(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インナーシャフトは、第一樹脂で形成された第一シャフト部と、前記第一シャフト部の先端に接合され、前記第一樹脂よりも柔軟な第二樹脂で形成された第二シャフト部と、前記第二シャフト部の先端に接合され、前記第二樹脂よりも柔軟な第三樹脂で形成された第三シャフト部と、を有しており、
前記後端側異形部は、前記第二シャフト部の後端が前記第一シャフト部の先端を被覆する、又は、前記第一シャフト部の先端が前記第二シャフト部の後端を被覆することで形成されており、
前記先端側異形部は、前記第三シャフト部の後端が前記第二シャフト部の先端を被覆する、又は、前記第二シャフト部の先端が前記第三シャフト部の後端を被覆することで形成されている
請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のバルーンカテーテルにあっては、補強体である線材の先端と基端がそれぞれ固定用チューブ及び基端シャフトによって固定されているため、バルーンカテーテルを湾曲した血管内に挿入した際に補強体である線材が血管の湾曲に円滑かつ適切に沿うことができず屈曲してしまい、バルーンカテーテルをさらに押し込むことができなくなるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、補強体が血管の湾曲に対応せず屈曲してしまうことを防止することができ、湾曲した血管内を円滑に通過することができるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、バルーンと、前記バルーンの後端に接合されたアウターシャフトと、前記アウターシャフト内に挿入され、前記バルーンの先端に接合されたインナーシャフトと、前記アウターシャフトと前記インナーシャフトとの間に挿入された補強体と、を備えたバルーンカテーテルにおいて、前記インナーシャフトは、後端側異形部と、前記後端側異形部よりも先端側に位置した先端側異形部とを有し、前記後端側異形部の外径及び前記先端側異形部の外径は、前記後端側異形部と前記先端側異形部との間の外径より径大であり、前記補強体は、前記後端側異形部と前記先端側異形部との間を軸方向に移動して、前記後端側異形部と前記先端側異形部との少なくとも一方に当接可能な膨隆部を有していることを特徴とする。
【0009】
かかる構成にあっては、前記補強体に設けられた膨隆部は、後端側異形部と先端側異形部との間で軸方向に移動することができるため、補強体の自由度が失われない。その結果、バルーンカテーテルが湾曲した場合でも、補強体が無理に拘束されてしまうことがなく、例えば途中で折れてしまうおそれを低減することができる。そして前記膨隆部は、前記インナーシャフトに設けられた前記後端側異形部と前記先端側異形部との間において軸方向に移動可能とされているために、前記補強体の可動域が制限されている。したがって、バルーンカテーテルの操作性を十分に確保することができる。さらに手技者がバルーンカテーテルを先端方向に押し込んだ場合は、前記補強体の膨隆部が前記先端側異形部に当接して、手技者の押し込み力をバルーンカテーテルの先端まで伝達することができる。また、手技者がバルーンカテーテルを後端方向に引っ張った場合は、前記補強体の膨隆部が前記後端側異形部に当接して、バルーンカテーテルを素早く回収することができる。
【0010】
また、前記インナーシャフトは、樹脂で形成された後端側シャフト部と、前記後端側シャフト部の先端に接合され、前記後端側シャフト部の樹脂より柔軟な樹脂で形成された先端側シャフト部と、を有しており、前記後端側異形部と前記先端側異形部との少なくとも一方は、前記先端側シャフト部の後端が前記後端側シャフト部の先端を被覆する、又は、前記後端側シャフト部の先端が前記先端側シャフト部の後端を被覆することで形成されている構成が考えられる。
【0011】
かかる構成にあっては、前記インナーシャフトの樹脂硬度が、先端に向かって柔軟となるように変化しているため、前記補強体のみならずインナーシャフトにより、押し込み力を向上させることができる。また、前記先端側異形部又は前記後端側異形部を、径方向に膨らむように別部材を用いて構成する必要がないため、先端側異形部又は後端側異形部を容易に形成することができる。これにより前記バルーンカテーテルの製造工程を簡素化することが可能となる。そして、硬い樹脂で形成されたシャフト部ほどいわゆるキンクしやすくなるところ、インナーシャフトにおいて比較的硬い後端側シャフト部とアウターシャフト部との間に補強体が配置されるため、後端側シャフト部での耐キンク性を向上させることができる。
【0012】
また上記構成とは別に、前記インナーシャフトは、第一樹脂で形成された第一シャフト部と、前記第一シャフト部の先端に接合され、前記第一樹脂よりも柔軟な第二樹脂で形成された第二シャフト部と、前記第二シャフト部の先端に接合され、前記第二樹脂よりも柔軟な第三樹脂で形成された第三シャフト部と、を有しており、前記後端側異形部は、前記第二シャフト部の後端が前記第一シャフト部の先端を被覆する、又は、前記第一シャフト部の先端が前記第二シャフト部の後端を被覆することで形成されており、前記先端側異形部は、前記第三シャフト部の後端が前記第二シャフト部の先端を被覆する、又は、前記第二シャフト部の先端が前記第三シャフト部の後端を被覆することで形成されている構成が提案される。
【0013】
かかる構成にあっては、前記インナーシャフトの樹脂硬度が、先端に向かうに従って段階的に柔軟な樹脂に変化しているため、前記補強体のみならずインナーシャフトにより、さらに押し込み力を向上させることができる。また、前記後端側異形部と前記先端側異形部とを径方向に膨らむ別部材を用いて構成する必要がないため、先端側異形部と後端側異形部との双方を容易に形成することができる。これにより前記バルーンカテーテルの製造工程をさらに簡素化することが可能となる。そして本構成にあっても、インナーシャフトにおいて比較的硬い前記第一シャフト部と前記アウターシャフト部との間に補強体が配置されるため、第一シャフト部での耐キンク性を向上させることができる。
【0014】
さらに、前記後端側異形部と前記先端側異形部との少なくとも一方には、コイル体を構成する金属素線が含まれていることが望ましい。
【0015】
かかる構成にあっては、前記コイル体を構成する金属素線が含まれることで前記後端側異形部又は前記先端側異形部の剛性を高めることができる。このため、前記先端側異形部に金属素線が含まれている場合には、前記膨隆部が先端側異形部に当接した際の押し込み力を更に向上させることができる。また、前記後端側異形部に金属素線が含まれている場合には、前記膨隆部が後端側異形部に当接した際にバルーンカテーテルを更に素早く回収することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のバルーンカテーテルは、湾曲した血管内にバルーンカテーテルを挿入した際に補強体が無理に拘束されてしまうことがないため、途中で折れてしまうおそれを効果的に低減することができると共に、補強体を設けることによって操作性が向上するという効果を十分に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のバルーンカテーテルを具体化した実施例を詳細に説明する。ただし、本発明は下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
図1から
図8において、左側が体内に挿入される先端側(遠位側)であり、右側が医師等の手技者によって操作される後端側(近位側、基端側)である。
【0019】
〔実施例1〕
例えば心臓の血管内の狭窄部の治療に用いられるバルーンカテーテル10は、
図1に示すように、バルーン20と、アウターシャフト30と、コネクタ40と、インナーシャフト50と、チップ60と、補強体であるコアワイヤ90と、を備えている。
【0020】
前記バルーン20は、狭窄部を拡張する機能を有し、樹脂製の部材からなる。そして、先端側に先端取付部22を有し、後端側に後端取付部23を有している。前記先端取付部22は、インナーシャフト50の先端にチップ60を介して接合され、前記後端取付部23は、アウターシャフト30の先端に接合されている。
【0021】
前記アウターシャフト30は、流体を供給する機能を有し、前記流体を供給するための拡張ルーメン36を構成する管状部材からなる。さらに、前記アウターシャフト30は、先端側から順に、先端アウターシャフト部31と、ガイドワイヤポート部33と、中間アウターシャフト部35と、後端アウターシャフト部37と、を有している。なお、前記ガイドワイヤポート部33は、先端アウターシャフト部31と、中間アウターシャフト部35と、インナーシャフト50と、が接合する部分となる。
【0022】
さらに詳述すると、前記先端アウターシャフト部31には、前記インナーシャフト50が挿入されており、前記先端アウターシャフト部31と前記インナーシャフト50との間には、前記拡張ルーメン36が形成されている。また、前記後端アウターシャフト部37は、いわゆるハイポチューブと呼ばれる金属製の管状部材からなる。そして、前記後端アウターシャフト部37の先端が、中間アウターシャフト部35の後端に挿入されて接合されている。また、前記後端アウターシャフト部37の後端には、コネクタ40が取り付けられている。そして、コネクタ40に取り付けられるインデフレータ(図示せず)からバルーン20を拡張するための造影剤や生理食塩水などの液体が供給されると、液体は拡張ルーメン36を通ってバルーン20内に流入し、バルーン20が拡張する。
【0023】
なお、前記先端アウターシャフト部31と前記中間アウターシャフト部35とは、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、又はポリエステルエラストマー等の樹脂からなるチューブで構成されることが好ましい。また、前記後端アウターシャフト部37は、ステンレス鋼(SUS304)やNi−Ti合金等の超弾性合金で構成されることが好ましい。
【0024】
前記インナーシャフト50は、内部にガイドワイヤ(図示せず)を挿入するためのガイドワイヤルーメン51を形成している。また、インナーシャフト50の後端は、アウターシャフト30のガイドワイヤポート部33に接合されることによって、後端側ガイドワイヤポート54が形成されている。さらに、前記インナーシャフト50の先端に配置されたチップ60には、先端側ガイドワイヤポート69が形成されている。
【0025】
また、前記バルーン20の内部における前記インナーシャフト50の外周には、円筒形状をなしたマーカ部材70が遠位側と近位側とに2つ配置されている。
【0026】
前記インナーシャフト50は、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、又はポリエステルエラストマー等の樹脂で構成されることが好ましい。前記チップ60は、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等の柔軟な樹脂で形成されていることが望ましい。また、前記マーカ部材70は、放射線不透過性の金属材料である白金やタングステン等で構成されることが好ましい。
【0027】
また、前記後端アウターシャフト部37の先端の内周面には、コアワイヤ90が取り付けられている。前記コアワイヤ90は、断面が円形であり、先端に向かって細径化されたテーパ状の金属製線材で構成されている。そして、前記コアワイヤ90は、中間アウターシャフト部35とガイドワイヤポート部33とを通過して、先端アウターシャフト部31まで延出形成されている。さらに、前記コアワイヤ90は、ガイドワイヤポート部33の後端付近に、押圧部92を有している。これにより、コアワイヤ90に押し込み力や回転力が作用した際に、押圧部92がガイドワイヤポート部33に当接することで、押し込み力や回転力が先端アウターシャフト部31とインナーシャフト50とに伝達される。
【0028】
さらに、
図2に示すように、前記インナーシャフト50にあって、前記バルーン20より後端側の外周面には、円筒状の先端側径大部材52と、前記先端側径大部材52よりも後端側に離間して配置された円筒状の後端側径大部材56とが取り付けられている。
【0029】
そして、前記先端側径大部材52の後端部と前記インナーシャフト50の外周面との間に形成された段差部によって、先端側異形部53が構成されている。また、前記後端側径大部材56の後端部と前記インナーシャフト50の外周面との間に形成された段差部によって、後端側異形部57が構成されている。かかる構成により、前記先端側異形部53の外径及び前記後端側異形部57の外径は、前記先端側異形部53と前記後端側異形部57との間の外径より径大となっている。
【0030】
なお、前記先端側径大部材52と前記後端側径大部材56は、インナーシャフト50と同様に、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、又はポリエステルエラストマー等の樹脂で構成されることが好ましい。
【0031】
さらに、コアワイヤ90の先端には、球状の膨隆部91が設けられている。そして、前記膨隆部91は、前記インナーシャフト50に設けられた前記先端側異形部53と前記後端側異形部57との間で軸方向に移動可能に配置されている。なお、前記膨隆部91は、構造の簡素化の観点からコアワイヤ90の先端に設けられることが望ましいが、必ずしもコアワイヤ90の先端に設けられる必要はなく、コアワイヤ90の中間位置に設けられていてもよい。
【0032】
さらに詳述すると、
図3(a)に示すように、インナーシャフト50における異形部53,57の外周面と前記アウターシャフト30の内周面との間隔(距離)d1は、前記コアワイヤ90の膨隆部91における直径d2よりも小さい寸法に設定されている(d1<d2)。したがって、前記膨隆部91は、前記先端側異形部53と前記後端側異形部57との間で移動することで、先端側異形部53にも当接可能であり、後端側異形部57にも当接可能となっている。
【0033】
このため、
図3(a)に示すように、例えば前記バルーンカテーテル10を押し込む際には、前記コアワイヤ90の膨隆部91が前記先端側異形部53に当接することで、コアワイヤ90でインナーシャフト50を押すことが可能となり、バルーンカテーテル10に与えられた押し込み力を無駄なくバルーンカテーテル10の先端部分にまで伝達することができる。
【0034】
また、
図3(b)に示すように、例えば前記バルーンカテーテル10を引き戻す際には、前記膨隆部91が前記後端側異形部57に当接することでコアワイヤ90がインナーシャフト50を引っ張ることができ、バルーンカテーテル10を素早く回収することができる。
【0035】
このように、本実施例のバルーンカテーテル10においては、補強体であるコアワイヤ90の先端に設けられた膨隆部91が前記アウターシャフト30やインナーシャフト50に固定されておらず、コアワイヤ90の自由度が損なわれない。このため、湾曲した血管内をバルーンカテーテル10が通過する際にコアワイヤ90が折れてしまうおそれを低減することができる。しかも、前記コアワイヤ90の軸方向への可動範囲が制限されているため、コアワイヤ90がアウターシャフト30内で過度に動き回ることが抑制され、操作性が損なわれることがない。
【0036】
なお、本発明は、上述のように、膨隆部91が、前記先端側異形部53にも前記後端側異形部57にも当接可能であることが望ましいが、前記先端側異形部53及び前記後端側異形部57のうち少なくとも一方に当接可能であってもよい。
【0037】
〔実施例2〕
実施例2のバルーンカテーテル12を、
図4(a)に従って説明する。なお、実施例1と同様の構成のものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0038】
図4(a)に示すように、インナーシャフト250は、後端側シャフト部252と、前記後端側シャフト部252の先端に接合された先端側シャフト部251と、を有している。なお、前記後端側シャフト部252及び前記先端側シャフト部251は、互いに内径と外径とがほぼ等しい筒体で構成されていることが好ましい。
【0039】
また、前記先端側シャフト部251は、前記後端側シャフト252を形成する樹脂よりも柔軟な樹脂で形成されている。
【0040】
そして、前記先端側シャフト部251の後端に、前記後端側シャフト部252の先端が挿入されて、前記先端側シャフト部251の後端が前記後端側シャフト部252の先端を被覆している。これにより、先端側シャフト部251に段差が生じて後端側異形部257が形成されている。
【0041】
前記バルーンカテーテル12にあっては、前記インナーシャフト250の樹脂硬度が、先端に向かって柔軟となるように変化しているため、補強体であるコアワイヤ90のみならず前記インナーシャフト250により、押し込み力を向上させることができる。
【0042】
また、前記後端側異形部257を設けるにあたって別部材を用いる必要がないため、製造工程の簡易化を図ることができる。さらに、先端側シャフト部251よりも硬い樹脂によって形成されている後端側シャフト部252は、キンクしやすい(折れやすい)が、後端側シャフト部252の位置する部分にはコアワイヤ90が配置されるため、後端側シャフト部252の耐キンク性を向上させることができる。
【0043】
また、後端側シャフト部252の先端と先端側シャフト部251の後端とが重なり合って接続されるため、相互の接合強度を向上させることができる。
【0044】
〔実施例3〕
実施例3のバルーンカテーテル13を、
図4(b)に従って説明する。なお、実施例1,2と同様の構成のものは同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0045】
図4(b)に示すように、インナーシャフト350は、後端側シャフト部352と、前記後端側シャフト部352の先端に接合された先端側シャフト部351と、を有している。なお、前記後端側シャフト部352及び前記先端側シャフト部351は、互いに内径と外径とがほぼ等しい筒体で構成されていることが好ましい。
【0046】
また、前記先端側シャフト部351は、前記後端側シャフト部352を形成する樹脂よりも柔軟な樹脂で構成されている。
【0047】
そして、前記後端側シャフト部352の先端に、前記先端側シャフト部351の後端が挿入されて、前記後端側シャフト部352の先端が、前記先端側シャフト部351の後端を被覆している。これにより、後端側シャフト部352と先端側シャフト部351との間に段差が生じて後端側異形部357が形成されている。
【0048】
前記バルーンカテーテル13にあっては、前記インナーシャフト350の樹脂硬度が、先端に向かって柔軟となるように変化しているため、補強体であるコアワイヤ90のみならず前記インナーシャフト350により、押し込み力を向上させることができる。また、前記後端側異形部357を設けるにあたって別部材を用いる必要がないため、製造工程の簡易化を図ることができる。さらに、先端側シャフト部351よりも硬い樹脂によって形成されている後端側シャフト部352は、キンクしやすいが、後端側シャフト部352の位置する部分にはコアワイヤ90が配置されているため、後端側シャフト部352の耐キンク性を向上させることができる。
【0049】
〔実施例4〕
実施例4のバルーンカテーテル14を
図5(a)に従って説明する。なお、実施例1〜3と同様の構成のものは同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0050】
図5(a)に示すように、インナーシャフト450は、後端側シャフト部452と、前記後端側シャフト部452の先端に接合された先端側シャフト部451と、を有している。なお、前記後端側シャフト部452及び前記先端側シャフト部451は、互いに内径と外径とがほぼ等しい筒体で構成されていることが好ましい。
【0051】
また、前記先端側シャフト部451は、前記後端側シャフト部452を形成する樹脂よりも柔軟な樹脂で構成されている。
【0052】
そして、前記先端側シャフト部451の後端に、前記後端側シャフト部452の先端が挿入されて、前記先端側シャフト部451の後端が、前記後端側シャフト部452の先端を被覆している。これにより、前記先端側シャフト部451と後端側シャフト部452との間で段差が生じて先端側異形部453が形成されている。
【0053】
前記バルーンカテーテル14にあっては、前記インナーシャフト450の樹脂硬度が、先端に向かって柔軟となるように変化しているため、補強体であるコアワイヤ90のみならず前記インナーシャフト450により、押し込み力を向上させることができる。また、前記先端側異形部453を設けるにあたって別部材を用いる必要がないために、製造工程の簡易化を図ることができる。
【0054】
〔実施例5〕
実施例5のバルーンカテーテル15を
図5(b)に従って説明する。なお、実施例1〜4と同様の構成のものは同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0055】
図5(b)に示すように、インナーシャフト550は、後端側シャフト部552と、前記後端側シャフト部552の先端に接合された先端側シャフト部551と、を有している。なお、前記後端側シャフト部552及び前記先端側シャフト部551は、互いに内径と外径とがほぼ等しい筒体で構成されていることが好ましい。
【0056】
また、前記先端側シャフト部551は、前記後端側シャフト部552を形成する樹脂よりも柔軟な樹脂で構成されている。
【0057】
そして、前記後端側シャフト部552の先端に、前記先端側シャフト部551の後端が挿入されて、前記後端側シャフト部552の先端が、前記先端側シャフト部551の後端を被覆している。これにより、前記後端側シャフト部552に段差が生じて先端側異形部553が形成されている。
【0058】
前記バルーンカテーテル15にあっては、前記インナーシャフト550の樹脂硬度が、先端に向かって柔軟となるように変化しているため、補強体であるコアワイヤ90のみならず前記インナーシャフト550により、押し込み力を向上させることができる。また、前記先端側異形部553を設けるにあたって別部材を用いる必要がないため、製造工程の簡易化を図ることができる。
【0059】
〔実施例6〕
実施例6のバルーンカテーテル16を、
図6に従って説明する。なお、実施例1〜5と同様の構成のものは同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0060】
図6に示すように、インナーシャフト650は、第一シャフト部651と、前記第一シャフト部651の先端に接合された第二シャフト部652と、前記第二シャフト部652の先端に接合された第三シャフト部654と、を有している。
【0061】
前記第一シャフト部651は第一樹脂で形成されており、第二シャフト部652は、前記第一樹脂よりも柔軟な第二樹脂で形成されている。さらに、前記第三シャフト部654は、前記第二樹脂よりも柔軟な第三樹脂で形成されている。
【0062】
そして、前記第一シャフト部651の先端が前記第二シャフト部652の後端を被覆することで、前記第一シャフト部651と前記第二シャフト部652との間に段差が生じて、インナーシャフト650に後端側異形部657が形成されている。また、前記第三シャフト部654の後端が前記第二シャフト部652の先端を被覆することで、前記第三シャフト部654と前記第二シャフト部652との間に段差が生じて、インナーシャフト650に先端側異形部653が形成されている。
【0063】
前記バルーンカテーテル16にあっては、前記インナーシャフト650の樹脂硬度が、先端に向かって柔軟となるように変化しているため、補強体であるコアワイヤ90のみならず前記インナーシャフト650により、押し込み力を向上させることができる。また、前記先端側異形部653及び前記後端側異形部657を設けるにあたって別部材を用いる必要がないために、製造工程の簡易化を図ることができる。さらに、前記第二シャフト部652や前記第三シャフト部654よりも硬い樹脂によって形成されている第一シャフト部651は、キンクしやすい(折れやすい)が、第一シャフト部651の位置する部分にはコアワイヤ90が配置されているため、第一シャフト部651の耐キンク性を向上させることができる。
【0064】
なお、前記第二シャフト部652の後端が前記第一シャフト部651の先端を被覆することで後端側異形部657が形成されていてもよいし、前記第二シャフト部652の先端が前記第三シャフト部654の後端を被覆することで先端側異形部653が形成されていてもよい。
【0065】
〔実施例7〕
実施例7のバルーンカテーテル17を、
図7に従って説明する。なお、実施例1〜6と同様の構成のものは同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0066】
図7に示すように、インナーシャフト750は、第一シャフト部751と、前記第一シャフト部751の先端に接合された第二シャフト部752と、前記第二シャフト部752の先端に接合された第三シャフト部754と、を有している。そして、前記インナーシャフト750には、後端側異形部757と先端側異形部753とが形成されている。
【0067】
さらに、前記先端側異形部753を構成する第三シャフト部754の後端部には、金属素線によって構成されるコイル体758が含まれている。同様に、前記後端側異形部757を構成する第一シャフト部751の後端部にも、金属素線によって構成されるコイル体759が含まれている。
【0068】
前記バルーンカテーテル17にあっては、上記実施例6に記載した利点に加えて、前記先端側異形部753及び前記後端側異形部757の剛性が向上する。したがって、バルーンカテーテル17を押し込む際には、前記コアワイヤ90の膨隆部91が前記先端側異形部753に当接し、前記コイル体758が押し込む力が的確にインナーシャフト750に伝達して操作性が向上する。また、バルーンカテーテル17を引き戻す際には、前記コアワイヤ90の膨隆部91が前記後端側異形部757に当接し、前記コイル体759が引っ張る力が的確にインナーシャフト750に伝達してバルーンカテーテル17を素早く回収することができる。
【0069】
なお、前記先端側異形部753及び前記後端側異形部757のうち一方にコイル体が含まれた構成であってもよい。
【0070】
〔実施例8〕
実施例8のバルーンカテーテル18を、
図8に従って説明する。なお、実施例1〜7と同様の構成のものは同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0071】
図8に示すように、インナーシャフト850は、外径が他の部位に比して径小な径小部851を有している。そして、径小部851の先端側に形成された段差部によって先端側異形部853が形成されている。一方、径小部851の後端側に形成された段差部によって後端側異形部857が形成されている。
【0072】
前記バルーンカテーテル18にあっては、まずインナーシャフト850を全長にわたって外径を等しく形成し、それから所要部位に径小部851を設けることで先端側異形部853と後端側異形部857とを形成することができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施例1〜7以外にも適宜変更可能である。例えば、先端側異形部や後端側異形部は、コアワイヤ90の膨隆部91が規制範囲内で軸方向に自由に移動可能であれば、図示した段差形状である必要はなく、テーパ形状とされていても構わない。
【0074】
また、インナーシャフトやアウターシャフトは単層構造に限定されず、複層構造であっても構わない。
【0075】
また、膨隆部91の形状は、球形状に限られず、円柱形状や楕円形状等であっても構わない。
【0076】
なお、上記実施例1〜7では、膨隆部91は、コアワイヤ90の先端を溶融することで、形成されている。しかし、これに限定されず、コアワイヤ90の先端又は中間位置に、(ア)ロウ材(例えば、Sn−Pb合金、Pb−Ag合金、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等)を接合する、又は、(イ)金属素線で構成された中空状のコイル体を接合することで、膨隆部91を形成してもよい。
【0077】
また、上記実施例1〜7では、理解し易くするため、先端側異形部53,453,553,653,753,853と後端側異形部57,257,357,657,757,857とは、同じ外径を有していた。しかし、これに限定されず、先端側異形部53,453,553,653,753,853の外径は、後端側異形部57,257,357,657,757,857の外径とは異なる外径を有していてもよい。但し、先端側異形部53,453,553,653,753,853及び後端側異形部57,257,357,657,757,857の外周面とアウターシャフト30の内周面との間隔は、コアワイヤ90の膨隆部91における直径(最大外径)よりも小さくなるように設定しておく必要がある。
【0078】
また、上記実施例6では、理解し易くするため、コイル体758,759を先端側異形部753及び後端側異形部757のみに設けて説明した。しかし、これに限定されず、コイル体をインナーシャフト750の全長に設けてもよい。