(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品1の斜視図である。吸収性物品1は、着用者からの排泄物を受けるトランクスタイプの使い捨ておむつである。吸収性物品1は、
図1中の上側の端部である上端に胴部開口11を有する。吸収性物品1は、また、
図1中の下側の端部である下端に一対の脚部開口12を有する。
【0019】
図2は、吸収性物品1の正面図(すなわち、着用者の腹側に位置する部位の図)である。
図1および
図2に示すように、吸収性物品1は、胴筒部15と、一対の脚筒部16とを備える。一対の脚筒部16は、胴筒部15の下端から下方に拡がる。胴筒部15の上端には、上述の胴部開口11が形成される。各脚筒部16の下端には、上述の脚部開口12が形成される。
【0020】
図3は、吸収性物品1の胴筒部15を
図2中のA−Aの位置にて切断した断面図である。
図4は、吸収性物品1の一対の脚筒部16を
図2中のB−Bの位置にて切断した断面図である。
図1ないし
図4に示すように、吸収性物品1は、外装シート4と、股下部材2とを備える。股下部材2は、外装シート4の内面(なわち、着用者側の面)に取り付けられて着用者からの排泄物を吸収する略シート状の吸収体である。
【0021】
図2ないし
図4に示すように、外装シート4は、第1外装シート41と、第2外装シート42と、脚部シート部材43とを備える。第1外装シート41は、着用者の後側(すなわち、背側の肌)を覆う略矩形シート状の部材である。第2外装シート42は、着用者の前側(すなわち、腹側の肌)を覆う略矩形シート状の部材である。第1外装シート41の幅方向の両側の側縁部410は、第2外装シート42の幅方向の両側の側縁部420に、ヒートシール等により接合されて固定される。当該幅方向は、吸収性物品1が着用された状態における上下方向および前後方向に垂直な左右方向である。第1外装シート41の側縁部410と第2外装シート42の側縁部420とは、上下方向のおよそ全長に亘って互いに固定される。
図1および
図2に示すように、第1外装シート41の上端部、および、第2外装シート42の上端部には、幅方向に延びる胴部弾性部材45が接合される。胴部弾性部材45は、例えば、幅方向に長い帯状の部材である。
【0022】
図2および
図4に示すように、第2外装シート42の幅方向の中央部には、第2外装シート42の下端部から上方に延びる第2スリット421が設けられる。また、
図4に示す第1外装シート41においても同様に、第1外装シート41の幅方向の中央部に、第1外装シート41の下端部から上方に延びる第1スリット411が設けられる。
【0023】
脚部シート部材43は、幅方向に延びる帯状のシート部材である。脚部シート部材43は、
図2および
図4に示すように、第1スリット411および第2スリット421と上下方向の位置を合わせて、第1外装シート41と第2外装シート42との間に固定される。第1外装シート41の下端部、第2外装シート42の下端部、および、脚部シート部材43により、上述の一対の脚筒部16が形成される。
【0024】
図5は、脚部シート部材43を示す斜視図である。
図5に示すように、脚部シート部材43は、第1脚部シート部431と、第2脚部シート部432とを備える。第1脚部シート部431および第2脚部シート部432は、それぞれ幅方向に延びる帯状のシート部である。第2脚部シート部432は、第1脚部シート部431と部分的に重なる。
【0025】
図6は、脚部シート部材43の形成の流れを示す図である。また、
図7ないし
図9は、形成途上の脚部シート部材43を示す平面図または斜視図であり、
図10は脚部シート部材43の斜視図である。脚部シート部材43が形成される際には、まず、
図7に示すように、略矩形状のシート部材439が準備される。シート部材439の幅方向の両側にはそれぞれ、スリット433が設けられる。各スリット433は、シート部材439の幅方向に垂直な方向(すなわち、図中の上下方向)の中央部において、幅方向に略平行に延びる。
【0026】
続いて、シート部材439が、
図8に示すように、2つのスリット433を含む折り畳み線434にて2つ折りにされることにより、中間部材(以下、「脚部シート中間部材430」という。)が準備される(ステップS11)。折り畳み線434の両側の部位は、上述の第1脚部シート部431および第2脚部シート部432である。
図8は、
図5に示す脚部シート部材43が幅方向に拡げられた状態を示す。
図8では、折り畳み線434を上側にして、第1脚部シート部431を手前側に、第2脚部シート部432を奥側に描いている。それぞれが幅方向に延びる帯状の部位である第1脚部シート部431と第2脚部シート部432とは略同形状であり、互いに重なる。
【0027】
折り畳み線434のうち、2つのスリット433の間の部位は、第1脚部シート部431の幅方向の中央部である第1中央部431aと、第2脚部シート部432の幅方向の中央部である第2中央部432aとが連続する連続部435である。
図8では、連続部435を太い実線にて示す(
図9および
図10においても同様)。連続部435は、脚部シート中間部材430の上側(すなわち、脚部シート部材43の上側)に設けられる。第1脚部シート部431のうち、第1中央部431aの幅方向の両側の部位である2つの第1側部431bは、折り畳み線434において第2脚部シート部432と非連続である。また、第2脚部シート部432のうち、第2中央部432aの幅方向の両側の部位である2つの第2側部432bは、折り畳み線434において第1脚部シート部431と非連続である。換言すれば、互いに対向する第1側部431bと第2側部432bとは、折り畳み線434において連続していない。
【0028】
次に、幅方向に拡げられた第1脚部シート部431および第2脚部シート部432が、
図9に示すように、第1中央部431aおよび第2中央部432aの幅方向の略中央にて、第1脚部シート部431を内側にして幅方向に2つ折りにされる(ステップS12)。そして、
図10に示すように、第2脚部シート部432の2つの第2側部432bがそれぞれ、対向する第1側部431bから離間して幅方向に折り返されることにより、脚部シート部材43が形成される(ステップS13)。
【0029】
図4中の左側の脚筒部16では、幅方向の内側(すなわち、図中の右側の部位)において、第1外装シート41と第2外装シート42とが、脚部シート部材43の第2脚部シート部432の2つの第2側部432bにより接続される。また、
図4中の右側の脚筒部16では、幅方向の内側(すなわち、図中の左側の部位)において、第1外装シート41と第2外装シート42とが、脚部シート部材43の第1脚部シート部431の2つの第1側部431bにより接続される。
【0030】
図3に示すように、股下部材2は、トップシート21と、吸収コア22と、バックシート23とを備える。吸収コア22は、トップシート21と、トップシート21に積層されたバックシート23との間に配置される。トップシート21とバックシート23とは、周縁部がホットメルト接着剤やヒートシール等により接合される。股下部材2のトップシート21上には、トップシート21から離れる方向に起立する一対の側壁部(いわゆる、立体ギャザー)が、幅方向の両側部に設けられてもよい。
【0031】
股下部材2は、略矩形状であり、トップシート21を内側にして長手方向(
図1および
図2中の上下方向)の中央部にて2つ折りにされる。股下部材2のバックシート23が、外装シート4の第1外装シート41および第2外装シート42に接合されることにより、股下部材2が外装シート4に固定される。吸収性物品1が着用される際には、股下部材2は着用者の股間部に接する。
【0032】
トップシート21は、透液性のシート部材であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21は、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布であり、当該不織布として、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0033】
吸収コア22は、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。吸収コア22は、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を、2枚の透液性のシート部材の間に挟んで固定することにより形成される。吸収コア22は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成されてもよい。
【0034】
バックシート23は、撥水性または不透液性のシート部材であり、トップシート21および吸収コア22を透過した排泄物の水分等が股下部材2の外側にしみ出すことを防止する。バックシート23としては、例えば、疎水性繊維にて形成された不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)、プラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0035】
外装シート4の第1外装シート41および第2外装シート42としては、例えば、バックシート23と同様に、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布やプラスチックフィルムが利用される。あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが、第1外装シート41および第2外装シート42として利用されてもよい。プラスチックフィルムとしては、透湿性(通気性)を有するものが利用されることが好ましい。また、第1外装シート41および第2外装シート42として、トップシート21と同様に、親水性繊維により形成された不織布や親水処理した疎水性繊維にて形成された透液性の不織布が利用されてもよい。胴部弾性部材45としては、例えば、帯状のポリウレタンフィルムや天然ゴム等が利用される。あるいは、ポリウレタン糸や糸状の天然ゴム等が、胴部弾性部材45として利用されてもよい。
【0036】
脚部シート部材43としては、例えば、疎水性繊維にて形成された不織布が利用される。好ましくは、脚部シート部材43は、伸縮シートである。第1外装シート41および第2外装シート42も、好ましくは、伸縮シートである。脚部シート部材43、第1外装シート41および第2外装シート42は、例えば、通常の不織布よりも伸縮性が高い伸縮性不織布である。
【0037】
脚部シート部材43、第1外装シート41および第2外装シート42が伸縮シートである場合、脚部シート部材43の伸縮性は、好ましくは、第1外装シート41および第2外装シート42の伸縮性よりも高い。換言すれば、脚部シート部材43は、第1外装シート41および第2外装シート42よりも伸びやすい。なお、脚部シート部材43、第1外装シート41および第2外装シート42は、一般的に伸縮性を有しないとみなされる程度に伸縮性が低い通常のシート部材であってもよい。
【0038】
次に、吸収性物品1の製造方法について説明する。実際の吸収性物品1の製造では、長尺状のシート部材を利用して、複数の吸収性物品1が連続的に製造される。以下では、まず、1つの吸収性物品1に注目して当該吸収性物品1の製造方法について説明し、その後、複数の吸収性物品1の連続製造について説明する。
【0039】
図11は、吸収性物品1の製造の流れを示す図である。
図12は、製造途上の吸収性物品1の斜視図である。吸収性物品1の製造では、まず、上述のステップS11〜S13(
図6参照)が行われることにより、脚部シート部材43が準備される(ステップS21)。換言すれば、ステップS21はステップS11〜S13を備える。
【0040】
続いて、長手方向の中央部の折り返し線24にてトップシート21(
図3参照)を内側にして長手方向に2つ折りにされた股下部材2が準備される(ステップS22)。また、吸収性物品1の第1外装シート41になる予定の中間部材である第1シート部材51が準備される(ステップS23)。さらに、第2外装シート42になる予定の中間部材である第2シート部材52が準備される(ステップS24)。実際には、第1シート部材51および第2シート部材52はそれぞれ、後述するように、長手方向に延びる長尺状のシート部材の一部である。なお、ステップS21〜S24が行われる順番は適宜変更されてよく、ステップS21〜S24のうちいずれかのステップまたは全てのステップが並行して行われてもよい。
【0041】
図12では、長手方向とは、第1シート部材51に沿って図中の奥側から手前側に向かう方向である。以下の説明では、長手方向の一方側である図中の奥側を、単に「奥側」とも呼び、長手方向の他方側である図中の手前側を、単に「手前側」とも呼ぶ。当該長手方向は、吸収性物品1が着用された状態における上述の上下方向と一致し、上記奥側および手前側がそれぞれ、上側および下側に対応する。また、長手方向に垂直な幅方向の一方側である図中の右側を、単に「右側」とも呼び、幅方向の他方側である図中の左側を、単に「左側」とも呼ぶ。
【0042】
第1シート部材51は、略矩形シート状である。第1シート部材51は、奥側(すなわち、長手方向の一方側)の端部と、手前側(すなわち、長手方向の他方側)の端部とを有する。第1シート部材51の幅方向の中央部には、手前側の端部から延びる上述の第1スリット411が設けられる。第2シート部材52は、第1シート部材51とおよそ同形状の略矩形シート状である。第2シート部材52は、第1シート部材51と同様に、奥側の端部と、手前側の端部とを有する。第2シート部材52の幅方向の中央部には、手前側の端部から延びる上述の第2スリット421が設けられる。
【0043】
ステップS21〜S24が終了すると、2つ折りにされた股下部材2が、折り返し線24を図中の手前側に向けて、第1シート部材51と第2シート部材52との間に配置される。股下部材2は、第1スリット411および第2スリット421よりも奥側に、第1スリット411および第2スリット421に重ならないように配置される。股下部材2は、ホットメルト接着剤等により第1シート部材51および第2シート部材52に固定される。
【0044】
また、股下部材2の固定と並行して、第1スリット411と脚部シート部材43と第2スリット421と長手方向の位置を合わせつつ、脚部シート部材43が、第1シート部材51と第2シート部材52との間に配置される。そして、ホットメルト接着剤等により、脚部シート部材43が第1シート部材51および第2シート部材52に固定される(ステップS25)。
【0045】
具体的には、脚部シート部材43の第1脚部シート部431のうち2つの第1側部431bが、第1シート部材51の第1スリット411の右側(すなわち、幅方向の一方側)の部位、および、第2シート部材52の第2スリット421の右側の部位の間に配置され、当該部位にホットメルト接着剤等により固定される。また、第2脚部シート部432の2つの第2側部432bが、第1シート部材51の第1スリット411の左側(すなわち、幅方向の他方側)の部位、および、第2シート部材52の第2スリット421の左側の部位の間に配置され、当該部位にホットメルト接着剤等により固定される。脚部シート部材43のうち第1脚部シート部431の第1中央部431aおよび第2脚部シート部432の第2中央部432aは、第1シート部材51および第2シート部材52に直接的に固定されない。
【0046】
脚部シート部材43は、第1スリット411の奥側の端部、および、第2スリット421の奥側の端部と重なる。換言すれば、脚部シート部材43の奥側のエッジは、幅方向の中央部において、第1スリット411の奥側の端部、および、第2スリット421の奥側の端部よりも奥側に位置する。あるいは、脚部シート部材43の奥側のエッジは、幅方向の中央部において、第1スリット411の奥側の端部、および、第2スリット421の奥側の端部と、長手方向における位置がおよそ一致する。脚部シート部材43の手前側のエッジは、好ましくは、第1シート部材51の手前側の端部、および、第2シート部材52の手前側の端部と、長手方向における位置がおよそ一致する。
【0047】
ステップS25が終了すると、第1シート部材51の幅方向の両側の側縁部510と、第2シート部材52の幅方向の両側の側縁部520とが、例えば、ヒートシールにより互いに固定される(ステップS26)。第1シート部材51の側縁部510および第2シート部材52の側縁部520はそれぞれ、
図13に示すように、第1外装シート41の側縁部410および第2外装シート42の側縁部420となる。ステップS26により、図中の奥側に胴部開口11が形成され、図中の手前側の幅方向両側に一対の脚部開口12が形成され、吸収性物品1の製造が終了する。
【0048】
吸収性物品1が着用される際には、胴部開口11および一対の脚部開口12が、
図14に示すように大きく拡げられる。このとき、脚部シート部材43の第1脚部シート部431と第2脚部シート部432とは、連続部435を除いて幅方向の両側に離間する。これにより、幅方向に並ぶ2つの脚筒部16が形成される。
【0049】
吸収性物品1の実際の製造では、上述のように、長尺状のシート部材を利用して、複数の吸収性物品1が連続的に製造される。
図15は、複数の吸収性物品1を連続的に製造する吸収性物品製造装置8の構成を示す図である。以下の説明では、吸収性物品製造装置8の上流側である
図15中の上側を「奥側」と呼び、下流側である下側を「手前側」と呼ぶ。
図16は、吸収性物品製造装置8における吸収性物品1の製造の流れを示す図である。
図16中のステップS31〜S36は、
図11中のステップS21〜S26に対応する。すなわち、吸収性物品製造装置8において1つの吸収性物品1を形成する構成に着目すると、ステップS31〜S36はステップS21〜S26と同様である。
【0050】
吸収性物品製造装置8では、まず、
図17に示すように、2つの脚部シート部材43が長手方向に連続する脚部シート部材組立体43cが準備される(ステップS31)。
図17では、2つの脚部シート部材43の境界を二点鎖線にて示す。脚部シート部材組立体43cでは、太い実線にて示す連続部435が、図中の奥側および手前側において、幅方向の中央部に位置する。
【0051】
図15に示す吸収性物品製造装置8では、胴部開口11(すなわち、着用時に上側となる部位)が図中の奥側(上側)を向く吸収性物品1と、胴部開口11が図中の手前側(下側)を向く吸収性物品1とが、長手方向に交互に並んだ状態で製造される。したがって、以下の説明では、胴部開口11が図中の奥側を向く吸収性物品1については、図中の奥側および手前側はそれぞれ、上述と同様に、長手方向の一方側および他方側に対応する。一方、胴部開口11が図中の手前側を向く吸収性物品1については、図中の手前側および奥側がそれぞれ、長手方向の一方側および他方側に対応する。
【0052】
例えば、
図17中の奥側の脚部シート部材43では、図中の奥側に連続部435が設けられる。当該脚部シート部材43は、
図15において胴部開口11が奥側を向く吸収性物品1の一部となるため、連続部435は、長手方向の一方側において幅方向の中央部に位置する。また、
図17中の手前側の脚部シート部材43では、図中の手前側に連続部435が設けられる。当該脚部シート部材43は、
図15において胴部開口11が手前側を向く吸収性物品1の一部となるため、連続部435は、長手方向の一方側において幅方向の中央部に位置する。
【0053】
続いて、
図18に示すように、2つの股下部材2が長手方向に連続する股下部材組立体2cが準備される(ステップS32)。股下部材組立体2cでは、2つの股下部材2のうち、図中の奥側の股下部材2が、長手方向の中央部にてトップシート21を内側にして図中の手前側へと2つ折りにされている。また、図中の手前側の股下部材2は、長手方向の中央部にてトップシート21を内側にして図中の奥側へと2つ折りにされている。
図18では、2つの股下部材2の境界を二点鎖線にて示す。
図18中の手前側の股下部材2は、
図15において胴部開口11が奥側を向く吸収性物品1の一部となり、
図18中の奥側の股下部材2は、
図15において胴部開口11が手前側を向く吸収性物品1の一部となる。
【0054】
次に、
図15に示すように、複数の第1シート部材51が長手方向に連続した長尺状のシート部材である第1連続シート部材51cが準備される(ステップS33)。また、複数の第2シート部材52が長手方向に連続した長尺状のシート部材である第2連続シート部材52cが準備される(ステップS34)。第1連続シート部材51cの幅方向の中央部には、2つの第1スリット411(
図12参照)が長手方向に連続する第1連続スリット411cが、断続的に設けられる。第2連続シート部材52cの幅方向の中央部には、2つの第2スリット421(
図12参照)が長手方向に連続する第2連続スリット421cが、断続的に設けられる。なお、ステップS31〜S34が行われる順番は適宜変更されてよく、ステップS31〜S34のうちいずれかのステップまたは全てのステップが並行して行われてもよい。
【0055】
吸収性物品製造装置8では、長手方向に搬送される第1連続シート部材51c上に、股下部材組立体2cおよび脚部シート部材組立体43cが配置され、ホットメルト接着剤等により第1連続シート部材51cに固定される。股下部材組立体2cは、長手方向において隣接する2つの第1連続スリット411cの間に配置される。脚部シート部材組立体43cは、第1連続スリット411cに重ねて配置される。脚部シート部材組立体43cは、第1連続スリット411cの長手方向の全長に亘って第1連続スリット411cに重なる。
【0056】
脚部シート部材組立体43cでは、各脚部シート部材43の第1側部431bに対応する部位431dが、第1連続シート部材51cの第1連続スリット411cの右側の部位に固定される。また、各脚部シート部材43の第2側部432bに対応する部位432dが、第1連続シート部材51cの第1連続スリット411cの左側の部位に固定される。
【0057】
次に、第1接合部81において、第2連続シート部材52cが、股下部材組立体2cおよび脚部シート部材組立体43cを間に挟んで第1連続シート部材51c上に重ねられる。第2連続シート部材52cは、第2連続スリット421cと第1連続スリット411cとの長手方向の位置を合わせて、第1連続シート部材51c上に配置される。これにより、第1連続スリット411cと脚部シート部材組立体43cと第2連続スリット421cとの長手方向の位置が合う。そして、股下部材組立体2cおよび脚部シート部材組立体43cが、ホットメルト接着剤等により第2連続シート部材52cに固定される。換言すれば、股下部材組立体2c及び脚部シート部材組立体43cが、第1連続シート部材51cと第2連続シート部材52cとの間に固定される(ステップS35)。
【0058】
脚部シート部材組立体43cでは、各脚部シート部材43の第1側部431bに対応する部位431dが、第2連続シート部材52cの第2連続スリット421cの右側の部位に固定される。また、各脚部シート部材43の第2側部432bに対応する部位432dが、第2連続シート部材52cの第2連続スリット421cの左側の部位に固定される。
【0059】
次に、第2接合部82において、第1連続シート部材51cの幅方向の両側の側縁部510cと、第2連続シート部材52cの幅方向の両側の側縁部520cとが、例えば、ヒートシールにより互いに固定される(ステップS36)。その後、切断部83の幅方向に延びる切断刃(図示省略)により、脚部シート部材組立体43cの長手方向中央において、第1連続シート部材51c、脚部シート部材組立体43cおよび第2連続シート部材52cが切断される。また、切断部83の幅方向に延びる切断刃により、股下部材組立体2cの長手方向中央において、第1連続シート部材51c、股下部材組立体2cおよび第2連続シート部材52cが切断される(ステップS37)。これにより、胴部開口11および一対の脚部開口12を有する複数の吸収性物品1が連続的に製造される。
【0060】
以上に説明したように、吸収性物品1は、第1外装シート41、第2外装シート42および脚部シート部材43を備える。また、脚部シート部材43は、第1脚部シート部431と、第2脚部シート部432とを備える。脚部シート部材43を幅方向に拡げた状態では、脚部シート部材43の上部に第1脚部シート部431の第1中央部431aと第2脚部シート部432の第2中央部432aが連続する連続部435が設けられる。また、第1脚部シート部431の2つの第1側部431bが第2脚部シート部432と非連続であり、第2脚部シート部432の2つの第2側部432bが第1脚部シート部431と非連続である。
【0061】
脚部シート部材43は、第1脚部シート部431および第2脚部シート部432を幅方向の中央部にて第1脚部シート部431を内側にして2つ折りにし、さらに、第2脚部シート部432の2つの第2側部432bをそれぞれ幅方向に折り返すことにより形成される(ステップS11〜S13)。脚部シート部材43の2つの第1側部431bは、第1外装シート41の第1スリット411の幅方向の一方側、および、第2外装シート42の第2スリット421の幅方向の一方側に固定される。脚部シート部材43の2つの第2側部432bは、第1外装シート41の第1スリット411の幅方向の他方側、および、第2外装シート42の第2スリット421の幅方向の他方側に固定される。そして、第1シート部材51の両側の側縁部510と、第2シート部材52の両側の側縁部520とが互いに固定されることにより、胴部開口11および一対の脚部開口12が形成される。
【0062】
このように、吸収性物品1では、1つの脚部シート部材43を利用して、比較的大きい一対の脚部開口12を容易に形成することができる。その結果、脚筒部16への脚の挿入を容易とすることができる。また、吸収性物品1を製造する際に、第1シート部材51および第2シート部材52の一部を切除して開口を形成する必要がないため、吸収性物品1の製造コストを低減することができる。さらに、股下部材2を当該開口に潜らせる必要もないため、股下部材2の幅が当該開口の幅により制限されることがない。したがって、股下部材2の幅を比較的に自由に決定することができる。換言すれば、吸収性物品1の設計の自由度を向上することができる。
【0063】
上述の吸収性物品1の製造方法では、少数の部材(すなわち、第1外装シート41、第2外装シート42および脚部シート部材43)を互いに接合することにより、トランクスタイプの吸収性物品1の一対の脚筒部16を容易に形成することができる。また、トランクスタイプの吸収性物品1の構造を簡素化することができる。
【0064】
外装シート4では、第1外装シート41と第2外装シート42とが幅方向の両側縁部にて接合され、幅方向の中央部には第1外装シート41と第2外装シート42との接合部(すなわち、第1シート部材51と第2シート部材52との接合部)が設けられない。このため、当該接合部が着用者に接して吸収性物品1の着用感が低下することを防止することができる。
【0065】
脚部シート部材43は、上述のように、好ましくは伸縮シートである。これにより、脚筒部16への脚の挿入を、より容易とすることができる。吸収性物品1では、第1外装シート41および第2外装シート42も、好ましくは伸縮シートである。これにより、吸収性物品1を容易に装着することができる。また、脚筒部16への脚の挿入をさらに容易とすることもできる。脚部シート部材43、第1外装シート41および第2外装シート42が伸縮シートである場合、脚部シート部材43の伸縮性は、好ましくは、第1外装シート41および第2外装シート42の伸縮性よりも高い。これにより、脚筒部16への脚の挿入をより一層容易とすることができる。
【0066】
ステップS25では、脚部シート部材43が、第1スリット411の長手方向の一方側の端部、および、第2スリット421の長手方向の一方側の端部と重なる。これにより、一対の脚筒部16の間において、脚筒部16の付け根部分に隙間(すなわち、吸収性物品1の内側と外側とを連通する穴)が形成されることを防止することができる。その結果、吸収性物品1の外観を良好なものとすることができる。
【0067】
上述のように、ステップS11では、脚部シート部材43となる予定の脚部シート中間部材430は、1枚のシート部材439を折り畳み線434にて2つ折りにすることにより形成される。これにより、脚部シート部材43を容易に準備することができる。
【0068】
吸収性物品1では、
図19に示すように、一対の脚部開口12の幅方向外側かつ図中の手前側(すなわち、上述の長手方向の他方側)の部位に、第1外装シート41と第2外装シート42とが非連続である一対の外スリット部40が設けられてもよい。一対の外スリット部40は、例えば、ステップS26において第1外装シート41の側縁部410と第2外装シート42の側縁部420(
図13参照)とが接合された後、一対の脚部開口12の幅方向外側の部位が、図中の手前側から所定の長さに亘って切除されることにより形成される。一対の外スリット部40が設けられることにより、脚筒部16への脚の挿入をさらに容易とすることができる。なお、一対の外スリット部40は、ステップS26において、第1外装シート41の側縁部410と第2外装シート42の側縁部420との接合の際に、外スリット部40に対応する部位の接合を行わないことにより形成されてもよい。
【0069】
吸収性物品1では、
図10に示す脚部シート部材43に代えて、
図20に示す脚部シート部材43aが設けられてもよい。脚部シート部材43aでは、
図20中の上側(すなわち、上述の長手方向の一方側)のエッジ436が、幅方向の中央部において、
図20中の下側(すなわち、上記長手方向の他方側)に凸状に湾曲する。脚部シート部材43aを幅方向に拡げた状態では、
図21に示すように、幅方向の中央部において、脚部シート部材43aの上部に凹部437が形成される。凹部437のエッジは、第1脚部シート部431の第1中央部431aと第2脚部シート部432の第2中央部432aとが連続する連続部435である。
図20および
図21では、連続部435を太い実線にて示す。
【0070】
図20に示すように、接続部435が図中の下側に凸状に湾曲する脚部シート部材43aを使用して一対の脚筒部16を形成することにより、一対の脚筒部16の付け根近傍において、脚部シート部材43aの重なりを抑制して嵩を低くすることができる。これにより、吸収性物品1の着用感を向上することができる。
【0071】
上記吸収性物品1の構造、および、吸収性物品1の製造方法は、様々な変更が可能である。
【0072】
例えば、脚部シート中間部材430は、必ずしも1枚のシート部材439を2つ折りにすることにより形成される必要はない。脚部シート中間部材430は、例えば、互いに独立するシート部材である第1脚部シート部431と第2脚部シート部432とを、上側(すなわち、長手方向の一方側)のエッジの幅方向の中央部にてヒートシール等により接合して連続部435を設けることにより形成されてもよい。また、脚部シート中間部材430および脚部シート部材43,43aは、上述の製造方法以外の方法により製造されてもよい。
【0073】
ステップS25では、脚部シート部材43は、必ずしも、第1スリット411の長手方向の一方側(すなわち、
図12中の奥側)の端部、および、第2スリット421の長手方向の一方側の端部と重なるように接合される必要はない。例えば、脚部シート部材43の長手方向の一方側のエッジは、第1スリット411および第2スリット421の長手方向の一方側の端部よりも、長手方向の他方側(すなわち、
図12中の手前側)に位置していてもよい。
【0074】
股下部材2は、必ずしもトップシート21、吸収コア22およびバックシート23を有する吸収体である必要はない。股下部材2は、例えば、吸収パッド等の吸収具が着脱可能に取り付けられる取付部であってもよい。この場合、股下部材2は、例えば、撥水性または不透液性のシートにより形成されたシート部材であり、吸収具を止着可能な面ファスナ、あるいは、吸収具の端部を被覆して吸収具のずれを制限する被覆ギャザーを備える。
【0075】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。