(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Arは、ベンゼン、オルト−、メタ−もしくはパラ−ビフェニル、オルト−、メタ−、パラ−もしくは分岐テルフェニル、オルト−、メタ−、パラ−もしくは分岐クアテルフェニル、1−,2−もしくは3−フルオレニル、1−,2−、3−もしくは4−スピロビフルオレニル、1−もしくは2−ナフチル、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、1−,2−もしくは3−カルバゾール、1−,2−もしくは3−ジベンゾフラン、1−,2−もしくは3−ジベンゾチオフェン、インデノカルバゾール、インドロカルバゾール、2−、3−もしくは4−ピリジン、2−、4−もしくは5−ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ベンズアントラセンまたは2もしくは3個のこれらの組み合わせから選ばれ、それぞれは、1以上の基R1により置換されてよいことを特徴とする、請求項6記載の化合物。
請求項1〜9何れか1項記載の少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする、有機エレクトロルミッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、染料増感性有機太陽電池、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子、発光電子化学電池、有機レーザーダイオードおよび有機プラズモン発光素子より成る群から選ばれる電子素子。
請求項1〜9何れか1項記載の化合物が、燐光もしくは蛍光エミッターのためのマトリックス材料として、および/または電子ブロックもしくは励起子ブロック層中で、および/または正孔輸送層中でおよび/または正孔ブロック層中で、および/または正孔ブロックもしくは電子輸送層中で用いられることを特徴とする、有機エレクトロルミッセンス素子である請求項12記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用に適する材料とこれらの材料を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能的材料として用いられる有機エレクトロルミネッセント素子(OLED)の構造は、たとえばUS4539507、US5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで用いられる発光材料は、次第に、蛍光ではなく燐光を呈する有機金属錯体に代わってきている。量子力学的理由により、4倍までのエネルギーおよびパワー効率の増加が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。しかしながら、概して、OLEDの場合、特に、三重項発光(燐光)を示すOLEDの場合において、たとえば、効率、駆動電圧および寿命に関して、改善に対する必要性が未だ存在する。
【0003】
燐光OLEDの特性は、用いられる三重項エミッターによってのみ決定されるのではない。ここで、特に、マトリックス材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、正孔輸送材料および電子もしくは励起子ブロック材料等に使用されるその他の材料も、また、特に重要である。このように、これら材料の場合における改善が、OLED特性での顕著な改善をもたらすこともできる。
【0004】
先行技術にしたがうと、たとえば、WO 2007/063754 もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2010/136109にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2012/074210にしたがうフルオレンもしくはスピロビフルオレン誘導体が、有機エレクトロルミッセンス素子での燐光エミッターのためのマトリックス材料として用いられる。ここで、特に、材料の効率と寿命と熱的安定性に関して、さらなる改善が望まれる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、OLEDでの、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料のみならず、正孔ブロック材料として、電子輸送材料として、または随意に、正孔輸送および/または電子ブロック材料としての使用に適する化合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、OLED製造のための材料のより大きな可能な選択を当業者に提供することである。
【0006】
驚くべきことに、以下により詳細に説明されるある種の化合物が、この目的を達成し、OLEDでの使用に極めて適し、有機エレクトロルミネッセンス素子における改善をもたらすことが見出された。ここで、改善は、特に、寿命および/または駆動電圧に関する。したがって、本発明は、これらの化合物とこのタイプの化合物を含む、電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子に関する。
【0007】
したがって、本発明は、式(1)または(1A)の化合物に関し、
【化1】
【0008】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1またはNであり、ただし、少なくとも一つの基Yは、Nであり;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1もしくはNであるか、または2つの隣接するXは、S、OまたはNR
1であり、その結果、5員環を形成するか、または2つの隣接するXは、次の式(2)、(3)または(4)の基であり、
【化2】
【0009】
式中^は、式(1)中で対応する隣接基Xを示し、
Vは、出現毎に同一であるか異なり、C(R
1)
2、NR
1、O、S、BR
1、Si(R
1)
2またはC(=O)であり;
Zは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1またはNであり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基R
1により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、N(Ar
1)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡CもしくはOで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)、または、1以上の基R
2により置換されてよい6〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個の隣接する置換基Rは、1以上の基R
2により置換されてよい単環式あるいは多環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してよく;
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、N(Ar
1)
2、N(R
2)
2、C(=O)Ar
1、C(=O)R
2、P(=O)(Ar
1)
2、P(Ar
1)
2、B(Ar
1)
2、Si(Ar
1)
3、Si(R
2)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、C=O、C=S、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)、または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基より成る基から選ばれ;ここで、2個の隣接する置換基R
1は、1以上の基R
2により置換されてよい単環式あるいは多環式の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を形成してよく;
Ar
1は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の非芳香族基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、同じN原子もしくはP原子に結合する2個の基Ar
1は、単結合または、N(R
2)、C(R
2)
2、OもしくはSから選ばれるブリッジにより互いにブリッジされてよく、
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基または5〜30個のC原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基R
2は、単環式あるいは多環式の脂肪族環構造を互いに形成してもよく;
m、nは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり、ただし、m+nは、1以上であり;
pは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり;
qは、0または1である。
【0010】
アリール基は、本発明の意味では、6〜60個のC原子を含有し、ヘテロアリール基は、本発明の意味では、2〜60個のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、ただしC原子およびヘテロ原子の合計は、少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。ここで、アリール基またはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環、すなわち、ベンゼン、または簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合(縮合環化)アリールもしくはヘテロアリール基、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等のいずれかの意味で使用される。たとえば、ビフェニル等の単結合により互いに結合した芳香族環は、逆に、アリールもしくはヘテロアリール基ではなく、芳香族環構造と称される。
【0011】
芳香族環構造は、本発明の意味では、環構造中に6〜60個のC原子を含有する。複素環式芳香族環構造は、本発明の意味では、環構造中に2〜60個のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、ただしC原子およびヘテロ原子の合計は、少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。芳香族または複素環式芳香族環構造は、本発明の目的のために、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基だけを含有するとは限らない構造であって、その構造の複数のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位、たとえばC、NもしくはO原子まなどによって連結されていてもよい構造の意味で使用されることを意図する。したがって、たとえば、フルオレン、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の構造は、2つ以上のアリール基が、たとえば短いアルキル基によって中断されている構造と同様に、本発明の意味ではやはり芳香族環構造の意味で使用されることを意図する
本発明の目的では、1〜40個のC原子を含んでよく、さらに個々のH原子またはCH
2基が、前述の基により置換されていてもよい脂肪族炭化水素基またはアルキル基もしくはアルキニル基もしくはアルケニル基は、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシ基は、特に、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシおよび2,2,2-トリフルオロエトキシの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するチオアルキル基は、特に、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。一般に、本発明のアルキル、アルコキシまたはチオアルキル基は直鎖状、分枝または環状であってよく、1以上の隣接していないCH
2基は上記基によって置きかえられていてもよく、さらに、1以上のH原子もD、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2、好ましくはF、ClまたはCN、さらに好ましくはFまたはCN、特に好ましくはCNによって置きかえられていてもよい。
【0012】
各場合において、前述の基R
2または炭化水素基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族もしくは複素環式芳香族系に連結していてもよいが、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、トリフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-またはtrans-インデノフルオレン、cis-またはtransインデノカルバゾール、cis-またはtrans-インドロカルバゾール、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから得られる基の意味で使用される。
【0013】
本発明の意味で隣接する基もしくは隣接する置換基は、順に互いに直接結合するC原子に結合する置換基または同じC原子に結合する置換基の意味で使用される。
【0014】
本発明の好ましい1態様では、Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1もしくはNであり、ここで、環毎の最大1つの基Xは、Nであるか、または2つの隣接する基Xは、式(2)または(3)の基、特に、式(3)の基であり、ここで、Zは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1であり、Vは、出現毎に同一であるか異なり、NR
1、C(R
1)
2、OまたはSである。さらに、好ましくは、X上に存在する隣接する基R
1は、互いに環を形成しない。特に、好ましくは、Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR
1である。
【0015】
式(1)の化合物の好ましい態様は、次の式(5)〜(11)の化合物であり、式(1A)の化合物の好ましい態様は、次の式(12)の化合物であり、
【化3-1】
【化3-2】
【0016】
(式中、使用された記号は、上記の意味を有する。ここで、Vは、好ましくは、NR
1、C(R
1)
2、OまたはSである。VがC(R
1)
2である場合には、2つの基R
1は、互いに環を形成し、それにより、スピロ系を形成することが好まれ得る。
【0017】
本発明の好ましい1態様では、pは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2であり、特に、好ましくは、0または1であり、非常に、好ましくは、0である。
【0018】
さらに、好ましくは、qは0または1、特に、好ましくは、0である。
【0019】
式(5)〜(12)の構造の、特に、好ましい態様は、式(5a)〜(12a)の構造であり、
【化4-1】
【化4-2】
【0020】
式中、使用された記号と添え字は、上記の意味を有する。
【0021】
本発明の好ましい1態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、N(Ar
1)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル基、1以上の非芳香族基R
2により置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造より成る基から選ばれる。本発明の、特に、好ましい1態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜4個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜8個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル基、特に、Hから選ばれる。本発明の化合物がポリマー製造のためのモノマーとして用いられる場合には、2つの置換基RがBrもしくはIであり、重合がこれらの基を介して実施されることが好まれ得る。
【0022】
本発明のさらに好ましい1態様では、R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Br、CN、N(Ar
1)
2、C(=O)Ar
1、P(=O)(Ar
1)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキルもしくはアルコキシ基、2〜10個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)、または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る群から選ばれる。R
1は、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、N(Ar
1)
2、1〜4個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜8個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル基(夫々、1以上の基R
2により置換されてよい。)、または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る群から選ばれる。
【0023】
Rが、芳香族環構造であるならば、またはR
1が芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるならば、この、RまたはR
1は、そこで、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、Arのために適する基として以下に示されるのと同じ基から選ばれる。
【0024】
真空蒸発により加工される化合物においては、アルキル基は、好ましくは、5個を超えるC原子、特に、好ましくは、4個を超えるC原子、非常に、特に、好ましくは、1個を超えるC原子を有さない。溶液から加工される化合物に対しては、10個を超えるC原子を有するアルキル基、特に、分岐アルキル基により置換された化合物またはオリゴアリーレン基、たとえば、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニルまたはクアテルフェニルにより置換された化合物が、また、適している。
【0025】
本発明の好ましい1態様では、n=1およびm=0である。本発明のさらに好ましい1態様では、n=0およびm=1である。本発明のなおさらに好ましい1態様では、n=m=1である。
【0026】
好ましい基Arは、各場合に以上の基R
1により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。適切な基Arは、ベンゼン、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐クアテルフェニル、1-,2-もしくは3-フルオレニル、1-,2-,3-もしくは4-スピロビフルオレニル、1-もしくは2-ナフチル、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、1-,2-もしくは3-カルバゾール、1-,2−もしくは3-ジベンゾフラン、1-,2-もしくは3-ジベンゾチオフェン、インデノカルバゾール、インドロカルバゾール、2-,3-もしくは4-ピリジン、2-,4-もしくは5-ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ベンズアントラセンまたは2もしくは3個のこれらの組み合わせから選ばれ、それぞれは、1以上の基R
1により置換されてよい。Arは、特に、好ましくは、芳香族環構造であり、特に、ベンゼン、オルト-、メタ-もしくはパラ−-フェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐クアテルフェニルより成る群からから選ばれる。以下により詳細に説明される基(Het−Ar)が、基Arにも結合する場合は、すなわち、n=m=1の場合は、そこで、基(Het−Ar)は、任意の所望の位置でArに結合する。
【0027】
本発明の好ましい1態様では、Arは、芳香族環構造であり、すなわち、ヘテロアリール基を含まない。これは、n=1で基(Het−Ar)が、以下に説明されるとおり、Arに結合する場合とn=0の場合の両方にあてはまる。
【0028】
本発明のさらに好ましい1態様では、基Ar中の芳香族基は、Arが1個を超えるアリール基を含む場合には、パラ-結合ではなく、すなわち、それらは、好ましくは、パラ-ビフェニル、パラ-テルフェニルもしくはパラ-クアテルフェニルではなく、その代わりに、それぞれ、たとえば、オルト-またはメタ-結合構造である。
【0029】
さらに、好ましくは、Arが、カルバゾール、ピロール、イミダゾールもしくはベンズイミダゾールを含むならば、この基は窒素原子を介して結合せずに、それに代えて炭素原子を介してArのその他の芳香族環または窒素原子に結合する。
【0030】
n=1に対して、本発明の化合物は、以下において(Het−Ar)と略称される次の式のヘテロアリール基を含み、
【化5】
【0031】
n=1に対しては、この基は、本発明の化合物中に存在し、m=1に対しては、Arに結合するか、または、m=0に対しては、窒素に結合する。基(Het−Ar)において、少なくとも一つの基Yと、好ましくは、最大3個の基Yは、Nであり、その他の基Yは、CR
1である。
【0032】
好ましい態様は、次の式(Het−Ar−1)〜(Het−Ar−10)であり、
【化6】
【0033】
式中、破線の結合は、Arへの結合であるか、またはm=0に対して、窒素への結合であり、使用される記号は上記の意味を有する。
【0034】
特に、好ましいのは、次の式(Het−Ar−1a)〜(Het−Ar−10b)であり、
【化7】
【0035】
式中、破線の結合は、Arへの結合であるか、またはm=0に対して、窒素への結合であり、使用される記号は上記の意味を有する。
【0036】
(Het−Ar)が基(Het−Ar−1)または(Het−Ar−1a)であるならば、この基中2つの置換基R
1は、そこで、1以上の基R
2により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、特に、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐クアテルフェニル、1-,2-,3-もしくは4-フルオレン、1-,2-,3-もしくは4-スピロビフルオレン、1-,2-,3-もしくは4-ジベンゾフランまたは1-,2-,3-もしくは4-カルバゾールである。
【0037】
(Het−Ar)が基(Het−Ar−2)〜(Het−Ar−10)または(Het−Ar−2a)〜(Het−Ar−10a)であるならば、この基中のR
1は、そこで、好ましくは、H、D、1以上の基R
2により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、特に、H、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐クアテルフェニルである。
【0038】
上記言及された好ましい態様は、所望のとおりに互いに組み合わせることができる。本発明の、特に、好ましい1態様では、上記言及した選好が同時に出現する。
【0039】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様が、燐光エミッターのためのマトリックス材料として、または燐光層に直接隣接する層で使用されるならば、化合物は、2個を超える6員環が互いに直接縮合する縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まないことが、さらに、好ましい。特に、基R、R
1、R
2およびArが、2個を超える6員環が互いに直接縮合する縮合アリールもしくはヘテロアリール基を含まないこと、および二個の隣接する基Xが、式(2)の基ではないことが、さらに、好ましい。
【0040】
上記態様にしたがう好ましい化合物の例は、以下の表に示される。
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【化8-4】
【化8-5】
【化8-6】
【0041】
本発明による化合物の基本構造は、スキーム1で概説される経路により調製することができる。官能化は、スキーム2にしたがって、実施することができる。
【化9】
【化10】
【0042】
ここで、合成は、文献公知(Organic Letters 2009, 11(12), 2607-2610)の4-ブロモスピロビフルオレンまたは対応する置換4-ブロモスピロビフルオレンから出発して、通常実施することができる。これは、オルト-ハロアミノベンゼンのC−Nカップリング反応、たとえば、PdもしくはCu触媒により反応され、ここで、ハロゲンは、好ましくは、Cl、BrもしくはIである。ナフタレン、フルオレン、ジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン誘導体を、たとえば、全く同様に用いることができ、式(2)もしくは(3)の基を含む化合物を得る。対応するカルバゾール誘導体を得る閉環反応は、分子間Pd触媒カップリング反応により実施することができる。
【0043】
式(1A)の化合物の合成は、文献公知の4,4'-ジブロモスピロビフルオレンから出発して全く同様に実施することができる。
【0044】
n=1およびm=0の式(1)の化合物は、反応基が、好ましくは、Cl、BrもしくはIである対応する官能化芳香族化合物もしくは複素環式芳香族化合物との、カップリング反応、たとえば、ハートウイグ-ブッフバルトカップリングまたはウルマンカップリングにより得ることができる。
【0045】
n=1およびm=0の式(1)の化合物は、求核芳香族置換反応または対応する脱離基、特に、ClもしくはBrにより置換された基(Het−Ar)とのPd触媒カップリング反応により得られる。
【0046】
n=1およびm=1の式(1)の化合物は、2官能化芳香族化合物もしくは複素環式芳香族化合物とのとのカップリング反応、たとえば、ハートウイグ-ブッフバルトカップリングまたはウルマンカップリング(反応基が、好ましくは、臭素基と沃素基である)と、引き続くPd触媒カップリング反応、たとえば、スズキ、ネギシ、ヤマモト、グリニャール-クロス、スチルカップリングにより、随意にハロゲン基のボロン酸誘導体への変換後に得られる。
【0047】
本発明は、さらに、以下の反応工程を含む式(1)または(1A)の化合物の製造方法に関する。
【0048】
a)基(Het−Ar)および/またはArを未だ含まない化合物(1)または(1A)の骨格の合成、
b)a)からの骨格の、スズキ、ネギシ、ヤマモト、グリニャール−クロスもしくはスチルカップリング等のC−Cカップリング、ブッフバルトもしくはウルマンカップリング等のC−Nカップリングにおける反応。
【0049】
上記記載の本発明による化合物、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸あるいはボロン酸エステル等の反応性脱離基により、または、オレフィン、スチレン、アクリレートもしくはオキセタン等の反応性重合可能基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの生成のためのモノマーとして使用することもできる。ここで、オリゴマー化またはポリマー化は、好ましくは、ハロゲン官能基もしくはボロン酸官能基を介してまたは重合可能基を介して生じる。さらに、この型の基を介してポリマーを架橋結合することもさらに可能である。本発明による化合物とポリマーは、架橋結合層または非架橋結合層として使用することができる。
【0050】
したがって、本発明は、さらに、一以上の上記言及した本発明による化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、本発明による化合物からポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの一以上の結合は、置換基に代わる一以上の位置に存在する。本発明による化合物の結合に応じて、これは、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖を生成するか、または主鎖中で結合するか、デンドリマーのコアを形成する。ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。オリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。上記記載したとおりの同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の本発明による化合物の繰り返し単位にあてはまる。
【0051】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。好ましいホモポリマーまたはコポリマーは、式(1)の単位または上記好ましい態様が、0.01〜99.9モル%、好ましくは、5〜90モル%、特に、好ましくは、20〜80モル%の範囲で存在する。ポリマー骨格を形成する適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO2000/22026にしたがう)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO2006/061181にしたがう)、パラ-フェニレン(たとえば、WO92/18552にしたがう)、カルバゾール(たとえば、WO2004/070772もしくはWO2004/113468にしたがう)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがう)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 2005/014689にしたがう)、cis-およびtrans-インデノフルオレン(たとえば、WO2004/041901もしくはWO2004/113412にしたがう)、ケトン(たとえば、WO2005/040302にしたがう)、フェナントレン(たとえば、WO2005/104264もしくはWO0207/017066にしたがう)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、さらなる単位、たとえば、正孔輸送単位、特に、トリアリールアミン系のもの、および/または電子輸送単位をも含んでもよい。さらに、ポリマーは、共重合された、またはブレンドとして混合されたかのいずれかの形態で三重項エミッターを含んでもよい。特に、本発明のオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーと三重項エミッターの組み合わせは、特に良好な結果を生じる。
【0052】
液相からの、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスからの本発明の化合物の加工のためには、本発明の化合物の調合物が必要である。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。二以上の溶媒の混合物を使用することが、この目的のために好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0053】
したがって、本発明は、さらに、本発明の化合物と少なくとも一つのさらなる化合物を含む調合物に関する。さらなる化合物は、たとえば、溶媒、特に、上記言及した溶媒の一つ、またはこれら溶媒の混合物であってよい。しかしながら、さらなる化合物は、電子素子で同様に用いられる少なくとも一つのさらなる有機もしくは無機化合物、たとえば、発光化合物および/またはさらなるマトリックス材料を含んでもよい。適切な、発光化合物とさらなるマトリックス材料は、有機エレクトロルミッセンス素子に関連して以下に示される。このさらなる化合物は、ポリマー状であってよい。
【0054】
本発明の化合物は、電子素子での、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用に適している。
【0055】
したがって、本発明は、さらに、本発明の化合物の電子素子での、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用に関する。
【0056】
本発明の意味での電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子である。素子は、また、無機材料または完全に無機材料から構成される層を含んでよい。
【0057】
電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、染料増感性太陽電池(DSSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機プラズモン発光素子から選ばれ、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、特に、好ましくは、燐光OLEDである。
【0058】
有機エレクトロルミッセンス素子は、カソード、アノードと少なくとも一つの発光層を含む。これらの層に加えて、有機エレクトロルミネセンス素子は、さらなる層、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層および/または電荷生成層を含んでもよい。たとえば、励起子ブロック機能を有する中間層を、2つの発光層の間に同様に導入してもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層を含んでもよく、または複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在する場合には、これらは、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発する種々の発光化合物が、発光層で使用される。特に、好ましいものは、3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。本発明の有機エレクトロルミッセンス素子は、タンデムOLED、特に、また、白色発光OLEDであってよい。
【0059】
上記示される態様にしたがう本発明による化合物は、その正確な構造に応じて、種々の層に使用することができる。好ましいものは、式(1)の化合物または上記好ましい態様を、その正確な置換に応じて、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として、および/または蛍光エミッターとして、特に、青色蛍光エミッターとして、および/または電子ブロック層中または励起子ブロック層中、および/または正孔輸送層中に、および/または正孔ブロック層中に、および/または電子輸送層中に含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0060】
本発明の好ましい態様では、本発明の化合物は、発光層中で、燐光化合物のためのマトリックス材料として使用される。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、一つの発光層を含んでもよく、もしくは複数の発光層を含んでもよく、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの本発明による化合物をマトリックス材料として含む。
【0061】
本発明の化合物が、発光層中で、燐光化合物のためのマトリックス材料として使用されるならば、好ましくは、一以上の燐光材料(三重項エミッター)と組み合わせて使用される。本発明の意味での燐光発光は、比較的高いスピン多重度、すなわち、スピン状態>1の励起状態から、特に、励起三重項状態からのルミネッセンスという意味で使われる。本発明の意味で、遷移金属もしくはランタノイドを含むすべてのルミネッセンス錯体、特に、すべてのイリジウム、白金および銅錯体が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0062】
本発明の化合物と発光化合物の混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、本発明の化合物を、99〜1vol%、好ましくは、98〜10vol%、特に、好ましくは、97〜60vol%、特に、95〜80vol%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、エミッターを1〜99vol%、好ましくは、2〜90vol%、特に、好ましくは、3〜40vol%、特に、5〜20vol%含む。
【0063】
本発明のさらに好ましい1態様は、本発明の化合物の、さらなるマトリックス材料と組み合わせての燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用である。本発明の化合物と組み合わせて使用することのできる、特に、適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527、WO 2008/086851もしくは WO 2013/041176に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109もしくはWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2007/063754、WO 2008/056746、WO 2010/15306、WO 2011/057706、WO 2011/060859もしくはWO2011/060877にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、WO 2011/042107、WO 2011/060867、WO 2011/088877およびWO 2012/143080にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO 2012/048781にしたがうトリフェニレン誘導体である。通常のエミッターよりも、より短い波長で発光するさらなる燐光エミッターが、同様に、コホストとして混合物中に存在してもよく、または電荷輸送に顕著な適度に関与しない化合物(たとえば、WO 2010/108579に記載される)が存在してもよい。
【0064】
適切な燐光発光化合物(三重項エミッター)、特に、好ましくは、可視域で適切な励起により発光する化合物は、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子、特に、この原子番号を有する金属を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウムまたは白金を含む化合物である。
【0065】
上記のエミッターの例は、出願WO 00/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373、US2005/0258742、WO 2010/086089 WO 2011/157339、WO2012/007086 WO 2012/163471, WO 2013/000531およびWO 2013/020631により明らかにされている。また、適切なのは、たとえば、未公開出願EP 12005187.5およびEP 12005715.3に開示された金属錯体である。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切であり、当業者は発明性を必要とすることなく、更なる燐光発光化合物を使用することができよう。
【0066】
本発明の化合物は、また、たとえば、US 2011/0248247およびUS2012/0223633に記載されるとおりに有機エレクトロルミッセンス素子において、燐光エミッターのためのマトリックス材料として適している。これらの多色表示素子においては、追加的な青色発光層が、青色以外の色を有する全画素の全領域で気相堆積により適用される。ここで、驚くべきことに、本発明の化合物は、赤色および/または緑色画素に対するマトリックス材料として用いられると、気相堆積青色発光層と一緒になって非常に良好な発光をもたらし続けることが見出された。
【0067】
本発明のさらなる1態様では、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、別々の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まず、たとえば、WO 2005/053501に記載されるとおり、発光層は、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接する。さらに、たとえば、WO 2009/030981に記載されるとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0068】
本発明のさらなる態様では、本発明の化合物は、正孔輸送層または電子ブロックもしくは励起子ブロック層中で用いられる。
【0069】
本発明のなおさらに好ましい1態様では、本発明の化合物は、電子輸送もしくは電子注入層中で電子輸送材料として用いられる。ここで、発光層は蛍光または燐光であってよい。化合物が電子輸送材料として使用されるならば、化合物は、たとえば、LiQ(リチウムヒドロキシキノリナート)等のアルカリ金属錯体でドープされることが好ましい可能性がある。
【0070】
本発明のなおさらに好ましい1態様では、本発明の化合物は、正孔ブロック層で用いられる。正孔ブロック層は、カソード側で発光層に直接隣接する層との意味で使われる。
【0071】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層では、先行技術にしたがって通常用いられるすべての材料を使用することができる。したがって、当業者は、発明性を要することなく、本発明による式(1)の化合物もしくは上記示された好ましい態様
と組み合わせて、有機エレクトロルミネッセンス素子のために知られたすべての材料を用いることができる。
【0072】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0073】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0074】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、インクジェット印刷もしくはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。たとえば、適切な置換により得られた可溶性の化合物が、この目的のために必要である。
【0075】
たとえば、一以上の層が溶液から適用され、一以上のさらなる層が気相堆積により適用されるハイブリッドプロセスも可能である。
【0076】
これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、本発明の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子を、発明性を要することなく適用することができる。
【0077】
本発明による化合物と本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、先行技術を凌駕する以下の一以上の驚くべき優位性により特徴付けられる。
【0078】
1.本発明による化合物は、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用され、長い寿命をもたらす。これは、特に、化合物が燐光エミッターのためのマトリックス材料として用いられるときに、あてはまる。
【0079】
2.本発明による化合物は、非常に低い駆動電圧をもたらす。これは、特に、化合物が燐光エミッターのためのマトリックス材料として用いられるときに、あてはまる。
【0080】
これらの上記優位性は、その他の電子特性を損なうことはない。
【0081】
本発明は、次の例により詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、発明性を要することなく、開示された範囲全体を実行し、本発明による化合物をさらに調製し、それらを電子素子で使用し、本発明によるプロセスを使用するために説明を使用することができるだろう。
【0082】
例:
以下の合成は、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下、無水溶媒中で行われる。溶媒および試薬を、ALDRICHまたはABCRから購入することができる。市販されていない出発材料の場合に示される番号は、対応するCAS番号である。
【0083】
合成例
例1a: (2-クロロフェニル)-4-スピロ-9,9’-ビフルオレニル-アミンの合成
【化11】
【0084】
54g(137ミリモル)の4-ブロモスピロ-9,9’-ビフルオレン(1161009-88-6)と、17.9g(140ミリモル)の2-クロロアニリンと、68.2g(710ミリモル)のナトリウムtert-ブトキシドと、613mg(3ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、3.03g(5ミリモル)のdppfとを1.3lのトルエン中に溶解させ、還流下で5時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、トルエンで増し、セライトを通して濾過する。濾液を真空中で蒸発させ、残留物をトルエン/ヘプタンから再結晶化させる。生成物を無色の固形分として単離させる。収率:52.2g(118ミリモル)、理論値の86%。
【0085】
以下の化合物を同じように調製する:
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【0086】
例2a:スピロ[9H-フルオレン-9,7’(1’H)-インデノ[1,2-a]-カルバゾール]の合成
【化13】
【0087】
45g(102ミリモル)の(2-クロロフェニル)-4-スピロ-9,9’-ビフルオレニルアミンと、56g(409ミリモル)の炭酸カリウムと、4.5g(12ミリモル)のトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロホウ酸塩と、1.38g(6ミリモル)の酢酸パラジウム(II)とを500mlのジメチルアセトアミド中に懸濁させ、還流下で6時間撹拌する。冷却後、反応混合物を300mlの水と600mlのジクロロメタンとで増す。混合物をさらに30分間撹拌し、有機相を分離させ、短いセライト床を通して濾過し、次いで溶媒を真空中で除去する。粗製生成物を熱トルエンで抽出し、トルエンから再結晶化させる。生成物をベージュ色の固形分として単離させる(32.5g、80ミリモル、理論値の78%に対応する)。
【0088】
以下の化合物を同じように調製する:
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【化14-4】
【0089】
例3a: スピロ[9H-フルオレン-9,7’(12’H)-インデノ[1,2-a]-カルバゾール]-12’-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)]の合成
【化15】
【0090】
鉱油中、4.2gの60%NaH(0.106モル)を保護雰囲気下で、300mlのジメチルホルムアミド中に溶解させる。43g(0.106モル)のスピロ[9H-フルオレン-9,7’(1’H)-インデノ[1,2-a]-カルバゾール]を250mlのDMF中に溶解させ、反応混合物へ滴下する。室温で1時間後、200mlのTHF中の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(34.5g、0.122モル)の溶液を滴下する。次いで、反応混合物を室温で12時間撹拌する。この時間後、反応混合物を氷に注ぐ。室温まで温めた後、プロセスにおいて沈殿した固形分を濾過し、エタノールとヘプタンで洗浄する。残留物を熱トルエンで抽出し、トルエン/n−ヘプタンから再結晶化させ、最後に、高真空中で昇華させる。純度は99.9%である。収率は28.4g(44.5ミリモル;42%)である。
【0091】
以下の化合物を同じように調製する:
【化16-1】
【化16-2】
【化16-3】
【化16-4】
【化16-5】
【0092】
例4a: スピロ[9H-フルオレン-9,7’(12’H)-インデノ[1,2-a]-カルバゾール]-12’-[4-ブロモフェニル]の合成
【化17】
【0093】
32.8g(81ミリモル)のスピロ[9H-フルオレン-9,7’(1’H)-インデノ[1,2-a]-カルバゾール]と、115g(406ミリモル)の1-ブロモ-4-ヨードベンゼンと、22.4g(162ミリモル)の炭酸カリウムと、1.84g(8.1ミリモル)の1,3-ジ(2-ピリジル)-1,3-プロパンジオンと、1.55g(8.1ミリモル)のヨウ化銅と、1000mlのDMFとを還流下で30時間加熱する。その後、反応混合物をロータリーエバポレーター中で蒸発乾固させる。残留物をTHF中で溶解させ、短いシリカゲル床を通して濾過し、次いで溶媒を真空中で除去する。その後、固形分をヘプタン/THFから再結晶化させ、熱ヘプタン/トルエンにより酸化アルミニウムにわたって抽出する。冷却において沈殿した固形分を濾過し、乾燥させる。収率:37g(66ミリモル)、81%。
【0094】
以下の化合物を同じように調製する:
【化18-1】
【化18-2】
【0095】
例5a: スピロ[9H-フルオレン-9,7’(12’H)-インデノ[1,2-a]-カルバゾール]-12’-[4-フェニルホウ酸]の合成
【化19】
【0096】
55ml(138ミリモル)のn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)を、1500mlのTHF中の、−78℃に冷却した、73g(130ミリモル)の1-ブロモ-9-スピロ-ビフルオレンの溶液へ滴下する。反応混合物を−78℃で30分間撹拌する。混合物を室温にさせておき、−78℃に再度冷却し、50mlのTHF中の20ml(176ミリモル)のホウ酸トリメチルの混合物を次いで、迅速に添加する。−10℃に暖めた後、混合物を135mlの2N塩酸を使用して、加水分解する。有機相を分離させ、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水させ、蒸発乾固させる。残留物を300mlのn−ヘプタンに取込み、無色の固形分を吸引濾過し、n−ヘプタンで洗浄し、真空中で乾燥させる。収率:94.5g(255ミリモル)、純度:HPLCによると理論値の99%。
【0097】
以下の化合物を同じように調製する:
【化20-1】
【化20-2】
【0098】
例6a
【化21】
【0099】
57.8g(110ミリモル)のスピロ[9H-フルオレン-9,7’(12’H)-インデノ[1,2-a]-カルバゾール]-12’-[4-フェニルホウ酸]と、29.5g(110.0ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンと、44.6g(210.0ミリモル)のリン酸三カリウムとを、500mlのトルエンと、500mlのジオキサンと、500mlの水との中に懸濁させる。913mg(3.0ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンと、次いで112mg(0.5ミリモル)の酢酸パラジウム(II)とをこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエン/ヘプタンから再結晶化させ、最後に高真空(p=5×10
−5ミリバール、T=377℃)中で昇華させる。収率は29.2g(41ミリモル)であり、理論値の37%に対応する。
【0100】
以下の化合物を同じように調製する:
【化22-1】
【化22-2】
【化22-3】
【0101】
例7a
【化23】
【0102】
43g(106ミリモル)のスピロ[9H-フルオレン-9,7’(1’H)-インデノ[1,2-a]-カルバゾール]と、17.9g(114ミリモル)のブロモベンゼンと、30.5gのNaOtBuとを、1.5lのp−キシレン中に懸濁させる。トルエン中の、0.5g(2.11ミリモル)のPd(OAc)
2と、4.2mlの1M トリ-tert-ブチルホスフィンの溶液とをこの懸濁液に添加する。反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、その度毎に200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物を熱トルエンで抽出し、トルエンから再結晶化させ、最後に高真空中で昇華させる。純度は99.9%であり、収率は21.4g(44.5ミリモル;42%)である。
【0103】
以下の化合物を同じように調製する:
【化24-1】
【化24-2】
【化24-3】
【化24-4】
【0104】
例8
【化25】
【0105】
7g(14.5ミリモル)のフェニル-4-スピロカルバゾールと、2.7g(15ミリモル)のNBSとを、500mlの四つ口フラスコ中の300mlのTHF中に溶解させ、室温で48時間、反応が終わるまで撹拌する。その後、混合物を50mlの水を使用して加水分解し、有機溶媒を減圧下で除去する。得られた固形分を300mlの熱エタノールで一度撹拌することによって、洗浄する。室温まで冷却後、固形分を濾過する。減圧下で乾燥後、無色の固形分として生成物が得られる。収率は7.3g(13ミリモル、理論値の90%に対応)である。
【0106】
例9a
【化26】
【0107】
17.5g(31ミリモル)の8aと、9.2g(32ミリモル)のフェニルカルバゾールホウ酸と、26.5g(125ミリモル)のリン酸三カリウムとを、1lの四つ口フラスコ中の、120mlのグリムと、170mlのトルエンと、120mlの水との中に懸濁させ、アルゴンを混合物に30分間、通過させる。140mg(0.6ミリモル)の酢酸パラジウムと380mg(1.2ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンとをその後、添加し、混合物を還流下で16時間加熱する。反応が終わると、反応混合物を室温まで冷却し、沈殿した固形分を濾過し、エタノールとヘプタンで洗浄する。その後、固形分を熱トルエンで二度、抽出し、ヘプタン/トルエンから再結晶化させ、400℃で、2×10
−5バールで昇華させる。生成物は、99.95%のHPLC純度を有する無色の固形分として得られる。収率は10.2g(14ミリモル、理論値の45%に対応する)である。
【0108】
以下の化合物を同じように調製する:
【化27】
【0109】
例10a
【化28】
【0110】
1000mlの無水ジオキサン中の、33.8g(71ミリモル)のビフェニル-2-イルビフェニル-4-イル-(4-ブロモフェニル)アミン(1371651-92-1)と、21.9g(86ミリモル)のビスピナコラートジボラン(73183-34-3)と、21.7g(221ミリモル)の酢酸カリウムと、1.7g(2.1ミリモル)の1,1-ビス-(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)二塩化物錯体とをDCMと共に、2lの四つ口フラスコ中で、反応が終わるまで、還流下で16時間加熱する。室温まで冷却後、有機相を酢酸エチルで増し、300mlの水で三度洗浄し、硫酸ナトリウムを使用して脱水させる。結合した有機相を、ロータリーエバポレーター中で蒸発乾固させる。ヘプタンから再結晶後、固形分として生成物が得られる。収率は22.6g(41ミリモル、61%)である。
【0111】
以下の化合物を同じように調製する:
【化29】
【0112】
例11a
【化30】
【0113】
対応するグリニャール試薬を、2.7g(110ミリモル)のヨード活性化した削り屑状マグネシウム及び、25.6g(110ミリモル)の2-ブロモビフェニルと、0.8mlの1,2-ジクロロエタンと、50mlの1,2-ジメトキシエタンと、400mlのTHFと、200mlのトルエンから、70℃の油浴を用いた二次加熱により調製する。
【0114】
マグネシウムが完全に反応したとき、混合物を室温まで冷ましておき、500mlのTHF中の、25.9g(100ミリモル)の4-[ビフェニル-4-イル-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]フルオレノン-9-オンの溶液(7時間)を次いで滴下して、反応混合物を50℃で4時間温め、次いでさらに12時間室温で撹拌する。100mlの水を添加し、混合物を簡潔に撹拌し、有機相を分離させ、溶媒を真空中で除去する。残留物を40℃で500mlの温かい氷酢酸中に懸濁させ、0.5mlの濃硫酸を懸濁液に添加し、混合物をその後、100℃でさらに2時間撹拌する。冷却後、沈殿した固体を吸引濾過し、その度毎に、100mlの氷酢酸で一度、100mlのエタノールで三度洗浄し、最後に、ジオキサンから再結晶化させる。収率:26.9g(68ミリモル)、68%;
1H−NMRによる純度約98%。
【0115】
以下の化合物を同じように調製する:
【化31】
【0116】
例12:アミンビルディングブロックの合成
【化32】
【0117】
24.0g(142ミリモル、1.2当量)の4-アミノビフェニル(CAS 92-67-1)と、32.0g(117ミリモル、1.0当量)の2-ブロモ-9,9’-ジメチルフルオレン(CAS 28320-31-2)とを最初に、950mlのトルエン中に導入し、アルゴンで30分間飽和させる。1.0g(1.8ミリモル、0.02当量)の1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(CAS 12150-46-8)と、350mg(1.6ミリモル、0.01当量)の酢酸パラジウム(CAS 3375-31-3)と、29g(300ミリモル、2.6当量)のナトリウムtert-ブトキシド(CAS 865-48-5)とをその後、添加し、混合物を還流下で終夜、加熱する。反応が終わると、バッチを300mlのトルエンで希釈し、水で抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水させ、溶媒をロータリーエバポレーター中で除去する。50mlの酢酸エチルを茶色のオイルに添加し、混合物を、ヘプタン/酢酸エチル(20:1)の混合物に添加する。形成された固形分を吸引濾過し、ヘプタンで洗浄する。乾燥により、99.1%のHPLC純度を有する29g(80ミリモル、69%)の所望の生成物が得られる。
【0118】
以下の化合物を同じように調製する:
【化33】
【0119】
例13:アミンビルディングブロックにおけるブリッジの導入
【化34】
【0120】
29g(80ミリモル、1.0当量)の中間体12aと、25g(80ミリモル、1.0当量)の3,3’-ジブロモ-1,1’-ビフェニル(CAS 16400-51-4)とを、600mlのトルエン中に溶解させ、30分間脱気する。45g(240ミリモル、3.0当量)のナトリウムtert-ブトキシドと、890mg(0.40ミリモル、0.050当量)の酢酸パラジウム(II)と、8ml(8.0ミリモル、0.10当量)の1Mトリ-tert-ブチルホスフィン溶液とをその後、添加する。バッチを還流下で終夜、加熱し、反応が終わると、酸化アルミニウムを通して、トルエンにより二度濾過する。ロータリーエバポレーター中で溶媒を除去した後、オイルを少量のTHF中で溶解させ、ヘプタンへ導入する。形成された固形分を吸引濾過し、ヘプタン/トルエン(1:1)により精製すると、16.6g(28ミリモル、35%)の所望の生成物が得られる。
【0121】
例14:トリアジンビルディングブロックの合成
工程1:
【化35】
【0122】
7.9g(330ミリモル、1.2当量)の削り屑状マグネシウムを最初に、1lの四つ口フラスコ中に導入し、63g(270ミリモル、1.0当量)の3-ブロモビフェニル(CAS 2113-57-7)のTHF溶液を、反応混合物の還流を得るのに十分なゆっくりとした速度で添加する。添加が終わると、バッチを還流下でさらに2時間加熱する。
【0123】
500mlのTHF中の、50g(270ミリモル、1当量)の2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン(CAS 108-77-0)を2lの四つ口フラスコ中で−10℃に冷却する。グリニャール溶液を、温度が0℃を超えないような十分にゆっくりとした速度で、この温度で滴下し、最後にバッチを室温で終夜、撹拌する。処理のために、270mlの1N塩酸を滴下し、混合物を1時間撹拌する。その後、水相を分離させ、ジエチルエーテルで抽出する。結合した有機相を、硫酸ナトリウムで脱水させ、溶媒をロータリーエバポレーター中で除去すると、56g(69%)の無色のオイルが得られる。
【0124】
以下の化合物を同じように調製する:
【化36】
【0125】
工程2:
【化37】
【0126】
変種A:
18g(50ミリモル、1当量)の9,9-スピロビフルオレン-2-イルボロン酸(CAS 236389-21-2)と、15g(50ミリモル、1当量)の2-ビフェニル-3-イル-4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン14aと、5.8g(55ミリモル、1.1当量)の炭酸ナトリウムとを、200mlのジオキサンと、200mlのトルエンと、70mlの水との混合物中に溶解させ、30分間脱気する。580mg(0.50ミリモル、1モル%)のテトラキス(トリ-フェニルホスフィン)(CAS 14221-01-3)をその後、添加し、バッチを還流下で、終夜加熱する。反応混合物を冷却し、300mlの水を添加する。水相を酢酸エチルで三度、抽出し、有機相を結合させ、溶媒をロータリーエバポレーター中で除去する。ヘプタン/トルエン(4:1)による熱抽出で、15g(26ミリモル、51%)の無色の固形分が得られる。
【0127】
変種B:工程1と類似。
【0128】
以下の化合物を同じように調製する:
【化38】
【0129】
例16:OLEDの製造
種々のOLEDについてのデータを、以下の例V1〜E77に提示する(表1と2を参照)。
【0130】
例V1−V7とE1−E49についての前処理:厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された、清浄にした(Miele laboratoryの食器洗浄機、Merck Extran洗浄剤で洗浄した)ガラス板を、改善された加工のために、20nmのPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレン・スルホン酸)で水溶液からのスピンコート、Heraeus Clevios Metals GmbH、独国からCLEVIOS(登録商標)P VP AI 4083として購入)で被覆される。その後、試料を180℃で10分間の加熱により乾燥させる。これらの被覆されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。
【0131】
例E50−E55についての前処理:厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された、清浄にした(Miele laboratoryの食器洗浄機、Merck Extran洗浄剤で洗浄した)ガラス板を、130秒間、酸素プラズマで処理する。これらのプラズマ処理されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。基板は被覆前には真空下に置かれる。被覆をプラズマ処理後、10分間以内に開始する。
【0132】
例E56−E77についての前処理:厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された、清浄にした(Miele laboratoryの食器洗浄機、Merck Extran洗浄剤で洗浄した)ガラス板を、130秒間、酸素プラズマで処理し、その後、150秒間、アルゴンプラズマで処理する。これらのプラズマ処理されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。基板は被覆前には真空下に置かれる。被覆をプラズマ処理後、10分間以内に開始する。
【0133】
OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/随意に、正孔注入層(HIL)/正孔輸送層(HTL)/中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造を、表1に示す。OLEDの製造のために必要な材料を、表3に示す。「3a」のような指示は、ここでは例3aについての表に示された材料に関する。類似の条件を他の材料にも適用する。
【0134】
化合物WB1の合成をWO 2009/124627に類似して行う。化合物TEG3の合成はWO 2011/032626に、TER2の合成はWO 2011/032626に、化合物IC4の合成はWO 2010/136109に記載されている。
【0135】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料と予備混合される発光ドーパント(エミッタ)とから成る。ここで、ST1:7b:TEG1(30%:58%:12%)等の表現は、材料ST1が30体積%の割合で層中に存在し、7bが58体積%の割合で層中に存在し、TEG1が12体積%の割合で層中に存在することを意味する。同様に、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0136】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表2での表現U1000は、輝度1000cd/m
2に対して必要とされる電圧を示す。CE1000とPE1000は、1000cd/m
2で達成される電流およびパワー効率をそれぞれ示す。最後に、EQE1000は、駆動輝度1000cd/m
2での外部量子効率を示す。
【0137】
寿命LTは、一定電流での駆動で、輝度が、初期輝度から一定の割合L1に低下した後の時間として定義される。表X2における表現L0;j0=4000cd/m
2およびL1=70%は、列LTに示される寿命が、輝度が4000cd/m
2の初期値から2800cd/m
2に低下した後の時間に対応することを意味する。同様に、L0;j0=20mA/cm
2、L1=80%は、20mA/cm
2での駆動で、LT後に、輝度がその初期値の80%に低下したことを意味する。
【0138】
種々のOLEDについてのデータを、表2に要約する。例V1−V7は先行技術による比較例であり、例E1−E77は本発明による材料を含むOLEDについてのデータを示している。
【0139】
いくつかの例を、本発明による化合物の優位性を証明するために、以下により詳細に説明する。しかしながら、これは、表2に示されるデータの単なる選択であることが指摘されねばならない。表から見て取ることができるように、先行技術と比べて顕著な改善が、本発明による化合物の使用で達成することもできるが、それらは、すべてのパラメータにおいていくつかの場合にはより詳細には言及されないが、いくつかの場合には効率または電圧または寿命での改善だけを観察することができる。しかしながら、種々の用途が、異なるパラメータに関する最適化を必要とすることから、前記パラメータの一つの改善でさえも、著しい進歩を表す。
【0140】
電子輸送材料としての本発明による化合物の使用
先行技術によるジフェニルフルオレン化合物StdT2ではなく、本発明による類似のスピロ化合物3aを電子輸送材料として使用するならば、緑色燐光ドーパントTEG1と組合わせて、著しく改善された電圧と改善された外部量子効率のために、電力効率約15%の著しい改善が得られる。寿命も同様に僅かに改善される(例V6、E24)。非常に良好な性能データも、青色燐光ドーパントD1と組合わせて、得られる(例E25)。
【0141】
燐光OLEDでのマトリックス材料としての、本発明による化合物の使用
緑色燐光ドーパントTEG1と組合わせると、トリアジン基がスピロのフルオレン部に結合している化合物StdT1と比べて、トリアジンが窒素を介して結合する本発明による化合物3aを使用すると、電圧0.3V、寿命35%の著しい改善が得られる。外部量子効率も改善され、このことは実質的に20%の電力効率において、全体的に著しい改善を生じる(例V1、E1)。ジフェニルフルオレン化合物StdT2と比べて、特に、寿命において改善が観察される(例V4、E1)。類似の改善が、本発明による化合物を使用する場合に、赤色燐光ドーパントTER1と組み合わせて得られる(例5、E30、E31)。
【0142】
発光層における化合物IC3との組合せでは、本発明による化合物(例V7、E21)によって、利点、特に、実質的に40%の寿命における改善が同様に得られる。
【0143】
最後に、本発明による化合物と、発光層における化合物ST1またはIC2との組合せは非常に良好な性能データを生じる(例E39、E40、E41、E42)。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0144】
例17:溶液から処理された正孔輸送および発光層を有するOLED
本発明による多くの材料を溶液から処理することもでき、真空処理されたOLEDと比較すると、製造が著しく容易であるにもかかわらず良好な特性を有するOLEDが得られる。特に、本発明によるマトリックス材料は、溶液処理された発光層を有する部品の動作寿命と効率に対して有益な影響を有する。完全に溶液をベースとするOLEDの製造については、既に何度も文献、たとえばWO 2004/037887に記載されている。
【0145】
以下説明する例では、溶液ベースおよび真空ベースで適用される層は、OLED内で組み合わされ、よって、発光層を含めこれまでの処理が、溶液から実行され、引き続く層が真空中で、熱蒸発により行われる。前述した一般的なプロセスはこの目的で、ここに記載される状況(層の厚さの変化、材料)に適合され、以下のように組み合わせられる。
【0146】
厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された、清浄にした(Miele laboratoryの食器洗浄機、Merck Extran洗浄剤で洗浄した)ガラス板を、改善された加工のために、(緑色発光OLEDでは)20nm、(赤色発光OLEDでは)80nmのPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレン・スルホン酸)で水溶液からのスピンコート、Heraeus Clevios Metals GmbH、独国からCLEVIOS(登録商標)P VP AI 4083として購入)で被覆される。これらの基板をその後、180℃で10分間の加熱により乾燥させる。
【0147】
20nmの厚さを有する正孔輸送層をこれらの基板に適用する。これは以下の構造式のポリマーからなり、
【化39】
【0148】
WO 2010/097155により合成されている。材料をトルエン中に溶解させる。溶液の固形分の含有量は5g/lである。厚さ20nmの層を、そこから窒素雰囲気中でスピンコートにより適用する。その後、試料を180℃で60分間、窒素雰囲気中で加熱することにより乾燥させる。
【0149】
次いで、発光層を適用する。これは常に少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と発光ドーパント(エミッタ)からなる。さらに、複数のマトリックス材料と共ドーパントとの混合物が生じ得る。マトリックス(92%):ドーパント(8%)のような表現は、発光層が製造される溶液中に、マトリックス材料が92重量%の割合で存在し、ドーパントが8重量%の割合で存在することを意味している。発光層の対応する固形分混合物はトルエン中に溶解されている。固形分含有量は18g/lである。発光層は窒素雰囲気中で、スピンコートによって適用され、窒素雰囲気中で、180℃で10分間の加熱により乾燥される。
【0150】
その後、試料を空気に触れさせず、真空室へ導入し、2つのさらなる層を蒸発により適用する。1つのこのような層が複数の材料からなるならば、前述の命名法を個々の成分の混合比に適用する。
【0151】
OLEDは前述したように特性決定される。寿命の測定では、OLEDは、ある初期輝度が達成されるように設定された一定電流で動作する。寿命「8000におけるLT80」は、輝度が8000cd/m
2の初期値から80%に、即ち6400cd/m
2に低下するまでの時間として定義される。他の初期輝度、または他のパーセンテージの最終輝度における寿命値も対応して定義される。
【0152】
比較例LV1: 先行技術によれば、固形分混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)を発光層に使用する。そこから、厚さ60nmを有する発光層を前述したように、製造する。厚さ10nmを有する材料ST2の層と、次いで厚さ40nmを有する層ST2:LiQ(50%:50%)をその後、真空中で熱蒸発により適用する。その後、厚さ100nmを有するアルミニウム層を、真空中で蒸発により、カソードとして適用する。OLEDは緑色を発光し、U1000=4.6V、EQE1000=17.8%、10000におけるLT80=115時間、10000におけるLT90=28時間が得られる。
【0153】
本発明による例LE1: OLEDは例LV1に対応するが、混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)ではなく、混合物3q(40%):WB1(40%):TEG3(20%)を使用する違いがある。OLEDは緑色を発光し、U1000=4.6V、EQE1000=18.3%、10000におけるLT80=120時間、10000におけるLT90=37時間が得られる。
【0154】
本発明による例LE2: OLEDは例LV1に対応するが、混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)ではなく、混合物3p(40%):WB1(40%):TEG3(20%)を使用する違いがある。OLEDは緑色を発光し、U1000=4.5V、EQE1000=18.4%、10000におけるLT80=130時間、10000におけるLT90=38時間が得られる。
【0155】
本発明による例LE3: OLEDは例LV1に対応するが、混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)ではなく、混合物3a(40%):WB1(40%):TEG3(20%)を使用する違いがある。OLEDは緑色を発光し、U1000=4.4V、EQE1000=18.8%、10000におけるLT80=240時間、10000におけるLT90=75時間が得られる。
【0156】
比較例LV2: OLEDは例LV1に対応するが、混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)ではなく、混合物IC5(40%):WB1(30%):TEG3(30%)を使用する違いがある。OLEDは緑色を発光し、U1000=4.0V、EQE1000=19.7%、10000におけるLT80=335時間、10000におけるLT90=87時間が得られる。
【0157】
本発明による例LE4: OLEDは例LV2に対応するが、混合物IC5(40%):WB1(30%):TEG3(30%)ではなく、混合物3a(40%):WB1(30%):TEG3(30%)を使用する違いがある。OLEDは緑色を発光し、U1000=4.0V、EQE1000=21.4%、10000におけるLT80=520時間、10000におけるLT90=195時間が得られる。
【0158】
比較例LV3: OLEDは例LV1に対応するが、混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)ではなく、混合物IC5(40%):WB1(24%):TEG3(30%):TER2(6%)を使用する違いがある。OLEDは赤色を発光し、U1000=6.0V、EQE1000=13.5%、8000におけるLT80=180時間、8000におけるLT90=48時間が得られる。
【0159】
本発明による例LE5: OLEDは例LV3に対応するが、混合物IC5(40%):WB1(24%):TEG3(30%):TER2(6%)ではなく、混合物3a(40%):WB1(24%):TEG3(30%):TER2(6%)を使用する違いがある。OLEDは赤色を発光し、U1000=5.6V、EQE1000=13.8%、8000におけるLT80=255時間、8000におけるLT90=82時間が得られる。
【0160】
本発明による例LE6: OLEDは例LV3に対応するが、混合物IC5(40%):WB1(24%):TEG3(30%):TER2(6%)ではなく、混合物3p(40%):WB1(24%):TEG3(30%):TER2(6%)を使用する違いがある。OLEDは赤色を発光し、U1000=6.0V、EQE1000=13.8%、8000におけるLT80=275時間、8000におけるLT90=81時間が得られる。
【0161】
本発明による例LE7: OLEDは例LV3に対応するが、混合物IC5(40%):WB1(24%):TEG3(30%):TER2(6%)ではなく、混合物3q(40%):WB1(24%):TEG3(30%):TER2(6%)を使用する違いがある。OLEDは赤色を発光し、U1000=6.0V、EQE1000=14.0%、8000におけるLT80=250時間、8000におけるLT90=68時間が得られる。
【0162】
比較例LV4: 先行技術によれば、固形分混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)を発光層に使用する。そこから、厚さ60nmの発光層を前述したように製造する。厚さ20nmの層M1:D1(95%:5%)と、次いで厚さ20nmの層ST2:LiQ(50%:50%)をその後、真空中で熱蒸発により適用する。厚さ100nmのアルミニウム層をその後、真空中で蒸発によりカソードとして適用する。OLEDは緑色を発光し、U1000=5.0V、EQE1000=16.7%、10000におけるLT80=33時間、10000におけるLT90=8時間が得られる。
【0163】
比較例LV5: OLEDは例LV4に対応するが、混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)ではなく、混合物IC5(40%):WB1(40%):TEG3(20%)を使用する違いがある。OLEDは緑色を発光し、U1000=4.3V、EQE1000=15.0%、10000におけるLT80=29時間、10000におけるLT90=8時間が得られる。
【0164】
本発明による例LE8: OLEDは例LV4に対応するが、混合物IC4(40%):WB1(40%):TEG3(20%)ではなく、混合物3a(40%):WB1(40%):TEG3(20%)を使用する違いがある。OLEDは緑色を発光し、U1000=4.3V、EQE1000=16.9%、10000におけるLT80=88時間、10000におけるLT90=25時間が得られる。
【0165】
例LV1をLE1−LE3と、LV2をLE4と、LV3をLE5−LE7と、LV4およびLV5をLE8と比べて分かるように、すべてのパラメータにおける改善、特にLT90における非常に著しい増加は、ディスプレイ用途では重要であり、これは本発明による化合物を含む混合物で得られる。