特許第6343034号(P6343034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343034
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】ナフチリジンジオン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20180604BHJP
   C07D 471/06 20060101ALI20180604BHJP
   C07D 495/14 20060101ALI20180604BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20180604BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180604BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   C07D471/04 112A
   C07D471/04 112Z
   C07D471/04 113
   C07D471/06CSP
   C07D495/14 D
   A61K31/4375
   A61K31/4745
   A61P3/00
   A61P7/04
   A61P21/00
   A61P35/00
   A61P43/00 105
   A61P43/00 111
【請求項の数】18
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2016-570886(P2016-570886)
(86)(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公表番号】特表2017-516821(P2017-516821A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】IB2015054174
(87)【国際公開番号】WO2015186063
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】14170976.6
(32)【優先日】2014年6月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト,ヨーガン
(72)【発明者】
【氏名】シュミーデベルク,ニコ
(72)【発明者】
【氏名】スパンカ,カーステン
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−535479(JP,A)
【文献】 特表2010−528050(JP,A)
【文献】 特表2008−504291(JP,A)
【文献】 特開平03−223283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物
【化1】
[式中、
a)Rは、5員〜7員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、Rにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
は、Rにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜6アルキルであり;
又はRは、−X−Rであり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R)−であり、Rは、水素若しくはC1〜4アルキルであり、Rは、R10により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式芳香族または飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R11により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
b)Rは、
【化2】
であり、ここでフェニル環は、アスタリスクを付けた結合を介して結合しており;
各R12は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、前記C3〜6シクロアルキルは、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
は、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRは、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15は、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14は、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
c)Rは、ピロリル、ピラゾリル、チオフェニル又はピリジン−2−イルから選択される環であり、前記環は、C1〜3アルキルにより置換されていてもよく;
は、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRは、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15は、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14は、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
は、水素又は−CH18であり;
18は、水素、C1〜4アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C1〜3アルコキシC1〜3アルキル、ヒドロキシC1〜3アルキル又はアミノC1〜3アルキルであり;
及びRは、独立して水素、C〜Cアルキルから選択され;
又は
及びRは、これらが結合している結合と一緒になって、
− R19により1回又は1回を越えて置換されていてもよい5員〜7員単環式非芳香族炭素環、
− R20により1回置換されていてもよいチオフェン環、
− 2つのアスタリスクを付けた結合により分子の残りの部分に縮合している
【化3】
から選択される環を形成し;
19及びR20は、独立してハロゲン、C〜Cアルキルから選択され;
21は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は3員〜7員単環式芳香族または飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記環系は、R23により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
又は
及びR21は、一緒になって、−CH−CH−であり;
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ若しくはC1〜4ハロゲンアルコキシ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜4シクロアルキルであり、前記C3〜4シクロアルキルは、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記C3〜4シクロアルキルは、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
、R11、R17及びR23は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、前記C3〜6シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
又は同じ環原子における2つのR、R11、R17及びR23は、一緒になって、オキソであり;
又は同じ環炭素原子における2つのR、R11、R17及びR23は、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成し;
、R10、R13及びR16は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、前記C3〜6シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
又は同じ炭素原子における2つのR、R10、R13若しくはR16は、一緒になって、オキソであり;
又は同じ炭素原子における2つのR、R10、R13若しくはR16は、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成し;
24は、水素又はハロゲンである]。
【請求項2】
【化4】
である、請求項1に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ia’)の化合物。
【請求項3】
【化5】
である、請求項1に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ib)の化合物。
【請求項4】
がフェニルであり;
12が、出現ごとに水素であり;
が、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRが、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい、
請求項1〜3のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物。
【請求項5】
が、ピラゾリル、チオフェニル又はピリジン−2−イルから選択される環であり、前記環が、C1〜3アルキルにより置換されていてもよく;
が、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRが、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい、
請求項1〜3のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物。
【請求項6】
が、5員〜7員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、Rにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
が、Rにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜6アルキルであり;
又はRが、3員〜7員単環式芳香族または飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R11により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物。
【請求項7】
3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−フルオロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−フルオロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−5,8−ジメチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
9−イソプロピル−8−フェニル−1H−インドロ[1,7−ab][1,6]ナフチリジン−6,7(2H,8H)−ジオン;
7−イソプロピル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−9−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−2−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−2,9−ジメチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
6−イソプロピル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−4−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−2−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−2,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−3−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−3,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
7−シクロブチル−1,2,3−トリメチル−6−フェニル−1,6−ナフチリジン−4,5(1H,6H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
7−シクロブチル−2,3−ジメチル−6−フェニル−1,6−ナフチリジン−4,5(1H,6H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
7−シクロブチル−9−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
7−シクロブチル−2,9−ジメチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−シクロブチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−シクロブチル−2−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
6−シクロブチル−4−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−2,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−2−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
3−シクロブチル−5,8−ジメチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−フルオロ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−6−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−フルオロ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
9−シクロブチル−8−フェニル−1H−インドロ[1,7−ab][1,6]ナフチリジン−6,7(2H,8H)−ジオン;
3−シクロブチル−6−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−6−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−6−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−ヒドロキシ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
6−ヒドロキシ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−シクロペンチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−シクロペンチル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
2−シクロペンチル−3−イソプロピルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
2−シクロペンチル−3−イソプロピル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
4−クロロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
4−クロロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;及び
4−ブロモ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
から選択される、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン。
【請求項9】
遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン。
【請求項10】
遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン。
【請求項11】
遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である3−シクロブチル−2−シクロペンチル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン。
【請求項12】
遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である2−シクロペンチル−3−イソプロピルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン。
【請求項13】
遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である2−シクロペンチル−3−イソプロピル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン。
【請求項14】
治療有効量の請求項1〜13のいずれかに記載の化合物と、1つ以上の薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
治療有効量の請求項1〜13のいずれかに記載の化合物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組合せ
【請求項16】
医薬としての使用のための、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
血友病A、血友病B、嚢胞性線維症、ムコ多糖症I型、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、APCの欠失が原因の癌及びp53の欠失が原因の癌から選択される疾患の治療における使用のための、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
血友病A、血友病B、嚢胞性線維症、ムコ多糖症I型、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、APCの欠失が原因の癌及びp53の欠失が原因の癌から選択される疾患を治療するためのものである請求項14に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフチリジンジオン誘導体、これらの調製、これらの医薬としての使用及びこれらを含む医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのヒトの遺伝子疾患は、ナンセンス突然変異により引き起こされる(Keeling et al, WIREs RNA, 2011, 2, 837-852; Linde et al, Trends in Genetics, 2008, 24(11), 552-563; and Rose et al, Pharmacology & Therapeutics, 2012 136(2), 227-266を参照すること)。
ナンセンス突然変異は、センスコドンの、正常な終止コドンの上流における中途終止コドン(以下、PTC)への転換をもたらす遺伝子突然変異である。
真核生物終止コドンは、UAA、UAG又はUGAである。
正常な終止コドンは、遺伝子翻訳を停止し、完全長の野生型タンパク質合成を可能にする。PTCは、そのような野生型タンパク質合成を防止し、切断された、多くの場合では不活性なタンパク質をもたらす。結果として生じるタンパク質の部分的/完全な欠如は、そのようなナンセンス突然変異により引き起こされる疾患の病理をもたらす。
ナンセンス突然変異は、インフレーム突然変異、例えば単一のコドンをPTCに転換する単一核酸の交換又はフレームシフト突然変異、例えば影響を受けたコドンをPTCに転換する単一核酸の挿入/欠損でありうる。
【0003】
ナンセンス突然変異の影響を抑制することができる化合物は、本明細書において「ナンセンス突然変異抑制剤」と呼ばれる。
【0004】
ナンセンス突然変異の影響を抑制する1つの機構は、翻訳の際のリードスルー事象の速度を増加することである。この作用機構を有する化合物は、本明細書において「リードスルー活性化剤」と呼ばれる。リードスルー事象において、近同族であるアミノアシルtRNAが、終止コドンをセンスコドンに再コード化することに使用される。基本条件下において、PTCをセンスコドンに再コード化することは、翻訳事象の1%未満で生じ、一方、正常な停止コドンの抑制は、<0.1%の頻度で生じる。再コード化により挿入されるアミノ酸は、野生型タンパク質の対応するアミノ酸と同一である必要はないが、多くのアミノ酸置換は、機能的に耐容されている。このように、リードスルー活性化により生成されるタンパク質は、野生型タンパク質と積極的に強い類似性を有しうる。したがって、PTC再コード化の速度を増加することによって、十分な機能性タンパク質が、ナンセンス突然変異を担持する患者に治療利益をもたらすために回復されうる。
【0005】
ナンセンス突然変異の影響を抑制する別の機構は、ナンセンス介在性mRNA崩壊(NMD)を阻害することである。この作用機構を有する化合物は、本明細書において「NMD阻害剤」と呼ばれる。NMDは、PTC担持転写物の総レベルを調節し、そのような転写物を検出及び分解して、ドミナントネガティブ又は機能取得効果により無機能又は有害になりうる切断タンパク質の合成を防止する。NMDの阻害は、利用可能な転写物の数を増加し、このことは、治療利益のために十分な機能性タンパク質を回復する機構でもありうる。
【0006】
ナンセンス突然変異抑制剤として記載される化合物は、例えば国際公開第2007113841号パンフレットにおける特定のアミノグリコシド抗生物質、例えば国際公開第2004091502号パンフレットにおける特定の1,2,4−オキサジアゾール安息香酸及びアンレキサノクスと一般に呼ばれる化合物(国際公開第2012016930号パンフレット)である。
国際公開第2009086303号パンフレットは、寿命を延ばす作用物質を記載する。国際公開第96/28444号パンフレットは、チロシンキナーゼ阻害剤としてのジヒドロピリミドキノリノン化合物を記載する。
他のピリドピリミジンジオン誘導体は、国際公開第199208719号パンフレット、Synthetic Communications, 1999, 29(22), 3919-3937、Monatshefte fuer Chemie, 1996, 127(8/9), 917-925に記載されている。
【0007】
ナンセンス突然変異抑制剤は、ナンセンス突然変異により引き起こされる広範囲の疾患の治療に有用であると考慮される。ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患の顕著な例は、リソソーム酵素におけるナンセンス突然変異により引き起こされる疾患、例えばα−L−イズロニダーゼにおけるナンセンス突然変異により引き起こされるムコ多糖症I型(ハーラー症候群);凝固第7、8若しくは9因子におけるナンセンス突然変異により引き起こされる血友病A若しくは血友病B;塩素チャネルCFTRにおけるナンセンス突然変異により引き起こされる嚢胞性線維症;構造タンパク質におけるナンセンス突然変異により引き起こされる疾患、例えばジストロフィンにおけるナンセンス突然変異により引き起こされるデュシェンヌ型若しくはベッカー型筋ジストロフィー;又はAPC若しくはp53におけるナンセンス突然変異により引き起こされる癌である。
【0008】
良好な薬剤候補である新たなナンセンス突然変異抑制剤を提供することが必要である。特に、好ましい化合物は、強力なナンセンス突然変異抑制剤であり、同時に他の薬剤標的アッセイ、例えばGPCR又はイオンチャネルアッセイにおいてほとんど効力を示さないべきである。これらは、血漿タンパク質に対して低い結合を示すべきである。これらは、胃腸管から良好に吸収され、代謝的に十分に安定し、好ましい薬物動態特性を有するべきである。これらは、非毒性であり、副作用をほとんど示さないべきである。更に、理想的な薬剤候補は、安定し、非吸湿性であり、かつ容易に処方される物理的形態で存在することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の化合物は、ナンセンス突然変異抑制剤であり、したがって、ナンセンス突然変異により引き起こされる広範囲の疾患の治療に潜在的に有用であり、特に疾患は、血友病A、血友病B、嚢胞性線維症、ムコ多糖症I型、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、APCの欠失が原因の癌及びp53の欠失が原因の癌から選択される。
【0010】
第1の態様において、本発明は、
【0011】
【化1】
[式中、
a)Rは、5員〜7員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、Rにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
は、Rにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜6アルキルであり;
又はRは、−X−Rであり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R)−であり、Rは、水素若しくはC1〜4アルキルであり、Rは、R10により1回若しくは1回を越えて置換されていてよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R11により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
b)Rは、
【0012】
【化2】
であり、ここでフェニル環が、アスタリスクを付けた結合を介して結合しており;
各R12は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルは、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
は、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRは、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15は、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14は、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
c)Rは、ピロリル、ピラゾリル、チオフェニル又はピリジン−2−イルから選択される環であり、環は、C1〜3アルキルにより置換されていてもよく;
は、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRは、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15は、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14は、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
は、水素又は−CH18であり;
18は、水素、C1〜4アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C1〜3アルコキシC1〜3アルキル、ヒドロキシC1〜3アルキル又はアミノC1〜3アルキルであり;
及びRは、独立して水素、C〜Cアルキルから選択され;
又は
及びRは、これらが結合している結合と一緒になって、
− R19により1回又は1回を越えて置換されていてもよい5員〜7員単環式非芳香族炭素環、
− R20により1回置換されていてもよいチオフェン環、
− 2つのアスタリスクを付けた結合により分子の残りの部分に縮合している
【化3】
から選択される環を形成し;
19及びR20は、独立してハロゲン、C〜Cアルキルから選択され;
21は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記環系は、R23により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
及びR21は、一緒になって、−CH−CH−であり;
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ若しくはC1〜4ハロゲンアルコキシ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜4シクロアルキルであり、C3〜4シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜4シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
、R11、R17及びR23は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは同じ環原子における2つのR、R11、R17及びR23は、一緒になって、オキソであり;
或いは同じ環炭素原子における2つのR、R11、R17及びR23は、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成し;
、R10、R13及びR16は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは同じ炭素原子における2つのR、R10、R13又はR16は、一緒になって、オキソであり;
或いは同じ炭素原子における2つのR、R10、R13又はR16は、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成し;
24は、水素又はハロゲンである]である、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物に関する。
【0013】
一態様において、本発明は、
【0014】
【化4】
[式中、
a)Rは、5員〜7員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、Rにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
は、Rにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜6アルキルであり;
又はRは、−X−Rであり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R)−であり、Rは、水素若しくはC1〜4アルキルであり、Rは、R10により1回若しくは1回を越えて置換されていてよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R11により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
b)Rは、
【0015】
【化5】
であり、ここでフェニル環が、アスタリスクを付けた結合を介して結合しており;
各R12は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルは、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
は、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRは、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15は、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14は、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
c)Rは、ピラゾリル、チオフェニル又はピリジン−2−イルから選択される環であり、環は、C1〜3アルキルにより置換されていてもよく;
は、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRは、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15は、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14は、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
は、水素又は−CH18であり;
18は、水素、C1〜4アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C1〜3アルコキシC1〜3アルキル、ヒドロキシC1〜3アルキル又はアミノC1〜3アルキルであり;
及びRは、独立して水素、C〜Cアルキルから選択され;
又は
及びRは、これらが結合している結合と一緒になって、
− R19により1回又は1回を越えて置換されていてもよい5員〜7員単環式非芳香族炭素環、
− R20により1回置換されていてもよいチオフェン環、
− 2つのアスタリスクを付けた結合により分子の残りの部分に縮合している
【化6】
から選択される環を形成し;
19及びR20は、独立してハロゲン、C〜Cアルキルから選択され;
21は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記環系は、R23により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
及びR21は、一緒になって、−CH−CH−であり;
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1〜4アルキル、Cハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ若しくはC1〜4ハロゲンアルコキシ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜4シクロアルキルであり、C3〜4シクロアルキルは、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜4シクロアルキルは、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;;
、R11、R17及びR23は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは同じ環原子における2つのR、R11、R17及びR23は、一緒になって、オキソであり;
或いは同じ環炭素原子における2つのR、R11、R17及びR23は、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成し;
、R10、R13及びR16は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは同じ炭素原子における2つのR、R10、R13又はR16は、一緒になって、オキソであり;
或いは同じ炭素原子における2つのR、R10、R13又はR16は、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成する]である、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)の化合物に関する。
【0016】
別の態様において、本発明は、
【0017】
【化7】
[式中、R、R、R、R21、R22、R24は、式(I’)の化合物に関して本明細書において定義されたとおりである]である、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ia’)の化合物に関する。
【0018】
別の態様において、本発明は、
【0019】
【化8】
[式中、R、R、R、R21及びR22は、式(I)の化合物に関して本明細書において定義されたとおりである]である、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ia)の化合物に関する。
【0020】
第3の態様において、本発明は、
【0021】
【化9】
[式中、R、R、R、R及びRは、式(I)の化合物に関して本明細書において定義されたとおりである]である、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ib)の化合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
特に特定のない限り、用語「本発明の化合物」は、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)及び(Ib)の化合物;化合物の塩;化合物及び/又は塩の水和物又は溶媒和物;並びに全ての立体異性体(ジアステレオ異性体を含む)、互変異性体及び同位体標識化合物(重水素置換を含む);並びに本質的に形成された部分(例えば、多形体、溶媒和物及び/又は水和物)を意味する。
【0023】
特に指示のない限り、本発明に使用される表現は、以下の意味を有する。
【0024】
「アルキル」は、直鎖又は分岐鎖アルキル基を表し、例えば、メチル、エチル、n−若しくはイソ−プロピル又はn−、イソ−、sec−若しくはtert−ブチルであってもよく、C2〜7アルキルは、好ましくは直鎖又は分岐鎖C2〜4アルキルを表し、特に好ましくは、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル及びtert−ブチルである。C1〜4アルキルは、好ましくは直鎖又は分岐鎖C1〜3アルキルを表し、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル及びイソ−プロピルである。
【0025】
「アルコキシ」、「ハロゲンアルキル」、「ヒドロキシアルキル」、「アミノアルキル」、「アルコキシアルキル」などのそれぞれのアルキル部分は、上記に記述された「アルキル」の定義、とりわけ直線性に関して及びサイズが更に特定されない限り、好ましいサイズに関して記載されたものと同じ意味を有する。
【0026】
「C3〜6シクロアルキル」は、3〜6個の炭素原子を有する飽和脂環式部分を表す。この用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどの基を意味する。
【0027】
例えばRに関連して定義されているような「1回又は1回を越えて」置換されている置換基は、好ましくは、1〜3つの置換基により置換されている。したがって、「1回又は1回を超えて」には、1、2又は3つの置換基が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
ハロゲンは、一般に、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくは、フッ素、塩素又は臭素である。ハロゲンアルキル基は、好ましくは、1〜4個の炭素原子の鎖長を有し、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロ−2,2,2−トリクロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル又は2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルである。
【0029】
本発明の文脈において、「5員〜7員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であって、前記環系は、1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい」というRの定義は、5員〜7員単環式非芳香族炭化水素基及び同じサイズの複素環式環系を包含する。
【0030】
本発明の文脈において、「3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であって、前記環系は、1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよい」というR又はRの定義は、3員〜7員単環式芳香族又は非芳香族炭化水素基及び同じサイズの芳香族又は非芳香族複素環式環系を包含する。
【0031】
複素環式環系の例は、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾール、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾール、フラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、オキサジアゾール、ジオキソラン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサゾール、オキサゾリン、オキサゾリジン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、チアゾール、チアゾリン、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、チアジアゾール、チアジアゾリン、チアジアゾリジン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、ピラン、テトラヒドロピラン、チオピラン、テトラヒドロチオピラン、オキサジン、チアジン、モルホリンである。
【0032】
式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、光学的に活性な形態又は光学異性体の混合物の形態、例えば、ラセミ混合物又はジアステレオマー混合物の形態で存在することができる。特に、不斉炭素原子が式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)又は(Ib)の化合物及びこれらの塩に存在することができる。特に本明細書において提示のない限り、全ての光学異性体及びラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本明細書に包含される。
【0033】
本明細書で使用されるとき、用語「異性体」は、同じ分子式を有するが、原子の配列及び配置が異なる、異なる化合を意味する。また本明細書で使用されるとき、用語「光学異性体」又は「立体異性体」は、本発明の所与の化合物に存在しうる多様な立体異性体配置のいずれかを意味し、幾何異性体が含まれる。置換基が炭素原子のキラル中心に結合しうることが理解される。用語「キラル」は、鏡像パートナーを重ね合わせることができない特性を有する分子を意味し、一方、用語「アキラル」は、鏡像パートナーを重ね合わせることができる分子を意味する。したがって、本発明は、化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー又はラセミ化合物を含む。「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である一対の立体異性体である。一対の鏡像異性体の1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。用語は、適切な場合にラセミ混合物を呼称するために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン−インゴルド−プレローグR−S系に従って特定される。化合物が純粋な鏡像異性体である場合、各キラル炭素の立体化学をR又はSのいずれかにより特定することができる。絶対配置が不明である分割された化合物は、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転する方向(右旋回又は左旋回)に応じて(+)又は(−)と呼称することができる。本明細書に記載されている化合物は、1つ以上の不斉中心を含有することができ、したがって、鏡像異性体、ジアステレオマー及び絶対立体化学に関して(R)−又は(S)−として定義されうる他の立体異性体形態を生じることができる。特に本明細書において提示のない限り、本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態及び中間体混合物を含む、全てのそのような可能な異性体を含むことを意図している。光学的に活性な(R)−及び(S)−異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製されうる又は従来技術を使用して分割されうる。
【0034】
化合物が二重結合を含有する場合、置換基は、E又はZ配置でありうる。
【0035】
化合物が二置換シクロアルキルを含有する場合、シクロアルキル置換基はシス−又はトランス配置を有することができる。
【0036】
本発明の化合物の任意の不斉原子(例えば、炭素など)は、ラセミとして又は鏡像的に濃縮して存在することができ、例えば(R)−、(S)−又は(R,S)−配置である。特定の実施態様において、各不斉原子は、少なくとも50%の鏡像体過剰率、少なくとも60%の鏡像体過剰率、少なくとも70%の鏡像体過剰率、少なくとも80%の鏡像体過剰率、少なくとも90%の鏡像体過剰率、少なくとも95%の鏡像体過剰率又は少なくとも99%の鏡像体過剰率を、(R)−又は(S)−配置に有する。不飽和結合を有する原子における置換基は、可能であれば、シス−(Z)−又はトランス−(E)−形態で存在しうる。
【0037】
したがって、本明細書で使用されるとき、本発明の化合物は、例えば実質的に純粋な幾何(シス若しくはトランス)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(対掌体)、ラセミ化合物又はこれらの混合物として、可能な異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体又はこれらの混合物のうちの1つの形態でありうる。
【0038】
異性体の得られる任意の混合物を、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別結晶により、構成要素の物理化学的な差に基づいて、純粋又は実質的に純粋な幾何又は光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物に分離することができる。
【0039】
最終生成物又は中間体の得られる任意のラセミ化合物を、既知の方法により、例えば、光学的に活性な酸又は塩基により得たそれらのジアステレオマー塩を分離し、光学的に活性な酸性又は塩基性化合物を遊離させることにより、光学的対掌体に分割することができる。特に、このように塩基性部分を用いて、光学的に活性な酸、例えば酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ−O,O’−p−トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸又はカンファー−10−スルホン酸により形成された塩の例えば分別結晶により、本発明の化合物をこれらの光学的対掌体に分割することができる。ラセミ生成物を、キラルクロマトグラフィーにより、例えば、キラル吸着剤を使用する高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により分割することもできる。
【0040】
置換基の定義に応じて、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、多様な互変異性形態で生じうる。式(I)の化合物の全ての互変異性形態が本発明に包含される。
例えば、R、R、R及びRが式(I)において定義されたとおりであり、Rが水素である式(I)の化合物は、互変異性形態(I−1)、(I−2)又は(I−3)で存在しうる。
【0041】
【化10】
【0042】
本明細書で使用されるとき、用語「塩」は、本発明の化合物の酸付加又は塩基付加塩を意味する。「塩」には、特に「薬学的に許容される塩」が含まれる。用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、典型的には、生物学的か、そうでない理由で望ましくないものではない塩を意味する。本発明の化合物は、アミノ及び/若しくはカルボキシル基又は同様の基の存在によって、酸及び/又は塩基の塩を形成することが可能でありうる。
【0043】
本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的な方法により塩基性又は酸性部分から合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を、理論量の適切な塩基と反応させることにより又はこれらの化合物の遊離塩基形態を、理論量の適切な酸と反応させることにより、調製することができる。そのような反応は、典型的には、水中又は有機溶媒中又はこれらの2つの混合物中で実施される。一般に、実行可能である場合は、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体の使用が望ましい。追加の適切な塩のリストは、例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences", 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985)及び"Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use" by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)において見出すことができる。
【0044】
塩基性基及び酸性基の両方が同じ分子に存在する場合、本発明の化合物は、内部塩、例えば双性イオン性分子を形成することもできる。
【0045】
本明細書に提示される任意の式は、化合物の非標識形態と共に同位体標識形態を表すことも意図される。同位体標識化合物は、1個以上の原子が、選択される原子質量又は質量数を有する原子に代えられていることを除いて、本明細書に提示されている式により描写されている構造を有する。本発明の化合物の組み込むことができる同位体の例には、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、1831P、32P、35S、36Cl、125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体が含まれる。本発明は、本明細書において定義される多様な同位体標識化合物、例えばH及び14Cなどの放射性同位体又はH及び13Cなどの非放射性同位体が存在するものを含む。そのような同位体標識化合物は、代謝研究(14Cを用いる)、反応動力学研究(例えば、H若しくはHを用いる)、薬剤若しくは基質組織分布アッセイを含む陽電子放射断層撮影法(PET)若しくは単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの検出若しくは画像化技術又は患者の放射性物質治療(radioactive treatment)において有用である。特に、18F標識化合物は、PET又はSPECT研究にとって特に望ましいことがある。式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)又は(Ib)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に既知の従来技術により又は以前に用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、添付の実施例及び調製に記載されているものと類似のプロセスにより調製することができる。
【0046】
更に、より重い同位体、特に重水素(すなわち、H又はD)による置換は、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増加又は投与必要量の低減又は治療指数の改善をもたらす特定の治療上の利点をもたらしうる。この文脈における重水素は、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)又は(Ib)の化合物の置換基とみなされることが理解される。そのようなより重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義することができる。用語「同位体濃縮係数」は、本明細書で使用されるとき、同位体存在度と特定の同位体の天然存在度との比を意味する。本発明の化合物における置換基が、示される重水素である場合、そのような化合物は、それぞれ指定された重水素原子の同位体濃縮係数の少なくとも3500(それぞれ指定された重水素原子により52.5%の重水素組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素組み込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組み込み)、少なくとも6600(99%の重水素組み込み)又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素組み込み)を有する。
【0047】
本発明の薬学的に許容される溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体で置換されうるもの、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOが含まれる。
【0048】
水素結合の供与体及び/又は受容体として作用する能力がある基を含有する本発明の化合物は、適切な共結晶形成剤と共結晶を形成する能力がありうる。これらの共結晶は、既知の共結晶形成手順により式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)又は(Ib)の化合物から調製することができる。そのような手順には、粉砕、加熱、同時昇華、同時融解又は式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)又は(Ib)の化合物を結晶化条件下において共結晶形成剤と溶液中で接触させ、それにより形成された共結晶を単離することを含む。適切な共結晶形成剤には、国際公開第2004/078163号パンフレットに記載されたものが含まれる。したがって、本発明は、式(I’)、(I)、(Ia’)、(Ia)又は(Ib)の化合物を含む共結晶を更に提供する。
【0049】
本発明は、インビボで本発明の化合物に変換する、本発明の化合物のプロドラッグの使用も想定する。プロドラッグは、対象へのプロドラッグの投与の後、加水分解、代謝などのインビボでの生理学的作用を介して化学的に修飾されて本発明の化合物になる、活性又は不活性化合物である。プロドラッグを作製及び使用することに伴う適合性及び技術は、当業者に良く知られている。プロドラッグは、生物学的前駆体(bioprecursor)プロドラッグ及び担体プロドラッグの2つの非排他的分類に概念的に分けることができる。例えば、The Practice of Medicinal Chemistry, Ch. 31-32 (Ed. Wermuth, Academic Press, San Diego, Calif., 2001)を参照すること。
【0050】
更に、塩を含む本発明の化合物は、水和物の形態で得ること又はこれらの結晶化に使用される他の溶媒和物を含むこともできる。本発明の化合物は、本質的に又は設計により、薬学的に許容される溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成することができ、したがって、本発明は溶媒和と非溶媒和の両方の形態を包含することが意図される。用語「溶媒和物」は、本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)と、1つ以上の溶媒分子との分子複合体を意味する。そのような溶媒分子は、医薬技術において一般的に使用されるものであり、これらは受容者に無害であることが知られており、例えば水、エタノールなどである。用語「水和物」は、溶媒分子が水である複合体を意味する。塩、水和物及び溶媒和物を含む本発明の化合物は、本質的に又は設計により多形体を形成することができる。
【0051】
本発明の多様な実施態様が本明細書に記載される。それぞれの実施態様において特定された特徴を他の特定された特徴と組み合わせて、本発明の更なる実施態様を提供できることが認識される。
置換基の定義は、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)及び(Ib)の化合物に適宜適用される。
置換基の定義は、最終生成物にも、対応する中間体にも当てはまる。
【0052】
実施形態1.上記に記載された遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物。
【0053】
実施形態2.上記に記載された遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)の化合物。
【0054】
実施形態3.上記に記載された実施形態1に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ia’)の化合物。
【0055】
実施形態4.上記に記載された実施形態2に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ia)の化合物。
【0056】
実施形態5.上記に記載された実施形態1又は2に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ib)の化合物。
【0057】
実施形態6.a)Rが、5員〜6員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、Rにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
が、Rにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜6アルキルであり;
又はRが、−X−Rであり、−X−が、−O−、−S−若しくは−N(R)−であり、Rが、水素若しくはC1〜4アルキルであり、Rが、R10により1回若しくは1回を越えて置換されていてよいC1〜6アルキルであり;
又はRが、3員〜5員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R11により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
b)Rが、
【0058】
【化11】
であり、ここでフェニル環が、アスタリスクを付けた結合を介して結合しており;
各R12が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルが、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルが、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
が、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRが、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15が、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14が、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてよいC1〜6アルキルであり;
又はRが、3員〜5員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
c)Rが、ピラゾリル、チオフェニル又はピリジン−2−イルから選択される環であり、環が、C1〜3アルキルにより置換されていてもよく;
が、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRが、−X−R14であり、−X−が、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15が、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14が、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてよいC1〜6アルキルであり;
又はRが、3員〜5員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
が、水素又は−CH18であり;
18が、水素、C1〜4アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C1〜3アルコキシC1〜3アルキル、ヒドロキシC1〜3アルキル又はアミノC1〜3アルキルであり;
21が、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記環系が、R23により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
及びR21が、一緒になって、−CH−CH−であり;
22が、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル若しくはC1〜4アルコキシ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜4シクロアルキルであり、C3〜4シクロアルキルが、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく;
、R11、R17及びR23が、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルが、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルが、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
或いは同じ環原子における2つのR、R11、R17又はR23が、一緒になって、オキソであり;
或いは同じ環炭素原子における2つのR、R11、R17又はR23が、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成し;
、R10、R13及びR16が、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルが、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルが、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは同じ炭素原子における2つのR、R10、R13又はR16が、一緒になって、オキソであり;
或いは同じ炭素原子における2つのR、R10、R13又はR16が、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成する、
実施形態4に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ia)の化合物。
【0059】
実施形態7.Rが、
【0060】
【化12】
であり、ここでフェニル環が、アスタリスクを付けた結合を介して結合しており;
各R12が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、C3〜6シクロアルキルが、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、C3〜6シクロアルキルが、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
が、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRが、−X−R14であり、−X−が、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15が、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14が、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてよいC1〜6アルキルであり;
又はRが、3員〜5員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい、実施形態1〜5のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0061】
実施形態8.各R12が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4アルコキシ又はC3〜6シクロアルキルである、実施形態7に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0062】
実施形態9.各R12が水素である、実施形態8に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0063】
実施形態10.Rが、5員〜6員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、Rにより1回又は1回を超えて置換されていてもよく;
が、Rにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜6アルキルであり;
又はRが、−X−Rであり、−X−が、−O−、−S−若しくは−N(R)−であり、Rが、水素若しくはC1〜4アルキルであり、Rが、R10により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRが、3員〜5員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R11により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい、
実施形態1〜6のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0064】
実施形態11.各Rが、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4アルコキシ又はC3〜6シクロアルキルである、実施形態10に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0065】
実施形態12.Rがピラゾリルである、実施形態1〜6のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0066】
実施形態13.Rがピラゾール−3−イルである、実施形態12に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0067】
実施形態14.Rがメチルにより置換されている、実施形態12又は13に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0068】
実施形態15.Rがピラゾール−5−イルである、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である実施形態12に記載の式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0069】
実施形態16.Rが、非置換であるピラゾール−5−イルである、実施形態15に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0070】
実施形態17.Rがチオフェニルである、実施形態1〜6のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0071】
実施形態18.Rがチオフェン−3−イルである、実施形態17に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0072】
実施形態19.Rがピリジン−2−イルである、実施形態1〜6のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0073】
実施形態20.RがC2〜6アルキルである、実施形態1〜19のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0074】
実施形態21.Rがn−プロピルである、実施形態20に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0075】
実施形態22.Rがイソプロピルである、実施形態20に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0076】
実施形態23.Rが−X−Rであり、−X−が−O−又は−S−であり、RがC1〜6アルキルである、実施形態1〜19のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0077】
実施形態24.Rが−X−Rであり、−X−が−N(R)−であり、RがC1〜4アルキルであり、RがC1〜6アルキルである、実施形態1〜19のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0078】
実施形態25.Rが、3員〜5員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R11により1回又は1回を越えて置換されていてもよく、各R11が、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ又はC3〜6シクロアルキルである、実施形態1〜19のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0079】
実施形態26.Rがシクロプロピルである、実施形態25に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0080】
実施形態27.Rがシクロブチルである、実施形態25に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0081】
実施形態28.Rがシクロペンチルである、実施形態25に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0082】
実施形態29.Rが、水素又は−CH18であり、R18が、水素、C1〜4アルキル、C2〜6アルケニル又はC3〜8シクロアルキルである、実施形態1〜28のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0083】
実施形態30.Rが水素である、実施形態29に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0084】
実施形態31.Rが−CH18であり、R18が水素である、実施形態29に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0085】
実施形態32.R及びR21が、一緒になって−CH−CH−である、実施形態1〜28のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)又は(Ia’)の化合物。
【0086】
実施形態33.R21が水素である、実施形態1〜28のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)又は(Ia’)の化合物。
【0087】
実施形態34.R22が、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル若しくはC1〜4アルコキシ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜4シクロアルキルであり、C3〜4シクロアルキルが、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよい、実施形態1〜33のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0088】
実施形態35.R22が水素である、実施形態34に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物。
【0089】
実施形態36.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、R19により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい5員〜7員単環式非芳香族炭素環を形成し、R19が、ハロゲン又はC〜Cアルキルから選択される、実施形態1〜28のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0090】
実施形態37.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、シクロペンチル環を形成する、実施形態36に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0091】
実施形態38.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、シクロヘキシル環を形成する、実施形態36に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0092】
実施形態39.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、C〜Cアルキルにより1回置換されているシクロヘキシル環を形成する、実施形態38に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0093】
実施形態40.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、シクロヘプチル環を形成する、実施形態36に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0094】
実施形態41.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、チオフェン環を形成する、実施形態1〜28のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0095】
実施形態42.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、分子の残りの部分と結合してチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジンジオン化合物をもたらすチオフェン環を形成する、実施形態41に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0096】
実施形態43.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、分子の残りの部分と結合してチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジンジオン化合物をもたらすチオフェン環を形成する、実施形態41に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0097】
実施形態44.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、分子の残りの部分と結合してチエノ[3,4−b][1,6]ナフチリジンジオン化合物をもたらすチオフェン環を形成する、実施形態41に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0098】
実施形態45.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、C〜Cアルキルにより1回置換されているチオフェン環を形成する、実施形態41〜44のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0099】
実施形態46.R及びRが、これらが結合している結合と一緒になって、非置換のチオフェン環を形成する、実施形態41〜44のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0100】
実施形態47.Rが水素である、実施形態1〜28のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0101】
実施形態48.Rがメチルである、実施形態1〜28のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0102】
実施形態49.Rが水素である、実施形態47又は48に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0103】
実施形態50.Rがメチルである、実施形態47又は48に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I)、(I’)又は(Ib)の化合物。
【0104】
実施形態51.
3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−フルオロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−フルオロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−5,8−ジメチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
9−イソプロピル−8−フェニル−1H−インドロ[1,7−ab][1,6]ナフチリジン−6,7(2H,8H)−ジオン;
7−イソプロピル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−9−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−2−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−2,9−ジメチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
6−イソプロピル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−4−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−2−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−2,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−3−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−3,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
7−シクロブチル−1,2,3−トリメチル−6−フェニル−1,6−ナフチリジン−4,5(1H,6H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
7−シクロブチル−2,3−ジメチル−6−フェニル−1,6−ナフチリジン−4,5(1H,6H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
7−シクロブチル−9−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
7−シクロブチル−2,9−ジメチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−シクロブチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−シクロブチル−2−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
6−シクロブチル−4−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−2,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−2−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
3−シクロブチル−5,8−ジメチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−フルオロ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−6−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−フルオロ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
9−シクロブチル−8−フェニル−1H−インドロ[1,7−ab][1,6]ナフチリジン−6,7(2H,8H)−ジオン;
3−シクロブチル−6−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−6−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−6−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−ヒドロキシ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
6−ヒドロキシ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−シクロペンチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−シクロペンチル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
2−シクロペンチル−3−イソプロピルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
2−シクロペンチル−3−イソプロピル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
4−クロロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
4−クロロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;及び
4−ブロモ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
から選択される、実施形態1に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物。
【0105】
式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物は、従来のプロセスにより、例えば実施例に記載されているように調製することができ、このプロセスは本発明の更なる態様である。更に、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物又はこれらの前駆体は、実施例に記載されている化合物から、例えば、得られた化合物の還元、酸化及び/又は他の官能化によって、並びに/或いは場合により存在する任意の保護基の開裂及びそのようにして得られた式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)若しくは(Ib)の化合物又は目的の前駆体の回収によって、得ることができる。反応は、従来の方法に従って、例えば実施例に記載されているように達成することができる。反応混合物の処理及びそのようにして得られた化合物の精製は、既知の手順に従って実施することができる。酸付加塩は、既知の方法により遊離塩基から生成することができ、逆もまた同じである。出発材料、例えば実施例に記載されている出発材料は、既知のものでありうる又は既知の化合物から出発する従来の手順に従って調製されうる。
【0106】
本発明は、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物がプロドラッグのインビボ生体内変化により形成されうることも予期する。
【0107】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、経口投与、非経口投与及び直腸内投与などの特定の投与経路のために処方されうる。加えて、本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、粉末剤若しくは坐剤を含む固体形態又は液剤、懸濁剤若しくは乳剤を含む液体形態から構成されうる。医薬組成物を、滅菌などの従来の薬学的操作に付すことができる、並びに/或いは従来の不活性希釈剤、潤滑剤又は緩衝剤、また、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤及び緩衝液などの補助剤を含有することができる。
【0108】
典型的には、医薬組成物は、活性成分を、
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及び/又はグリセリン;
b)潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウム若しくはカルシウム塩及び/又はポリエチレングリコール;また錠剤には、
c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルビロリドン;望ましい場合は、
d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸若しくはそのナトリウム塩又は発泡混合物;並びに/或いは
e)吸収剤、着色剤、風味料及び甘味料
と一緒に含む、錠剤又はゼラチンカプセル剤である。
【0109】
錠剤は、当該技術分野で既知の方法によって被膜又は腸溶性被覆されうる。
【0110】
経口投与に適した組成物は、有効量の本発明の化合物を、錠剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁剤、分散性粉末剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬若しくは軟カプセル剤又はシロップ剤若しくはエリキシル剤の形態で含む。経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造における当該技術分野で既知の任意の方法に従って調製され、そのような組成物は、薬学的に洗練された口当たりのよい調製物を提供するため、甘味剤、風味剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含有することができる。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアカシア;並びに潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクである。錠剤は被覆されないか又は胃腸管での崩壊又は吸収を遅延させ、それにより長期間にわたって持続的作用を提供するために、既知の技術により被覆される。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延材料を用いることができる。経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセル剤として又は活性成分が水若しくは油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセル剤として存在しうる。
【0111】
特定の注射用組成物は、水性等張液剤又は懸濁剤であり、坐剤は、有利には脂肪乳剤又は懸濁剤から調製される。前記組成物は、滅菌されうる、並びに/或いは防腐剤、安定剤、湿潤剤若しくは乳化剤、溶液促進剤、浸透圧を調節する塩及び/又は緩衝液などの補助剤を含有することができる。加えて、これらは他の治療上貴重な物質を含有することもできる。前記組成物は、従来の混合、造粒又は被覆方法によりそれぞれ調製され、活性成分を約0.1〜75%含有する又は約1〜50%含有する。
【0112】
経皮適用に適した組成物は、有効量の本発明の化合物を担体と共に含む。担体には、宿主の皮膚の通過を助ける吸収性の薬理学的に許容される溶媒が含まれる。例えば、経皮装置は、裏部材を含む包帯、場合により担体を有する化合物を含有するレザバー、場合により、長時間にわたって制御された所定の速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリアー及び装置を皮膚に取り付ける手段の形態である。
【0113】
例えば皮膚及び眼への局所適用に適した組成物には、水性液剤、懸濁剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤又は例えばエアゾールによる送達用の噴霧製剤などが含まれる。そのような局所送達系は、例えば皮膚癌の治療のための皮膚用途、例えばサンクリーム、ローション、スプレーなどの予防的使用に、特に適している。したがって、これらは、化粧品を含む当該技術分野で周知の局所用製剤における使用に特に適している。そのような製剤は、可溶化剤、安定剤、張性向上剤、緩衝液及び防腐剤を含有することができる。
【0114】
本明細書で使用されるとき、局所適用は、吸入又は鼻腔内適用にも関係しうる。これらは、適切な噴射剤の使用を伴う又は伴わない、乾燥粉末剤吸入器からの乾燥粉末剤(単独、混合物、例えばラクトースとの乾燥ブレンド若しくは例えばリン脂質との混合成分粒子のいずれか)の形態又は加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー若しくはネブライザーからのエアゾールスプレーの提示形態によって、都合よく送達される。
【0115】
本発明は、水が特定の化合物の分解を促進しうるので、本発明の化合物を活性成分として含む無水の医薬組成物及び剤形を更に提供する。
【0116】
本発明の無水の医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を使用して調製されうる。無水の医薬組成物は、無水の性質が維持されるように調製及び保存されうる。したがって、無水組成物は、好ましくは、適切な処方キットに含まれうるように、水への曝露を防止することが知られている材料を使用して包装される。適切な包装の例には、密閉箔、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック及びストリップパックが含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
本発明は、活性成分としての本発明の化合物が分解する速度を低減する1つ以上の薬剤を含む、医薬組成物及び剤形を更に提供する。本明細書において「安定剤」と呼ばれるそのような薬剤には、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝液又は塩緩衝液などが含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容される担体」には、任意及び全ての溶媒、分散媒体、被覆、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬剤、薬剤安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、風味剤、染料などの材料及びこれらの組合せが含まれ、当業者には知られている(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289-1329を参照すること)。任意の従来の担体が活性成分と適合性がない場合を除いて、治療用又は医薬組成物におけるその使用が予期される。
【0119】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、貴重な薬理学的特性を示し、したがって医薬品として有用である。
【0120】
更に、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物は、ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患の研究に、例えばツール化合物として有用でありうる。
【0121】
特に、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物は、頻繁なPTCに対して、例えば嚢胞性線維症コンダクタンス制御因子タンパク質(CFTR)のmRNAにおけるY122Xに対してナンセンス突然変異抑制剤として作用する。このことは、例えば本明細書に記載されているGFP−CFTR−Y122X−Renilla構築物を発現する細胞系を使用して、インビトロにおいて決定することができる。
【0122】
したがって本発明の化合物は、ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患の予防、治療又は進行の遅延に有用でありうる。
用語「ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患」は、当該分野において知られている。これは、疾患関連遺伝子にナンセンス突然変異を担持する患者に存在する疾患に関し、ナンセンス突然変異は、タンパク質の部分的/完全な欠如を引き起こし、次に疾患の病理を引き起こす。
1つの実施形態において、疾患は、血友病A、血友病B、嚢胞性線維症、ムコ多糖症I型、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、APCの欠失が原因の癌及びp53の欠失が原因の癌から選択される。
【0123】
上記に記述された適応症(状態及び障害)において、適切な投与量は、例えば、用いられる化合物、宿主、投与様式、並びに治療される状態の性質及び重篤度に応じて変わる。しかし、一般に、動物における十分な結果は、約0.01〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.1〜約10mg/kg体重、例えば1mg/kgの1日投与量で得られることが示されている。より大型の哺乳動物、例えばヒトでは、示される1日投与量は、例えば1日に4回まで分けられる用量で都合よく投与される本発明の化合物の、約0.1〜約1000mg、好ましくは約1〜約400mg、最も好ましくは約10〜約100mgの範囲である。
【0124】
本発明の使用のために、本発明の化合物は、単一の活性剤として又は他の活性剤と組み合わせて、任意の通常の方法により、例えば、経口的に、例えば錠剤若しくはカプセル剤の形態により又は非経口的に、例えば注射用液剤若しくは懸濁剤の形態により投与することができる。本発明の化合物及び別の活性剤を含む組合せは、「本発明の組合せ」と呼ばれる。
【0125】
本発明の化合物を、リードスルー活性化剤、例えば、ネガマイシン、RT13、RT14、アタルレン又はアミノグリコシドリードスルー活性化剤、例えば、パロモマイシン、アミカシン、G418、NB30、NB54若しくはNB84と組み合わせることができる。
【0126】
本発明の化合物を、ナンセンス介在性mRNA崩壊阻害剤、例えばNMDI−1と組み合わせることができる。
【0127】
ネガマイシン、RT13、RT14、アタルレン、アミノグリコシドリードスルー活性化剤及びNMDI−1は、例えば、Keeling et al, WIREs RNA, 2011, 2, 837-852に記載されている。
【0128】
本発明の化合物は、ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患の予防に有用でありうる。
本発明の化合物は、ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患の治療に有用でありうる。
本発明の化合物は、ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患の進行の遅延に有用でありうる。
【0129】
別の実施形態において、本発明は、ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患を治療する方法であって、治療有効量の式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。更なる実施形態において、本発明は、ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患を治療する方法であって、治療有効量の式(I)、(I’)、(Ia)、(Ia’)又は(Ib)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、前述のリストから、適切には血友病A、血友病B、嚢胞性線維症及びムコ多糖症I型(ハーラー症候群)から選択される方法を提供する。
【0130】
本発明の化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的又は医学的応答を誘発する、例えば、症状を改善する、状態を緩和する、疾患の進行を緩徐若しくは遅延する又は疾患を予防するなどの本発明の化合物の量を意味する。1つの非限定実施形態において、用語「治療有効量」は、対象に投与されたとき、ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患を少なくとも部分的に緩和する、阻害する、予防する及び/又は改善するために有効である、本発明の化合の量を意味する。別の非限定的な実施形態において、用語「治療有効量」は、細胞又は組織又は非細胞性の生物学的材料又は培地に投与されたとき、ナンセンス突然変異の影響を少なくとも部分的に抑制することに有効である、本発明の化合物の量を意味する。
【0131】
本明細書で使用されるとき、用語「対象」は動物を意味する。好ましくは、動物は哺乳動物である。対象は、例えば、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、サカナ、トリなども意味する。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【0132】
本明細書で使用されるとき、用語「阻害」又は「阻害すること」は、所与の状態、症状又は障害又は疾患の低減又は抑制、或いは生物学的活性又は過程のベースライン活性における有意な減少を意味する。
【0133】
本明細書で使用されるとき、任意の疾患又は障害における用語「治療すること」又は「治療」は、1つの実施形態において、疾患又は障害を改善すること(すなわち、疾患又はその少なくとも1つの臨床症状の発生を緩徐又は阻止又は低減すること)を意味する。別の実施形態において、「治療すること」又は「治療」は、患者により認識できないものを含む少なくとも1つの身体的なパラメーターを緩和又は改善することを意味する。なお別の実施形態において、「治療すること」又は「治療」は、身体的(例えば、認識される症状の安定化)、生理的(例えば、身体的パラメーターの安定化)のいずれか又は両方において疾患又は障害をモジュレートすることを意味する。なお別の実施形態において、「治療すること」又は「治療」は、疾患又は障害の発症又は発生又は進行を予防又は遅延することを意味する。
【0134】
本発明の医薬組成物又は組合せは、約50〜70kgの対象に対して約1〜1000mgの活性成分又は約1〜500mg又は約1〜250mg又は約1〜150mg又は約0.5〜100mg又は約1〜50mgの活性成分の単位投与量でありうる。化合物、医薬組成物又はその組合せの治療有効投与量は、対象の種、体重、年齢及び個別の状態、治療される障害若しくは疾患又はそれらの重篤度によって左右される。通常の技能を有する医師、臨床医又は獣医は、障害又は疾患の進行を予防、治療又は阻害するのに必要なそれぞれの活性成分の有効量を容易に決定することができる。
【0135】
上記に引用された投与量特性は、哺乳動物、例えばマウス、ラット、イヌ、サル又は単離された臓器、組織及びそれらの調製物を有利に使用してインビトロ及びインビボ試験によって実証可能である。本発明の化合物を、インビトロにおいて液剤、例えば好ましくは水性液剤の形態により、インビボにおいて経腸的、非経口的、有利には静脈内に、例えば懸濁剤として又は水性液剤により適用することができる。インビトロにおける投与量は、約10−3モル〜10−9モル濃度の範囲でありうる。インビボにおける治療有効量は、投与経路に応じて、約0.1〜500mg/kg又は約1〜100mg/kgの範囲でありうる。
【0136】
本発明の化合物の活性は、本明細書に記載されているインビトロ及びインビボの方法により評価することができる。
【0137】
本発明の化合物は、少なくとも1つの他の治療剤と同時に又はその前若しくは後に投与することができる。本発明の化合物は、同じ若しくは異なる投与経路により別々に又は同じ医薬組成物により一緒に投与することができる。
【0138】
下記の実施例は本発明を説明するが、本発明を制限するものではない。
【0139】
実験部分:
略語:
NMP 1−メチルピロリジン−2−オン
HOAt 3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−オール
HATU 2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスフェート(V)
DMF ジメチルホルムアミド
DMC ジクロロメタン
ACN アセトニトリル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TBME t−ブチルメチルエーテル
r.t. 室温
SFC 超臨界流体クロマトグラフィー
RP 逆相
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
DIEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
rac−BINAP 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルラセミ化合物
dba ジベンジリデンアセトン
DMA ジメチルアセトアミド
LC−MS方法:
Waters Acquity UPLC−SQD系;移動相:A:水(0.05%ギ酸)B:メタノール(0.04%ギ酸);勾配:0.1分間かけて2%Bから8%Bへ、0.5分間かけて8%Bから98%Bへ、0.1分間にわたって98%B;流速1mL/分;カラム Waters Acquity UPLC BEH C18、30×2.1mm、1.7mM;オーブン温度60℃。
NMR装置:
Bruker Avance 400MHz Ultrashield及びAvance 600MHz
【実施例】
【0140】
実施例1.1:3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0141】
【化13】
【0142】
a)3−(シクロブタンカルボニル)−6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン
アルゴン下、64.1gのカボニルジイミダゾール(396mmol)を、300mLのTHF中の31.5mLのシクロブタンカルボン酸(330mmol)に室温で10分以内に加えた。25分後、226mLのDCM、77gのカリウム3−メトキシ−3−オキソプロパノエート(494mmol)及び37.7gの塩化マグネシウム(396mmol)を加え、続いて2.5時間以内に56℃に加熱し、更に3.5時間撹拌した。得られた懸濁液を室温に冷却し、600mLの2N塩酸水溶液を加えて、pH2にして、更に800mLの水を加え、得られた二相溶液を分離した。水相を250mLのDCMで2回抽出し、合わせた有機相を、半濃縮(half concentrated)塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。得られたメチル3−シクロブチル−3−オキソプロパノエート(59g、精製することなく次のステップに使用した)を、10mLのメタノールに溶解し、378mLの2M水酸化ナトリウム水溶液を加え、混合物を1時間撹拌した。100mLのTBMEを加え、水相を50mLのTBMEで2回抽出し、合わせた水相を濾過し、5℃に冷却した。その溶液に、65.1mLの濃塩酸水溶液を加えて、pH<1にした。167gの固体塩化ナトリウムを加え、混合物を100mLの酢酸エチルで4回抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、3−シクロブチル−3−オキソプロパン酸(43g、精製することなく次のステップに使用した)を僅かに黄色の油状物として得た。この油状物を508mLのTHFに溶解し、53.1gのカルボニルジイミダゾール(328mmol)を慎重に加え、6時間撹拌した。得られた溶液に、50mLの水を加え、THFを減圧下で蒸発させ、200mLのDCMを加え、400mLの2M塩酸水溶液、200mLの0.5M塩酸水溶液、200mLの水で洗浄した。水相を100mLのDCMで抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。得られた橙色の油状物を、溶出剤としてDCM/メタノールを用いるシリカゲルの液体クロマトグラフィーにより精製した。標的画分を合わせ、蒸発させて、22gの3−(シクロブタンカルボニル)−6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン(89mmol、53%)をゆっくりと結晶化する油状物として得た。
ESI−MS[M+H] 249.2
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 16.91 (s, 1H), 5.94 (s, 1H), 4.36-4.26 (m, 1H), 3.35 (五重線, 1H, J = 8.6 Hz), 2.39-2.26 (m, 8H), 2.13-2.00 (m, 2H), 1.99-1.81 (m, 2H).
【0143】
b)6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン
21.9gの3−(シクロブタンカルボニル)−6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン(88mmol)に、65.7mLの濃硫酸(88mmol)を加え、混合物を105℃で20分間加熱し、次に0℃に冷却した。混合物を600gの氷に慎重に注ぎ、水で800mLの容量に希釈し、200mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させ、溶出剤としてDCM/メタノールを用いるシリカゲルの液体クロマトグラフィーにより精製した。標的画分を合わせ、蒸発させて、11.6gの6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン(70mmol、79%)をオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 167.1
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 11.61 (s, 1H), 5.94 (d, 1H, J = 2.1 Hz), 5.22 (d, 1H, J = 2.1), 3.36 (五重線, 1H, J = 8.6 Hz), 2.24-2.08 (m, 4H), 2.04-1.90 (m, 1H), 1.87-1.75 (m, 1H).
【0144】
c)6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン
231mLの酢酸及び462mLの水中の11.5gの6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン(69mmol)の懸濁液に、6.33mLのアニリンを加え、85℃で22時間加熱した。混合物を蒸発させ、トルエンを2回加え、蒸発させ、50mLのトルエンを加え、50℃で撹拌した。懸濁液を撹拌し、固体をトルエン及びジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して、8.5gの6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン(35mmol、51%)を白色の固体として得た。
ESI−MS[M+H] 242.2
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 10.59 (s, 1H), 7.50-7.39 (m, 3H), 7.19-7.12 (m, 2H), 5.86-5.81 (m, 1H), 5.55 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 3.09-2.99 (m, 1H), 1.96-1.84 (m, 2H), 1.67-1.50 (m, 4H).
【0145】
d)6−シクロブチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート
アルゴン下、8.4gの6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン(35mmol)を168mLのDCMに懸濁し、−25℃に冷却し、3.94mLのピリジンを加え、続いて35mLのDCM中の7.03mLのトリフルオロメタンスルホン酸無水物の溶液を15分以内に加えた。懸濁液を40分間撹拌し、250mLの氷/水混合物に注ぎ、激しく撹拌した。水相を分離し、80mLのDCMで2回抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、13gの6−シクロブチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート(35mmol、100%)を黄色の油状物として得て、これを放置して結晶化させた。
ESI−MS[M+H] 374.1
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 7.58-7.44 (m, 3H), 7.34-7.26 (m, 2H), 6.57-6.52 (m, 1H), 6.44-6.38 (m, 1H), 3.16 (五重線, 1H, J = 8.8 Hz), 2.09-1.95 (m, 2H), 1.71-1.53 (m, 4H).
【0146】
e)メチル2−((6−シクロブチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イル)アミノ)ベンゾエート
アルゴン下、32mLのトルエン中の3gの6−シクロブチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート(8.1mmol)、1.26mLのメチル2−アミノベンゾエート(9.7mmol)及び3.7gの炭酸セシウム(11.3mmol)の懸濁液に、60mgのrac−BINAP(0.1mmol)及び44mgのPd(dba)(0.05mmol)を加え、85℃で16時間加熱した。懸濁液を室温に冷却し、60mLのDCMで希釈し、Hyfloで濾過し、濾液を蒸発させた。得られた橙色の油状物を、溶出剤としてDCM/メタノールを用いるシリカゲルの液体クロマトグラフィーにより精製した。標的画分を合わせ、蒸発させて、2.68gのメチル2−((6−シクロブチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イル)アミノ)ベンゾエート(7.2mmol、88%)を橙色の油状物として得て、それを放置して結晶化させた。
ESI−MS[M+H] 375.3
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 9.06 (s, 1H), 7.94 (dd, 1H, J = 7.9, 1.6 Hz), 7.66-7.54 (m, 2H), 7.51-7.39 (m, 3H), 7.21-7.15 (m, 3H), 6.09 (d, 1H, J = 2.5 Hz), 5.79 (d, 1H, J = 2.3 Hz), 3.87 (s, 3H), 3.11-3.03 (m, 1H), 2.01-1.89 (m, 2H), 1.70-1.52 (m, 4H).
【0147】
f)3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
2.6gのメチル2−((6−シクロブチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イル)アミノ)ベンゾエート(6.9mmol)に、38gのポリリン酸を加え、120℃で40分間加熱した。この混合物に、43gの氷を加え、440mLの水で希釈し、152gの重炭酸カリウムをゆっくりと加えて、pH7〜8にした。100mLのTBME及び200mLのメタノール、続いて200mLの水を加え、30分間十分に撹拌した。懸濁液を濾過し、固体を水及びTBMEで洗浄し、乾燥して、1.7gの3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン(5mmol、72%)をオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 343.2;LCMS保持時間[分]、方法A:0.60。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 11.79 (s, 1H), 8.10 (d, 1H, J = 7.9), 7.67 (t, 1H, J = 7.6), 7.57-7.41 (m, 4H), 7.36-7.20 (m, 3H), 6.22 (s, 1H), 3.20-3.06 (m, 1H), 2.06-1.90 (m, 2H), 1.74-1.56 (m, 4H).
【0148】
実施例1.2:3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0149】
【化14】
【0150】
50mLのDMF中の1.65gの3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン(4.8mmol)(実施例1.1)の懸濁液に、4.7gの炭酸セシウム(14.4mmol)及び0.9mLヨウ化メチル(14.4mmol)を加え、室温で2.5時間撹拌した。得られた懸濁液に、100mLの水をゆっくりと加え、10℃に冷却し、30分間撹拌し、濾過し、固体を20mLのDMF/水(1:2、v/v)、100mLの水で洗浄し、真空下、60℃で乾燥して、1.4gの3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン(4mmol、84%)をオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 357.2;LCMS保持時間[分]、方法A:0.61。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 8.21 (dd, 1H, J = 7.8, 1.8 Hz), 7.84 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 7.81-7.73 (m, 1H), 7.58-7.46 (m, 3H), 7.38 (t, 1H, J = 7.4 Hz), 7.28-7.23 (m, 2H), 6.43 (s, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.22-3.12 (m, 1H), 2.22-2.10 (m, 2H), 1.73-1.56 (m, 4H).
【0151】
実施例1.3:3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0152】
【化15】
【0153】
a)4−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン
120mLの水及び60mLの酢酸中の3g(19.5mmol)の4−ヒドロキシ−6−イソプロピル−2H−ピラン−2−オン(CAS220809−37−0、市販されている)の溶液に、1.8mL(19.5mmol)のアニリンを加え、85℃で16.5時間撹拌した。得られた混合物を蒸発させ、溶出剤としてDCM/メタノールを用いるシリカゲルの液体クロマトグラフィーにより精製した。標的画分を合わせ、蒸発させて、1.5g(6.4mmol、33%)の4−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1−フェニルピリジン−2(1H)−オンを白色の固体として得た。
【0154】
b)6−イソプロピル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート
34mLのDCM中の2.9g(12.8mmol)の4−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1−フェニルピリジン−2(1H)−オンの懸濁液に、1.87mL(23mmol)のピリジンを加え、混合物を−25℃に冷却し、11.4mLのDCM中の2.7mL(16mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸無水物の溶液を10分間かけて滴加し、−25℃で更に45分間撹拌した。40mL及び80mLの水を加え、有機相を80mLの水及びブラインで抽出し、水相を80mLの酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、4.6g(12.4mmol、97%)の6−イソプロピル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネートを黄色の固体として得た。
【0155】
c)メチル2−((6−イソプロピル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イル)アミノ)ベンゾエート
7.1mLのジオキサン中の4.6g(12.7mmol)の6−イソプロピル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネートの溶液に、1.8mL(14mmol)のメチル2−アミノベンゾエート及び4.4mL(25mmol)のDIEAを加えた。次に、0.63g(1mmol)のrac−BINAP及び0.46g(0.5mmol)のPd(dba)を加え、混合物を90℃で21時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、蒸発させ、300mLの酢酸エチルで希釈し、水で3回抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。得られた黒色の油状物を、溶出剤としてヘプタン/酢酸エチルを用いるシリカゲルの液体クロマトグラフィーにより精製した。標的画分を合わせ、蒸発させて、2.2g(6.1mmol、48%)のメチル2−((6−イソプロピル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イル)アミノ)ベンゾエートを赤色の油状物として得た。
【0156】
d)3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
2.2g(6.1mmol)のメチル2−((6−イソプロピル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−4−イル)アミノ)ベンゾエートを24mLのポリリン酸に溶解し、125℃で5時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、500mLの水をゆっくりと加えて加水分解し、固体の重炭酸カリウムを慎重に加えてpH8に調整した。得られた懸濁液を80mLのDCMで抽出し、有機相を80mLの水及びブラインで2回抽出し、合わせた水相を80mLのDCMで2回抽出した。合わせた水相を濾過し、残った固体を減圧下で乾燥して、1.1g(3.3mmol、55%)の3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 331.2;LCMS保持時間[分]、方法A:0.60。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 11.74 (s, 1H), 8.10 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.67 (td, J = 7.7, 7.1, 1.6 Hz, 1H), 7.60 - 7.43 (m, 4H), 7.35 - 7.26 (m, 3H), 6.24 (s, 1H), 2.41 (七重線, J = 6.8 Hz, 1H), 1.10 (d, J =6.7 Hz, 6H).
【0157】
実施例1.4:3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0158】
【化16】
【0159】
34mLのDMF中の630mg(1.9mmol)の3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンの溶液に、1.86gの炭酸セシウム(5.7mmol)及び0.81gのヨウ化メチル(5.7mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。次に、80mLの水及び80mLのDCMを加え、有機相を水及びブラインで2回抽出し、合わせた水相をDCMで2回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。得られた残渣を5mLのDCMに懸濁し、濾過し、濾液を蒸発させ、5mLのジエチルエーテルに懸濁し、濾過し、合わせた固体を減圧下で乾燥して、441mg(1.3mmol、67%)の3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 345.3;LCMS保持時間[分]、方法A:0.61。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 8.20 (dd, J = 7.9, 1.6 Hz, 1H), 7.86 - 7.71 (m, 2H), 7.61 - 7.46 (m, 3H), 7.42 - 7.28 (m, 3H), 6.53 (s, 1H), 3.90 (s, 3H), 2.48 - 2.41 (m, 1H), 1.18 (d, J = 6.8 Hz, 6H).
【0160】
以下の例は、実施例1.1〜1.4に類似して作製することができる。
【0161】
【表1-1】
【0162】
【表1-2】
【0163】
【表1-3】
【0164】
【表1-4】
【0165】
【表1-5】
【0166】
【表1-6】
【0167】
以下の実施例は、実施例1.1〜1.4に類似して実施した。
【0168】
【表2-1】
【0169】
【表2-2】
【0170】
【表2-3】
【0171】
【表2-4】
【0172】
【表2-5】
【0173】
【表2-6】
【0174】
【表2-7】
【0175】
実施例2.1:3−シクロブチル−2−シクロペンチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0176】
【化17】
【0177】
a)4−ブロモ−6−シクロブチル−2H−ピラン−2−オン
400mg(2.4mmol)の6−シクロブチル−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン(実施例1.1bに従って調製)、854mg(2.7mmol)の臭化テトラブチルアンモニウム及び752mg(5.3mmol)の五酸化二リンに、8mLのトルエンを加え、混合物を、激しく撹拌しながら110℃に加熱した。室温で相を分離し、水相を4mLのトルエンで2回抽出し、合わせた有機相を15mLの重炭酸カリウム20%水溶液(w/v)及び15mLのブラインで洗浄し、水相を5mLのトルエンで抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて、507mg(2.2mmol、92%)の4−ブロモ−6−シクロブチル−2H−ピラン−2−オンを赤色の油状物として得た。
【0178】
b)メチル2−((6−シクロブチル−2−オキソ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ベンゾエート
アルゴン下、494mg(2.2mmol)の4−ブロモ−6−シクロブチル−2H−ピラン−2−オン及び1054mg(3.2mmol)の炭酸セシウムを8mLのトルエンに懸濁し、続いて363□L(424mg、2.8mmol)のメチル2−アミノベンゾエート、16mg(0.026mmol)のrac−BINAP及び12mg(0.013mmol)のPd(dba)を加えた。混合物を110℃で23時間加熱した。室温で混合物をhyfloで濾過し、濾液を蒸発させ、溶出剤としてシクロヘキサン/TBMEを用いるシリカゲルの液体クロマトグラフィーにより精製した。標的画分を合わせ、蒸発させて、458mg(1.5mmol、71%)のメチル2−((6−シクロブチル−2−オキソ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ベンゾエートを黄色の固体として得た。
【0179】
c)3−シクロブチル−1H−ピラノ[4,3−b]キノリン−1,10(5H)−ジオン
0.4g(1.4mmol)のメチル2−((6−シクロブチル−2−オキソ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ベンゾエートに、5g(1.4mmol)のポリリン酸を加え、130℃で45分間加熱した。反応混合物を、室温を超えない20mLの水により加水分解し40mLの水で希釈し、固体の重炭酸カリウムを慎重に加えてpH7〜8に中和した。得られた固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥して、360mg(1.4mmol、98%)の3−シクロブチル−1H−ピラノ[4,3−b]キノリン−1,10(5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
【0180】
d)3−シクロブチル−2−シクロペンチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
6.2mLのトリフルオロエタノール中の329mg(1.23mmol)の3−シクロブチル−1H−ピラノ[4,3−b]キノリン−1,10(5H)−ジオンに、850μL(13.7mmol)のシクロペンチルアミン及び141μL(5.5mmol)の酢酸を加え、90℃で7時間加熱した。混合物を蒸発させ、残渣を4mLのエチルエーテルと2回混合し、濾過し、7.5mLのイソプロパノール/ジエチルエーテル3:2(v/v)により2回、7mLのジエチルエーテルにより及び水により8回十分に洗浄した。残った固体を乾燥して、373mg(1.1mmol、91%)の3−シクロブチル−2−シクロペンチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 335.1;LCMS保持時間[分]、方法A:0.66。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 11.58 (s, 1H), 8.09 (dd, J = 8.0, 1.2 Hz, 1H), 7.64 (dt, 1H), 7.41 (dd, J = 8.1 Hz, 1H), 7.27 (dt, J = 7.5 Hz, 1H), 6.08 (s, 1H), 4.43 (p, 1H), 3.71 (p, 1H), 2.41 - 2.26 (m, 2H), 2.26 - 2.07 (m, 4H), 2.07 - 1.89 (m, 3H), 1.89 - 1.63 (m, 3H), 1.63 - 1.41 (m, 2H)
【0181】
実施例2.2:3−シクロブチル−2−シクロペンチル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0182】
【化18】
【0183】
129mg(0.38mmol)の3−シクロブチル−2−シクロペンチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン(実施例2.1)から出発し、実施例1.2に従って調製して、121mg(0.35、90%)の3−シクロブチル−2−シクロペンチル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 349.2;LCMS保持時間[分]、方法A:0.70。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 8.20 (dd, J = 7.9, 1.4 Hz, 1H), 7.78 (dd, J = 8.3 Hz, 1H), 7.72 (dt, J = 8.6, 1.6 Hz, 1H), 7.35 (dt, J = 7.3 Hz, 1H), 6.23 (s, 1H), 4.49 (p, J = 8.6 Hz, 1H), 3.76 (p, J = 8.6 Hz, 1H), 2.45 - 2.33 (m,2H), 2.33 - 2.25 (m, 2H), 2.20 (m, J = 14.8, 7.4 Hz, 2H), 2.11 - 1.90 (m, 3H), 1.90 - 1.66 (m, 3H), 1.66 - 1.48 (m, 2H)
【0184】
実施例2.3:2−シクロペンチル−3−イソプロピルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0185】
【化19】
【0186】
243mg(0.95mmol)の3−イソプロピル−1H−ピラノ[4,3−b]キノリン−1,10(5H)−ジオンを使用し、実施例2.1a)〜d)に従って調製して、220mg(0.68mmol、72%)の2−シクロペンチル−3−イソプロピルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンを白色の固体として得た。
ESI−MS[M+H] 323.2;LCMS保持時間[分]、方法A:0.64。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 11.55 (s, 1H), 8.09 (dd, J = 7.9 Hz, 1H), 7.64 (dt, J = 7.5 Hz, 1H), 7.41 (dd, J = 8.1 Hz, 1H), 7.26 (dt, J = 7.5 Hz, 1H), 6.13 (s, 1H), 4.74 (p, 1H), 3.24 (七重線, J = 6.5 Hz, 1H), 2.29 - 2.13 (m, 2H), 2.01 (m, 2H), 1.88 - 1.72 (m, 2H), 1.68 - 1.52 (m, 2H), 1.28 (m, J = 6.5 Hz, 6H)
【0187】
実施例2.4:2−シクロペンチル−3−イソプロピル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0188】
【化20】
【0189】
33mg(0.1mmol)の2−シクロペンチル−3−イソプロピルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンを使用し、実施例2.2に従って調製して、26mg(0.08mmol、76%)の2−シクロペンチル−3−イソプロピル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 337.1;LCMS保持時間[分]、方法A:0.64。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 8.20 (dd, 1H), 7.77 (dd, J = 8.1 Hz, 1H), 7.73 (dt, 1H), 7.35 (dt, 1H), 6.33 (s, 1H), 4.80 (p, J = 8.5 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.30 (七重線, 1H), 2.28 - 2.13 (m, 2H), 2.09 - 1.95 (m, 2H), 1.88 - 1.74 (m, 2H), 1.68 - 1.53 (m, 2H), 1.34 (m, J = 6.7 Hz, 6H)
【0190】
実施例2.5:3−シクロブチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0191】
【化21】
【0192】
219mg(0.82mmol)の3−シクロブチル−1H−ピラノ[4,3−b]キノリン−1,10(5H)−ジオン及び769mg(8.2mmol)の2−アミノピリジンを、溶媒を用いることなく170℃で17時間反応させ、実施例2.1に従って調製して、209mg(0.61mmol、75%)の3−シクロブチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンを、褐色を帯びた固体として得た。
ESI−MS[M+H] 344.3;LCMS保持時間[分]、方法A:0.57。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 11.82 (s, 1H), 8.68 - 8.58 (m, 1H), 8.11 (dd, 1H), 8.01 (dt, J = 7.7, 1.9 Hz, 1H), 7.69 (dt, 1H), 7.53 (dd, J = 6.7, 5.0 Hz, 1H), 7.50 - 7.42 (m, 2H), 7.32 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.22 (s, 1H), 3.22 (p, J = 9.0 Hz, 1H), 2.14 - 1.41 (m, 6H)
【0193】
実施例2.6:3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0194】
【化22】
【0195】
100mg(0.29mmol)の3−シクロブチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンを反応させ、実施例2.2に従って調製して、68mg(0.19mmol、66%)の3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンを得た。
ESI−MS[M+H] 358.1;LCMS保持時間[分]、方法A:0.57。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 8.64 (dd, 1H), 8.22 (dd, J = 7.9, 1.4 Hz, 1H), 8.03 (dt, J = 7.7, 1.8 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.78 (dt, 1H), 7.55 (dd, J = 7.1, 5.2 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.43 (s, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.25 (dt, J = 17.3, 8.4 Hz, 1H), 2.15 (s, 2H), 1.78 - 1.47 (m, 4H).
【0196】
実施例2.7:3−シクロブチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0197】
【化23】
【0198】
5mLのDMA中の247mg(0.92mmol)の3−シクロブチル−1H−ピラノ[4,3−b]キノリン−1,10(5H)−ジオン及び588mg(3.7mmol)の1−アミノピロリジンを170℃で12時間使用し、実施例2.1に従って調製して、255mg(0.76mmol、82%)の3−シクロブチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 336.2;LCMS保持時間[分]、方法A:0.67。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 11.67 (s, 1H), 8.10 (dd, 1H), 7.66 (dt, 1H), 7.43 (dd, J = 8.1 Hz, 1H), 7.29 (dt, 1H), 6.05 (s, 1H), 3.70 (p, J = 8.8 Hz, 1H), 3.48 (q, J = 7.1, 6.7 Hz, 2H), 3.07 (q, 2H), 3.02 - 2.92 (m, 2H), 2.37 - 1.73 (m, 10H)
【0199】
実施例2.8:3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0200】
【化24】
【0201】
124mg(0.37mmol)の3−シクロブチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンを反応させ、実施例2.2に従って調製して、72.3mg(0.19mmol、52%)の3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンを得た。
ESI−MS[M+H] 350.1;LCMS保持時間[分]、方法A:0.67。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 8.20 (dd, J = 7.9, 1.4 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 8.5 Hz, 1H), 7.74 (dt, 1H), 7.37 (dt, J = 7.3 Hz, 1H), 6.22 (s, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.77 (p, J = 9.0 Hz, 1H), 3.49 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.98 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 2.37 - 1.74 (m, 10H).
【0202】
以下の実施例は、実施例2.1〜2.8に類似して実施した。
【0203】
【表3-1】
【0204】
【表3-2】
【0205】
実施例3.1:4−クロロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0206】
【化25】
【0207】
1mLのピリジン及び0.43mLの酢酸中の50mg(0.15mmol)の3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン(実施例1.3)及び1mg(7.6μmol)の三塩化アルミニウムの懸濁液に、20mg(0.15mmol)の1−クロロピロリジン−2,5−ジオンを5分間かけて分割して加え、混合物を50℃で3時間撹拌した。
反応混合物を室温に冷却し、3mLの水で希釈し、1時間撹拌した。固体を濾取し、水で洗浄し、乾燥して、40mg(0.1mmol、69%)の4−クロロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンを黄色の粉末として得た。
ESI−MS[M+H] 365.0;LCMS保持時間[分]、方法A:0.64。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 10.90 (s, 1H), 8.14 - 8.05 (m, 2H), 7.75 - 7.68 (m, 1H), 7.60 - 7.50 (m, 3H), 7.40 - 7.31 (m, 3H), 2.81 (bs, 1H), 1.30 (d, J = 7.1 Hz, 6H).
【0208】
実施例3.2:4−クロロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0209】
【化26】
【0210】
化合物は、実施例3.1に記載された反応条件下で100mg(0.29mmol)の3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン(実施例1.4)から出発して調製され、20mg(53□mol、18%)の4−クロロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 379.2;LCMS保持時間[分]、方法A:0.66。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 8.15 - 8.09 (m, 1H), 7.83 - 7.73 (m, 2H), 7.61 - 7.54 (m, 2H), 7.54 - 7.48 (m, 1H), 7.45 - 7.38 (m, 1H), 7.38 - 7.33 (m, 2H), 3.92 (s, 3H), 3.18 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 2.81 (bs, 1H), 1.30 (d, J = 7.2 Hz, 6H).
【0211】
実施例3.3:4−ブロモ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
【0212】
【化27】
【0213】
化合物は、実施例3.1に記載された反応条件下で1.0g(2.9mmol)の3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン(実施例1.4)から出発し、20mLのピリジン中の1.03g(5.8mmol)の1−ブロモピロリジン−2,5−ジオン、20mg(0.15mmol)の三塩化アルミニウム及び mLの酢酸を使用して調製され、1.05g(2.35mmol、81%)の4−ブロモ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオンをオフホワイトの固体として得た。
ESI−MS[M+H] 423.1;LCMS保持時間[分]、方法A:0.67。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ(ppm) = 8.15 - 8.08 (m, 1H), 7.82 - 7.75 (m, 2H), 7.61 - 7.48 (m, 3H), 7.44 - 7.38 (m, 1H), 7.38 - 7.33 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 2.93 (bs, 1H), 1.30 (bd, J = 7.5 Hz, 6H).
【0214】
生物学的試験
インビトロ試験:CFTR−Y122Xアッセイ
本発明の化合物の活性を、組み換え二重レポーター同質遺伝子Hek293細胞系により検査した(「CFTR−Y122Xアッセイ」)。操作されたレポーター構築物は、CFTRクラスI突然変異患者における一般的なY122X PTC突然変異に対応する18bp配列ストレッチを含有した(Sermet-Gaudelus, BMC Medicine, 2007, 5(5)を参照すること)。CFTRタンパク質の122位のチロシン(Y)の代わりに、TGA停止コドンは、対応するmRNAのオープンリーディングフレーム(Y122X)を中断する。このTGA停止コドントリプレット(ピリミジン塩基シトシンが後に続く)は、ハイスループットスクリーニングの陽性対照として役立つアミドグリコシド仲介翻訳リードスルーを許容する。対応するTAA停止コドン変種及び野生型非突然変異構築物を、確認及びカウンタースクリーニングに使用した。CFTR配列を、eGFPレポーターと、完全長Renillaレポーターに縮合している三重mycタグ配列との間にサンドイッチした。位置させた1つのプレeGFPを含有するイントロン(b−グロビンイントロン)を含む全ての配列を、フレーム内でクローンした。対応する発現構築物は、同質遺伝子HEK−R4細胞宿主(Invitrogen Incorp.)に安定して発現し、ブラスチシジン抵抗性により選択された。構築物の同質遺伝子組み込みは、遺伝子量効果を最小限にし、アッセイの再現性を向上させる。安定して組み込まれた単一細胞由来クローンを選択し、アミノグリコシド仲介リードスルーのために特徴決定した。最適な増殖特徴及びパロモマイシンへの強力な応答(1.5mMのEC50)を有するクローンを、HTSアッセイ展開により探求した。Y122Xのリードスルーは、抗ウミシイタケ抗体を使用するウエスタンブロット分析及び免疫蛍光により制御して、細胞内局在融合タンパク質をおよそ65.5kDaで蓄積する。eGFPレポータープレPTC突然変異は、クローンのスクリーニングにおける遺伝子安定性の視覚的な対照として役立ち、少ない量の融合タンパク質のタンパク質分解を最小限にする。このアッセイにおいて、化合物濃度は10μMであった。小型1536ウェルフォーマットにより、2000個の細胞を4μ/ウェルで分配し、37℃、5%COで24時間インキュベートした。40nlの化合物を細胞に配置し、対照ウェルは1ulのパロモマイシン(Paramomycin)を含有し、14.4mMの最終濃度を有した。化合物を24時間インキュベートした。Renilla Glo基質(2.5ul)を加え、プレートを遠心分離し、多様な読み取り機を使用して発光測定の処理を行った。活性の計算は、方程式:A1(%)=100(S−NC)/(AC−NC)を使用して行い、ここで、AC、NC及びSは、活性対照(刺激緩衝液の注入=100%刺激)、中性対照(Iloprost EC10を含む緩衝液注入)及びスクリーニング試料(S)に対応する。NCは、0%の活性に対応し、一方、ACは、100%の活性である(14mMのパロモマイシン)。偽陽性人工産物を確認時に取り外し、同じアッセイフォーマットを使用して確証スクリーニングを行い、続いてそれぞれの野生型構築物(PTC突然変異を有さない)細胞モデルを使用してカウンタースクリーニングを行った。化合物は、100μMの化合物濃度まで試験した。
【0215】
【表4-1】
【0216】
【表4-2】
【0217】
【表4-3】
【0218】
表2は、式(I’)の化合物が機能的アッセイにおいて活性であることを示し、翻訳リードスルーを促進することを示している。
【0219】
以下の式(I’)の化合物を、上記に記載されたCFTR−Y122Xアッセイにおいて上記の用量範囲で試験し、パロモマイシン基準活性の僅か5%未満に達する抑制が見られた。
7−イソプロピル−3−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−3,9−ジメチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン。
【0220】
本発明のある実施形態において、本発明の化合物は、
7−イソプロピル−3−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン
7−イソプロピル−3,9−ジメチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン
ではない。
【0221】
インビトロ試験:ハーラー患者由来線維芽細胞培養物
本発明の化合物の活性を、患者由来線維芽細胞において検査した。遺伝子型同定細胞はCoriell Institute(#GM00798)由来のものであり、エクソン9のヌクレオチド1293にインフレームホモ接合体TGGからTAGへの変化を含有し、これはW402X突然変異をもたらす。W402X突然変異は、機能性欠失突然変異を引き起こす、最も一般的なハーラー症候群の1つである。遺伝子型同定患者の60〜70%は、Q70X及び/又はW402Xに突然変異を含有し、重篤なMPSI患者と分類される。このTAG停止コドントリプレットは、化合物試験の際に活性制御として役立つ、アミノグリコシド仲介翻訳リードスルーを許容する。W402Xのリードスルーは、アルファ−L−イズロニダーゼ活性を回復し、そのことは、リソソーム蓄積グリコサミノグリカンの除去をもたらす。イズロニダーゼ発現は、Taqman PCR(C)によっても、化合物刺激を伴わない酵素活性又はELISAの方法によっても検出することができなかった。化合物を、濃度応答様式で試験した。したがって、384ウェルプレートにおける5000個の患者細胞/40ul/ウェルを使用した。化合物の希釈物は、新たに調製した10mMの化合物保存溶液由来のものであった。最高濃度は、20uMであり、続いて1:3.16で希釈した(8ポイント希釈、n=4)。最終DMSO濃度は、0.5%未満であり、試験して、細胞の生存度、増殖及びリードスルーに対して影響を与えなかった。細胞を8日間インキュベートし、1つの細胞培地及び化合物を3日目に交換した。その後、細胞培地を取り除き、細胞を溶解した(0.4Mのギ酸ナトリウム、0.1%のNaN3、0.9%のNaCl、0.2%のTriton、pH3.5)。細胞溶解産物において回復されたアルファ−L−イズロニダーゼ活性は、48時間のインキュベーション後の蛍光4−MUイズロニド基質(5ulの0.4mM 4メチルウンベリフェリルアルファ−L−イズロニド/ウェル)を用いて測定した。パロモマイシンを基準対照として使用した(14mM=100%対照)。結果を下記の表3に示し、化合物がハーラー症候群の治療に使用できることを示唆している。
【0222】
【表5-1】
【0223】
【表5-2】
【0224】
【表5-3】

なお、本発明には、以下の実施形態が包含されるものとする。
[1]遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物
【化1】
[式中、
a)Rは、5員〜7員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、Rにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
は、Rにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜6アルキルであり;
又はRは、−X−Rであり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R)−であり、Rは、水素若しくはC1〜4アルキルであり、Rは、R10により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R11により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
b)Rは、
【化2】
であり、ここでフェニル環は、アスタリスクを付けた結合を介して結合しており;
各R12は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、前記C3〜6シクロアルキルは、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
は、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRは、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15は、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14は、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
或いは
c)Rは、ピロリル、ピラゾリル、チオフェニル又はピリジン−2−イルから選択される環であり、前記環は、C1〜3アルキルにより置換されていてもよく;
は、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRは、−X−R14であり、−X−は、−O−、−S−若しくは−N(R15)−であり、R15は、水素若しくはC1〜4アルキルであり、R14は、R16により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
又はRは、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
は、水素又は−CH18であり;
18は、水素、C1〜4アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C1〜3アルコキシC1〜3アルキル、ヒドロキシC1〜3アルキル又はアミノC1〜3アルキルであり;
及びRは、独立して水素、C〜Cアルキルから選択され;
又は
及びRは、これらが結合している結合と一緒になって、
− R19により1回又は1回を越えて置換されていてもよい5員〜7員単環式非芳香族炭素環、
− R20により1回置換されていてもよいチオフェン環、
− 2つのアスタリスクを付けた結合により分子の残りの部分に縮合している
【化3】
から選択される環を形成し;
19及びR20は、独立してハロゲン、C〜Cアルキルから選択され;
21は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系は、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系は、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記環系は、R23により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
又は
及びR21は、一緒になって、−CH−CH−であり;
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ若しくはC1〜4ハロゲンアルコキシ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜4シクロアルキルであり、前記C3〜4シクロアルキルは、直接的に又はC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記C3〜4シクロアルキルは、ハロゲンにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
、R11、R17及びR23は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルキル、C1〜4ハロゲンアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C1〜4アルコキシ−C1〜4アルキル、アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−アミノ−C1〜4アルキル、ジ(C1〜4アルキル)−アミノ−C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、
又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、前記C3〜6シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
又は同じ環原子における2つのR、R11、R17及びR23は、一緒になって、オキソであり;
又は同じ環炭素原子における2つのR、R11、R17及びR23は、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成し;
、R10、R13及びR16は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、C1〜4アルコキシ、C1〜4ハロゲンアルコキシ、C1〜4アルキルアミノ若しくはジ(C1〜4アルキル)アミノ、又は1個の炭素原子が酸素原子に代えられていてもよいC3〜6シクロアルキルであり、前記C3〜6シクロアルキルは、直接的に若しくはC1〜2アルキレンを介して結合していてもよく、前記C3〜6シクロアルキルは、ハロゲンにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよく;
又は同じ炭素原子における2つのR、R10、R13若しくはR16は、一緒になって、オキソであり;
又は同じ炭素原子における2つのR、R10、R13若しくはR16は、前記炭素原子と一緒になって、C3〜6シクロアルキルを形成し;
24は、水素又はハロゲンである]。
[2]
【化4】
である、[1]に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ia’)の化合物。
[3]
【化5】
である、[1]に記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(Ib)の化合物。
[4]Rがフェニルであり;
12が、出現ごとに水素であり;
が、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRが、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい、
[1]〜[3]のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物。
[5]Rが、ピラゾリル、チオフェニル又はピリジン−2−イルから選択される環であり、前記環が、C1〜3アルキルにより置換されていてもよく;
が、R13により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜7アルキルであり;
又はRが、3員〜7員単環式飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R17により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい、[1]〜[3]のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物。
[6]Rが、5員〜7員単環式飽和又は不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、Rにより1回又は1回を越えて置換されていてもよく;
が、Rにより1回若しくは1回を越えて置換されていてもよいC2〜6アルキルであり;
又はRが、3員〜7員単環式芳香族飽和若しくは不飽和非芳香族環系であり、前記環系が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてもよく、前記環系が、R11により1回若しくは1回を越えて置換されていてもよい、[1]〜[3]のいずれかに記載の遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である式(I’)の化合物。
[7]3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−フルオロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−フルオロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−5,8−ジメチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
9−イソプロピル−8−フェニル−1H−インドロ[1,7−ab][1,6]ナフチリジン−6,7(2H,8H)−ジオン;
7−イソプロピル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−9−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−2−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−イソプロピル−2,9−ジメチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
6−イソプロピル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−4−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−2−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−2,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−3−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−イソプロピル−3,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
7−シクロブチル−1,2,3−トリメチル−6−フェニル−1,6−ナフチリジン−4,5(1H,6H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[b][1,6]ナフチリジン−1,9(2H)−ジオン;
7−シクロブチル−2,3−ジメチル−6−フェニル−1,6−ナフチリジン−4,5(1H,6H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
7−シクロブチル−9−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−フェニル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
7−シクロブチル−2,9−ジメチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−シクロブチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
7−シクロブチル−2−メチル−6−フェニルチエノ[2,3−b][1,6]ナフチリジン−4,5(6H,9H)−ジオン;
6−シクロブチル−4−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−2,4−ジメチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
6−シクロブチル−2−メチル−7−フェニルチエノ[3,2−b][1,6]ナフチリジン−8,9(4H,7H)−ジオン;
3−シクロブチル−5,8−ジメチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−フルオロ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−シクロブチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−クロロ−3−シクロブチル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−6−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−8−フルオロ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
9−シクロブチル−8−フェニル−1H−インドロ[1,7−ab][1,6]ナフチリジン−6,7(2H,8H)−ジオン;
3−シクロブチル−6−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−6−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−6−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メトキシ−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−イソプロピル−8−メトキシ−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
8−ヒドロキシ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
6−ヒドロキシ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−シクロペンチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−シクロペンチル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
2−シクロペンチル−3−イソプロピルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
2−シクロペンチル−3−イソプロピル−5−メチルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピリジン−2−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
3−シクロブチル−5−メチル−2−(ピロリジン−1−イル)ベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
4−クロロ−3−イソプロピル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;
4−クロロ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン;及び
4−ブロモ−3−イソプロピル−5−メチル−2−フェニルベンゾ[b][1,6]ナフチリジン−1,10(2H,5H)−ジオン
から選択される、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である[1]に記載の化合物。
[8]治療有効量の[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物と、1つ以上の薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
[9]治療有効量の[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物と、1つ以上の治療活性剤とを含む、組合せ。
[10]医薬としての使用のための、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物。
[11]ナンセンス突然変異により引き起こされる疾患の治療における使用のための、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物。
[12]対象においてナンセンス突然変異の影響を抑制する方法であって、治療有効量の、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物を、前記対象に投与することを含む、方法。
[13]対象においてナンセンス突然変異により引き起こされる疾患を治療する方法であって、治療有効量の、遊離形態又は薬学的に許容される塩形態である[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物を前記対象に投与することを含む、方法。
[14]前記疾患が、血友病A、血友病B、嚢胞性線維症、ムコ多糖症I型、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、APCの欠失が原因の癌及びp53の欠失が原因の癌から選択される、[13]に記載の方法。