(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のシールド(140)及び前記第2のシールド(142)は、当該センサデバイス(12)に対する電磁波妨害(EMI)を防止するように構成されたファラデーシールドを形成する
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、例示的需給計器10のブロック図を示す。この例示的実施形態では、需給計器10は、センサデバイス12と、導体14と、センサデバイス12に結合された計器制御板17とを含む。導体14は、バスバー、複数撚線、単一撚線、ケーブル、または電源から電力受益者に電力を伝送するための他の適切な導体を含むことができる。電源は、限定されることなく、配電網および/またはガスタービンエンジン、水力発電タービン、風力タービン、太陽電池板などの発電機システム、ならびに/あるいは別の適切な発電システムおよび/または伝送システムを含むことができる。電源は、計器制御板17と連絡するスマートグリッドも含むことができる。ユーザには、限定されることなく、住宅のユーザ、商用のユーザおよび/またはあらゆるレベルのその他の電力受益者が含まれ得る。導体14を通って流れる電流を検知するために、センサデバイス12が導体14に結合される。センサデバイス12は、検知された電流を表す信号を計器制御板17に供給する。計器制御板17は、センサデバイス12から受け取った信号に基づいて、電源から導体14を通ってユーザに伝送される電力量を長時間にわたって求める。
【0009】
電源からユーザに転送される電力に対して料金が発生し得るので、電源の運転者によってユーザに伝送された実質的にすべての電力に対して課金するのではなく、実質的にユーザが受け取った電力にしか課金しないことを保証するために、センサデバイス12は大変正確であるのが望ましい。
【0010】
この例示的実施形態では、需給計器10は、導体15および16、ならびに導体15に結合された別のセンサデバイス12をさらに含む。需給計器の他の実施形態では、任意数(例えば1、3、6など)の導体および/またはセンサデバイスが使用され得ることを理解されたい。そのうえ、センサデバイス12は、需給計器10の内部での使用に限定されることなく、発電用途、公益企業の用途、自動車の用途、装置の用途、電気通信用途など、実際上、あらゆる用途で、導体を通る電流を検知するのに利用され得ることを理解されたい。
【0011】
図2は、例示的センサデバイス12の部分的分解図である。この例示的実施形態では、センサデバイス12は、基板102、基板102のまわりに巻きつけられた複数の巻回部を含むコイル104、および誘電材料108を含む。コイル104は画定された開口110を含み、開口110は、(例えばサイズ、配向、および/または形状などによって)導体14を受け取るように構成される。誘電材料108が、コイル104に隣接して、少なくとも部分的には開口110内に配置される。より具体的には、この実施形態では、導体14が開口110を通って配置されるとき、誘電材料108が、少なくとも部分的にはコイル104と導体14の間に配置される。
【0012】
誘電材料108は、様々な方法で構成されて様々な特性を有する1つまたは複数の誘電材料を含むことができる。例えば、誘電材料108は、約10〜1000Hzにおいて約3.0以上の誘電率を有することができる。いくつかの実施形態では、誘電率は、約3.5、約4.0、約5.0、約8.0、約12.0、約17.0、および/またはその他の適切な誘電率より大きくてよい。例示の一実施形態では、誘電材料108の誘電率は、およそ約3.5でよい。別の例示的実施形態では、誘電材料108の誘電率は、およそ約6.0でよい。
【0013】
さらに、誘電材料108は、少なくとも1つの厚さを有し、様々な厚さを有することができる。この例示的実施形態では、コイル104に隣接して少なくとも部分的には開口110の中に配置される誘電材料108は、約3.0mmの厚さを有する。また、この実施形態では、コイル104に隣接するが開口110の反対側に配置される誘電材料108は、約1.2mmの厚さを有する。誘電材料108は、任意の1つ以上の厚さを有することができ、このことによって、センサデバイス12は、本明細書で述べられるように機能し得ることを理解されたい。一般に、誘電材料108の厚さは、少なくとも部分的には、誘電材料108の誘電率、1つまたは複数の導体14、15および16に対するコイル104の近接性、および/またはセンサデバイスの実装用に意図された環境で利用可能な空間などに基づいて選択される。いくつかの例示的実施形態では、誘電材料108の厚さは、約1.0mmから約3.0cmの範囲でよく、あるいはさらに別の実施形態ではより大きくてもよい。
【0014】
この例示的実施形態では、誘電材料108は、限定されることなく、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、セラミック材料、金属材料、木製材料、粘土材料、有機材料、これらの任意の混合物、および/または本明細書で述べられるように動作するのに適切な他の材料など、いくつかのタイプの材料のうち1つまたは複数から製作され得る。
図2の例示的実施形態では、誘電材料108は、市販のValox(登録商標)ファミリー材料からのPBT熱可塑性材料を含む。様々な実施形態では、誘電材料108は、限定されることなく、Kapton(登録商標)テープ、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)材料、室温で硫黄処理した(RTV)シリコーンポリマー、市販のValox(登録商標)ファミリー材料からのPBT熱可塑性材料(例えばValox(登録商標)365またはValox(登録商標)V9561)、Rynite(登録商標)ファミリー材料からのポリエチレンテレフタレート(PET)の熱可塑性材料、市販のRyton(登録商標)ファミリー材料からのPPS熱可塑性材料、市販のPrimef(登録商標)ファミリー材料からのPPS熱可塑性材料、市販のZytel(登録商標)、Stanyl(登録商標)、またはRTP(登録商標)ファミリー材料からのナイロンの熱可塑性材料、LCP熱可塑性材料(例えばSumitomo(登録商標)E5008LまたはE4008L材料)などのうち1つまたは複数を含む。1つまたは複数のタイプの誘電材料108は、誘電率、1つまたは複数の生産技術に対する適応性、寸法安定性、コスト、成形性、加工性、剛性、および/または材料の他の特性に基づいて選択されてよい。少なくとも1つの例では、誘電材料108は、少なくとも部分的には、温度に対する誘電率の変動性に基づいて選択される。
【0015】
図3は、導体14が開口110を通って延在するセンサデバイス12(組立体として示されている)の斜視図である。前述のように、センサデバイス12は、導体14を通る電流の流れを検知する。具体的には、電流が導体14を通って流れるとき、コイル104に電流が誘起される。コイル104に誘起される電流の量が、導体14を通って流れる電流の量を表す。導体14のまわりにセンサデバイス12が配置されるとき、コイル104は、導体14から、ある距離だけ離される。したがって、コイル104と導体14の間に静電容量が存在する。この静電容量が、様々な動作電圧(例えば約30Vから約277Vの範囲)におけるセンサデバイス12の精度に影響を及ぼすことがある。この例示的実施形態では、コイル104と導体14の間に画定された空隙106の少なくとも一部分の中に、誘電材料108が配置される。結果として、誘電材料108は、コイル104と導体14の間の静電容量の減少に影響を及ぼし、かつ/または同静電容量の減少を促進し、同時にコイル104と導体14が近接近したままであることを可能にする。
【0016】
静電容量が減少すると、センサデバイス12が導体14を通って流れる電流を検知する精度が、既知のロゴスキーコイルまたは他の空隙コイルの精度と比較して改善される。より具体的には、コイル104と導体14の間の結合静電容量を減少させることにより、動作電圧に対する感度が低下する。結果として、大電流および弱電流を含む様々な電流の範囲にわたって、様々な動作電圧における電流検知が安定する。したがって、センサデバイス12が需給計器10に含まれているとき、既知のセンサデバイスを較正するのに必要な1つまたは複数のプロセスを省略することができる。具体的には、この例示的実施形態では、様々な動作電圧で電流を正確に検出するセンサデバイス12の一貫性により、計器制御板17は、様々な電圧用に複数の較正係数を必要とする既知の需給計器と比較すると、たった1つの較正係数を複数の動作電圧に対して用いることができる。そのうえ、コイル104と導体14の間の静電容量が減少することにより、較正プロセスの減少および/または簡素化が容易になるばかりでなく、動作電圧/動作電流の範囲にわたって、少なくとも同じ精度、たいていは改善された精度で、製造コスト、資源、および/または時間を低減することも容易になる。
【0017】
図3に示されるように、この例示的実施形態では、センサデバイス12は筺体112を含む。筺体112は、様々な材料から、かつ/または様々な製作プロセスによって、形成され得る。この例示的実施形態では、筺体112は、実質的に誘電材料108のみを含み、誘電材料108は、コイル104のまわりで開口110の反対側に配置される。そのため、センサデバイス12は、3相導体14、15、および16を有する需給計器10の中で使用されるときには、(
図1に示されたように)導体14のまわりに、かつ少なくとも1つの他の導体15と近接して、可能性としては導体16にも近接して配置され得る。コイル104と導体14の間の相互作用に類似して、コイル104と導体15の間に静電容量が存在し、そのことはセンサデバイス12の精度に悪影響を及ぼし、かつ/または同精度を劣化させる可能性がある。誘電材料108の位置が開口110の反対側にあるため、誘電材料108は、コイル104と、隣接した導体15との間に配置される。したがって、コイル104と導体15の間の静電容量を減少させるために、誘電材料108がさらに設けられる。このように、センサデバイス12は、複数の導体を有する需給計器10に使用されたとき、および/または1つまたは複数の他の導体にごく近接して使用されたとき、既知の空隙コイルと比較して精度を改善することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、筺体112は、誘電材料108に加えて、非誘電体材料または異なる特性を有する誘電材料など、1つまたは複数の材料を含むことができる。一実施形態では、筺体112は、誘電材料108と、コイル104が本明細書で説明されたように動作するのを可能にするために、誘電材料108をコイル104に対して1つまたは複数の位置で支持するように与えられる付加材料とを含む。付加材料には、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、セラミック材料、金属材料、木製材料、粘土材料、有機材料、これらの任意の混合物、および/または他の適切な材料が含まれ得る。付加材料は、生産技術、寸法安定性、コスト、成形性、加工性、剛性、および/または材料の他の特性などに基づいて選択することができる。このような実施形態では、誘電材料108が(付加材料と比較して)より高コストの材料であるときには、付加材料を含むことで、センサデバイス12の総原価を低減することができる。さらに、誘電材料108の支持、コイル104の保護および/または絶縁など、1つまたは複数のさらなる機能を遂行するために、1つまたは複数の付加材料が用いられてもよい。様々な実施形態で、付加材料が、筺体112の一部分として用いられ得ることが明らかであろう。しかし、この例示的実施形態では、筺体112が実質的に誘電材料108しか含まないので、付加材料は省略される。
【0019】
筺体112は、誘電材料から製作されるか、誘電材料108と少なくとも1つの付加材料から一体化して形成されるか、あるいは個別の誘電材料108と付加材料から組み立てられてよい。筺体112および/または誘電材料108は、1つまたは複数の射出成形プロセスおよび/または他の適切な製作プロセスを用いて製作することができる。この例示的実施形態では、筺体112は、筺体112を形成するように構成された型の中へ誘電材料108が注入される単一射出成形プロセスによって構成される。
【0020】
あるいは、筺体112は多段射出成形プロセスから構成されてもよい。多段プロセスでは、付加材料は、初期の成形プロセスによって特定の形状に成形される。次に、成形された付加材料が型の内部に配置され、型に誘電材料108が注入される。誘電材料108が、型および/または付加材料の間に画定された空隙に流れ込んで、誘電材料108および付加材料から筺体112を形成する。様々な実施形態では、多段成形プロセスにより、本明細書に説明されるような所望の性能を実現する一方で、筺体112の他の部分が1つまたは複数の比較的低コストの材料から構成されるのを引き続き可能にするように、比較的高コストの誘電材料を、コイル104に対して特に配置することが可能になり得る。
【0021】
コイル104および/または導体14に対して、全体にわたって、または所望の位置に誘電材料108を与えるために、他の製作技法によって筺体112が構成され得ることを理解されたい。一例では、誘電材料108は、付加材料から別個に構成され、その後に変形され、かつ/または付加材料とともに構成されて筺体112を形成する。さらに別の例では、付加材料で形成された開口に管状の誘電材料を挿入して、筺体112を形成してもよい。
【0022】
この例示的実施形態では、筺体112は、開口110を画定する台116を含む。導体14が開口110に(
図3に示されるように)受け取られたとき、台116と導体14の間に空隙106が形成される。同時に、台116と導体14の間で摩擦ばめが形成される。台116は、誘電材料108および/または別の材料を含んでよい。台116は、様々なタイプ、形状、および/または配向の導体を受け取り、かつ/または同導体と結合するように設計された様々な形状に形成され得ることを理解されたい。少なくとも1つの実施形態では、台116は、長方形に成形されたバスバー導体と摩擦ばめを形成するように構成された開口を画定する。
【0023】
図2を再び参照すると、筺体112は、第1の部分118および第2の部分120を含む。第1の部分118が、基板102およびコイル104を実質的に囲むように、第2の部分120に対して取外し可能に結合される。具体的には、組み立てられたとき、
図3に示されるように、第1の部分118が、少なくとも1つの合いじゃくり継ぎによって第2の部分120に結合され、筺体112を形成する。第1の部分118と第2の部分120は、限定されることなく、1つまたは複数の突合せ継手、ねじ継手、蝶番継手、タブ溝機構、さねはぎ継ぎ機構、締結具などを含む様々な方法によって互いに結合され得ることを理解されたい。筺体112は、
図3に示されるように、全体的に環状の形状を有するが、他の筺体の実施形態は、基板102、コイル104および/またはシールドを少なくとも部分的に囲むようにサイズ設定され、かつ/または動作し、誘電材料108が本明細書に述べられるように動作することを可能にする、任意の形状および/またはサイズを画定してよいことを理解されたい。
【0024】
さらに、この例示的実施形態では、誘電材料108の厚さは、筺体112の全体にわたって変化する。第1の部分118と第2の部分120の間の合いじゃくり継ぎが、第1の部分118と第2の部分120の重なり合いをもたらす。具体的には、この例示的実施形態では、第1の部分118および第2の部分120のそれぞれが、開口110で約1.2mmの厚さを有する。第1の部分118と第2の部分120が組み立てられたとき、第1の部分118と第2の部分120は、合いじゃくり継ぎで(開口110に沿って)少なくとも部分的に重なり合って、約2.4mmの合計の厚さを形成する。そのうえ、この例示的実施形態では、第1の部分118と第2の部分120は、筺体112の外側のまわりの小さな合いじゃくり継ぎ(開口110の反対側)における合計の厚さが約1.2mm未満になるように構成される。筺体112および/または誘電材料108の1つまたは複数の様々な厚さをもたらすために、筺体112を形成する様々な方法が用いられ得ることを理解されたい。
【0025】
様々な他の実施形態では、筺体112および/または誘電材料108の厚さが約0.5mmから約3.0cmの間にあってよい。いくつかの実施形態では、筺体112および/または誘電材料108の1つまたは複数の厚さは、約1.0mmから6.0mmの間にある。さらに、様々な実施形態では、筺体112および/または誘電材料108の1つまたは複数の厚さは、約1.0mmから4.0mmの間にある。他の実施形態では、筺体112および/または誘電材料108は、可能性としては、組立て/製作の方法、選択された誘電材料の特性(複数可)、および/または所望の性能特性(複数可)に基づいて、様々な厚さを有し得ることを理解されたい。さらに、コイル104を少なくとも部分的に囲む一方で、本開示の1つまたは複数の態様と整合性のある動作をする誘電材料108をコイル104に対して位置決めするように、筺体112に関して他の形状、サイズ、および/または接合を用いることができる。
【0026】
この例示的実施形態では、コイル104は例示的ロゴスキーコイルを含む。しかし、センサデバイス12は、ロゴスキーコイルとは別のコイルを含み得ることを理解されたい。さらに、本開示の態様は、本明細書に説明され、図示されるようなロゴスキーコイルとともに用いられるものだけに限定されない。
【0027】
図5は、筺体112から分離された基板102およびコイル104の斜視図である。この例示的実施形態では、基板102は、6つのボビン124、126、128、130、132、および134(まとめてボビン124〜134と称される)を含む。各ボビン124〜134は、実質的に円形の断面を有し、より詳細には、コイル104を保持するフランジ135を両側に含んでいる直円柱である。他の実施形態では、基板102は、ボビンの様々な数、形状、および/またはサイズを有することができる。例えば、基板102は、5個、8個、10個、30個、または別の奇数個もしくは偶数個のボビンを含むことができる。さらに、基板102は、別々の形状および/または胚珠形の断面、楕円の断面、もしくは長方形の断面などを有する諸ボビンを含むことができる。さらに別の実施形態では、基板102は、フランジ135に加えて、またはフランジ135とは別に、コイル104を支持するための様々な構造体を含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、コイル104は基板102を省略するほど十分に剛性が高い。
【0028】
この例示的実施形態では、ボビン124〜134は、滑節137によって互いに結合される。より具体的には、ボビン124と126は、蝶番で結合され、その間で旋回運動が可能である。様々な実施形態において、ボビン124〜134は、コイル104の効率的な巻線を可能にするために直線的に整列され、かつ/または
図5に示されるような実質的に円形の形状を形成するように、互いに旋回軸を取り付けられてよい。
【0029】
基板102のボビン124〜134のそれぞれが、非磁性構造体であって、例えば熱可塑性材料、セラミック材料、木製材料、または他の種類の適切な材料を含む1つまたは複数の非磁性材料から構成される。この例示的実施形態では、それぞれのボビン124〜134は、可能性としては誘電材料108と一致する誘電材料から製作される。非磁性基板102を使用することにより、1つまたは複数の磁心を含んでいる既知のセンサデバイスに対してコスト削減を実現することができる。そのうえ、この例示的実施形態では、基板102は、大きな磁心を含んでいる既知のセンサデバイスと比較して、需給計器10の内部および/または計器制御板17への取付けの改善をもたらすように成形され、かつ/またはサイズ設定される。さらに、この例示的実施形態では、ボビン124〜134は、筺体112から分離して形成される。しかし、センサデバイスの他の実施形態では、ボビン124〜134が、筺体112の1つまたは複数の部分と一体化して形成され、かつ/または筺体112の1つまたは複数の部分を形成してもよいことを理解されたい。
【0030】
この例示的実施形態では、コイル104は各ボビン124〜134上に巻きつけられた複数の巻回部である。より具体的には、この例示的実施形態では、コイル104が単一のマグネットワイヤを含み、これによって、コイル104を、各ボビン124〜134上で数回巻き、次いで、ボビン124へ戻るように各ボビン124〜134上にさらに巻きつけて、ボビン124からボビン134へと巻くことが可能になる。他の実施形態では、ボビン124〜134上の他の異なる巻付けパターンが用いられ得ることを理解されたい。ボビン124〜134にわたる上記の巻付けパターンと一致して、コイル104の第1の終端および第2の終端は、ボビン124で終結する。
図7に示され、以下でさらに説明されるように、コイル104の第1の終端はリード線136で終結し、コイル104の第2の終端はリード線138で終結する。
【0031】
この例示的実施形態では、コイル104に加えて、1つまたは複数のシールドが基板102に与えられる。具体的には、
図6は、ボビン124におけるセンサデバイス12の部分的断面図を示す。この例示的実施形態では、ボビン124は、第1のシールド140および第2のシールド142を含む。ボビン124とコイル104の間に第1のシールド140が配置される。コイル104が第1のシールド140と第2のシールド142の間に配置されるように、第2のシールド142が、コイル104に隣接して第1のシールド140の反対側に配置される。各ボビン124〜134は、
図6に示されるのと実質的に同一のシールド−コイル−シールドのパターンを含む。他の実施形態では、ボビン124〜134は、ボビンごとに異なる巻きパターンを含めて、他の巻きパターンを含むことができる。
【0032】
この例示的実施形態では、各シールド140および142がファラデーシールドをもたらす。より具体的には、この例示的実施形態では、センサデバイス12の同相雑音の低減を容易にするために、および/または高周波雑音のフィルタリングのための低域通過フィルタを与えるために、第1のシールド140および第2のシールド142の挙動は、ファラデー箱と実質的に整合性のあるものとなる。結果として、第1のシールド140および第2のシールド142は、電磁波妨害(EMI)および/または電磁環境適合性(EMC)に関する1つまたは複数の工業規格に照らして、性能の改善を促進する。
【0033】
製作中に、マグネットワイヤの複数の巻回部が、各ボビン124〜134上にボビン124からボビン134まで巻きつけられて、第1のシールド140を形成する。次いで、コイル104が、前述のように、ボビン124からボビン134まで巻かれてから、ボビン124へ戻るように巻かれる。次に、第1のシールド140のマグネットワイヤが、各ボビン124〜134上に、複数の巻回部で、ボビン134からボビン124へ戻るように巻きつけられて、第2のシールド142を形成する。そのため、この例示的実施形態では、第1のシールド140および第2のシールド142は単一マグネットワイヤから形成される。単一マグネットワイヤは2つの終端を含み、これらは、以下で説明されるように、一緒に終結し、リード線138に結合され、かつ/または1つまたは複数のさらなるリード線に結合される。第1のシールド140および第2のシールド142は、限定されることなく、銅、アルミニウムまたは他の非鉄金属の導電材料など、任意の適切な材料を含み得ることを理解されたい。より一般的には、シールド材料は、シート、テープ、ワイヤ、噴霧および/またはボビン124〜134がシールド140および142を含むことを可能にするその他の形態として形成されてよい。そのため、シールド140および/または142の適用は、限定されることなく、例えば巻付け、包装、および/または噴霧によって形成され得る。様々な実施形態では、第1のシールド140および第2のシールド142は、コイル104とは別個に形成され、後にコイル104に与えられてよい。
【0034】
図5を再び参照すると、センサデバイス12には、そこから延びる3本のリード線136、138、および144が含まれる。
図7は、リード線136、138、および144の結合の回路図を示す。具体的には、この例示的実施形態では、第1のシールド140および第2のシールド142は、単一マグネットワイヤから形成され、各終端が互いに結合されてリード線144に結合される。さらに、(単一マグネットワイヤから形成されている)コイル104の第1の終端がリード線136に結合され、コイル104の第2の終端がリード線138に結合される。
図5に示されるように、リード線136、138、および144は、筺体112から延び、撚線の組を形成する。そのため、リード線144は、低域通過フィルタ要素として作用し、第1のシールド140および/または第2のシールド142からの雑音が、センサデバイス12によって供給された電流信号の復帰経路に注入されるのを防止する。撚線の組の長さは、少なくとも約0.25インチ(0.635センチメートル)である。他の実施形態では、撚線の組は、少なくとも約1.0インチ(2.54センチメートル)の長さ、または少なくとも約3.0インチ(7.62センチメートル)の長さを有してよい。さらなる実施形態では、撚線の組の長さは、少なくとも約6.0インチ(15.24センチメートル)でよい。センサデバイスの他の実施形態では、場合によって、リード線および/または撚線の組の他の長さが、センサデバイス12から伝送された電流信号への雑音の注入を防止するためのフィルタとして機能するリード線および/または撚線の組の性能に基づいて用いられ得ることを理解されたい。
【0035】
図8〜
図9は、別の例示的センサデバイス200を示す。この例示的実施形態では、センサデバイス200は、コイル204ならびに第1のシールド240および第2のシールド242を含み、これらは、上記で説明されたコイル104ならびにシールド140および142に実質的に一致している。しかし、センサデバイス200は、4本のリード線236、238、244、および245を含む。具体的には、第1のシールド242および第2のシールド240を形成するマグネットワイヤの各終端が個別のリード線244および245に結合されて、フィルタ要素を形成する。さらに、この例示的実施形態では、2つのリード線236および238はコイル204に結合される。
図8に示されるように、リード線236、238、244、および245が撚線の組を形成し、これが、
図5を参照しながら上記で説明された撚線の組と実質的に合致した機能を示す。
【0036】
計器制御板17に結合されるとき、各リード線244および245は、一緒に結合され、リード線238に結合されてよい。いくつかの実施形態では、撚ったリード線244および245が、フィルタ要素として作用することができる。それに加えて、またはその代わりに、リード線244および245とリード線238の間にフィルタ要素を結合することができる。このようなフィルタ要素は、限定されることなく、抵抗−キャパシタ回路、インダクタ−キャパシタ回路、抵抗−インダクタ回路、および/または抵抗−インダクタ−キャパシタ回路を含むことができる。
【0037】
図3および
図7を再び参照して、さらに別の実施形態では、シールド140および142を形成するマグネットワイヤの各終端は、一緒に結合され、個別のリード線144ではなくリード線138(すなわちコイル104の一端)に結合されてよい。このような例示的実施形態では、センサデバイス12は、リード線136および138を含む一方でリード線144を省略することができ、それによって2本のワイヤのセンサデバイス12をもたらす。この例示的実施形態では、センサデバイス12から供給される電流信号の復帰経路に、第1のシールド140および/または第2のシールド142からいくらかの雑音が注入される可能性があるが、同時に、所望の動作環境に対して十分な精度および/または再現性をもたらす。さらに別の実施形態では、計器制御板17などの回路基板上に取り付けるために設ける、センサデバイスの実施形態からリード線を省略することができる。このような実施形態では、計器制御板17上のパターンによって、リード線144を参照しながら上記で説明されたように動作するのに十分な長さを有するフィルタ要素を設けることができる。それに加えて、またはその代わりに、フィルタ要素は、第1のシールド140および/または第2のシールド142からの雑音が、センサデバイス12によって供給された電流信号の復帰経路に注入されるのを防止するために、抵抗−キャパシタ回路、インダクタ−キャパシタ回路、抵抗−インダクタ回路、および/または抵抗−インダクタ−キャパシタ回路を含むことができる。
【0038】
この例示的実施形態では、センサデバイス12は、約10Hzから約1000Hzの間で使用可能であり、実質的にこの範囲外の信号の影響を受けない。より具体的には、導体14は、アンテナとして働く可能性があり、無線周波数(RF)信号を感知して、センサデバイス12に対して望ましくない雑音を再放射する。第1のシールド140および第2のシールド142は、雑音信号の注入を防止して高い信号対雑音比(SNR)の出力をもたらすように、低域通過フィルタとして動作する。より具体的には、第1のシールド140および第2のシールド142は、導体14を通る弱電流を検知するとき、再放射されたRF信号(および/または他の雑音信号)を排斥して、センサデバイス12の出力に高SNRを与える。電流信号に対する雑音の影響を低減することにより、センサデバイス12の、該当する規格の範囲内の有効な電流検知範囲が、既知のセンサデバイスと比較して、より広範になる。この例示的実施形態では、第1のシールド140および第2のシールド142は、(弱電流性能および/または大電流性能のための)1つまたは複数のさらなるフィルタ要素の省略を可能にすることができる。
【0039】
そのうえ、第1のシールド140および第2のシールド142は、EMIがセンサデバイス12の精度に影響を及ぼすのを実質的に防止する。より具体的には、第1のシールド140および第2のシールド142は、センサデバイス12および/または需給計器10の精度を損なうことになる近傍の電子装置および/またはデバイスなど、センサデバイス12に隣接して配置されたEMI源の影響の抑止を助長する。さらに、センサデバイス12は、磁心を省略することにより、既知のセンサと比較して、EMIの精度上の悪影響に対する耐性の改善をもたらす。そのため、センサデバイス12は、1つまたは複数のEMI源がある状態で、他の既知のセンサデバイスと比較して、より頑健かつ/または正確な電流センサデバイスを提供する。
【0040】
センサデバイス12の精度は、導体14を通って流れる電流の実際の値の百分率として理解され得る。この例示的実施形態では、センサデバイス12は、約2アンペアから約200アンペアの間の範囲内の実際の値の約±0.2%以内で動作する。より具体的には、センサデバイス12は、約60Vから約600Vの間の動作電圧で0.1Aから200Aにおいて、0.2級以内で動作し、より具体的には約240Vで0.2%以内の精度である。本開示の1つまたは複数の態様に合致するセンサデバイス12は、場合により、意図された用途および/または意図された用途に関連した1つまたは複数の精度要件次第で、様々な動作電流/動作電圧における1つまたは複数の様々な精度規格に準拠し得ることを理解されたい。
【0041】
本明細書では、導体を通る電流を検知するセンサデバイスを製作するための様々な方法が説明される。これらの方法は、センサデバイス12を参照しながら以下で説明されるが、センサデバイス12に限定されることなく、他のセンサデバイスの実施形態を製作するのに利用され得ることを理解されたい。同様に、センサデバイス12およびセンサデバイス200は、以下で説明されるもの以外の方法から製作されてもよい。
【0042】
導体14を通る電流を検知するためのセンサデバイス12を製作する例示的方法の1つは、非磁性基板102のまわりに複数の巻回部を有するコイル104を設けるステップと、センサデバイス12によって画定された開口110の中に導体14が配置されたとき、導体14とコイル104の間に誘電材料108が配置されるように、誘電材料108をコイル104に隣接して配置するステップとを含む。いくつかの実施形態では、この例示的方法は、コイル104および/または基板102を、筺体112内で少なくとも部分的に、かつ/または実質的に囲むステップを含むことができる。
【0043】
導体14を通る電流を検知するためのセンサデバイス12を製作する別の例示的方法は、誘電材料108内にロゴスキーコイル104を設けるステップと、導体14のまわりにロゴスキーコイル104が配置されたとき、ロゴスキーコイル104と導体14の間に誘電材料108が配置されるように、誘電材料108内でロゴスキーコイル104を少なくとも部分的に囲むステップとを含む。誘電材料108は、約3.5以上の誘電率を有する。いくつかの実施形態では、この例示的方法は、筺体の第1の部分と筺体の第2の部分を、その間にロゴスキーコイルを配置して、ロゴスキーコイルを少なくとも部分的に囲むように組み立てるステップを含むことができる。筺体は誘電材料を含む。それに加えて、またはその代わりに、この例示的方法は、複数の熱可塑性のボビンを有する基板上にロゴスキーコイルを形成するステップを含むことができる。さらに、この例示的方法は、誘電材料から複数の熱可塑性のボビンを形成するステップを含むことができる。
【0044】
導体14を通る電流を検知するためのセンサデバイス12を製作するさらに別の例示的方法は、基板の複数のボビンのそれぞれのまわりに第1のシールドのマグネットワイヤを巻くステップと、基板の複数のボビンのそれぞれのまわりにコイルを巻くステップと、基板の複数のボビンのそれぞれのまわりに第2のシールドのマグネットワイヤを巻くステップとを含む。
【0045】
例えば
図3のセンサデバイス12を参照すると、この例示的方法は、マグネットワイヤの第1の終端および第2の終端をセンサデバイス12の基準リード144に結合するステップと、コイルの第1の終端をセンサデバイス12の第1のリード136に結合するステップと、コイルの第2の終端をセンサデバイス12の第2のリード138に結合するステップとを含むことができる。さらに、この例示的方法は、少なくとも1つの誘電材料を含む筺体の中で、コイルならびに第1および第2のシールドを少なくとも部分的に囲むステップを含むことができる。
【0046】
導体14を通る電流を検出するためのセンサデバイス12を製作する別の例示的方法は、開口110を画定する非磁性基板102と、非磁性基板102の少なくとも一部分のまわりに複数のコイル巻回部を有するコイル104と、基板102と複数のコイル巻回部のそれぞれとの間に配置された第1のシールド140と、複数のコイル巻回部に近接して第1のシールド140の反対側に配置された第2のシールド142とを含むセンサデバイス12を設けるステップを含む。この例示的方法はまた、リード線144を第1のシールド140および第2のシールド142のうち少なくとも1つに結合するステップと、リード線136をコイル104の第1の終端に結合するステップと、リード線138をコイル104の第2の終端に結合するステップと、リード線136、138および144から撚ったリード線の組を形成するステップとを含む。
【0047】
様々な実施形態において、第1のシールド140および第2のシールド142のうち少なくとも1つにリード線144を結合するステップは、第1のシールド140および第2のシールド142のそれぞれにリード線144を結合するステップを含む。他の実施形態では、第1のシールドおよび第2のシールドのうち少なくとも1つにリード線を結合するステップが、第1のシールド140にリード線244を結合するステップと、第2のシールド142にリード線245を結合するステップとを含む。
【0048】
上記で説明された実施形態の1つまたは複数は、高度に正確なセンサデバイスを提供する。より具体的には、本明細書で説明されたセンサデバイス、需給計器、および方法は、既知のコイルセンサに対して低減された較正要件で拡張した動作範囲をもたらす、高度に正確なセンサデバイスを提供することができる。例えば、開示された誘電材料は、コイルと1つまたは複数の導体の間の静電容量を低減することができ、それによって、様々な電流および/または電圧にわたって精度の改善がもたらされる。製造を通じて、より少ない較正プロセスで精度改善を実現することができ、結果として製造のコストおよび/または時間が低減される。別の例では、開示されたシールドの技法が、他の電子部品および/または不正改造デバイスから生じるEMIの除去の改善を提供する。
【0049】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴が、いくつかの図面で示されて他の図面では示されないこともあるが、これは便宜上の理由のみによるものである。本発明の原理によれば、図面のあらゆる特徴が、その他の図面のあらゆる特徴と組み合わせて参照され、かつ/または特許請求され得る。
【0050】
本明細書は、最良の態様を含めて本発明を開示するために、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを製作し使用することならびにあらゆる具体化された方法を実行することを含めて本発明を実施することも可能にするために例を用いている。本発明が特許権を受けられる範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言と実質的に相違点のない均等な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲に入るように意図されている。