特許第6342908号(P6342908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6342908コンポジットファンケース用の周囲補強材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6342908
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】コンポジットファンケース用の周囲補強材
(51)【国際特許分類】
   B29B 11/16 20060101AFI20180604BHJP
   D03D 3/00 20060101ALI20180604BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20180604BHJP
   D03D 11/00 20060101ALI20180604BHJP
   B32B 5/12 20060101ALI20180604BHJP
   B32B 5/06 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   B29B11/16
   D03D3/00
   D03D1/00 A
   D03D11/00 Z
   B32B5/12
   B32B5/06 Z
【請求項の数】50
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-538108(P2015-538108)
(86)(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公表番号】特表2015-532227(P2015-532227A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】US2013065874
(87)【国際公開番号】WO2014066229
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】13/658,578
(32)【優先日】2012年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508135080
【氏名又は名称】アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリング,ジョナサン
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−516294(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/041355(WO,A1)
【文献】 特開2008−144757(JP,A)
【文献】 特開2012−016926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/00−11/16,
15/08−15/14
B32B 1/00−43/00
D03D 1/00−27/18
B29C 41/00−41/36,
41/46−41/52
C08J 5/04− 5/24
F02C 7/00
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織りプリフォームアセンブリであって、次の構成および条件を備える、織りプリフォームアセンブリ。
・マンドレルの中心線周りの、連続する輪郭織りファブリックの1あるいは2以上の巻きであり、前記マンドレルが、所定の断面形状をもつプリフォームベースを形成するようになっているもの
・前記プリフォームベースは、輪郭織りであって前記織りファブリックの第1端に一要素であるプリフォームベース第1フランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記プリフォームベースは、前記織りファブリックの第2端に少なくとも一要素であるプリフォームベース第2フランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成すること
・複数の横糸繊維と織った複数の縦糸繊維から形成された、1あるいは2以上の輪郭織りファブリックであって、その輪郭織りファブリックが、前記織りファブリックの第1端と第2端との間の前記プリフォームベースの外側に位置し、しかも、前記プリフォームベースの周囲面に少なくとも部分的に巻かれ、その周囲面に接触して、対等のL形状の周囲補強材を複数形成するもの
・前記周囲補強材を形成する、前記輪郭織りファブリック層の縦糸繊維は前記ファブリックの幅方向にわたって長さが異なり、前記周囲補強材によって前記プリフォームベースの周囲面の曲がりに適合するようになっていること
【請求項2】
前記ファブリックのどれもが、単層ファブリックあるいは多層ファブリックのいずれかである、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項3】
前記周囲補強材が、単層織りファブリックあるいは多層織りファブリックによる1あるいは2以上の巻きから構成される、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項4】
前記周囲補強材が、縦糸方向、横糸方向、あるいはそれら縦糸および横糸の両方向におけるストレッチブロークンファイバを含むファブリックから形成される、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項5】
前記織りファブリックの前記層のいずれかの間に、1あるいは2以上の部分をもつ織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、請求項のプリフォームアセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも一つの周囲補強材を形成する前記ファブリックを、前記中心線周りに1あるいは2回以上巻いて、前記プリフォームベース周りに完全な円周を形成する、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも一つの周囲補強材を形成する前記ファブリックを、前記中心線周りに部分的に巻いて、前記プリフォームベース周りに弧形の部分(セグメント)を形成する、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項8】
前記周囲補強材は、前記中心線周りに1あるいは2回以上巻き、前記プリフォームベース周りに完全な円周を形成する少なくとも一つの補強材と、前記中心線周りに部分的に巻き、前記周囲面に弧形の部分(セグメント)を形成する少なくとも一つの補強材とを備える、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項9】
前記周囲補強材の少なくともいくつかは、T−形成、タフティング、あるいはスティチングによって、前記プリフォームベースに付いている、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項10】
前記プリフォームベースを形成する前記巻きを厚さ方向に強化するため、織りファブリックの巻きを通して、T−形成、タフティング、あるいはスティチングを施してある、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項11】
前記プリフォーム本体および前記周囲補強材は、共成形されている、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項12】
前記補強材は、成形プリフォームベース周りに巻かれている、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項13】
前記織りファブリックは、カーボン、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ガラス、セラミック、アラミド、およびポリエチレンの中から選択した材料で構成した、請求項1のプリフォームアセンブリ。
【請求項14】
織りプリフォームアセンブリであって、次の構成および条件を備える、織りプリフォームアセンブリ。
・マンドレルの中心線周りの、連続する輪郭織りファブリックの1あるいは2以上の巻きから構成される第1のサブ−プリフォームであり、前記マンドレルが、前記中心線周りに少なくとも一つの実質的にバレル形の周囲を形成するようになっているもの
・前記巻きは、前記織りファブリックの第1端に一要素である第1のフランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記巻きは、前記織りファブリックの第2端に一要素である第2のフランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成すること
・少なくとも2つの外側サブ−プリフォームであり、それぞれの外側サブ−プリフォームは、前記中心線周りに連続し、複数の横糸繊維と織った複数の縦糸繊維から形成される輪郭織りファブリックによる1あるいは2以上の巻きであり、前記中心線周りに少なくとも2つの実質的にバレル形の周囲面を形成する巻きから構成される
・前記外側サブ−プリフォームについての前記巻きは、前記第1の外側サブ−プリフォーム織りファブリックの第1端に外側サブ−プリフォーム一体の第1のフランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに外側サブ−プリフォームの第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記巻きは、前記第2の外側サブ−プリフォーム織りファブリックの第2端に外側サブ−プリフォーム一体の第2のフランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに外側サブ−プリフォームの第2端周囲を形成すること
・前記それぞれの外側サブ−プリフォームの実質的にバレル形の周囲が、前記第1のサブ−プリフォームの実質的にバレル形の周囲を巻いている
・隣接する外側サブ−プリフォーム一体のフランジが、互いに接触し、一体の補強材を形成する
・前記一体の補強材を形成する、前記輪郭織りファブリック層の縦糸繊維は、前記ファブリックの幅方向にわたって長さが異なり、前記一体の補強材によって、前記輪郭織りファブリックが前記サブプリフォームの周囲面の曲がりに適合するようになっていること
【請求項15】
前記外側サブ−プリフォームの実質的にバレル形の周囲で、前記外側サブ−プリフォームに接触する1あるいは2以上の周囲補強材をさらに備える、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項16】
各サブ−プリフォーム織りファブリックは、カーボン、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ガラス、セラミック、アラミド、およびポリエチレンの中から選択した材料で構成した、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項17】
前記第1のサブ−プリフォームの組付けおよび成形の後で、前記第1のサブ−プリフォームのバレル形周囲面に接触するように、前記外側サブ−プリフォームの組付けがなされる、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項18】
前記第1のサブ−プリフォームおよび前記第2のサブ−プリフォームは、共成形されている、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項19】
前記外側サブ−プリフォームの少なくともいくつかは、T−形成、タフティング、あるいはスティチングによって、前記第1のサブ−プリフォームに付いている、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項20】
前記連続した織りファブリックによる巻き間に、1あるいは2以上の部分をもつ織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項21】
前記隣接する外側サブ−プリフォーム一体のフランジの少なくともいくつかの間に、長さのある織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項22】
第1の外側サブ−プリフォーム一体のフランジは、第1の一体フランジに隣接する位置にあり、しかもまた、第2の外側サブ−プリフォーム一体のフランジは、第2の一体フランジに隣接する位置にある、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項23】
前記第1の外側サブ−プリフォーム一体のフランジと前記第1の一体フランジ、ならびに前記第2の外側サブ−プリフォーム一体のフランジと前記第2の一体フランジとの少なくとも一つの間に、長さのある織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、請求項22のプリフォームアセンブリ。
【請求項24】
前記ファブリックは、単層ファブリックあるいは多層ファブリックのいずれかである、請求項14のプリフォームアセンブリ。
【請求項25】
織りプリフォームアセンブリであって、次の構成および条件を備える、織りプリフォームアセンブリ。
・実質的にバレル形の周囲を形成するマンドレルの中心線周りの、連続する輪郭織りファブリックの1あるいは2以上の巻きから構成されるサブ−プリフォーム
・前記巻きは、前記織りファブリックの第1端に一要素である第1のフランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記巻きは、前記織りファブリックの第2端に一要素である第2のフランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成すること
・中間の補強材巻きであり、前記中心線周りに連続し、複数の横糸繊維と織った複数の縦糸繊維から形成される輪郭織りファブリックによる1あるいは2以上の巻きを含み、そのファブリックの巻きが、前記サブ−プリフォームの実質的にバレル形の周囲に接触しつつ、前記中心線周りに実質的にバレル形の周囲面を形成する
・前記中間の補強材巻きは、前記中間補強材巻き織りファブリックの第1端に中間補強材一体の第1のフランジと、前中間補強材織りファブリックの第2端に中間補強材一体の第2のフランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成する
・前記中間補強材巻きは、前記中間補強材一体の第1のフランジと前記中間補強材一体の第2のフランジとの間の、1あるいは2以上の中間補強材と一体になっている
・前記中間の補強材を形成する、前記輪郭織りファブリック層の縦糸繊維は、前記ファブリックの幅方向にわたって長さが異なり、前記中間の補強材によって、前記輪郭織りファブリックが前記サブプリフォームの周囲面の曲がりに適合するようになっていること
【請求項26】
前記中間補強材巻きの実質的にバレル形の周囲に接する、1あるいは2以上の周囲補強材をさらに備える、請求項25のプリフォームアセンブリ。
【請求項27】
前記サブ−プリフォーム織りファブリックは、カーボン、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ガラス、セラミック、アラミド、およびポリエチレンの中から選択した材料で構成した、請求項25のプリフォームアセンブリ。
【請求項28】
前記中間補強材織りファブリックは、カーボン、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ガラス、セラミック、アラミド、およびポリエチレンの中から選択した材料で構成した、請求項25のプリフォームアセンブリ。
【請求項29】
前記ファブリックは、単層ファブリックあるいは多層ファブリックのいずれかである、請求項25のプリフォームアセンブリ。
【請求項30】
前記サブ−プリフォームおよび前記中間補強材巻きは、共成形されている、請求項25のプリフォームアセンブリ。
【請求項31】
前記外側の補強材巻きは、T−形成、タフティング、あるいはスティチングによって、前記サブ−プリフォームに付いている、請求項25のプリフォームアセンブリ。
【請求項32】
前記サブ−プリフォームと前記中間巻きとの間に、1あるいは2以上の部分をもつ織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、請求項25のプリフォームアセンブリ。
【請求項33】
中間補強材一体の第1のフランジは、第1の一体フランジに隣接する位置にあり、しかもまた、中間補強材一体の第2のフランジは、第2の一体フランジに隣接する位置にある、請求項25のプリフォームアセンブリ。
【請求項34】
前記第1の一体フランジと前記中間補強材一体の第1のフランジ、ならびに前記第2の一体フランジと中間補強材一体の第2のフランジとの少なくとも一つの間に、長さのある織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、請求項33のプリフォームアセンブリ。
【請求項35】
織りプリフォームアセンブリであって、次の構成および条件を備える、織りプリフォームアセンブリ。
・適切に設計したマンドレルの中心線周りの、連続する輪郭織りファブリックの1あるいは2以上の巻きであり、バレル形の周囲を形成するもの
・前記巻きは、前記織りファブリックの第1端に一要素である第1のフランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記巻きは、前記織りファブリックの第2端に一要素である第2のフランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成すること
・前記織りファブリックの最も外部の巻きは、前記織りファブリックの最も外部の層を二またに分岐している
・前記二またに分岐した最も外部の層を折り重ねて、1あるいは2以上の補強材を形成する
【請求項36】
前記補強材は、前記中心線と一緒に軸方向に整列している、請求項35のプリフォームアセンブリ。
【請求項37】
前記補強材は、前記中心線の周りに周方向に整列している、請求項35のプリフォームアセンブリ。
【請求項38】
前記バレル形の周囲に接触する、1あるいは2以上の周囲補強材をさらに備える、請求項35のプリフォームアセンブリ。
【請求項39】
前記1あるいは2以上の補強材は、T−形成、タフティング、あるいはスティチングによって、前記連続する織りファブリックの1あるいは2以上の巻きに付いている、請求項35のプリフォームアセンブリ。
【請求項40】
前記連続した織りファブリックの1あるいは2以上の巻きの間に、1あるいは2以上の部分をもつ織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、請求項35のプリフォームアセンブリ。
【請求項41】
前記最も外部の層の二またに分岐した部分間に、長さのある織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、請求項35のプリフォームアセンブリ。
【請求項42】
織りプリフォームの製造方法であって、次の各工程および条件を備える、織りプリフォームの製造方法。
マンドレルの中心線周りに、連続する輪郭織りファブリック巻く工程であり、前記マンドレルが、所定の断面形状をもつプリフォームベースを形成するようになっている工程
前記プリフォームベースは、輪郭織りであって前記織りファブリックの第1端に一要素であるプリフォームベース第1フランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記プリフォームベースは、前記織りファブリックの第2端に少なくとも一要素であるプリフォームベース第2フランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成するようになっていること
・複数の横糸繊維と織った複数の縦糸繊維から形成された、1あるいは2以上の輪郭織りファブリック層を巻くことにより、その輪郭織ファブリック層が、前記織りファブリックの第1端と第2端との間の前記プリフォームベースの外側に位置し、しかも、前記プリフォームベースの周囲面に少なくとも部分的に巻かれ、その周囲面に接触して、対等のL形状の周囲補強材を複数形成する工程
・前記周囲補強材を形成する、前記輪郭織りファブリック層の縦糸繊維は前記ファブリックの幅方向にわたって長さが異なり、前記周囲補強材によって前記プリフォームベースの周囲面の曲がりに適合するようになっていること
【請求項43】
前記連続する織りファブリックに対し、1あるいは2以上の前記周囲補強材を縫う工程をさらに備える、請求項42の方法。
【請求項44】
前記連続する織りファブリックを中心線周りに1あるいは2回以上巻いて、前記中心線周りに前記周囲を形成した後、前記連続する織りファブリックを成形する工程をさらに備える、請求項42の方法。
【請求項45】
前記連続する織りファブリックを中心線周りに1あるいは2回以上巻いて、前記中心線周りに前記周囲を形成した後、1あるいは2以上の前記周囲補強材を前記連続する織りファブリックと一緒に共成形する工程をさらに備える、請求項44の方法。
【請求項46】
前記成形した連続する輪郭織りファブリック上に、前記周囲補強材を成形する工程をさらに備える、請求項44の方法。
【請求項47】
織りプリフォームの製造方法であって、次の各工程および条件を備える、織りプリフォームの製造方法。
・中心線周りに、連続する織りファブリックを1あるいは2回以上巻くことにより、前記中心線周りに周囲面を形成する工程
・前記周囲面に、輪郭織りファブリックから形成される、1あるいは2以上の周囲補強材を巻くことにより、それらの周囲補強材が前記周囲面周りに接し、しかも弧形を形成するようにする工程
・前記周囲補強材は、複数の横糸繊維と織った複数の縦糸繊維から形成されていること
・前記1あるいは2以上の周囲補強材を形成する、前記輪郭織りファブリック層の縦糸繊維は、前記ファブリックの幅方向にわたって長さが異なり、前記1あるいは2以上の周囲補強材によって、前記輪郭織りファブリックが前記プリフォームの周囲面の曲がりに適合するようになっていること
【請求項48】
織りプリフォームの製造方法であって、次の各工程および条件を備える、織りプリフォームの製造方法。
・中心線周りに、連続する輪郭織りファブリックを1あるいは2回以上巻くことにより、前記中心線周りに第1のサブ−プリフォーム周囲面を形成する工程
・前記第1のサブ−プリフォームは、前記織りファブリックの第1端に一要素である第1のフランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記第1のサブ−プリフォームは、前記織りファブリックの第2端に一要素である第2のフランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成すること
・前記第1のサブ−プリフォームの周りに、輪郭織りファブリックから形成される、1あるいは2以上の追加のサブ−プリフォームを巻く工程
・前記追加のサブ−プリフォームは、前記外側サブ−プリフォーム織りファブリックの第1端に第1の外側サブ−プリフォーム一体フランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記追加のサブ−プリフォームは、前記外側サブ−プリフォーム織りファブリックの第2端に第2の外側サブ−プリフォーム一体フランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成すること
・互いに隣接する外側サブ−プリフォーム一体フランジを整列させることにより、そのような隣接する外側サブ−プリフォーム一体フランジを互いに接するようにして、一体の補強材を形成する工程
・前記一体の補強材は、複数の横糸繊維と織った複数の縦糸繊維から形成されていること
・前記1あるいは2以上の一体の補強材を形成する、前記輪郭織りファブリック層の縦糸繊維は、前記ファブリックの幅方向にわたって長さが異なり、前記1あるいは2以上の一体の補強材によって、前記輪郭織りファブリックが前記プリフォームの周囲面の曲がりに適合するようになっていること
【請求項49】
織りプリフォームの製造方法であって、次の各工程および条件を備える、織りプリフォームの製造方法。
・中心線周りに、連続する輪郭織りファブリックを1あるいは2回以上巻くことにより、前記中心線周りにサブ−プリフォーム周囲面を形成する工程
・前記サブ−プリフォームは、前記織りファブリックの第1端に第1の一体フランジをもち、その第1のフランジが、前記中心線周りに第1端周囲を形成すること、しかもまた、前記サブ−プリフォームは、前記織りファブリックの第2端に第2の一体フランジをもち、その第2のフランジが、前記中心線周りに第2端周囲を形成すること
・中間補強材巻きに、輪郭織りファブリックによって中間補強材を形成する工程
・前記サブ−プリフォーム周りに前記中間補強材を巻く工程
・前記中間補強材は、複数の横糸繊維と織った複数の縦糸繊維から形成されていること
・前記中間補強材を形成する、前記輪郭織りファブリック層の縦糸繊維は、前記ファブリックの幅方向にわたって長さが異なり、前記中間補強材によって、前記輪郭織りファブリックが前記プリフォームの周囲面の曲がりに適合するようになっていること
【請求項50】
織りプリフォームの製造方法であって、次の各工程を備える、織りプリフォームの製造方法。
・中心線周りに、連続する輪郭織りファブリックを1あるいは2回以上巻くことにより、前記中心線周りに周囲面を形成する工程
・最も外部の巻きの最も外部の層を二またに分岐する工程
・前記分岐した層を折り重ねて、周囲を取り囲むブレード補強材を形成する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンポジットプリフォーム用の周囲の補強材(つまり、スティフナ、stiffener)に関し、特には、ジェット機エンジンのファンケースを形成するために用いるプリフォーム用のものに関する。
【引用による組み入れ】
【0002】
ここで述べる製品についてのすべての特許、特許出願、文書、文献、製造者の使用説明書、解説、製品仕様書、および製品説明書を引用によってここに組み入れ、しかもまた、この発明を実施する上で使用する。
【背景技術】
【0003】
構造的な構成要素あるいは部品を製造するために、強化コンポジット材料を用いることは、今や一般的である。特に、重さが軽いこと、強固、丈夫、耐熱性、自らを支える能力、および形作る上で適合するという、好ましい特性が求められるところでは広く普及している。
【0004】
この関係で、たとえばジェットエンジンのファンケース用として、輪郭織りプリフォームを利用することにより、レジントランスファ成形(つまり、レジンインジェクション)品に強化材を与える。そのようなプリフォームは、適切な大きさのマンドレル上に巻くとき、特定の断面形状をもつように作られる。それらの形状は、各端に一体の(つまり、一要素である)フランジを伴う、可変の厚さのバレル断面として、一般に述べられる。
【0005】
そのようなプリフォームは、典型的に、強化素材で織ったファブリックから構成される。強化素材は、たとえば、ガラス、炭素、セラミック、アラミド、ポリエチレン、および/または、物理的、熱的、化学的および/またはその他の好ましい特性、第1には応力に対する大きな耐久性を示すその他の材料から構成される。そのようなファブリックは、結局は完成品の構成要素になるのであるが、それらのファブリックを使用することにより、ファブリックの望ましい特性(たとえば、非常に大きな強度)が、完成したコンポジット部品に授けられることになる。通常、選択理由であるファブリックの特性が最大限に活用されるように注意が図られる。
【0006】
必要なプリフォームを構成した後、成形あるいは強化の操作(処理)を行う。操作では、レジンマトリックス材料を織りプリフォームおよびその中に加える。それにより、プリフォームは、一般に、レジンマトリックス材料で包まれ、レジンマトリックス材料はプリフォームの構成要素の間のすき間部分を埋める。レジンマトリックス材料としては、たとえば、エポキシ、フェノール、ポリエステル、ビニル−エステル、セラミック、炭素および/またはその他の系の材料で、必要とする物理的、熱的、化学的および/または他の特性を示すものなど、いろいろな材料を広く適用することができる。レジンマトリックスとして用いる材料としては、強化プリフォームの材料と同じものでも良いし、異なるものでも良く、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似したものでも良いし、類似しないものでも良い。しかし、通常、それらは強化プリフォームと同じ材料ではなく、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似しない。なぜなら、第1にコンポジットを用いる通常の目的は、ただ一つの構成材料だけでは得ることができない組合せ特性を完成品で得ることにあるからである。織りプリフォームおよびマトリックス材料は、そのように組み合わされた後、熱硬化処理あるいは他の公知の方法で同じ作業工程において硬化および安定化され、さらに、目的とする構成部品を製造するための他の作業工程に入る。ここで、そのように硬化した時点において、マトリックス材料の固体化したものは、通常、強化材料(たとえば、織りプリフォーム)に非常に強く付着していることに気付くことが大事である。結局、完成品上の応力が、繊維間の接着剤として機能するそのマトリックス材料を特に通して、プリフォームの構成材料に有効に移され保持される。
【0007】
ジェットエンジンのファンケースにおいて、たとえば図1に示すように、強化のための輪郭織りプリフォームを用いること、そしてまた、たとえばレジントランスファ成形によって含浸を行うことは、すでに知られている。この種のプリフォームを用いることによって、いくつかの利点を得る。たとえば、周囲および軸の方向に繊維(fiber)が連続すること、切断(カッテイング)およびダーツをなくすことから、手を使う作業(touch labor)を最小にすること、そして、切断(カッテイング)およびダーツを不要にすることにより、作業工程の無駄を最小にすること、などの利点である。
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、今ある織りプリフォームは、多くの適用において適切であると同時に、ファンケースに対して、1あるいは2以上の軸方向位置で、周囲あるいは軸方向の補強材(スティフナ)を追加するが必要であることが判った。したがって、プリフォームの強度および/または動的性能を改良するため、中間の周囲補強材で増強した輪郭織りプリフォームを提供することによって、現状の技術の向上を図ることができる。ファンケースに用いるとき、そのような補強材(スティフナ)は、ファンケースそれ自体あるいは付属の補助装置のアタッチメントポイントとしても機能する。ここで示す内容は、周囲の補強材(スティフナ)を含む、改良したプリフォームアセンブリ、そしてまた、その製造方法である。
【0009】
この発明の一つの実施態様は、連続的な単層あるいは多層のファブリックを、1あるいは2以上巻いたものであり、適切に設計したマンドレルの中心線周りに、バレル形の周囲あるいはリングに形作った織りプリフォームである。ファブリックを巻いたものには、織りファブリックの第1端に一要素であるフランジを形成することができる。そのフランジは、中心線周りに第1端周囲を形成する。ファブリックを巻いたものには、また、織りファブリックの第2端に一要素であるフランジを形成することができる。そのフランジは、中心線周りに第2端周囲を形成する。
【0010】
ファブリックを巻いたものが「バレル形」周囲を形成すると表現しているが、プリフォームは、一般に、シリンダー壁を伴うシリンダーの形であり、外側に膨らんだり、内側に膨らんだり、あるいは、いくつかの区域で外側に膨らみ、他の部分で内側に膨らんだりしたものを含む。ここで示す内容において、バレル、バレル形およびそれらの変更の各用語については、プリフォームの形における変形の説明に応じて用いる。
【0011】
補強材(スティフナ)、フランジ、あるいは補強材およびフランジの両方は、プリフォームの周りに、1あるいは2以上の織りファブリックを少なくとも部分的に周辺を取り囲むように巻くことにより、プリフォームの外側表面に形成する。補強材(スティフナ)は、プリフォームの第1および第2のファブリック端の間の位置に形成する。そして、フランジは、プリフォームの両端に形成する。1あるいは2以上の周囲補強材は、個々の輪郭織りファブリックで形成する。それらは、中心線周りに、プリフォームのバレル形の周囲に隣接かつ接触するか、臨んでいる。1あるいは2以上の周囲補強材、および/または1あるいは2以上のフランジは、縦糸方向、横糸方向、あるいは縦糸および横糸の両方向のストレッチブロークンファイバで形成することができる。
【0012】
この発明の一つの実施例では、単層のファブリックによる1あるいは2以上の巻きにより、1あるいは2以上の周囲補強材を形成する。
【0013】
この発明の一つの実施例では、多層のファブリックによる1あるいは2以上の巻きにより、1あるいは2以上の周囲補強材を形成する。
【0014】
この発明の一つの実施例では、1あるいは2層以上の輪郭織りファブリックにより、1あるいは2以上の周囲補強材を形成する。
【0015】
この発明の一つの実施例では、縦糸方向、横糸方向、あるいは縦糸および横糸の両方向のストレッチブロークンファイバで構成した、単層あるいは多層の織りファブリックからなる、1あるいは2層以上の周囲補強材を形成する。
【0016】
この発明の一つの実施例では、輪郭織りファブリックの層間に、1あるいは2以上の長さの織り材を斜めに(バイアスに)挿入した、1あるいは2以上の周囲補強材を伴うプリフォームをさらに備える。
【0017】
この発明の一つの実施例では、成形前にプリフォームに取り付けた1あるいは2以上の周囲補強材を伴うプリフォームをさらに備える。そして、補強材の部分および/またはプリフォームそれ自体をT−形成(第1の補強プリフォームパネルと第2の補強プリフォームパネルとをT型に配置する技術、米国特許第6,103,337号参照、その特許の内容を参照によって組み込む)、タフティング、スティチングあるいはその他の公知の手法により強化している。
【0018】
この発明の一つの実施例では、アラミド、カーボン、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、およびガラス繊維の中から選択した材料で構成した織りファブリックを備える。
【0019】
この発明の一つの実施態様は、たとえばコンポジットファンケースに適した織りプリフォームであり、連続的なファブリックを1あるいは2以上巻くことにより、適切に設計したマンドレルの中心線周りに、たとえばバレル形の周囲あるいはリングに形作ったものを含む第1のサブプリフォームを伴う。ファブリックを巻いたものは、織りファブリックの第1端に一要素であるフランジを形成する。そのフランジは、中心線周りに第1端周囲を形成する。ファブリックを巻いたものは、また、織りファブリックの第2端に一要素であるフランジを形成する。そのフランジは、中心線周りに第2端周囲を形成する。第1のサブプリフォームの実質的にバレル形の周囲上に、少なくとも2つの第2のサブプリフォームを形成する。第2のサブプリフォームの各々は、連続的なファブリックを1あるいは2以上巻くことにより、第1のサブプリフォームの中心線周りに、少なくとも1つのバレル形の周囲を形成したものである。第2のサブプリフォームのファブリックを巻いたものは、外側のサブプリフォームファブリックの第1端に一要素である第1の外側サブプリフォームフランジを形成する。そのフランジは、中心線周りに第1端周囲を形成する。同様に、外側のサブプリフォームの織りファブリックの第2端には、一要素である第2の外側サブプリフォームフランジが位置し、そのフランジは中心線周りに第2端周囲を形成する。外側あるいは第2の各サブプリフォームの実質的にバレル形の周囲は、実質的にバレル形の第1のサブプリフォームの周囲を取り巻く。第2のサブプリフォームの一要素であるフランジによって、一要素である補強材(スティフナ)を形成することができる。第2のサブプリフォームの一要素であるフランジは、他のフランジに接触あるいは隣接させることにより、一緒になって、一要素である補強材(スティフナ)を形成すると考えることもできる。
【0020】
この発明の一つの実施例では、隣接する第2のサブプリフォームのフランジにより、1あるいは2以上の周囲補強材を形成する。また、実施例によっては、いくつかのサブプリフォームの隣接するフランジ間に、長さのある織り材を斜めに(バイアスに)挿入する。
【0021】
この発明の一つの実施例は、第1のサブプリフォームを備えるが、その第1のサブプリフォームを組み付けた後、第1のサブプリフォームの実質的にバレル形の周囲に、より外側のサブプリフォームを接触させるように組み付ける。
【0022】
この発明の一つの実施例は、第1のサブプリフォームを備えるが、その第1のサブプリフォームを組み付け、そして成形した後、第1のサブプリフォームの実質的にバレル形の周囲に、より外側のサブプリフォームを接触させるように組み付ける。
【0023】
この発明の一つの実施態様は、連続的な単層あるいは多層のファブリックを、1あるいは2以上巻いたサブプリフォームを備える織りプリフォームを提供する。そのサブプリフォームは、中心線周りに、実質的にバレル形の周囲を形成する。巻きにより、織りファブリックの第1端に一要素である第1のフランジを形成する
ことができる。その第1のフランジは、中心線周りに第1端周囲を形成する。巻きにより、また、織りファブリックの第2端に一要素である第2のフランジを形成することができる。その第2のフランジは、中心線周りに第2端周囲を形成する。また、中間の補強材については、連続的な単層あるいは多層のファブリックを1あるいは2以上巻くことにより、中心線周りに実質的にバレル形の周囲を形作る。中間補強材の巻きを形成する織りファブリック層は、その織りファブリックの巻きの第1端に一要素である第1のフランジを備え、そして、織りファブリックの巻きの第2端に一要素である第2のフランジを備える。その第2のフランジは、中心線周りに第2端周囲を形成する。中間補強材の巻きは、中間補強材の一要素である第1のフランジと、中間補強材の一要素である第2のフランジとの間に位置する、1あるいは2以上の中間補強材と一体にすることができる。中間補強材を形成する織りファブリック層は、サブプリフォームのバレル形の周囲の周りの複数のバレル形の周囲を取り巻く。
【0024】
この発明の一つの実施例は、成形前にプリフォームに取り付けた1あるいは2以上の周囲補強材を伴うプリフォームをさらに備え、補強材の部分および/またはプリフォームそれ自体をT−形成、タフティング、スティチングあるいはその他の公知の手法により強化している。
【0025】
この発明の一実施例では、コンポジットファンケースを形成する。そのファンケースは、連続的な単層あるいは多層の織りファブリックを1あるいは2以上に巻くことにより、適切に設計したマンドレルの中心線周りに、実質的にバレル形の周囲を形作っている。巻きには、織りファブリックの第1端に一要素である第1のフランジを含むことができる。その第1のフランジは、中心線周りに第1端周囲を形成する。巻きには、また、織りファブリックの第2端に一要素である第2のフランジを含むことができる。その第2のフランジは、中心線周りに第2端周囲を形成する。多層の織りファブリックの最も外部の巻きについては、外側の表面層を二またに分岐し、二またに分岐した外側の表面層を折り畳んで補強材(スティフナ)を形成することができる。最も外部の層の巻きを分岐する場合、縦糸方向あるいは横糸方向に行うことができ、それにより、周辺を取り巻く方向あるいは軸方向の補強材をそれぞれ提供することができる。
【0026】
この発明の一実施例では、中心線を伴って軸の方向に向けた、1あるいは2以上の補強材を形成する。
【0027】
この発明の一実施例では、中心線を伴って周辺を取り巻くようになった、1あるいは2以上の補強材を形成する。
【0028】
この発明の一実施例では、実質的にバレル形の周囲と接触する、1あるいは2以上の周辺を取り巻く補強材を形成する。
【0029】
この発明の一実施例は、織りプリフォームの製造方法である。その製造方法は、中心線周りに、連続的な単層あるいは多層の織りファブリックを1あるいは2回以上巻くことにより、中心線周りに周囲を形成する工程と、連続的な織りファブリック周りの、1あるいは2以上の周辺を取り巻く補強材を巻くことにより、周辺を取り巻く補強材が中心線周りの周囲を形成するようにする工程とを備える。
【0030】
この発明の一つの実施例は、成形前にプリフォームに取り付けた1あるいは2以上の周辺を取り巻く補強材(つまり、周囲補強材)を伴うプリフォームをさらに備え、補強材の部分および/またはプリフォームそれ自体をT−形成、タフティング、スティチングあるいはその他の公知の手法により強化している。
【0031】
この発明の一つの実施例では、連続的な織りファブリックを中心線周りに1あるいは2回以上巻くことにより、中心線周りに周囲を形成した後、連続的な織りファブリックを成形する。
【0032】
この発明の一つの実施例では、1あるいは2以上の周囲補強材と、連続的な織りファブリックとを、中心線周りに1あるいは2回以上巻くことにより、中心線周りに周囲(囲み)を形成した後、それらの周囲補強材と織りファブリックとを一緒に成形する。
【0033】
この発明の一つの実施例では、成形した連続的な織りファブリックに対し、周囲補強材を成形する。
【0034】
この発明の一実施例は、織りプリフォームの製造方法である。その製造方法は、中心線周りに、連続的な単層あるいは多層の織りファブリックを中心線周りに1あるいは2回以上巻くことにより、中心線周りに周辺を取り巻く表面を形成する工程と、その周辺を取り巻く表面上に、1あるいは2以上の周囲補強材を少なくとも部分的に巻くことにより、中心線周りに弧(弓形)を形成する工程とを備える。
【0035】
この発明の一実施例は、織りプリフォームの製造方法である。その製造方法は、3つの工程を備える。第1の工程は、中心線周りに、連続的な単層あるいは多層の織りファブリックを中心線周りに1あるいは2回以上巻くことにより、中心線周りに周囲を形成する第1のサブプリフォームを形成する工程である。ここで、その第1のサブプリフォームは、織りファブリックの第1端に一要素である第1のフランジを含むことができる。その第1のフランジは、中心線周りに第1端周囲を形成する。また、織りファブリックの第2端に一要素である第2のフランジを含むことができる。その第2のフランジは、中心線周りに第2端周囲を形成する。そして、前記の製造方法の第2の工程は、1あるいは2以上の追加のサブプリフォームを巻く工程である。追加のサブプリフォームは、より外側のサブプリフォーム織りファブリックの第1端の位置に、一要素である第1の外側サブプリフォームフランジを含み、そのフランジが中心線周りに第1端周囲を形成する。そしてまた、追加のサブプリフォームは、より外側のサブプリフォーム織りファブリックの第2端の位置に、一要素である第2の外側サブプリフォームフランジを含み、そのフランジが中心線周りに第2端周囲を形成する。さらに、前記の製造方法の第3の工程は、一要素である隣接する外側サブプリフォームフランジが互いに接触あるいは隣接するように、それら隣接する外側サブプリフォームフランジを整列させることにより、一要素である補強材(スティフナ)を形成する工程である。
【0036】
この発明の一実施例は、織りプリフォームの製造方法である。その製造方法は、3つの工程を備える。第1の工程は、連続的な単層あるいは多層の織りファブリックを中心線周りに1あるいは2回以上巻くことにより、中心線周りに周囲を形成するサブプリフォームを形成する工程である。ここで、そのサブプリフォームは、織りファブリックの第1端に一要素である第1のフランジを含むことができる。その第1のフランジは、中心線周りに第1端周囲を形成する。また、織りファブリックの第2端に一要素である第2のフランジを含むことができる。その第2のフランジは、中心線周りに第2端周囲を形成する。そして、前記の製造方法の第2の工程は、中間の補強材の巻きの中に中間補強材を形成する工程であり、第3の工程は、その中間補強材の巻きをサブプリフォーム周りに巻く工程である。
【0037】
この発明の一実施例は、織りプリフォームの製造方法である。その製造方法は、3つの工程を備える。第1の工程は、連続的な単層あるいは多層の織りファブリックを中心線周りに1あるいは2回以上巻くことにより、中心線周りに周囲を形成する工程である。また、第2の工程は、単層あるいは多層の織りファブリックの最も外部の巻きによる最外層を二またに分岐する工程である。そして、第3の工程は、二またに分岐した層を折り畳んで周囲補強材(スティフナ)を作る工程である。
【0038】
したがって、この発明の目的は、周囲補強材(スティフナ)を一要素とする織りプリフォームアセンブリであり、たとえば、ジェットエンジンのファンケースを形成する上で有用なものを提供することである。
【0039】
この発明のさらなる目的は、そのような周囲補強材(スティフナ)を一要素とする織りプリフォームアセンブリ製造する方法を提供することである。
【0040】
この発明、ならびに、それを使用することによって得る作用効果および特定の目的について良く理解するため、詳細な説明を参照されたい。そこには、この発明の好ましい実施形態(これに限定されない)が図面に示されている。
【0041】
この中で用いる用語「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。また、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、米国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】輪郭織りファイバプリフォームを用いて製造した、今までのファンケースを示す。
図2】今までの輪郭織りファンケースプリフォームの構成図である。
図3】この発明の一実施例であって、織りプリフォームに追加した輪郭織り補強材(スティフナ)アセンブリを示す。
図4】この発明の一実施例であって、多層のサブプリフォームを織りプリフォームに結合することによって形成した補強材(スティフナ)を示す。
図5】この発明の一実施例であって、単一のサブプリフォーム中の多数の補強材(スティフナ)を示す。
図6】この発明の一実施例であって、織りプリフォーム形成用の多層ファブリックの一つの最も外部の巻きによる最外層を二またに分岐して形成した一要素である補強材(スティフナ)を示す。
図7】この発明によって製造することができる、いろいろな形の織りプリフォームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以後この発明について添付の図面を参照しながら、より詳しく説明する。図面には、好ましい実施例を示す。しかし、この発明は、多くのいろいろな形態で実施することができ、ここに述べる実施例に限定されるわけではない。むしろ、図示するそれらの実施例は、開示が全体に行き渡り完全になるようにし、当業者にこの発明の考え方を充分に伝えるためのものである。
【0044】
引き続く説明において、同様あるいは対応する部分に対し、図面を通して同一の符号を付ける。そしてまた、以下の説明中、たとえば「上部の」、「下部の」、「上」、「下」およびその他の用語は、便宜的なものであり、文字どおりに解釈されるわけではない。
【0045】
ここに述べるように、周囲補強材は、織りプリフォームアセンブリに組み入れられる。そのアセンブリは、ジェットエンジンのコンポジットファンケースとしてしばしば適切に用いられるが、一般に円筒形あるいは実質的に「バレル形」である。織りプリフォームアセンブリを「バレル形」として述べるが、プリフォームは、一般的に、円筒壁をもつ円筒の形であり、たとえば、図7に示すように、外側に膨らましたり、内側に膨らましたり、あるいは、いくつかの区域で外側に膨らまし、他の部分で内側に膨らませることができる。ここに示す内容において、バレル、バレル形およびそれらの変更の各用語については、プリフォームの形における変形の説明に応じて用いる。
【0046】
別の言い方をすれば、ファンケースは、中心線および織りプリフォームアセンブリを含み、しかもまた、周囲補強材を備え、ファンケース製造用に適切に設計したマンドレルの中心線周りに周囲を作る。それらの補強材は強度を増大し、しかもまた、ファンケースに取り付ける備品類のアタッチメントポイントにもなる。そのような備品類は、周囲補強材に対し、たとえば、ボルトで固定する。さらに、そのような補強材は、たとえば構造的な構成部分にファンケースを取り付けるためにも用いる。周囲補強材を伴う織りプリフォームアセンブリは、ジェット機のエンジン用のファンケースプリフォームとして有用である。
【0047】
図に戻ると、図1は、輪郭織りファイバプリフォー
ムを用いて製造した、今までのファンケース(100)を示す。図1のファンケース(100)は、実質的にバレル形の本体(101)を含む。バレル形の本体(101)は、変わり得る厚さのバレル断面をもつ。バレル形の本体(101)のどちらの端にも、織りプリフォームから構成される、一要素であるフランジ(102)および(103)がある。縦糸繊維(周辺を取り巻く方向に走る)の径路は、切断(カッテイング)およびダーツを必要とすることなく、最終形状の輪郭の正確な長さに作り出す。一要素であるそれらのフランジは、プリフォームの周辺を取り巻く部分に堅さを生じる。しかし、図1のファンケース(100)は、多くの適用に対し適切であるが、1あるいは2以上の軸方向の配置で追加の周囲補強材を組み込むことが要望される場合もある。そのような追加の周囲補強材は、ファンケースの強度および/または動的な性能を向上するために用いる。さらには、周囲補強材は、たとえば補助備品のためのアタッチメントポイントとして役立つ。
【0048】
図2は、図1のもののように、今までの輪郭織りファンケースプリフォームの構成図、あるいは部分的な断面図である。それは、現在の技術を示す。便宜上、プリフォームの半分だけを示し、バレル断面を一定の厚さで示している。図2において、プリフォームの断面は、織りファブリックの4つの連続した巻き(202),(203),(204),および(205)で構成される。それらの巻きは、適切に設計したマンドレルの中心線周りに周囲を描く。言い換えると、図2中、第1の巻き(202)の端が第2の巻き(203)の始まりにつながり、第2の巻き(203)の端が第3の巻き(204)の始まりにつながり、第3の巻き(204)の端が第4の巻き(205)の始まりにつながる。その上、このファブリックは、均一な厚さをもつ必要はなく、フランジ(102),(103)間のプリフォームの本体(101)は、必ずしも円筒形でなくとも良い(たとえば、実質的にバレル形あるいは図7に示す他の形にすることができる)。図2には、連続した織りファブリックが4つの巻きをもつように示すが、最終的なプリフォームは、どのような巻き数にもすることができる。
【0049】
一般に、そのようなプリフォームに用いるファブリックは、縦糸繊維を異なる長さにする特別なテークアップ機構を取り付けた織り機で織る。縦糸繊維は、ファンケースの周辺を取り巻く方向にある。縦糸繊維の径路は、切断(カッテイング)および/またはダーツを必要とすることなく、最終形状の輪郭の正確な長さに作り出し、輪郭織りファブリックを生じることになる。
【0050】
そのようなプリフォームのためのファブリックを織る上で用いる繊維あるいは糸には、アラミド、カーボン、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、およびガラス繊維の中から選択した1あるいは2以上の材料がある。
【0051】
この発明の実施例は、一般に航空機に用いるジェットエンジンのファンケースの製造に有用である。以下の説明において、プリフォームアセンブリとは、限定はしないが、発明のプリフォームアセンブリの実例としてファンケースプリフォームを指して言う。いわゆる当業者であれば、発明のプリフォームアセンブリが増大した性能特性を利用することにより、開示する織りプリフォームを他の用途に用いるであろう。
【0052】
一つの実施例では、輪郭織りプリフォームアセンブリに対して追加の周囲補強材を加える方法によって、プリフォームアセンブリを提供する。その実施例において、適切に設計したマンドレルの周りに織りファブリックの層を巻くことにより、図2に示すと同様なファンケースプリフォームを形成する。一例を図3に図式化して示す。図3は、2つの単層あるいは多層の織りファブリックをも示し、それらは輪郭織りファブリックの巻きの周りを少なくとも部分的に巻き、それにより、周囲補強材(301)および(302)を形成する。そのような織り周囲補強材の数量、関係する形状、および大きさは、図3に示すものに限定するわけではない。個々の周囲補強材は、互いに形状あるいは大きさを必ずしも同様にする必要はない。また、フランジ(102),(103)間のプリフォームの本体(101)は円筒形にしなければならないというわけではなく、実質的にバレル形(101)にすることができる。そしてまた、その厚さも不均一にすることができる。
【0053】
補強材(301),(302)を形成するために用いる織りファブリックは、輪郭織りファブリックであり、縦糸繊維の長さはファブリックの幅方向に異ならせることができる。異なる長さを作り出すことにより、補強材を最終的な形の輪郭に位置させることができる。
【0054】
他の実施例では、補強材(301),(302)を形成するために用いる織りファブリックは、補強材の少なくとも縦糸(周辺を取り巻く)方向をストレッチブロークン(SB)ファイバで構成する。しかし、それらのSBファイバ、たとえばカーボンを、横糸(軸)方向にも、あるいは両方にも用いることができる。ストレッチブロークンファイバもまた、補強材を最終的な形の輪郭に位置させることができる。
【0055】
周辺を取り巻く補強材(301),(302)については、単層のファブリックによる多重の巻き、あるいは、多層の織りファブリックを利用するときには、おそらくより少ない数の巻きを用いることにより、作り上げる。それとは関係なく、周辺を取り巻く(周囲)補強材は、マンドレル上にすでにあるドライベースプリフォーム上に巻き、共成形するか、あるいは、マンドレル上にすでにある成形ファンケースプリフォームに巻き、二次処理で成形し最終的なコンポジットを形成することができる。
【0056】
周辺を取り巻く補強材(301),(302)には、求められるなら、織りファブリックの層間に長さのある織り材を挿入し加えることができる。挿入する織り材は、その織り材の糸が補強材のファブリック層の糸に対して角度をもつように(バイアスに)、プリフォームベース周りに巻く。そのような「バイアス」のファブリックは、また、マンドレルの周りにそれらを巻くとき、ファブリック(202〜205)の巻きの間に挿入することもできる。さらに、プリフォームアセンブリの厚さ方向の追加的な補強については、たとえば、T−形成、タフティング、あるいは補強材自体を通すスティチング、および/またはプリフォーム層(202〜205)に対する補強材層(301,302)の取付けによって行うことができる。それらは、成形および樹脂含浸に先立って行う。周辺を取り巻く補強材(301),(302)は、ファンケースプリフォーム(100)の周りを部分的にのみ伸ばすことができる。部分的に伸びる補強材(301),(302)についても、T−形成、タフティング、または層自体を通すか、あるいはドライベースファンケース上へのスティチングを行うことができる。それらは、プリフォーム(100)の本体(101)に対して厚さ方向の補強をするために、成形に先立って行う。
【0057】
さらには、補強材については、完全に周辺を取り囲むリングにすることができるし、あるいは、プリフォームの周りを全体的には巻かない弧形の部分(セグメント)にのみすることができるし、あるいはまた、完全に周辺を取り囲むリングと弧形の部分との組合せにすることができる。たとえば、弧形のセグメントは、周囲補強材を装置のアタッチメントポイントとして用いる際には有効な選択である。アタッチポイントには、周を完全に取り囲むリングは不要である。この場合、プリフォームアセンブリについて、織りファブリックを特定の長さにカットし、必要な分だけ互いに重ね合わせて弧形のセグメントの厚さを作り上げることもできる。
【0058】
このように、周辺を取り巻く補強材は、単層ファブリックの多重の巻き、多層のファブリックの多重の巻き、完全に周を囲むリング、部分的な補強材(つまり、弧形)として構成することができる。そして、輪郭織りベースプリフォームの周面に巻くとき、T−形成、タフティング、あるいはスティチング、および共成形を伴うこともできるし、伴わないようにすることもできる。それとは別に、成形済のプリフォームベースの周面に巻き、二次処理で成形し最終的なコンポジットを形成することができる。また、それぞれの周囲補強材に対し、異なるファブリックを選択することもできる。そして、周囲補強材を形成するファブリック、およびベースプリフォームは、必ずしも同じタイプのファブリックとする必要はない。さらに、用いるファブリックが均一な厚さをもつ必要はなく、要望により、厚い区域と薄い区域とをもつようにすることができる。
【0059】
図4には、追加の周囲補助材を伴うコンポジットファンケースの他の実施例を示す。そこに示すものは、数個の織りを用いた典型例であり、各織りサブ−プリフォームは、適切に設計したマンドレル周りの1あるいは2以上の巻きを含む。織りサブ−プリフォームについては、ストレッチブロークンファイバあるいは糸で少なくとも部分的に織ったファブリックで形成することができるし、あるいは、輪郭織りファブリックで形成することができる。図4において、第1のサブ−プリフォームは、適切に設計したマンドレル周りに、輪郭織りファブリックの巻き(202)および(203)を含む。外側のサブ−プリフォームは、巻き(401)および(402)を含む第2のサブ−プリフォーム、巻き(403)および(404)を含む第3のサブ−プリフォーム、および巻き(405)および(406)を含む第4のサブ−プリフォームで示すように、織りファブリックの多重の巻きを備える。
【0060】
すべてのサブ−プリフォームを作り上げ、組み合わせて最終的なプリフォームアセンブリを作る。それらの各サブ−プリフォームは、各端に一要素である(つまり、一体である)フランジおよび/または補強材を伴う、ベース部分から構成される。一要素である補強材は、それの単層あるいは複数の層に補強材をベースに連結する貫通ファイバがある。中間の補強材が、各端のフランジ間の1あるいは2以上の場所にある。中間の補強材は、一要素であっても(つまり一体であっても)、そうでなくとも良い。いくつかのあるいはすべてのサブ−プリフォームで用いる巻き数を変えることができ、図4に示す例に限定するわけではない。同様に、そのような輪郭織りファブリックのサブ−プリフォームの相対的な形や大きさについても、図4に示す例に限定するわけではない。さらに、用いる織りファブリックの厚さは均一である必要はなく、要望により厚い区域と薄い区域とをもつようにすることができる。また、フランジ(102),(103)間のプリフォームの本体(101)についても、完全な円筒形にする必要はなく(たとえば、実質的にバレル形、あるいは図7に示すような形にすることができる)、あるいは均一な厚さをもたせる必要はない。各サブ−プリフォームに対して、異なるファブリックを選択することもできる。
【0061】
この実施例において、巻き(202)および(203)を含有する第1のサブ−プリフォームは、図2に示す基礎のプリフォーム非常に似ている。違う点は、巻きの数が少なく、プリフォームの全厚さの一部を占めることである。外側のサブ−プリフォームと呼ぶ、2あるは3以上の他のサブ−プリフォーム、たとえば図4に示すものは、巻き(401)および(402)、巻き(403)および(404)、および巻き(405)および(406)を含むが、そのような他のサブ−プリフォームは、巻き(202)および(203)を含む第1のサブ−プリフォーム上に巻く。このように、一体のフランジが外側の端に位置するサブ−プリフォームによって、一要素であるフランジ(102)および(103)の厚さが完全になるだけでなく、すべてのサブ−プリフォームを組み合わせることにより、プリフォームアセンブリの実質的にバレル形の本体(101)が完全な厚さになる。これらサブ−プリフォームの他方の一体のフランジが組み合わさることにより、プリフォームアセンブリのバレル形の本体(101)上、一要素であるフランジ
(102)と(103)との間に位置する、一要素である補強材(407)および(408)を作る。第1の実施例で説明し、図3に示したような周囲補強材を、この実施例にも組み込むことができる。
【0062】
たとえば、図4に示すいくつかのサブ−プリフォームの一体のフランジ間に、長さのある織り材(図示しない)を配置することができる。たとえば、1あるいは2以上の長さの織り材を、外側サブ−プリフォームの一つの巻き405と406とが作る一要素であるフランジ間に配置することができる。1あるいは2以上の長さの織り材を、隣接する外側サブ−プリフォームの巻き403と405との間、あるいは、巻き405と第1のサブ−プリフォームの一要素であるフランジ103との間、あるいはまた、フランジ102と巻き401との間にも配置することができる。したがって、それらの補強の層は、巻き101〜406のいずれかの層間、そして、フランジ102,103,407,および408を作るいずれかの層内部に位置することになる。それらの追加の織り層は、挿入する材の糸が補強材あるいはサブ−プリフォームを形成するファブリック層の糸に対し、0°より大きく90°より小さい角度に(つまり、バイアスに)なるように挿入する。さらに、プリフォームアセンブリに対する厚さ方向の追加の補強のため、たとえば、T−形成、タフティング、あるいは補強材(407〜408)およびバイアスファブリック自体、フランジ層(102〜103)を通すスティチング、および/またはプリフォーム層(202〜203)に対する補強材層(301,302)の取付けによって行うことができる。それらは、成形および樹脂含浸に先立って行う。その代わりに、補強材を形成するファブリックを、すでに成形済のプリフォームベースの周囲面に巻くか置いて、二次処理で成形し最終的なコンポジットを形成することができる。
【0063】
各サブ−プリフォームおよび外側のサブ−プリフォームに対するベース部分の幅は、一要素である補強材が適切な軸方向配置となるように設定する。1あるいは2以上の一要素である補強材は、用いる外側サブ−プリフォームの数に基づいて、形成する。さらに、先の実施例と同様に、すべてのサブ−プリフォームを組み立てて、一回の処理で成形することができる。それとは別に、最も外部のサブ−プリフォームを、マンドレル上にすでにある成形ベースプリフォームの周面上に巻くか、あるいは載せて、二次処理で成形し最終的なコンポジットを形成することができる。
【0064】
追加の実施例を図5に示す。この実施例も限定されるわけではないが、ベースプリフォームは、適切に設計したマンドレル周りの3つの巻き(202),(203),および(204)を含むサブ−プリフォームであり、単層あるいは多層の輪郭織りファブリックおよび各端のフランジを有する。追加の巻き、それは中間補助材巻きと称されるが、その巻きは、1あるいは2以上の中間補助材(502)および(503)と一体となるサブ−プリフォーム(501)を形成する。中間補助材巻きは、単一のファブリックに組み入れられ、完全なプリフォームの一番あとの巻きになる。サブ−プリフォーム(501)については、輪郭織りファブリックで形成することができるし、あるいは、ストレッチブロークンファイバで少なくとも部分的に織ったファブリックで形成することができる。このサブ−プリフォーム(501)をベースサブ−プリフォーム巻き(202),(203),および(204)−これらは、一般的に、プリフォームアセンブリの素材の大部分になる−上に巻き、プリフォームを完成する。そのような中間補強材の量、相対的な形、および大きさは、図5に示す例に限定されるわけではない。
【0065】
たとえば、図5に示すように、サブ−プリフォーム501一体のフランジとバレル形本体101のフランジとの間に、長さのある織り材(図示しない)を配置することができる。たとえば、1あるいは2以上の長さの織り材を、中間補強材巻きプリフォーム501に形成した一体のフランジとバレル形本体101のフランジ層102との間に配置することができる。同様に、1あるいは2以上の長さの織り材を、中間補強材巻きプリフォーム501に形成した一体のフランジと本体101のフランジ層103との間に配置することができる。いくつかの実施例においては、1あるいは2以上の長さの織り材を、1あるいは2以上の中間補強材(502)および(503)の折り内にも配置することができる。
【0066】
これらの追加の織り層を挿入する場合、挿入すべき材料の糸が、フランジあるいは補強材を形成するファブリックの糸に対し、0°より大きく90°より小さい角度に(つまり、バイアスに)なるように挿入する。さらに、プリフォームアセンブリに対する厚さ方向の追加の補強のため、たとえば、T−形成、タフティング、あるいは中間補強材(502,503)および織りファブリック自体、フランジ層(102〜103)を通すスティチング、および/またはプリフォーム層(202〜203)に対する補強材層の取付けによって行うことができる。それらは、成形および樹脂含浸に先立って行う。その代わりに、補強材を形成するファブリックを、すでに成形済のプリフォームベースの周囲面に巻くか置いて、二次処理で成形し最終的なコンポジットを形成することができる。
【0067】
サブ−プリフォームに用いる巻きの数は異ならせることができる。巻きの数を図5に示す例に限るわけではない。さらに、用いるファブリックの厚さは均一である必要はなく、要望により厚い区域と薄い区域とをもつようにすることができる。また、フランジ(102),(103)間のプリフォームの本体(101)についても、完全な円筒形にする必要はなく、実質的にバレル形にすることができる。サブ−プリフォームおよび中間補強材巻きに対して、異なるファブリックを選択することもできる。第1の実施例で述べたような周囲補強材を、この実施例に組み込むこともできる。
【0068】
別の実施例を図6に示す。そこでは、多層織りファブリックの最も外部の巻き(602)について、外側の表面層を二また(603)に分岐している。図2の今までのものでは、プリフォームは、織りファブリック(607)のたくさんの連続した巻きによって構成される。すなわち、適切に設計されたマンドレル周りに1あるいは2回以上に巻くことにより、プリフォームアセンブリ(608)を構成する。図6は、4巻きのファブリックを示し、最も内部の巻き(601)に始まり、中間の巻き(609)および(610)、そして最も外部の巻き(602)がある。最も外部の巻き(602)は、二また部分(604)および(605)を含み、それらの部分は最も外部の巻きの外部層に形成されている。最も外部の巻きの外部層は、縦糸方向に二またに分かれる。そして、その外部表面層の二またの層を折り重ね、周辺を取り囲む(周囲)補強材を作る。周囲補強材は、たとえば、ファンケースとして用いるとき、成形プリフォームに備品をボルトで留めるためのアタッチメントポイントとして機能する。補強材は、周囲(606)周りに弧状の部分だけを含ませることができるし、あるいは、ファンケースプリフォームを取り巻く完全な円形リングになるような長さに作ることができる。
【0069】
二また(603)は、また、軸方向の補強材あるいはアタッチメントにもなるように、横糸方向に形成することもできる。そのような場合、二または、単層あるいは多層のファブリックの縦糸方向よりむしろ横糸方向に分岐する。上に述べたように、最も外部の層を折り重ねて、軸方向の補強材を形成する。
【0070】
用いる巻きの数は異ならせることができる。巻きの数を図6に示す例に限るわけではない。さらに、用いるファブリックの厚さは均一である必要はなく、必要により厚い区域と薄い区域とをもつようにすることができる。また、フランジ間(たとえば、図2のフランジ(102),(103)間)にある、図6の実施例で作るプリフォームの本体(たとえば、図2の(101))についても、完全な円筒形にする必要はなく、実質的にバレル形にすることができる。また、均一な厚さにする必要もない。第1の実施例で述べたような周囲補強材を、この実施例に組み込むこともできる。
【0071】
二またの部分を折ることにより、図6に示すような補強材を形成する際、二またの部分(604,605)間に、長さのある織り材(図示しない)を配置することができる。図6の断面A−Aに示す二また部分(604,605)間に、たとえば、1あるいは2以上の長さの織り材を配置することができる。これらの追加の織り層を挿入する場合、挿入すべき材料の糸が、補強材を形成する二またのファブリック層の糸に対し、0°より大きく90°より小さい角度に(つまり、バイアスに)なるように挿入する。さらに、プリフォームアセンブリに対する厚さ方向の追加の補強のため、たとえば、T−形成、タフティング、あるいは補強材(604,605)および織りファブリック自体を通すスティチングによって行うことができる。それらは、成形および樹脂含浸に先立って行う。アセンブリは、その後に成形され、最終的なコンポジットになる。
【0072】
すべての実施例において、プリフォームアセンブリを形作ったなら、プリフォームアセンブリに樹脂を注入する(示したような1あるいは2つの工程で)。その方法は公知の方法の一つを用いることができ、そして硬化する。樹脂の注入は、成形あるいは強化の処理として知られているように、レジンマトリックス材料を織りプリフォームおよびその中に加える。それにより、レジンマトリックス材料はプリフォームの構成要素の間のすき間部分を埋め、構成材料およびプリフォームを包む。レジンマトリックス材料としては、たとえば、エポキシ、フェノール、ポリエステル、ビニル−エステル、セラミック、炭素および/またはその他の系の材料で、必要とする物理的、熱的、化学的および/または他の特性を示すものなど、いろいろな材料を広く適用することができる。レジンマトリックスとして用いる材料としては、強化プリフォームの材料と同じものでも良いし、異なるものでも良く、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似したものでも良いし、類似しないものでも良い。成形処理の後、コンポジットはマンドレルから取り外し、たとえば、トリミングあるいは磨き仕上げなどの仕上げ処理を行う。
【0073】
このようにして、この発明について、目的および利点を得ることができる。この発明の好ましい実施例および変形例について詳しく述べたが、この発明は、それらの実施例や変形例に限定されるわけではない。特許請求の範囲に記載するこの発明の考え方の範囲内において、他の変形や修正を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7