%DMSO+70%Captisol(登録商標)(30%)、7%HCl(pH1)、18%Captisol(登録商標)(30%);又は、7%DMSO、7%HCl(pH1)、70%Captisol(登録商標)(30%)、16%Captisol(登録商標)(30%)、又はそれに類するもの)と化合物群とに無作為に分けた。その後、腫瘍細胞チャレンジの0日目から15日目のいずれかの時点で、強制経口投与による化合物の投与を開始し、一般に、実験期間中、1日1回続けた。
【0270】
(腫瘍成長阻害(TGI)分析)
腫瘍成長の進行を、腫瘍体積によって評価し、時間の関数として記録する。皮下腫瘍の長軸(L)及び短軸(W)を、測径器(caliper)で1週間に2回測定し、腫瘍体積(TV)を(L×W
2)/2)として算出した。TGIを、ビヒクル治療マウスと薬物治療マウスとの腫瘍体積中央値の差から算出し、以下の相関によって、ビヒクル治療対照群の腫瘍体積中央値に対する割合として表した:
【数1】
反復測定分散分析(RMANOVA)によって、最初の統計解析を行い、引き続き多重比較のためのScheffe事後検定を行う。ビヒクル単独(5%DMSO+70%Captisol(登録商標)(30%)、7%HCl(pH1)、18%Captisol(登録商標)(30%);又は、7%DMSO、7%HCl(pH1)、70%Captisol(登録商標)(30%)、16%Captisol(登録商標)(30%)、又はそれに類するもの)は、陰性対照である。
【表5】
【0271】
最後に、本発明を実行する代替法が存在することに留意するべきである。したがって、本発明の実施形態は、制限ではなく例示とみなされるべきであり、かつ、本発明は、本明細書に示された詳細に限定されるものではないが、添付の特許請求の範囲の範囲内及び等価物内で改変することができる。本明細書に引用されたすべての刊行物及び特許は、参照により組み込まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
式(I)の化合物、又はその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、溶媒和物、代謝産物、薬学的に許容され得る塩、もしくはプロドラッグ:
【化41】
(式中、
Qは、D、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)Rd、-C(=O)NRaRb、-N(Rc)S(=O)NRaRb、-N(Rc)
S(=O)Ra、-N(Rc)S(=O)2NRaRb、又は-N(Rc)S(=O)2Raであり;
Wは、CR7又はNであり;
X、Y及びZの各々は、独立に、H、D、(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C7)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール又は-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C7)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール及び-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、Br、CN、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、ORa、NRaRb、-(C1-C4)アルキレン-ORa及び-(C1-C4)アルキレン-NRaRbから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により任意に置換されており;
R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7の各々は、独立に、H、D、F、Cl、Br、CN、N3、ORa、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ハロアルキル、(C2-C6)アルケニル又は(C2-C6)アルキニルであり;
Ra、Rb及びRcの各々は、独立に、H、(C1-C6)脂肪族、(C1-C6)ハロアルキル、(C3-C6)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール又は-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C1-C6)脂肪族、(C1-C6)ハロアルキル、(C3-C6)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール及び-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、CN、N3、OH、NH2、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)アルコキシ及び(C1-C6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されており;並びに
Rdは、D、(C3-C8)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、又は-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C3-C8)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール、5〜10員のヘテロアリール及び-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、Br、-CN、-ORa、-NRaRb、(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、-(C1-C4)アルキレン-ORa及び-(C1-C4)アルキレン-NRaRbから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている。)。
[2]
Ra、Rb及びRcの各々が、独立に、H、(C1-C6)脂肪族、(C1-C6)ハロアルキル、(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール又は-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C1-C6)脂肪族、(C1-C6)ハロアルキル、(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール及び-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、CN、N3、OH、NH2、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)アルコキシ及び(C1-C6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されており;並びに
Rdが、D、(C3-C8)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、又は-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C3-C8)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール、5〜10員のヘテロアリール及び-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、Br、CN、ORa、NRaRb、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、-(C1-C4)アルキレン-ORa及び-(C1-C4)アルキレン-NRaRbから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている、[1]記載の化合物。
[3]
Qが、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)Rd、又は-C(=O)NRaRbである、[1]又は[2]記載の化合物。
[4]
X、Y及びZの各々が、独立に、(C1-C4)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリル、フェニル、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C2)アルキレン-フェニル又は-(C1-C2)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C1-C4)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリル、フェニル、5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C2)アルキレン-フェニル及び-(C1-C2)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、無置換であるか、又はD、F、Cl、CN、(C2-C4)アルケニル、(C2-C4)アルキニル、ORa、NRaRb、-(C1-C2)アルキレン-ORa、及び-(C1-C2)アルキレン-NRaRbから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている、[1]又は[2]記載の化合物。
[5]
R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7の各々が、独立に、H、D、F又はClである、[1]又は[2]記載の化合物。
[6]
Ra、Rb及びRcの各々が、独立に、H、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)ハロアルキル、(C3-C6)シクロアルキル、-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル又は-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリルであり、ここで(C1-C4)アルキル、(C1-C4)ハロアルキル、(C3-C6)シクロアルキル、-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル及び-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリルの各々が、無置換であるか、又はD、F、Cl、CN、N3、OH、NH2、(C1-C3)ハロアルキル、(C1-C3)アルコキシ及び(C1-C3)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている、[1]記載の化合物。
[7]
Rdが、(C3-C6)シクロアルキルであり、ここで(C3-C6)シクロアルキルが、無置換であるか、又はD、F、CN、ORa、NRaRb、(C1-C3)アルキル、(C2-C4)アルケニル、(C2-C4)アルキニル、-(C1-C2)アルキレン-ORa及び-(C1-C2)アルキレン-NRaRbから独立に選択された1、2、3もしくは4個の置換基により任意に置換されている、[1]記載の化合物。
[8]
X、Y及びZの各々が、独立に、H、D、CH3、1、2もしくは3個の重水素原子により置換されたメチル基、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、又は、D、F及びClから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により置換されているフェニル基である、[1]又は[2]記載の化合物。
[9]
Qが、
【化42】
である[1]記載の化合物。
[10]
式(II)を有する、[1]記載の化合物:
【化43】
(式中:
Qは、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)Rd、-N(Rc)S(=O)NRaRb、-N(Rc)S(=O)Ra、-N(Rc)S(=O)2NRaRb、-N(Rc)S(=O)2Ra又は-C(=O)NRaRbであり;
X、Y及びZの各々は、独立に、H、D、(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C8)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C7)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール又は-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C1-C6)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C8)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C7)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール及び-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、D、F、Cl、Br、CN、(C2-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、ORa、NRaRb、-(C1-C4)アルキレン-ORa及び-(C1-C4)アルキレン-NRaRbから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により任意に置換されていてもよく;
Ra、Rb及びRcの各々は、独立に、H、(C1-C6)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、O、S及びNから独立に選択されたヘテロ原子を1、2、3もしくは4個含む5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール又は-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)であり、ここで(C1-C6)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、(C6-C10)アリール、5〜10員のヘテロアリール、-(C1-C4)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C4)アルキレン-(C6-C10)アリール及び-(C1-C4)アルキレン-(5〜10員のヘテロアリール)の各々は、D、F、Cl、CN、N3、OH、NH2、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)アルコキシ及び(C1-C6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3、又は4個の置換基により任意に置換されていてもよく;並びに
Rdは、(C3-C8)シクロアルキルであり、ここで(C3-C8)シクロアルキルは、D、F、Cl、OH、NH2、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ及び(C1-C6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3、又は4個の置換基により任意に置換されていてもよい。)。
[11]
Qが、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)Rd、-N(Rc)S(=O)NRaRb、-N(Rc)S(=O)2NRaRb、-N(Rc)S(=O)2Ra、又は-C(=O)NRaRbであり;並びに
Rdが、(C3-C8)シクロアルキルであり、ここで(C3-C8)シクロアルキルは、D、F、Cl、OH、NH2、(C1-C6)アルコキシ及び(C1-C6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3、又は4個の置換基により任意に置換されていてもよい、[10]記載の化合物。
[12]
Qが、-N(Rc)C(=O)NRaRb、-N(Rc)C(=O)Rd、又は-C(=O)NRaRbである、[10]記載の化合物。
[13]
X、Y及びZの各々が、独立に、H、D、(C1-C4)アルキル又はフェニルであり、ここで(C1-C4)アルキル及びフェニルの各々は、D、F及びClから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により任意に置換されていてもよい、[10]又は[11]記載の化合物。
[14]
Ra、Rb及びRcの各々が、独立に、H、(C1-C4)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル又は-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリルであり、ここで(C1-C4)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、(C3-C6)ヘテロシクリル、-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)シクロアルキル及び-(C1-C2)アルキレン-(C3-C6)ヘテロシクリルの各々が、D、F、Cl、CN、N3、OH、NH2、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)アルコキシ及び(C1-C6)アルキルアミノから独立に選択された1、2、3、又は4個の置換基により任意に置換されていてもよい、[10]又は[11]記載の化合物。
[15]
X、Y及びZの各々が、独立に、H、D、Me、CH2D、CHD2、CD3、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、又はD、F及びClから独立に選択された1、2、3、4もしくは5個の置換基により任意に置換されているフェニル基である、[10]又は[11]記載の化合物。
[16]
前記Qが
【化44】
である、[10]記載の化合物。
[17]
下記構造:
【化45-1】
【化45-2】
【化45-3】
【化45-4】
の一つを有する、[1]記載の化合物。
[18]
[1]〜[17]のいずれか一つに記載の化合物と、薬学的に許容され得る担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、ビヒクル、又はこれらの組み合わせとを含有する、医薬組成物。
[19]
化学療法薬、抗増殖薬、アテローム性動脈硬化症を治療するための薬剤、肺線維症を治療するための薬剤、及びこれらの組み合わせから選択される治療薬をさらに含有する、[18]記載の医薬組成物。
[20]
前記治療薬が、アドリアマイシン、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、イクサベピロン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、デキサメタゾン、エトポシド、フルオロウラシル、アファチニブ、アリセルチブ、アムバチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、ブリバニブ、カボザンチニブ、セジラニブ、クレノラニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、ダヌセルチブ、ドビチニブ、エルロチニブ、フォレチニブ、ガネテスピブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、イニパリブ、ラパチニブ、レンバチニブ、リニファニブ、リンシチニブ、マシチニブ、モメロチニブ、モテサニブ、ネラチニブ、ニラパリブ、ニロチニブ、オプロゾミブ、オラパリブ、パゾパニブ、ピクチリシブ、ポナチニブ、キザルチニブ、レゴラフェニブ、リゴセルチブ、ルカパリブ、ルクソリチニブ、サラカチニブ、サリデジブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タソシチニブ、テラチニブ、チバンチニブ、チボザニブ、トファシチニブ、トラメチニブ、バンデタニブ、ベリパリブ、ベムラフェニブ、ビスモデジブ、ボラセルチブ、インターフェロン、カルボプラチン、トポテカン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、テモゾロミド、トシツモマブ、トラベクテジン、ベリムマブ、ベバシズマブ、ブレンツキシマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、イピリムマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ又はこれらの組み合わせである、[19]記載の医薬組成物。
[21]
患者における増殖性障害を予防する、処置する、治療する、又は重症度を軽減する上での使用のための、[1]〜[17]のいずれか一つに記載の化合物、又は[18]〜[20]のいずれか一つに記載の医薬組成物。
[22]
前記増殖性障害が、転移性癌、大腸癌、胃腺癌、膀胱癌、乳癌、腎癌、肝癌、肺癌、皮膚癌、甲状腺癌、頭頸部癌、前立腺癌、膵臓癌、CNSの癌、膠芽腫、骨髄増殖性障害、アテローム性動脈硬化症、又は肺線維症である、[21]記載の使用のための化合物又は医薬組成物。
[23]
[1]〜[17]のいずれか一つに記載の化合物、又は[18]〜[20]のいずれか一つに記載の医薬組成物により、患者における増殖性障害を予防する、管理する、治療する、又は重症度を軽減する方法。
[24]
前記増殖性障害が、転移性癌、大腸癌、胃腺癌、膀胱癌、乳癌、腎癌、肝癌、肺癌、皮膚癌、甲状腺癌、頭頸部癌、前立腺癌、膵臓癌、CNSの癌、膠芽腫、骨髄増殖性障害、アテローム性動脈硬化症、又は肺線維症である、[23]記載の方法。
[25]
生体試料中のプロテインキナーゼ活性を阻害又は調節する方法であって、[1]〜[17]のいずれか一つに記載の化合物、又は[18]〜[20]のいずれか一つに記載の医薬組成物と生体試料を接触させることを含む前記方法。
[26]
前記プロテインキナーゼが、受容体チロシンキナーゼである、[25]記載の方法。
[27]
前記受容体チロシンキナーゼが、VEGFR、c-Met、Ron、Axl又はそれらの組み合わせである、[26]記載の方法。