(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、基板に対するエッチングを行う装置では、生産性を向上するために、多くの同一のピース(パターン)が配置された大型基板に対してエッチングが行われている。このため、基板上の位置によってエッチング特性が異なり、同一のピースに対するエッチングであっても、エッチング結果が異なる場合がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、対象物上の位置によるエッチング特性の差異を考慮して、エッチング補正を精度良く行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、対象物上にエッチングにより形成されるパターンの設計データを補正するデータ補正装置であって、対象物上にエッチングにより形成されるパターンの設計データを記憶する設計データ記憶部と、
前記パターンに含まれる図形要素間のギャップ幅と、前記対象物上の前記図形要素が過剰にエッチングされる量であるエッチング量との関係をエッチング特性として、前記対象物上の複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチング特性を記憶するエッチング特性記憶部と、前記対象物上に設定された複数の分割領域のそれぞれについて、各分割領域と前記複数の基準位置とのそれぞれの位置関係に基づいて前記複数のエッチング特性に重み付けを行った上で、重み付けが行われた前記複数のエッチング特性に基づいて前記各分割領域のエッチング特性である領域エッチング特性を求める領域エッチング特性取得部と、前記設計データを前記複数の分割領域に対応する複数の分割データに分割し、各分割データを、前記各分割データに対応する前記各分割領域の前記領域エッチング特性に基づいて補正する分割データ補正部とを備える。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ補正装置であって、前記設計データの前記複数の分割データがそれぞれ示す分割パターンが同一である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ補正装置であって、前記複数の分割データが、対応する前記領域エッチング特性が同一である2つ以上の分割データを含む場合
、前記分割データ補正部により
、前記2つ以上の分割データに含まれる一の分割データの補正が行われ、前記一の分割データの補正結果が、
前記2つ以上の分割データに含まれる他の分割データの
、前記分割データ補正部による補正結果としても使用される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のデータ補正装置であって、前記領域エッチング特性取得部による前記複数のエッチング特性への重み付けが、各エッチング特性に対応する基準位置と分割領域との間の距離に基づく重み係数を各エッチング特性に乗算することであり、前記複数のエッチング特性のうち
、前記各分割領域に最も近い一の
基準位置に対応するエッチング特性に乗算される重み係数が1であり、前
記エッチング特性以外のエッチング特性に乗算される重み係数が0である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、対象物上にパターンを描画する描画装置であって、請求項1ないし4のいずれかに記載のデータ補正装置と、光源と、前記データ補正装置により補正された設計データに基づいて前記光源からの光を変調する光変調部と、前記光変調部により変調された光を対象物上にて走査する走査機構とを備える。
【0016】
請求項6に記載の発明は、対象物上にエッチングにより形成されたパターンを検査する検査装置であって、請求項1ないし4のいずれかに記載のデータ補正装置と、対象物上にエッチングにより形成されたパターンの画像データである検査画像データを記憶する実画像記憶部と、前記データ補正装置により
実際のエッチング後の線幅や大きさに合わせて補正された設計データと前記検査画像データとを比較することにより、前記対象物上に形成された前記パターンの欠陥を検出する欠陥検出部とを備える。
【0017】
請求項7に記載の発明は、対象物上にエッチングにより形成されるパターンの設計データを補正するデータ補正方法であって、a)対象物上にエッチングにより形成されるパターンの設計データを準備する工程と、b)
前記パターンに含まれる図形要素間のギャップ幅と、前記対象物上の前記図形要素が過剰にエッチングされる量であるエッチング量との関係をエッチング特性として、前記対象物上の複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチング特性を準備する工程と、c)前記対象物上に設定された複数の分割領域のそれぞれについて、各分割領域と前記複数の基準位置とのそれぞれの位置関係に基づいて前記複数のエッチング特性に重み付けを行った上で、重み付けが行われた前記複数のエッチング特性に基づいて前記各分割領域のエッチング特性である領域エッチング特性を求める工程と、d)前記設計データを前記複数の分割領域に対応する複数の分割データに分割し、各分割データを、前記各分割データに対応する前記各分割領域の前記領域エッチング特性に基づいて補正する工程とを備える。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のデータ補正方法であって、
前記a)工程において、前記複数の分割データがそれぞれ示す分割パターンが同一である
前記設計データが準備される。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のデータ補正方法であって、前記d)工程において、前記複数の分割データが、対応する前記領域エッチング特性が同一である2つ以上の分割データを含む場合、前記2つ以上の分割データのうち一の分割データの補正が行われ、前記一の分割データの補正結果が、他の分割データの補正結果としても使用される。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項7ないし9のいずれかに記載のデータ補正方法であって、前記c)工程における前記複数のエッチング特性への重み付けが、各エッチング特性に対応する基準位置と分割領域との間の距離に基づく重み係数を各エッチング特性に乗算することであり、前記複数のエッチング特性のうち
、前記各分割領域に最も近い一の
基準位置に対応するエッチング特性に乗算される重み係数が1であり、前
記エッチング特性以外のエッチング特性に乗算される重み係数が0である。
【0021】
請求項11に記載の発明は、対象物上にパターンを描画する描画方法であって、請求項7ないし10のいずれかに記載のデータ補正方法により設計データを補正する工程と、補正された前記設計データに基づいて変調された光を対象物上にて走査する工程とを備える。
【0022】
請求項12に記載の発明は、対象物上にエッチングにより形成されたパターンを検査する検査方法であって、請求項7ないし10のいずれかに記載のデータ補正方法により設計データを補正する工程と
、対象物上にエッチングにより形成されたパターンの画像データである検査画像データと
、実際のエッチング後の線幅や大きさに合わせて補正された前記設計データとを比較することにより、前記対象物上に形成された前記パターンの欠陥を検出する工程とを備える。
【0023】
請求項13に記載の発明は、対象物上にエッチングにより形成されるパターンの設計データを補正するプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、a)対象物上にエッチングにより形成されるパターンの設計データを準備する工程と、b)
前記パターンに含まれる図形要素間のギャップ幅と、前記対象物上の前記図形要素が過剰にエッチングされる量であるエッチング量との関係をエッチング特性として、前記対象物上の複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチング特性を準備する工程と、c)前記対象物上に設定された複数の分割領域のそれぞれについて、各分割領域と前記複数の基準位置とのそれぞれの位置関係に基づいて前記複数のエッチング特性に重み付けを行った上で、重み付けが行われた前記複数のエッチング特性に基づいて前記各分割領域のエッチング特性である領域エッチング特性を求める工程と、d)前記設計データを前記複数の分割領域に対応する複数の分割データに分割し、各分割データを、前記各分割データに対応する前記各分割領域の前記領域エッチング特性に基づいて補正する工程とを実行させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、対象物上の位置によるエッチング特性の差異を考慮して、エッチング補正を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る描画装置1の構成を示す図である。描画装置1は、プリント基板、半導体基板、液晶基板等(以下、単に「基板9」という。)の表面に設けられた感光材料であるレジスト膜に光を照射することにより、レジスト膜上に回路パターン等の画像を直接的に描画する直描装置である。描画装置1によりパターンが描画された基板9には、基板処理装置等(図示省略)においてエッチングが施される。これにより、基板9上にパターンが形成される。基板9に対するエッチングは、例えば、基板9に対してエッチング液を付与することにより行われるウェットエッチングである。なお、基板9に対するエッチングとして、例えば、プラズマ等を利用したドライエッチングが行われてもよい。
【0027】
描画装置1は、データ処理装置2と、露光装置3とを備える。データ処理装置2は、基板9上に描画されるパターンの設計データを補正し、描画データを生成する。露光装置3は、データ処理装置2から送られた描画データに基づいて基板9に対する描画(すなわち、露光)を行う。データ処理装置2と露光装置3とは、両装置間のデータの授受が可能であれば、一体的に設けられてもよく、物理的に離間していてもよい。
【0028】
図2は、データ処理装置2の構成を示す図である。データ処理装置2は、各種演算処理を行うCPU201と、基本プログラムを記憶するROM202と、各種情報を記憶するRAM203とを含む一般的なコンピュータシステムの構成となっている。データ処理装置2は、情報記憶を行う固定ディスク204と、画像等の各種情報の表示を行うディスプレイ205と、操作者からの入力を受け付けるキーボード206aおよびマウス206bと、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体8から情報の読み取りおよび書き込みを行う読取/書込装置207と、描画装置1の他の構成等との間で信号を送受信する通信部208とをさらに含む。
【0029】
データ処理装置2では、事前に読取/書込装置207を介して記憶媒体8からプログラム80が読み出されて固定ディスク204に記憶されている。CPU201は、プログラム80に従ってRAM203や固定ディスク204を利用しつつ演算処理を実行する。データ処理装置2の機能は専用の電気的回路により実現されてもよく、部分的に専用の電気的回路が用いられてもよい。
【0030】
図3は、データ処理装置2の機能を示すブロック図である。
図3では、データ処理装置2に接続される露光装置3の構成の一部を併せて示す。データ処理装置2は、データ補正部21と、データ変換部22とを備える。データ補正部21は、基板9上にエッチングにより形成されるパターンの設計データを補正する。データ補正部21は、設計データ記憶部211と、エッチング特性記憶部212と、領域エッチング特性取得部213と、分割データ補正部214とを備える。データ変換部22には、データ補正部21により補正された設計データ(以下、「補正済みデータ」という。)が入力される。補正済みデータは、通常、ポリゴン等のベクトルデータである。データ変換部22は、ベクトルデータである補正済みデータをラスタデータである描画データに変換する。
【0031】
図1に示すように、露光装置3は、描画コントローラ31と、ステージ32と、光出射部33と、走査機構35とを備える。描画コントローラ31は、光出射部33および走査機構35を制御する。ステージ32は、光出射部33の下方にて基板9を保持する。光出射部33は、光源331と、光変調部332とを備える。光源331は、光変調部332に向けてレーザ光を出射する。光変調部332は、光源331からの光を変調する。光変調部332により変調された光は、ステージ32上の基板9に照射される。光変調部332としては、例えば、DMD(デジタルミラーデバイス)が利用される。
【0032】
走査機構35は、ステージ32を水平方向に移動する。具体的には、走査機構35により、ステージ32が主走査方向、および、主走査方向に垂直な副走査方向に移動される。これにより、光変調部332により変調された光が、基板9上にて主走査方向および副走査方向に走査される。露光装置3では、ステージ32を水平に回転する回転機構が設けられてもよい。また、光出射部33を上下方向に移動する昇降機構が設けられてもよい。走査機構35は、光出射部33からの光を基板9上にて走査することができるのであれば、必ずしもステージ32を移動する機構である必要はない。例えば、走査機構35により、光出射部33がステージ32の上方にて主走査方向および副走査方向に移動されてもよい。
【0033】
図4は、露光装置3によりパターン93が描画された基板9を示す平面図である。基板9は略矩形状である。パターン93は、マトリクス状に配置された(すなわち、多面付けされた)複数のピース94を備える。複数のピース94はそれぞれ、パターン93を構成するパターン要素であり、パターン93は、複数のパターン要素の集合であるパターン要素群である。
図4では、ピース94を矩形にて示す。
【0034】
実際には、複数のピース94のそれぞれは、エッチング等の様々な処理を経て、最終的に1つの独立した配線パターンになる予定の描画パターンである。
図4にてピース94を示す矩形は、ピース94に対応する実際の描画パターン全体を含むおよそ最小の矩形である。
図4に示す例では、64個のピース94が基板9上に配置される。具体的には、基板9の隣接する2つの辺に沿って(すなわち、図中のx方向およびy方向に沿って)、縦横8個ずつのピース94が配置される。64個のピース94は、互いに同一な描画パターンである。
【0035】
基板9上には、複数のピース94に加えて、複数の特性取得用パターン95が描画される。
図4では、特性取得用パターン95を、ピース94よりも小さい矩形にて示す。実際には、複数の特性取得用パターン95のそれぞれは、エッチング等の様々な処理を経て、最終的にエッチング特性を測定するための測定パターンになる予定の描画パターンである。
図4にて特性取得用パターン95を示す矩形は、特性取得用パターン95に対応する実際の描画パターン全体を含むおよそ最小の矩形である。
図4に示す例では、4個の特性取得用パターン95が、基板9の4つの角部近傍に配置される。各特性取得用パターン95は、64個のピース94の最外縁を結ぶ略矩形の領域(すなわち、64個のピース94を全て含む最小の略矩形領域)の外側に配置される。
【0036】
以下の説明では、基板9上において複数の特性取得用パターン95が配置される複数の位置をそれぞれ「基準位置」という。また、基板9上において複数のピース94が配置される複数の位置をそれぞれ「パターン要素位置」という。基準位置およびパターン要素位置は、例えば、特性取得用パターン95およびピース94のそれぞれの中央の座標である。基準位置およびパターン要素位置は、例えば、特性取得用パターン95およびピース94のそれぞれの1つの角部であってもよい。
【0037】
図5は、特性取得用パターン95の一部を拡大して示す図である。
図5に示す例では、特性取得用パターン95は、複数の第1図形要素群951を含む。各第1図形要素群951は、互いに平行におよそy方向に延びる2本の略直線状の第1図形要素952を含む。各第1図形要素群951における2本の第1図形要素952間のギャップG(すなわち、2本の第1図形要素952の長手方向に垂直なx方向における間隔)は、他の第1図形要素群951における2本の第1図形要素952間のギャップGとは異なる。
【0038】
基板9では、エッチングおよびエッチング後のレジスト除去等の処理により、複数の特性取得用パターン95に対応する複数の測定パターンが、複数のピース94に対応する複数の配線パターンとおよそ同時に形成される。
【0039】
図6は、特性取得用パターン95に対応する測定パターン96の一部を拡大して示す図である。測定パターン96は、複数の第1図形要素群951に対応する複数の第2図形要素群953を含む。
図6では、1つの第2図形要素群953を拡大して示す。各第2図形要素群953は、2本の第1図形要素952に対応する略直線状の2本の第2図形要素954を含む。第2図形要素954は、エッチング後の第1図形要素952である。
図6では、第1図形要素952の輪郭線を二点鎖線にて併せて示す。
【0040】
図6に示すように、第1図形要素952の輪郭線と第2図形要素954の輪郭線との差分であるエッチング量Et(すなわち、第1図形要素952間のギャップGに平行なx方向における両輪郭線間の距離)は、ギャップGの変化に伴って変化する。ギャップGとエッチング量Etとの関係は、露光装置3によりパターン93および複数の特性取得用パターン95が描画された試験用基板に、エッチングおよびレジスト膜除去等の処理を行った後、測定パターン96の画像と、特性取得用パターン95の設計データとを比較することにより取得される。
【0041】
図7は、ギャップGとエッチング量Etとの関係を示すエッチングカーブEcを示す図である。
図7に示すように、エッチングカーブEcでは、ギャップGが小さくなるに従ってエッチング量Etも漸次小さくなる。ギャップGがある程度大きい範囲では、エッチング量EtはギャップGにおよそ正比例するが、ギャップGが小さくなると、ギャップGの減少に対してエッチング量Etが急激に減少する。換言すれば、ギャップGが小さくなると、エッチングカーブEcの傾きが大きくなる。
【0042】
複数の特性取得用パターン95では、基板9上における位置(すなわち、基準位置)が異なるため、それぞれのエッチングカーブEcが互いに異なる可能性がある。そこで、複数の特性取得用パターン95にそれぞれ対応する(すなわち、複数の基準位置にそれぞれ対応する)複数のエッチングカーブEcが取得される。
【0043】
特性取得用パターン95は、複数の第1図形要素群951以外の様々な形状の図形要素および様々な組み合わせの図形要素群を含んでいてもよい。例えば、直径が異なる複数の円形図形要素が特性取得用パターン95に含まれており、円形図形要素の直径とエッチング量との関係を示すエッチングカーブが取得されてもよい。当該エッチングカーブについても、複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチングカーブが取得される。
【0044】
描画装置1では、各基準位置に対応する1つまたは複数のエッチングカーブが、上述のエッチング特性記憶部212に記憶される。1つの基準位置に対応する1つまたは複数のエッチングカーブをまとめて「エッチング特性」と呼ぶと、エッチング特性記憶部212は、基板9上の複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチング特性を記憶する。
【0045】
次に、
図8を参照しつつ、描画装置1による描画の流れについて説明する。
図1に示す描画装置1では、まず、基板9上にエッチングにより形成される予定のパターン93(
図4参照)の設計データが、
図3に示すデータ処理装置2のデータ補正部21に入力され、設計データ記憶部211に記憶されることにより準備される(ステップS11)。
【0046】
続いて、上述のように、基板9上の複数の基準位置(
図4に示す例では、4個の基準位置)にそれぞれ対応する複数のエッチング特性が、データ処理装置2のデータ補正部21に入力され、エッチング特性記憶部212に記憶されることにより準備される(ステップS12)。当該複数のエッチング特性は、描画装置1以外の装置において取得されてもよく、描画装置1において取得されてもよい。描画装置1においてエッチング特性の取得が行われる場合、描画装置1には、測定パターン96(
図6参照)の画像を取得する撮像部、および、測定パターン96の画像と特性取得用パターン95(
図5参照)の設計データとに基づいて各基準位置におけるエッチング特性を取得するエッチング特性取得部が設けられる。
【0047】
次に、
図3に示す領域エッチング特性取得部213により、複数のピース94のそれぞれについて、複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチング特性に基づいて、各ピース94におけるエッチング特性である領域エッチング特性が求められる(ステップS13)。領域エッチング特性は、各ピース94のパターン要素位置と複数の基準位置とのそれぞれの位置関係に基づいて、複数の基準位置に対応する複数のエッチング特性に重み付けを行った上で、重み付けが行われた複数のエッチング特性に基づいて求められる。
【0048】
領域エッチング特性取得部213による複数のエッチング特性への重み付けは、例えば、各エッチング特性に対応する基準位置とピース94のパターン要素位置との間の距離に基づく重み係数を各エッチング特性に乗算することにより実施される。
【0049】
領域エッチング特性は、例えば、ピース94のパターン要素位置と複数の基準位置とを用いた共一次内挿法により、上記複数のエッチング特性への重み付けを行いつつ求められる。この場合、まず、ピース94のパターン要素位置と(+y)側の2つの基準位置との間のそれぞれのx方向の距離に基づいて、(+y)側の2つの基準位置のエッチングカーブEcを線形補間することにより、第1の補間エッチングカーブが求められる。具体的には、例えば、上記2つの基準位置のうち一方の基準位置とパターン要素位置との間のx方向の距離をd1とし、他方の基準位置とパターン要素位置との間のx方向の距離をd2とすると、(d2/(d1+d2))が重み係数として当該一方の基準位置のエッチングカーブEcに乗算され、(d1/(d1+d2))が重み係数として当該他方の基準位置のエッチングカーブEcに乗算された上で、2つのエッチングカーブEcに対する乗算結果を加算することにより、第1の補間エッチングカーブが求められる。
【0050】
同様に、ピース94のパターン要素位置と(−y)側の2つの基準位置との間のそれぞれのx方向の距離に基づいて、(−y)側の2つの基準位置のエッチングカーブEcを線形補間することにより、第2の補間エッチングカーブが求められる。具体的には、例えば、上記2つの基準位置のうち一方の基準位置とパターン要素位置との間のx方向の距離をd3とし、他方の基準位置とパターン要素位置との間のx方向の距離をd4とすると、(d4/(d3+d4))が重み係数として当該一方の基準位置のエッチングカーブEcに乗算され、(d3/(d3+d4))が重み係数として当該他方の基準位置のエッチングカーブEcに乗算された上で、2つのエッチングカーブEcに対する乗算結果を加算することにより、第2の補間エッチングカーブが求められる。
【0051】
そして、ピース94のパターン要素位置と(−x)側または(+x)側の2つの基準位置との間のそれぞれのy方向の距離に基づいて、第1の補間エッチングカーブおよび第2の補間エッチングカーブを線形補間することにより、領域エッチングカーブが取得される。具体的には、例えば、上記2つの基準位置のうち(+y)側の基準位置とパターン要素位置との間のy方向の距離をd5とし、(−y)の基準位置とパターン要素位置との間のy方向の距離をd6とすると、(d6/(d5+d6))が重み係数として第1の補間エッチングカーブに乗算され、(d5/(d5+d6))が重み係数として第2の補間エッチングカーブに乗算された上で、2つの補間エッチングカーブに対する乗算結果を加算することにより(すなわち、上記重み付けが行われた複数のエッチングカーブEcに基づいて)、領域エッチングカーブが求められる。
【0052】
領域エッチング特性取得部213では、エッチング特性に含まれる全てのエッチングカーブについて、上記と同様に、領域エッチングカーブを取得することにより、領域エッチング特性が求められる。
【0053】
各ピース94の領域エッチング特性が求められると、分割データ補正部214により、パターン93の設計データから、複数のピース94にそれぞれ対応する複数の分割データが抽出される。換言すれば、パターン93の設計データが、複数のピース94にそれぞれ対応する複数の分割データに分割される。そして、各分割データが、分割データ補正部214により、当該各分割データに対応する各ピース94の領域エッチング特性に基づいて補正されることにより、各ピース94の補正済み分割データが求められる(ステップS14)。
【0054】
具体的には、各ピース94において、当該ピース94の領域エッチング特性が示すエッチング量に対応する過剰な(すなわち、所望量を超える)エッチングが、実際のエッチングの際に行われることを考慮し、各ピース94に含まれる図形要素が所望の線幅や大きさになるように、各分割データの図形要素の線幅を太らせたり、図形要素を大きくする補正が行われる。
【0055】
ここで、複数のピース94を、基板9上に設定された複数の分割領域と呼ぶと、上記ステップS13では、領域エッチング特性取得部213により、当該複数の分割領域のそれぞれについて、各分割領域と複数の基準位置とのそれぞれの位置関係に基づいて複数のエッチング特性に重み付けを行った上で、重み付けが行われた複数のエッチング特性に基づいて各分割領域のエッチング特性である領域エッチング特性が求められる。各分割領域の領域エッチング特性は、上述の共一次内挿法以外の様々な方法により求められてもよい。
【0056】
また、ステップS14では、分割データ補正部214により、パターン93の設計データが複数の分割領域にそれぞれ対応する複数の分割データに分割される。そして、各分割データが、各分割データに対応する各分割領域の領域エッチング特性に基づいて補正されることにより(すなわち、各分割データに対するエッチング補正が行われることにより)、複数の分割領域にそれぞれ対応する複数の補正済み分割データが取得される。上述のように、
図4に示す例では、設計データの複数の分割データがそれぞれ示す描画パターン(以下、「分割パターン」という。)は同一である。一方、上述の例では、複数の分割領域の領域エッチング特性が互いに異なるため、複数の分割データが同一であっても、複数の補正済み分割データは互いに異なる。
【0057】
分割データ補正部214では、上述の複数の補正済み分割データをまとめることにより、上記補正済みデータが生成される。当該補正済みデータは、データ補正部21からデータ変換部22へと送られる。そして、データ変換部22により、ベクトルデータである補正済みデータがラスタデータである描画データに変換される(ステップS15)。
【0058】
当該描画データは、データ変換部22から露光装置3の描画コントローラ31へと送られる。露光装置3では、データ処理装置2からの描画データに基づいて、描画コントローラ31により光出射部33の光変調部332および走査機構35が制御されることにより、基板9に対する描画が行われる(ステップS16)。
【0059】
以上に説明したように、データ処理装置2のデータ補正部21は、基板9上にエッチングにより形成されるパターン93の設計データを記憶する設計データ記憶部211と、基板9の複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチング特性を記憶するエッチング特性記憶部212と、基板9上に設定された複数の分割領域のそれぞれについて、各分割領域と複数の基準位置とのそれぞれの位置関係に基づいて複数のエッチング特性に重み付けを行った上で、重み付けが行われた複数のエッチング特性に基づいて各分割領域の領域エッチング特性を求める領域エッチング特性取得部213と、上記設計データを複数の分割領域に対応する複数の分割データに分割し、各分割データを、各分割データに対応する各分割領域の領域エッチング特性に基づいて補正する分割データ補正部214とを備える。
【0060】
これにより、基板9上の複数の分割領域に描画される分割パターン(すなわち、分割データが示す描画パターンであるピース94)を補正する際に、各分割領域の基板9上の位置の違いによるエッチング特性の差異を考慮して、各分割データに対するエッチング補正を精度良く行うことができる。また、上述のように、設計データの複数の分割データがそれぞれ示す分割パターンが同一であることにより、分割データ補正部214による複数の分割データのエッチング補正を容易に行うことができる。
【0061】
このように、データ補正部21では、設計データの各分割データに対するエッチング補正を精度良く行うことができるため、当該データ補正部21が設けられる描画装置1では、各分割領域の基板9上の位置の違いによるエッチング特性の差異が考慮された複数の分割パターンを、基板9上に高精度に描画することができる。
【0062】
上述の例では、複数のピース94(すなわち、複数の分割領域)の領域エッチング特性が互いに異なる場合について説明したが、複数のピース94には、領域エッチング特性が同一の2つ以上のピース94が含まれていてもよい。換言すれば、複数のピース94に対応する複数の分割データは、対応する領域エッチング特性が同一である2つ以上の分割データを含んでいてもよい。例えば、
図4中の(+y)側の2つの特性取得用パターン95から取得された2つのエッチング特性が略同一である場合、マトリクス状に配置された複数のピース94のうち、最も(+y)側の行にてx方向に隣接する2つのピース94では、領域エッチング特性が実質的に同一となる。
【0063】
このように、複数のピース94に対応する複数の分割データが、対応する領域エッチング特性が同一である2つ以上の分割データを含む場合、上述のステップS14では、当該2つ以上の分割データについて、分割データ補正部214により一の分割データの補正が行われ、当該一の分割データの補正結果である補正済み分割データが、分割データ補正部214による他の分割データの補正結果としても使用される。
【0064】
より具体的には、ステップS14において、当該2つ以上の分割データのうち1つの分割データのみに対して領域エッチング特性に基づくエッチング補正が行われて補正済み分割データが求められる。また、当該2つ以上の分割データのうち他の分割データに対してはエッチング補正は行われない。そして、上記1つの分割データの補正済み分割データが、当該他の分割データの補正済み分割データとして流用され、データ補正部21において補正済みデータが生成される。
【0065】
補正済みデータでは、上記2つ以上の分割データに対応する2つ以上のピース94に、上記補正済み分割データが示す補正済みの分割パターンがそれぞれ配置される。あるいは、補正済みデータでは、上記2つ以上の分割データに対応する2つ以上のピース94のうち1つのピース94のみに補正済みの分割パターンが配置され、他のピース94は、当該1つのピース94に配置されたものと同様の分割パターンが配置される旨の情報のみを有していてもよい。この場合、データ変換部22における補正済みデータの変換の際に、上記1つのピース94に配置される分割パターンのラスタデータと同様のラスタデータが、当該他のピース94に配置される。
【0066】
このように、データ処理装置2のデータ補正部21では、領域エッチング特性が実質的に同一である2つ以上の分割データについて、分割データ補正部214により一の分割データの補正が行われ、当該一の分割データの補正結果が他の分割データの補正結果としても使用される。これにより、分割データ補正部214による複数の分割データのエッチング補正に要する時間を短くすることができる。
【0067】
上述の例では、領域エッチング特性は、ピース94のパターン要素位置と複数の基準位置とを用いた共一次内挿法により求められるが、他の様々な方法により求められてもよい。例えば、領域エッチング特性取得部213による複数のエッチング特性への重み付けは、上述の共一次内挿法と同様に、各エッチング特性に対応する基準位置とピース94のパターン要素位置との間の距離に基づく重み係数を各エッチング特性に乗算することにより実施されるが、重み係数の決定方法が変更されてもよい。一例として、ピース94に最も近い1つの基準位置に対応するエッチング特性には重み係数「1」が乗算され、他の基準位置に対応するエッチング特性には重み係数「0」が乗算される。このように、複数のエッチング特性のうち一のエッチング特性に乗算される重み係数が1であり、当該一のエッチング特性以外のエッチング特性に乗算される重み係数が0である場合、分割データ補正部214による複数の分割データのエッチング補正を容易とすることができる。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置1aについて説明する。検査装置1aは、基板9上に描画されたパターンを検査する装置である。検査装置1aでは、基板9上のパターンと、後述するエッチング補正された設計データとの比較が行われる。検査装置1aは、
図2に示すデータ処理装置2と同様に、一般的なコンピュータシステムの構成となっている。
【0069】
図9は、検査装置1aの機能を示すブロック図である。検査装置1aは、データ補正部21aと、実画像記録部25と、欠陥検出部26とを備える。データ補正部21aは、
図3に示すデータ補正部21と同様に、設計データ記憶部211と、エッチング特性記憶部212と、領域エッチング特性取得部213と、分割データ補正部214とを備える。実画像記録部25は、基板9上に描画されたパターンの画像データである検査画像データを記憶する。欠陥検出部26は、基板9上に描画された当該パターンの欠陥を検出する。
【0070】
次に、
図10を参照しつつ、検査装置1aによる検査の流れについて説明する。検査装置1aでは、まず、
図8に示すステップS11と同様に、基板9上にエッチングにより形成される予定のパターン93(
図4参照)の設計データが、データ補正部21aに入力され、設計データ記憶部211に記憶されることにより準備される(ステップS21)。
【0071】
続いて、ステップS12と同様に、基板9上の複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチング特性が、データ補正部21aに入力され、エッチング特性記憶部212に記憶されることにより準備される(ステップS22)。当該複数のエッチング特性は、検査装置1a以外の装置において取得されてもよく、検査装置1aにおいて取得されてもよい。検査装置1aにおいてエッチング特性の取得が行われる場合、検査装置1aには、測定パターン96(
図6参照)の画像を取得する撮像部、および、測定パターン96の画像と特性取得用パターン95(
図4参照)の設計データとに基づいて各基準位置におけるエッチング特性を取得するエッチング特性取得部が設けられる。
【0072】
次に、ステップS13と同様に、領域エッチング特性取得部213により、複数の分割領域であるピース94(
図4参照)のそれぞれについて、複数の基準位置にそれぞれ対応する複数のエッチング特性に基づいて、各ピース94におけるエッチング特性である領域エッチング特性が求められる(ステップS23)。領域エッチング特性は、各ピース94のパターン要素位置と複数の基準位置とのそれぞれの位置関係に基づいて、複数の基準位置に対応する複数のエッチング特性に重み付けを行った上で、重み付けが行われた複数のエッチング特性に基づいて求められる。
【0073】
領域エッチング特性取得部213による複数のエッチング特性への重み付けは、例えば上述のように、各エッチング特性に対応する基準位置とピース94のパターン要素位置との間の距離に基づく重み係数を各エッチング特性に乗算することにより実施される。領域エッチング特性は、例えば上述のように、ピース94のパターン要素位置と複数の基準位置とを用いた共一次内挿法により、上記複数のエッチング特性への重み付けを行いつつ求められる。複数のピース94(すなわち、複数の分割領域)の領域エッチング特性は互いに異なる。
【0074】
各ピース94の領域エッチング特性が求められると、ステップS14と同様に、分割データ補正部214により、パターン93の設計データから、複数のピース94(すなわち、分割領域)にそれぞれ対応する複数の分割データが抽出される。換言すれば、パターン93の設計データが、複数のピース94にそれぞれ対応する複数の分割データに分割される。そして、各分割データが、分割データ補正部214により、当該各分割データに対応する各ピース94の領域エッチング特性に基づいて補正される(すなわち、エッチング補正される)ことにより、各ピース94の補正済み分割データが求められる(ステップS24)。
【0075】
具体的には、各ピース94において、当該ピース94の領域エッチング特性が示すエッチング量に対応する過剰なエッチングが、実際のエッチングの際に行われることを考慮し、各ピース94に含まれる図形要素が実際のエッチング後の線幅や大きさになるように、各分割データの図形要素の線幅を細くしたり、図形要素を小さくする補正が行われる。換言すれば、上述のステップS14において各分割データに対して行われる補正と反対の補正が、各分割データに対して行われる。
【0076】
分割データ補正部214では、複数のピース94に対応する複数の補正済み分割データをまとめることにより、補正されたパターン93の設計データである補正済みデータが生成される。当該補正済みデータは、データ補正部21から欠陥検出部26へと送られる。
【0077】
続いて、補正前のパターン93の設計データに基づいて基板9上に描画されてエッチングが施されたパターン(以下、「エッチングパターン」という。)の画像データが取得され、当該画像データが検査画像データとして実画像記録部25に記憶されることにより準備される(ステップS25)。ステップS25は、ステップS21〜S24と並行して行われてもよく、ステップS21〜S24よりも前に行われてもよい。当該検査画像データは、検査装置1a以外の装置において取得されてもよく、検査装置1aにおいて取得されてもよい。検査装置1aにおいて検査画像データの取得が行われる場合、検査装置1aには、検査画像データを取得する撮像部が設けられる。なお、上記ステップS22において、測定パターン96の画像が検査装置1aにおいて取得される場合、検査画像データの取得も検査装置1aにおいて行われることが好ましい。
【0078】
検査画像データは、実画像記録部25から欠陥検出部26へと送られる。欠陥検出部26では、当該検査画像データと、データ補正部21aから送られた補正済みデータ(すなわち、データ補正部21aによりエッチング補正された設計データ)とが比較されることにより、基板9上に形成されたエッチングパターンの欠陥が検出される(ステップS26)。上述のように、当該補正済みデータでは、各ピース94の図形要素が実際のエッチング後の線幅や大きさになるように補正が行われているため、欠陥検出部26では、検査画像データにおける補正済みデータとの差異が、基板9上のエッチングパターンの欠陥として検出される。
【0079】
データ補正部21aでは、
図3に示すデータ補正部21と同様に、基板9上の複数の分割領域に描画される分割パターン(すなわち、分割データが示す描画パターンであるピース94)を補正する際に、各分割領域の基板9上の位置の違いによるエッチング特性の差異を考慮して、各分割データに対するエッチング補正を精度良く行うことができる。このため、検査装置1aでは、基板9上に描画された複数の分割パターンの検査を、各分割領域の基板9上の位置の違いによるエッチング特性の差異を考慮しつつ高精度に行うことができる。
【0080】
第1の実施の形態と同様に、複数のピース94に対応する複数の分割データは、対応する領域エッチング特性が同一である2つ以上の分割データを含んでいてもよい。この場合、上述のステップS24では、当該2つ以上の分割データについて、分割データ補正部214により一の分割データの補正が行われ、当該一の分割データの補正結果である補正済み分割データが、分割データ補正部214による他の分割データの補正結果としても使用される。これにより、分割データ補正部214による複数の分割データのエッチング補正に要する時間を短くすることができる。
【0081】
また、領域エッチング特性取得部213による複数のエッチング特性への重み付けとして、ピース94に最も近い1つの基準位置に対応するエッチング特性に重み係数「1」が乗算され、他の基準位置に対応するエッチング特性に重み係数「0」が乗算されてもよい。このように、複数のエッチング特性のうち一のエッチング特性に乗算される重み係数が1であり、当該一のエッチング特性以外のエッチング特性に乗算される重み係数が0である場合、分割データ補正部214による複数の分割データのエッチング補正を容易とすることができる。
【0082】
上記描画装置1および検査装置1aでは、様々な変更が可能である。
【0083】
例えば、
図1に示す描画装置1では、ステップS11と、ステップS12,S13とが並行して行われてもよく、ステップS12,S13がステップS11よりも先に行われてもよい。
【0084】
基板9上における複数のピース94の配置および数は、
図4に示すものには限定されず、適宜変更されてよい。基板9上における複数の特性取得用パターン95の配置および数も同様に、適宜変更されてよい。特性取得用パターン95は、必ずしも、基板9の角部近傍に配置される必要はなく、例えば、隣接するピース94の間に配置されてもよい。各領域エッチング特性の取得は、必ずしも、基板9上の全ての特性取得用パターン95に対応するエッチング特性に基づいて行われる必要はなく、基板9上の全ての特性取得用パターン95のうち一部の特性取得用パターン95に対応するエッチング特性に基づいて行われてもよい。
【0085】
基板9上のパターン93は、必ずしも複数のピース94を備える必要はなく、例えば、1つの大きな配線パターンとなる予定のパターンであってもよい。当該1つのパターンの設計データを複数の分割データに分割する際には、隣接する分割データ同士が、隣接部において部分的に重複するように分割されることが好ましい。これにより、検査装置1aにおいて、分割データにエッチング補正を行う際に、当該分割データに対応する分割領域と隣接する分割領域とに跨る配線等が、当該2つの分割領域の境界近傍において意図に反して不連続となることを防止することができる。
【0086】
描画装置1は、基板9以外の様々な対象物上へのパターンの描画に利用されてよい。検査装置1aも、基板9以外の様々な対象物上にエッチングにより形成されたパターンの検査に利用されてよい。データ補正部21,21aは、描画装置1および検査装置1aから独立したデータ補正装置として利用されてよい。当該データ補正装置は、基板9以外の様々な対象物上にエッチングにより形成されるパターンの設計データの補正に利用されてよい。
【0087】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。