(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先端部に底部、基端部に開口部を有し、内部に液体を充填可能な筒体と、該筒体の先端部に装着され、先端に鋭利な針先を有し、基端が前記筒体の内部と連通可能な針管と、前記筒体内に設置され、前記筒体の軸方向に沿って摺動し得るガスケットとを備える内側構造体と、
前記ガスケットを押圧する押し子を有し、該押し子を前記筒体に対して先端方向に向かって押圧して移動させる押圧操作を行なう操作部材と、
前記内側構造体および前記操作部材のうちの一方に設けられた第1の係合部と、他方に設けられた第2の係合部とを有し、前記第1の係合部と前記第2の係合部とが係合するときに、前記押圧操作を阻止する係合状態を取り、前記係合状態が解除されたときに、前記押圧操作を可能とする解除状態を取る係合部と、
前記係合状態にある前記第1の係合部と前記第2の係合部とを相対的に前記内側構造体の中心軸回りに回転させて、前記解除状態とする回転部とを備え、
前記押し子は、長手形状をなす板状の部位を有し、
前記第1の係合部は、前記板状の部位の幅が変化した少なくとも1つの段差部を有することを特徴とする液体投与具。
先端部に底部、基端部に開口部を有し、内部に液体を充填可能な筒体と、該筒体の先端部に装着され、先端に鋭利な針先を有し、基端が前記筒体の内部と連通可能な針管と、前記筒体内に設置され、前記筒体の軸方向に沿って摺動し得るガスケットとを備える内側構造体と、
前記ガスケットを押圧する押し子を有し、該押し子を前記筒体に対して先端方向に向かって押圧して移動させる押圧操作を行なう操作部材と、
前記内側構造体および前記操作部材のうちの一方に設けられた第1の係合部と、他方に設けられた第2の係合部とを有し、前記第1の係合部と前記第2の係合部とが係合するときに、前記押圧操作を阻止する係合状態を取り、前記係合状態が解除されたときに、前記押圧操作を可能とする解除状態を取る係合部と、
前記係合状態にある前記第1の係合部と前記第2の係合部とを相対的に前記内側構造体の中心軸回りに回転させて、前記解除状態とする回転部とを備え、
前記筒体は、基端部に開口部を有し、内部に液体を充填可能な内筒と、前記内筒の外周側に、前記内筒と同心的に配置され、前記内筒に対し、その中心軸回りに相対的に回転可能に設置された外筒とを有し、
前記回転部は、前記第2の係合部に設けられ、前記第1の係合部が当接する傾斜面を有し、
前記第1の係合部が前記傾斜面に沿って、前記第2の係合部に対して相対的に移動することにより、前記外筒が前記操作部材に対して前記外筒の中心軸回りに相対的に回転するよう構成されていることを特徴とする液体投与具。
前記針管の少なくとも前記針先を覆う位置(A)と、該位置(A)から基端方向に退避して前記針先が露出するとともに、該針管から液体を吐出させる位置(B)とに移動可能なカバー部材を有する請求項5に記載の液体投与具。
前記係合部は、前記カバー部材が前記位置(A)にあるときに、前記係合状態を取り、前記カバー部材が前記位置(B)に移動した際に、前記係合状態が解除され、前記解除状態を取るよう構成されている請求項6に記載の液体投与具。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の液体投与具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、本発明の液体投与具の第1実施形態を示す側面図である。
図2は、
図1に示す液体投与具の縦断面図である。
図3は、
図1に示す液体投与具の筒体の外筒の基端側部材の斜視図である。
図4は、
図1に示す液体投与具の筒体の外筒の先端側部材の斜視図である。
図5は、
図1に示す液体投与具の押し子の斜視図である。
図6は、
図1に示す液体投与具のカバー部材の斜視図である。
図7、
図9、
図11、
図13は、それぞれ、
図1に示す液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図である。
図8、
図10、
図12、
図14、
図15は、それぞれ、
図1に示す液体投与具の使用時の作動状態を順に示す縦断面図である。なお、以下では、
図1〜
図15中の上側を「基端(後端)」または「上(上方)」、下側を「先端」または「下(下方)」、上下方向を「軸方向」または「長手方向」として説明を行う。
【0030】
図1、
図2、
図7〜
図15に示す液体投与具10は、液体を生体に投与する(注入する)際に用いられる医療器具である。なお、液体としては、その使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、造血剤、ワクチン、ホルモン製剤、抗リウマチ剤、抗ガン剤、麻酔剤、血液凝固防止剤等、主に皮下注射される薬液が挙げられる。
【0031】
液体投与具10は、内側構造体(構造体)1と、操作部材5と、内側構造体1の外周側に配置されたカバー部材6と、カバー部材6を先端方向に向って付勢する第1の付勢部材であるコイルバネ13と、補助機構(補助部)40とを備えている。
【0032】
図2に示すように、内側構造体1は、内筒3と外筒4とで構成された筒体2と、両頭針(針管)71と支持部材72とで構成された穿刺針7と、内筒3(筒体2)内に設置され、内筒3の軸方向に沿って摺動し得るガスケット8とを備えている。
【0033】
図2に示すように、内筒3は、内筒本体31を有している。内筒本体31は、先端部に底部32、底部32の縁部から立設した側壁33、基端部に開口部を有する部材、すなわち、有底筒状をなす部材で構成されている。そして、内筒3の内部には、液体が充填可能である。また、内筒本体31の先端部、すなわち、底部32の中央部には、内筒本体31の側壁33の部位に対し縮径し、液体が通過する口部34が一体的に突出形成されている。この口部34からは、液体が吸入または排出される。
【0034】
また、内筒3は、内筒本体31の口部34を液密に封止する封止部材(封止部)11と、封止部材11をその先端側から固定する固定部材12とを有している。
【0035】
封止部材11は、弾性体で構成され、その基端面に凸部が形成されており、この凸部を口部34に液密に嵌合することにより、口部34を液密に封止している。
【0036】
固定部材12は、筒状をなす部材である。この固定部材12は、封止部材11および口部34の外周側から嵌合し、封止部材11を内筒本体31に固定している。これにより、封止部材11の内筒本体31からの離脱が確実に防止される。なお、固定部材12の固定方法としては、その他、接着による方法や溶着による方法であってもよい。
【0037】
また、内筒本体31、固定部材12、外筒4、カバー部材6、支持部材72、操作部材5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であるという点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)のような樹脂が好ましい。
【0038】
また、封止部材11、ガスケット8を構成する弾性材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。
【0039】
内筒3の外周側に、外筒4が内筒3と同心的に配置されている。
図2〜
図4に示すように、外筒4は、その全体形状は両端がそれぞれ開口した筒状をなしており、その長さが内筒3よりも長いものである。また、外筒4は、内筒3に対し、その軸を中心にして回動可能になっている。
【0040】
外筒4は、基端側に配置された
図3に示す基端側部材4aと、先端側に配置された
図4に示す先端側部材4bとで構成されている。先端側部材4bの基端側には、互いに対向するように配置された1対の孔部41bが形成されている。また、基端側部材4aの先端側には、弾性を有し、互いに対向するように配置された1対の腕部41aが先端方向に突出形成されており、各腕部41aの先端部には、それぞれ、外側に向かって突出する爪42aが形成されている。各爪42aは、先端側部材4bの基端側の内側より各孔部41bに挿入され、各爪42aと各孔部41bとが係合し、基端側部材4aと先端側部材4bとが連結されている。
【0041】
なお、基端側部材4aと先端側部材4bとを連結する方法は、これに限定されず、例えば、接着剤や溶剤等による接着熱融着、高周波融着、超音波融着等の融着等が挙げられる。
【0042】
また、外筒4は、胴部41と、胴部41の先端側に形成され、その胴部41に対して縮径した縮径部42bと、胴部41の基端部に形成され、その胴部41に対して縮径した縮径部45aとを有している。
【0043】
縮径部42bの内周部には、段差部421bが形成されている。また、縮径部42bの内周部には、4つの溝422bが形成されている(
図2参照)。各溝422bは、縮径部42bの周方向に沿って、等角度間隔で並設されている。なお、本実施形態では縮径部45aが形成されているが、縮径部45aが形成されていなくてもよい。
【0044】
また、先端側部材4bの胴部41には、その胴部41を貫通する1対の長孔43bと、1対の44bとが形成されている。各長孔43bは、互いに対向するように配置され、同様に、各長孔44bも互いに対向するように配置されている。なお、各長孔43bは同じ形状であるため、以下、代表的に、一方の長孔43bを説明する。同様に、各長孔44bも同じ形状であるため、以下、代表的に、一方の長孔44bを説明する。なお、本実施形態では長孔43bが貫通しているが、貫通せず窪んでいてもよく、この場合も同じ効果が得られる(図示せず)。
【0045】
また、長孔43b、44bは、胴部41の周方向に沿って並設されている。なお、本実施形態では、
図4に示すように、長孔43bが長孔44bの左側に配置されている。
【0046】
また、長孔43b、44bは、それぞれ、胴部41の軸に沿って延在している。そして、長孔43bの基端側の端面は、長孔44bの基端側の端面よりも先端側に位置している。また、長孔43bの基端側の端面は、胴部41の軸に対して所定角度傾斜する傾斜面になっている。一方、長孔44bの基端側の端面は、胴部41の軸に対して垂直に設定されている。
【0047】
また、基端側部材4aの胴部41の基端側には、互いに対向するように配置された1対の突出部40aが形成されている。各突出部40aは、それぞれ、胴部41の内周面から内側に向って、すなわち、中心軸に向って突出形成されている。
【0048】
また、各突出部40aの中心軸側の端部(先端部)には、それぞれ、突起(第2の係合部)49aが基端方向に向って突出形成されている。
【0049】
各突起49aは、回転機構(回転部)として、後述する各段差部516が当接する傾斜面491aを有している。回転機構は、係合状態にある段差部516と突起49aとを相対的に内側構造体1の中心軸回りに回転させて、解除状態とするものである。傾斜面491aは、図示の構成では平面である。この傾斜面491aは、平面視で、内側構造体1の中心軸を中心とし、傾斜面491aを通る円の接線方向を向いている。これにより、段差部516が傾斜面491aに沿って、突起49aに対して相対的に移動することにより、外筒4が操作部材5に対して外筒4の中心軸回りに相対的に回転する。
【0050】
また、傾斜面491aの傾斜角度θは、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、5〜85°であることが好ましく、20〜70°であることがより好ましい。
【0051】
なお、傾斜面491aの形状は、平面に限らず、湾曲面であってもよい。
【0052】
また、突出部40a、各突出部40aの数は、それぞれ、2つに限らず、例えば、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0053】
なお、内筒3は、外筒4の各突出部40aと、縮径部42bとの間に設置され、
図10に示すように、内筒3の1対のフランジ(突片)35は、外筒4の基端側部材4aの先端側内部の上端面と外筒4の先端側部材4b内側の縦リブ48bの上端面で上下から挟み込まれることにより、外筒4に対する内筒3の軸方向の移動が阻止される。なお、
図10では、内筒3の1対のフランジ35のうち、一方のみが図示されている。
【0054】
また、
図1および
図4に示すように、外筒4の胴部41の外周面には、カバー部材6の後述する1対の突起63が挿入される1対のカム溝42が形成されている。本実施形態では、各カム溝42は、それぞれ、胴部41の壁部を貫通するように形成されているが、これに限らず、胴部41の壁部を貫通していなくてもよい。なお、各カム溝42は同様であるので、以下、代表的に、一方のカム溝42を説明する。
【0055】
カム溝42は、胴部41の外周面に、外筒4の軸方向に延在し、直線状に形成された直線溝(第2の溝)421と、外筒4の軸線に対して所定角度傾斜するように形成された傾斜溝(第1の溝)422と、外筒4の軸方向に延在し、直線状に形成された直線溝(第3の溝)423とで構成されている。直線溝423の先端部は、直線溝421の先端部よりも基端側に位置し、直線溝423の基端部は、直線溝421の基端部よりも基端側に位置している。また、傾斜溝422は、1周よりも短く形成されている。
【0056】
これら直線溝421と、傾斜溝422と、直線溝423とは、
図1中左側から右側に向って連続的に形成されている。そして、直線溝421の基端部と、傾斜溝422の先端部(
図1中の左側の端部)とが連通し、傾斜溝422の基端部(
図1中の右側の端部)と、直線溝423の基端部とが連通している。
【0057】
このカム溝42およびカバー部材6の突起63により、カバー部材6が外筒4の軸方向に移動すると、外筒4がカバー部材6および内筒3に対して
図1中右側に所定角度回転する。すなわち、突起63が傾斜溝422に沿って、カバー部材6に対して相対的に移動することにより、外筒4は、カバー部材6に対して中心軸回りに相対的に回転し、これにより、外筒4は、操作部材5に対して外筒4の中心軸回りに相対的に回転する。したがって、突起63および傾斜溝422により、回転機構(回転部)が構成される。
【0058】
また、カバー部材6が後述する位置(A)にあるときは、突起63は、直線溝421に挿入され、これにより、外筒4は、カバー部材6に対して中心軸回りに相対的に回転することが阻止され、これにより、外筒4は、操作部材5に対して相対的に回転することが阻止されている。したがって、突起63および直線溝421により、係合状態で、段差部(第1の係合部)516と突起(第2の係合部)49aとの内側構造体1の中心軸回りの相対的な回転を阻止する回転阻止機構(回転阻止部)が構成される。
【0059】
なお、溝は、カバー部材6設けられ、突起は、外筒4に設けられていてもよい。
【0060】
図2に示すように、筒体2の先端部には、穿刺針7が配置されている。穿刺針7は、両頭針71と、両頭針71を支持、固定する支持部材72とで構成されている。
【0061】
両頭針71は、中空の針管であり、先端に鋭利な先端側針先を有し、基端にも鋭利な基端側針先を有する。この両頭針71は、先端側針先で生体を穿刺することができ、基端側針先で内筒3の封止部材11を刺通することができる。
【0062】
両頭針71の内腔部(中空部)は、基端側針先が内筒3の封止部材11を刺通した状態で、内筒3と連通しており、内筒3からの液体が通過する流路として機能する。
【0063】
両頭針71の先端側針先で生体を皮膚から所定の深さまで穿刺した後、基端側針先が内筒3の封止部材11を刺通し、体内にその両頭針71の流路を介して液体が注入される。
【0064】
なお、両頭針71の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料が挙げられる。
【0065】
このような構成の両頭針71は、支持部材72を介して外筒4(筒体2)の先端部、すなわち、縮径部42bに、外筒4の軸方向に沿って移動可能に装着されている。支持部材72は、両頭針71を外筒4に対しその軸方向に沿って移動可能に支持するものである。この支持部材72は、有底筒状をなしている。そして、両頭針71は、その途中の部位において、支持部材72の底部に支持、固定されている。
【0066】
また、支持部材72の基端部には、4つの突起721が、その周方向に沿って、等角度間隔で並設されている(
図8、
図10参照)。また、支持部材72の隣り合う突起721と突起721との間には、支持部材72の軸方向に延在し、基端方向に開放する1つまたは複数の長孔(図示せず)が形成されている。これにより、支持部材72の基端側の部位は、弾性変形して、縮径または拡径することができる。
【0067】
なお、各突起721が、外筒4の先端側の縮径部42bの段差部421bに係合することにより、穿刺針7が筒体2の先端部から離脱するのが防止される。
【0068】
また、
図2に示すように、未使用状態(初期状態)では、各突起721は、外筒4の先端側の縮径部42bの各溝422bに挿入されており、溝422bと係合することにより、穿刺針7が穿刺時に周方向に回動することが防止される。それによって、両頭針71の基端側針先が封止部材11を貫通する際に、コアリングを防止することができる。
【0069】
前述したように、穿刺針7は、支持部材72を介して外筒4に対しその軸方向に沿って移動可能に支持されている。これにより、穿刺針7は、両頭針71の基端側針先が筒体2の封止部材11から離間した
図2に示す離間状態と、両頭針71の基端側針先が封止部材11を刺通した
図8および
図10に示す刺通状態とを取り得る。よって、刺通状態となるまで両頭針71からの液体の不本意な漏出が防止される。
【0070】
図2および
図5に示すように、カバー部材6は、外筒4(筒体2)の外周側に配置されている。
【0071】
このカバー部材6は、穿刺針7と同様に、外筒4(筒体2)に対しその軸方向に沿って移動可能に支持されている。これにより、カバー部材6は、その先端面622が生体と接触した後、両頭針71の先端側針先が皮膚から生体の所定の深さまで穿刺される。
【0072】
このカバー部材6は、使用前から使用後までの間に、後述するように5つの段階(位置)をとる。この5つの位置は、使用前の状態でカバー部材6が両頭針71の先端側針先より先端側に突出した第1の位置(位置(A))(
図1、
図2参照)と、第1の位置からカバー部材6が基端方向に退避し、外筒4がカバー部材6および内筒3に対して回転する前の第2の位置(
図7、
図8参照)と、外筒4がカバー部材6および内筒3に対して所定角度回転した第3の位置(
図9、
図10参照)と、操作部材5の先端部がカバー部材6の先端部まで達して投与が完了した第4の位置(
図11、
図12)と、第4の位置(第3の位置)からカバー部材6が先端方向に移動し、そのカバー部材6が両頭針71の先端側針先より先端側に突出し、投与完了後のセーフティ機構が作動した第5の位置(
図13〜
図15参照)である。
【0073】
なお、本実施形態では、カバー部材6が第1の位置にある際に、カバー部材6の先端面622が両頭針71の先端側針先より先端側に突出し、カバー部材6により、両頭針71の先端側針先が覆われている。これにより、カバー部材6が、第1の位置から基端側に移動するまで、両頭針71の先端側針先が露出しないため、使用者が穿刺前に両頭針71の先端側針先で誤刺することや、その先端側針先を傷めてしまうことを防止することができる。また、カバー部材6が第2から第4の位置(位置(B))にある際は、カバー部材6の先端から両頭針71の先端側針先が露出する。
【0074】
なお、前述した穿刺針7は、カバー部材6が第1の位置にあるときには、カバー部材6の先端部より基端側に位置する離間状態にある。一方、カバー部材6が第2の位置に移動する時には、当該カバー部材6が両頭針71を(両頭針71を支持部材72ごと)基端方向に向かって押圧移動させ、両頭針71の基端側針先は筒体2の封止部材11を刺通し、また、両頭針71の先端側針先は生体に穿刺されている。しかし、カバー部材6が第2の位置にあるときには、両頭針71の基端側針先の封止部材11の刺通は完了しておらず、支持部材72の内側上端面と、外筒4の先端側部材4bの縮径部42bの先端面とが少し離間した状態である。そして、外筒4がカバー部材6および内筒3に対して回転した第3の位置で、両頭針71の基端側針先の封止部材11の刺通は完了し、支持部材72の内側上端面と、外筒4の先端側部材4bの縮径部42bの先端面とが、接触した状態となる。
【0075】
カバー部材6は、先端部に配置された板状の先端壁部62と、当該先端壁部62から基端方向に立設した側壁61とで構成されている、すなわち、有底筒状をなす部材で構成されている。また、カバー部材6は、先端に先端面622を有している。
【0076】
先端壁部62の中心部には、当該中心部を貫通する開口部621が形成されている。
図6〜
図9に示すように、カバー部材6が第2から第4の位置にあるとき、両頭針71の先端側針先が開口部621から突出する(露出する)。
【0077】
図5に示すように、側壁61は、形状が円筒状をなしている。側壁61の基端部の外周面には、外側に向かって突出し、互いに対向するように配置された1対のリブ614が形成されている。各リブ614は、それぞれ、カバー部材6の軸方向に延在している。
【0078】
また、側壁61の途中には、弾性を有し、互いに対向するように配置された1対の腕部612が基端方向に突出形成されており、各腕部612の基端部には、それぞれ、内側に向かって突出する突起613が形成されている。各突起613は、側壁61の基端よりも先端側に配置されている。なお、カバー部材6の軸方向から見たとき、腕部612および突起613と、リブ614は、カバー部材6の周方向に沿って、それぞれ、略等角度間隔で配置されている。
【0079】
また、側壁61の基端部の内周面には、内側に向かって突出し、互いに対向するように配置された1対の突起63が形成されている(
図1参照)。各突起63は、それぞれ、外筒4の各カム溝42に挿入される、すなわち、各カム溝42と係合する。一連の動作における突起63と、外筒4の各カム溝42との関係は後述する。
【0080】
未使用状態(初期状態)では、カバー部材6の各突起613は、それぞれ、外筒4の各長孔43bに挿入されている。そして、カバー部材6が外筒4の軸方向に移動し、外筒4のカム溝42およびカバー部材6の突起63により、外筒4がカバー部材6に対して所定角度回転すると、カバー部材6の各突起613は、それぞれ、外筒4の各長孔44bの胴部41の基端側の面上に移動する。
【0081】
図2に示すように、カバー部材6の内側には、コイルバネ(圧縮コイルバネ)13が圧縮状態で収納されている。このコイルバネ13は、その先端部がカバー部材6の内部の先端壁部62に当接し、前記コイルバネ13の基端部が外筒4の胴部41の先端側内部に当接している。そして、未使用状態での圧縮状態は、コイルバネ13は外筒4の先端にかかる重量により、圧縮されている程度である。なお、コイルバネ13は、コイルバネ13の先端部がカバー部材6の内部の先端壁部62に当接し、コイルバネ13の基端部が外筒4の胴部41の先端側内部に当接していれば、圧縮されてなくてもよい。このコイルバネ13により、例えばカバー部材6を第2の位置から第1の位置へ向かう方向に付勢(先端方向に向って付勢)することができる。このようなコイルバネ13の付勢力により、液体投与具10を使用するまで、カバー部材6の先端面622を両頭針71の先端側針先より先端側に突出させておくことができ、よって、その先端側針先による誤穿刺を確実に防止することができる。
【0082】
なお、コイルバネ13の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、銅等のような金属材料を用いることができる。
【0083】
ガスケット8は、内筒3(筒体2)内に、内筒3の軸方向に沿って摺動可能に収納されている。なお、このガスケット8と内筒3とで囲まれた空間には、液体が予め充填されている。そして、ガスケット8が先端方向に向かって移動することにより、内筒3内の液体を、当該内筒3に連通した状態の両頭針71から押し出すことができる。
【0084】
このガスケット8は、外形形状が円柱状をなし、その外周部に4つの突部81が形成されている。隣り合う突部81と突部81とは、ガスケット8の軸方向に沿って離間している。また、各突部81は、それぞれ、ガスケット8の周方向に沿ったリング状をなし、その外径は、外力を付与しない自然状態で、内筒3の内径よりも若干大きい。これにより、各突部81は、それぞれ、内筒3の側壁33の内周部に対し密着しつつ摺動することができ、よって、液密性を確実に保持するとともに、摺動性の向上が図れる。
【0085】
また、ガスケット8の基端面には、操作部材5の押し子51の本体部511が挿入されて(嵌合して)連結する凹部82が開口している。
【0086】
図1に示すように、操作部材5は、ガスケット8の基端側に連結され、ガスケット8を先端方向に向かって押圧する押し子51と、最外筒(外筒)(把持部)52とを有している。押し子51と最外筒52とは、連結されている。この操作部材5は、押し子51を先端方向に移動し、これによりガスケット8を先端方向に向かって移動することで、内筒3内の液体を両頭針71から吐出させる押圧操作(吐出操作)を行なう部材である。
【0087】
図2、
図6に示すように、押し子51は、横断面が、例えば十文字状または円形状をなす棒状の本体部511を有しており、この本体部511の先端にガスケット8が固定されている。本体部511の基端には、円盤状のフランジ512が形成されている。
【0088】
本体部511の先端部には、ガスケット8の凹部82の形状に対応した連結部513が形成されている。この連結部513がガスケット8の凹部82に挿入されることにより、押し子51(操作部材5)とガスケット8とが連結される。なお、本体部511にガスケット8を固定する方法は、これに限定されず、この他、例えば、本体部511に雄ネジを形成し、ガスケット8に、その雄ネジに螺合する雌ネジを形成し、その両者を螺合させる方法等が挙げられる。なお、本実施例では、操作部材5はガスケット8の基端側に連結されているが、連結されていなくてもよい。
【0089】
また、押し子51のフランジ512の基端面には、弾性を有し、互いに対向するように配置された1対の腕部514が先端方向に突出形成されており、各腕部514の先端部には、それぞれ、外側に向かって突出する爪515が形成されている。
【0090】
押し子51は、長手形状をなす板状の部位を有しており、1対の突起(第2の係合部)49aと係合し得る第1の係合部として、その板状の部位の幅が変化した1対の段差部516を有している。すなわち、押し子51の本体部511の先端側には、互いに対向するように配置された1対の段差部(第1の係合部)516が形成されている。各段差部516および各突起49aにより、段差部516と突起49aとが係合するときに、押圧操作を阻止する係合状態を取り、その係合状態が解除されたときに、押圧操作を可能とする解除状態を取る係合機構(係合部)が構成される。
【0091】
なお、段差部(第1の係合部)516の数は、それぞれ、2つに限らず、例えば、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0092】
また、段差部(第1の係合部)が内側構造体1に設けられ、突起(第2の係合部)が操作部材5に設けられていてもよい。
【0093】
未使用状態(初期)では、押し子51の各段差部516は、外筒4の各突起49aと係合、又は係合しうる位置にあり、これにより、筒体2に対する押し子51の先端方向への移動が阻止されている。そして、カバー部材6が外筒4の軸方向に移動し、外筒4のカム溝42およびカバー部材6の突起63により、外筒4がカバー部材6に対して所定角度回転できる位置に移動すると、押し子51の各段差部516は、外筒4の各突起49aからずれた位置に移動し、各段差部516と各突起49aとの係合が外れ、これにより、筒体2に対する押し子51の先端方向への移動が可能になる。
【0094】
最外筒52は、内側構造体1およびカバー部材6の外周側に配置されている。この最外筒52は、円筒状をなしており、操作部材5を把持する際の把持部として機能する。
【0095】
また、最外筒52の基端部には、互いに対向するように配置された1対の孔部521が形成されている。そして、最外筒52の内側から押し子51の各爪515が各孔部521に挿入され、各爪515と各孔部521とが係合することにより、最外筒52と押し子51とが連結されている。
【0096】
補助機構40は、操作部材5の押し子51を介してガスケット8を押圧する補助力を発生する機能を有している。本実施形態では、補助機構40は、1対のコイルバネ(引張コイルバネ:第2の付勢部材)401で構成されている。各コイルバネ401は、伸長状態で、その基端部が押し子51の基端部に固定され、先端部が外筒4の基端側部材4aに固定されている。これにより、各コイルバネ401は、内側構造体1と操作部材5とを互いに接近する方向に付勢する。すなわち、各コイルバネ401は、操作部材5の押し子51を介してガスケット8を先端方向に押圧する補助力を発生する。これにより、操作部材5を先端方向に容易に移動させることができる。
【0097】
なお、各コイルバネ401の構成材料としては、特に限定されず、例えば、コイルバネ13の構成材料と同様の材料を用いることができる。
【0098】
また、最外筒52の内周面には、互いに対向するように配置された1対の溝(図示せず)が形成されている。各溝は、最外筒52の軸方向に沿って延在している。そして、各溝には、カバー部材6の各リブ614が挿入されている。これにより、最外筒52に対するカバー部材6の回転が防止される。
【0099】
次に、液体投与具10の使用方法と、その使用時の作動状態とについて、
図1、
図2、
図7〜
図15を参照しつつ説明する。
【0100】
[1]
図1および
図2に示すように、未使用状態(初期状態)の液体投与具10を用意する。この未使用状態の液体投与具10では、カバー部材6は、第1の位置にあり、両頭針71の先端側針先を覆っている。なお、この未使用状態では、コイルバネ13の付勢力により、カバー部材6で両頭針71の先端側針先が覆われた状態が維持されている。これにより、両頭針71の先端側針先による誤穿刺を確実に防止することができる。
【0101】
また、穿刺針7は、両頭針71の基端側針先が筒体2の内筒3の封止部材11から離間しており、封止部材11を未だ刺通していない。これにより、薬液の投与が開始されるまで、液体の無菌状態を維持することができる。
【0102】
また、カバー部材6の各突起63は、外筒4に対して
図1に示す位置に位置している。
【0103】
また、カバー部材6の各突起613は、外筒4の先端部の長孔43bの基端側に位置している。
【0104】
また、押し子51の各段差部516が外筒4の各突起49aの傾斜面491aに当接又は当接しうる位置(使用前は離間していてもよい)、すなわち、各突起49aと係合又は係合しうる位置にあり、これにより、内側構造体1(筒体2)に対する操作部材5の先端方向への移動が阻止されている。
【0105】
また、突起63は、直線溝421に挿入されており、これにより、外筒4は、カバー部材6に対して回転することが阻止され、これにより、外筒4は、操作部材5に対して回転することが阻止されている。
【0106】
[2] 次に、
図7および
図8に示すように、未使用状態の液体投与具10の操作部材5を把持して、カバー部材6の先端壁部62を生体に当接させ、操作部材5を先端方向に向かって押圧する。これにより、カバー部材6は、コイルバネ13の付勢力に抗して、操作部材5および内側構造体1に対して基端方向、すなわち、第1の位置から第2の位置へ移動する。また、その移動過程で、カバー部材6の先端壁部62が穿刺針7の支持部材72を基端部側に移動させる。
【0107】
このとき、両頭針71の先端側針先が、カバー部材6の先端壁部62の開口部621から突出して、その先端側針先での生体に対する穿刺が行なわれる。また、先端壁部62が穿刺針7の支持部材72を基端方向に向かって押圧する。これにより、両頭針71の基端側針先で、内筒3の封止部材11を刺通することができ、よって、生体を穿刺した両頭針71と、内筒3とが連通する。
【0108】
このとき、カバー部材6の突起63は、直線溝421に沿って、外筒4に対して相対的に基端方向に移動する。そして、カバー部材6が第2の位置にあるとき、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図7に示す位置に位置している。
【0109】
また、このときカバー部材6の各突起613は、外筒4の各長孔43bに沿って基端方向に移動し、各長孔43bの基端部から、カバー部材6の各突起613を(中心軸から外方向に)撓ませながら外筒4の胴部41に乗り上げ、さらに基端側に移動した状態である。
【0110】
また、突起63は、直線溝421の基端部に位置し、これにより、外筒4は、カバー部材6に対して回転することが可能となり、これにより、外筒4は、操作部材5に対して回転することが可能となる。
【0111】
[3] 次に、
図7および
図8に示す状態から操作部材5を先端方向に向かって押圧し続けると、
図9および
図10に示すように、カバー部材6は、第3の位置に到達する。これは、外筒4のカム溝42およびカバー部材6の突起63により、外筒4がカバー部材6および内筒3に対して所定角度回転し終わった状態である。
【0112】
このとき、押し子51の段差部516が突起49aの傾斜面491aに沿って移動し、この際、外筒4は、回転方向の推進力を得る。これにより、容易に、外筒4を回転させることができる。
【0113】
これにより、押し子51の各段差部516は、外筒4の各突起49aからずれた位置に移動し、各段差部516と各突起49aとの係合が外れた状態である。これにより、筒体2に対する操作部材5の先端方向への移動が可能になる。これ以降は、各段差部516と各突起49aとの係合が外れた状態を維持するので、以降の本説明は省略する。
【0114】
なお、1つの連続した動作として、両頭針71の生体への穿刺動作と、外筒4の回転動作と、後述する操作部材5の押圧操作とを円滑に行なうことができる。
【0115】
また、カバー部材6の突起63は、傾斜溝422に沿って、外筒4に対して相対的に斜め上方方向に移動する。そして、カバー部材6が第3の位置にあるとき、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図9に示す位置に位置している。
【0116】
また、このときカバー部材6の各突起613は、カバー部材6の各突起613を(中心軸から外方向に)撓ませた状態のまま回転し、各長孔44bの胴部41の基端部側の面上に移動した状態である。
【0117】
[4]
図9および
図10に示すように、カバー部材6が第3の位置に位置している状態で、コイルバネ401の付勢力、すなわち、補助力により、操作部材5が先端方向に移動し、これにより、ガスケット8が先端方向に向かって移動することが可能となる。すなわち、前述した押圧操作が行なわれ、よって、液体の投与を行なうことができる。そして、
図11および
図12に示すように、ガスケット8が内筒3の底部32に当接し、液体の投与が完了し、カバー部材6が第4の位置に位置する。
【0118】
このとき、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図11に示す位置に位置したままである。
【0119】
さらに、カバー部材6の各突起613も、カバー部材6の各突起613を(中心軸から外方向に)撓ませた状態で、各長孔44bの胴部41の基端部側の面上に位置に位置したままである。
【0120】
[5] 次に、
図13〜
図15に示すように、操作部材5を先端方向に向かって押圧するのを止め、カバー部材6の先端壁部62を生体から離間させ、両頭針71を生体から抜去する。
【0121】
これにより、コイルバネ13の付勢力により、カバー部材6が先端方向、すなわち、カバー部材6は第5の位置に移動し、カバー部材で両頭針71の先端側針先が覆われる。
【0122】
また、カバー部材6の各突起613が長孔44bの基端部に係合することにより、カバー部材6が外筒4に対して基端方向への移動が阻止され、その結果カバー部材6で両頭針71の先端側針先が覆われた状態が維持される。これにより、カバー部材6が基端方向へ移動できなくなるため、使用後の針刺し事故を防ぐセーフティ機構として機能する。
【0123】
また、外筒4が相対的にカバー部材6と回転することで、カバー部材6の各突起613が外筒4の長孔43b(初期状態)から長孔44bに係合し、セーフティ機構が機能することにより、直進型よりも初期状態に戻りにくく、使用前後の状態がわかりやすいため、再使用を防止できる。さらに、使用された液体投与具10を安全に、使用前の液体投与具10と間違うことなく確実に廃棄することができる。
【0124】
また、カバー部材6の突起63は、直線溝423に沿って、カバー部材6に対して相対的に先端方向に移動し、カバー部材6が第5の位置にあるとき、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図13に示す位置に位置している。
【0125】
以上説明したように、この液体投与具10によれば、係合状態にある段差部516と突起49aとを内側構造体1の中心軸回りに回転させて解除状態とするので、その解除状態とする際の段差部516と突起49aの相対的な変位の方向が、操作部材5の押圧操作の方向とは異なり、これにより、不本意に解除状態になってしまうことを防止することができ、両頭針71の穿刺前や穿刺途中に、液体が両頭針71から不本意に漏出してしまうことを防止することができる。
【0126】
また、1つの連続した動作として、両頭針71の生体への穿刺動作と、外筒4の回転動作と、操作部材5の押圧操作とを円滑に行なうことができる。
【0127】
また、解除状態にする際、外筒4は、傾斜面491aにより回転方向の推進力を得、これにより、容易に、外筒4を回転させることができる。
【0128】
また、コイルバネ401の付勢力、すなわち補助力により、操作部材5の先端方向への移動を補助または操作部材5を先端方向に移動させることができる。
【0129】
これらにより、例えば、力の弱い高齢者や女性等、手指に痛みや変形があるリウマチ患者等、操作部材5を押圧操作することが困難な使用者でも重力方向の力のみがかかる直進型よりも重力方向の力を回転方向に力を分散することで、容易かつ確実に液体を投与することができる。
【0130】
なお、本実施形態では、穿刺針は、両頭針である針管を有するものであるが、本発明では、これに限定されず、基端側の針先が省略された針管を有するものであってもよい。この場合、針管は、予め(未使用状態で既に)内筒と連通している。
【0131】
<第2実施形態>
図16は、本発明の液体投与具の第2実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、
図16中の上側を「基端(後端)」または「上(上方)」、下側を「先端」または「下(下方)」、上下方向を「軸方向」または「長手方向」として説明を行う。
【0132】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0133】
図16に示すように、第2実施形態の液体投与具10では、補助機構40は、1つのコイルバネ(第2の付勢部材)402を有している。このコイルバネ402は、段差部(第1の係合部)516と突起a(第2の係合部)の一方を他方に対して内側構造体1の中心軸回りの回転方向に付勢する第3の付勢部材を兼ねる。すなわち、コイルバネ402は、未使用状態(初期状態)で捩じられた状態で設置されており、外筒4を操作部材5に対して回転させる方向に付勢、すなわち、係合状態から解除状態となるように回転させる方向に付勢している。このコイルバネ402により、より容易に、外筒4を操作部材5に対して回転させることができる。
【0134】
なお、コイルバネ402は、段差部(第1の係合部)516と突起a(第2の係合部)の一方を他方に対して内側構造体1の中心軸回りの回転方向に付勢する第3の付勢部材を兼ねる。
【0135】
この液体投与具10によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0136】
<第3実施形態>
図17および
図19は、それぞれ、本発明の液体投与具の第3実施形態を示す側面図である。
図18および
図20は、それぞれ、
図17および
図19に示す液体投与具の横断面図である。なお、以下では、
図17および
図19中の上側を「基端(後端)」または「上(上方)」、下側を「先端」または「下(下方)」、上下方向を「軸方向」または「長手方向」として説明を行う。
【0137】
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0138】
これらの図に示すように、第3実施形態の液体投与具10では、カバー部材6が省略されている。
【0139】
また、カム溝42は、直線溝423、424に変更されている。直線溝424は、胴部41の外周面に形成され、外筒4の軸に対して垂直な方向に延在している。この直線溝424は、1周よりも短く形成されている。直線溝423は、胴部41の外周面に直線状に形成され、外筒4の軸方向に延在している。そして、直線溝424の
図17中の右側の端部と、直線溝423の基端部とが連通している。また、突起63は、最外筒52の内周面に形成されている。
【0140】
また、外筒4の突出部40aは、突起49aを有しておらず、係合状態では、押し子51の段差部516は、突出部40aの中心軸側の端部(先端部)に係合している。
【0141】
図17および
図18に示すように、この液体投与具10は、未使用状態(初期状態)では、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図17および
図18に示す位置に位置している。また、押し子51の段差部516は、突出部40aの中心軸側の端部に係合している。
【0142】
そして、
図19および
図20に示すように、使用時に、手動操作で、操作部材5を外筒4に対して回転させる。これにより、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図19および
図20に示す位置に移動する。また、また、押し子51の段差部516と、突出部40aの中心軸側の端部との係合が解除され、解除状態となる。
【0143】
この液体投与具10によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0144】
<第4実施形態>
図21は、本発明の液体投与具の第4実施形態を示す縦断面図である。
図22は、
図21に示す液体投与具の筒体の外筒の基端側部材の斜視図である。
図23は、
図21に示す液体投与具の押し子の斜視図である。なお、以下では、
図21〜
図23中の上側を「基端(後端)」または「上(上方)」、下側を「先端」または「下(下方)」、上下方向を「軸方向」または「長手方向」として説明を行う。
【0145】
以下、第4実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0146】
これらの図に示すように、第4実施形態の液体投与具10では、穿刺針7は、内筒3の口部34に固定され、先端に鋭利な針先を有する針管73で構成されている。
【0147】
また、液体投与具10は、カバー部材6に着脱自在に装着されるキャップ18と、内筒3の口部34に着脱自在に装着される針先側キャップ15とを有している。針先側キャップ15は、有底筒状のハウジング16と、ハウジング16の内周面に設置された弾性体17とで構成されている。針先側キャップ15を内筒3の口部34に装着した状態では、針管73の針先は、弾性体17に接触して保護され、針管73の先端開口は弾性体17によって封止されている。
【0148】
また、操作部材5は、頭部53と、最外筒52と、押し子51とを有し、頭部53と押し子51と最外筒52とは、連結されている。
【0149】
図23に示すように、押し子51の本体部511の途中には、後述する外筒4の基端側部材4aの1対の爪47aと係合し得る1対の係合部5101が形成されている。この係合部5101は、押し子51の軸方向に延在する長手形状の板状部5102の途中に設けられた切欠部5103の先端側の板状部5102の端部で構成されており、押し子51および外筒4の軸方向に沿って爪47aと係合し得るようになっている(
図21(a)参照)。なお、係合部5101は、段差部516の基端側に配置されている。
【0150】
また、
図22に示すように、外筒4の基端側部材4aの縮径部45aの基端側には、弾性を有し、互いに対向するように配置された1対の腕部46aが基端方向に突出形成されている。各腕部46aの先端部には、それぞれ、互いに反対側に向かって突出する爪47aが形成されている。
【0151】
また、
図21に示すように、補助機構40のバネ(付勢部材)としては、1対のコイルバネ401に替えて、第2実施形態と同様に、1つのコイルバネ402が設けられている。
【0152】
図21(a)に示すように、未使用状態(初期状態)では、外筒4の1対の爪47aと1対の係合部5101とが係合し、外筒4が押し子51に対して先端方向に移動してしまうことが阻止されている。
【0153】
図21(b)に示すように、針先側キャップ15およびキャップ18が取り外され、外筒4がカバー部材6、内筒3および操作部材5に対して回転した状態では、各爪47aと各係合部5101との係合が外れ、また、押し子51の軸方向から見て、各係合部5101が、各板状部5102(本体部511)から外側に退避する。これにより、押し子51は、各爪47aに干渉せずに、先端方向に移動することができる。
【0154】
この液体投与具10によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0155】
そして、この液体投与具10は、未使用状態では、外筒4の各爪47aと押し子51の各係合部5101とが係合し、外筒4が押し子51に対して先端方向に移動してしまうことが阻止されているので、キャップ18を取り外す際、カバー部材6、内筒3および外筒4がそのキャップ18とともに、先端方向に移動してしまうことを防止することができる。
【0156】
また、外筒4の各爪47aと押し子51の各係合部5101とが係合しているので、液体投与具10を落下させる等により、液体投与具10に衝撃が加わった場合でも、押し子51の各段差部516が外筒4の各突起49aの傾斜面491aと係合または係合し得る位置からずれてしまうことを確実に防止することができる。
【0157】
<第5実施形態>
図24は、本発明の液体投与具の第5実施形態を示す側面図である。
図25は、
図24に示す液体投与具の縦断面図である。
図26は、
図24に示す液体投与具の筒体の外筒の基端側部材の斜視図である。
図27および
図28は、それぞれ、
図24に示す液体投与具の筒体の外筒の先端側部材の斜視図である。
図29は、
図1に示す液体投与具のカバー部材の斜視図である。
図30は、
図24に示す液体投与具の押し子の斜視図である。
図31は、
図24に示す液体投与具のコイルバネの斜視図である。
図32は、
図24に示す液体投与具の操作部材の頭部の斜視図である。
図33、
図36、
図38、
図40は、それぞれ、
図24に示す液体投与具の使用時の作動状態を順に示す側面図である。
図34、
図37、
図39、
図41、
図42は、それぞれ、
図24に示す液体投与具の使用時の作動状態を順に示す縦断面図である。
図35は、
図34に示す液体投与具の先端部の別の断面での断面図である。なお、以下では、
図24〜
図42中の上側を「基端(後端)」または「上(上方)」、下側を「先端」または「下(下方)」、上下方向を「軸方向」または「長手方向」として説明を行う。
【0158】
以下、第5実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0159】
図24〜
図28に示すように、第5実施形態の液体投与具10では、外筒4は、基端側に配置された
図26に示す基端側部材4aと、先端側に配置された
図27および
図28に示す先端側部材4bとで構成されている。
【0160】
先端側部材4bの縮径部42bの内周部には、4つの溝422bが形成されており、その溝422bにより、4つの段差部421bが形成されている(
図25、
図42参照)。各溝422b、各段差部421bは、縮径部42bの周方向に沿って、等角度間隔で並設されている。また、縮径部42bの内周部の溝422bの基端側には、溝422bに連通する空間423bが形成されている(
図25、
図42参照)。そして、この空間423bにより、後述する穿刺針7の支持部材72の各突起721が縮径部42bに対して干渉しないようになっている。なお、本実施形態では縮径部45aが形成されているが、縮径部45aが形成されていなくてもよい。
【0161】
また、先端側部材4bの胴部41には、1対の溝46bと、胴部41を貫通する1対の長孔44bとが形成されている。各溝46bは、互いに対向するように配置され、同様に、各長孔44bも互いに対向するように配置されている。なお、各溝46bは同じ形状であるため、以下、代表的に、一方の溝46bを説明する。同様に、各長孔44bも同じ形状であるため、以下、代表的に、一方の長孔44bを説明する。なお、本実施形態では溝46bは、有底であるが、胴部41を貫通してもよく、この場合も同じ効果が得られる(図示せず)。また、本実施形態では長孔44bは、胴部41を貫通しているが、貫通せず窪んでいてもよく、この場合も同じ効果が得られる(図示せず)。
【0162】
また、溝46b、長孔44bは、胴部41の周方向に沿って並設されている。なお、本実施形態では、
図28に示すように、溝46bが長孔44bの左側に配置されている。
【0163】
また、溝46b、長孔44bは、それぞれ、胴部41の軸に沿って延在している。そして、溝46bは、先端側部材4bの先端から基端まで形成されており、先端側部材4bの先端および基端にそれぞれ開放している。また、長孔44bの基端側の端面は、溝46bの基端よりも先端側に位置し、その長孔44bの基端側の端面は、胴部41の軸に対して垂直に設定されている。
【0164】
また、胴部41における溝46bおよび長孔44bの基端側の部位には、空間45bが形成されている。
【0165】
また、胴部41の長孔44bと空間45bとの間の部位の肉厚は、先端側から基端側に向って漸減しており、これにより、その胴部41の外周面にテーパ面が形成されている。これにより、カバー部材6の突起613が空間45bから長孔44bに円滑に移動することができる。
【0166】
また、基端側部材4aの縮径部45aの基端側には、互いに対向するように配置された1対の突出部40aが形成されている。各突出部40aは、それぞれ、縮径部45aの内周面から内側に向って、すなわち、中心軸に向って突出形成されている。
【0167】
また、各突出部40aの中心軸側の端部(先端部)には、それぞれ、突起(第2の係合部)49aが基端方向に向って突出形成されている。
【0168】
各突起49aは、回転機構(回転部)として、各段差部516が当接する傾斜面491aを有している。なお、傾斜面491aの形状は、平面に限らず、湾曲面であってもよい。また、傾斜面491aに代えて平坦面にしてもよい。
【0169】
また、基端側部材4aの縮径部45aの基端側には、弾性を有し、互いに対向するように配置された1対の腕部46aが基端方向に突出形成されており、各腕部46aの先端部には、それぞれ、内側に向かって突出する爪47aが形成されている。
【0170】
また、内筒3は、外筒4の各突出部40aと、縮径部42bとの間に設置され、基端側部材4aと先端側部材4bとで上下から挟み込まれることにより、外筒4に対する内筒3の軸方向の移動が阻止される。
【0171】
また、穿刺針7の支持部材72の先端面には、先端方向に向かって突出する4つの突起722が、その周方向に沿って、等角度間隔で並設されている(
図25、
図35参照)。
【0172】
図25および
図29に示すように、カバー部材6は、外筒4(筒体2)の外周側に配置されている。
【0173】
カバー部材6の先端壁部62の開口部621の外周側には、その先端壁部62を貫通する4つの孔部623が、先端壁部62の周方向に沿って、等角度間隔で形成されている(
図25、
図35参照)。各孔部623は、カバー部材6の平面視で、穿刺針7の支持部材72の各突起722に対応する位置に配置されており、各突起722が挿入し得るようになっている。
図35に示すように、両頭針71の先端側針先が生体に穿刺された状態では、各突起722は、各孔部623に挿入され、これにより、液体を投与しているとき、穿刺針7が周方向に回動することを防止することができる。
【0174】
未使用状態(初期状態)では、カバー部材6の各突起613は、それぞれ、外筒4の各溝46bに挿入されている。そして、カバー部材6が外筒4の軸方向に移動し、外筒4のカム溝42およびカバー部材6の突起63により、外筒4がカバー部材6に対して所定角度回転すると、カバー部材6の各突起613は、それぞれ、外筒4の各空間45bにおける各長孔44bの基端側の位置に移動する。
【0175】
図24および
図25に示すように、操作部材5は、頭部53と、最外筒(把持部)52と、ガスケット8の基端側に連結され、ガスケット8を先端方向に向かって押圧する押し子51とを有している。頭部53と押し子51と最外筒52とは、連結されている。この操作部材5は、押し子51を先端方向に移動し、これによりガスケット8を先端方向に向かって移動することで、内筒3内の液体を両頭針71から吐出させる押圧操作(吐出操作)を行なう部材である。
【0176】
図25、
図30に示すように、押し子51は、横断面が、例えば十文字状または円形状をなす棒状の本体部511を有しており、この本体部511の先端にガスケット8が固定されている。本体部511の基端には、円盤状のフランジ512が形成されている。
【0177】
本体部511の先端部は、ガスケット8の凹部82の形状に対応した形状を有しており、その先端部がガスケット8の凹部82に挿入されることにより、押し子51(操作部材5)とガスケット8とが連結される。
【0178】
押し子51のフランジ512には、その中心を介して互いに対向するように配置された1対の孔部517と、中心を介して互いに対向するように配置された1対の孔部518とが形成されている。また、孔部517と孔部518とは交互に配置されている。
【0179】
また、フランジ512の基端側の中央部には、フランジ512の径方向に延在するリブ5130が形成されている。このリブの両端部には、それぞれ、溝5131が形成されている。
【0180】
頭部53は、最外筒52および押し子51のフランジ512の基端側に設置されている。
図25および
図32に示すように、この頭部53は、すり鉢状をなしている。そして、頭部53の基端面、すなわち外面は、その中央部が平坦であり、その周囲は、基端側が凸となるように湾曲している。頭部53が湾曲面を有することにより、操作部材5を片手で容易に把持することができる。また、頭部53の中央部に平坦面が形成されていることにより、両手で押圧操作を行う場合、その押圧操作を容易に行うことができる。
【0181】
また、頭部53の先端面、すなわち内面の外周部には、弾性を有し、互いに対向するように配置された1対の腕部531が先端方向に突出形成されており、各腕部531の先端部には、それぞれ、内側に向かって突出する爪532が形成されている。
【0182】
そして、頭部53の各腕部531の各爪532が各孔部518に挿入され、各爪532と各孔部518とが係合することにより、頭部53と押し子51とが連結されている。
【0183】
補助機構40は、操作部材5の押し子51を介してガスケット8を押圧する補助力(押圧力)を発生する機能を有している。
図25および
図31に示すように、本実施形態では、補助機構40は、単一のコイルバネ9で構成されている。また、コイルバネ9は、伸長した状態で用いられる引張バネである。このコイルバネ9は、コイルバネ本体90と、コイルバネ本体90の先端部に設けられ、内側構造体1に取り付けられる第1の取付部であるフック91と、コイルバネ本体90の基端部に設けられ、操作部材5に取り付けられる第2の取付部であるフック92とを有している。
【0184】
フック91、92の形状は、それぞれ、特に限定されないが、本実施形態では、U字状をなしている。なお、他の形状としては、例えば、V字状、コの字状等が挙げられる。
【0185】
また、コイルバネ9の軸方向から見たとき、コイルバネ9の内側に押し子51が配置され、コイルバネ9は、押し子51の外周に沿って巻かれている、すなわち、押し子51の外周側にその押し子51および筒体2と同心的に配置されている。そして、
図25、
図31(b)および
図37に示すように、コイルバネ9は、伸長した状態で、フック91が外筒4の棒状をなす支持部43に掛けられ、フック92が押し子51のリブ5130の溝5131に掛けられている。
【0186】
これにより、コイルバネ9は、内側構造体1と操作部材5とを互いに接近する方向に付勢する。すなわち、コイルバネ9は、操作部材5の押し子51を介してガスケット8を先端方向に押圧する補助力を発生する。これにより、押圧操作の際、操作部材5を先端方向に容易に移動させることができる。
【0187】
また、コイルバネ9のフック91および92の位置は、それぞれ、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、本実施形態では、コイルバネ9の軸方向から見たとき、フック91および92は、それぞれ、コイルバネ9の巻き線の周上に配置されている。また、コイルバネ9の軸方向から見たとき、コイルバネ9に外力が付与されていない自然状態(
図31(a)参照)で、フック92のコイルバネ本体90側の端部921は、フック91のコイルバネ本体90側の端部911に対して、コイルバネ9の巻き方向に、中心角で−135〜135°ずれた位置に位置していることが好ましく、−110〜−45°または45〜110°ずれた位置に位置していることがより好ましい。なお、この中心角の角度をθとする。また、その角度θは、コイルバネ9の軸方向から見たとき、フック92の端部921とフック91の端部911とが一致したときが「0°」であり、そこから
図31中の時計回りの方向の角度を「+」、反時計回りの方向の角度を「−」とする。図示の構成では、角度θは、90°、すなわち、端部921は、端部911に対して、コイルバネ9の巻き方向に、中心角で90°ずれた位置に位置している。
【0188】
これにより、コイルバネ9を伸長する際、コイルバネ9の巻き線の輪が径方向にずれてしまうことを防止または抑制することができ、これにより、コイルバネ9が押し子51の外周面に接触してしまうことを防止することができる。これによって、円滑かつ確実に液体を投与することができる。
【0189】
なお、フック91、92の位置を説明する場合のコイルバネ9の巻き方向とは、コイルバネ9のフック92に対するフック91の位置を説明する場合は、
図31中の反時計回りの方向がコイルバネ9の巻き方向であり、コイルバネ9のフック91に対するフック92の位置を説明する場合は、
図31中の時計回りの方向がコイルバネ9の巻き方向である。
【0190】
ここで、液体を投与する操作部材5の押圧操作の際は、コイルバネ9の付勢力(押圧力)だけでなく、コイルバネ13の付勢力も、操作部材5の押し子51を介してガスケット8を先端方向に押圧する補助力を発生する。すなわち、使用者が操作部材5(押し子51)を先端方向に押圧する押圧力と、コイルバネ9の付勢力と、コイルバネ13の付勢力とで、押し子51が先端方向に移動する。
【0191】
具体的には、コイルバネ9の付勢力(押圧力)をF1、コイルバネ13の付勢力をF2、ガスケット8の摺動中の内筒3(筒体2)に対する動摩擦抵抗力を含む排出抵抗力をF0としたとき、下記(1)式を満足するようにF0、F1およびF2が設定されている。
【0192】
F1+F2≦F0 ・・・(1)
これにより、液体を投与する際、使用者がガスケット8を摺動させるための力を加えることなく、自動的に押し子51が先端方向に移動して液体が投与されてしまうことを防止することができる。すなわち、使用者の意図通りに、液体の投与を行うことができ、例えば、使用者のペースで液体を投与することができ、また、液体の投与を中断したい場合、瞬時に、液体の投与を中断することができる。
【0193】
また、F1は、1〜40Nであることが好ましく、1〜10Nであることがより好ましい。F1が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、補助力が不十分となるおそれがある。また、F1が前記上限よりも大きいと、他の条件によっては、F2が小さくなり、両頭針71の先端側針先がカバー部材6の先端から露出するおそれがある。
【0194】
また、F2は、1〜5Nであることが好ましく、1〜3Nであることがより好ましい。F2が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、両頭針71の先端側針先がカバー部材6の先端から露出するおそれがある。また、F2が前記上限よりも大きいと、他の条件によっては、コイルバネ13の付勢力に抗してカバー部材6を基端方向に移動させることが困難である。
【0195】
また、
図31(c)に示すように、未使用状態(初期状態)で、コイルバネ9は、自然状態からその周方向に捩じった状態で取り付けられており、外筒4と操作部材5との一方を他方に対して筒体2の中心軸回りの回転方向に付勢している。これにより、操作部材5、カバー部材6および内筒3に対して外筒4を回転させる力が得られ、液体を投与する際、容易に液体を投与することができる。未使用状態でコイルバネ9を捩じらず取り付けることもできる。
【0196】
このコイルバネ9の捩じりの方向は、コイルバネ9の巻き方向と、コイルバネ9の巻き方向と反対の方向とのいずれでもよいが、本実施形態では、コイルバネ9の巻き方向である。コイルバネ9の捩じりの方向をコイルバネ9の巻き方向とすることにより、コイルバネ9の巻き線の形状を乱すことなく、コイルバネ9を捩じることができる。コイルバネ9の捩じりの方向がコイルバネ9の巻き方向と反対の方向の場合、コイルバネ9の径が初期状態より、操作時の方が小さいので押し子51の移動を制限することができる。
【0197】
また、コイルバネ9の捩じり量は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、コイルバネ9を捩じる前の角度θと捩じった後の角度θとの差の絶対値、すなわちコイルバネ9の中心角の絶対値で、外筒4が内筒3に対して相対的に回転したときの回転角度と等しく設定されることが好ましい。具体的には、コイルバネ9の捩じり量は、コイルバネ9の中心角の絶対値で、10〜90°であることが好ましく、20〜40°であることがより好ましい。コイルバネ9の捩じり量が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、外筒4が内筒3に対して相対的に回転しきる前に、コイルバネ9の付勢力がなくなることがある。また、コイルバネ9の捩じり量が前記上限値よりも大きいと、他の条件によっては、外筒4が内筒3に対して相対的に回転しきった後も、コイルバネ9の付勢力が作用することがある。
【0198】
また、コイルバネ9の巻き数、ピッチ、直径(外径)、長さ、ばね定数等の各寸法や各特性は、前記(2)式を満たせば特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、コイルバネ9の巻き数は、2〜100回であることが好ましく、3〜10回であることがより好ましい。コイルバネ9の巻き数が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、十分な付勢力が得られないことがある。また、コイルバネ9の巻き数が前記上限値よりも大きいと、他の条件によっては、コイルバネ9の巻き線の輪が径方向にずれ易くなる。
【0199】
また、コイルバネ9のピッチは、10mm以下であることが好ましく、0.1〜2mmであることがより好ましい。コイルバネ9のピッチが前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、十分な付勢力が得られないことがある。また、コイルバネ9のピッチが前記上限値よりも大きいと、他の条件によっては、コイルバネ9の巻き線の輪が径方向にずれ易くなる。
【0200】
また、コイルバネ9の直径(外径)は、5〜50mmであることが好ましく、10〜30mmであることがより好ましい。コイルバネ9の直径が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、十分な付勢力が得られないことがある。また、コイルバネ9の直径が前記上限値よりも大きいと、他の条件によっては、コイルバネ9の巻き線の輪の径方向へのずれ量が大きくなる。
【0201】
また、コイルバネ9の外力が付与されていない自然状態での長さは、フック91、92を含めて3〜150mmであることが好ましく、5〜30mmであることがより好ましい。
【0202】
また、コイルバネ9のばね定数は、0.01〜4N/mmであることが好ましく、0.03〜1N/mmであることがより好ましい。コイルバネ9のばね定数が前記下限値よりも小さいと、他の条件によっては、十分な付勢力が得られないことがある。また、コイルバネ9のばね定数が前記上限値よりも大きいと、他の条件によっては、必要以上の付勢力が加わることがある。
【0203】
なお、コイルバネ9の構成材料としては、特に限定されず、例えば、コイルバネ13の構成材料と同様の材料を用いることができる。
【0204】
次に、液体投与具10の使用方法と、その使用時の作動状態とについて、
図24、
図25、
図33〜
図42を参照しつつ説明する。
【0205】
[1]
図24および
図25に示すように、未使用状態(初期状態)の液体投与具10を用意する。この未使用状態の液体投与具10では、カバー部材6は、第1の位置にあり、両頭針71の先端側針先を覆っている。なお、この未使用状態では、コイルバネ13の付勢力により、カバー部材6で両頭針71の先端側針先が覆われた状態が維持されている。これにより、両頭針71の先端側針先による誤穿刺を確実に防止することができる。
【0206】
また、穿刺針7は、両頭針71の基端側針先が筒体2の内筒3の封止部材11から離間しており、封止部材11を未だ刺通していない。これにより、薬液の投与が開始されるまで、液体の無菌状態を維持することができる。
【0207】
また、カバー部材6の各突起63は、外筒4に対して
図24に示す位置に位置している。
【0208】
また、カバー部材6の各突起613は、外筒4の先端部の溝46bの基端側に位置している。
【0209】
また、押し子51の各段差部516が外筒4の各突起49aの傾斜面491aに当接又は当接しうる位置(使用前は離間していてもよい)、すなわち、各突起49aと係合又は係合しうる位置にあり、これにより、内側構造体1(筒体2)に対する操作部材5の先端方向への移動が阻止されている。
【0210】
また、突起63は、直線溝421に挿入されており、これにより、外筒4は、カバー部材6に対して回転することが阻止され、これにより、外筒4は、操作部材5に対して回転することが阻止されている。
【0211】
[2] 次に、
図33および
図34に示すように、未使用状態の液体投与具10の操作部材5を把持して、カバー部材6の先端壁部62を生体に当接させ、操作部材5を先端方向に向かって押圧する。これにより、カバー部材6は、コイルバネ13の付勢力に抗して、操作部材5および内側構造体1に対して基端方向、すなわち、第1の位置から第2の位置へ移動する。また、その移動過程で、カバー部材6の先端壁部62が穿刺針7の支持部材72を基端部側に移動させる。
【0212】
このとき、両頭針71の先端側針先が、カバー部材6の先端壁部62の開口部621から突出して、その先端側針先での生体に対する穿刺が行なわれる。また、先端壁部62が穿刺針7の支持部材72を基端方向に向かって押圧する。これにより、両頭針71の基端側針先で、内筒3の封止部材11を刺通することができ、よって、生体を穿刺した両頭針71と、内筒3とが連通する。
【0213】
このとき、カバー部材6の突起63は、直線溝421に沿って、外筒4に対して相対的に基端方向に移動する。そして、カバー部材6が第2の位置にあるとき、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図33に示す位置に位置している。
【0214】
また、このときカバー部材6の各突起613は、外筒4の各溝46bに沿って基端方向に移動し、各溝46bの基端側の各空間45b(
図28参照)に位置した状態である。
【0215】
また、穿刺針7の各突起722は、カバー部材6の各孔部623に挿入され、これにより、穿刺針7が周方向に回動することが防止される。
【0216】
また、突起63は、直線溝421の基端部に位置し、これにより、外筒4は、カバー部材6に対して回転することが可能となり、これにより、外筒4は、操作部材5に対して回転することが可能となる。
【0217】
[3] 次に、
図33および
図34に示す状態から操作部材5を先端方向に向かって押圧し続けると、
図36および
図37に示すように、カバー部材6は、第3の位置に到達する。これは、外筒4のカム溝42およびカバー部材6の突起63により、外筒4がカバー部材6および内筒3に対して所定角度回転し終わった状態である。
【0218】
このとき、押し子51の段差部516が突起49aの傾斜面491aに沿って移動し、この際、外筒4は、回転方向の推進力を得る。さらに、コイルバネ9の回転方向の付勢力により、外筒4は、回転方向の推進力を得る。これにより、容易に、外筒4を回転させることができる。
【0219】
これにより、押し子51の各段差部516は、外筒4の各突起49aからずれた位置に移動し、各段差部516と各突起49aとの係合が外れた状態である。これにより、筒体2に対する操作部材5の先端方向への移動が可能になる。これ以降は、各段差部516と各突起49aとの係合が外れた状態を維持するので、以降の本説明は省略する。
【0220】
なお、1つの連続した動作として、両頭針71の生体への穿刺動作と、外筒4の回転動作と、後述する操作部材5の押圧操作とを円滑に行なうことができる。
【0221】
また、カバー部材6の突起63は、傾斜溝422に沿って、外筒4に対して相対的に斜め上方方向に移動する。そして、カバー部材6が第3の位置にあるとき、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図36に示す位置に位置している。
【0222】
また、このときカバー部材6の各突起613は、回転し、各空間45bにおける各長孔44bの基端側の位置に移動した状態である。
【0223】
[4]
図36および
図37に示すように、カバー部材6が第3の位置に位置している状態で、使用者の押圧力と、コイルバネ9の付勢力、すなわち、補助力(押圧力)により、操作部材5が先端方向に移動し、これにより、ガスケット8が先端方向に向かって移動することが可能となる。すなわち、前述した押圧操作が行なわれ、よって、液体の投与を行なうことができる。そして、
図38および
図39に示すように、ガスケット8が内筒3の底部32に当接し、液体の投与が完了し、カバー部材6が第4の位置に位置する。
【0224】
このとき、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図38に示す位置に位置したままである。
【0225】
また、カバー部材6の各突起613も、各空間45bにおける各長孔44bの基端側の位置に位置したままである。
【0226】
また、外筒4の各腕部46aの各爪47aは、押し子51の各孔部517に挿入され、各孔部517と係合する。この際、各腕部46aは、一端、湾曲し、各爪47aが各孔部517から基端方向に突出した瞬間、その弾性力により元の形状に戻り、各腕部46aから音(可聴音)および振動(クリック感)が発生する。これにより、使用者は、液体の投与が完了したことを認識することができる。
【0227】
また、使用後に外筒4と操作部材5とは、各爪47aと各孔部517との係合により固定される。これにより、使用後の操作部材5の作動を規制することができるとともに、使用者は、投与完了状態であることを認識することができる。
【0228】
[5] 次に、
図40〜
図42に示すように、操作部材5を先端方向に向かって押圧するのを止め、カバー部材6の先端壁部62を生体から離間させ、両頭針71を生体から抜去する。
【0229】
これにより、コイルバネ13の付勢力により、カバー部材6が先端方向、すなわち、カバー部材6は第5の位置に移動し、カバー部材で両頭針71の先端側針先が覆われる。
【0230】
また、カバー部材6の各突起613が長孔44bの基端部に係合することにより、カバー部材6が外筒4に対して基端方向への移動が阻止され、その結果カバー部材6で両頭針71の先端側針先が覆われた状態が維持される。これにより、カバー部材6が基端方向へ移動できなくなるため、使用後の針刺し事故を防ぐセーフティ機構として機能する。
【0231】
また、外筒4がカバー部材6に対して相対的に回転することで、カバー部材6の各突起613が外筒4の溝46b(初期状態)から長孔44bに係合し、セーフティ機構が機能することにより、直進型よりも初期状態に戻りにくく、使用前後の状態がわかりやすいため、再使用を防止できる。さらに、使用された液体投与具10を安全に、使用前の液体投与具10と間違うことなく確実に廃棄することができる。
【0232】
また、カバー部材6の突起63は、直線溝423に沿って、カバー部材6に対して相対的に先端方向に移動し、カバー部材6が第5の位置にあるとき、カバー部材6の突起63は、外筒4に対して
図40に示す位置に位置している。
【0233】
以上説明したように、この液体投与具10によれば、コイルバネ9の付勢力、すなわち補助力により、操作部材5の先端方向への移動を補助することができる。これにより、例えば、比較的細い両頭針71を用いたり、比較的粘度の高い液体を投与する場合でも容易かつ確実に液体を投与することができ、また、例えば、力の弱い高齢者や女性、手指に痛みや変形があるリウマチ患者等、操作部材5を押圧操作することが困難な使用者でも容易かつ確実に液体を投与することができる。
【0234】
また、コイルバネ9の付勢力は、押圧操作の補助力として用いられるので、使用者のペースで液体を投与することができる。
【0235】
また、コイルバネ9の軸方向から見たときの、フック91および92の位置を規定することにより、コイルバネ9を伸長する際、コイルバネ9の巻き線の輪が径方向にずれてしまうことを防止または抑制することができ、これにより、コイルバネ9が押し子51の外周面に接触してしまうことを防止することができる。これによって、円滑かつ確実に液体を投与することができる。
【0236】
また、1つの連続した動作として、両頭針71の生体への穿刺動作と、外筒4の回転動作と、操作部材5の押圧操作とを円滑に行なうことができる。
【0237】
また、解除状態にする際、外筒4は、コイルバネ9および傾斜面491aにより回転方向の推進力を得、これにより、容易に、外筒4を回転させることができる。
【0238】
なお、本発明では、カバー部材6や、コイルバネ13が省略されていてもよい。
【0239】
コイルバネ13が省略されている場合は、下記(2)式を満足するようにF0およびF1が設定されることが好ましい。
【0241】
<第6実施形態>
図43および
図44は、それぞれ、本発明の液体投与具の第6実施形態を示す側面図である。
図43は、
図24および
図25に対応する図であり、
図44は、
図36および
図37に対応する図である、なお、以下では、
図43および
図44中の上側を「基端(後端)」または「上(上方)」、下側を「先端」または「下(下方)」、上下方向を「軸方向」または「長手方向」として説明を行う。また、
図43および
図44では、液体投与具の内部の構造を示すため、一部の部材の図示を省略している。
【0242】
以下、第6実施形態について、前述した第5実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0243】
図43および
図44に示すように、第6実施形態の液体投与具10では、補助機構40は、複数(図示の構成では2つ)のコイルバネ14で構成されている。また、各コイルバネ14は、伸長した状態で用いられる引張バネである。押し子51の軸方向から見たとき、各コイルバネ14は、互いに対向するように、すなわち、押し子51の外周に沿って、等角度間隔で配置されている。すなわち、各コイルバネ14の軸方向から見たとき、各コイルバネ14の外側に押し子51が配置されている。なお、各コイルバネ14は、同様であるので、以下では代表的に、一方のコイルバネ14について説明する。
【0244】
コイルバネ14は、コイルバネ本体140と、コイルバネ本体140の先端部に設けられ、内側構造体1に取り付けられる第1の取付部であるフック141と、コイルバネ本体90の基端部に設けられ、操作部材5に取り付けられる第2の取付部であるフック142とを有している。
【0245】
また、内側構造体1の外筒4は、コイルバネ14のフック141を取り付ける構造体側取付部である支持部48を有している。また、操作部材5の押し子51は、そのフランジ512に、コイルバネ14のフック142を取り付ける操作部材側取付部である支持部519を有している。
【0246】
図43に示すように、コイルバネ14は、未使用状態(初期状態)で、伸長し、かつ外筒4の中心軸回りに捩じった状態で、フック141が外筒4の支持部48に掛けられ、フック142が押し子51のリブ5130の支持部519に掛けられている(
図43参照)。また、コイルバネ14の軸方向から見たとき、支持部48と支持部519とは、初期状態、すなわち、外筒4が回転する前は、ずれている。これにより、コイルバネ9は、外筒4と操作部材5との一方を他方に対して筒体2の中心軸回りの回転方向に付勢している。
【0247】
そして、
図44に示すように、コイルバネ14の軸方向から見たとき、支持部48と支持部519とは、外筒4が回転した後は、一致する。これにより、これにより、コイルバネ9の前記回転方向の付勢力がなくなり、その付勢力で外筒4が回転してしまうことを防止することができる。
【0248】
この液体投与具10によれば、前述した第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0249】
なお、本発明では、コイルバネ14の数は、2つに限定されず、例えば、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0250】
<第7実施形態>
図45は、本発明の液体投与具の第7実施形態における筒体の外筒の基端側部材の斜視図である。なお、以下では、
図45中の上側を「基端(後端)」または「上(上方)」、下側を「先端」または「下(下方)」、上下方向を「軸方向」または「長手方向」として説明を行う。
【0251】
以下、第7実施形態について、前述した第6実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0252】
第7実施形態の液体投与具10では、未使用状態(初期状態)で、各コイルバネ14は、周方向に捩じられていない。
【0253】
また、
図45に示すように、外筒4の基端側部材4aには、基端側部材4aの周方向に延在する2つの溝48aが形成されており、各溝48aの外周側に、2つの支持部48が形成されている。各支持部48は、互いに対向するように、すなわち、基端側部材4aの周方向に沿って、等角度間隔で配置されており、各溝48aは、それぞれ、互いに対向するように、すなわち、基端側部材4aの周方向に沿って、等角度間隔で配置されている。なお、各支持部48および各溝48aは、それぞれ、同様であるので、以下では代表的に、一方の支持部48および溝48aについて説明する。
【0254】
まず、溝48aの長さは、外筒4の回転分に相当する長さに設定されている。なお、この溝48aの長さは、前記よりも長く設定されていてもよいことは、言うまでもない。
【0255】
そして、コイルバネ14は、フック141が外筒4の溝48aに挿入され、支持部48に掛けられており、フック142が押し子51のリブ5130の支持部519に掛けられている。これにより、フック141は、溝48aに沿って、外筒4に対して移動することができる。これにより、外筒4が回転した際、コイルバネ14が捩れてしまうことを防止することができる。
【0256】
この液体投与具10によれば、前述した第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0257】
なお、第7実施形態は、第5実施形態にも適用することができる。
【0258】
以上、本発明の液体投与具を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0259】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0260】
また、前記実施形態では、筒体内に予め液体が充填されているが、本発明では、これに限らず、例えば、当初は筒体内に液体が充填されておらず、後から筒体内に液体を充填して使用するようになっていてもよい。
【0261】
また、前記実施形態では、第1の付勢部材は、圧縮バネであるが、本発明では、これに限らず、例えば、引っ張りバネ等でもよく、また、バネ以外のものであってもよい。
【0262】
また、前記実施形態では、第2の付勢部材は、引っ張りバネであるが、本発明では、これに限らず、例えば、圧縮バネ等でもよく、また、バネ以外のものであってもよい。
【0263】
また、前記実施形態では、第2の付勢部材が第3の付勢部材を兼ねているが、本発明では、これに限らず、例えば、第2の付勢部材等と共用ではなく、専用の第3の付勢部材を設けてもよい。なお、その第3の付勢部材としては、例えば、引っ張りバネ、圧縮バネ等が挙げられるが、バネ以外のものであってもよい。
【0264】
また、前記実施形態では、内側でガスケットが摺動する筒体は、内筒と外筒との2部材で構成されていたが、本発明では、これに限定されず、例えば、1部材で構成されていてもよい。
【0265】
また、前記実施形態では、係合機構(係合部)の第1の係合部は、操作部材に設けられ、第2の係合部は、内側構造体に設けられているが、本発明では、これに限らず、例えば、第1の係合部は、内側構造体に設けられ、第2の係合部は、操作部材に設けられていてもよい。