(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂(a)若しくはその溶剤溶液及び/又は樹脂(a)の前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液を、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の水系分散体(D2)中に分散させて、前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液を用いる場合には更に前駆体(a0)を反応させて、樹脂粒子(A)の表面に樹脂粒子(B)が付着してなる構造の樹脂粒子(C)の水系分散体(D3)を形成させ、前記水系分散体(D3)から水系媒体及び前記溶剤を除去してなる前記樹脂粒子(C)の製造方法において、前記樹脂(a)がジオールと、ジカルボン酸との重縮合物であり、樹脂(a)若しくはその溶剤溶液及び/又は樹脂(a)の前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液の水系分散体(D2)への分散をHLBが10.0〜20.9のアニオン性界面活性剤(X1)及びHLBが21.0〜40.0のアニオン性界面活性剤(X2)の存在下で行い、前記(X1)と(X2)の重量比率[(X1)/(X2)]が22.5/77.5〜90/10である樹脂粒子(C)の製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の樹脂粒子(A)の製造方法において、(a)若しくはその溶剤溶液及び/又は樹脂(a)の前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液を水系媒体に分散させる工程を含む。
【0008】
本発明における樹脂(a)としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良いが、例えばビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂及びポリカーボネート樹脂が挙げられる。樹脂(a)としては、上記樹脂の2種以上を併用しても差し支えない。この内好ましいのは、微細球状樹脂粒子が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びそれらの併用であり、特に好ましくはポリエステル樹脂である。
【0009】
ビニル系樹脂は、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(9)等が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、シクロヘキセン及びスチレン等が挙げられる。
【0010】
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸及びこれらの塩等が挙げられる。
【0011】
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩としては、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン及びブチレン等:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]並びにそれらの塩等が挙げられる。
【0012】
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等及びこれらの塩等が挙げられる。
尚、上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0013】
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとしては、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及び(メタ)アリルアルコール等が挙げられる。
【0014】
(6)含窒素ビニル系モノマーとしては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド及びジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等が挙げられる。
【0015】
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマーとしては、グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等が挙げられる。
【0016】
(8)ハロゲン元素含有ビニル系モノマーとしては、塩化ビニル、クロルスチレン、ブロムスチレン及びクロロプレン等が挙げられる。
【0017】
(9)ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート及びヘプタデシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖若しくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖若しくは脂環式の基である)、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノ(メタ)アクリレート及びメチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート等]及びポリ(メタ)アクリレート類[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0018】
ビニル系モノマーの共重合体としては、上記(1)〜(9)の任意のモノマー同士を、2種又はそれ以上の種数で、任意の割合で共重合したポリマーが挙げられるが、例えばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸、ジビニルベンゼン共重合体及びスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0019】
ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸又はその酸無水物又はその低級アルキルエステルとの重縮合物等が挙げられる。ポリオールとしてはジオール(10)及び3価以上のポリオール(11)が、ポリカルボン酸又はその酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、ジカルボン酸(12)及び3価以上のポリカルボン酸(13)及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1であり、好ましくは1.5/1〜1/1であり、更に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0020】
ジオール(10)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオール及びネオペンチルグリコール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びジプロピレングリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等)付加物;その他、ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等)及びポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらの内好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、更に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0021】
3価以上のポリオール(11)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等);ノボラック樹脂(フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等);上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物;アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等]等が挙げられる。
これらの内好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物であり、更に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
【0022】
ジカルボン酸(12)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸及びフマール酸等);炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸[ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの内好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(13)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
尚、ジカルボン酸(12)又は3価以上のポリカルボン酸(13)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
【0023】
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(14)と活性水素基含有化合物[水、ポリオール{前記ジオール(10)及び3価以上のポリオール(11)等}、ジカルボン酸(12)、3価以上のポリカルボン酸(13)及びポリアミン(15)等]との重付加物等が挙げられる。
【0024】
ポリイソシアネート(14)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、ウレア基、ウレトイミン基又はイソシアヌレート基を有するもの等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート及びビス(2−イソシアナトエチル)フマレート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)等が挙げられる。上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。また、上記ポリイソシアネートの変性物としては、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI等のポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が挙げられる。これらの内で好ましいものは6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、更に好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
【0025】
ポリアミン(15)としては、炭素数2 〜18の脂肪族ポリアミン類[炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン{ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等}及びこれらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体{ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン及びメチルイミノビスプロピルアミン等}];炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類(キシリレンジアミン及びテトラクロル−p−キシリレンジアミン等);炭素数4〜15の脂環式ポリアミン[1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン及び4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等];炭素数4〜15の複素環式ポリアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン及び1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等];炭素数6〜20の芳香族ポリアミン類[1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン及び3,3’,5,5´−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等];等が挙げられる。
【0026】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(16)の開環重合物、ポリエポキシド(16)と活性水素含有化合物[水、ポリオール{前記ジオール(10)及び3価以上のポリオール(11)}、ジカルボン酸(12)、3価以上のポリカルボン酸(13)及びポリアミン(15)等]との重付加物又はポリエポキシド(16)とジカルボン酸(12)又は3価以上のポリカルボン酸(13)の酸無水物との硬化物等が挙げられる。
【0027】
ポリエポキシド(16)の例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物あるいは脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン並びにアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びビスフェノールBジグリシジルエーテル等が挙げられる。グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン等が挙げられる。複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミン等が挙げられる。脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド及びエチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール等が挙げられる。脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート及びジグリシジルマレート等が挙げられる。グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。これらの内、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物及び芳香族系ポリエポキシ化合物である。本発明のポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
【0028】
樹脂(a)を水系媒体に分散させる際、(a)は液体状であることが好ましい。(a)が常温で固体である場合には、融点以上の高温下で液体の状態で分散させたり、(a)の溶剤溶液を用いたり、(a)の前駆体(a0)又はその溶剤溶液を用いても良い。樹脂(a)若しくはその溶剤溶液、又は、前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液の粘度は、粒径均一性の観点から通常10〜50,000mPa・s(B型粘度計で測定)、好ましくは100〜10,000mPa・sである。分散時の温度は、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは5〜98℃である。分散体の粘度が高い場合は、高温にして粘度を上記好ましい範囲まで低下させて、分散を行うのが好ましい。
【0029】
樹脂(a)の溶剤溶液及び前駆体(a0)の溶剤溶液に用いる溶剤は、樹脂(a)を常温若しくは加熱下で溶解しうる溶剤であれば特に限定されず、具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等のハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート及びエチルセロソルブアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール及びベンジルアルコール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;N−メチルピロリドン等の複素環式化合物系溶剤;並びにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。これらの内トルエン、キシレン、クロロホルム及び酢酸エチルが好ましく、酢酸エチルが更に好ましい。
【0030】
樹脂(a)の前駆体(a0)としては、化学反応により樹脂(a)になりうるものであれば特に限定されず、例えば、樹脂(a)がビニル系樹脂である場合は、(a0)は、先述のビニル系モノマー(単独で用いても、混合して用いてもよい)及びそれらの溶剤溶液が挙げられ、樹脂(a)が縮合系樹脂(例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂等)である場合は、(a0)は、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせが例示される。ここで「反応性基」とは硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。
【0031】
ビニル系モノマーを前駆体(a0)として用いた場合、前駆体(a0)を反応させて樹脂(a)にする方法としては、例えば、油溶性開始剤、モノマー類及び必要により溶剤からなる油相をアニオン性界面活性剤(X)及び水溶性開始剤を含む水系系媒体中に分散させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる乳化重合法)等が挙げられる。
【0032】
前駆体(a0)として、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の組み合わせを用いる場合、前駆体(a0)を反応させて樹脂(a)を形成する方法としては、反応性基含有プレポリマー(α)及び硬化剤(β)及び必要により溶剤を含む油相を、アニオン性界面活性剤(X1)及び(X2)を含有する水系媒体中に分散させ、加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させて樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)を形成させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)又はその溶剤溶液をアニオン性界面活性剤(X1)及び(X2)を含有する水系媒体中に分散させ、ここに水溶性の硬化剤(β)を加え反応させて、樹脂(a)からなる樹脂粒子(A)を形成させる方法;反応性基含有プレポリマー(α)が水と反応して硬化するものである場合は、反応性基含有プレポリマー(α)又はその溶剤溶液をアニオン性界面活性剤(X1)及び(X2)を含有する水系媒体に分散させることで水と反応させて、(a)からなる樹脂粒子(A)を形成させる方法等が例示できる。
【0033】
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、下記(1)及び(2)等が挙げられる。
(1)反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)であり、硬化剤(β)が活性水素基含有化合物(β1)であるという組み合わせ。
(2)反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が活性水素含有基(α2)であり、硬化剤(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)であるという組み合わせ。
これらの内、水中での反応率の観点から、(1)の組み合わせが好ましい。上記組合せ(1)において、活性水素化合物と反応可能な官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)、エポキシ基(α1c)、酸無水物基(α1d)及び酸ハライド基(α1e)等が挙げられる。これらの内好ましいものは、(α1a)、(α1b)及び(α1c)であり、特に好ましいものは、(α1a)及び(α1b)である。ブロック化イソシアネート基(α1b)は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。上記ブロック化剤としては、オキシム類[アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム及びメチルエチルケトオキシム等];ラクタム類[γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクタム等];炭素数1〜20の脂肪族アルコール類[エタノール、メタノール及びオクタノール等];フェノール類[フェノール、m−クレゾール、キシレノール及びノニルフェノール等];活性メチレン化合物[アセチルアセトン、マロン酸エチル及びアセト酢酸エチル等];塩基性窒素含有化合物[N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド及び2−メルカプトピリジン等];及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの内オキシム類が好ましく、メチルエチルケトオキシムが更に好ましい。
【0034】
活性水素基含有化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン(β1a)、ポリオール(β1b)、ポリメルカプタン(β1c)及び水(β1d)等が挙げられる。これらの内好ましいのは、(β1a)、(β1b)及び(β1d)であり、更に好ましいのは、(β1a)及び(β1d)であり、特に好ましいのは、ブロック化されたポリアミン(β1a)及び(β1d)である。(β1a)としては、ポリアミン(15)と同様のものが例示される。(β1a)として好ましいものは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びこれらの混合物である。
【0035】
上記組合せ(2)における反応性基含有プレポリマー(α)が有する活性水素含有基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)及びそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)等が挙げられる。これらの内好ましいものは、(α2a)、(α2b)及びアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基(α2e)であり、更に好ましいものは、(α2b)である。アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが例示できる。
【0036】
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ポリイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)及びポリ酸ハライド(β2e)等が挙げられる。これらの内好ましいものは、(β2a)及び(β2b)であり、更に好ましいものは、(β2a)である。
【0037】
本発明における水系媒体としては、水、水溶性溶媒及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらの中でも、特に水が好ましい。水系溶媒としては、低級アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール及びプロピレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等)並びに低級ケトン類(アセトン及びメチルエチルケトン等)等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
本発明において、樹脂(a)若しくはその溶剤溶液又は樹脂(a)の前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液を水系媒体に分散させる場合には、分散装置を用いることができる。本発明で使用する分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)及びTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(プライミクス(株)製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)及びファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)及びAPVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。これらの内、粒径の均一化の観点で好ましいものは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス及びTKパイプラインホモミキサーである。
【0039】
分散時の温度は、好ましくは0〜150℃(加圧下)であり、更に好ましくは5〜98℃である。又、分散させる時間は、好ましくは1分〜2時間であり、更に好ましくは5分〜1時間である。
【0040】
本発明の製造方法は水系媒体中に樹脂粒子(A)を形成させて得られた水系分散体(D1)から水系媒体及び必要により溶剤を除去することにより、樹脂粒子(A)を得られる。水系分散体(D1)から水系媒体及び必要により溶剤を除去する方法としては、下記(1)〜(3)の方法が挙げられるが、樹脂粒子の電気特性の観点から好ましくは、下記(2)の方法である。
(1):水系分散体(D1)を減圧下又は常圧下で乾燥する方法。
(2):水系分散体(D1)を遠心分離器、スパクラフィルター及びフィルタープレス等により固液分離し、得られた粉末を乾燥する方法。
(3):水系分散体(D1)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)。
上記(1)、(2)において、得られた粉末を乾燥する際、流動層式乾燥機、減圧乾燥機及び循風乾燥機等公知の設備を用いて行うことができる。また、必要に応じ、風力分級器等を用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
上記(2)の方法における固液分離時には、pHが中性からアルカリ性の水を使用することで、樹脂粒子に付着したアニオン性界面活性剤(X1)及び(X2)を除去することが可能となる。
樹脂粒子に残存する界面活性剤量としては、樹脂粒子の重量に基づいて、樹脂粒子の電気特性、耐熱性の観点から好ましくは0〜1.0重量%であり、更に好ましくは0〜0.5重量%である。
【0041】
本発明の製造方法は、樹脂(a)若しくはその溶剤溶液及び/又は樹脂(a)の前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液の水系媒体への分散をHLBが10.0〜20.9のアニオン性界面活性剤(X1)及びHLBが21.0〜40.0のアニオン性界面活性剤(X2)の存在下で行う。
樹脂粒子の水系媒体中への分散性及び樹脂粒子からの界面活性剤の洗浄除去性の観点から、好ましくはHLBが15.0〜20.9のアニオン性界面活性剤(X1)及びHLBが25.0〜35.0のアニオン性界面活性剤(X2)である。
アニオン性界面活性剤が、(X1)若しくは(X2)のどちらか一方である場合又は上記のHLBの範囲外である場合、樹脂粒子の水系媒体中への分散性及び樹脂粒子からの界面活性剤の洗浄除去性が悪化する。
【0042】
アニオン性界面活性剤のHLBは親水系と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」〔2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著〕212頁に記載されている小田法によって、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から以下の式で計算することができる。HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
HLB=10×無機性/有機性
【0043】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(X1)としては、分散性の観点から分子内に1つの親水基を有することが好ましい。
【0044】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(X1)としては、分散性の観点から親水基がスルホン酸基又は硫酸基であることが好ましい。
【0045】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(X1)としては、一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤、一般式(2)で表されるアニオン界面活性剤及び一般式(3)で表されるアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤であることが好ましい。
【0046】
一般式(1)においてR
1は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表すことが好ましい。
例えば、直鎖若しくは分岐のアルキル基(オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシル基等)又は直鎖若しくは分岐のアルケニル基(オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル及びオクタデセニル基等)等が挙げられる。これらの内、分散性の観点から好ましくは炭素数8〜16の脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数10〜14の脂肪族炭化水素基である。
【0047】
一般式(1)におけるAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表すことが好ましい。
例えば、AOとしてはオキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基である。このうち、分散性の観点からオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が好ましい。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、0〜10の整数であることが好ましい。このうち、分散性の観点から、好ましくは0〜8の整数であり、更に好ましくは0〜5の整数である。
【0048】
一般式(1)におけるMは水素カチオン、アルカリ金属カチオン、アンモニウムカチオン、又は低級アミンカチオンであることが好ましい。
例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム及びリチウム等)カチオン、アンモニウム又はモノ〜テトラアルキル置換アンモニウム(アルキル基の炭素数1〜8、例えばテトラメチル及びテトラエチル)カチオン並びにアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)にプロトンが付加したカチオン等が挙げられる。これらのうち、分散性の観点から、アルカリ金属カチオン及びアンモニウムカチオンが好ましく、ナトリウムカチオン及びアンモニウムカチオンが更に好ましい。
【0049】
一般式(2)におけるR
2は炭素数4〜18の脂肪族炭化水素基を表すことが好ましい。
例えば、直鎖若しくは分岐のアルキル基(ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシル基等)又は、直鎖若しくは分岐のアルケニル基(ブテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル及びオクタデセニル基等)等である。これらのうち、分散性の観点から、好ましくは炭素数8〜15の脂肪族炭化水素基である。pは、分散性の観点から、好ましくは1〜3の整数であり、さらに好ましくは1〜2の整数である。
【0050】
一般式(2)におけるZ
1はフェニレン基、ナフチレン基又はジフェニルエーテル基を表すことが好ましい。このうち、分散性の観点からフェニレン基及びジフェニルエーテル基が好ましい。
【0051】
一般式(2)におけるMは、一般式(1)におけるMと同様であり、分散性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0052】
一般式(2)におけるpは、分散性の観点から1〜3の整数であることが好ましい。
【0053】
一般式(3)におけるR
3及びR
4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表すことが好ましい。
例えば、直鎖のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシル基等)である。このうち、分散性の観点から好ましくはR
3とR
4の炭素数の合計が8〜18の整数であり、更に好ましくはR
3とR
4の炭素数の合計が10〜16である。
【0054】
一般式(3)におけるMは、一般式(1)におけるMと同様であり、分散性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0055】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(X1)のうち、分散性の観点から、一般式(3)で表される界面活性剤であることが好ましい。
【0056】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(X2)としては、洗浄性の観点から分子内に2つ以上の親水基を有することが好ましい。
【0057】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(X2)としては一般式(4)で表されるアニオン界面活性剤、一般式(5)で表されるアニオン界面活性剤、一般式(6)で表されるアニオン界面活性剤及び一般式(7)で表されるアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上のアニオン性界面活性剤であることが好ましい。
【0058】
一般式(4)におけるR
5、Z
1、p及びMは、一般式(2)におけるR
2、Z
1、p及びMとそれぞれ同様である、好ましい範囲も同様である。
【0059】
一般式(4)におけるqは洗浄性の観点から2又は3の整数であることが好ましい。
【0060】
一般式(5)におけるR
6は炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基を表すことが好ましい。例えば、直鎖若しくは分岐のアルキル基(オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシル基等)、直鎖若しくは分岐のアルケニル基(ブテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル及びオクタデセニル基等)である。
【0061】
一般式(5)におけるAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表すことが好ましい。
例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基である。このうち、洗浄性の観点からオキシエチレン基又はオキシプロピレン基が好ましい。mは平均付加モル数を表し、洗浄性の観点から、好ましくは0〜10の整数であり、更に好ましくは0〜8の整数であり、特に好ましくは0〜6の整数である。
【0062】
一般式(5)におけるMは、一般式(1)におけるMと同様であり、分散性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0063】
一般式(6)におけるR
7及びR
8は、一般式(1)におけるR
1と同様であり、分散性及び洗浄性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0064】
一般式(6)における−(CH2)−はエチレン基を表し、xはエチレン基の繰り返し数を表し、分散性及び洗浄性の観点から0〜18の整数が好ましい。
【0065】
一般式(6)におけるMは、一般式(1)におけるMと同様であり、分散性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0066】
一般式(7)におけるR
10は、一般式(1)におけるR
3及びR
4と同様であり、分散性及び洗浄性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0067】
一般式(7)におけるR
9は、一般式(2)におけるR
2と同様であり、分散性及び洗浄性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0068】
一般式(7)におけるAO、r1及びr2は、一般式(5)におけるAOと同様であり、洗浄性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0069】
一般式(7)におけるMは、一般式(1)におけるMと同様であり、分散性の観点から好ましい範囲も同様である。
【0070】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(X2)のうち、洗浄性の観点から、一般式(5)で表される界面活性剤及び一般式(6)で表される界面活性剤であることが好ましい。
【0071】
上記アニオン性界面活性剤の使用量は、水系媒体の重量に基づいて好ましくは0.2〜15重量%であり、更に好ましくは0.5〜10重量%である。界面活性剤の水系媒体中の濃度が0.2重量%以上であれば、樹脂又は樹脂前駆体を水系媒体に分散した際に分散安定性が良好であり、15重量%以下であれば樹脂若しくは樹脂の溶剤溶液を水系媒体に分散した際の粒径が小さくなりすぎることがなく、樹脂粒子に残存する界面活性剤が多くなることがなく樹脂特性に悪影響を及ぼすこともない。
【0072】
上記アニオン性界面活性剤の使用比率X1/X2は、好ましくは99/1〜1/99であり、更に好ましくは90/10〜20/80であり、特に好ましくは80/20〜40/60である。使用比率X1/X2は、99/1〜1/99であれば、樹脂又は樹脂前駆体を水系媒体に分散した際に分散安定性が良好であり、樹脂若しくは樹脂の溶剤溶液を水系媒体に分散した際の粒径が小さくなりすぎることがなく、樹脂粒子に残存する界面活性剤が多くなることがなく樹脂特性に悪影響を及ぼすこともない。
【0073】
本発明のアニオン性界面活性剤(X1)及び(X2)は以下の公知の反応(1)〜(4)を組み合わせて製造できる。
(1)アルキレンオキサイドの付加反応
炭素数8〜24のアルコールの水酸基にアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)を付加する反応は通常の方法で行うことができ、 無触媒で又は触媒の存在下(特にAO付加の後半の段階で)に常圧又は加圧下に1段階又は多段階で行なうことができる。例えば加圧反応器に、高級アルコール及び触媒を仕込み、AOを圧入する方法等である。触媒としては、アルカリ触媒、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)の水酸化物;酸[過ハロゲン酸(過塩素酸、過臭素酸及び過ヨウ素酸等)、硫酸、燐酸及び硝酸等、好ましくは過塩素酸]及びそれらの塩[好ましくは 2価又は3価の金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu及びAl)の塩]が挙げられる。反応温度は好ましくは50〜150℃である。反応時間は好ましくは2〜20時間である。
2種以上のAOを併用する場合はブロック付加(チップ型、バランス型及び活性セカンダリー型等)でもランダム付加でも両者の混合系〔ランダム付加後にチップしたもの:分子中に任意に分布されたオキシエチレン鎖を0〜50 重量%(好ましくは5〜40重量%)有し、0〜30重量%(好ましくは5〜25重量%)のオキシエチレン鎖が分子末端にチップされたもの〕でもよい。
AO付加反応終了後は、必要により中和し吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。
【0074】
(2)硫酸化反応
炭素数8〜24のアルコール又は上記アルキレンオキサイドの付加反応生成物にクロロ硫酸を滴下し脱塩酸することで硫酸化反応を行うことができる。反応温度は好ましくは0〜15℃である。反応時間は好ましくは2〜10時間である。
【0075】
(3)フリーデルクラフツ反応
芳香族含有化合物(ベンゼン、ジフェニルエーテル、ナフタレン等)にαーオレフィンをフリーデルクラフツ反応等によって付加させる。触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛又は活性白土等が使用できる。反応条件は、例えば特公昭50−25526号公報記載の条件が挙げられる。
得られた粗生成物を、濾過、抽出等により精製することもできる。
【0076】
(4)芳香族含有化合物へのスルホン化反応
上記フリーデルクラフツ反応生成物の芳香族にクロロ硫酸を滴下し脱塩酸することでスルホン化反応を行うことができる。反応温度は好ましくは0〜15℃である。反応時間は好ましくは2〜10時間である。
【0077】
(5)ハーフエステル化反応
炭素数8〜24のアルコール又は上記アルキレンオキサイドの付加反応生成物と無水マレイン酸とを混合し加熱することで、ハーフエステル化反応を行うことができる。反応温度は好ましくは35〜70℃であり、更に好ましくは40〜60℃である。
【0078】
(6)マレイン酸由来の2重結合へのスルホン化反応
上記(5)で得られたハーフエステル化物のスルホン化反応は、従来の方法で行うことができる。
例えば、温度25〜70℃で亜硫酸ナトリウムを含有するアルカリ性の水溶液にハーフエステル化物を滴下しながら反応させてスルホン化する方法である。
【0079】
本発明の製造方法において、前記水系媒体と混合するアニオン性界面活性剤(X1)及び(X2)以外に、必要により更に他のアニオン性界面活性剤(X’)、ノニオン性界面活性剤(N)、両性界面活性剤(Y)、水溶性ポリマー(P)、可塑剤(V)を含有してもよい。
【0080】
他のアニオン性界面活性剤(X’)としては、炭素数8〜24の炭化水素系エーテルカルボン酸塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素系リン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
【0081】
ノニオン性界面活性剤(N)としては、上述のアニオン性界面活性剤(X)の製造工程におけるアニオン化する前の中間体の他に、脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタン及びポリオキシエチレン(重合度=50)ジオレイン酸メチルグルコシド等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノアルキル(炭素数2〜8)エーテル並びにアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0082】
両性界面活性剤(Y)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0083】
水溶性ポリマー(P)としては、セルロース化合物(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらのケン化物等)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物及びアクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物並びに水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール及びポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)等が挙げられる。
【0084】
可塑剤(V)は、分散の際に必要に応じて水系媒体中に加えても、被分散体中[樹脂(a)を含む油相中]に加えても良い。可塑剤(V)としては、何ら限定されず、例えばフタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル及びフタル酸ジイソデシル等)、脂肪族2塩基酸エステル(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びセバシン酸−2−エチルヘキシル等)、トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリメリット酸トリオクチル等)、燐酸エステル(リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル及びリン酸トリクレジール等)、脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等)並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0085】
樹脂又は樹脂前駆体を分散させる際の、水系媒体の使用量は、樹脂又は樹脂前駆体若しくはそれらの溶剤溶液重量に基づいて、好ましくは50〜2000重量%であり、更に好ましくは100〜1000重量%である。水系媒体の使用量が、50重量%以上であると、分散が良好であり、2000重量%以下であると樹脂粒子に残存する界面活性剤が多くなることがなく樹脂特性に悪影響を及ぼすこともない。
【0086】
水溶性ポリマー(P)を使用する場合、(P)の使用量は、分散安定性の観点から、水系媒体の重量に基づいて、好ましくは0.01〜3重量%であり、更に好ましくは0.05〜1重量%である。
【0087】
他のアニオン性界面活性剤(X’)、ノニオン性界面活性剤(N)、両性界面活性剤(Y)を使用する場合、全界面活性剤の重量に基づく(X’)+(N)+(Y)の割合は、好ましくは30重量%以下であり、更に好ましくは20重量%以下である。
【0088】
本発明において前記水系媒体と、HLBが10.0〜20.9のアニオン性界面活性剤(X1)及びHLBが21.0〜40.0のアニオン性界面活性剤(X2)とを混合する場合には、各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない。
【0089】
粒径の均一性の観点から、樹脂粒子(A)の体積平均粒径/個数平均粒径の値は、好ましくは1.0〜1.4であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。尚、本発明において、体積平均粒径及び個数平均粒径は、マルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)で同時に測定することができる。
【0090】
本発明の樹脂粒子(A)の製造方法により得られた樹脂粒子は、電子写真用、静電記録用、静電印刷トナー用に用いられることが好ましい。
【0091】
本発明の樹脂粒子(C)を製造する方法において、樹脂(a)若しくはその溶剤溶液及び/又は樹脂(a)の前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液を、樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の水系分散体(D2)中に分散させて、前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液を用いる場合には更に前駆体(a0)を反応させて、樹脂粒子(A)の表面に樹脂粒子(B)が付着してなる構造の樹脂粒子(C)の水系分散体(D3)を形成させ、前記水系分散体(D3)から水系媒体及び必要により前記溶剤を除去する工程を含む。
【0092】
樹脂粒子(B)を樹脂粒子(A)の表面に吸着させることで、樹脂粒子(A)同士あるいは樹脂粒子(C)同士が合一するのを防ぎ、また、高剪断条件下で樹脂粒子(C)が分裂され難くなることから、樹脂粒子(C)の粒径を一定の値に収斂させ、粒径の均一性を更に高めることができる。
【0093】
樹脂(b)としては、水系分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良く、具体的には上記の樹脂(a)と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0094】
樹脂(b)は、水系分散体中で樹脂粒子(B)形成することが必要であることから、少なくとも水系分散体(D2)を形成する条件下で水に完全に溶解していないことが必要である。そのため、ビニル系樹脂が共重合体である場合には、ビニル系樹脂を構成する疎水系モノマーと親水系モノマーの比率は、選ばれるモノマーの種類によるが、一般に疎水系モノマーが10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましい。疎水系モノマーの比率が、10モル%以下になるとビニル系樹脂が水溶性になり、(C)の粒径均一性が損なわれる。ここで、親水系モノマーとは水に任意の割合で溶解するモノマーをいい、疎水系モノマーとは、それ以外のモノマー(基本的に水に混和しないモノマー)をいう。
【0095】
樹脂粒子(B)の粒径は、通常、樹脂粒子(A)の粒径よりも小さく、粒径均一性の観点から、粒径比[樹脂粒子(B)の体積平均粒径]/[樹脂粒子(A)の体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。かかる粒径比が、0.3より大きいと(B)が(A)の表面に効率よく吸着しないため、得られる(C)の粒度分布が広くなる傾向がある。
【0096】
樹脂粒子(B)の体積平均粒径は、所望の粒径の樹脂粒子(C)を得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができ、例えば、体積平均粒子径1μmの樹脂粒子(C)を得たい場合には、好ましくは0.0005〜0.3μm、更に好ましくは0.001〜0.2μmの範囲、10μmの樹脂粒子(C)を得たい場合には、好ましくは0.005〜3μmであり、更に好ましくは0.05〜2μm、100μmの粒子(C)を得たい場合には、好ましくは0.05〜30μm、更に好ましくは0.1〜20μmである。尚、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)やマルチサイザーIII(ベックマン・コールター(株)製)で測定できる。
【0097】
本発明の製造方法において、前記水系分散体(D2)と、HLBが10.0〜20.9の前記アニオン性界面活性剤(X1)及びHLBが21.0〜40.0の前記アニオン性界面活性剤(X2)とを混合する工程を含む。
アニオン性界面活性剤が、(X1)若しくは(X2)のどちらか一方である場合又は上記のHLBの範囲外である場合、樹脂粒子の水系媒体中への分散性及び樹脂粒子からの界面活性剤の洗浄除去性が悪化する。
【0098】
樹脂(b)からなる樹脂粒子(B)の水系分散体(D2)を得る方法としては、水系媒体に樹脂(a)を分散させる上記方法と同じ方法が挙げられる。ここで使用する水系媒体としては、上記水系媒体と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0099】
水系分散体(D3)を製造する際に溶剤を使用する場合、水系分散体(D1)において例示した溶剤と同様ものが使用でき、好ましいものも同様である。
【0100】
水系分散体(D3)を製造する際、水系分散体(D1)を製造する際と同様に、水系分散体(D2)にアニオン性界面活性剤(X1)及び(X2)以外の他のアニオン性界面活性剤(X’)、ノニオン性界面活性剤(N)、両性界面活性剤(Y)、水溶性ポリマー(P)及び可塑剤(V)を含有していても良い。
【0101】
本発明の製造方法において、前記水系分散体(D2)と、HLBが10.0〜20.9の前記アニオン性界面活性剤(X1)及びHLBが21.0〜40.0の前記アニオン性界面活性剤(X2)とを混合する場合には、各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない。
【0102】
樹脂粒子(C)の体積平均粒径/個数平均粒径の値は、粒径均一性の観点から、好ましくは1.0〜1.4であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。
【0103】
樹脂粒子(C)の粒径均一性、粉体流動性及び保存安定性等の観点から、樹脂粒子(A)の表面の好ましくは5%以上であり、更に好ましくは30%以上が(B)で覆われている。尚、表面被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から下式に基づいて求めることができる。
表面被覆率(%)=[樹脂粒子(B)に覆われている部分の面積/{樹脂粒子(B)に覆われている部分の面積+樹脂粒子(A)が露出している部分の面積}]×100
【0104】
樹脂粒子(C)の粒径均一性及び保存安定性等の観点から、樹脂粒子(C)は、好ましくは40〜99.99重量%の(A)と0.01〜60重量%の(B)とからなり、更に好ましくは50〜99.9重量%の(A)と0.1〜50重量%の(B)からなる。
【0105】
水系分散体(D3)を製造する際のアニオン性界面活性剤(X1)、(X2)及び水系媒体の使用量は、水系分散体(D1)を製造する際の使用量と同様であり、好ましい使用量も同様である。
【0106】
水系分散体(D3)を製造する際に水溶性ポリマー(P)、他のアニオン性界面活性剤(X’)、ノニオン性界面活性剤(N)及び両性界面活性剤(Y)を使用する場合、これらの使用量は、水系分散体(D1)を製造する際の使用量と同様であり、好ましい使用量も同様である。
【0107】
水系分散体(D3)を製造する方法としては、上述の水系分散体(D1)を製造する方法が挙げられる。
分散時の温度及び分散させる時間は、上述の水系分散体(D1)を製造する際の値と同様である。
【0108】
水系分散体(D3)から水系媒体及び必要により溶剤を除去することにより、樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)が樹脂粒子(A)の表面に付着した樹脂粒子(C)を得ることができる。水系分散体(D3)から水系媒体及び必要により溶剤を除去する方法としては、上述の水系分散体(D1)から
水系媒体及び必要により溶剤を除去する方法と同様の方法が挙げられる。
樹脂粒子に残存する界面活性剤量としては、樹脂粒子の重量に基づいて、樹脂粒子の電気特性、耐熱性の観点から、好ましく0〜1.0重量%であり、更に好ましくは0〜0.5重量%である。
【0109】
樹脂(a)若しくはその溶剤溶液及び/又は樹脂(a)の前駆体(a0)若しくはその溶剤溶液の水系分散体(D2)への分散をHLBが10.0〜20.9のアニオン性界面活性剤(X1)及びHLBが21.0〜40.0のアニオン性界面活性剤(X2)の存在下で行う。
(D2)への分散方法は、水系媒体に樹脂(a)を分散させる上記方法と同じ方法が挙げられる。ここで使用する水系媒体としては、上記水系媒体と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0110】
本発明における樹脂(a)及び/又は樹脂(b)中に顔料、充填剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤及び難燃剤等の添加剤を混合しても差し支えない。樹脂(a)又は(b)中に添加剤を添加する方法としては、水系媒体中で水系分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめ樹脂(a)又は樹脂(b)と添加剤を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、添加剤は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、溶剤及び/又は可塑剤とともに上記添加剤を含有させることもできる。
【0111】
本発明の樹脂粒子(C)の製造方法により得られた樹脂粒子は、電子写真用、静電記録用、静電印刷トナー用に用いられることが好ましい。
[実施例]
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例1〜14及び29〜42は参考例である。
【0112】
製造例1[アニオン界面活性剤(X2−1)]
加熱撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置にイソトリデシルアルコール(エクソンモービル製「エクサール13」)197重量部(1モル部)を仕込み、窒素雰囲気下、無水マレイン酸108重量部(1.10モル部)を仕込み、反応温度50〜60℃で3時間反応させた。この生成物全量を水1645重量部に亜硫酸ナトリウム145重量部(1.15モル部)及び水酸化ナトリウム10重量部を溶解させた水溶液に窒素雰囲気下、50〜60℃で投入し、3時間スルホン化反応を行い、イソトリデシルアルコールのスルホコハク酸ナトリウム塩(X2−1)20重量%水溶液2105重量部を得た。(X2−1)のHLBは33.1である。
【0113】
製造例2[アニオン界面活性剤X2−2)]
加熱撹拌・冷却装置の付いた高圧反応容器にイソトリデシルアルコール(エクソンモービル製「エクサール13」)197重量部(1モル部)及び水酸化カリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換後、温度100〜160℃、ゲージ圧0〜0.8MPaの条件下で1,2−プロピレンオキサイド116重量部(2モル部)を投入し、付加重合させ、ポリオキシプロピレン(2モル)付加イソトリデシルアルコール313重量部を得た。生成物の全量を加熱撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置に仕込み、窒素雰囲気下、無水マレイン酸108重量部(1.10モル部)を仕込み、反応温度50〜60℃で3時間反応させた。この生成物全量を水2109重量部に亜硫酸ナトリウム145重量部(1.15モル部)及び水酸化ナトリウム10部を溶解させた水溶液に窒素雰囲気下、50〜60℃で投入し、3時間スルホン化反応を行い、ポリオキシプロピレン(2モル)付加イソトリデシルアルコールのスルホコハク酸ナトリウム塩(X2−2)20重量%水溶液2685重量部を得た。(X2−2)のHLBは25.6である。
【0114】
製造例3[アニオン界面活性剤(X2−3)]
加熱撹拌・冷却装置の付いた高圧反応容器にラウリルアルコール(花王製「カルコール2098」)186重量部(1モル部)及び水酸化カリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換後、温度100〜160℃、ゲージ圧0〜0.8MPaの条件下でエチレンオキサイド88重量部(2モル部)を投入し、付加重合させ、ポリオキシエチレン(2モル)付加ラウリルアルコール274重量部を得た。生成物の全量を加熱撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置に仕込み、窒素雰囲気下、無水マレイン酸108重量部(1.10モル部)を仕込み、反応温度50〜60℃で3時間反応させた。この生成物全量を水1953重量部に亜硫酸ナトリウム145重量部(1.15モル部)及び水酸化ナトリウム10重量部を溶解させた水溶液に窒素雰囲気下、50〜60℃で投入し、3時間スルホン化反応を行い、ポリオキシエチレン(2モル)付加ラウリルアルコールのスルホコハク酸ナトリウム塩(X2−3)20重量%水溶液2490重量部を得た。(X2−3)のHLBは28.5である。
【0115】
製造例4[アニオン界面活性剤(X2−4)]
加熱撹拌・冷却装置の付いた高圧反応容器にステアリルアルコール(花王製「カルコール8098」)270部(1モル)及び水酸化カリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換後、温度100〜160℃、ゲージ圧0〜0.8MPaの条件下でエチレンオキサイド352重量部(8モル部)を投入し、付加重合させ、ポリオキシエチレン(8モル)付加ステアリルアルコール622重量部を得た。生成物の全量を加熱撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置に仕込み、窒素雰囲気下、無水マレイン酸108重量部(1.10モル部)を仕込み、反応温度50〜60℃で3時間反応させた。この生成物全量を水3345重量部に亜硫酸ナトリウム145重量部(1.15モル部)及び水酸化ナトリウム10重量部を溶解させた水溶液に窒素雰囲気下、50〜60℃で投入し、3時間スルホン化反応を行い、ポリオキシエチレン(8モル)付加ステアリルアルコールのスルホコハク酸ナトリウム塩(X2−4)20重量%水溶液4230重量部を得た。(X2−4)のHLBは21.0である。
【0116】
製造例5[アニオン界面活性剤(X2−5)]
加熱撹拌・冷却装置の付いた高圧反応容器にイソデシルアルコール(KHネオケム製「デカノール」)158重量部(1モル部)及び水酸化カリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換後、温度100〜160℃、ゲージ圧0〜0.8MPaの条件下でブチレンオキサイド144重量部(2モル部)を投入し、付加重合させ、ポリオキシブチレン(2モル)付加イソデシルアルコール30重量部を得た。生成物の全量を加熱撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置に仕込み、窒素雰囲気下、無水マレイン酸108重量部(1.10モル部)を仕込み、反応温度50〜60℃で3時間反応させた。この生成物全量を水2065部に亜硫酸ナトリウム145重量部(1.15モル部)及び水酸化ナトリウム10重量部を溶解させた水溶液に窒素雰囲気下、50〜60℃で投入し、3時間スルホン化反応を行い、ポリオキシブチレン(2モル)付加イソデシルアルコールのスルホコハク酸ナトリウム塩(X2−5)20重量%水溶液2630重量部を得た。(X2−5)のHLBは26.5である。
【0117】
製造例6[アニオン界面活性剤(X2−6)]
加熱撹拌・冷却装置の付いた高圧反応容器に1,2−ドデカンジオール202重量部(1モル部)及び水酸化カリウム0.1重量部を仕込み、窒素置換後、温度100〜160℃、ゲージ圧0〜0.8MPaの条件下でエチレンオキサイド44重量部(1モル部)を投入し、付加重合させ、ポリオキシエチレン(1モル)付加ドデカンジオール246重量部を得た。生成物の全量および1,2−ジクロロプロパン100重量部を撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置に仕込み、窒素雰囲気下、クロル硫酸245重量部(2.10モル部)を、反応温度0〜20℃で脱塩酸しながら滴下し、5時間スルホン化反応を行った。この生成物全量を水1512重量部に水酸化ナトリウム80重量部(2モル部)を溶解させた水溶液に窒素雰囲気下、50〜60℃で投入し、1時間反応させ、ポリオキシエチレン(1モル)付加ドデカンジオールジスルホン酸ナトリウム塩(X2−6)20重量%水溶液1990重量部を得た。(X2−6)のHLBは39.8である。
【0118】
比較製造例6[アニオン界面活性剤(X’−1)]
加熱撹拌・冷却装置の付いた高圧反応容器に、スチレン(1モル)化フェノール119重量部(1モル部)及び水酸化カリウム0.2重量部を仕込み、窒素置換後、温度100〜160℃、ゲージ圧0〜0.8MPaの条件下でエチレンオキサイド106重量部(4モル部)を投入し、付加重合させた。その後、触媒の水酸化カリウムを吸着剤で吸着除去し、ポリオキシエチレン(4モル)付加スチレン(1モル)化フェノール225重量部を得た。
生成物の全量を、加熱撹拌・冷却装置の付いたガラス製反応装置に仕込み、スルファミン酸61.5重量部(1.05モル部)を仕込んだ。反応温度100℃で12時間反応させた後、30%水酸化ナトリウム水溶液321重量部を50〜60℃で5回に分けて2時間おきに断続投入し、投入時間も含めて15時間、ゲージ圧−0.02MPaでトッピングした後、水841重量部で希釈してポリオキシエチレン(4モル)付加スチレン(1モル)化フェノールの硫酸エステルナトリウム塩(X’−1)20重量%水溶液1449重量部を得た。(X’−1)のHLBは19.3である。
【0119】
製造例7[アニオン界面活性剤(X1−5)及び(X2−7)]
公知の方法(Reed法、「HANDBOOK OF APPLIED SUREFACE AND COLLOID CHEMISTRY VOLUME 1」282〜284頁、KRISTER HOLMBERG著)に従って、炭素数12〜20のアルカンスルホン酸ナトリウム塩を製造した。得られたアルカンスルホン酸ナトリウム塩は、モノスルホン体(X1−5)とジスルホン体(X2−7)の混合物であり、(X1−5)/(X2−7)の重量比が90/10であった。(X1−5)のHLBは17.2であり、(X2−7)のHLBは35.7である。
【0120】
製造例8[アニオン界面活性剤(X1−5)及び(X2−7)]
製造例7と同様の方法で反応時間を変更してアルカンスルホン酸ナトリウム塩を製造した。得られたアルカンスルホン酸ナトリウム塩は、モノスルホン体(X1−5)とジスルホン体(X2−7)の混合物であり、(X1−5)/(X2−7)の重量比が70/30であった。
【0121】
製造例9(プレポリマーの製造)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水酸基価が56mgKOH/gのポリカプロラクトンジオール[「プラクセルL220AL」、ダイセル化学工業製]2,000重量部を投入し0.04MPaの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてIPDI457重量部を投入し、110℃で10時間反応を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。該ウレタンプレポリマーの遊離イソシアネート含量は3.6重量%であった。これをプレポリマー(α−1)とする。
【0122】
製造例10[硬化剤の製造]
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、エチレンジアミン50重量部とメチルイソブチルケトン50重量部を仕込み、50℃で5時間反応を行った。得られた化合物を硬化剤(β−1)とする。
【0123】
製造例11[樹脂溶液(A−1b)の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343重量部、イソフタル酸166重量部及びジブチルチンオキサイド2重量部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に0.001〜0.002MPaの減圧で5時間反応した後、110℃まで冷却し、トルエン中にてイソホロンジイソシアネート17重量部を入れて110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、重量平均分子量72,000、遊離イソシアネート含量が0.7重量%のウレタン変性ポリエステル(1)を得た。上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物570重量部、テレフタル酸217重量部を常圧下、230℃で6時間重縮合し、数平均分子量2,400、水酸基価51mgKOH/g、酸価5mgKOH/gの変性されていないポリエステル(2)を得た。ウレタン変性ポリエステル(1)200重量部とポリエステル(2)800重量部を酢酸エチル2,000重量部に溶解、混合し、樹脂溶液(A−1)を得た。次に、ビーカーに樹脂溶液(A−1)480重量部、離型剤としてトリメチロールプロパントリベヘネート(融点58℃、溶融粘度24mPa・s)40重量部、着色剤として銅フタロシアニン8重量部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて樹脂溶液(A−1b)を得た。
【0124】
製造例12[樹脂微粒子分散体(D2−1)の製造]
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン「イオネットT−80V」[三洋化成工業製]47重量部とビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート828、油化シェル社製)232重量部を投入し均一に溶解させた。攪拌下に反応容器に水255重量部を滴下した後、系内温度を70℃まで昇温して、エチレンジアミン20重量部を水446重量部に溶解した液を系内温度を70℃に保ちながら2時間かけて滴下した。滴下後、70℃で5時間、90℃で5時間反応・熟成してアミン硬化エポキシ樹脂の樹脂微粒子(B−1)水系分散体(D2−1)を得た。LA−920で測定した樹脂微粒子(B−1)の体積平均粒径は、0.78μmであった。
【0125】
実施例1〜14及び比較例1〜3
表1に記載の配合処方に基づき、アニオン性界面活性剤(X1−1〜5、X2−1〜7、X’−1及びポリオキシエチレンラウリルエーテル)、イオン交換水を容器中で混合・攪拌して、界面活性剤水溶液を得た。更にイオン交換水500重量部を入れ均一に混合後、50℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12,000rpmに撹拌しながら、製造例9で作製した樹脂溶液(A−1b)300重量部を投入し10分間撹拌した後、撹拌棒及び温度計付の3つ口フラスコに移し、50℃条件下で酢酸エチルを留去し、更に98℃まで昇温して5時間反応させることで樹脂粒子の水系分散体(D1)を得た。この水系分散体(D1)を濾別し、イオン交換水を除去し、乾燥することで実施例1〜10及び比較例1〜3の樹脂粒子(A−1〜14、A’−1〜3)を得た。
【0126】
実施例15〜28及び比較例4〜6
表2に記載の配合処方に基づき、アニオン性界面活性剤(X1−1〜5、X2−1〜7、X’−1及びポリオキシエチレンラウリルエーテル)、イオン交換水及び樹脂微粒子分散体(D2−1)を容器中で混合・攪拌して、更にイオン交換水500重量部を入れ均一に混合後、50℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12,000rpmに撹拌しながら、製造例9で作製した樹脂溶液(A−1b)300重量部を投入し10分間撹拌した後、撹拌棒及び温度計付の3つ口フラスコに移し、50℃条件下で酢酸エチルを留去し、更に98℃まで昇温して5時間反応させることで樹脂粒子の水系分散体(D3)を得た。この水系分散体(D3)を濾別し、イオン交換水を除去し、乾燥することで実施例15〜28及び比較例4〜6の樹脂粒子(C−1〜14、C’−1〜3)を得た。
【0127】
実施例29〜42及び比較例7〜9
表3に記載の配合処方に基づき、界面活性剤、イオン交換水及び樹脂微粒子分散体(D2−1)を容器中で混合・攪拌して、樹脂微粒子水系分散体を得た。次に、ビーカー内で、製造例7で得たプレポリマー(α−1)150重量部、製造例8で得た硬化剤(β−1)6重量部及び酢酸エチル40重量部を混合しておき、上記樹脂微粒子分散体(D2−1)457重量部を添加した後、TKホモミキサーを使用して、回転数12,000rpmで10分間混合した。混合後、撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に混合液を投入し、50℃で10時間で脱溶剤及び反応を行うことで樹脂粒子の水系分散体(D3)を得た。この水系分散体(D3)を、濾別し、イオン交換水を除去し、乾燥することで実施例21〜30及び比較例7〜9の樹脂粒子(C−15〜28、C’−4〜6)を得た。
【0128】
表1〜3中のアニオン性界面活性剤(X1−1〜5及びポリオキシエチレンラウリルエーテル)は次の通りである。
なお、表1〜3中のアニオン性界面活性剤(X1−1〜5、X2−1〜7、X´1−1及びポリオキシエチレンラウリルエーテル)の数値は有効成分の重量部を示す。
X1−1:ラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製「SLS」)、HLB;20.8)
X1−2:ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(三洋化成工業製「サンデットEN」、HLB;20.3)
X1−3:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(テイカ製「テイカパワーLN−2450」、HLB;14.3 )
X1−4:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(テイカ製「テイカパワーBN−2060」、HLB;16.1)
X1−5:製造例7及び8で得られたアルカンスルホン酸ナトリウムのモノスルホン体
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(三洋化成工業製「エマルミンNL−90」)
【0129】
実施例1〜42及び比較例1〜9で得た樹脂粒子を水に分散して体積平均粒径及び個数平均粒径をマルチサイザーIIIで測定した。得られた体積平均粒径の値及び体積平均粒径/個数平均粒径の値を表1〜3に示す。
【0130】
実施例1〜42及び比較例1〜9で得た樹脂粒子について、粉体流動性の尺度となる凝集度を以下の方法で測定した結果を表1に示す。凝集度が小さいほど粉体流動性に優れる。
[凝集度の測定方法]
パウダーテスター(PT−R、ホソカワミクロン社製)において、篩目開き355μm(上段)、225μm(中段)、150μm(下段)、サンプル重量2g、振幅1mm、振動時間10秒の条件でサンプルを分級し、下式の総和を凝集度とした。
(上段の篩上サンプル重量/全サンプル重量)×100=(1)の値(%)
(中段の篩上サンプル重量/全サンプル重量)×(3/5)×100=(2)の値(%)
(下段の篩上サンプル重量/全サンプル重量)×(1/5)×100=(3)の値(%)
凝集度(%)=(1)の値+(2)の値+(3)の値
【0131】
実施例15〜42及び比較例4〜9で得た樹脂粒子に関する樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)の重量比率[(A)/(B)]及び樹脂粒子(B)による樹脂粒子(A)の表面の被覆率の値を表1〜3に示す。
[表面被覆率の測定方法]
走査型電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から下式(4)により算出した。
表面被覆率(%)=[樹脂粒子(B)に覆われている部分の面積/{樹脂粒子(B)に覆われている部分の面積+樹脂粒子(A)が露出している部分の面積}]×100 (4)
【0132】
実施例1〜42及び比較例1〜9で得た樹脂粒子中の残存界面活性剤含有率を表1〜3に示す。残存界面活性剤含有率が低いほど、樹脂粒子の電気的特性、熱的特性及び化学的安定性等の性能に優れる。
[残存界面活性剤含有率の測定方法]
実施例及び比較例で得た樹脂粒子1gにメタノール50gを加えた液に超音波を10分間照射して界面活性剤分を抽出しした後、抽出液中の界面活性剤含有量を以下の質量分析計を付帯した液体クロマトグラフィー(LC/MS)にて測定した。
<LC/MS条件>
LC条件
装置:Agilent社製 Agilent1100
カラム:YMC−Pack ODS−AQ,AQ−312 150×6.0mm i.d.
移動相(v/v):水/アセトニトリル=10/90
流量:1.0mL/min
注入量:1μL
オーブン温度:40℃
検出器:UV210nm
MS条件
装置:HP社製 LC/MS D 1100
イオンソース:ESI
Mode:Negative
測定質量数:m/z 100−1000
Fragment Voltage :75V
Drying gas:窒素、350℃、10L/min
Neblizer Pressure:45psi
Capillary Voltage:3000V
残存界面活性剤含有率(%)=界面活性剤含有量/樹脂粒子の重量x100
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
実施例の樹脂粒子は何れも粒径が均一で、凝集度が低く粉体流動性が良好であり、かつ樹脂粒子への界面活性剤残存率が低く電気的特性、熱的特性及び化学的安定性が良好であった。