(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下連結壁は、全ての内角が180度未満の四角形状であって、対角位置にある1組の2つの角部が口径方向の中央部に対してヒンジとは反対側と、ヒンジ側とに位置する四角形状の各辺に沿って延長する4枚の撓み片部と、隣り合う撓み片部の間であって四角形の各角部に配置される4つの変形空間部と、少なくとも一つの撓み片部の上部には嵌合凸部と嵌合凹部のうち一方を備え、
上連結壁は、包囲枠部と、支持部と、嵌合凸部と嵌合凹部のうち他方と、全ての変形空間部に挿入する4枚の挿入片部とを備えることを特徴とする請求項2記載のヒンジキャップ。
対角位置にある1組の2枚の挿入片部であってヒンジとは反対側と、ヒンジ側の挿入片部の下端は、残りの2枚の挿入片部の下端よりも高い位置に存在することを特徴とする請求項3記載のヒンジキャップ。
支持部は、環状の周方向に間隔をあけて配置された複数の柱を備えると共に、口径方向に嵌り合う嵌合凸部と嵌合凹部のうち他方を、嵌合凹部とし、嵌合凹部は、隣り合う柱の間において口径方向に貫通する貫通穴であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のヒンジキャップ。
【背景技術】
【0002】
ヒンジキャップの中には初めて蓋を開けたときに初回であることを確認することのできる機能、いわゆる開封確認機能を付けたものが存在する(特許文献1、2)。
【0003】
たとえば特許文献1に開示されたヒンジキャップは、下蓋、上蓋、ヒンジを基本的な構成として備える。そして下蓋は、その上面には切断部と称される環状の薄肉部と、薄肉部の口径方向の内側を塞ぐ下蓋底壁と称される引き千切り部と、引き千切り部から上方に突出する筒状の係合壁と、係合壁の上端から口径方向の外側に張り出す係合突片を備えている。いっぽう上蓋は、天面と、天面の下面から同心状に突出する内側垂下片および外側垂下片であって係合壁の内周側および外周側を別々に包囲する内側垂下片および外側垂下片と、外側垂下片の下端から口径方向の内側に張り出す係合片を備えている。
【0004】
このヒンジキャップは、初めて下蓋に対して上蓋を閉じる操作、すなわち初回の閉鎖操作がヒンジキャップの成形直後のまだ軟らかい時期で行われるものである。それは、上蓋の外側垂下片と内側垂下片との狭い隙間に下蓋の係合壁を無理やり突入させるためであり、その結果、外側垂下片、内側垂下片が口径方向外側または内側に弾性変性して、上蓋の係合片と下蓋の係合突片とが上下に噛み合う状態で連結する。
【0005】
また特許文献2に開示されたヒンジキャップは、上蓋および底壁をヒンジ部で連結した蓋部と、基部と称される下蓋を基本的な構成として備える。下蓋は、その上面には弱化部と称される環状の薄肉部と、薄肉部の口径方向の内側を塞ぐ分離片と、分離片の上部から口径方向外側に張り出す掛合突起を備えている。いっぽう蓋部は、その下面には分離片の上部を包囲する筒壁と、筒壁の下部から口径方向内側に突出すると共に掛合突起に嵌合する掛止凸起を備えている。
【0006】
このヒンジキャップは、初回の閉鎖操作を行う時期は問題としておらず、初回の開封操作では、分離片の外側を包囲する筒壁が口径方向外側に弾性変形して、掛合突起と掛止凸起とが上下に噛合う状態で連結する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら何れの特許文献に開示されたヒンジキャップも、初回の閉鎖操作においては、上蓋と下蓋とを連結する部分が基本的には筒状物である。つまり特許文献1のヒンジキャップであれば、外側垂下片、内側垂下片、特許文献2のヒンジキャップであれば、筒壁が、筒状物である。そして筒状物は、口径方向を拡大または縮小するような弾性変形を不得手としているので、無理やり弾性変形させることになり、薄肉部が破損し易い。
【0009】
かといって筒状物の周方向の一部に切目を入れると、筒状物の剛性および連結強度が低下する。そうすると、初めて上蓋を開く操作、すなわち初回の開封操作では薄肉部が全周に亘って破損せずに、上蓋と下蓋との連結が解除されるおそれもある。
【0010】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その目的は引き千切り部の外周を包囲する薄肉部を、初回の閉鎖操作においてできるだけ破損させることなく、初回の開封操作において確実に破損させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下蓋と、上蓋と、下蓋および上蓋を開閉可能に連結するヒンジを備える未開封の閉鎖状態のヒンジキャップを前提とする。
【0012】
また本発明のうち第一の手段では、下蓋、上蓋を以下のようにしてある。
下蓋は、容器本体に取り付ける筒状の下周壁と、下周壁の上端を塞ぐ下天板と、下天板から上方に突出する下連結壁とを備える。下天板は、下周壁からその口径方向の内側へ向かって張り出す環状の下天板本体部と、下天板本体部からその口径方向の内側へ向かって張り出す環状の薄肉部と、薄肉部の内側を塞ぐ未開封の引き千切り部とを備える。下連結壁は、引き千切り部の外周部からその周方向に沿って延長すると共に上方に突出する撓み片部
であって未開封の閉鎖状態となる前の下蓋単独の状態ではその下部を支点として口径方向の内側に向かって倒れるように弾性変形可能な撓み片部と、撓み片部に対して引き千切り部の周方向の隣りに配置されると共に撓み片部の弾性変形を可能にする変形空間部とを備え、全ての撓み片部と全ての変形空間部によって筒状の軌跡を形成するものである。
上蓋は、筒状の上周壁と、上周壁の上端を塞ぐ上天板と、上天板から下方に突出する上連結壁とを備える。上連結壁は、筒状の軌跡に対してその口径方向の外側を包囲する包囲枠部と、上天板から下方に突出すると共に包囲枠部を支持する支持部と、支持部および包囲枠部の少なくとも一方から口径方向の内側に突出すると共に変形空間部に挿入する挿入片部とを備える。
上連結壁と下連結壁は、口径方向に嵌り合う嵌合凸部と嵌合凹部のうち一方を撓み片部に、他方を支持部に備えるものとする。撓み片部は、口径方向外側への変形を包囲枠部によって規制され、口径方向内側への変形を挿入片部によって規制される。
【0013】
撓み片部はその数を問わないが、弾性変形し易くするには次のようにすることが望ましい。
すなわち本発明のうち第二の手段では、下連結壁は、複数枚の撓み片部と、隣り合う撓み片部の間に配置される複数の変形空間部と、嵌合凸部と嵌合凹部のうち一方とを備えるものとし、上連結壁は、包囲枠部と、支持部と、嵌合凸部と嵌合凹部のうち他方と、少なくとも一つの変形空間部に挿入する挿入片部とを備えるものとすることである。
【0014】
また下連結壁、上連結壁の具体的な形状は問わないが、変形空間部に撓み片部を挿入し易くするには次のようにすることが望ましい。
すなわち本発明のうち第三の手段では、下連結壁は、全ての内角が180度未満の四角形状であって、対角位置にある1組の2つの角部が口径方向の中央部に対してヒンジとは反対側と、ヒンジ側とに位置する四角形状の各辺に沿って延長する4枚の撓み片部と、隣り合う撓み片部の間であって四角形の各角部に配置される4つの変形空間部と、少なくとも一つの撓み片部の上部には嵌合凸部と嵌合凹部のうち一方を備えるものとする。いっぽう上連結壁は、包囲枠部と、支持部と、嵌合凸部と嵌合凹部のうち他方と、全ての変形空間部に挿入する4枚の挿入片部とを備えるものとする。
【0015】
また上記した第三の手段のように4枚の撓み片部と挿入片部を備えるようにした場合に、4枚の挿入片部の下端の位置は問わない。ところでヒンジキャップの性質上、ヒンジを支点として上蓋は回るようにして閉鎖される。そうすると対角位置にある1組の2枚の挿入片部のうちヒンジとは反対側と、ヒンジ側の挿入片部は、それに対応する変形空間部が口径方向の中央部から半径方向に貫通するので、残りの1組の2枚の挿入片部に比べて、変形空間部に挿入し易い。挿入片部が変形空間部に挿入されると、撓み片部が弾性変形しづらくなるので、その残りの1組の2枚の挿入片部をできるだけ早く変形空間部に挿入することが望ましい。それには次のようにすることが望ましい。
すなわち本発明のうち第四の手段は、対角位置にある1組の2枚の挿入片部であってヒンジとは反対側と、ヒンジ側の挿入片部の下端は、残りの2枚の挿入片部の下端よりも高い位置に存在することである。
【0016】
また支持部の形状は問わないが、具体的な一例としては次のものが挙げられる。
すなわち本発明のうち第五の手段では、支持部は、環状の周方向に間隔をあけて配置された複数の柱を備えると共に、口径方向に嵌り合う嵌合凸部と嵌合凹部のうち他方を、嵌合凹部とし、嵌合凹部は、隣り合う柱の間において口径方向に貫通する貫通穴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のヒンジキャップによれば、初回の閉鎖操作において、包囲枠部に対してその内側に撓み片部が相対的に入り込んでいき、そのとき嵌合凹部が形成された方の部材に嵌合凸部が衝突することにより、撓み片部が変形空間部を利用して内側に弾性変形する。撓み片部の周方向の両端には変形空間部が位置するので、撓み片部は弾性変形し易くなり、薄肉部には無理な力が加わり難くなり、その結果、初回の閉鎖操作において薄肉部は破損し難くなる。いっぽう初回の開封操作においては、挿入片部が変形空間部に挿入されているので、撓み片部は口径方向内側への変形を規制され、包囲枠部が撓み片部の口径方向外側を包囲しているので、撓み片部は口径方向外側への変形を規制されることになり、嵌合凸部と嵌合凹部が嵌合した状態が維持される。その結果、初回の開封操作において薄肉部を確実に破損させることができる。
【0019】
また第二の手段によるヒンジキャップによれば、撓み片部が弾性変形し易くなり、初回の閉鎖操作において薄肉部は、破損し難くなる。
【0020】
また第三の手段によるヒンジキャップによれば、全ての内角が180度未満の四角形状の対角位置にある1組の2つの角部が、口径方向の中央部に対してヒンジとは反対側と、ヒンジ側とに位置し、その2つの角部に変形空間部が位置するので、たとえば4つの角部の全てがそれら以外(ヒンジとは反対側と、ヒンジ側以外)の位置に存在するものに比べて、初回の閉鎖操作において、ヒンジとは反対側とヒンジ側の挿入片部が変形空間部に挿入し易くなる。
【0021】
また第四の手段によるヒンジキャップによれば、たとえば4枚の挿入片部の下端の位置が同じ高さに揃っているものに比べれば、初回の閉鎖操作において、ヒンジとは反対側およびヒンジ側とは異なる位置に存在する2枚の挿入片部が、変形空間部に早く挿入されるようになり、4枚の挿入片部が4つの変形空間部に挿入し易くなる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1実施形態のヒンジキャップは合成樹脂製の一体成型品であると共に、
図1に示すように、未開封の閉鎖状態において、図示しない容器本体に取り付ける下蓋2と、下蓋2の上側を覆う上蓋4と、下蓋2および上蓋4を開閉可能に連結するヒンジ6を備えるものである。以後、未開封の閉鎖状態を基本的な状態として説明する。
【0024】
下蓋2は、筒状の化粧壁21と、化粧壁21の口径方向内側において容器本体に取り付ける下周壁22と、下周壁22の口径方向内側において内容物を案内する案内壁23と、化粧壁21および下周壁22および案内壁23の全ての上端部における口径方向内側をまとめて塞ぐ下天板24と、下天板24から上方に突出すると共に上蓋4を止める係止壁25と、係止壁25の口径方向の内側において下天板24から上方に突出すると共に内容物を注ぎ出す注出壁26と、注出壁26の口径方向の内側において下天板24から上方に突出すると共に上蓋4に連結する下連結壁27とを備える。
【0025】
化粧壁21および下周壁22は上下方向に延長する円筒状である。下周壁22は、その内周面には周方向に沿って延長する取付部22aであって、容器本体の筒状の口部に取り付ける取付部22aを突出してある。
【0026】
下天板24は、化粧壁21から口径方向の内側へ向かって張り出す環状の下天板本体部24aであって、化粧壁21から下周壁22を経て案内壁23よりも口径方向の内側に達するまで張り出す下天板本体部24aと、下天板本体部24aからその口径方向の内側へ向かって張り出す環状の薄肉部24bと、薄肉部24bの内側を塞ぐ未開封の引き千切り部24cとを備える。
【0027】
下天板本体部24aはその内周面24a1を、上方に向かうにつれて徐々に口径方向内側に向かうテーパ形状としてある。また下天板本体部24aの内周は
図3(ロ)に示すように、底面視して、角部が円弧状に膨らむように丸く面取りされた形状の四角形状であると共に、各角部において隣り合う二辺が交差した場合の内角が180度未満の四角形状であり、より詳しくは菱形形状である。そして下天板本体部24aの内周は、薄肉部24bの外周でもあり、薄肉部24bの内周および引き千切り部24cの外周も、相似の菱形形状である。また対角位置にある1組の2つの角部が口径方向の中央部に対してヒンジ6とは反対側と、ヒンジ6側とに位置すると共に、ヒンジ6を中心とする1つの半径方向の直線上に位置するようになっている。また当該1組の2つの角部を結ぶ仮想の対角線L1は、残りの1組の2つの角部を結ぶ仮想の対角線L2よりも長くなっている。以後、対角線L1は長い対角線L1と称し、対角線L2は短い対角線L2と称する。
【0028】
薄肉部24bは、下天板本体部24aと引き千切り部24cに比べて厚み(上下方向の寸法)を薄くしてあり、下天板本体部24aの内周面と引き千切り部24cの外周面との間を接合している。
【0029】
引き千切り部24cの厚みは、図示の例では下天板本体部の厚みよりも厚くしてある。
【0030】
案内壁23は、容器本体の口部の内周面に嵌め込まれるもので、その外周面の下部を下方に向かうにつれて口径方向内側に向かうようにテーパ形状としてある。また案内壁23の下端は、下周壁22の下端よりも上方に位置する。
【0031】
注出壁26は筒状であり、ヒンジ6とは反対側の上端を、ヒンジ6側の上端よりも高くしてある。
なお係止壁25と下連結壁27は、次に述べる上蓋4の説明の中で合わせて説明する。
【0032】
上蓋4は、筒状の上周壁41と、上周壁41の外周面から口径方向外側に突出する鍔42と、上周壁41の上端をその口径方向内側に塞ぐ上天板43と、下蓋2の注出壁26よりも口径方向内側において上天板43から下方に突出すると共に注出壁26の内周に接する密閉壁44と、上天板43から下方に突出すると共に下連結壁27に連結する上連結壁45とを備える。
【0033】
上周壁41は、円筒状であり、その下端面が下天板24の上面に重なるように配置されている。また上周壁41は係止壁25に対して口径方向外側に配置される。そして上周壁41と係止壁25とは、口径方向に離脱可能に嵌り合う凹部と凸部とを備えるもので、図示の例では上周壁41はその下端部よりも上側の内周面に凹部41aを、係止壁25はその上部の外周面に凸部25aをそれぞれ備える。
【0034】
上天板43は、円盤状である。
密閉壁44は、円筒状で、その下端が注出壁26の内周面に接することにより、閉鎖状態において注出壁26の内周側を密閉する。
【0035】
上連結壁45と下連結壁27は
図2,5に示すように、ヒンジキャップ1を成形した直後のときには離れており、初めて下蓋2に対して上蓋4を閉じたときには口径方向に嵌り合う嵌合凸部31と嵌合凹部32とによって互いに連結し、以後その連結状態を維持するものである。
【0036】
下連結壁27は
図1〜5に示すように、引き千切り部24cの外周部からその全周の一部に沿って延長すると共に上方に突出する撓み片部28と、撓み片部28に対して引き千切り部24cの周方向の隣りに配置されると共に撓み片部28の弾性変形を可能にする変形空間部29と、隣り合う撓み片部28,28の付け根部(下部)間を接合する接合片部30と、撓み片部28の上部から口径方向外側に突出する嵌合凸部31とを備える。また下連結壁27は、全ての撓み片部28と全ての変形空間部29によって筒状、より詳しくは菱形形状の角筒状の軌跡(符号省略)を形成するものである。
【0037】
筒状の軌跡は
図3(イ)に示すように、ヒンジキャップ1が成形直後の状態の場合、平面視して菱形形状であって、4つの角部には変形空間部29と接合片部30とがそれぞれ位置し、菱形形状の各辺に沿って4枚の撓み片部28が延長するように位置する。
【0038】
4枚の撓み片部28の上端は高さを同じに揃えている。
長い対角線L1上(ヒンジ6とは反対側およびヒンジ6側)に位置する接合片部30の上端は、残りの2つの接合片部30、つまり短い対角線L2の延長線上に位置する接合片部30の上端よりも、高く形成されている。したがって長い対角線L1上に位置する2つの変形空間部29,29の深さは、短い対角線L2上に位置する2つの変形空間部29,29の深さよりも浅く形成されている。また4つの変形空間部29は、引き千切り部24aの中心に対して直交する直線状に配置されている。また短い対角線L2上に位置する2つの変形空間部29,29は、その入口側(上端側)を奥側(下部側)よりも幅広に形成してあり、しかも
図4(ロ)に示すように、入口部側であって且つヒンジ側を、入口に向かうにつれて徐々にヒンジ側に向かうように幅広に形成してある。言い換えれば、ヒンジ6側の2つの撓み片部28,28は、その周方向の両端面のうちヒンジ6とは反対側の一端面について、その上部を下方に向かうにつれて徐々にヒンジ6から離れるように傾斜させてある。
【0039】
嵌合凸部31は
図4(ハ)、5に示すように、撓み片部28の上端部において周方向の全長(菱形形状の一辺に沿って延長する全長)に亘って形成されている。また嵌合凸部31は、その上面を上端から下方に向かうにつれて徐々に口径方向外側に張り出すように傾斜させると共に、その下面を水平面としている。
【0040】
上連結壁45は
図3〜5に示すように、嵌合凸部31の下側において筒状の軌跡に対してその口径方向の外側を包囲する包囲枠部46と、上天板43から下方に突出すると共に包囲枠部46を支持する支持部47と、包囲枠部46から口径方向の内側に突出すると共に変形空間部29に挿入する挿入片部48と、支持部47に形成される嵌合凹部32とを備える。
【0041】
支持部47は
図2に示すように、図示しない上天板から下方に延長する4本の柱47aを備えると共に、平面視して菱形形状をなす軌跡の外側において4つの角部に対して柱47aを一本ずつ配置してある。そして支持部47は、隣り合う2本の柱47a,47aの間において口径方向に貫通する貫通穴としての嵌合凹部32を備える。ヒンジ6とは反対側およびヒンジ6側の2本の柱47a,47aは、平面視して断面円弧状であり、残りの2本の柱47a,47aは、断面矩形である。
【0042】
挿入片部48は
図2に示すように、平面視して菱形形状をなす軌跡の周方向に間隔をあけて4つの角部に対して配置される。したがって4本の挿入片部48は、4本の柱47aに対して口径方向内側に接合する状態で配置されている。ヒンジ6とは反対側およびヒンジ6側の2枚の挿入片部48,48は、断面円弧状をなす柱47aの円弧長の中央部内側に配置され、口径方向に離れている。いっぽう残り2枚の挿入片部48,48は、断面矩形状をなす柱47aに対して口径方向内側に配置され、口径方向に離れているが、双方の挿入片部48,48の間には口径方向に延長すると共に双方の挿入片部48,48の間を塞ぐ延長片部49を備えている。つまり1枚の板の両端部が、残り2本の柱47a,47aで、当該2本の柱47a,47aに対してその内側が残り2枚の挿入片部48,48で、1枚の板の中央部が延長片部49である。このような挿入片部48は、隣り合う撓み片部28,28の間の変形空間部29に挿入されることによって、撓み片部28の口径方向内側への変形を規制する。
【0043】
包囲枠部46は、菱形形状であって、4本の柱47aの下端を周方向に接合すると共に、嵌合凸部31の下側で4つの撓み片部48をその外周面に接する状態で包囲し、それによって撓み片部28の口径方向外側への変形を規制する。
【0044】
ヒンジ6は、屈折可能な板状物であり、その長さ方向一端が上蓋4に、他端が下蓋2に接合している。
【0045】
上記した第一実施形態のヒンジキャップ1の成形直後の状態が
図3〜5に示されている。このときヒンジキャップ1は、下蓋2、ヒンジ6、上蓋4が水平方向に一直線に配置された状態となっている。
【0046】
そして初回の閉鎖操作において、ヒンジ6を中心にして上蓋4を閉める方向に動かすと、4つの挿入片部48が変形空間部29に挿入されていくが、その順番は、1)短い対角線L2上の2つの挿入片部48,48、2)ヒンジ6側の挿入片部48、3)ヒンジ6とは反対側の挿入片部48である。
図7には、短い対角線上の挿入片部48、ヒンジ6側の挿入片部48が変形空間部29に浅く挿入された状態が示されている。またこのとき、包囲枠部46が4つの撓み片部28の外側の嵌合凸部31に衝突して、嵌合凸部31の外面に接触しながら下方へ向かい、それに伴って撓み片部28が変形空間部29を利用して口径方向の内側に向かって倒れるように弾性変形し、
図2に示すように包囲枠部46が嵌合凸部31の下側に達すると、撓み片部28が復元し、嵌合凸部31と嵌合凹部32とが嵌合し、上連結壁45と下連結壁27が連結する。そして
図1、2に示すように係止壁25の凸部25aと上周壁41の凹部41aとが嵌合し、注出壁26の内周面に密閉壁44が密接する。また4つの挿入片部48が変形空間部29に完全に収容され、挿入片部48の下端と変形空間部29の下面との間には隙間が形成される。
【0047】
この初回の閉鎖操作において、嵌合凸部31が嵌合凹部32に完全に挿入されるまでは、撓み片部28がその下部を支点として弾性変形するので、薄肉部24aには無理な力が加わり難くなり、初回の閉鎖操作において薄肉部24aは、破損し難くなる。
【0048】
しかも第一実施形態のヒンジキャップ1は、下連結壁27が4枚の撓み片部28と、4つの変形空間部29と、嵌合凸部31を備え、上連結壁45が、包囲枠部46と支持部47と嵌合凹部32と、4枚の挿入片部48とを備えるので、たとえば下連結壁27が撓み片部28を1枚のみ備えるものに比べれば、撓み片部28が弾性変形し易くなり、初回の閉鎖操作において薄肉部24aは、破損し難くなる。
【0049】
さらに第一実施形態のヒンジキャップ1は、長い対角線L1上の2つの角部が口径方向の中央部に対してヒンジ6とは反対側と、ヒンジ側6とに位置し、その2つの角部に変形空間部29が位置するので、たとえば4つの角部の全てが長い対角線上以外(ヒンジ6とは反対側と、ヒンジ6側以外)に位置し、その角部に変形空間部が位置するものに比べて、初回の閉鎖操作において、ヒンジ6とは反対側とヒンジ6側の挿入片部48が変形空間部29に挿入し易くなる。
【0050】
また第一実施形態のヒンジキャップ1は、長い対角線L1上に位置する2枚の挿入片部48,48(ヒンジ6とは反対側と、ヒンジ6側の挿入片部48)の下端が、短い対角線L2上に位置する2枚の挿入片部48,48の下端よりも高い位置に存在するので、たとえば4枚の挿入片部48の下端の位置が同じ高さに揃っているものに比べれば、初回の閉鎖操作において、短い対角線L2上の2枚の挿入片部48,48が変形空間部29に早く挿入されるようになる。しかも4枚の撓み片部48の上端が同じ高さ位置に揃えてあるので、短い対角線L2上の2枚の挿入片部48,48が変形空間部29に一番最初に挿入されるようになり、結果として4枚の挿入片部48が4つの変形空間部29に挿入し易くなる。
【0051】
いっぽう初回の開封操作においては、挿入片部48が変形空間部29に完全に挿入されているので、撓み片部28は口径方向内側への変形を規制され、包囲枠部46が撓み片部28の口径方向外側を包囲しているので、撓み片部28は口径方向外側への変形を規制されることになり、嵌合凸部31と嵌合凹部32が嵌合した状態が維持される。その結果、初回の開封操作において薄肉部28を確実に破損させることができる。薄肉部28が破損すると、
図6、8に示すように下板本体部24aの内周側に注出口24mが形成される。
【0052】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば支持部47は、前記実施形態では、4本の柱47aで形成され、これら柱47aが平面視して菱形形状をなす軌跡の4つの角部の口径方向外側に配置されていたが、本発明ではこれに限らず、軌跡の外側全周を囲む壁であっても良く、この場合、壁の口径方向内周面に嵌合凹部が形成されていれば良い。ちなみにこの場合の嵌合凹部は、口径方向に貫通していないものである。
【0053】
また薄肉部24bは、上記実施形態では、菱形形状であったが、本発明ではこれに限らず円形、菱形以外の多角形その他の環状であれば良い。
【0054】
また短い対角線L2上の延長片部49と2枚の挿入片部48,48は、1枚の板状に形成されていたが、本発明ではこれに限らず、延長片部49を無くし、短い対角線L2上の2つの挿入片部48,48を口径方向に分離したものとしても良い。
【0055】
また支持部47は、上記実施形態では、挿入片部48の外側、言い換えれば軌跡の外側に配置されていたが、本発明ではこれに限らず、挿入片部48を兼用しても良く、この場合、4本の挿入片部48で包囲枠部46の内周面側を支持するものとなる。
【0056】
また4本の挿入片部48は、上記実施形態では、短い対角線L2上の2本の挿入片部48,48が支持部47および包囲枠部46の双方から口径方向内側に突出し、長い対角線上の2本の挿入片部が支持部47のみから口径方向内側に突出するものであるが、本発明ではこれに限らず、支持部47および包囲枠部46の少なくとも一方から突出する物であれば良い。