特許第6342813号(P6342813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342813
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】高効率一様UV光拡散性ファイバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/00 20060101AFI20180604BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20180604BHJP
   C03C 25/10 20180101ALI20180604BHJP
【FI】
   G02B6/00 326
   G02B6/02 361
   C03C25/02 A
   G02B6/02 Z
   G02B6/02 401
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-549103(P2014-549103)
(86)(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公表番号】特表2015-507763(P2015-507763A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】US2012068851
(87)【国際公開番号】WO2013095981
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年12月2日
(31)【優先権主張番号】61/577,159
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ログノフ,ステファン ルヴォヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シャスタック,ポール ジョン
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0122646(US,A1)
【文献】 国際公開第00/079319(WO,A1)
【文献】 特開2009−198706(JP,A)
【文献】 特表2013−511749(JP,A)
【文献】 特開2005−208262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00− 6/036
G02B 6/245−6/25
G02B 6/44− 6/54
C03C 25/00−25/68
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を放射するための光拡散性ファイバにおいて、
a.散乱欠陥を有するシリカ系ガラスを含むコア、
b.前記コアと直に接しているクラッド層、及び
c.前記クラッド層と直に接し該クラッド層を取り囲む散乱層であって、(i)ナノ径からマイクロ径の細孔を含む、あるいは(ii)ポリマー材料内に平均直径が200nmから10μmの散乱材料のマイクロ粒子またはナノ粒子を含む、散乱層
を有し、
前記光拡散性ファイバ内における光の伝搬方向に対して15°および150°の視角において放射される光の強度が、±30%内にある、
ことを特徴とする光拡散性ファイバ。
【請求項2】
紫外光を放射するための光拡散性ファイバにおいて、
a.散乱欠陥を有するシリカ系ガラスを含むコア、
b.前記コアと直に接しているクラッド層、及び
c.前記クラッド層を取り囲む散乱層であって、ナノ径からマイクロ径の細孔を含む、あるいはポリマー材料内に散乱材料のマイクロ粒子またはナノ粒子を含む、散乱層
を有し、
放射される光のCIE1931x,y色度空間におけるx座標値およびy座標値が、前記光拡散性ファイバ内における光の伝搬方向に対して10°から170°の全ての視角において、該x座標値および該y座標値のそれぞれの平均値から±30%より大きくは変化しない、
ことを特徴とする光拡散性ファイバ。
【請求項3】
散乱により誘起される減衰が約300nmから約450nmの波長において約0.1dB/mから約50dB/mの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散性ファイバ。
【請求項4】
前記コアが複数の不規則に分布させた細孔を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光拡散性ファイバ。
【請求項5】
前記クラッド層がポリマーを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光拡散性ファイバ。
【請求項6】
前記クラッド層と前記散乱層の間に二次層をさらに有することを特徴とする請求項に記載の光拡散性ファイバ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の光拡散性ファイバを作製する方法において、
a.プリフォームコアを含む光ファイバプリフォームを形成する工程、
b.前記光ファイバプリフォームを光ファイバに線引きする工程、
c.前記光ファイバに少なくとも1つのクラッド層を被覆する工程、及び
d.前記光ファイバに少なくとも1つの散乱層を被覆する工程、
を含むことを特徴とする光拡散性ファイバを作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は2011年12月19日に出願された米国仮特許出願第61/577159号の米国特許法第119条の下の優先権の恩典を主張する。本明細書は上記仮特許出願の明細書の内容に依存し、上記仮特許出願の明細書の内容はその全体が本明細書に参照として含められる。
【技術分野】
【0002】
本明細書は全般には照明用途に用いるための光拡散性光ファイバに関し、さらに詳しくは、角度に依存しない一様なカラーグラデーションを有し、紫外スペクトルにおける高効率光拡散に用いることができる、光拡散性光ファイバに関する。本明細書にはそのようなファイバを作製するための方法も開示される。
【背景技術】
【0003】
ファイバの長さに沿い、光を径方向に外向きに伝搬させ、よってファイバを照明することを可能にする光ファイバは、特殊照明及び光化学のような多くの用途に対し、また電子デバイス及びディスプレイデバイスにおける使用に対して、特に有用であることがわかっている。しかし、光拡散性ファイバ(LDF)の現行構造には多くの問題がある。現行構造にともなう問題の1つは、白色LEDのような、光源からの青色光がダウンコンバート発光体と混合される高lm/Wの場合には特に、ファイバからの異なる光色の角度分布が視角に依存して変わり得ることである。光拡散性ファイバにともなう別の問題は、ファイバのコアは透明であるが、(ガラス系ファイバには必須要件である)被覆が強い吸収を有する、紫外波長領域におけるファイバの使用にともなう困難さである。被覆におけるUV光トラッピングは光拡散性ファイバからの光取出し効率が低いことを意味し、さらに、高強度UV露光により被覆が劣化し得るであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、これらの欠点を直す別の光拡散性ファイバ構造が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の実施形態は、散乱欠陥を有するシリカ系ガラスを含むコア、コアと直に接しているクラッド層、及びクラッド層に直に接している散乱層を有し、放射紫外光の強度が、光拡散性光ファイバの方向に対して約10°〜約170°の全視角に対し、約30%より大きくは変化しない、光拡散性ファイバを含む。いくつかの実施形態において、光拡散性光ファイバはファイバに沿って約20%より大きくは変化しない強度を有する光を放射する。いくつかの実施形態において、散乱誘起減衰損失は約300nm〜約450nmの波長において約0.1dB/m〜約50dB/mである。
【0006】
いくつかの実施形態において、コアは複数の不規則に分布された細孔を含む。いくつかの実施形態において、クラッド層はポリマーを含む。いくつかの実施形態において、クラッド層はCPC6を含む。いくつかの実施形態において、散乱層はポリマーを含む。いくつかの実施形態において、散乱層はCPC6を含む。いくつかの実施形態において、散乱層は、マイクロ径またはナノ径の細孔、あるいは散乱材料のマイクロ粒子またはナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、マイクロ粒子またはナノ粒子はSiOまたはZrを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、光拡散性ファイバは、波長が約300nm〜約450nmの光を光拡散性ファイバのコア内に放射する発光素子をさらに有する。いくつかの実施形態において、光拡散性ファイバはクラッド層と散乱層の間に二次層をさらに有する。
【0008】
別の実施形態は、プリフォームコアを含む光ファイバプリフォームを形成する工程、光ファイバプリフォームを光ファイバに線引きする工程、光ファイバを少なくとも1つの散乱層で被覆する工程を含む、光拡散性ファイバを作製する方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、一様散乱のために改変された被覆(130)を白色光発生のための発光体層(140)とともに有するLDF実施形態(100)を軸に垂直な断面で示す。
図1B図1Bは、一様散乱のために改変された被覆(130)を白色光発生のための発光体層(140)とともに有するLDF実施形態(100)を軸に平行な断面で示す。
図2A図2Aは、被覆が光源の波長において高吸収性である場合の、散乱層(230)をコア(210)及びクラッド層(220)と組み合わせて用いている、UV光の一様散乱のために改変された被覆を有するLDF実施形態(200)を軸に垂直な断面で示す。
図2B図2Bは、被覆が光源の波長において高吸収性である場合の、散乱層(230)をコア(210)及びクラッド層(220)と組み合わせて用いている、UV光の一様散乱のために改変された被覆を有するLDF実施形態(200)を軸に平行な断面で示す。
図3A図3Aは、重量で35%のCeYAGを含む160μm厚ポリマー被覆を有する(散乱層がない)実施形態からの出力を示す、角度の関数としてのスペクトルである。
図3B図3Bは、重量で35%のCeYAGを含む800μm厚ポリマー被覆を有する、散乱層がない、実施形態からの出力を示す、角度の関数としてのスペクトルである。
図3C図3Cは、重量で20%のCeYAGを含む160μm厚ポリマー被覆を有する、散乱層がない、実施形態からの出力を示す、角度の関数としてのスペクトルである。
図3D図3Dは、TiO散乱層(5μm厚)及び重量で35%のCeYAGを含む160μm厚ポリマー被覆層を有する実施形態からの出力を示す、角度の関数としてのスペクトルである。
図4図4は(図3Dに示される)白色LDF実施形態に対する(CIE1931x,y色度空間に基づく)色座標の角度依存性を、白色LED及びCCFLに対するデータと比較して示す。
図5図5は、白色LEDストリップ(LGディスプレイ用バックライト)、LGバックライト照明用CCFL、及び200mW光源を有する(図3D及び図4におけるような)白色LDF実施形態、及び2×1.5W 445nmレーザダイオードを用いる(図3D及び図4におけるような)白色LDF実施形態の出力についての、面積当たり光度の比較を示す。LDFは両側から50%MMカップラーを用いて照明した。2つの小型445nmレーザ源の使用により、現行のほぼ1m長の白色LDFの輝度は標準CCFLと同じレベルになる。
図6図6は、白色LED、CCFL及び白色LDF実施形態のスペクトルの比較である。
図7図7は、様々な温度の黒体光源の色度及び定数補正色温度線を示す、CIE1931x,y色度空間の図である。
図8図8はCPC6の標準クラッド層を有するUV拡散性LDF実施形態についての光散乱の角度依存性を示す。
図9図9はCPC6のクラッド層及び、〜2μm径の球形シリカ粒子がドープされた、CPC6の散乱層(100μm厚)を有するUV拡散性LDF実施形態についての光散乱の角度依存性を示す。
図10図10は、散乱層及びCeYAGドープ発光体層を有する白色LDF(図3D)の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は教示を可能とするとして提供され、以下の説明、図面、実施例及び特許請求の範囲を参照することで一層容易に理解され得る。この目的に対し、当業者であれば、本明細書に説明される実施形態の様々な態様に多くの変更がなされ得るが、それでも有益な結果が得られることを認識し、理解するであろう。本実施形態の所望の利点のいくつかが特徴のいくつかを選択することで、他の特徴は用いずに、得られることも理解されるであろう。したがって、当業者であれば、多くの改変及び適合が可能であり、いくつかの状況においては望ましくさえあって、本開示の一部であることを認めるであろう。したがって、本開示が、別途に指定されない限り、開示される特定の組成、物品、デバイス及び方法に限定されないことは当然である。本明細書に用いられる用語が、特定の態様を説明する目的のためだけに過ぎず、限定は目的とされていないことも当然である。
【0011】
開示される方法及び組成物に、用いることができる、それらとともに用いることができる、それらの作製に用いることができる、またはそれらの実施形態である、材料、化合物、組成物及びコンポーネントが開示される。これらの及びその他の材料が本明細書に開示され、それらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、グループ、等が開示される場合、それらの化合物の様々な個々の及び集合的な組合せ及び置換のそれぞれの特定の言及が明示的に開示されないかもしれないが、それぞれが特定的に考慮され、本明細書に開示されていることは当然である。すなわち、置換要素A,B及び/またはCからなる類が開示され、置換要素D,E及び/またはFからなる類並びに組合せ実施形態A-Dの例もともに開示されていれば、それぞれは個別的及び総括的に考えられている。すなわち、この例においては、組合せA-E,A-F,B-D,B-E,B-F,C-D,C-E及びC-Fのそれぞれも特定的に考えられており、A,B及び/またはCと、D,E及び/またはF並びに組合せ例A-Dの開示により開示されていると見なされるべきである。同様に、これらのいかなるサブセットまたは組合せも特定的に考えられ、開示されている。すなわち、例えば、A-E,B-F及びC-Eからなるサブグループが特定的に考えられ、A,B及び/またはCと、D,E及び/またはF並びに組合せ例A-Dの開示により開示されていると見なされるべきである。この概念は、開示される組成物の作製及び使用の方法における、いかなる、組成物の成分及び工程も含むがこれらには限定されない、本開示の全ての実施形態に適用される。すなわち、実施することができる様々な付加工程があれば、そのような付加工程のそれぞれが開示される方法の実施形態のいずれか特定の実施形態または組合せとともに実施することができ、そのような組合せのそれぞれが特定的に考えられ、開示されていると見なされるべきであると理解される。
【0012】
本明細書においては、また以下の特許請求の範囲においては、以下の意味を有すると定義されることになる、多くの用語が言及される。
【0013】
「含む」または同様の用語は包含を意味するがこれには限定されない。すなわち包括的であるがが排他的ではない。
【0014】
用語「約」は、別途に言明されない限り、その範囲にある全ての語にかかる。すなわち、約1,2または3は約1,約2または約3と等価であり、さらに、約1〜3,約1〜2及び約2〜3を含む。組成物、成分、配合剤、添加剤及び同様の態様について開示される特定の及び好ましい値並びにそれらの範囲は、説明のために過ぎず、他の定められた値または他の定められた範囲内の他の値を排除するものではない。本開示の組成物及び方法は、本明細書に開示される、いかなる値または値、特定の値、さらに詳細な値及び好ましい値のいかなる組合せも有する、組成物及び方法を含む。
【0015】
本明細書に用いられるような、単数形は、別途に指定されない限り、少なくとも1つまたは1つ以上を意味する。
【0016】
白色光ファイバ
光拡散性ファイバにおいて、散乱の主要成分は、5°〜10°に近い、小角度にある(図1Bの角度170または図2Bの角度270を参照のこと)。したがって、(一般には被覆内の)発光体からの黄色光が入射青色光と混合される場合、得られる色は視角に依存する。これは、発光体の発光による黄色光は(角度170に依存せず)角度空間においてほとんど一様であるが、青色光は(散乱後でさえ)強い小角度成分を有するためである。これらの2つの事実の結果、小視角では青色が支配的であって、90°より大きい角度ではほとんどが黄色である、色の非対称性が生じる。実施形態は、光拡散性ファイバにおける散乱光を一様化して視角の関数としての色が一様な光を提供することにより、これらの問題を解決する。
【0017】
第1の態様は、視角の関数として一様な色出力を得るための散乱粒子層を有する光散乱性ファイバを含む。目標は光散乱性ファイバから一様な白色光出力を得ることである。そのようなファイバはLCDバックライトユニットに用いられるCCFLの代替として用いられ得るであろうが、一層薄くなり、したがって一層薄い照明基板とともに用いられ得るであろうというさらなる利点を有する。
【0018】
ここで図1A及び1Bを参照すれば、一実施形態の光拡散性光ファイバ100が簡略に示されている。光拡散性光ファイバは一般にコア110を有し、コア110はさらに散乱領域を有する。散乱領域は、米国特許出願第12/950045号、第13/097208号及び第13/269055号の各明細書に示されているような、ガス封入細孔を含むことができる。これらの特許出願明細書は本明細書に参照として含められる。あるいは、散乱領域はファイバコア内に混入されたセラミック材料のマイクロ粒子またはナノ粒子のような粒子を含むことができる。
【0019】
ガス封入細孔は、コア全体にわたって存在することができ、コアとクラッド層120の界面近傍に存在することができ、あるいはコア内の環状リングとして存在することができる。ガス封入細孔は不規則であるかまたは組織化されたパターンで配置することができ、ファイバの長さに平行に並ぶことができ、または螺旋配置される(すなわち、ファイバの長軸に沿って回る)ことができる。散乱領域は多数の、例えばファイバの断面において、50より多く、100より多く、または200より多くの、ガス封入細孔を有することができる。ガス封入細孔は、例えば、SO,Kr,Ar,CO,N,O、またはこれらの混合気を容れることができる。細孔の断面寸法(例えば直径)は約10nm〜約10μmとすることができ、長さは約1μmから約50mまで変わることができる。いくつかの実施形態において、細孔の断面寸法は、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μmまたは10μmである。いくつかの実施形態において、細孔の長さは、約1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、5mm、10mm、50mm、100mm、500mm、1m、5m、10m、20mまたは50mである。
【0020】
図1A及び1Bに示される実施形態において、コア領域110はシリカ系ガラスを含み、屈折率nを有する。いくつかの実施形態において、コアについての屈折率は約1.458である。コア領域110は約10μm〜約600μmの半径を有することができる。いくつかの実施形態において、コアの半径は約30μm〜約400μmである。他の実施形態において、コアの半径は約125μm〜約300μmである。また他の実施形態において、コアの半径は、約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、120μm、140μm、160μm、180μm、200μm、220μm、240μmまたは250μmである。
【0021】
コア110内の細孔は光拡散性光ファイバ100のコア内を伝搬している光を、光がコア領域110から径方向に外向きに導かれ、よって光拡散性光ファイバ及び光拡散性光ファイバの周囲の空間を照明するように、散乱させるために利用される。散乱誘起減衰は細孔の濃度を高めるか、または細孔をファイバ全体にわたって配置することによって、強めることができ、あるいは、細孔が環状リングに限定されている場合には、細孔を含む環の幅を大きくすることも、同じ細孔密度に対して、散乱誘起減衰を強めるであろう。さらに、細孔が螺旋配置されている構成において、散乱誘起減衰は、ファイバの長さにわたる螺旋配置細孔のピッチを変えることによって強めることもできる。詳しくは、ピッチを小さくした螺旋配置細孔はピッチを大きくした螺旋配置細孔より多くの光を散乱することがわかっている。したがって、軸長に沿うファイバの照明の強度は軸長に沿う螺旋配置細孔のピッチを変えることによって制御する(すなわち、あらかじめ定める)ことができる。螺旋配置細孔のピッチは、本明細書に用いられるように、単位長当たりに螺旋配置細孔がファイバの長軸を巡って巻かれるかまたは回される回数の逆数を指す。
【0022】
図1A及び1Bをまだ参照すれば、光拡散性光ファイバ100はコア領域110を囲んでコア領域110に直に接しているクラッド層120をさらに有することができる。クラッド層120は、光拡散性光ファイバ100の開口数(NA)を大きくするため、低屈折率を有する材料で形成することができる。いくつかの実施形態において、(コアに比較して)クラッド層は約1.415より低い屈折率を有する。例えば、ファイバの開口数は0.3より大きくすることができ、いくつかの実施形態においては0.4より大きい。一実施形態において、クラッド層120は、韓国京畿道安山市木内洞403−2のSSCP社(SSCP Co. Ltd.)から入手できるPC452のような、UV硬化性または熱硬化性のフルオロアクリレート、またはシリコーンのような低屈折率ポリマー材料を含む。別の実施形態において、クラッド層は、米国イリノイ州エルジン(Elgin)のDSM Desotech社で製造されている、CPC6のような、ウレタンアクリレートを含む。また別の実施形態において、クラッド層120は、例えばフッ素のような、下げドーパントで下げドープされたシリカガラスを含む。いくつかの実施形態において、クラッド層は高弾性率被覆を含む。クラッド層120は一般にコア領域110の屈折率より低い屈折率を有する。いくつかの実施形態において、クラッド層120は、シリカガラスに対する相対屈折率が負の、低屈折率ポリマークラッド層である。例えば、クラッド層の相対屈折率は約−0.5%より小さくすることができ、いくつかの実施形態においては−1%より小さい。
【0023】
クラッド層120は一般にコア領域110の外半径から広がる。本明細書に説明されるいくつかの実施形態において、クラッド層の径方向幅は約10μmより大きく、約20μmより大きく、約50μmより大きく、または約70μmより大きい。いくつかの実施形態において、クラッド層は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmの厚さを有する。
【0024】
光拡散性ファイバは、機械的取扱いのために全ての光ファイバに一般的な、透明二次被覆層も有することができる。散乱層は二次被覆の上にあるであろう。いくつかの実施形態において、二次被覆層及び散乱層は、ファイバがどのように製造されるかに依存して、組み合わされ得る。例えば、散乱層がファイバの初めの線引き後に施される場合は、取扱い問題のため、散乱層及び発光体の被覆に向けられる第2の工程により透明二次被覆を施すことが必要になり得る。このプロセスは光ファイバに対する線引き後インク塗布と同様である。しかし、このプロセスは線引きにおいて一工程にまとめることができ、この場合、二次被覆は必要ではなく、散乱層をクラッド層の上に直接施すことができる。
【0025】
図1A及び1Bを再度参照すれば、光散乱性光ファイバ100はクラッド層120を囲んでクラッド層120に直に接している散乱層130をさらに有する。散乱層はポリマー被覆を含むことができる。ポリマー被覆は、散乱材を中に添加することができ、ブレンドを液体としてファイバに塗布し、次いでファイバへの塗布後、固体に転換させることができるであろう、いずれの液体のポリマー材料またはプレポリマー材料も含むことができる。いくつかの実施形態において、散乱層130は、米国イリノイ州エルジンのDSM Desotech社で製造されている、CPC6のような、アクリレート系ポリマー、あるいは散乱材料をさらに含むシリコーン系ポリマーのような、ポリマー被覆を含む。別の実施形態において、クラッド層120は、韓国京畿道安山市木内洞403−2のSSCP社から入手できるPC452のような、UV硬化性または熱硬化性のフルオロアクリレートのような低屈折率ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態において、クラッド層は高弾性率被覆を含む。いくつかの実施形態において、コーニング(Corning)社の標準CPC6二次光ファイバ被覆のような、標準UV硬化性アクリレート系光ファイバ被覆に散乱材を混入することが最も効率的であった。散乱材のブレンドを作製するため、初めに重量で30%の散乱材をDSM 950-111二次CPC6光ファイバ被覆に混合し、次いで混合物を3ロールミルにかけることで、コンセントレートを作製した。コンセントレートを次いで被覆として塗布するか、または所望の散乱効果を得るため、DSM 950-111でさらに希釈した。少なくともいくつかの実施形態において、コア領域110は光拡散性光ファイバの長さに沿って一定の直径を有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、散乱層130はコア領域110から径方向に放射されてクラッド層120を通過した光の分布及び/または性質を強化するために利用することができる。散乱材料は平均直径が約200nm〜約10μmのナノ粒子またはマイクロ粒子を含むことができる。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径は、約200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μmまたは10μmである。散乱粒子の濃度はファイバの長さに沿って変わることができ、あるいは一定とすることができ、光の均等な散乱を与えるには十分であるが、総減衰は制限する、重量%とすることができる。いくつかの実施形態において、散乱層内の散乱粒子の重量%には、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%を含めることができる。いくつかの実施形態において、散乱層は、TiO,ZnO,SiOまたはZrのような、金属酸化物またはその他の光屈折材料を含む、散乱材料の小粒子を含む。散乱材料は、マイクロ径粒子またはナノ径粒子、あるいは、気泡のような、低屈折率の細孔を含むこともできる。散乱層は一般にクラッド層120の外径から広がる。本明細書に説明されるいくつかの実施形態において、散乱層の径方向幅は、約1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmより大きい。
【0027】
いくつかの実施形態において、散乱材料は、光拡散性光ファイバ100のコア領域110から散乱された光の角度無依存分布を与える、白色インクのような、TiO系粒子を含有することができる。いくつかの実施形態において、散乱粒子は散乱層内のサブレイヤーを含む。例えば、いくつかの実施形態において、粒子サブレイヤーは約1μm〜約5μmの厚さを有することができる。別の実施形態において、散乱層内の粒子層の厚さ及び/または粒子の濃度は、大角度(すなわち、約15°より大きな角度)において、光拡散性光ファイバ100から散乱される光の強度の一層一様な変化を与えるように、ファイバの軸長に沿って変えることができる。
【0028】
図1A及び1Bをまた参照すれば、光拡散性光ファイバ100は、散乱層130を囲んで散乱層130に直に接している、発光体層140をさらに有する。発光体層内の蛍光材料または燐光材料はいずれの有機または無機の蛍光材料または燐光材料も含むことができるが、いくつかの実施形態においては無機材料とすることができる。例えば、蛍光体層は、CeYAG、NdYAG、量子ドット、ナノ粒子、金属強化有機蛍光色素分子蛍光体、等を含むことができる。
【0029】
発光体層はポリマー被覆を含むことができる。ポリマー被覆は、蛍光材料または燐光材料を中に添加することができ、ブレンドを液体としてファイバに塗布し、次いでファイバへの塗布後に固体に転換させることができる、いずれかの液体のポリマー材料またはプレポリマー材料とすることができる。例えば、一実施形態において、発光体層140は、コア領域110から散乱された光を波長がより長い光に変換する蛍光材料または燐光材料をさらに含む、アクリレート系またはシリコーン系のポリマーのようなポリマー被覆(例えばCPC6二次被覆)を含む。いくつかの実施形態において、コーニング社の標準CPC6二次光ファイバ被覆のような、標準UV硬化性アクリレート系光ファイバ被覆に蛍光材料または燐光材料を混入することが最も効率的であった。蛍光材料または燐光材料のブレンドを作製するため、初めに重量で30%の蛍光材料または燐光材料をDSM 950-111二次CPC6光ファイバ被覆に混合し、次いで混合物を3ロールミルにかけることで、コンセントレートを作製した。コンセントレートを次いで被覆として直接塗布するか、または所望の蛍光効果または燐光効果を得るため、DSM 950-111でさらに希釈した。
【0030】
いくつかの実施形態において、発光体層140に蛍光材料または燐光材料を有する光拡散性光ファイバ100を、405nmまたは445nmにおいて発光するUV光源または近UV光源のような、高エネルギー(短波長)光源と結合させることによって、光拡散性光ファイバから白色光を放射することができる。そのような実施形態において、光源はダイオードレーザである。コア領域110から散乱された、光源からのUV光は発光体層内の材料に蛍光または燐光を発光させ、よってUV光と発光波長の組合せが光拡散性光ファイバ100からの白色光放射を生じさせる。いくつかの実施形態において、光源からの光の波長は約300〜500nm、あるいは約300,350,400,450,500または550nmである。
【0031】
図1Bを参照すれば、図示される実施形態において、非散乱光は矢印150で示される方向に光源から光拡散性ファイバ100内を伝搬していく。ファイバの方向と散乱光が光拡散性ファイバ100を出るときの散乱光の方向の間の角度差を表す角度170にある矢印160にしたがって光拡散性ファイバを出る散乱光が示されている。いくつかの実施形態において、光拡散性ファイバ100のUV-可視スペクトルは角度170に依存しない。いくつかの実施形態において、角度170が15°及び150°であるときのスペクトル強度は、ピーク波長で測定して、±30%内にある。いくつかの実施形態において、角度170が15°及び150°であるときのスペクトル強度は、ピーク波長で測定して、±20%、±15%、±10%または±5%内にある。
【0032】
いくつかの実施形態において、光拡散性ファイバの出力は散乱された入射UV光と、白く見える光特性を有する複合光を生じるように発光材料から散乱された蛍光または燐光の組合せを含む。いくつかの実施形態において、複合光はCIE1931x,y色度空間(ティー・スミス(T. Smith)及びジェイ・ギルド(J. Guild),「C.I.E比色標準及びその用法(The C.I.E. Colorimetric Standard and Their Use)」,1931年,Trans. Op. Soc.,第33巻,p.73〜134:この論文は本明細書に参照として含められる)(図7を見よ)のx軸及びy軸に関して測定したときに、約0.15〜約0.25のx座標及び約0.20〜約0.30のy座標を有する。いくつかの実施形態において、複合光はCIE1931x,y色度空間において約0.18〜約0.23,あるいは約0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.20,0.21,0.22,0.23,0.24または0.25のx座標を有する。いくつかの実施形態において、複合光はCIE1931x,y色度空間において約0.23〜約0.27,あるいは約0.20,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29または0.30のy座標を有する。
【0033】
いくつかの実施形態において、CIE1931x,y色度空間のx座標及びy座標は、角度170が約10°〜170°である場合に、角度170に関して±30%より大きくは変化しない。いくつかの実施形態において、15°及び150°の角度170におけるCIE1931x,y色度空間のx座標及びy座標の値はそれぞれ、±30%、±25%、±20%、±15%、±10%または±5%内にある。
【0034】
本明細書に説明されるいくつかの実施形態において、光拡散性光ファイバは一般に、約100m〜約0.15mの長さを有するであろう。いくつかの実施形態において、光拡散性光ファイバは一般に、約100m、75m、50m、40m、30m、20m、10m、9m、8m、7m、6m、5m、4m、3m、2m、1m、0.75m、0.5m、0.25m、0.15mまたは0.1mの長さを有するであろう。
【0035】
さらに、本明細書に説明される光拡散性光ファイバは550nmの波長において約0.2dB/mより大きい散乱誘起減衰損失を有する。例えば、いくつかの実施形態において、550nmにおける散乱誘起減衰損失は、約0.5dB/m、0.6dB/m、0.7dB/m、0.8dB/m、0.9dB/m、1dB/m、1.2dB/m、1.4dB/m、1.6dB/m、1.8dB/m、2.0dB/m、2.5dB/m、3.0dB/m、3.5dB/m、4dB/m、5dB/m、6dB/m、7dB/m、8dB/m、9dB/m、10dB/m、20dB/m、30dB/m、40dB/mまたは50dB/mより大きくすることができる。
【0036】
本明細書に説明されるように、光拡散形ファイバはファイバの全長に沿って一様照明を生じるか、またはファイバの全長より短いファイバセグメントに沿って一様照明を生じるように構成することができる。語句「一様照明」は、本明細書に用いられるように、光拡散性ファイバから放射される光の強度が指定された長さにわたって25%より大きくは変化しないことを意味する。
【0037】
本明細書に説明されるファイバは様々な技法を用いて形成することができる。例えば、コア110はガラスファイバ内に細孔または粒子を導入する多くの方法のいずれかによって作製することができる。例えば、細孔を含む光ファイバプリフォームを形成するための方法は、例えば米国特許出願第11/583098号の明細書に説明されている。この特許出願明細書は本明細書に参照として含められる。細孔を形成する別の方法は、例えば、米国特許出願第12/950045号、第13/097208号及び第13/269055号の各明細書に見ることができる。これらの特許出願明細書は本明細書に参照として含められる。一般に、光ファイバはファイバ巻取システムによって光ファイバプリフォームから線引きされ、実質的に垂直な経路に沿って線引き炉から出てくる。いくつかの実施形態において、ファイバの長軸に沿う螺旋配置細孔を形成するため、ファイバは線引きされながら回転させられる。光ファイバが線引き炉から出てくると、光ファイバの製造中に生じていることがあり得る損傷及び/またはきずについて光ファイバを検査するために、非接触きず検出器を用いることができる。その後、非接触センサを用いて光ファイバの直径を測定することができる。光ファイバが垂直経路に沿って線引きされている間、必要に応じて、光ファイバに被覆が施される前に光ファイバを冷却する冷却システムを通して光ファイバを線引きすることができる。
【0038】
光ファイバが線引き炉を、または必要に応じて冷却システムを、出てきた後、光ファイバは、1つ以上のポリマー層(すなわち、ポリマークラッド層材料、散乱層及び/または発光体層)が光ファイバに施される、少なくとも1つの被覆形成システムに入る。光ファイバが被覆形成システムを出てくると、非接触センサを用いて光ファイバの直径を測定することができる。その後、光ファイバの製造中に生じていることがあり得る被覆の損傷及び/またはきずについて光ファイバを検査するために、非接触きず検出器を用いることができる。
【0039】
UVファイバ
別の態様は、450nmより短波長のような、ファイバクラッド層が強い吸収を有する波長において光取出し効率が高い光拡散性ファイバを含む。UV波長へのLDFの使用は、光反応器、水/空気純化、アクリレート重合及び関連分野に対する応用の範囲を拡大するに役立つ。光反応に用いられる(すなわち、約400nmより短い)波長が一般に望まれ、一般的なUV硬化性ポリマーは光開始剤に必要であることからこの波長において強い吸収を有する。本明細書の実施形態は、通常は高屈折率二次被覆に止められる、LDFからの光の取出し効率を向上させる。この波長におけるLDFの注目に値する用法の1つは、UV材料を硬化させるためのアクセスが、離れていて、狭く、困難である場所に光を入れることができることであろう。
【0040】
第1の態様において、光が有意な伝搬を示さずに散乱性被覆から散乱されるように、小シリカ粒子のような、(約400nmより短い波長において透明な)散乱中心が散乱層としてファイバに添加される。これにより、被覆が光を吸収する波長においてさえも効率が良いLDFが可能になる。いくつかの実施形態においては、低屈折率ガラスクラッド層を低屈折率F/B共ドープガラスクラッド層で置き換えることができる。このタイプのクラッド層では、低屈折率ポリマーがクラッド層として用いられた場合ほど高くはないが、広範な用途には十分に高い、NAが得られる。
【0041】
図2A及び2Bを次に参照すれば、一実施形態の光拡散性光ファイバ200が簡略に示されている。光拡散性光ファイバ200は一般に、散乱領域をさらに含む、コア210を有する。散乱領域は、米国特許出願第12/950045号、第13/097208号及び第13/269055号の各明細書に示されるような、ガス封入細孔を含むことができる。これらの特許出願明細書は本明細書に参照として含められる。あるいは、ファイバコア内に混入された、マイクロ粒子またはナノ粒子のような、粒子を含むことができる。
【0042】
ガス封入細孔は、コア全体にわたって存在することができ、コアとクラッド層220の界面近傍に存在することができ、あるいはコア内の環状リングとして存在することができる。ガス封入細孔は不規則であるかまたは組織化されたパターンで配置することができ、ファイバの長さに平行に並ぶことができ、または螺旋を描く(すなわち、ファイバの長軸に沿って回る)ことができる。散乱領域は多数の、例えばファイバの断面において、50より多く、100より多く、または200より多くの、ガス封入細孔を有することができる。ガス封入細孔は、例えば、SO,Kr,Ar,CO,N,Oまたはこれらの混合気を容れることができる。細孔の断面寸法(例えば直径)は約10nm〜約10μmとすることができ、長さは約1μmから約50mまで変わることができる。いくつかの実施形態において、細孔の断面寸法は、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μmまたは10μmである。いくつかの実施形態において、細孔の長さは、約1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、5mm、10mm、50mm、100mm、500mm、1m、5m、10m、20mまたは50mである。
【0043】
図2A及び2Bに示される実施形態において、コア領域210はシリカ系ガラスを含み、屈折率nを有する。いくつかの実施形態において、コアについての屈折率は約1.458である。コア領域210は約10μm〜約600μmの半径を有することができる。いくつかの実施形態において、コアの半径は約30μm〜約400μmである。別の実施形態において、コアの半径は約125μm〜約300μmである。また別の実施形態において、コアの半径は、約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、120μm、140μm、160μm、180μm、200μm、220μm、240μmまたは250μmである。
【0044】
コア210内の細孔は光拡散性光ファイバ200のコア内を伝搬している光を、光がコア領域210から径方向に外向きに導かれ、よって光拡散性光ファイバ及び光拡散性光ファイバの周囲の空間を照明するように、散乱させるために利用される。散乱誘起減衰は、細孔の濃度を高めるかまたは細孔をファイバ全体にわたって配置することによって強めることができ、あるいは、細孔が環状リングに限定されている場合には、環の幅を大きくすることも、同じ細孔密度に対して、散乱誘起減衰を強めるであろう。さらに、細孔が螺旋配置されている構成において、散乱誘起減衰は、ファイバの長さにわたる螺旋配置細孔のピッチを変えることによって強めることもできる。詳しくは、ピッチを小さくした螺旋配置細孔はピッチを大きくした螺旋配置細孔より多くの光を散乱することがわかっている。したがって、軸長に沿うファイバの照明の強度は軸長に沿う螺旋配置細孔のピッチを変えることによって制御する(すなわち、あらかじめ定める)ことができる。螺旋配置細孔のピッチは、本明細書に用いられるように、単位長当たりに螺旋配置細孔がファイバの長軸を巡って巻かれるかまたは回される回数の逆数を指す。
【0045】
図2A及び2Bをまだ参照すれば、光拡散性光ファイバ200はコア領域210を囲んでコア領域210に直に接しているクラッド層220をさらに有することができる。いくつかの実施形態において、クラッド層はフッ素及びホウ素が共ドープされたガラスを含む。いくつかの実施形態においてクラッド層はポリマーを含む。クラッド層220は、光拡散性光ファイバ200の開口数(NA)を大きくするため、低屈折率を有する材料で形成することができる。いくつかの実施形態において、(コアに比較して)クラッド層は約1.415より低い屈折率を有する。例えば、ファイバの開口数は0.3より大きくすることができ、いくつかの実施形態においては0.4より大きい。一実施形態において、クラッド層220は、韓国京畿道安山市木内洞403−2のSSCP社(SSCP Co. Ltd.)から入手できるPC452のような、UV硬化性または熱硬化性のフルオロアクリレート、またはシリコーンのような低屈折率ポリマー材料を含む。別の実施形態において、クラッド層は、米国イリノイ州エルジンのDSM Desotech社で製造されている、CPC6のような、ウレタンアクリレートを含む。別の実施形態において、クラッド層120は、例えばフッ素及びホウ素のような、下げドーパントで下げドープされたシリカガラスで形成することができる。クラッド層220は一般にコア領域210の屈折率より低い屈折率を有する。いくつかの実施形態において、クラッド層220は、シリカガラスに対する相対屈折率が負の、低屈折率ポリマークラッド層である。例えば、クラッド層の相対屈折率は約−0.5%より小さくすることができ、いくつかの実施形態においては−1%より小さい。
【0046】
クラッド層220は一般にコア領域210の外半径から広がる。本明細書に説明されるいくつかの実施形態において、クラッド層の径方向幅は約10μmより大きく、約20μmより大きく、約50μmより大きく、または約70μmより大きい。いくつかの実施形態において、クラッド層は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmの厚さを有する。
【0047】
光拡散性ファイバは、機械的取扱いのために一般的な、透明二次被覆層も有することができる。UC散乱性ファイバの場合、UV光を吸収し得るいかなる二次被服の厚さも最小限に抑えることが可能である。散乱層は二次被覆の上にあるであろう。いくつかの実施形態において、二次被覆層及び散乱層は、ファイバがどのように製造されるかに依存して、組み合わされ得る。例えば、散乱層がファイバの初めの線引き後に施される場合は、取扱い問題のため、散乱層及び発光体の被覆に向けられる第2の工程により透明二次被覆を施すことが必要になり得る。このプロセスは光ファイバに対する線引き後インク塗布と同様である。しかし、このプロセスは線引きにおいて一工程にまとめることができ、この場合、二次被覆は必要ではなく、散乱層をクラッド層の上に直接施すことができる。
【0048】
図2A及び2Bを再度参照すれば、光散乱性光ファイバ200はクラッド層220を囲んでクラッド層220に直に接している散乱層230をさらに有する。例えば、一実施形態において、散乱層230は、散乱材料をさらに含むアクリレート系またはシリコーン系のポリマーのような、ポリマー被覆を含む。少なくともいくつかの実施形態において、コア領域210は光拡散性光ファイバの長さに沿って一定の直径を有する。
【0049】
いくつかの実施形態において、散乱層230はコア領域210から径方向に放射されてクラッド層220を通過した光の分布及び/または性質を強化するために利用することができる。散乱層はポリマー被覆を含むことができる。ポリマー被覆は、散乱材を中に添加することができ、ブレンドを液体としてファイバに塗布し、次いでファイバへの塗布後、固体に転換させることができるであろう、いずれかの、液体のポリマー材料またはプレポリマー材料も含むことができる。いくつかの実施形態において、散乱層230は、米国イリノイ州エルジンのDSM Desotech社で製造されている、CPC6のような、アクリレート系ポリマー、あるいは散乱材料をさらに含むシリコーン系ポリマーのような、ポリマー被覆を含む。別の実施形態において、クラッド層220は、韓国京畿道安山市木内洞403−2のSSCP社から入手できるPC452のような、UV硬化性または熱硬化性のフルオロアクリレートのような低屈折率ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態において、クラッド層は高弾性率被覆を含む。いくつかの実施形態において、コーニング社の標準CPC6二次光ファイバ被覆のような、標準UV硬化性アクリレート系光ファイバ被覆に散乱材を混入することが最も効率的であった。散乱材のブレンドを作製するため、初めに重量で30%の散乱材をDSM 950-111二次CPC6光ファイバ被覆に混合し、次いで混合物を3ロールミルにかけることで、コンセントレートを作製した。コンセントレートを次いで被覆として直接塗布するか、または所望の散乱効果を得るため、DSM 950-111でさらに希釈した。
【0050】
いくつかの実施形態において、散乱層230はコア領域210から径方向に放射されてクラッド層220を通過した光の分布及び/または性質を強化するために利用することができる。散乱材料は平均直径が約200nm〜約10μmのナノ粒子またはマイクロ粒子を含むことができる。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径は、約200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μmまたは10μmである。散乱粒子の濃度はファイバの長さに沿って変わることができ、あるいは一定とすることができ、光の均等な散乱を与えるには十分であるが、総減衰は制限する、重量%とすることができる。いくつかの実施形態において、散乱粒子の重量%には、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%を含めることができる。いくつかの実施形態において、散乱層は入射ビームのUV領域における有意な吸収体ではない散乱材料を含む。いくつかの実施形態において、散乱材料は、約350nm〜約420nmの領域において低吸収を示す、SiOまたはZrのような、金属酸化物またはその他の低屈折材料を含み、あるいは、酸素、窒素または貴ガスのような、ガスを有する、ナノ径またはマイクロ径の細孔を含むことができる。散乱層は一般にクラッド層220の外径から広がる。本明細書に説明されるいくつかの実施形態において、散乱層の径方向幅は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは100μmより大きい。
【0051】
いくつかの実施形態において、散乱材料は、光拡散性光ファイバ200のコア領域210から散乱された光の角度無依存分布を与える、SiO系粒子を含むことができる。いくつかの実施形態において、散乱粒子は散乱層内の層をなす。例えば、いくつかの実施形態において、粒子層は約1μm〜約5μmの厚さを有することができる。別の実施形態において、散乱層の厚さは、大角度(すなわち、約15°より大きな角度)において、光拡散性光ファイバ200から散乱される光の強度の一層一様な変化を与えるように、ファイバの軸長に沿って変えることができる。
【0052】
図2Bを参照すれば、図示される実施形態において、非散乱光は矢印250で示される方向に光源から光拡散性ファイバ200内を伝搬していく。ファイバの方向と散乱光が光拡散性ファイバ200を出るときの散乱光の方向の間の角度差を表す角度270にある矢印360にしたがって光拡散性ファイバを出る散乱光が示されている。いくつかの実施形態において、光拡散性ファイバ200のUV-可視スペクトルは角度270に依存しない。いくつかの実施形態において、角度270が15°及び150°であるときのスペクトル強度は、ピーク波長で測定して、±30%内にある。いくつかの実施形態において、角度270が15°及び150°であるときのスペクトル強度は、ピーク波長で測定して、±20%、±15%、±10%または±5%内にある。
【0053】
本明細書に説明されるいくつかの実施形態において、光拡散性光ファイバは一般に約100m〜約0.15mの長さを有するであろう。いくつかの実施形態において、光拡散性光ファイバは一般に、約100m、75m、50m、40m、30m、20m、10m、9m、8m、7m、6m、5m、4m、3m、2m、1m、0.75m、0.5m、0.25m、0.15mまたは0.1mの長さを有するであろう。
【0054】
さらに、本明細書に説明される光拡散性光ファイバは、300nm、325nm、350nm、375nm、400nm、425nmまたは450nmの波長において、約0.2dB/mより大きい散乱誘起減衰損失を有する。例えば、いくつかの実施形態において、300nm、325nm、350nm、375nm、400nm、425nmまたは450nmにおける散乱誘起減衰損失は、約0.5dB/m、0.6dB/m、0.7dB/m、0.8dB/m、0.9dB/m、1dB/m、1.2dB/m、1.4dB/m、1.6dB/m、1.8dB/m、2.0dB/m、2.5dB/m、3.0dB/m、3.5dB/m、4dB/m、5dB/m、6dB/m、7dB/m、8dB/m、9dB/m、10dB/m、20dB/m、30dB/m、40dB/mまたは50dB/mより大きくすることができる。
【0055】
本明細書に説明されるように、光拡散形ファイバはファイバの全長に沿って一様照明を生じるか、またはファイバの全長より短いファイバセグメントに沿って一様照明を生じるように構成することができる。語句「一様照明」は、本明細書に用いられるように、光拡散性ファイバから放射される光の強度が、指定された長さにわたって25%より大きくは変化しないことを意味する。
【0056】
本明細書に説明されるファイバは様々な技法を用いて形成することができる。例えば、コア210はガラスファイバ内に細孔または粒子を導入する多くの方法のいずれかによって作製することができる。例えば、細孔を含む光ファイバプリフォームを形成するための方法は、例えば米国特許出願第11/583098号の明細書に説明されている。この特許出願明細書は本明細書に参照として含められる。細孔を形成する別の方法は、例えば、米国特許出願第12/950045号、第13/097208号及び第13/269055号の各明細書に見ることができる。これらの特許出願明細書は本明細書に参照として含められる。一般に、光ファイバはファイバ巻取システムによって光ファイバプリフォームから線引きされ、実質的に垂直な経路に沿って線引き炉から出てくる。いくつかの実施形態において、ファイバの長軸に沿う螺旋配置細孔を形成するため、ファイバは線引きされながら回転させられる。光ファイバが線引き炉から出てくると、光ファイバの製造中に生じていることがあり得る損傷及び/またはきずについて光ファイバを検査するために、非接触きず検出器を用いることができる。その後、非接触センサを用いて光ファイバの直径を測定することができる。光ファイバが垂直経路に沿って線引きされている間、必要に応じて、光ファイバに被覆が施される前に、光ファイバを冷却する冷却システムを通して線引きすることができる。
【0057】
光ファイバが線引き炉を、または必要に応じて冷却システムを、出てきた後、光ファイバは、1つ以上のポリマー層(すなわち、ポリマークラッド層材料及び/または散乱層)が光ファイバに施される、少なくとも1つの被覆形成システムに入る。光ファイバが被覆形成システムを出てくると、非接触センサを用いて光ファイバの直径を測定することができる。その後、光ファイバの製造中に生じていることがあり得る被覆の損傷及び/またはきずについて光ファイバを検査するために、非接触きず検出器を用いることができる。
【実施例】
【0058】
サンプルを効率的に作製するため、小型リコートタワーを組み立てた。この小型タワーは、いかなる既存のファイバにもオフラインでUV硬化性被覆層を上塗りすることができるという利点を有する。200WのHgランプ及び0.1m/秒の引張り速度を用いて硬化を達成した。ファイバからの散乱光の一様角度分布を得るため、3つの選択肢を試験した。
【0059】
選択肢1−シリカコア、ポリマークラッド層、散乱層及び発光体層を有するファイバ。散乱層にはポリマー内にシリカ粒子を含め、発光体層にはポリマー内にCeYAGを含めた。ポリマークラッド層の屈折率は1.55、シリカの屈折率は〜1.46であり、屈折率不整合がかなり大きく、シリカ粒子の粒径が小さい(〜1μm)ことにより、入射角に対する角度の関数として一様な散乱ダイアグラムを得ることが可能であり得ると想定された。
【0060】
選択肢2−シリカコア、ポリマークラッド層及び発光体層及び散乱媒体のいずれも含む単層を有するファイバ。CeYAG粒子は約1.8の屈折率を有し、したがってポリマークラッド層(屈折率〜1.55)とかなりの不整合を有する。しかし用いたCeYAG粒子は粒径が大きく(〜3〜4μm)、有意な散乱は生じないであろうと想定された。
【0061】
選択肢3−シリカコア、ポリマークラッド層、散乱層及び発光体層を有するファイバ。散乱層は、白色インクのような、高効率散乱体を用いる(TiO系充填ポリマー)。TiOは高い屈折率(〜2.5)を有し、したがってSiO粒子より効率が高い散乱体になり得る。しかし、TiOは<400nmの波長にある光を吸収し、UV光用途にはそれほど適していない。
【0062】
それぞれの場合において、最適なスペクトル及び角度依存性を得るため、それぞれの層の厚さ及びドーパントの濃度を調整した。図1A及び1Bには散乱層及び発光体粒子がドープされた層が示される。この構造は白色光ファイバに用いた。図2A及び2Bには、一様角度分布のために散乱粒子がドープされた二次被覆を有する、UV光放射のためのファイバ構造が示される。
【0063】
様々なファイバの散乱放射スペクトルが図3A〜3Dに示される。入射光の波長は445nmであり、用いたシリカファイバは不規則分布空気封入線入りファイバであった。図3A〜3Cに見られるように、散乱材料を含んでいない35重量%のCeYAGの160μm厚単層(図3A)、散乱材料を含んでいない35重量%のCeYAGの800μm厚単層(図3B)及び散乱材料を含んでいない20重量%のCeYAGの160μm厚単層(図3C)は全て、光色、すなわち図1の角度170が0°に近づくにつれて一層青く見える放射光の色、の角度依存性を打破するに十分な散乱を提供できなかった。さらに、発光体層内のCeYAGの直径及び量の変更は、散乱光のスペクトルが視角及びCeYAGの存在量の関数として極めて強く変化することを示すことがわかった。
【0064】
図3Dは、TiO粒子を含む散乱層(4μm厚層)と35重量%のCeYAGの160μm厚層を有するファイバから生じる多くのスペクトルを書きどの関数として示す。スペクトルからわかるように、散乱層と発光体層の組合せは、視角に依存しない、ファイバからの光放射を与える。
【0065】
図4は、(シリカコア、ポリマークラッド層、散乱層(TiOの4μm厚層)及び発光体層(35重量%のCeYAGの160μm厚層)を有する)実施形態を(白色光を得るために460nm青色LEDと組み合わせてCeYAGも用いる)白色LED及びCCFLと比較する、CIE1931x,y色度空間値を用いる色座標比較を示す。光拡散性ファイバの色座標は白色光と見なされる領域(図7を見よ)の十分内側に色出力を入れる。さらに、図からわかるように、色は視角に依存しない。
【0066】
ファイバ輝度の理論的予測(図5)は、非常に低い価格で市販されている、1.5Wレーザダイオードを2つ用いる液晶ディスプレイ用CCFLと同じ輝度に達することが可能であろうことを示す。
【0067】
十分な未吸収445nm光が白色光をつくるに必要な青色を与えることができる、445nm光の散乱と吸収の正しい組合せを得るため、様々な量の散乱粒子及びCeYAG粒子を用いた。最善の結果は重量で約35%のCeYAG及び約160μmの厚さを用いて得られた。さらに、この量は二次被覆に妥当な粘度を与え、よって、線引きタワーにおいてファイバに通常の手法で塗布することができる。LDFの両端から光を入れることにより、角度的にも、またファイバの長さに沿っても、より一層一様な照明を得ることが可能であることもわかった(図11)。
【0068】
UV用途に対しては、シリカの微小球を二次被覆内に入れた。結果は角度分布が有意に変わり得ることを示す(図8及び9)。図8は不規則分布空気封入線入りコア及び標準ポリマークラッド層を有する光拡散性ファイバを示す。スペクトルからわかるように、光の大半はファイバの端部から放射され、散乱されているUV光は極めて僅かでしかない。図9は本発明の光拡散性ファイバの一実施形態のスペクトルを示す。図9のファイバは、不規則分布空気封入線入りシリカコア、ポリマークラッド層及びSiO粒子を含む散乱層を有し、散乱損失が〜3dB/mである。図9に見られるように、光は広く散乱され、ファイバの端部から送り出されている光はほとんどない。図9に示される広い角度分布は、光化学反応がおきる用途におけるファイバの表面からの最大到達距離にとって重要である。図8及び9のいずれについても、測定はファイバコアに屈折率を整合させた媒質内で行った。これは、屈折率が小さい媒質、例えば空気内では、図8からの光の多くが高屈折率二次被覆内にトラップされることを意味する。しかし散乱層が存在すれば、空気中であっても光のほとんどは、非常に効率よく、二次被覆から抜け出すであろう。したがって、二次被覆へのシリカ粒子ドーピングは、(1)光を二次被覆から散乱し、また(2)二次被覆の屈折率を低め、よってトラッピングの効率を低めるにも役立つ。
【符号の説明】
【0069】
100,200 光拡散性光ファイバ
110,210 コア領域
120,220 クラッド層
130,230 散乱層
140 発光体層
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10