(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記アクチュエータは、上記第1バルブ及び上記第2バルブの間に配置されており、上記駐車ブレーキに供給される空気によって閉塞され、且つ上記駐車ブレーキへの空気の供給が停止されることによって開放される第3バルブをさらに有する請求項5に記載の作業車両。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施の形態は、本発明に係る梯子機構の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0022】
[ラフテレーンクレーン10]
本実施形態に係るラフテレーンクレーン10は、
図1に示されるように、下部走行体20と、上部作業体30と、梯子機構40とを主に備える。ラフテレーンクレーン10は、下部走行体20によって目的地まで走行し、当該目的地で上部作業体30に所定の動作をさせるものである。ラフテレーンクレーン10は、作業車両の一例である。但し、作業車両の具体例はこれに限定されない。
【0023】
[下部走行体20]
下部走行体20は、フレーム21に支持されたフロントアクスル22及びリアアクスル23を有する。フロントアクスル22は、前後方向に隣接する2つの車軸24、25を有する二軸構造である。リアアクスル23は、単一の車軸26を有する一軸構造である。各車軸24〜26それぞれには、車輪24A、25A、26Aが取り付けられている。なお、フロントアクスル22を二軸構造としたのは、フロントアクスル22の軸重を車軸24、25で分散して支持するためである。したがって、フロントアクスル22の軸重が小さい場合、フロントアクスル22を一軸構造としてもよい。また、リアアクスル23の軸重が大きい場合、リアアクスル23を多軸構造にしてもよい。
【0024】
下部走行体20は、フレーム21に支持されたエンジン27を有する。エンジン27は、フロントアクスル22及びリアアクスル23を駆動させる動力を生成する駆動源である。また、エンジン27は、上部作業体30、後述する空圧システム120、及び後述するアウトリガ28、29等を動作させる動力を生成する駆動源である。エンジン27は、例えば、ディーゼルエンジンである。
【0025】
フロントアクスル22及びリアアクスル23は、トランスミッション(図示省略)を介して伝達されるエンジン27の駆動力によって、車軸24〜26を回転させる。また、油圧システム(図示省略)は、例えば、エンジン27の動力によって駆動される油圧ポンプ(図示省略)から供給される作動油によって、車輪24A〜26Aを操舵させ、且つ上部作業体30及びアウトリガ28、29等を動作させる。さらに、発電機(図示省略)は、例えば、エンジン27の駆動力が伝達されることによって、ラフテレーンクレーン10の各部を動作させるための電力をバッテリー12(
図10参照)を充電する。
【0026】
下部走行体20は、フレーム21の前端下部及び後端下部に支持されたアウトリガ28、29を有する。アウトリガ28、29は、フレーム21から左右方向に張り出した位置において地面に接地する張出状態と、地面から離間した状態でフレーム21に格納される格納状態とに状態変化が可能である。上部作業体30の動作時にアウトリガ28、29を張出状態とすることにより、ラフテレーンクレーン10の姿勢が安定する。一方、アウトリガ28、29は、下部走行体20の走行時に格納状態とされる。
【0027】
[上部作業体30]
上部作業体30は、フレーム21に対して旋回可能な旋回台31を有する。旋回台31は、旋回ベアリング11を介してフレーム21に支持されている。旋回台31は、例えば、油圧モータから駆動力が伝達されることによって、フレーム21上で旋回する。また、旋回台31は、後述する上部作業体30の構成要素を支持する。
【0028】
上部作業体30は、旋回台31に支持されたブーム装置32を有する。ブーム装置32は、起伏中心ピンを介して旋回台31に連結されている。ブーム装置32は、例えば、旋回台31との間に設けられた起伏シリンダ(図示省略)によって、起伏中心ピンを中心として起伏する。また、ブーム装置32は、伸縮ブーム33を備える。伸縮ブーム33は、例えば、内蔵された伸縮シリンダ(図示省略)によって、伸縮ブーム33の長手方向に伸縮する。さらに、ブーム装置32は、ウィンチ34を有する。ウィンチ34は、油圧モータから駆動力が伝達されることによって、伸縮ブーム33の先端に吊り下げられたフック(図示省略)を昇降させる。
【0029】
上部作業体30は、旋回台31に支持されたキャビン35を有する。キャビン35は、例えば、フロントアクスル22の上方に設けられている。より詳細には、本実施形態に係るキャビン35は、車軸25の上方に設けられている。キャビン35の内部には、下部走行体20及び上部作業体30の動作を制御する作業者を収容する空間が形成されている。すなわち、作業者は、キャビン35の内部において、下部走行体20を走行させる操作と、上部作業体30を動作させる制御とを行うことができる。なお、本実施形態に係るキャビン35は、
図1に示されるように、周囲が囲まれた箱形である。しかしながら、キャビン35の具体的な構成はこれに限定されず、例えば、開放型であってもよい。
【0030】
また、図示は省略するが、キャビン35の内部には、操作部が設けられている。キャビン35の操作部は、例えば、下部走行体20を走行させるためのステアリング、シフトレバー、アクセルペダル、ブレーキペダル、及び駐車ブレーキ36(
図9参照)の操作レバー等を含む。また、キャビン35の操作部は、例えば、伸縮ブーム33を伸縮させる伸縮レバー、ブーム装置32を起伏させる起伏レバー、及びウィンチ34を駆動させるウインチレバー等を含む。さらに、キャビン35の操作部は、
図10を参照して後述するように、上部操作スイッチ145と、イグニッションスイッチ146と、インジケータランプ147と、警報ブザー148とを含む。
【0031】
さらに、上部作業体30は、旋回台31に支持されたカウンタウェイト37を有する。カウンタウェイト37は、旋回台31の旋回、ブーム装置32の起伏、及び伸縮ブーム33の伸縮等を含む上部作業体30の動作を安定させるために、旋回台31上に載置されるものである。
【0032】
[梯子機構40]
梯子機構40は、上部作業体30(特に、キャビン35)に対する作業者の昇降をアシストするものである。梯子機構40は、下部走行体20のフレーム21の側方(本実施形態では、右側)に設けられている。また、梯子機構40は、キャビン35の下方に設けられている。より詳細には、梯子機構40は、
図2に示されるように、フレーム21の下方で且つ車軸24、25の間に設けられている。
【0033】
梯子機構40は、
図3(A)に示される格納姿勢と、
図3(C)に示される昇降姿勢とに姿勢変化が可能に構成されている。格納姿勢の梯子機構40は、フレーム21(より詳細には、フレーム21と車輪24A、25Aとで囲まれた空間)に格納されている。張出姿勢の梯子機構40は、フレーム21の外側に張り出されて、キャビン35に対する作業者の昇降を可能にする。なお、
図3(B)は、張出姿勢及び昇降姿勢の一方から他方に姿勢変化する途中の梯子機構40の姿勢を示している。
【0034】
梯子機構40は、
図4〜
図7に示されるように、安定部材41と、ブラケット50と、揺動アーム56と、梯子本体70と、駆動機構100(
図9参照)とを主に備える。なお、
図4及び
図5に示される梯子機構40の姿勢は、
図3(A)に示される格納姿勢に相当する。また、
図6に示される梯子機構40の姿勢は、
図3(B)に示される姿勢に相当する。さらに、
図7に示される梯子機構40の姿勢は、
図3(C)に示される昇降姿勢に相当する。
【0035】
[安定部材41]
安定部材41は、
図5〜
図7に示されるように、天板42と、一対の側板43、44とで構成される。一対の側板43、44は、前後方向における天板42の両端部に設けられている。安定部材41は、例えば、鋼板を屈曲させて形成される。
【0036】
天板42の上面は、
図2に示されるように、フレーム21の上面と概ね面一となる。すなわち、天板42は、フレーム上を移動する作業者の足場として機能する。また、天板42には、切欠き45が形成されている。切欠き45は、天板42の右端から左方に延びている。すなわち、切欠き45の右端は開放されている。切欠き45の最奥部(すなわち、左端)には、嵌合溝46、47が形成されている。嵌合溝46、47は、後述するシリンダ連結ピン79及び回動規制ピン80を受け入れて、梯子機構40が格納姿勢のときに梯子本体70の回動を規制する。さらに、天板42の下面には、安定部材41をブラケット50に固定するための固定リブ49が設けられている。
【0037】
側板43、44は、天板42の縁が屈曲されることによって形成される。これにより、安定部材41の剛性が向上する。また、本実施形態では、天板42の後方側に位置する側板43に、当該側板43を厚み方向に貫通する貫通孔48が形成されている。貫通孔48は、後述する位置決めシリンダ111のピストンロッド114の先端を受け入れる。
【0038】
[ブラケット50]
ブラケット50は、
図5〜
図7に示されるように、底板51と、一対の側板52、53とで構成される。底板51及び一対の側板52、53は、それぞれ長尺板状の鋼板で形成されている。一対の側板52、53は、底板51の短手方向の両端部に設けられている。これにより、ブラケット50は、細長の箱状に形成されている。換言すれば、ブラケット50の短手方向の断面形状は、概ねU字状となっている。底板51及び一対の側板52、53で囲まれた空間には、後述する揺動シリンダ101が配置される。
【0039】
ブラケット50は、長手方向の一方側端部(本実施形態では、上端)が下部走行体20のフレーム21に固定されて、右斜め下方に延設されている。また、ブラケット50は、長手方向の中間部にボルト(図示省略)等によって固定された固定リブ49を介して、安定部材41を支持している。さらに、ブラケット50は、長手方向の他方側端部(本実施形態では、下端)で揺動アーム56を回動可能に支持している。
【0040】
底板51の下端部は、屈曲されている。屈曲された底板51の下端部の裏面は、後述する位置決め部材61に当接される当接面54を構成する。一対の側板52、53は、底板51より下方まで延設されている。そして、前後方向において対向する一対の側板52、53の下端部には、揺動アーム56を回動可能に支持する支軸55が挿通される。支軸55は、前後方向に沿う第1回動軸線の一例である。
【0041】
[揺動アーム56]
揺動アーム56は、
図5〜
図7に示されるように、複数の鋼板を組み合わせて概ねT字状に形成されている。揺動アーム56は、支軸55を中心として回動可能にブラケット50に支持されると共に、梯子本体70を回動可能に支持している。より詳細には、揺動アーム56は、
図5に示される収納姿勢と、
図6及び
図7に示される張出姿勢との間を回動可能に構成されている。揺動アーム56は、互いに交差する方向に延設された脚部57とヘッド部65とで構成されている。収納姿勢は、下部走行体20のフレーム21に収納された揺動アーム56の姿勢である。張出姿勢は、下部走行体20のフレーム21から右方に張り出した揺動アーム56の姿勢である。
【0042】
脚部57は、底板58と、一対の側板59、60とで構成される。底板58及び一対の側板59、60は、それぞれ長尺板状の鋼板で形成されている。一対の側板59、60は、底板58の短手方向の両端部に設けられている。これにより、脚部57は、細長の箱状に形成されている。換言すれば、脚部57の短手方向の断面形状は、概ねU字状となっている。
【0043】
底板58の一方側端部(ヘッド部65と接続される側の端部、或いは回動先端側の端部)は、幅寸法がヘッド部65側に向かって漸次拡大されており、概ね三角形状に形成されている。この三角形の一辺がヘッド部65の中央部に当接されることにより、脚部57とヘッド部65とが強固に接続される。底板58の他方側端部(ブラケット50に支持される側の端部、或いは回動基端側の端部)には、位置決め部材61が設けられている。位置決め部材61は、張出姿勢の揺動アーム56をブラケット50に対して位置決めする。
【0044】
位置決め部材61は、底板58に設けられたボス62と、ボス62に螺合される六角ボルト63と、六角ボルト63をボス62に対して位置決めするロックナット64とで構成される。六角ボルト63の頭部は、揺動アーム56が収納姿勢のときに当接面54から離間し、揺動アーム56が張出姿勢のときに当接面54と当接する。六角ボルト63のボス62からの突出量を変えることにより、ブラケット50と張出姿勢の揺動アーム56とのなす角を調整することができる。
【0045】
一対の側板59、60は、前後方向において互いに対向している。一対の側板59、60の一方側端部(ヘッド部65と接続される側の端部)には、ヘッド部65と当接する位置に三角形状のリブ66が取り付けられている。ヘッド部65と当接するリブ66は、脚部57とヘッド部65との接続を強固にする。また、一対の側板59、60の他方側端部(ブラケット50に支持される側の端部)には、前後方向に延びる支軸55が挿通される。さらに、一対の側板59、60は、後述する揺動シリンダ101のピストンロッド104を、長手方向の中間部において回動可能に支持している。
【0046】
ヘッド部65は、その長手方向の概ね中央部が脚部57の回動先端に固定されており、前後方向に延設されている。ヘッド部65は、短手方向の断面形状が概ね矩形の管状に形成されている。ヘッド部65は、梯子本体70を回動可能に支持している。より詳細には、ヘッド部65は、梯子本体70を回動可能に支持する支軸67を有する。支軸67は、ヘッド部65の後方側において右方に突設されている。支軸67は、支軸55と交差する第2回動軸線の一例である。また、ヘッド部65は、その外面において後述する回動シリンダ106を回動可能に支持している。さらに、ヘッド部65は、後述する位置決めシリンダ111を内部に収容している。
【0047】
[梯子本体70]
梯子本体70は、
図4〜
図7に示されるように、一対の支柱71、72と、支柱71、72間に渡された複数(本実施形態では、4本)の踏桟73とを有する。一対の支柱71、72及び踏桟73は、例えば、アルミニウム合金製のパイプ部材で形成される。また、梯子本体70は、一対の支柱71、72の上端に取り付けられた踏台74を有する。踏台74は、作業者が足を掛けやすいように、断面形状が概ねL字状である。踏台74は、例えば、金属又は樹脂で形成される。梯子本体70は、梯子の一例である。
【0048】
梯子本体70は、サポート部材75を有する。サポート部材75は、例えば、アルミニウム合金又は鉄鋼材料で形成される。サポート部材75は、概ね矩形板状の本体76と、一対の固定板77、78とを備える。一対の固定板77、78は、一対の支柱71、72それぞれに固定されている。本体76は、隣接する踏桟73の間において、一対の固定板77、78を介して支柱71、72に固定されている。また、サポート部材75は、揺動アーム56が取り付けられる側の面に突設されたシリンダ連結ピン79、回動規制ピン80、及び位置決め部材82を有する。
【0049】
サポート部材75は、一対の支柱71、72のうちの支柱71に近い位置において、支軸67に挿通されている。これにより、梯子本体70は、支軸67を中心として回動可能に揺動アーム56に支持されている。より詳細には、梯子本体70は、
図4〜
図6に示される並行姿勢と、
図7に示される交差姿勢との間を回動可能に構成されている。並行姿勢は、長手方向が下部走行体20の前後方向に沿う梯子本体70の姿勢である。交差姿勢は、長手方向が下部走行体20の前後方向と交差して、上部作業体30に対する作業者の昇降が可能な梯子本体70の姿勢である。
【0050】
シリンダ連結ピン79は、後述する回動シリンダ106のピストンロッド109の先端を回動可能に支持する。なお、支軸67は、シリンダ連結ピン79に支持されたピストンロッド109の延長線上からずれた位置に配置される。これにより、回動シリンダ106を伸縮させることによって、支軸67を中心とする回転モーメントが梯子本体70に作用する。回動規制ピン80は、後述する位置決めシリンダ111のピストンロッド114の先端と当接する当接面81を有する。これにより、交差姿勢梯子本体70が並行姿勢に向かって回動することが規制される。
【0051】
シリンダ連結ピン79及び回動規制ピン80は、梯子本体70が並行姿勢であるときに、揺動アーム56が張出姿勢から収納姿勢に回動することによって、安定部材41の嵌合溝46、47に進入する。これにより、梯子本体70の回動が規制される。また、シリンダ連結ピン79及び回動規制ピン80は、梯子本体70が並行姿勢であるときに、揺動アーム56が収納姿勢から張出姿勢に回動することによって、安定部材41の嵌合溝46、47から退出する。これにより、梯子本体70の回動が許容される。
【0052】
位置決め部材82は、交差姿勢の梯子本体70を揺動アーム56のヘッド部65に対して位置決めする。位置決め部材82は、本体76に設けられたボス83と、ボス83に螺合される六角ボルト84と、六角ボルト84をボス83に対して位置決めするロックナット85とで構成される。六角ボルト84の頭部は、梯子本体70が並行姿勢のときにヘッド部65の当接面68から離間し、梯子本体70が交差姿勢のときに当接面68と当接する。六角ボルト84のボス83からの突出量を変えることにより、張出姿勢の揺動アーム56と交差姿勢の梯子本体70とのなす角を調整することができる。
【0053】
梯子機構40の格納姿勢とは、後述する揺動アーム56が収納姿勢で且つ後述する梯子本体70が並行姿勢であるときの姿勢である。このときの梯子本体70は、下部走行体20と上部作業体30との間の隙間に収納される。これにより、ラフテレーンクレーン10のスペースを有効活用して梯子機構40を格納できる。一方、梯子機構40の昇降姿勢とは、揺動アーム56が張出姿勢で且つ梯子本体70が交差姿勢であるときの姿勢である。このときの梯子本体70は、下部走行体20の右側方に張り出した状態で、キャビン35の下方において上下方向に延設される。
【0054】
[駆動機構100]
駆動機構100は、格納姿勢と昇降姿勢との間で梯子機構40を姿勢変化させると共に、各姿勢の梯子機構40を位置決めする。駆動機構100は、
図9に示されるように、揺動アーム56を回動させる揺動シリンダ101と、梯子本体70を回動させる回動シリンダ106と、梯子機構40を位置決めする位置決めシリンダ111とを主に備える。揺動シリンダ101、回動シリンダ106、及び位置決めシリンダ111は、空圧システム120から供給される圧縮空気によって伸縮される空圧アクチュエータである。駆動機構100は、アクチュエータの一例である。
【0055】
[揺動シリンダ101]
揺動シリンダ101は、
図7及び
図9に示されるように、シリンダチューブ102と、ピストン103と、ピストンロッド104とを備える。シリンダチューブ102は、その基端部がブラケット50に回動可能に支持されている。ピストン103は、シリンダチューブ102の内部を往復動可能に構成されている。ピストンロッド104は、一端がピストン103に接続され、シリンダチューブ102の先端部から突出した他端が揺動アーム56に回動可能に支持されている。
【0056】
シリンダチューブ102の内部空間は、ピストン103によって第1室102Aと第2室102Bとに区画される。第1室102Aに空気が供給され且つ第2室102Bから空気が排出されることによって、ピストンロッド104をシリンダチューブ102に没入(すなわち、後退)させる向きにピストン103が移動する(「シリンダが収縮する」と表記する。)。これにより、揺動アーム56が張出姿勢から収納姿勢へ回動する。一方、第1室102Aから空気が排出され且つ第2室102Bに空気が供給されることによって、ピストンロッド104をシリンダチューブ102から突出させる向きにピストン103が移動する(「シリンダが伸長する」と表記する。)。これにより、揺動アーム56が収納姿勢から張出姿勢へ回動する。シリンダチューブ102内のピストン103の位置は、例えば、揺動シリンダ101に設けられたセンサ(図示省略)によって検出される。
【0057】
[回動シリンダ106]
回動シリンダ106は、
図6、
図7、及び
図9に示されるように、シリンダチューブ107と、ピストン108と、ピストンロッド109とを備える。シリンダチューブ107は、基端部がヘッド部65に回動可能に支持されている。ピストン108は、シリンダチューブ107の内部を往復動可能に構成されている。ピストンロッド109は、一端がピストン108に接続され、シリンダチューブ107の先端部から突出した他端が梯子本体70のシリンダ連結ピン79に回動可能に支持されている。
【0058】
シリンダチューブ107の内部空間は、ピストン108によって第1室107Aと第2室107Bとに区画される。第1室107Aに空気が供給され且つ第2室107Bから空気が排出されることによって、回動シリンダ106が収縮する。これにより、梯子本体70が交差姿勢から並行姿勢へ回動する。一方、第1室107Aから空気が排出され且つ第2室107Bに空気が供給されることによって、回動シリンダ106が伸長する。これにより、梯子本体70が並行姿勢から交差姿勢へ回動する。シリンダチューブ107内のピストン108の位置は、例えば、回動シリンダ106に設けられたセンサ(図示省略)によって検出される。
【0059】
[位置決めシリンダ111]
位置決めシリンダ111は、
図7及び
図9に示されるように、シリンダチューブ112と、ピストン113と、ピストンロッド114と、付勢部材の一例であるコイルバネ115とを備える。シリンダチューブ112は、先端部を後方側に向けた状態でヘッド部65の内部に収容されている。ピストン113は、シリンダチューブ112の内部を往復動可能に構成されている。ピストンロッド114は、一端がピストン113に接続され、他端がシリンダチューブ112の先端部から突出し得る。
【0060】
シリンダチューブ112の内部空間は、ピストン113によって第1室112Aと第2室112Bとに区画される。コイルバネ115は、第2室112Bに配置されて、ピストン113を第1室112A側に付勢している。換言すれば、ピストンロッド114は、コイルバネ115によって位置決めシリンダ111が伸長する向きに付勢されている。シリンダチューブ112から突出したピストンロッド114は、梯子機構40が格納姿勢のときに安定部材41の貫通孔48に挿通される。これにより、収納姿勢の揺動アーム56の回動が規制される。また、シリンダチューブ112から突出したピストンロッド114は、梯子機構40が昇降姿勢のときに回動規制ピン80の当接面81と当接する。これにより、交差姿勢の梯子本体70の回動が規制される。
【0061】
一方、シリンダチューブ112の第1室112Aに空気が供給されることによって、位置決めシリンダ111が収縮する。これにより、ピストンロッド114は、梯子機構40が格納姿勢のときに貫通孔48から抜去され、梯子機構40が昇降姿勢のときに当接面81から離間する。すなわち、位置決めシリンダ111は、空圧システム120から空気が供給されていることに応じて、梯子機構40の姿勢変化を許容する。一方、位置決めシリンダ111は、空圧システム120からの空気の供給が停止されている間、梯子機構40の姿勢変化を規制する。
【0062】
このように、シリンダチューブ112から突出するピストンロッド114の先端部分は、安定部材41或いは梯子本体70に係合して梯子機構40の姿勢変化を規制するロック姿勢と、梯子機構40の姿勢変化を許容する非ロック姿勢との間で姿勢変化が可能なロック部材の係合部の一例である。ロック姿勢とは、貫通孔48に挿通されたピストンロッド114の姿勢、及び当接面81に当接されたピストンロッド114の姿勢である。非ロック姿勢とは、貫通孔48から抜去されたピストンロッド114の姿勢、及び当接面81から離間されたピストンロッド114の姿勢である。
【0063】
[空圧システム120]
下部走行体20は、空圧システム120を有する。空圧システム120は、駐車ブレーキ36、揺動シリンダ101、回動シリンダ106、及び位置決めシリンダ111に空気を供給するものである。空圧システム120は、
図9に示されるように、ポンプ121と、タンク122と、バルブ123、124、125、126と、空圧バルブ127とを備える。バルブ123〜126の具体例は特に限定されないが、例えば、ゲートバルブ等の機械式のバルブであってもよいし、ソレノイドバルブであってもよい。バルブ124は第1バルブの一例であり、バルブ125、126は第2バルブの一例であり、空圧バルブ127は第3バルブの一例である。
【0064】
ポンプ121は、空気を圧縮してタンク122に供給するコンプレッサである。ポンプ121は、例えば、バッテリー12に充電された電気エネルギーによって駆動される。タンク122は、ポンプ121から供給された圧縮空気を貯留する。タンク122は、
図9に示されるように、駐車ブレーキ36に供給される空気を貯留する第1貯留室122Aと、駆動機構100へ供給される空気を貯留する第2貯留室122Bとに区画されている。そして、タンク122からは、第1貯留室122Aから駐車ブレーキ36へ至る流路128と、第2貯留室122Bから駆動機構100へ至る流路129とが延出されている。但し、タンク122内の貯留室は1つであってもよい。
【0065】
バルブ123は、タンク122から駐車ブレーキ36へ至る流路128上に設けられている。バルブ123が流路128を開放することによって駐車ブレーキ36に空気が供給され、バルブ123が流路128を閉塞することによって駐車ブレーキ36への空気の供給が停止される。また、駐車ブレーキ36は、タンク122から空気が供給されることによって解除状態となり、タンク122からの空気の供給が停止されることによって規制状態となる。解除状態の駐車ブレーキ36は、下部走行体20の走行を許容する。一方、規制状態の駐車ブレーキ36は、下部走行体20の走行を規制する。
【0066】
バルブ124は、タンク122から駆動機構100へ至る流路129上に設けられている。また、流路129は、バルブ124より下流側において、バルブ124から揺動シリンダ101に至る流路129Aと、バルブ124から回動シリンダ106に至る流路129Bと、バルブ124から位置決めシリンダ111に至る流路129Cとに分岐している。そして、バルブ125は、流路129A上に設けられている。また、バルブ126は、流路129B上に設けられている。
【0067】
バルブ125は、揺動シリンダ101の第1室102Aに空気を流出入させる第1バルブ125Aと、第2室102Bに空気を流出入させる第2バルブ125Bとを備える。第1バルブ125Aは、第1室102Aへの空気の流出入を遮断する遮断状態と、第1室102Aを流路129Aに連通させる供給状態と、第1室102Aを大気に開放する排出状態とに切り替え可能である。第2バルブ125Bは、第2室102Bへの空気の流出入を遮断する遮断状態と、第2室102Bを流路129Aに連通させる供給状態と、第2室102Bを大気に開放する排出状態とに切り替え可能である。
【0068】
バルブ126は、回動シリンダ106の第1室107Aに空気を流出入させる第1バルブ126Aと、第2室107Bに空気を流出入させる第2バルブ126Bとを備える。第1バルブ126Aは、第1室107Aへの空気の流出入を遮断する遮断状態と、第1室107Aを流路129Bに連通させる供給状態と、第1室107Aを大気に開放する排出状態とに切り替え可能である。第2バルブ126Bは、第2室107Bへの空気の流出入を遮断する遮断状態と、第2室107Bを流路129Bに連通させる供給状態と、第2室107Bを大気に開放する排出状態とに切り替え可能である。
【0069】
空圧バルブ127は、バルブ124と流路129A〜129Cの分岐位置との間に設けられている。また、流路128からは、バルブ123より下流側において、空圧バルブ127に至る流路128Aが分岐している。空圧バルブ127は、流路128、128Aを通じてタンク122から空気が供給されている間、流路129を閉塞する。換言すれば、空圧バルブ127は、駐車ブレーキ36が解除状態である間、流路129を閉塞する。一方、空圧バルブ127は、流路128、128Aを通じた空気の供給が停止されている間、流路129を開放する。換言すれば、空圧バルブ127は、駐車ブレーキ36が規制状態である間、流路129を開放する。すなわち、駆動機構100による梯子機構40の姿勢変化は、駐車ブレーキ36が規制状態であるときにのみ可能となる。
【0070】
[制御部140]
ラフテレーンクレーン10は、
図10に示されるように、制御部140を備える。また、下部走行体20は、下部操作スイッチ141と、電源遮断部142と、センサ143と、下部多重電送部144とを有する。さらに、上部作業体30は、上部操作スイッチ145と、イグニッションスイッチ146と、インジケータランプ147と、警報ブザー148と、上部多重電送部149とを有する。制御部140は、ラフテレーンクレーン10の各部から出力される各種信号を取得し、バルブ123〜126、インジケータランプ147、及び警報ブザー148に制御信号を出力する。制御部140は、リレー回路或いは集積回路等によって実現されてもよいし、プログラムを実行するCPUによって実現されてもよい。
【0071】
下部操作スイッチ141は、梯子機構40を姿勢変化させる作業者の指示を受け付けたことに応じて、当該指示を示す操作信号を制御部140に出力する。下部操作スイッチ141は、下部走行体20の外部から操作可能な位置に設けられている。下部操作スイッチ141の具体的な配置は特に限定されないが、例えば、梯子機構40が設けられた側の下部走行体20の側面(すなわち、右側面)であって、梯子本体70の回動軌跡の外側に配置されるのが好ましい。
【0072】
電源遮断部142は、エンジン27が停止されていることに応じて、バッテリー12から下部操作スイッチ141へ電力を供給する。すなわち、下部操作スイッチ141は、エンジン27が停止されていることに応じて、作業者から受け付けた指示に応じた操作信号を制御部140に出力する。一方、電源遮断部142は、エンジン27が始動されていることに応じて、バッテリー12から下部操作スイッチ141への電力の供給を遮断する。すなわち、下部操作スイッチ141は、エンジン27が始動されている状態で作業者から指示を受け付けたとしても、操作信号を出力しない。
【0073】
センサ143は、梯子機構40の姿勢に応じた検出信号を制御部140に出力する。センサ143は、例えば、押下されることによって検出信号を出力する機械スイッチ(図示省略)を有している。そして、当該機械スイッチは、梯子機構40が格納姿勢及び昇降姿勢であることに応じて、ラフテレーンクレーン10の構成要素によって押下される。一方、当該機械スイッチは、梯子機構40の姿勢が格納姿勢及び昇降姿勢と異なることに応じて、押下が解除される。また、制御部140は、例えば、センサ143から出力される検出信号、及び各ピストン103、108、113の位置を検出するセンサから出力される検出信号の組み合わせによって、梯子機構40の姿勢を判断する。
【0074】
上部操作スイッチ145は、梯子機構40を姿勢変化させる作業者の指示を受け付けたことに応じて、当該指示を示す操作信号を、上部多重電送部149及び下部多重電送部144を通じて制御部140に出力する。イグニッションスイッチ146は、エンジン27を始動或いは停止させる作業車の指示を受け付けるものである。インジケータランプ147は、梯子機構40の姿勢が格納姿勢と異なることに応じて点灯するものである。警報ブザー148は、梯子機構40の姿勢が格納姿勢と異なり且つ駐車ブレーキ36が解除されたことに応じて、警報音を吹聴するものである。
【0075】
また、イグニッションスイッチ146は、エンジン27が始動されていることに応じて、バッテリー12から上部操作スイッチ145へ電力を供給する。すなわち、上部操作スイッチ145は、エンジン27が始動されていることに応じて、作業者から受け付けた指示に応じた操作信号を制御部140に出力する。一方、イグニッションスイッチ146は、エンジン27が停止されていることに応じて、バッテリー12から上部操作スイッチ145への電力の供給を遮断する。すなわち、上部操作スイッチ145は、エンジン27が停止されている状態で作業者から指示を受け付けたとしても、操作信号を出力しない。
【0076】
[梯子機構制御処理]
次に、
図11を参照して、梯子機構制御処理を説明する。梯子機構制御処理は、作業者の指示に応じて梯子機構40の姿勢を変化させる処理である。梯子機構制御処理は、制御部140によって実行される。制御部140は、下部操作スイッチ141或いは上部操作スイッチ145から操作信号が継続して出力されている間、
図11に示される梯子機構制御処理を実行する。一方、制御部140は、下部操作スイッチ141或いは上部操作スイッチ145からの操作信号の出力が停止されたことに応じて、
図11に示される梯子機構制御処理を実行する。
【0077】
まず、制御部140は、下部操作スイッチ141或いは上部操作スイッチ145から出力されている操作信号が、梯子機構40を昇降姿勢に姿勢変化させる指示(以下、「張出指示」と表記する。)であるか、梯子機構40を格納姿勢に姿勢変化させる指示(以下、「格納指示」と表記する。)であるかを判断する(S11)。なお、下部操作スイッチ141及び上部操作スイッチ145は、作業者に操作されている間に継続して操作信号を出力し、作業者が操作をやめたことに応じて操作信号の出力を停止する。
【0078】
次に、制御部140は、張出指示を取得したことに応じて(S11:張出指示)、トランスミッションのシフト位置がパーキングであるか否かを判断する(S12)。制御部140は、シフト位置がパーキングであることに応じて(S12:Yes)、バルブ124を開放する(S13)。一方、制御部140は、シフト位置がパーキングでないことに応じて(S12:No)、作業者にエラーを報知して梯子機構制御処理を終了する(S22)。但し、ステップS12におけるシフト位置はパーキングに限定されない。
【0079】
例えば、シフト位置がニュートラルであることに応じて、ステップS13の処理が実行されてもよい。または、シフト位置がパーキング或いはニュートラルであることに応じて、ステップS13の処理が実行されてもよい。換言すれば、シフト位置がニュートラルでないことに応じて、ステップS22の処理が実行されてもよい。または、シフト位置がパーキング及びニュートラルのどちらでもないことに応じて、ステップS22の処理が実行されてもよい。
【0080】
ステップ13において、バルブ124が開放されたことによって、流路129、129Cを通じてタンク122から位置決めシリンダ111の第1室112Aに空気が供給される。その結果、収縮する位置決めシリンダ111は、ピストンロッド114をロック姿勢から非ロック姿勢へ姿勢変化させる。すなわち、ピストンロッド114は、貫通孔48から抜去される。これにより、揺動アーム56の回動が許容される。
【0081】
次に、制御部140は、ピストンロッド114(すなわち、ロック部材)が非ロック姿勢になったことに応じて(S14:Yes)、バルブ125を開放する(S15)。なお、ピストンロッド114が非ロック姿勢なったことは、例えば、位置決めシリンダ111に設けられてセンサによって検出される。また、バルブ124は開放したままの状態で保持される。
【0082】
制御部140は、ステップS15において、第1バルブ125Aを排出状態にし且つ第2バルブ125Bを供給状態にする。これにより、流路129、129Aを通じてタンク122から揺動シリンダ101の第2室102Bに空気が供給され、第1室102Aから空気が排出される。その結果、伸長する揺動シリンダ101は、揺動アーム56を収納姿勢から張出姿勢へ姿勢変化させる。
【0083】
一方、駐車ブレーキ36が解除状態になっている場合(換言すれば、バルブ123が開放されている場合)、空圧バルブ127が流路129を閉塞している。そのため、ステップS13でバルブ124を開放しても、ピストンロッド114が非ロック姿勢に姿勢変化することはない。そこで、制御部140は、バルブ124を開放してから所定の時間が経過してもピストンロッド114が非ロック姿勢にならないことに応じて(S14:No)、作業者にエラーを報知して梯子機構制御処理を終了する(S22)。
【0084】
次に、制御部140は、揺動アーム56が張出姿勢になったことに応じて(S16:Yes)、バルブ125を閉塞する(S17)。なお、揺動アーム56が張出姿勢になったことは、例えば、揺動シリンダ101に設けられたセンサによって検出される。制御部140は、ステップS17において、第1バルブ125A及び第2バルブ125Bを遮断状態にする。また、位置決め部材61は、当接面54に当接されることによって、揺動アーム56を張出姿勢に保持する。なお、ステップS17の処理は、後述するステップS20のタイミングで実行されてもよい。
【0085】
また、制御部140は、バルブ126を開放する(S18)。制御部140は、ステップS18において、第1バルブ126Aを排出状態にし且つ第2バルブ126Bを供給状態にする。これにより、流路129、129Bを通じてタンク122から回動シリンダ106の第2室107Bに空気が供給され、第1室107Aから空気が排出される。その結果、伸長する回動シリンダ106は、梯子本体70を並行姿勢から交差姿勢へ姿勢変化させる。なお、ステップS17、S18の実行順序は、逆順であってよいし、並行して実行されてもよい。
【0086】
次に、制御部140は、梯子本体70が交差姿勢になったことに応じて(S19:Yes)、バルブ124、126を閉塞する(S20)。なお、梯子本体70が交差姿勢になったことは、例えば、回動シリンダ106に設けられたセンサ及びセンサ143によって検出される。また、梯子本体70は、位置決め部材82が当接面68に当接されることによって、交差姿勢に保持される。
【0087】
制御部140は、ステップS20において、第1バルブ126A及び第2バルブ126Bを遮断状態にする。また、第1室112Aへの空気の供給が停止された位置決めシリンダ111は、コイルバネ115の付勢力によってピストンロッド114を非ロック姿勢からロック姿勢へ姿勢変化させる。すなわち、ピストンロッド114の先端は、回動規制ピン80の当接面81に当接される。これにより、梯子本体70の回動が規制される。
【0088】
そして、制御部140は、ピストンロッド114がロック姿勢になったことに応じて(S21:Yes)、梯子機構制御処理を終了する。なお、ピストンロッド114がロック姿勢になったことは、例えば、位置決めシリンダ111に設けられたセンサによって検出される。
【0089】
一方、制御部140は、格納指示を取得したことに応じて(S11:格納指示)、バルブ124を開放する(S23)。次に、制御部140は、ピストンロッド114が非ロック姿勢になったことに応じて(S24:Yes)、バルブ126を開放する(S25)。ステップS24で非ロック姿勢になったピストンロッド114は、回動規制ピン80の当接面81から離間する。これにより、梯子本体70の回動が許容される。ステップS23、S24の処理は、ステップS13、S14と共通するので、再度の説明は省略する。
【0090】
また、制御部140は、ステップS25において、第1バルブ126Aを供給状態にし且つ第2バルブ126Bを排出状態にする。これにより、流路129、129Bを通じて回動シリンダ106の第1室107Aに空気が供給され、第2室107Bから空気が排出される。その結果、収縮する回動シリンダ106は、梯子本体70を交差姿勢から並行姿勢へ姿勢変化させる。
【0091】
次に、制御部140は、梯子本体70が並行姿勢になったことに応じて(S26:Yes)、バルブ126を閉塞する(S27)。なお、梯子機構70が並行姿勢になったことは、例えば、回動シリンダ106に設けられたセンサによって検出される。制御部140は、ステップS27において、第1バルブ126A及び第2バルブ126Bを遮断状態にする。なお、ステップS27の処理は、後述するステップS30のタイミングで実行されてもよい。
【0092】
また、制御部140は、バルブ125を開放する(S28)。制御部140は、ステップS28において、第1バルブ125Aを供給状態にし且つ第2バルブ125Bを排出状態にする。これにより、流路129、129Aを通じてタンク122から揺動シリンダ101の第1室102Aに空気が供給され、第2室102Bから空気が排出される。その結果、収縮する揺動シリンダ101は、揺動アーム56を張出姿勢から収納姿勢へ姿勢変化させる。なお、ステップS27、S28の実行順序は、逆順であってよいし、並行して実行されてもよい。
【0093】
次に、制御部140は、揺動アーム56が収納姿勢になったことに応じて(S29:Yes)、バルブ124、125を閉塞する(S30)。なお、揺動アーム56が収納姿勢になったことは、例えば、揺動シリンダ101に設けられたセンサ及びセンサ143によって検出される。制御部140は、ステップS30において、第1バルブ125A及び第2バルブ125Bを遮断状態にする。さらに、コイルバネ115の付勢力によって伸長する位置決めシリンダ111は、ピストンロッド114を非ロック姿勢からロック姿勢に姿勢変化させる。すなわち、ロック姿勢になったピストンロッド114は、貫通孔48に進入する。安定部材41は、貫通孔48に進入したピストンロッドを貫通孔48の周縁で係止することによって、梯子機構70の姿勢変化を規制する。
【0094】
そして、制御部140は、ピストンロッド114がロック姿勢になったことに応じて(S31:Yes)、梯子機構制御処理を終了する。なお、ピストンロッド114がロック姿勢になったことは、例えば、位置決めシリンダ111に設けられたセンサによって検出される。
【0095】
[報知処理]
次に、
図12を参照して、報知処理を実行する。報知処理は、梯子機構40が格納姿勢でないこと、及び下部走行体20を走行させるのが危険であること等を作業者に報知する処理である。報知処理は、制御部140によって実行される。制御部140は、エンジン27が始動されたことに応じて、
図12に示される報知処理を繰り返し実行する。
【0096】
まず、制御部140は、エンジン27が始動されており且つ梯子機構40が格納姿勢と異なる姿勢であることに応じて(S41:No)、インジケータランプ147を点灯させる(S42)。一方、制御部140は、梯子機構40が格納姿勢であることに応じて(S41:Yes)、インジケータランプ147を消灯させる(S43)。なお、インジケータランプ147の点灯及び消灯は、上部多重電送部149及び下部多重電送部144を通じて制御部140から送信される制御信号によって制御される。また、ステップS42で点灯されたインジケータランプ147は、ステップS43が実行されるまで継続して点灯される。さらに、インジケータランプ147が既に消灯されている場合、ステップS43の処理はスキップされる。
【0097】
また、制御部140は、梯子機構40が格納姿勢でなく且つ駐車ブレーキ36が解除状態であることに応じて(S41:No&S44:Yes)、警報ブザー148を吹聴させる(S45)。一方、制御部140は、駐車ブレーキ36が規制状態であることに応じて(S44:No)、警報ブザー148の吹聴を停止させる(S46)。なお、警報ブザー148の吹聴及び停止は、上部多重電送部149及び下部多重電送部144を通じて制御部140から送信される制御信号によって制御される。また、ステップS45で吹聴された警報ブザー148は、ステップS46が実行されるまで継続して吹聴される。さらに、警報ブザー148が吹聴されていない場合、ステップS46の処理はスキップされる。
【0098】
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、タンク122と揺動シリンダ101及び回動シリンダ106との間の流路129にバルブ124、125、126が設けられている。その結果、バルブ124〜126の1つが故障した場合でも、揺動シリンダ101及び回動シリンダ106に直ちに空気が供給されることがない。その結果、意図しない梯子機構40の姿勢変化を抑制することができる。
【0099】
また、上記の実施形態によれば、タンク122からの空気の供給が停止されている間、コイルバネ115の付勢力によってピストンロッド114がロック姿勢となる。これにより、例えば、流体圧や電力等の動力を用いてピストンロッド114のロック姿勢を維持する場合と比較して、ピストンロッド114が意図せずに非ロック姿勢になることを抑制できる。
【0100】
また、上記の実施形態のように、タンク122から空気が供給されることによって梯子機構40の姿勢が変化され、タンク122からの空気の供給が停止されることによって梯子機構40の姿勢が維持される。このように、梯子機構40の姿勢の維持に動力を用いないことにより、梯子機構40の意図しない姿勢変化を抑制することができる。
【0101】
また、上記の実施形態によれば、駐車ブレーキ36が解除されているときに梯子機構40が姿勢変化するのを抑制することができる。すなわち、下部走行体20の走行中或いは下部走行体20を走行させようとしているときに、梯子機構40の意図しない姿勢変化を抑制することができる。
【0102】
さらに、上記の実施形態によれば、駐車ブレーキ36を状態変化させる圧縮空気を用いて各シリンダ101、106、111を動作させることができる。すなわち、タンク122内の圧縮空気を、駐車ブレーキ36及び駆動機構100で共用することができる。その結果、ラフテレーンクレーン10の部品点数の増加を抑制することができる。
【0103】
なお、上記の実施形態では、各シリンダ101、106、111を空圧によって伸縮させる例を説明したが、各シリンダ101、106、111を伸縮させる方法はこれに限定されず、例えば油圧によって伸縮されてもよい。すなわち、空圧及び油圧は流体の一例であり、各シリンダ101、106、111は流体圧シリンダの一例である。より詳細には、揺動シリンダ101及び回動シリンダ106はステップシリンダの一例であり、位置決めシリンダ111はロックシリンダの一例である。
【0104】
また、上記の実施形態では、揺動アーム56及び梯子本体70の回動によって梯子機構40の姿勢が変化される例を説明した。しかしながら、フレーム21に格納される格納姿勢と、キャビン35に対して作業者が昇降可能な昇降姿勢とに姿勢変化が可能であれば、梯子機構40の姿勢を変化させるための具体的な構成はこれに限定されない。