特許第6342664号(P6342664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342664
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】送風装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   H05K7/20 J
   H05K7/20 K
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-22465(P2014-22465)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2015-149436(P2015-149436A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高山 直哉
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−251077(JP,A)
【文献】 特開2002−242878(JP,A)
【文献】 特開平8−210705(JP,A)
【文献】 特開平3−219487(JP,A)
【文献】 特開平9−120670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象を冷却する第1の方向への送風及び前記第1の方向と反対向きの第2の方向への送風を行う送風手段と、
前記冷却対象に関する温度データを収集する温度取得手段と、
前記第2の方向へ送風していない時間を経過時間として計測する時間計測手段と、
前記温度データが所定の基準温度未満で、前記経過時間が所定の設定時間よりも長い場合に、前記第2の方向へ送風するように前記送風手段を制御する制御手段と
を備え
前記制御手段は、前記送風手段を前記第1の方向の送風から前記第2の方向の送風に切り替えるときに、前記第1の方向の送風の強度をそれまでに実行していた強度よりも高くした後に、前記第2の方向の送風に切り替えるように制御することを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2の方向へ送風しているときに、前記温度が所定の基準値以上となった場合に、前記第1の方向の送風に切り替えるように制御することを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の方向へ送風しているときに、前記経過時間が所定の設定時間よりも長く、前記温度データが所定の基準値以上であった場合に、さらに所定の時間が経過した後に、再度、前記第2の方向の送風への切り替えの可否を判断することを特徴とする請求項1または2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記制御手段は、所定の信号を受け取ったときに、前記経過時間が前記所定の設定時間よりも短い場合でも、前記温度データが所定の基準温度未満であれば、前記第2の方向の送風が行われるように前記送風手段を制御することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の送風装置。
【請求項5】
少なくとも1つの電子部品と、
請求項1から4いずれかに記載の送風装置とを備え、
前記温度取得手段は前記電子部品を前記冷却対象として温度データを収集し、前記送風手段は前記電子部品を前記冷却対象として冷却することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
冷却対象を冷却する第1の方向へ送風し、
前記冷却対象の温度データを収集し、
前記第1の方向と反対向きの第2の方向に送風していない時間を経過時間として計測し、
前記温度データが所定の基準温度未満で、前記経過時間が所定の設定時間よりも長い場合に、前記第1の方向の送風の強度をそれまでに実行していた強度よりも高くした後に、前記第1の方向の送風から前記第2の方向の送風に切り替えることを特徴とする送風方法。
【請求項7】
前記第2の方向へ送風しているときに、前記温度が所定の基準値以上となった場合に、前記第1の方向の送風に切り替えることを特徴とする請求項6に記載の送風方法。
【請求項8】
前記第1の方向へ送風しているときに、前記経過時間が所定の設定時間よりも長く、前記温度データが所定の基準値以上であった場合に、さらに所定の時間が経過した後に、前記第2の方向の送風への切り替えの可否を判断することを特徴とする請求項6または7に記載の送風方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関するものであり、特に冷却用の送風装置の除塵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置や通信装置等に用いられている電子部品は高性能化とともに発熱量が増大することがある。例えば、半導体装置では、高性能化に伴って高クロックで駆動されるようになり消費電力が増加して発熱量の増大が生じる。一方で、微細化にともなって半導体装置を構成する素子や配線の間隔が狭まり、発熱が半導体装置の特性に与える影響が大きくなっている。半導体装置などの電子部品において安定した稼動状態を得るためには温度上昇を抑える必要があるため、電子部品を用いる情報処理装置には電子部品を冷却する機能が備えられている。情報処理装置における電子部品の冷却方法としては、例えば、ファン等を用いて外部から吸気を行って、空冷により電子部品を冷却する方法が用いられる。
【0003】
電子部品を空冷するため外部から吸気を行う際に、情報処理装置の筐体内部に空気とともに塵埃を取り込んでしまうと電子部品の周辺に塵埃が蓄積する。電子部品の周囲への塵埃の蓄積は、電子部品の静電破壊等を引き起こす可能性がある。そのため、吸気を行う際に塵埃を取り込まないように、吸気口には防塵フィルタが備えられていることがある。防塵フィルタを介して外部から吸気を行うことにより、装置内部への塵埃の取り込みを防ぐことができる。しかし、吸気を続けていると防塵フィルタが塵埃により目詰まりを起こす。防塵フィルタが目詰まりを起こすと、吸気が出来なくなって冷却が不十分となることがある。よって、防塵フィルタの清掃などを行って、フィルタに付着した塵埃を除去することが必要となる。
【0004】
情報処理装置等は長期の連続稼働を要するような用途に用いられることがある。長期で連続稼働している情報処理装置では情報処理装置を稼働させながら、冷却用の吸気を止めて防塵フィルタに付着した塵埃を除去するための清掃を行わなければならない。しかし、防塵フィルタの清掃のために吸気を停止すると内部の電子部品の温度が上昇して、動作が不安定になる恐れがある。一方で、長期で連続稼働をしているような情報処理装置は高い安定性が求められていることも多い。よって、防塵フィルタの清掃は、清掃時の温度上昇を抑制して安定性を確保して行わなければならない。そのため、情報処理装置の冷却に用いられる送風装置の防塵フィルタの清掃時の影響を抑制する技術について、様々な検討が行われている。情報処理装置の冷却に用いられる送風装置の防塵フィルタの清掃を行う際の影響を抑制する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0005】
特許文献1は、防塵フィルタに集積した塵埃を除去する機能を備えた除塵装置に関するものである。特許文献1の除塵装置は、防塵フィルタと、吸気ファンと、排気ファンと、集塵センサとを備えている。特許文献1の除塵装置は、同一の防塵フィルタを介して吸気ファンで吸気を行い、排気ファンで排気を行う。特許文献1の除塵装置は、吸気ファンで吸気を行って冷却対象に向かって送風することにより冷却対象を冷却している。また、特許文献1の除塵装置は、除塵用の排気ファンにより内側から外側に送風、すなわち排気することにより、防塵フィルタに集積している塵を取り除いている。特許文献1では防塵フィルタに対して、吸気の際とは逆方向に送風して排気を行うことにより、防塵フィルタの塵の除去が行われている。また、特許文献1の除塵装置は、集塵センサによる計測結果を基に防塵フィルタの目詰まりの程度を判断して、防塵フィルタが目詰まりを起こしているときに防塵フィルタの清掃を行う。特許文献1では、集塵センサの計測で目詰まりが生じているときのみ清掃を行うので、不必要な清掃を行う必要な無く、防塵フィルタを効率的に清掃することが可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−212376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は次のような点で十分ではない。長時間連続稼働を行っているような情報処理装置等では、装置を稼働させながら防塵フィルタの清掃を行う必要がある。その際に、防塵フィルタの清掃のために吸気による冷却を止め、吸気とは反対方向へ送風して排気を行うと、冷却対象となる電子部品の温度が上昇して装置の動作が不安定になる恐れがある。特許文献1では、集塵センサの計測によって防塵フィルタが目詰まりを起こして清掃が必要と判断されたときにのみ清掃を行うことで、吸気による冷却が停止する時間を抑制している。しかし、清掃が必要と判断されたときは装置の状態によらずに動作するために、装置内部の電子部品の温度が上昇して装置の動作が不安定になることを完全には避けることができない。よって、特許文献1の技術は長期で連続稼働を行っているような情報処理装置の冷却用の送風装置の防塵フィルタを、情報処理装置を稼働しながら清掃するための技術としては十分ではない。
【0008】
本発明は、冷却対象の温度上昇を抑制しつつ、互いに向かい合う2つの方向への送風が可能な送風装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の送風装置は、送風手段と、温度取得手段と、時間計測手段と、制御手段とを備えている。送風手段は、冷却対象を冷却する第1の方向への送風及び第1の方向と反対向きの第2の方向への送風を行う。温度取得手段は、冷却対象に関する温度データを収集する。時間計測手段は、第2の方向へ送風していない時間を経過時間として計測する。制御手段は、温度データが所定の基準温度未満で、経過時間が所定の設定時間よりも長い場合に、第2の方向へ送風するように送風手段を制御する。
【0010】
本発明の送風方法は、冷却対象を冷却する第1の方向へ送風し、冷却対象に関する温度データを収集し、第1の方向と反対向きの第2の方向に送風していない時間を経過時間として計測する。また、本発明の送風方法は、温度データが所定の基準温度未満で、経過時間が所定の設定時間よりも長い場合に、第2の方向へ送風する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、冷却対象の温度上昇を抑制しつつ、互いに向かい合う2つの方向への送風が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態の構成の概要を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態の構成の概要を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態の装置の一部の構成を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態における動作のフローを示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態における動作のフローを示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態における温度推移の例のグラフを示す図である。
図7】本発明の第3の実施形態における動作のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態の送風装置の構成の概要を示したものである。本実施形態の送風装置は、送風手段1と、温度取得手段2と、時間計測手段3と、制御手段4とを備えている。送風手段1は、冷却対象を冷却する第1の方向への送風及び第1の方向と反対向きの第2の方向への送風を行う。温度取得手段2は、冷却対象に関する温度データを収集する。時間計測手段3は、第2の方向へ送風していない時間を経過時間として計測する。制御手段4は、温度データが所定の基準温度未満で、経過時間が所定の設定時間よりも長い場合に、第2の方向へ送風するように送風手段1を制御する。
【0014】
本実施形態の送風装置の制御手段4は、冷却対象の温度データと第2の方向に送風していない状態の経過時間が条件を満たしたときに、送風手段1が第2の方向に送風するように制御を行っている。本実施形態の送風装置では、冷却対象の温度が所定の基準温度未満のときに第1の方向と反対向きの第2の方向に送風しているので、冷却対象の温度が高いときに第1の方向の送風が止まることを避けることができる。その結果、本実施形態の送風装置では、冷却対象の温度上昇抑制しつつ、互いに向かい合う双方向への送風が可能となる。
【0015】
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図2は本実施形態の情報処理装置の構成の概要を示したものである。本実施形態の情報処理装置10は、防塵フィルタ11と、送風部12と、制御部13と、温度計測部14と、装置制御部15と、電子部品16とを備えている。本実施形態の情報処理装置10は、電子部品16の冷却のために送風部12において、情報処理装置10の外部から内部へ防塵フィルタ11を介しての空気の取り込みを行う。また、本実施形態の情報処理装置10は、内部から外部に防塵フィルタ11を介して空気を送り出すことにより、内部に空気を取り込む際に防塵フィルタ11に付着した塵埃を取り除く。本実施形態の情報処理装置10は、冷却時の送風方向とは逆方向に送風することにより、付着した塵埃を取り除いて防塵フィルタ11の清掃を行っている。
【0016】
防塵フィルタ11は、情報処理装置10の外部から空気を取り込む際に、塵埃が装置内部を入り込むことを防止する機能を有する。防塵フィルタ11には、例えば、空孔を多数有するスポンジ状の樹脂で形成されたフィルタ部材を用いることができる。
【0017】
送風部12は、情報処理装置10の外部から内部へ空気を取り込む機能、すなわち、吸気を行う機能を有する。また、送風部12は、情報処理装置10の内部から外部の側へと空気を出す機能、すなわち、排気を行う機能を有する。送風部12には、制御部13から送られてくるファン制御信号S1に応じて回転動作をするファンが備えられている。ファン制御信号S1は、ファンの回転の開始または停止を示す動作内容、ファンの回転方向およびファンの回転速度の情報で構成されている。本実施形態において、送風部12のファンが情報処理装置10の外部から内部へ空気を取り込むときのファンの回転方向を正回転方向と呼ぶ。また、内部から外部の側へと空気を出すときは、送信部12のファンは空気を取り込むときとは反対方向に回転する。本実施形態において、情報処理装置10の内部から外部へ空気を出すときのファンの回転方向を逆回転方向と呼ぶ。
【0018】
本実施形態では送風部12のファンは、正回転方向および逆回転方向にそれぞれ所定の回転速度で回転する。所定の回転速度は、電子部品16の冷却および防塵フィルタ11の清掃を行うために十分な速度として設定されている。本実施形態では正回転方向と逆回転方向の所定の回転速度は同一であるとする。正回転方向と逆回転方向の回転速度は異なっていてもよい。送風部12のファンは、それぞれの方向に複数段階の回転速度で回転する構成とすることもできる。
【0019】
制御部13は、電子部品16の冷却および防塵フィルタ11の清掃のための送風部12のファンの動作を制御する機能を有する。また、制御部13は、防塵フィルタ11の清掃の実施の可否を判断する機能を有する。制御部13は、ファン制御信号S1を送風部12に送ることにより、冷却および防塵フィルタ11を清掃行うための送風部12のファンの回転を制御する。
【0020】
制御部13の構成をより詳細に説明する。図3は本実施形態の制御部13の構成の概要を示したものである。また、図3には、説明のために、送風部12、温度計測部14および装置制御部15についても示している。図3に示す通り、本実施形態の制御部13は、駆動制御部21と、送風制御部22と、監視時間タイマ23と、実行間隔タイマ24と、清掃時間タイマ25とを備えている。
【0021】
駆動制御部21は、送風部12にファン制御信号S1を送信する機能を有する。駆動制御部21は、送風制御部22から送られてくる駆動制御信号S2に基づいて送風部12にファン制御信号S1を送信する。駆動制御信号S2は、ファンの回転方向および回転速度の情報で構成されている。
【0022】
送風制御部22は、送風部12における防塵フィルタ11の清掃および通常の冷却のためのファンの回転を制御する機能を有する。また、送風部12は、防塵フィルタ11の清掃の要否を判断する機能を有する。送風制御部22は、温度計測部14から送られてくる温度計測信号S3が示す温度データおよび実行間隔タイマ24から送られてくる実行間隔信号S11が示す時間情報に基づいて防塵フィルタ11の清掃の要否を判断する。温度計測信号S3は、温度計測部14が電子部品16に関して計測した温度データの情報により構成されている。また、実行間隔信号S11は、防塵フィルタ11の清掃が完了してからの経過時間の情報により構成されている。電子部品16に関して計測した温度データとは、例えば、電子部品16の表面の温度のことをいう。
【0023】
監視時間タイマ23は、温度計測部14から送られてくる温度計測信号S3が示す温度データを送風制御部22が監視する際の周期を計測する機能を有する。監視時間タイマ23は、送風制御部22から監視時間タイマ起動信号S8を受け取ると起動する。監視時間タイマ起動信号S8は、送風制御部22が監視時間タイマ23に起動を伝達するための信号である。監視時間タイマ起動信号S8は、起動を示す情報と温度を監視する周期の情報により構成されている。監視時間タイマ23は、起動すると時間の計測を開始して温度データを監視する周期ごとに監視時間信号S9を送風制御部22に出力する。監視時間信号S9は、監視時間タイマ23が送風制御部22に温度を監視するタイミングを伝達するための信号である。
【0024】
実行間隔タイマ24は、防塵フィルタ11の清掃完了からの経過時間を計測する機能を有する。実行間隔タイマ24は、実行間隔タイマ起動信号S10を受け取ると起動する。実行間隔タイマ24は、起動すると時間0から時間の計測を開始し、計測を開始してからの経過時間の情報を送風制御部22へ実行間隔信号S11として送る。実行間隔タイマ起動信号S10は、送風制御部22が実行間隔タイマ24に起動を伝達するための信号である。
【0025】
清掃時間タイマ25は、防塵フィルタ11の清掃を行っている時間の長さを計測する機能を有する。清掃時間タイマ25は、送風制御部22から清掃時間タイマ起動信号S12を受け取ると起動する。清掃時間タイマ起動信号S12は、送風制御部22が清掃時間タイマ25に起動を伝達するための信号である。時間タイマ25は、起動してからの経過時間を防塵フィルタ11の清掃の開始時からの経過時間として計測する。清掃時間タイマ25は、経過時間の情報を清掃時間信号S13として送風制御部22へ送る。
【0026】
温度計測部14は、電子部品16に関する温度を計測する機能を有する。本実施形態では、温度計測部14は電子部品16に関する温度として電子部品16の表面の温度の計測を行う。温度計測部14は、計測した電子部品16の温度データを温度計測信号S3として制御部13の送風制御部22へ送る。
【0027】
装置制御部15は、情報処理装置10の制御全般を行う機能を有する。装置制御部15は、例えば、情報処理装置10の電源に関する制御を行う。装置制御部15は、情報処理装置10の電源がオンとなると、制御部13および電子部品16に所定の動作を開始することを示す信号を送る。例えば、装置制御部15は、制御部13に対して冷却を開始することを示す信号を送風制御信号S4として送る。また、装置制御部15は、電子部品16を介して送られてくる情報処理装置10の作業者が入力した情報等を、送風制御信号S4として制御部13に送る。また、制御部13から清掃結果信号S5として送られてくる防塵フィルタ11の清掃結果等の情報を電子部品16に送る。 電子部品16は、中央演算処理装置、記憶装置および画像処理装置などの半導体装置やその他の部品で構成され、情報処理装置10が各処理を行うときに用いられる。電子部品16は、情報処理装置10内に1つまたは複数、備えられている。複数の電子部品16を備えている場合は、温度計測部14は電子部品16ごとに備えられていてもよく、複数の電子部品16が設置されている付近の温度を計測するように備えられていてもよい。また、温度計測部14は、最も発熱量の大きな電子部品16や情報処理装置10の構成上、重要な電子部品16の温度を計測するように備えられていてもよい。このように、温度計測部14は、冷却対象となる電子部品16に関する温度を測定する。
【0028】
本実施形態の情報処理装置10において防塵フィルタ11の清掃が行われる際の動作について説明する。図4および図5は本実施形態の防塵フィルタ11の清掃が行われる際のフローの概要を示したものである。図4は防塵フィルタ11の清掃が行われる際の全体のフローを示し、図5図4のステップ106のさらに詳細なフローを示したものである。
【0029】
作業者による操作により、情報処理装置10が稼動を開始する(ステップ101)。情報処理装置10が稼働を開始すると、装置制御部15は電子部品16の冷却を開始するために、制御部13に稼動を開始したことを示す送風制御信号S4を送る。制御部13に情報処理装置10送風制御信号S4が入力されると、制御部13は、送風部12のファンを正回転方向に回転させる制御を行って冷却を開始させる(ステップ102)。制御部13は、冷却の開始を次のように制御する。制御部13に入力された送風制御信号S4は送風制御部22へ送られる。送風制御信号S4を受け取ると、送風制御部22は、駆動制御部21にファンを正回転方向に所定の回転数で回転させることを示す駆動制御信号S6を送る。駆動制御信号S6は、ファンの回転方向および回転速度の情報で構成される信号である。駆動制御部21は、駆動制御信号S6を受け取ると、正回転方向のファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を送風部12に送る。
【0030】
送風部12は、正回転方向のファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を受け取ると、正回転方向のファンの回転を開始する。送風部12が正回転方向のファンの回転を開始すると、防塵フィルタ11を介して、情報処理装置10の外部から内部へと空気が取り込まれて吸気が行われる。情報処理装置10の外部から取り込まれた空気により、情報処理装置10の内部に備えられた電子部品16は冷却される。送風部12は、ファンの回転を開始させると、正回転方向へのファンの回転を開始したことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21に送る。駆動制御部21はファン動作信号S2を受け取ると、正回転方向へファンの回転が開始されたことを示す駆動状態信号S7を送風制御部22に送る。駆動状態信号S7、ファンの回転または停止の情報、および、回転方向の情報により構成されている。
【0031】
送風制御部22は、ファンの回転が開始されたことを示す駆動状態信号S7を受け取ると、監視時間タイマ23に監視時間タイマ起動信号S8を送り監視時間タイマ23を起動する(ステップ103)。また、監視時間タイマ起動信号S8は、監視時間タイマ23の起動を示す情報とともに所定の時間の情報が含まれている。所定の時間は、温度計測部14から送られてくる温度データを監視する周期として設定され、送風制御部22に保存されている。本実施形態では、温度計測部14から送られてくる温度データを監視する周期である所定の時間を温度監視周期と呼ぶことにする。
【0032】
監視時間タイマ23は、監視時間タイマ起動信号S8を受け取ると時間の計測を開始する。監視時間タイマ23は、時間の計測を開始すると、温度監視周期に相当する所定の時間ごとに送風制御部22に監視時間信号S9を送る。監視時間信号S9は、温度データを監視するタイミングであることを送風制御部22に伝達するための信号である。本実施形態では監視時間タイマ23を備え、温度監視周期ごとに温度の監視を行っているが、監視時間タイマ23を備えない構成とすることもできる。監視時間タイマ23を備えない構成とした場合は、送風制御部22は常時、または一定間隔ごとに温度データの監視を行う。また、監視時間タイマ23を備えない構成とした場合は、送風制御部22は監視時間タイマ23に関する動作以外について本実施形態と同様に行う。
【0033】
送風制御部22は、監視時間タイマ23を起動すると、監視時間タイマ23から送られてくる監視時間信号S9の有無から温度データを監視するタイミングを判断する。監視時間信号S9を受け取っていない場合は(ステップ104でNo)、送風制御部22は監視時間信号S9を受け取るまで待機する。送風制御部22が監視時間信号S9を受け取るまで待機している間は、ファンの正回転方向の回転による吸気が継続され、電子部品16が冷却されている。監視時間信号S9を受け取った場合は(ステップ104でYes)、送風制御部22は、監視時間信号S9を受け取った際に温度計測部14から温度計測信号S3として送られてきている温度データと所定の基準温度を比較する。所定の基準温度は、冷却のための吸気を止めて防塵フィルタ11の清掃を実施することが可能な温度の上限を示す温度としてあらかじめ設定されて、送風制御部22に保存されている。
【0034】
温度データが示す温度が所定の基準温度以上の場合は(ステップ105でNo)、送風制御部22は防塵フィルタ11の清掃は不可であると判断する。所定の基準温度以上の場合に、清掃が不可と判断するのは、温度が高いときに冷却を停止して防塵フィルタ11の清掃を行うと、電子部品16の温度がさらに上昇して、動作不良を生じする可能性があるためである。防塵フィルタ11の清掃が不可であると判断するとステップ104に戻り、送風制御部22は、監視時間信号S9を再度、受け取るまで待機する。送風制御部22が、監視時間信号S9を再度、受け取るまで待機している間は、吸気による電子部品16の冷却が継続される。
【0035】
温度計測信号S3が示す温度データが所定の基準温度未満の場合は(ステップ105でYes)、送風制御部22は防塵フィルタ11の清掃が可能であると判断する。送風制御部22は、清掃が可能であると判断すると、防塵フィルタ11の清掃を実施する(ステップ106)。
【0036】
ステップ106において、防塵フィルタ11の清掃を実施する際の動作について図5を参照して説明する。防塵フィルタ11の清掃を開始すると、送風制御部22は、ファンを逆回転方向に回転させることを示す駆動制御信号S6を駆動制御部21に送る。駆動制御部21は、駆動制御信号S6を受け取ると、送風部12にファンの回転を停止させることを示すファン制御信号S1を送る。送風部12は、ファンの回転を停止させることを示すファン制御信号S1を受け取ると、正回転方向のファンの回転を停止させる(ステップ201)。送風部12は、正回転方向へのファンの回転を停止させると、ファンの回転を停止させたことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21へ送る。
【0037】
駆動制御部21は、ファンの回転を停止させたことを示すファン動作信号S2を受け取ると、逆回転方向へのファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を送風部12へ送る。送風部12は、逆回転方向へのファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を受け取ると、ファンを逆回転方向に所定の回転数で回転させる(ステップ202)。送風部12は、ファンの逆回転方向への回転を開始すると、逆回転方向へのファンの回転を開始したことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21へ送る。駆動制御部21は、ファン動作信号S2を受け取ると、逆回転方向へのファンの回転を開始したことを示す駆動状態信号S7を送風制御部22へ送る。
【0038】
送風制御部22は、逆回転方向へのファンの回転を開始したことを示す駆動状態信号S7を受け取ると、清掃時間タイマ起動信号S12を送って、清掃時間タイマ25を起動させる(ステップ203)。清掃時間タイマ25は、清掃時間タイマ起動信号S12を受け取ると、清掃時間の計測を開始する。清掃時間は防塵フィルタ11の清掃を開始してからの経過時間を示すものである。清掃時間タイマ25は、清掃時間の計測を開始すると清掃時間の情報を清掃時間信号S13として送風制御部22に送る。
【0039】
送風制御部22は、清掃時間タイマ起動信号S12を送ると、温度計測部14から送られてくる温度計測信号S3が示す温度データと所定の基準温度を比較する。通常の冷却時は、送風制御部22は、監視時間信号S9を受け取るごとに温度の監視を行っていたが、防塵フィルタ11の清掃を実施している間は、常時または短時間ごとに温度データと所定の基準温度との比較を行う。通常の冷却時は、清掃の実行の可否を判断するために温度データと所定の基準温度との比較を行っていたのに対し、清掃の実施時は電子部品16の温度が所定の基準温度以上に上昇するのを防ぐために行っているからである。常時または短時間ごとに温度データと所定の基準温度との比較を行うことにより、電子部品16の温度が動作が不安定になるような温度にまで上昇することを防ぐことができる。
【0040】
温度が所定の基準温度以上の場合は(ステップ204でNo)、送風制御部22は清掃の継続が不可と判断する。清掃の継続が不可と判断すると、送風制御部22は、ファンを正回転方向に回転させることを示す駆動制御信号S6を駆動制御部21に送る。駆動制御部21は、ファンを正回転方向に回転させることを示す駆動制御信号S6を受け取ると、送風部12にファンの回転を停止することを示すファン制御信号S1を送る。送風部12はファンの回転を停止することを示すファン制御信号S1を受け取ると、ファンの逆回転方向の回転を停止させる(ステップ206)。送風部12は、ファンの逆回転方向の回転を停止すると、回転を停止したことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21に送る。
【0041】
駆動制御部21は、ファンの回転を停止したことを示すファン動作信号S2を受け取ると、送風部12に正回転方向のファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を送風部12に送る。送風部12は正回転方向のファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を受け取ると、ファンを正回転方向に所定の回転数で回転させる(ステップ207)。送風部12は、ファンの回転を開始させると、正回転方向へのファンの回転を開始したことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21に送る。駆動制御部21はファン動作信号S2を受け取ると、正回転方向へファンの回転が開始されたことを示す駆動状態信号S7を送風制御部22に送る。正回転方向へファンの回転が開始されたことを示す駆動状態信号S7を受け取ると、送風制御部22は、図4に示したステップ104からの動作を行う。
【0042】
温度が所定の基準温度未満の場合は(ステップ204でYes)、送風制御部22は、清掃時間タイマ25から送られてくる清掃時間信号S13が示す清掃開始からの経過時間を確認する。清掃時間信号S13が示す清掃開始からの経過時間が、所定の清掃時間を経過していない場合は(ステップ205でNo)、ステップ204に戻って送風制御部22は温度の監視を継続する。所定の清掃時間は、防塵フィルタ11の清掃を行う時間の長さとしてあらかじめ送風制御部22に保存されている。所定の清掃時間を経過していない場合は、所定の清掃時間が経過するまで送風制御部22による温度の監視と送風部12のファンの逆回転による防塵フィルタ11の清掃が継続される。
【0043】
清掃時間信号S13が示す清掃開始からの経過時間が、所定の清掃時間を経過している場合は(ステップ205でYes)、送風制御部22は清掃が完了したと判断する。送風制御部22は清掃が完了したと判断すると、駆動制御部21にファンを正回転方向に回転させることを示す駆動制御信号S6を送る。駆動制御部21は、ファンを正回転方向に回転させることを示す駆動制御信号S6を受け取ると、送風部12にファンの回転を停止することを示すファン制御信号S1を送る。送風部12は、ファンの回転を停止させることを示すファン制御信号S1を受け取ると、逆回転方向のファンの回転を停止させる(ステップ206)。送風部12は、ファンの逆回転方向の回転を停止すると、回転を停止したことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21に送る。
【0044】
駆動制御部21は、ファンの回転を停止したことを示すファン動作信号S2を受け取ると、正回転方向のファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を送風部12に送る。送風部12は、正回転方向のファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を受け取ると、ファンを正回転方向に所定の回転数で回転させる(ステップ207)。送風部12は、ファンの回転を開始させると、正回転方向へのファンの回転を開始したことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21に送る。駆動制御部21はファン動作信号S2を受け取ると、正回転方向へファンの回転が開始されたことを示す駆動状態信号S7を送風制御部22に送る。以上で、図4のステップ106に示した防塵フィルタ11の清掃の実施は終了する。
【0045】
送風制御部22は、正回転方向へファンの回転が開始されたことを示す駆動状態信号S7を受け取ると、実行間隔タイマ起動信号S10を送って実行間隔タイマ24を起動する(ステップ107)。実行間隔タイマ24は、実行間隔タイマ起動信号S10を受け取ると、防塵フィルタ11の清掃完了からの経過時間の計測を開始する。実行間隔タイマ24は、実行間隔タイマ起動信号S10を受け取ると時間0から計測を開始する。実行間隔タイマ24は、所定の時間ごとに送風制御部22に清掃完了からの経過時間の情報を示す実行間隔信号S11を送る。
【0046】
送風制御部22は実行間隔信号S11を受け取ると、実行間隔信号S11が示す清掃完了からの経過時間が所定の基準時間以上かを判断する。清掃完了からの経過時間が所定の基準時間未満である場合は(ステップ108でNo)、送風制御部22は次に実行間隔信号S11を受け取るまで待機する。清掃完了からの経過時間が所定の基準時間以上になるまでは、正回転方向へのファンの回転による吸気が行われて冷却が継続される。清掃完了からの経過時間が所定の基準時間以上である場合は(ステップ108でYes)、送風制御部22は、再度、防塵フィルタ11の清掃が必要であると判断する。送風制御部22は防塵フィルタ11の清掃が必要であると判断するとステップ103からの動作を行う。以上で、本実施形態の情報処理装置10における防塵フィルタ11の1回の清掃が完了する。防塵フィルタ11の清掃が完了すると、送風制御部22は、防塵フィルタ11の清掃が完了したことを示す、清掃結果信号S5を装置制御部15に送る。
【0047】
図6は本実施形態において冷却や清掃が行われている際の、温度計測部14で計測される温度変化の例をグラフに示したものである。図6の横軸は時間、縦軸は温度計測部14で計測される温度を示している。図6では、温度計測部14で計測される温度を曲線Aとして示している。図6の「D」は温度監視周期を示している。また、図6の「B1」から「B8」は、温度監視周期「D」ごとに送風制御部22が温度データの監視を行う時間を示している。図6の「a」は、防塵フィルタ11の清掃が可能である温度の上限を示している。図6の「b」は電子部品16が正常に稼働する温度範囲の上限を示している。また、図6の「c」は、清掃が可能となる温度範囲の上限「a」を下回っている時間帯、すなわち、防塵フィルタ11の清掃の実施が可能である時間帯を示している。また、図6の「E」は、清掃の実施間隔を示している。「E」の期間内は、所定の基準温度「a」を下回っても清掃は実施されない。図6の「F」は、防塵フィルタ11の清掃が実施されている時間、すなわち、送風部12で排気の動作が行われている時間を示している。
【0048】
図6の「B1」の時間に送風制御部22が温度計測部14から送られてくる温度データと所定の基準温度を比較したとする。「B1」では温度が所定の基準温度「a」を上回っているので清掃は実施されない。次に送風制御部22は、温度監視周期「D」が経過した後の、「B2」の時間に送風制御部22が温度計測部14から送られてくる温度と所定の基準温度を比較する。「B2」では温度が所定の基準温度「a」を下回っているので清掃が実施される。清掃は時間「F」の長さで実施される。温度が所定の基準温度「a」を下回るようなときは、電子部品16の稼動率が低下し温度上昇が生じにくいと考えられる。よって、温度が低いときに、防塵フィルタ11の清掃を行うことにより、清掃を実施している清掃時間内に温度が所定の基準温度「a」を超えて清掃を中止しなければならないことを抑制できる。
【0049】
「B2」の時間に一度、清掃が実施されると「E」の期間が経過するまで清掃は実施されない。例えば、「B6」の時間は所定の基準温度「a」を下回っているが、「B2」から期間「E」を経過していないので清掃は実施されない。「B2」の次に清掃が実施されるのは、期間「E」が経過した後、すなわち、「B7」の時間以後で最初に温度が温度「a」を下回ったときとなる。本実施形態の情報処理装置10は、このように清掃の実施の有無を制御することにより、清掃実施間隔が狭いような不必要な清掃を抑制しつつ、温度が基準を下回ったときに防塵フィルタ11の清掃を行っている。
【0050】
本実施形態の情報処理装置は、電子部品の温度を温度計測部で測定し、温度が所定の基準温度より低いときに、送風部がファンを吸気とは逆回転の方向に回転させて防塵フィルタの清掃を行っている。また、前回の防塵フィルタの清掃から所定の時間が経過しているときのみ清掃が実施されている。本実施形態の情報処理装置は、吸気を停止して防塵フィルタの清掃を行っている途中で、電子部品の温度が上昇した場合は、清掃を停止して吸気動作を再開する。よって、本実施形態の情報処理装置では、清掃によって電子部品の温度が上昇して動作が不安定になることを避けつつ、防塵フィルタの清掃を行うことができる。また、清掃からの経過時間を基に清掃の実施の要否を判断するため、不必要な清掃の実施による清掃回数の増加を避けることができる。その結果、本実施形態の情報処理装置では、温度上昇を抑制しつつ防塵フィルタの清掃を情報処理装置の稼働を継続しながら行うことができるため、長期に安定して稼働することが可能となり得る。
【0051】
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図7は本実施形態の情報処理装置の動作のフローの概要を示したものである。また、本実施形態の情報処理装置の構成は第2の実施形態と同様であるため、図2および図3も参照して説明する。第2の実施形態では、前回の防塵フィルタの清掃から所定の時間を経過していない場合は、清掃の実行を見送ったが、本実施形態では清掃の実行指示があった際に、前回の清掃からの経過時間に関わらずに防塵フィルタの清掃を実行する。本実施形態の情報処理装置10は、第2の実施形態と同様の方法で吸気による電子部品16の冷却および防塵フィルタ11の清掃を行う。また、本実施形態の送風部12のファンは、正回転方向に複数段階の回転速度で回転する機能を有している。
【0052】
本実施形態の情報処理装置10において防塵フィルタ11の清掃が行われる場合の動作について説明する。情報処理装置10が第2の実施形態と同様の動作フローで稼働しているときに、作業者が情報処理装置10の操作を行って清掃開始の指示を入力したとして説明する。清掃開始の指示が入力されると、装置制御部15から制御部13に防塵フィルタ11の清掃を開始することを示す送風制御信号S4が送られる(ステップ121)。制御部13に送られてきた防塵フィルタ11の清掃を開始することを示す送風制御信号S4は、送風制御部22に送られる。
【0053】
防塵フィルタ11の清掃を開始することを示す送風制御信号S4を受け取ると、送風制御部22は、駆動制御部21に送風部12のファンを正回転方向に所定の回転速度で回転させることを示す駆動制御信号S6を送る。本実施形態では、このときの所定の回転速度は、送風部12のファンの正回転方向への最高速度として設定されている。駆動制御部21は、ファンを正回転方向に最高速度で回転させることを示す駆動制御信号S6を受け取ると、正回転方向に最高速度でファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を送風部12に送る。送風部12は、正回転方向に最高速度でファンの回転を開始することを示すファン制御信号S1を受け取ると、ファンを正回転方向に最高速度で回転させる(ステップ122)。送風部12は、ファンの回転を開始させると、正回転方向へのファンの回転を開始したことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21に送る。駆動制御部21はファン動作信号S2を受け取ると、正回転方向へファンの回転が開始されたことを示す駆動状態信号S7を送風制御部22に送る。
【0054】
送風制御部22は、正回転方向へファンの回転が開始されたことを示す駆動状態信号S7を受け取ると、温度計測部14から送られてくる温度計測信号S3が示す温度データと所定の基準温度を比較する。所定の基準温度は、ファンの正回転方向の回転、すなわち、冷却のための吸気を止めて、防塵フィルタ11の清掃に移行することが可能な温度として設定されている。
【0055】
温度が所定の基準温度以上の場合は(ステップ123でNo)、送風制御部22は清掃を直ちに実施することは不可であると判断する。送風制御部22は清掃を直ちに実施することは不可であると判断すると、温度の確認回数を「1」増やして積算する(ステップ126)。温度の確認回数は、装置制御部15から防塵フィルタ11の清掃を開始することを示す送風制御信号S4が送られてきた際にリセットされて「0」に戻る。温度の確認回数を積算すると、送風制御部22は温度の確認が所定の回数未満であるかを判断する。温度の確認が所定の回数未満である場合は(ステップ127でYes)、送風制御部22は所定の時間経過後に、温度データを所定の基準温度と比較してステップ123からの動作を行う。
【0056】
温度の確認が所定の回数以上である場合は(ステップ127でNo)、送風制御部22は装置制御部15に清掃の実施を見送ることを示す清掃結果信号S5を送る。清掃の実施を見送ることを示す清掃結果信号S5を送ると、送風制御部22は、ファンを正回転方向に通常時の所定の回転速度で回転させることを示す駆動制御信号S6を駆動制御部21に送る。通常時の所定の回転速度は、清掃を実施していないとき、すなわち、電子部品16の通常の冷却を行っている際のファンの回転速度である。駆動制御部21は、駆動制御信号S6を受け取ると、ファンを正回転方向に通常時の所定の回転速度で回転させることを示すファン制御信号S1を送風部12に送る。送風部12は、ファンを正回転方向に通常時の所定の回転速度で回転させることを示すファン制御信号S1を受け取ると、通常時の所定の回転速度でファンを正回転方向に回転させる。送風部12は通常時の所定の回転速度でファンを正回転方向に回転させると、通常時の回転速度に変更したことを示すファン動作信号S2を駆動制御部21に送る。駆動制御部21は、通常時の回転速度に変更したことを示すファン動作信号S2を受け取ると、通常時の回転速度に変更したことを示す駆動状態信号S7を送風制御部22に送る。通常時の回転速度に変更したことを示す駆動状態信号S7を送風制御部22が受け取ると、清掃の動作は終了となる。
【0057】
温度が所定の基準温度未満の場合は(ステップ123でYes)、送風制御部22は防塵フィルタ11の清掃が可能であると判断する。防塵フィルタ11の清掃が可能であると判断すると、送風制御部22は、第2の実施形態と同様に送風部12を制御して防塵フィルタ11の清掃を実施する。すなわち、送風制御部22は、第2の実施形態のステップ201から208と同様に防塵フィルタ11の清掃を制御する。防塵フィルタ11の清掃が完了すると、送風制御部22は装置制御部15に清掃が完了したことを示す清掃結果信号S5を送る(ステップ125)。以上で、装置制御部15からの指示に基づく防塵フィルタ11の清掃の動作が完了する。
【0058】
装置制御部15からの指示に基づく防塵フィルタ11の清掃の動作が完了すると、第2の実施形態と同様に定期的な防塵フィルタ11の清掃が行われる。定期的な防塵フィルタ11の清掃に移行する際は、送風制御部22は実行間隔タイマ起動信号S10を送って実行間隔タイマ24を起動し、第2の実施形態のステップ107からの動作を行う。
【0059】
本実施形態では、装置制御部15から防塵フィルタ11の清掃の指示があった際に、送風部12のファンを正回転方向に最高速度で回転させたが、変更後の回転速度を最高速度以外としてもよい。変更後のファンの回転速度を最高速度以外とする場合は、通常の回転速度よりも速い速度とする。また、回転速度を上げずに清掃の動作を開始する方法とすることもできる。
【0060】
本実施形態の情報処理装置は、清掃の実施の指示があったときに防塵フィルタの清掃を行っている。本実施形態の情報処理装置は、清掃のために送風部のファンを逆回転方向に回転させているとき、電子部品の温度の上昇を温度計測が検知すると、清掃を停止してファンの正回転方向の回転を再開させている。そのため、電子部品の温度の上昇を抑制しつつ、清掃の実施を要するタイミングでの防塵フィルタの清掃が可能となる。
【0061】
第2の実施形態の情報処理装置において、防塵フィルタの清掃のために吸気から排気に切り替える際に、吸気のための正回転方向の回転速度を上げた後に排気に切り替える方法とすることもできる。排気のための逆回転方向への回転に切り替える前に、正回転方向の回転速度を上げることにより冷却が進むため、清掃を実施している間に電子部品の温度が所定の基準温度を超えることを抑制することができる。所定の基準温度を超えることを抑制することにより、防塵フィルタの清掃が途中で中止されることを避けることができる。
【0062】
第2の実施形態および第3の実施形態の情報処理装置は、稼動を開始した際に防塵フィルタの清掃を実施し、その後は所定の経過時間ごとに清掃を行っている。このような清掃の実施方法に代えて、稼働開始時に前回の稼働時に行われた清掃からの所定の経過時間を経過していない場合は、稼働を開始した際の清掃を実施しないようにすることもできる。稼働を開始した際の清掃を実施しない場合には、前回の清掃からの経過時間は、送付部のファンが正回転方向に回転しているときの時間を積算することにより計測される。すなわち、情報処理装置が稼働しておらず送風部のファンが停止している状態のときに経過した時間は、経過時間に含めない。
【0063】
第2の実施形態および第3の実施形態では、温度計測部から制御部に温度データが直接、送られていた。このような構成に代えて、温度計測機能を有する電子部品や装置制御部を経由して制御部に温度計測信号が入力される構成とすることもできる。また、第2の実施形態および第3の実施形態の制御部が実施している動作の一部を、情報処理装置のオペレーティングシステム等が実施する構成とすることもできる。
【0064】
第2の実施形態および第3の実施形態では、判断の基準となる温度、清掃の実施の間隔、清掃時間などの清掃の実施に係る条件は送風制御部にあらかじめ保存されていた。このような構成に代えて、清掃の実施に係る条件が装置制御部から送風制御部へと送られる構成とすることもできる。そのような構成とした場合は、情報処理装置の起動時や作業者による条件設定の情報は、入出力等の機能を担う電子部品から装置制御部に送られ、装置制御部から送風制御部へと送られる。送風制御部は装置制御部から受け取った条件に基づいて、防塵フィルタの清掃を制御する。このような構成とすることにより、装置の構成の変更や用途の変更があった際に清掃に係る条件を変更して、防塵フィルタ11の清掃の頻度や条件を最適化して対応することが可能となる。
【0065】
第2の実施形態および第3の実施形態では、送風部に備えられた1台のファンを正回転方向または逆回転方向に回転させて、冷却または清掃を行っている。このような構成に代えて、正回転方向用のファンと、逆回転方向用のファンを別のものとして備える構成、すなわち、2台のファンを備える構成とすることもできる。回転方向によって別々のファンを使うことにより、ファンへの負荷が軽減するため送風部の故障を抑制することができる。また、逆回転方向用のファンを複数台備える構成や、出力の大きなファンを使う構成とすることにより、防塵フィルタの清掃時間に要する時間を短縮して電子部品等の温度の上昇を抑制することもできる。また、送風部を2つ以上備える構成として、1つの送風部が清掃動作を行っている間に、他の送風部が冷却を継続するようにすることもできる。
【0066】
第2の実施形態および第3の実施形態では、防塵フィルタおよび送風部が1組備えられている構成を示したが、防塵フィルタおよび送風部は複数備えられていてもよい。また、第2の実施形態および第3の実施形態では、温度計測部により電子部品の温度のモニターを行っているが、電子部品以外場所に温度計測部を備えて温度モニターを行う構成としてもよい。例えば、情報処理装置の筐体および内部の構造上、最も熱が籠りやすい位置に温度計測部を設置してもよい。また、温度計測部を複数備えて、各温度計測部の計測結果の平均値や最大値などを基に温度モニターを行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、情報処理装置等の内部を冷却するための送風装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 送風手段
2 温度取得手段
3 時間計測手段
4 制御手段
10 情報処理装置
11 防塵フィルタ
12 送風部
13 制御部
14 温度計測部
15 装置制御部
16 電子部品
21 駆動制御部
22 送風制御部
23 監視時間タイマ
24 実行間隔タイマ
25 清掃時間タイマ
101−108 情報処理装置の動作ステップ
121−128 情報処理装置の動作ステップ
201−210 清掃のステップ
S1 ファン制御信号
S2 ファン動作信号
S3 温度計測信号
S4 送風制御信号
S5 清掃結果信号
S6 駆動制御信号
S7 駆動状態信号
S8 監視時間タイマ起動信号
S9 監視時間信号
S10 実行間隔タイマ起動信号
S11 実行間隔信号
S12 清掃時間タイマ起動信号
S13 清掃時間信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7