(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記評価結果出力部は、前記曲率半径が第1の閾値以下で、且つ旋回時の加速度が第2の閾値以上で、且つ積算旋回角度が第3の閾値以上である場合に、交差点における旋回として認識する、
ことを特徴とする請求項3に記載の運転評価装置。
前記車載器は、前記車両上の方向指示器の作動状態、もしくは前記方向指示器に対する操作を監視して、少なくとも前記方向指示器が動作を開始した時刻を検出し、前記時刻を前記運行記録データの一部として記録する方向指示器動作開始時刻記録部、を備え、
前記評価結果出力部は、前記右左折開始時刻を検出した後で、前記運行記録データ上の各データについて、前記右左折開始時刻から少なくとも時刻を過去にさかのぼる方向に検索を行い、前記方向指示器動作開始時刻を特定する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の運転評価装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように速度超過を評価したり、急加速/急減速などを評価するだけでは、運転者が常に安全運転を行っているかどうかを適切に評価することはできない。
【0007】
例えば、自車両が交差点で右左折しようとする際に、余裕を持って事前に方向指示器による合図を出すことにより、対向車等の他車両の運転者は、自車両の進路を予想して危険な状況を回避することが可能になる。しかし、自車両が方向指示器による合図を出さなかったり、右左折の直前のタイミングで方向指示器による合図を出した場合には、他車両の運転者に迷惑を掛けたり、他車両の運転者が予期していない状況になり、他車両が急減速を余儀なくされたり、自車両と他車両とが衝突する危険がある。
【0008】
したがって、道路交通法においては、方向指示器による合図を、右左折する地点の30m手前から出すことが規定されている。この規定にしたがって自車両の運転者が運転する場合には、交差点において対向車等の他車両の運転者は、自車両の進路を予想して危険な状況を回避することが可能になる。
【0009】
特許文献3の車両運行管理システムによれば、自車両の運転者が方向指示器による合図を出さずに交差点で右左折した場合に、自車両の運転者に対して注意を喚起することが可能である。しかし、自車両の運転者が右左折する直前で方向指示器による合図を出した場合のように、合図のタイミングが不適切であり、危険な状況であったとしても、このような運転行動に対して注意を喚起することはできない。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、交差点での右左折の運転操作を適切に評価することが可能な運転評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係る運転評価装置は、下記(1)〜(
5)を特徴としている。
(1) 車両上で検出された所定の事象を記録した運行記録データに基づいて、運転者の運転操作を評価する運転評価装置であって、
前記運行記録データに基づいて、前記車両における右左折開始時刻と、前記右左折開始時刻の近傍における方向指示器動作開始時刻とをそれぞれ検出し、前記方向指示器動作開始時刻から前記右左折開始時刻までの前記車両の走行距離を算出し、前記走行距離に基づいて評価結果を出力する評価結果出力部、
を備え、
前記評価結果出力部は、右折
と左折
とを区別して前記右左折開始時刻を検出し、右左折に関する複数回の運転操作のそれぞれについて前記走行距離を算出し、右折
と左折
とのそれぞれについて、複数の前記走行距離を集計して所定の統計処理を施すと共に前記統計処理の結果を前記評価結果として出力
し、
前記評価結果出力部は、複数の運転者のそれぞれに対応付けられた前記運行記録データを個別に処理して、複数の運転者のそれぞれの前記評価結果を、前記走行距離の長さ毎の発生頻度の分布状況を表すと共に前記発生頻度の違いが表示の濃度又は着色の違いで表現されたヒストグラムを用いて、且つ、対比できるように並べて、一覧表示する、
ことを特徴とする運転評価装置。
(
2) 前記評価結果出力部は、
前記走行距離を走行速度に基づき算出する、
ことを特徴とする上記(1)
に記載の運転評価装置。
(
3) 前記車両上に搭載され前記運行記録データを記録する車載器を備え、
前記車載器は、少なくとも前記車両の車幅方向に加わった加速度、および前記車両の走行速度の情報を時刻と共に前記運行記録データの一部として記録し、
前記評価結果出力部は、少なくとも前記車両の車幅方向に加わった加速度と前記車両の走行速度とに基づいて前記車両の走行軌跡の曲率半径を算出し、算出した前記曲率半径に基づいて交差点における旋回か否かを特定し、前記交差点で前記車両が旋回を開始した時刻を前記右左折開始時刻として特定する、
ことを特徴とする上記(1)
または(2)に記載の運転評価装置。
(
4) 前記評価結果出力部は、前記曲率半径が第1の閾値以下で、且つ旋回時の加速度が第2の閾値以上で、且つ積算旋回角度が第3の閾値以上である場合に、交差点における旋回として認識する、
ことを特徴とする上記(
3)に記載の運転評価装置。
(
5) 前記車載器は、前記車両上の方向指示器の作動状態、もしくは前記方向指示器に対する操作を監視して、少なくとも前記方向指示器が動作を開始した時刻を検出し、前記時刻を前記運行記録データの一部として記録する方向指示器動作開始時刻記録部、を備え、
前記評価結果出力部は、前記右左折開始時刻を検出した後で、前記運行記録データ上の各データについて、前記右左折開始時刻から少なくとも時刻を過去にさかのぼる方向に検索を行い、前記方向指示器動作開始時刻を特定する、
ことを特徴とする上記(
3)または(
4)に記載の運転評価装置。
【0012】
上記(1)
及び(2)の運転評価装置によれば、前記評価結果出力部が前記運行記録データから交差点を示すデータを抽出するので、交差点における運転挙動、例えば方向指示器操作、交差点進入速度、横方向加速度、一時停止の有無などを容易に評価できる。
また、評価結果出力部は、方向指示器動作開始時刻と右左折開始時刻とに基づいて評価結果を出力するので、自車両の右左折の際に、方向指示器の合図を十分に余裕を持った適切なタイミングで出しているかどうかを評価に反映することができる。
更には、自車両が方向指示器による合図を出した地点から右左折を開始した地点までの距離を評価に反映することができる。したがって、この評価結果と、道路交通法の規定との対比も容易になる。
上記(
3)の運転評価装置によれば、評価結果出力部が曲率半径を算出するので、この曲率半径に基づき、カーブしている道路を走行している状況と、交差点で右左折している状況とを容易に区別できる。また、加速度に基づいて曲率半径を算出するので、操舵角度の情報を取得できない一般的な車両においても評価を行うことができる。
上記(
4)の運転評価装置によれば、自車両の曲率半径と、旋回時の加速度と、積算旋回角度とに基づいて交差点における旋回か否かを識別するので、より精度の高い識別結果が得られる。
上記(
5)の運転評価装置によれば、右左折開始時刻を先に検出し、その後で方向指示器動作開始時刻を特定するので、適切な評価が可能である。例えば、自車両が方向指示器の合図を出さずに右左折した場合にも、この危険な運転行動を確実に評価できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の運転評価装置によれば、交差点での右左折の運転操作を適切に評価することが可能になる。すなわち、運行記録データから交差点のデータを抽出するので、交差点における運転挙動、例えば方向指示器操作、交差点進入速度、横方向加速度、一時停止の有無などを容易に評価できる。
また、前記評価結果出力部が前記方向指示器動作開始時刻と前記右左折開始時刻とに基づいて評価結果を出力するので、自車両の右左折の際に、方向指示器の合図を十分に余裕を持った適切なタイミングで出しているかどうかを評価に反映することができる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
本発明の実施形態における運転評価装置の構成例を
図1に示す。
図1に示した運転評価装置は、車載器10と事務所PC40とを備えている。
【0018】
車載器10は、デジタルタコグラフ、すなわち運行記録計の機能を有し、例えばタクシー、トラック、バスなどの管理対象の業務用車両に搭載した状態で使用される。車載器10は、自車両の運行状態を表す様々な情報を自動的に取得して、そのデータを記録メディア25に記録し保存することができる。
【0019】
事務所PC40は、多数の車両を保有しこれらの運行業務を管理する企業の事務所等に設置される管理装置であって、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)に管理用の専用のソフトウェアを組み込んだ装置として構成されている。すなわち、この事務所PC40は多数の車両の各々に搭載した車載器10が記録した運行状態の情報を取得して解析することにより、各車両の運行管理や、各車両を運転する各乗務員の労務管理や安全運転管理などに役立てることができる。
【0020】
各車載器10と事務所PC40との間のデータ転送については、車載器10に対して着脱自在な記録メディア25の移動により行うこともできるし、車載器10が無線通信機能を有する場合には無線通信でデータを転送することもできる。
【0021】
本実施形態における特徴的な事項として、車載器10は、道路上の各交差点等の場所で自車両が進路変更(右折または左折)をした時に、この進路変更の状態を識別するために必要な様々な情報を記録メディア25に記録する。実際に記録メディア25に記録する情報としては、各時点における横方向の加速度(G値)、車速、車両の現在位置を表す位置情報(緯度/経度)、方位角情報、日時、方向指示器(ウインカー)の動作状態を示す情報などがある。また、車載器10は道路の路面に標示され各走行レーンの境界を表す区画線(白線など)の位置を認識する機能を備えている。
【0022】
また、各車載器10が記録メディア25に記録した情報は、事務所PC40がアクセス可能な後方解析データベース26上に蓄積される。事務所PC40は、後方解析データベース26から各車両の記録した情報を読み出して解析し、必要な情報を取得する。具体的には、記録された横方向の加速度と車速とに基づいて旋回時の曲率半径rを算出し、この曲率半径rおよびその他の情報に基づいて交差点における右折または左折の進路変更を表す各イベントを抽出する。
【0023】
更に、右折および左折の各進路変更イベントにおいて、進路変更開始点を検出し、その近傍で方向指示器動作開始点も検出する。そして、時間および車速に基づいて、前記進路変更開始点と前記方向指示器動作開始点との間の自車両の走行距離を算出する。つまり、右折または左折の進路変更イベントの際に、方向指示器による合図を出し始めた時点から、実際に進路変更を開始した時点までの走行距離を特定する。更に、後方解析データベース26上のデータとして記録されている多数の進路変更イベントについて、前記走行距離を集計し、統計処理を行う。
【0024】
前記走行距離を集計する際には、左折の進路変更と右折の進路変更とをそれぞれ区別して集計した結果と、右左折を区別せずに集計した結果とをそれぞれ記録する。統計処理の具体例としては、ヒストグラムの作成、最頻値、標準偏差、最大値、最小値等の算出を行う。
【0025】
そして、事務所PC40は統計処理の結果を画面に表示する。この表示を行う際には、事前に定めた評価基準値と、実際の走行距離との差異が視覚的に容易に認識できる状態で出力する。また、事務所PC40は多数の乗務員のそれぞれの記録データにアクセスできるので、乗務員毎にそれぞれ統計処理を行い、その結果を一覧表示して、複数の乗務員の行動の違いを対比できる状態で出力する。
【0026】
なお、事務所PC40が行う動作の一部分の機能を車載器10上に搭載することもできる。その場合は、車載器10上で記録メディア25に記録した情報に基づき、ほぼリアルタイムで分析を行い、進路変更(右折または左折)開始点の時刻(t00)を検出し、方向指示器動作開始点の時刻(t01)を特定し、2つの時刻の時間差(t00−t01)の間の走行距離を車速に基づき算出することができる。更に、算出した前記走行距離を所定の閾値と比較して、安全運転でない場合に、乗務員に警告を行うこともできる。
【0027】
次に、車載器10の構成例を説明する。
図1に示した車載器10は、映像デコーダ11、画像処理用CPU12、読み出し専用メモリ13、一時記憶用メモリ14、NTSC信号処理部15、モニタ出力部16、制御系処理CPU17、読み出し専用メモリ18、一時記憶用メモリ19、車両信号インタフェース20、GPS位置情報取得部21、CANインタフェース22、音声出力部23、バイブレータ出力部24、記録メディア25、PC用インタフェース27、ハンディ端末接続部28、不揮発性メモリ(EEPROM)29、および加速度センサ33を備えている。
【0028】
加速度センサ33は、自車両の左右方向(車幅方向)に加わる加速度(G値:m/s
2)の大きさを検出することができる。この加速度センサ33は、本実施形態では交差点等における自車両の右左折に伴う旋回動作を検出するために利用される。なお、加速度センサ33の設置状態については、加速度を検出する方向の軸が必ずしも自車両の左右方向と平行になっている必要はなく、例えばベクトル演算等により左右方向の加速度を取得できるものであれば軸の方向がずれていても利用できる。
【0029】
映像デコーダ(Decoder)11の2つの映像入力端子には、それぞれメイン車載カメラ31およびオプション車載カメラ32が接続されている。メイン車載カメラ31は、道路の路面を含む自車両の進行方向前方の風景を撮影できる状態で車室内に設置されており、撮影した映像をNTSC(National Television System Committee)規格の映像信号として出力する。オプション車載カメラ32は、自車両を運転する乗務員を被写体として撮影できるように車室内に設置されており、撮影した映像をNTSC規格の映像信号として出力する。
【0030】
映像デコーダ11は、メイン車載カメラ31およびオプション車載カメラ32のそれぞれが出力する映像信号を取り込んで、コンピュータ等が処理可能なデジタル画像データをフレーム毎に生成する。メイン車載カメラ31が撮影した映像に相当するデジタル画像データ、およびオプション車載カメラ32が撮影した映像に相当するデジタル画像データのそれぞれが、画像処理用CPU12および制御系処理CPU17に入力される。
【0031】
画像処理用CPU12は、マイクロコンピュータであり、事前に組み込まれているプログラムを実行することにより、所定の画像処理を高速で実行することができる。具体的には、メイン車載カメラ31の映像に相当するデジタル画像データの中から、自車両の輪郭形状や各部の位置を認識したり、風景に含まれる路面に標示されている走行レーン境界の各区画線(白線)を認識することができる。画像処理用CPU12は、画像処理の結果を制御系処理CPU17に与えることができる。
【0032】
読み出し専用メモリ(ROM)13は、画像処理用CPU12のアクセスによりデータの読み出しが可能なメモリであり、画像処理用CPU12が動作するために必要な各種プログラムや各種定数などのデータを事前に保持している。
【0033】
一時記憶用メモリ(SDRAM)14は、画像処理用CPU12のアクセスによりデータの書き込みおよび読み出しが可能なメモリであり、様々なデータを必要に応じて一時的に格納するために利用される。
【0034】
NTSC信号処理部(Encoder)15は、画像処理用CPU12における認識結果などの画像に基づいて、NTSC規格の映像信号を生成する。この映像信号はモニタ出力部16に出力される。モニタ出力部16に所定のモニタ装置(ディスプレイ)を接続することにより、画像処理用CPU12における認識結果などをモニタすることができる。
【0035】
制御系処理CPU17は、マイクロコンピュータであり、予め組み込まれている様々なプログラムを実行することにより、車載器10に必要とされる様々な機能を実現するための制御を行うことができる。車載器10はデジタルタコグラフであるので、制御系処理CPU17の主要な動作は、自車両の運行に関連する様々な情報を自動的に取得して記録メディア25に記録することである。
【0036】
制御系処理CPU17が記録メディア25に記録する情報には、以下に示すようなデータD1〜D11が含まれている。
D1:左右方向の加速度(G値)
D2:現在時刻(日時)
D3:車速[km/h]
D4:自車両の現在位置(緯度/経度)
D5:自車両の進行方向を表す方位角情報
D6:左右の方向指示器の各々の動作の有無
D7:走行レーン境界の各区画線の有無
D8:イグニッション(IGN)のオンオフ状態
D9:ブレーキ動作のオンオフ
D10:運転中の乗務員を撮影した画像データ
D11:警報などの各種イベントの発生状況を表すデータ
【0037】
読み出し専用メモリ(ROM)18は、制御系処理CPU17のアクセスによりデータの読み出しが可能なメモリであり、制御系処理CPU17が動作するために必要な各種プログラムや各種定数などのデータを事前に保持している。
【0038】
一時記憶用メモリ(SDRAM)19は、制御系処理CPU17のアクセスによりデータの書き込みおよび読み出しが可能なメモリであり、様々なデータを必要に応じて一時的に格納するために利用される。
【0039】
不揮発性メモリ(EEPROM)29は、制御系処理CPU17のアクセスによりデータの書き込みおよび読み出しが可能なメモリであり、車載器10の動作モードを決定するための各種パラメータ、各種閾値、テーブルなどを保持することができる。不揮発性メモリ29が保持するデータは、必要に応じて書き換えることができる。
【0040】
車両信号インタフェース(I/F)20は、車載器10と車両上の他の様々な電装品との間で信号のやり取りを行うために必要な信号処理を行う。例えば、次に示すような信号の入出力が車両信号インタフェース20を経由して行われる。
SG0:車速パルス信号(入力)
SG1:トリガ信号(出力)
SG2:イグニッション(IGN)のオンオフを示す信号(入力)
SG3:乗務員が操作可能な手動スイッチの状態を示す信号(入力)
SG4:ブレーキ動作のオンオフを示す信号(入力)
SG5:左側の方向指示器のオンオフを示す信号(入力)
SG6:右側の方向指示器のオンオフを示す信号(入力)
【0041】
GPS位置情報取得部21は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信する受信機を用いて、自車両の現在位置の緯度および経度を計算により取得することができる。なお、GPS受信機は車載器10に内蔵してもよいし、車載器10の外側に接続してもよい。
【0042】
CANインタフェース22は、車両上でCAN (Controller Area Network)規格のデータ通信を行うためのトランシーバを内蔵している。このCANインタフェース22は、車両上の通信網を経由して他の機器、例えば計器板のメータユニットや様々な電子制御ユニット(ECU)と接続されている。したがって、車載器10は他の機器から様々な情報、例えば車速の情報、エンジン回転速度の情報などを取得することが可能である。
【0043】
なお、車速の情報については、車両信号インタフェース20に入力される車速パルス信号SG0のパルス周期、あるいは一定時間内に発生したパルス数に基づいて制御系処理CPU17が算出することも可能である。
【0044】
音声出力部23は、例えば警告や案内などのメッセージを運転者に聞こえる疑似音声として所定のスピーカから出力するための合成音声信号を生成することができる。すなわち、音声出力部23は、制御系処理CPU17の指示に従い、必要な音声のメッセージを出力する。
【0045】
バイブレータ出力部24は、制御系処理CPU17の指示に従い、所定のバイブレータを駆動することができる。このバイブレータの駆動により発生する振動で、運転者に何らかの状況を知覚させることができる。
【0046】
記録メディア25は、例えば不揮発性メモリを内蔵したカード状のデバイスとして構成される。この記録メディア25は、車載器10に設けられた所定のカードスロットに着脱自在な状態で装着される。この記録メディア25内の記憶領域には、これを使用する特定の乗務員(ドライバ)を表す乗務員IDなどの情報が予め登録されている。
【0047】
制御系処理CPU17は、車載器10に装着された記録メディア25にアクセスし、記録メディア25に対してデータの書き込みおよび読み出しを行うことができる。実際には、上記のデータD1〜D11を含む運行情報が、制御系処理CPU17の制御により記録メディア25上のメモリに逐次書き込まれる。なお、記録メディア25に書き込まれた運行情報が不正アクセスにより改竄や消去されることがないように、特別なアクセス制御が実施される。
【0048】
例えば、車両の運行業務が終了した時に、乗務員が記録メディア25を車載器10から取り外して事務所に持ち帰り、記録メディア25上に記録されている様々な運行情報を事務所PC40上のサーバに転送し、後方解析データベース26に登録することができる。なお、車載器10が無線通信機能を搭載している場合には、記録メディア25を車載器10に装着したままの状態で、記録メディア25上の運行情報をサーバに自動的に転送することも可能である。
【0049】
PC用インタフェース27は、車載器10にパーソナルコンピュータ(PC)を接続するための端子を備えている。PC用インタフェース27に所定のパーソナルコンピュータを接続することにより、例えば車載器10の状態を前記パーソナルコンピュータの画面上に表示することができる。
【0050】
ハンディ端末接続部28は、所定のハンディ端末(H/T)を接続するための接続端子を備えている。このハンディ端末は、図示しないが、ユーザ(管理者)が操作可能な複数のボタンや表示器を備えている。例えば、所定の管理者が車載器10をメンテナンスする時に、ハンディ端末を車載器10に接続することにより、不揮発性メモリ29上に記憶されている各種パラメータを読み出したり更新することができる。
【0051】
次に、交差点での自車両の右左折の認識に関し説明する。
車両が走行する道路を上方から視た状態の具体例を
図3に示す。
図3に示した状態においては、自車両54が移動軌跡54aで示すように、走行している道路50の交差点50aで右折の進路変更を行った状況を表している。
【0052】
また、
図3の例で、移動軌跡54aで示すように、自車両54は交差点50aまでは道路50上を直進し、交差点50aの入口の右左折開始点P0から右方向に旋回して右折の進路変更を行っている。なお、
図3に示す基準点P10、P20、およびP30は、それぞれ右左折開始点P0の位置に対して手前10[m]、手前20[m]、および手前30[m]の位置を表している。
【0053】
一般的な運転操作においては、運転者は右折または左折を行う前に、つまり交差点50aの手前で方向指示器による右左折の合図を開始する。これにより、他車両の運転者に対して自車両が右折または左折する予定であることを知らせることができ、危険な状況が生じるのを回避できる可能性が高い。
【0054】
したがって、例えば、道路交通法においては、方向指示器による合図を、右左折する地点の30m手前から出すことが規定されている。したがって、
図3に示した例では、右左折開始点P0の手前30[m]の位置である基準点P30の位置で方向指示器の動作を開始することにより、道路交通法の規定に違反しない状態で右折することができる。また、周囲の他車両の運転者が自車両の進路変更を正しく予想して他車両の運転に反映するための時間的余裕を十分に確保できる。
【0055】
一方、自車両54が
図3に示すような右折を行った場合に、道路交通法の規定に違反していないかどうかを確認するためには、まず最初に交差点における右左折であるかどうかを識別する必要がある。
【0056】
本実施形態では、例えば記録メディア25から後方解析データベース26上に転送した運行情報を事務所PC40で解析する際に、交差点における右左折を識別するための1つの条件として、自車両旋回時の曲率半径rを参照している。この曲率半径rは次式により算出できる。
r=V
2/G[m] ・・・(1)
V:車速[m/s]
G:加速度[m/s
2]
【0057】
ここで、車速Vの情報は、記録された運行情報に含まれている前記データD3として取得できる。また、加速度Gの情報は、記録された運行情報に含まれている前記データD1として取得できる。
【0058】
カーブ路や交差点などにおいて平面上で車両が旋回する場合には、必ず横方向(車体の左右方向)の加速度が発生する。この加速度と車速に基づいて上記第(1)式のように曲率半径rを求めることができる。また、旋回時の移動軌跡を求めることもできるし、横方向加速度の向きにより右旋回/左旋回を区別することもできる。
【0059】
また、交差点で右左折する場合の自車両の旋回においては曲率半径rが比較的小さくなる。また、一般的なカーブしている道路上を走行している場合に検出される曲率半径rは比較的大きい。したがって、曲率半径rを所定の閾値と比較し、閾値以下であれば交差点における右折または左折である可能性が高い。また、曲率半径rが小さい状態で旋回する場合には横方向の加速度Gが比較的大きくなるので、交差点における旋回か否かを識別するための条件の1つとして、横方向の加速度Gを閾値と比較することも考えられる。
【0060】
また、記録された運行情報に含まれている前記データD6により左右の方向指示器の各々の動作の有無を知ることができるので、左右いずれかの方向指示器が動作している状態で旋回している場合には交差点における右左折である可能性が高い。
【0061】
また、車速V[m/s]と、曲率半径r[m]と、角速度ω[rad/s]との間には次式の関係があるので、車速Vおよび曲率半径rに基づいて旋回中の角速度ωを算出することができる。
V=r×ω ・・・(2)
【0062】
また、角速度ωを積分することにより、車両が旋回した際の旋回角度を求めることができ、旋回を開始してからの積算旋回角度も求めることができる。また、旋回時の移動軌跡における円周上の移動距離L[m]と、曲率半径r[m]とが分かる場合には、次式に基づき旋回角度θを求めることもできる。
L=r×θ ・・・(3)
【0063】
また、実際の道路の状況に応じて多少変化するが、交差点における右折や左折の場合には、通常は車両が90度程度の角度にわたり旋回することになる。したがって、旋回を開始してからの積算旋回角度を所定の閾値と比較して、閾値以上であれば交差点における右折や左折である可能性が高い。
【0064】
また、画像認識により道路上の区画線(白線)を認識している場合には、交差点内で区画線が途切れるので、旋回中に区画線が途切れているか否かを、交差点か否かを識別するための条件に加えることもできる。すなわち、記録された運行情報に含まれる前記データD7により、走行レーン境界の各区画線の途切れの有無を参照して、交差点か否かの識別に反映する。
【0065】
また、車載器10がGPS受信機を搭載している場合には、自車両の位置情報の他に方位角を表す情報も得られるので、各時点における車両の進行方向を知ることができる。すなわち、記録された運行情報に含まれる前記データD5により、交差点進入時の進行方向を表す方位角、および交差点脱出時の進行方向を表す方位角を取得することができる。
【0066】
したがって、交差点か否かを識別する際に参照する積算旋回角度については、前記第(2)式の角速度ωに基づいて取得することもできるし、前記第(3)式に基づいて取得することもできるし、運行情報に含まれる前記データD5に基づく方位角の変化として取得することもできる。
【0067】
上記のような方法で交差点における旋回(右折または左折)を認識した後、加速度Gに基づき旋回が始まった位置を検索することにより、
図3に示した右左折開始点P0を特定することができ、右左折開始点P0に対応する時刻(t00)を運行情報に含まれる前記データD2により取得できる。
【0068】
また、記録された運行情報を、前記右左折開始点P0のデータ位置から少なくとも時間を過去にさかのぼる方向に検索し、データD6に基づき方向指示器が右左折の合図を出し始めた点を特定し、特定した点の時刻(t01)を運行情報に含まれる前記データD2により取得できる。
【0069】
もしも、前記右左折開始点P0のデータ位置から所定時間(例えば5秒間)だけ過去にさかのぼって検索しても方向指示器が右左折の合図を出し始めた点が見つからない場合には、前記右左折開始点P0のデータ位置から所定時間(例えば5秒間)以内の範囲で、時間軸の順方向に向かって検索を行う。つまり、前記右左折開始点P0の前後所定時間の範囲内で検索を行うことで、今回の右左折と関連のある方向指示器の合図を出し始めた時刻を特定する。
【0070】
また、記録された運行情報に含まれている前記データD3から各時点の車速が分かるので、単位時間あたりの自車両の走行距離を前記車速から求めることができる。更に、前記時刻t00とt01との間の走行距離も算出できる。
【0071】
前記時刻t00とt01との間の走行距離の大きさは、他車の運転者が自車両54の右左折に伴う進路変更を予想して他車両の運転操作に反映するために必要な時間の余裕の有無と関係するので、安全な運転を行う上で非常に重要である。例えば、道路交通法で規定されているように、方向指示器による合図を右左折する地点の30m手前から出すように運転操作した場合には、危険な状況が発生するのを未然に防止できる可能性が高い。また、前記時刻t00とt01との間の走行距離の大きさを評価することにより、道路交通法の規定に違反した状態で運転していないかどうかを容易に確認できる。
【0072】
図1に示した運転評価装置の主要な動作を
図2に示す。
図2に示す処理において、ステップS11、S12は車載器10における動作を示し、他のステップS21〜S31は事務所PC40の動作を示す。なお、
図2に示したステップS21〜S31の動作は一例であり、
図2の動作以外にも、前述のように様々な情報を利用して交差点における旋回とそれ以外とを区別することが可能である。
図2に示した動作について以下に説明する。
【0073】
車載器10においては、メイン車載カメラ31で撮影した風景の映像に相当するデジタル画像データを画像処理用CPU12が画像処理することにより、道路上の白線、すなわち道路上に標示されている各区画線を認識する(S11)。
【0074】
また、前述のデータD1〜D11、すなわち左右方向の加速度(G値)、現在時刻(日時)、車速、自車両の現在位置(緯度/経度)、自車両の進行方向を表す方位角情報、左右の方向指示器の各々の動作の有無、走行レーン境界の各区画線の有無などを、制御系処理CPU17が自動的に取得して記録メディア25上に記録する(S12)。
【0075】
記録メディア25に記録した運行情報は、当日の車両の運行業務が終了した後で、記録メディア25の物理的な移動により、もしくは無線通信により、事務所PC40のサーバが管理している後方解析データベース26に転送される。
【0076】
一方、所定の管理者が事務所PC40上で運行情報の評価を実施する際には、事務所PC40は後方解析データベース26にアクセスし、時系列データとして順次に記録されている乗務員毎の運行情報を、運行開始時刻の位置から読み込み開始する(S21)。
【0077】
ステップS22では、運行情報の中から自車両の旋回動作を検出するために、読み込んだ運行情報に含まれている左右方向の加速度GのデータD1と、車速のデータD3とに基づいて、前記第(1)式の計算を行い、各時点の運行情報について曲率半径rを事務所PC40が取得する。
【0078】
ステップS23では、自車両の旋回動作について、旋回角度の算出およびその積算を事務所PC40が実施する。すなわち、前記第(2)式に基づいて角速度ωを算出してそれを積算するか、または前記第(3)式に基づいて旋回角度θを取得する。
【0079】
ステップS24では、S22で算出した曲率半径rを事前に定めた閾値と比較する。曲率半径rが前記閾値以下の場合は交差点である可能性が高いので次のS25に進み、曲率半径rが前記閾値を超える場合は交差点でないとみなしてS22に戻る。
【0080】
ステップS25では、自車両の旋回動作中の横方向加速度Gを事前に定めた閾値と比較する。横方向加速度Gが前記閾値以上の場合には、交差点における右左折に伴う旋回である可能性が高いので次のS26に進み、横方向加速度Gが前記閾値未満の場合は交差点以外とみなしてS22に戻る。
【0081】
ステップS26では、S23で算出した積算旋回角度、つまり旋回動作を開始してからの角度の変化を事前に定めた閾値と比較する。積算旋回角度が前記閾値以上の場合は右折または左折とみなすのに十分な角度の旋回動作を行っているので次のS27に進み、積算旋回角度が前記閾値未満の場合は右左折とは違う状態とみなしてS22に戻る。
【0082】
ステップS27では、現在分析している自車両の旋回動作について、旋回動作を開始した点、つまり
図3に示す右左折開始点P0を見つけ、この点の時刻(t00)をデータD2により特定する。そして、この点の前後所定時間(例えば5秒間)の範囲内で、データD6を参照し、方向指示器の動作開始点を検索する。また、検索した動作開始点の時刻(t01)をデータD2により特定する。
【0083】
ステップS28では、右左折開始点P0と方向指示器の動作開始点との間の自車両の走行距離を算出する。つまり、データD3の車速により単位時間あたりの走行距離が分かるので、右左折開始点P0の時刻t00と、方向指示器の動作開始点の時刻t01との間の移動距離を、車速に基づいて算出する。この走行距離を1つの評価対象値として事務所PC40が記録する。
【0084】
なお、通常の運転操作においては、方向指示器の動作が開始した後で右左折の進路変更を開始することになる。したがって、方向指示器の動作が開始した箇所をS27で検索する際には、通常は旋回動作を開始した箇所(P0)から過去に向かって時間をさかのぼる方向に順番に時系列データを参照する。但し、乗務員が異常な運転操作を行う可能性もあるので、旋回動作を開始した箇所の前後両方について検索を実施する。また、方向指示器による合図を出さずに右左折を行う可能性もあるが、その場合は方向指示器の動作が開始した箇所の検索に失敗することになり、異常な運転であることを検出できる。
【0085】
全ての時系列データ、もしくは管理者が指定した範囲内の全ての時系列データの読み込みが終了してなければ、S29からS22に戻って上記の処理を繰り返す。したがって、運行情報として記録されている全ての右左折イベントの各々について、S28で(t00−t01)の時間内の走行距離が評価対象値として記録される。
【0086】
全ての時系列データ、もしくは管理者が指定した範囲内の全ての時系列データの読み込みが終了するとS30に進み、事務所PC40が所定の統計処理を行う。具体的には、右折の進路変更と左折の進路変更とを別々に分けたものと、両方を統合したものとのそれぞれについて、全ての右左折イベントの前記評価対象値(走行距離)を集計して統計値を算出する。例えば、走行距離の長さ毎の発生頻度の分布状況を表すヒストグラムを作成したり、平均値、最頻値、標準偏差、最大値、最小値などを求める。
【0087】
ステップS30までの処理が終了した後、事務所PC40はS30の統計処理の結果を評価結果として反映した情報を含む日報35を作成し、日報35を紙に印刷する。また、運転評価画面を事務所PC40のディスプレイに表示する(S31)。
【0088】
なお、自車両の右左折の運転について実際に評価結果を出力する場合には、
図2のステップS28で算出される走行距離の他に、交差点への進入速度、横方向加速度の大きさ、一時停止の有無などの情報も考慮して評価することが想定され、これによってより適切な評価を行うことが可能になる。
【0089】
次に、評価結果の具体的な表示例について説明する。
評価結果の表示例を
図4に示す。
図4に示す表示内容は、
図2に示したステップS31で事務所PC40のディスプレイに表示される運転評価画面の具体例を表している。
【0090】
図4の運転評価画面は、5名の乗務員(ドライバA、ドライバB、ドライバC、ドライバD、ドライバE)の各々の左折時のみに限定した運転操作の評価結果をヒストグラムとして出力したものであり、5名の乗務員の評価結果を対比できるように並べて一覧表示している。このヒストグラムは、表示の濃度または着色の違いにより頻度の違いを表している。また、評価基準値として、「10m手前」、「20m手前」、「30m手前」のそれぞれの値の位置を表す縦線を基準線としてヒストグラム上に表示してある。
図4における評価基準値の「10m手前」、「20m手前」、および「30m手前」は、それぞれ
図3に示した基準点P10、P20、およびP30の位置に相当する。
【0091】
図4において、時間t0は、実際に左折の旋回動作を開始した時刻(t00)に相当する。また、時間t1、t2、t3は、それぞれ評価基準値「10m手前」、「20m手前」、および「30m手前」の時間を表している。但し、車速が一定ではないので、実際の時間t1、t2、t3はイベント毎に変化する。
【0092】
例えば
図4に示す画面中の「ドライバA」のヒストグラムを参照すると、最も頻度の高い評価対象値(t00−t01の間の走行距離)が27[m]程度であるので、道路交通法で規定されている「30[m]」と同等であり、ほぼ安全な運転を行っているとみなすことができる。また、「ドライバE」のヒストグラムを参照すると、最も頻度の高い評価対象値が2[m]程度であるので、方向指示器の合図を開始するのとほぼ同時に左折動作を開始していることになり、非常に危険な運転を行っているとみなすことができる。
【0093】
図4の画面のように、複数の乗務員の評価結果を並べて一覧表示することにより、管理者は乗務員全体の評価結果の傾向を容易に把握することができる。また、評価基準値の位置を表示することにより、この評価基準値との差異を容易に把握することができる。したがって、
図4中の「ドライバE」の乗務員のように運転の指導が必要な人物を容易に特定できる。
【0094】
一方、
図1に示した車載器10は、オプション車載カメラ32で撮影した運転者の映像に相当する画像データも、データD10として記録メディア25上に自動的に記録している。したがって、管理者が各乗務員の運転状況について評価を行う際には、前記画像データを再生して運転者の運転の状況を把握することもできる。例えば、右左折時の運転者の挙動を示す画像を時刻から簡単に検索して表示できるので、右左折時に左右の安全確認を行っているかどうかを画像により確かめることができ、その結果を評価に反映することもできる。
【0095】
なお、
図2に示した動作においては、ステップS24〜S26で比較的単純な条件を用いて交差点における右左折か否かを識別しているが、前述の「交差点での自車両の右左折の認識に関する説明」の欄に記載したように、様々な情報を組み合わせた識別条件を状況に応じて採用することが可能である。
【0096】
なお、例えば事務所PC40が
図2のステップS21〜31を実行する際に得られる交差点の情報を、事務所PC40上で保存してそれ以降の評価の際に利用することも考えられる。更に、前記交差点の情報を記録メディア25を用いて事務所PC40から車載器10へ転送し、それ以降の車載器10の制御に反映することも考えられる。
【0097】
ここで、上述した本発明に係る運転評価装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両上で検出された所定の事象を記録した運行記録データに基づいて、運転者の運転操作を評価する運転評価装置であって、
前記運行記録データから交差点を示すデータを抽出し、交差点における運転挙動に基づいて評価結果を出力する評価結果出力部(S21〜S31)、
を備えたことを特徴とする運転評価装置。
[2] 前記評価結果出力部は、前記運行記録データに基づいて、前記車両における右左折開始時刻と、前記右左折開始時刻の近傍における方向指示器動作開始時刻とをそれぞれ検出し、前記方向指示器動作開始時刻と前記右左折開始時刻とに基づいて前記評価結果を出力する
ことを特徴とする上記[1]に記載の運転評価装置。
[3] 前記評価結果出力部は、前記方向指示器動作開始時刻から前記右左折開始時刻までの前記車両の走行距離を走行速度に基づき算出し、前記走行距離に基づいて前記評価結果を出力する、
ことを特徴とする上記[2]に記載の運転評価装置。
[4] 前記車両上に搭載され前記運行記録データを記録する車載器(10)を備え、
前記車載器は、少なくとも前記車両の車幅方向に加わった加速度(G)、および前記車両の走行速度(V)の情報を時刻と共に前記運行記録データの一部として記録し、
前記評価結果出力部は、少なくとも前記車両の車幅方向に加わった加速度と前記車両の走行速度とに基づいて前記車両の走行軌跡の曲率半径(r)を算出し、算出した前記曲率半径に基づいて交差点における旋回か否かを特定し、前記交差点で前記車両が旋回を開始した時刻を前記右左折開始時刻(t00)として特定する、
ことを特徴とする上記[2]または[3]に記載の運転評価装置。
[5] 前記評価結果出力部は、前記曲率半径が第1の閾値以下で、且つ旋回時の加速度が第2の閾値以上で、且つ積算旋回角度が第3の閾値以上である場合に、交差点における旋回として認識する、
ことを特徴とする上記[4]に記載の運転評価装置。
[6] 前記車載器は、前記車両上の方向指示器の作動状態、もしくは前記方向指示器に対する操作を監視して、少なくとも前記方向指示器が動作を開始した時刻を検出し、前記時刻を前記運行記録データの一部(D6)として記録する方向指示器動作開始時刻記録部(制御系処理CPU17)、を備え、
前記評価結果出力部は、前記右左折開始時刻(t00)を検出した後で、前記運行記録データ上の各データについて、前記右左折開始時刻から少なくとも時刻を過去にさかのぼる方向に検索を行い、前記方向指示器動作開始時刻を特定する、
ことを特徴とする上記[4]または[5]に記載の運転評価装置。