(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二つの血液試料間の輸血前の血液型マッチングを試験するための分析キットであって、前記キットが、第一及び第二の血液試料に対応する少なくとも二つの集成体(101,201)を含み、各集成体が少なくとも二つの試験ユニット(1)を含み、各試験ユニット(1)が:
− 赤血球上に存在する抗原に結合することができる抗体を含有する試薬、及び
− 自由赤血球(6)に対して透過性でありかつ凝集赤血球に対して不透過性である膜(2,102,202)
を含み、
第一集成体(101)及び第二集成体(201)の両方のための第一試験ユニットに含有される抗体が第一血液型に対応し、第一集成体(101)及び第二集成体(201)の両方のための第二試験ユニットに含有される抗体が第二血液型に対応し、提供者に対応する第一集成体(101)及び受容者に対応する第二集成体(201)が、それらの間のいかなる混同も避けるための手段を含む、分析キット。
各集成体の第一試験ユニットに含有される抗体が血液型Aに対応し、各集成体の第二試験ユニットに含有される抗体が血液型Bに対応する、請求項1に記載の分析キット。
キットの少なくとも二つの集成体の各々が、コントロールユニットとして使用される、抗体のない第三試験ユニット(110r,210r)をさらに含む、請求項1又は2に記載の分析キット。
キットの少なくとも二つの集成体の各々が、Rh式血液型に対応する抗体を含有する追加の試験ユニット(110r,210r)をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の分析キット。
各試験ユニット(1)が、試薬及び生体試料(3)を受けるための第一空洞(9,109a,109b,209a,209b)、及び濾液(6または8)を受けるための第二空洞(10,110a,110b,210a,210b)を含み、第一及び第二空洞が膜(2,102,202)によって分離されている、請求項1〜4のいずれかに記載の分析キット。
第一血液試料に対応する集成体(101)の血液試料を受けるための手段が、血液バッグから血液試料をとるための手段(120)をさらに含み、前記手段が、個体から直接採取された試料を受けるように適応されていない、請求項6に記載の分析キット。
第二血液試料に対応する集成体(201)の血液試料を受けるための手段が、注射器から血液試料を受けるための手段(220)をさらに含み、前記手段が、血液バッグまたは血液バッグチューブ類から試料を直接とるように適応されていない、請求項6〜7のいずれかに記載の分析キット。
第一集成体(101)及び第二集成体(201)を支持するために回転支持体(300)を含む装置をさらに含み、前記回転支持体(300)が、遠心分離によって膜(2)を通した血液試料の流れを使用時に発生するために適している、請求項1〜8のいずれかに記載の分析キット。
少なくとも二つの分析物が、二つの別個の試験ユニット(1)における両生体試料に対して、即ち、A血液型抗原または前記抗原に結合する抗体に対応する第一分析物、及びB血液型抗原または前記抗原に結合する抗体に対応する第二分析物に対して同時に分析される、請求項12〜13のいずれかに記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、本発明は、従来技術の欠点を取り除くことができる方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
特に、本発明の一側面は、血液型のタイプを確認し、かつ/又は輸血のエラーを避けることができるように輸血前ベッドサイド試験を実施することを可能にする方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明のある側面はまた、例えばIgG(クラスGの免疫グロブリン)が関係されるとき、洗浄のような工程を省略可能であることによって適合性マッチングのために必要とされる時間を短かくすることを可能にする方法及び装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明のある側面はまた、マッチングのために必要な、容易に持ち運ぶことができるか、又は容易に移動可能であるか、又は携帯可能である装置を提供することによって、まさに輸血の場所での血液型試験及び/又は適合性試験(POCT:ポイント・オブ・ケア試験)を可能にする方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明の目的は、簡単な方法及び装置を提供することである。
【0013】
本発明のある側面はまた、裸眼による及び/又は自動的に機械による結果の解釈が明瞭で正しい方法及び装置を提供することを目的とする。この結果は、明瞭に規定されるカットオフポイントによって得られることができる。
【0014】
本発明のある側面はまた、再現可能な適合性試験を提供することを目的とする。
【0015】
本発明のある側面はまた、遠心分離、圧力及び/又は振動のような機械的応力下で安定である適合性試験を提供することを目的とする。機械的応力は、試験を動かすことによって起こりうる。
【0016】
本発明のある側面はまた、容易に行なうことができる適合性試験を提供することを目的とする。これは製造コストを低下する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、生体試料に(人工的に又は自然に)存在する分析物を分析(存在を検出)するための方法に関し、前記分析物が結合対の第一要素であり、前記結合対が、赤血球上に存在する抗原、及び赤血球上に存在する前記抗原に結合する抗体からなり、前記方法は以下の工程を含む:
− 結合対の第二要素を含有する試薬で生体試料を処理し、試験ユニットにおいて凝集赤血球を生成すること、
− 自由赤血球に対して透過性でありかつ凝集赤血球に対して不透過性である膜を通した濾過によって、凝集赤血球をもし形成された時には自由赤血球から分離すること、及び
− 前記自由赤血球及び/又は前記凝集赤血球を検出し、膜の下流の自由赤血球及び/又は膜の上流の凝集赤血球の検出によって試料中の分析物の存在を関連付けること。
【0018】
有利には、膜の細孔サイズの上限及び下限は、生体試料中の赤血球サイズに依存して(即ち、赤血球が生じる種に主に依存して)、最適な細孔の大きさを生みだすために組み合わされることができる。膜のための最も小さい細孔の大きさの限界は、種からの関係される自由細胞の直径である:人間のRBCの直径は6〜8μmである。細孔の大きさの範囲に含まれるものは、関係される自由細胞の直径の二倍である。好ましくは、膜は、6μm〜25μmの細孔を持つ。
【0019】
有利には、膜は、分析物結合材料を含まない。
【0020】
好ましくは、膜又はその層は、織られた組織、織られていない組織、トラックエッチド(track−etched)膜、及び多孔膜からなる群、又はそれらの組み合わせから選択される。より好ましくは、膜又はその層はポリアミドを含む(又は本質的にポリアミドからなる)。
【0021】
有利には、濾過は、遠心分離、毛管、膜の下流の減圧、膜の上流の過圧、又はそれらの組み合わせによって促進される。好ましくは、減圧又は過圧の場合には、圧力の差は溶血を避けるために適応されるべきである。
【0022】
有利には、分析される分析物は、赤血球上に存在する血液型抗原、又は血液型抗原に結合する抗体である。
【0023】
好ましくは、自由赤血球又は凝集赤血球は、好ましくはIR吸収測定装置のような光学的手段によって検出される。代替的には又は光学的検出の組み合わせでは、検出は、視覚的観察によってなされるか又はチェックされることができる。
【0024】
有利には、赤血球又は凝集赤血球の検出は、結合対の第二要素なしの分析(ブランク)と比較される。
【0025】
好ましくは、生体試料は全血を含む。
【0026】
有利には、少なくとも二つの分析物は、二つの別個の試験ユニット、即ちA血液型抗原または前記抗原に結合する抗体に対応する第一分析物、及びB血液型抗原又は前記抗原に結合する抗体に対応する第二分析物に対して同時に分析される。
【0027】
好ましくは、第三試験ユニットは、Rh血液型抗原または前記抗原に結合する抗体に対応する分析物を分析するために使用される。
【0028】
本発明の第二側面は、(輸血)適合性マッチングを確認するための方法に関し、そこでは二つの生体試料の血液型抗原または抗体は本発明の方法によって本質的に同時に試験され、二つの生体試料は第一個体及び第二個体に対応し、結果は適合性マッチングのために比較される。
【0029】
有利には、第一個体は提供者に対応し、第二個体は受容者に対応している。より好ましくは、適合性マッチングの確認は、輸血の投与直前にポイント・オブ・ケア(受容者の部屋)で実施される。
【0030】
好ましくは、結果は、データベースに記憶された予め決められたデータとさらに比較される。
【0031】
本発明の第三側面は、二つの試料間の(輸血)適合性マッチングのための本発明の第二側面による方法に使用するために好適なキットに関し、前記キットは少なくとも第一試料のための二つの試験ユニット、及び第二試料のための二つの試験ユニットを含み、各ユニットは:
− 赤血球上に存在する抗原、または赤血球上に存在する抗原に結合できる抗体を含有する試薬、及び
− 自由赤血球に対して透過性でありかつ凝集赤血球に対して不透過性である膜
を含み、
第一試料及び第二試料の両方のための第一試験ユニットに含有される抗原または抗体は第一血液型(A)に対応し、第一試料及び第二試料の両方のための第二試験ユニットに含有される抗原または抗体は第二血液型(B)に対応する。
【0032】
好ましくは、本発明のキットは、膜を通した生体試料の流れを発生するための濾過促進(遠心分離)手段をさらに含む。
【0033】
有利には、試験ユニットは、試薬及び生体試料を受けるための第一空洞、及び濾液を受けるための第二空洞を含み、第一及び第二空洞は膜によって分離されている。
【0034】
有利には、キットは、第二空洞における自由赤血球を検出するため、及び/又は膜上の凝集赤血球を検出するための光学的手段をさらに含む。より好ましくは、光学的検出は、試験の信頼性を改良するために膜と第二空洞の両方で実施される。
【0035】
有利には、各試料に対応する試験ユニットは集成体に集成され、一つの集成体は提供者の血液試料に対応し、一つの集成体は受容者の血液試料に対応する。
【0036】
好ましくは、各集成体は、例えばポリマー射出成形によって一つの部分で作られる。
【0037】
本発明の別の側面は、ABO適合性のミスの可能性を低減するための方法に関し、生体試料における分析物を分析するための方法がPOCTとして使用され、前記分析物が、赤血球上に存在する抗原、又は赤血球上に存在する抗原に結合する抗体からなる。好ましくは、前記方法では、適合性マッチングの追加の確認を可能にする中央検査室のデータベースと分析方法の結果を比較するために通信手段が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明では、「二つの血液試料間の輸血前血液型マッチング」または「輸血前血液適合性試験」は均等物として考えられるべきである。なぜならば血液型試験は、提供者と受容者の間の血液型適合性を確認するために実施されるからである。
【0046】
本発明の側面は、RBC上に存在する抗原(Ag)、またはRBC上に存在する抗原(Ag)に結合する抗体(Ab)を分析することに関する。
【0047】
本発明の側面は、好ましくは血液型Ag、または血液型Agに結合するAbを分析することに関する。本発明の側面は、好ましくは血液型抗原、または血液型抗原に結合する抗体を分析することに関する。
【0048】
実際には、赤血球(即ち、RBC)の表面には、膜抗原、特に免疫系によって認識されることができる血液型(または系)抗原またはウイルス抗原が自然に又は人工的にある。赤血球上に存在する血液型抗原は、A抗原、B抗原、同時に表わされるA及びB抗原もしくはH抗原を持つABO系、D,E,e、及びCもしくはc抗原を持つRh系、Kもしくはk抗原を持つケル系、ダフィー系(Fya,Fyb)、キッド系(Jka,Jkb)、またはMNS,ルイス,Lu,P1,Lea,Leb,Cw,M,N,S,sなどの他の系の網羅的でないリストの抗原を意味することを意図される。
【0049】
最も臨床的に重要なAg系はABO RBC Ag系であり、それは、人間の個体の大多数がそれらに対して能動的に免疫を与えられることなくAbをそれらのAgに対して生成する点で独特である。従って、個体のRBCはA,B,またはAとBの両方のAgのいずれかを示すことができる。人口の約40%はこれらのAgのいずれも持たず、それゆえOまたはゼロとして分類またはグループ化される。O型の個体の血液中の血漿または血清はA及びB型のAgに対してAbを持つ。しかしながら、AB型の個体の血液中の血漿または血清はAまたはB型のAgに対してAbを示さない。従って、A型の個体の血液中の血漿または血清はB型のAgに対してAbを持ち、B型の個体の血液中の血漿または血清はA型のAgに対してAbを持つ。
【0050】
ABO Ag系における不適合性は、強い拒絶反応をもたらし、それは第一個体(例えば提供者)を第二個体(例えば受容者)にマッチングさせることによって防止されることができる。理想的には、提供者及び受容者は同じ血液型に属するべきである。しかしながら、同一の提供者がいない場合には、受容者の血清または血漿が提供者のRBCに対して自然のAbを持たない限り、代わりの血液型でも好適でありうる。従って、O型は万能提供者である。なぜならばそのRBCは、全ての他の型の血液に存在する抗Aまたは抗BのAbと反応しないからである。AB型の個体は全ての血液型から血液を受けることができる。なぜならばそれらはそれらのいずれに対してもAbを持たないからである。
【0051】
個体のRBCはRh(またはD)抗原(Ag)(Rh<+>またはRh陽性)を持つことができるか、またはそれを持たない(Rh<−>またはRh陰性)。ABO Ag系と違って、抗Rh(抗D)Abは、通常Rh陰性の血液の個体には存在しない。それでもなお、かかるAbは、Rh陽性血液での輸血からまたはRh陽性胎児での妊娠から生じる免疫増強後にRh陰性の個体において発現する。提供者と受容者の間のRhのマッチングは、ABOマッチングに加えて、Rh陰性の個体におけるRh Abの発生を防止し、抗Rh Abを持つかもしれない個体における拒絶反応を防止するようになされることができる。
【0052】
A,B及びRh Agに加えて、RBCは様々な他のAgを持ってもよく、それらは下位型として言及されることがある。Rh Ag(及び本質的にはほとんどのAg)と同様に、それらのAgに対するAbは、通常、人間の血液には存在しないが、先行する輸血またはAgを持つ胎児での妊娠によって起こりうる。かかるAbは予期せぬものとして言及される。
【0053】
RBC抗原に対する幾つかの抗体は、「不完全」と考えられる。なぜならばそれらはRBCを直接凝集することはできず、凝集を容易にするために抗グロブリン(クームス試薬)の添加を要求するからである。
【0054】
試薬はリス培地(Liss medium)及び/又はクームス試薬を含有していてもよい。
【0055】
本発明では、試験される生体試料は、出生前の発達段階を含む人間から生じてもよい。あるいは、試験される生体試料は、複数の抗原分子を有するいかなる動物から生じてもよい。動物は、例えば8つの異なる血液型がこれまで識別されている犬であってもよく、3つの異なる血液型がこれまで識別されている猫であってもよい。
【0056】
生体試料は、生理学的に又は病理学的に赤血球又は抗赤血球抗体を含む体液又は組織生検を意味することを意図される。後者は、ハイブリドーマの上清であることができる。それゆえ、生体試料として、血液試料、特に全血試料又は血液細胞ペレット試料(又は血液バッグ)、又は他の血液調製物を挙げることができるが、唾液、汗、涙、母乳、糞便又は尿もそれらが血液又は抗体を含むときは挙げることができる。血漿又は血清試料を使用することもできる。前記生体試料はまた、体液、組織生検、血液試料、他の血液調製物、血漿、血清、唾液、汗、涙、母乳、糞便又は尿を含む混合物であることができる。
【0057】
赤血球上に存在する抗原(Ag)に結合する抗体(Ab)は、赤血球又は抗赤血球抗体によって担持される抗原分子に対する抗体を示す。
【0058】
本発明によれば、Abは、IgA,IgD,IgE,IgG及び/又はIgM(クラスMの免疫グロブリン)を示す。
【0059】
抗体は、全抗体、又は少なくとも一つの抗原結合部位を含むかもしくはそれからなる抗体の機能的フラグメント(高頻度可変性部分)を示し、抗原結合部位は、前記抗体が抗原化合物の少なくとも一つの抗原決定基に結合することを可能にする。抗体フラグメントの例を挙げると、Fab,Fab´及びF(ab´)
2フラグメント、さらにはscFv鎖(単一鎖可変フラグメント)、dsFv鎖(二重鎖可変フラグメント)などがある。
【0060】
試薬によって含有される抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であることができる。本発明の文脈において使用されることができるモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の製造は従来技術下で行なえる。Abは、例えばImmucor gamma(登録商標)又はdiamed(登録商標)で購入されることができる。
【0061】
図1〜3に示されるように、膜2は自由赤血球6を凝集赤血球7から分離し、膜2は自由赤血球を透過可能にしているが、凝集赤血球7を透過不可能にしている。
【0062】
膜2は、分析物の成分及び/又は試薬の成分と化学的に反応しない。
【0063】
本発明の膜2又はその層は、織られた組織、織られていない組織、及びトラックエッチド膜のような多孔性ポリマーフィルム又はそれらの組み合わせからなる群から選択されることが有利である。織られた組織は、安価なものにすることによって製造コストを減らす。織られた組織は明確に定義された細孔を持つ。多孔性ポリマーフィルム及びトラックエッチド膜は、例えば集成工程によって誘発される変形に対してあまり敏感でないという利点をさらに持つ。
【0064】
本発明の膜2は、単一層からなることが好ましい。最終的には、膜は、例えば格子によって機械的に支持されることができる。
【0065】
有利には、本発明の膜2はポリマー膜であり、ポリマーは、ナイロン、セルロースエステルポリマー、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエ−テルスルホン、ポリカーボネート、ポリエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
【0066】
本発明の膜2の細孔は単分散されることが好ましい。明確に定義された細孔を持つことによって、単分散された膜は明確に定義された通過カットオフを有利に与え、それによって本発明の方法の信頼性を高める。トラックエッチド膜はかかる単分散細孔を与え、狭いサイズ分散を持つというさらなる利点を有する。
【0067】
本発明の膜は、自由赤血球を透過できるが凝集赤血球を透過できないように選択された細孔を持つ。それゆえ、膜2の細孔は、約6、約9又は約11μmに等しいか又はそれより大きく、かつ約25、約20、約16、約14又は約13μmに等しいか又はそれより小さいことが有利である。示された上限及び下限は、生体試料における赤血球サイズに依存して(即ち、赤血球が生じる種に主に依存して)最適な細孔の大きさを生み出すために組み合わされることができる。膜のための最も小さい細孔の限界は、種からの関係する自由細胞の直径であり、人間のRBCの直径は6〜8μmである。細孔の大きさに含まれるものは関係する自由細胞の直径の2倍である。もし単一のIgMが関係されるなら、五つの部分からなる凝集赤血球は約16μmの直径を持つ。実際には、多数のIgMが関係され、従って直径は16μmより大きいだろう。
【0068】
好ましくは、膜は、封止リング5(即ち、ワッシャー)によって試験ユニット1の内側に固定される。好ましくは、封止リングはゴムである。
【0069】
あるいは、膜2は試験ユニットの内側に接着又は溶接されることができる。溶接は、熱、超音波、レーザー又は高周波封止工程によってなされることができる。集成体はまた、好適な接着剤及び/又は溶剤結合を使用することによって実施されることができる。
【0070】
好ましくは、機械的応力は膜の固定時に最小化される。従って、膜の細孔は無傷のままである。これは、特に機械的応力に対して敏感な織られた膜又は織られていない膜に対して当てはまる。
【0071】
有利には、膜2は試験ユニットの内側に水平に固定される。
【0072】
好ましくは、膜2は以下の場所に位置される:
− 試験ユニット1の上部に、
− 試験ユニット1の上部と試験ユニット1の上部から1/3との間に、
− 試験ユニット1の上部から0.5cmに、
− 試験ユニット1の中間と試験ユニット1の上部から1/3との間に
− 試験ユニット1の中間に、又は
− 試験ユニット1の中間と試験ユニット1の下部から1/3との間に。
【0073】
好ましくは、膜2を通した濾過は、遠心分離、毛細管、試験ユニットの下部における減圧、試験ユニットの上部の過圧、又はそれらの組み合わせによって促進される。減圧又は過圧の場合には、圧力の差は、溶血を避けるように適応されるべきである。圧力差は、例えばピストンによって誘発されることができ、前記ピストンは試験ユニットの上部(過圧)又は下部(減圧)に位置される。
【0074】
試験ユニット1は試験管、試料管、エッペンドルフ管などであることができる。有利には、試験ユニット1は、血液と生体適合性のある材料から作られる。ポリプロピレン、ポリメチルペンテン又はポリカーボネートから作られた試験ユニットを使用することができる。高い耐薬品性を持つポリプロピレン管(0.5ml,1,5ml又は2ml)(おそらくスリップ剤、殺生物剤又は可塑剤を含まない)は、固定角ローターで25000×gまで、スイングバケットローターで70000×gまでの遠心分離安定性を持ちうる。
【0075】
試験ユニットは、約0.01ml〜約2.5ml、好ましくは約0.02ml〜約1ml、より好ましくは約0.04ml〜約0.4mlの最大容積を含むように寸法決定されることが好ましい。
【0076】
試験ユニット1は、特定の血液源に一致する蓋及び/又は色を持つことができる。型及び/又はバーコードシステムは、ある試験ユニットがある位置で特定の血液源を持つことを可能にすることができるだけである。このパラグラフで記載されている手段は人的エラーを避けるためのものである。
【0077】
好ましくは、試験ユニットは、インキュベーション室を含み、そこで抗体と抗原の間の結合が実施されることができる。あるいは、AbとAgの間の結合は、膜が内側に固定される試験ユニット以外の試験ユニットで行なうことができる。
【0078】
図1に示すように、試験ユニット1は、試薬及び生体試料3を受けるためのインキュベーション室を形成する第一空洞9、及び濾液(6又は8)を受けるための第二空洞10を含み、第一及び第二空洞は、膜2によって分離されることが好ましい。
【0079】
有利には、インキュベーション室における時間は40秒〜300秒、好ましくは40秒〜120秒である。
【0080】
有利には、インキュベーション室は、(試験される生体試料を除く)全ての試薬を予め充填される。
【0081】
試験ユニットは、試験ユニット1の下部の自由赤血球が人の目によって又は検出機械によって明確に見ることができるように構成されることが好ましい。好ましくは、試験ユニット1は透明である。
【0082】
有利には、「試験ユニットの下部」は、試験ユニットの実際の内側の下部のわずかに上の高さを含む。それは、例えば凝集するはずであるがまだ結合していない幾つかの自由RBCが膜2を通過するときに誤った肯定的な結果を生じるのを回避する。
【0083】
1.5mlのエッペンドルフ管の場合には、検出レベルは、試験ユニットの内側下部から最小3mmまでの高さを持つ。検出レベルに対する管の内側高さの比は約12である。
【0084】
試験ユニット1は、膜2の上部の凝集赤血球7が人の目によって又は検出機械によって明確に見ることができるように構成されることが好ましい。
【0085】
試験ユニット1は、試験ユニットの下部の自由赤血球6、及び膜2の上部の凝集赤血球3が同時に人の目によって又は検出機械によって見ることができるようにすることがさらに好ましい。
【0086】
「下部(bottom)」又は「下(below)」は、ここでは濾過が重力によって生じるかのように理解されるべきである。即ち、「下部」又は「下」は濾過流に対して膜の下流であり、「上(above又はupon)」は濾過流に対して膜の上流である。
【0087】
好ましくは、自由赤血球6及び凝集赤血球7の検出は、好ましくは発光ダイオード15及び光学センサー13を含む光学的手段によって実施される。前記光学的検出に使用される光波長は、赤外(IR)、近赤外(NIR)、紫外(UV)又は可視光であることができる。
【0088】
有利には、A型及びB型の血液型のように別個の試験ユニットにおいて少なくとも二つの分析物を同時に分析する方法が使用される。追加の試験ユニットは、Rh式のように追加の血液型又は下位型を分析するために有利に使用されることができる。
【0089】
さらなる利点として、本発明の方法は、第一個体及び第二個体の生体試料に対して同時に実施されることが好ましい。これは、輸血手順において提供者/受容者の適合性を試験するために特に重要である。有利には、適合性試験は、輸血投与直前にポイント・オブ・ケアで実施され、血液バック(提供者)の血液と輸血される患者(受容者)の血液との間の適合性を確認する。実際の輸血直前の提供者血液と患者血液の同時試験は、人的エラーに対する危険を低下する。
【0090】
以下の好ましい実施形態は、ポイント・オブ・ケアでの本発明の使用をさらに簡単にする部品のキットを開示し、幾つかの好ましい実施形態は、ミスの危険をさらに低下する。
【0091】
特に好ましい実施形態によれば、二つの血液試料の間の輸血前の血液型マッチングを試験するためのキットは、二つの集成体101,201を含み、一方の集成体は提供者に対応し、他方の集成体は受容者に対応し、各集成体は少なくとも二つの血液型を試験するための少なくとも二つの試験ユニットを含み、前記少なくとも二つの試験ユニットは提供者又は受容者のいずれかから試料を受ける通路に連通し、血液試料は使用時に各集成体において少なくとも二つの試験ユニットの間で分割される。
【0092】
好ましくは、各集成体における少なくとも二つの試験ユニットはA及びBの血液型に対応し、試験ユニットの上部空洞は対応する血液型抗体を予め充填される。
【0093】
有利には、キットの二つの集成体は、コントロールユニットとして使用される、抗体のない第三試験ユニットを含む。
【0094】
好ましくは、提供者(血液バッグ)又は受容者のいずれかに対応する集成体は、それらの間のいかなる混同も避けるための手段を含む。
【0095】
通常、血液バッグからの試料は、両端を封止されたプラスチック管セクションにある。それゆえ、提供者と受容者の間の混同を避けるための一般的な手段は、試料を受けるための連通通路の端に、提供者に対応する集成体に前記プラスチック管を刺し通すことができる中空針を加えることである。針は、試料をとるためにプラスチック管の内側間の連通を得るために十分に長くあるべきであるが、隔壁によって閉じられる標準的な血液試料から試料をとることができない程度の短さであるべきである。好ましくは、針は、集成体の一部として直接成形され、かつ受容者の皮膚を刺し通すことができないプラスチック針であり、これにより再び受容者の試料と提供者の試料との間の混同を避ける。
【0096】
通常、血液試料は、隔壁によって採取後に閉じられる標準的な血液試料管において受容者からとられる。受容者試料から取り出すための一般的な手段は、隔壁の使用であり、システムを操作する人は、試料管隔壁を通って標準的な血液試料管から試料を取り出すために注射器を使用し、次いで注射器針を受容者集成体隔壁に導入する。
【0097】
有利には、提供者及び受容者集成体は、それらが適合性試験機において順序を変えることができないようにわずかに異なる形状を持つ。試験機における支持体300上の突起331,332は、かかる特徴を得るために使用されることができ、前記突起は集成体における異なる切り取りに対応する。
【0098】
提供者及び受容者の部分はまた、適合性試験機においてそれらの存在をチェックするため、及び結果の光学的読み取りのためのそれらの位置を確認するための光学マーカー335,334を含むことが好ましい。
【0099】
本発明はまた、提供者と受容者の間の血液型適合性を自動的に分析するための装置を開示し、前記装置は、第一集成体(101)及び第二集成体(201)を支持するための回転支持体(300)を含み、前記回転支持体(300)は、遠心分離によって膜(2)を通した血液試料の流れを使用時に発生するために好適である。
【0100】
好ましくは、装置はさらに、膜上の凝集赤血球(7)の存在、又は膜の下流(10)の赤血球(6)の存在を検出するための光学センサーを含む。
【0101】
有利には、各集成体は、両集成体の存在をチェックするため、及び光学センサーを集成体と整列するための光学マーカー(335,334)を含む。
【0102】
好ましくは、装置はさらに、適合性試験の結果をデータベースに記憶された予め決定された適合性データと比較するための通信手段を含む。
【実施例】
【0103】
以下に述べられる実施例は全て室温で実施される。
この実験で使用される装置は、
図4に概略的に表わされる。それは以下のことを含む:
− 垂直軸20のまわりに回転し、かつ電気モーター11によって制御されるローター12、但し前記ローターは、各々が1cm直径及び3.8cm長さのポリプロピレン管から作られた一つの試験ユニット1を受けることができる六つのピストンを含む;
− 各管は、11μm細孔の膜2によって下部室10から分離された約200μlの一つの上部室9から構成される;
− 膜2は、格子数215、6%ナイロン94%空間、11μmの細孔を持つ一個のMilliporeの47mm直径のものからなる。膜2は、ゴム封止リング5によって適所に維持される;
− 各管は、ローター12に位置され、例えばそれらの各々の下部が各回転でLED17と光学センサー18(ともにIR領域)の間の通路を遮断する;
− 遠心分離装置は1分あたり1200回転の最大値を持つ;
− 光学濃度は、LED17及び光学センサー18によって各試験ユニットの下部で測定された。結果は、点数(任意単位、比較データに基づく)として与えられた。ベースラインは200−300であった。
【0104】
手順の説明
第一及び第四試験ユニットにおいて、50μlのモノクローナルAb抗A(Novaclone(商標名)マウス・モノクローナル、Immucor GammaのためにDominion biologicals limitedによって製造)、及び第一及び第二個体のそれぞれからの50μlの全血を混合した。
【0105】
第二及び第五試験ユニットでは、50μlのモノクローナルAb抗B(Novaclone(商標名)マウス・モノクローナル、Immucor GammaのためにDominion biologicals limitedによって製造)、及び第一及び第二個体のそれぞれからの50μlの全血を混合した。
【0106】
第三及び第六試験ユニットは、第一個体及び第二個体のそれぞれからの50μlの全血、及び50μlの生理学的漿液(B Braunからの無菌NaCl溶液0.9%)を含むネガティブコントロールである。
【0107】
六つのユニットがローターに置かれ、1分あたり900回転で遠心分離された。ローター直径は約20cmであった。
【0108】
結果:
実施例1
正常な血液試料はクエン酸、EDTA又はSAGMで収集された。
【0109】
三つの異なるポリプロピレン管において、50μlの全血を、抗AモノクローナルAb(抗A Novaclone(商標名)マウス・モノクローナル、Immucor GammaのためにDominion biologicals limitedによって製造)、抗BモノクローナルAb(抗B Novaclone(商標名)マウス・モノクローナル、Immucor GammaのためにDominion biologicals limitedによって製造)、又は無菌NaCl溶液0.9%(B Braunからのもの)のいずれかの50μlと混合した。インキュベーション時間は60秒であった。各混合物は、膜(格子数215、6%ナイロン94%空間、11μmの細孔を持つ一個のMilliporeの47mm直径のもの)の上部に移され、管(1.5mlエッペンドルフ)の内側に固定され、1分あたり900回転で3分間遠心分離された。ゴム封止リングによって、膜は、エッペンドルフユニットの上部から0.5cmに水平に位置される。
【0110】
光学濃度は、各ユニットの下部においてIR LED及びIRセンサーによって測定された。
【0111】
結果は点数を与えられた。凝集赤血球が膜上に形成しなかったとき、600より大きい点数(最大800)が観察された。凝集赤血球が実際に膜上に形成したとき、600より小さい点数が観察された。ベースラインは200−300であった。
【0112】
結果は、研究室のルーチン法、例えばゲル技術(DiaMedから入手可能)からのものと比較され、そこでは12.5μlの0.8%RBC懸濁液及び50μlの抗体の混合物が(約90gの加速度を持つ)遠心分離によってゲル中に強制的に入れられた。凝集RBCはゲルに侵入することができず、ゲルの上にとどまった。凝集されていない細胞はゲルカラムに浸透し、その下部に到達した。小さいサイズの凝集物はゲルカラムに入ったが、その下部に到達しなかった。
【0113】
血液型に対する両技術からの結果は以下の通りであった:
クエン酸について26A,9B及び22O、
EDTAについて18A,9B,2O及び1AB、
SAGMについて14A,26B及び14O。
【0114】
実施例2
病理学的試料がEDTAに収集された。三つの異なるポリプリピレン管において、50μlの全血を、抗AモノクローナルAb(抗A Novaclone(商標名)マウス・モノクローナル、Immucor GammaのためにDominion biologicals limitedによって製造)、抗BモノクローナルAb(抗B Novaclone(商標名)マウス・モノクローナル、Immucor GammaのためにDominion biologicals limitedによって製造)、又は無菌NaCl溶液0.9%(B Braunからのもの)のいずれかの50μlと混合した。インキュベーション時間は60秒であった。各混合物は、膜(格子数215、6%ナイロン94%空間、11μmの細孔を持つ一個のMilliporeの47mm直径のもの)の上部に移され、管の内側に固定され、1分あたり900回転で3分間遠心分離された。
【0115】
光学濃度は、各ユニットの下部においてIR LED及びIRセンサーによって測定された。
【0116】
結果は点数を与えられた。凝集赤血球が膜上に形成しなかったとき、600より大きい点数(最大800)が観察された。凝集赤血球が実際に膜上に形成したとき、600より小さい点数が観察された。ベースラインは200−300であった。
【0117】
血液型に対する両技術からの結果は以下の通りであった:
鎌状細胞貧血を持つ7人の患者について2A,1B及び4O、
10人の貧血患者(Hb:5.8−7.7g/dL;HCT:17.5−23.9)について0A,2B,8O及び0AB、
4人の新生児(弱められた抗原発現)について1A,1B及び2O、及び
小赤血球病患者(MCV:57-79fl)からの24個の試料について24個の一致した結果。
【0118】
上述の比較データからABO型が確認されたことが明らかに導かれることができる。
【0119】
実施例3
18個の異なる試験ユニットにおいて、大赤血球病患者(MCV:101-135fl)の50μlの全血を、50μlの無菌NaCl溶液0.9%(B Braunからのもの)と混合した。各混合物は、膜(格子数215、6%ナイロン94%空間、11μmの細孔を持つ一個のMilliporeの47mm直径のもの)の上部に直接移され、管(1.5mlエッペンドルフ)の内側に固定され、1分あたり900回転で3分間遠心分離された。ゴム封止リングによって、膜は、エッペンドルフユニットの上部から0.5cmに水平に位置される。
【0120】
MCV値がどのようなものであってもRBCが完全に通過した。これは、病理学的試料に対してであっても膜の選択された細孔の好適性を確認する。