(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6343072
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】麺帯圧延装置
(51)【国際特許分類】
A21C 3/02 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
A21C3/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-134434(P2017-134434)
(22)【出願日】2017年7月10日
【審査請求日】2017年11月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】沖山 丈嗣
(72)【発明者】
【氏名】飯田 久雄
【審査官】
黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−065013(JP,A)
【文献】
特開昭50−004254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00−15/04
A23P 10/00−30/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺帯を送出する一対の上流ロールと、
前記麺帯をさらに送出する一対の下流ロールと、
前記上流ロールから前記下流ロールへと前記麺帯を搬送する搬送部と、を備え、
前記搬送部は、
前記上流ロールから送出された前記麺帯を挟持し前記下流ロールまで搬送する一対の無端コンベアを含んでなるチャックコンベアと、
前記チャックコンベアと前記下流ロールとの間に設けられる案内板と、を有し、
前記チャックコンベアは、入口側が低くなるよう傾斜して配置され、出口は前記下流ロールの入口よりも高く位置し、
前記案内板は、前記麺帯が前記下流ロールを通過するまでは前記麺帯を支持し、前記麺帯が前記下流ロールを通過した後は前記麺帯と接触しない位置まで移動する、麺帯圧延装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記上流ロールの下に配置され水平方向に前記上流ロールから前記チャックコンベアへと前記麺帯を搬送する水平コンベアをさらに有する、請求項1に記載の麺帯圧延装置。
【請求項3】
前記チャックコンベアの傾斜角度は25度以上90度以下である、請求項1または請求項2に記載の麺帯圧延装置。
【請求項4】
前記麺帯が前記案内板を通過したことを検出する通過センサと、前記通過センサにおける前記麺帯の通過検出をトリガとして起動するタイマと、をさらに備え、
前記タイマによって計測される時間が所定時間を経過した時点で前記麺帯が前記下流ロールを通過したとみなす、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の麺帯圧延装置。
【請求項5】
前記チャックコンベアと前記下流ロールとの間の前記麺帯の高さを検出する弛みセンサをさらに備え、
前記下流ロールの前記麺帯の送出速度は、前記上流ロールの前記麺帯の送出速度および前記搬送部の搬送速度よりも遅く構成され、
前記麺帯の高さが下限位置に達したとき上限位置に達するまで前記上流ロールおよび前記搬送部は動作を中止する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の麺帯圧延装置。
【請求項6】
前記上流ロールを複数組有し複数枚の前記麺帯を送出する粗製部と、
重なった複数枚の前記麺帯をさらに圧延して1枚の複合麺帯を形成する前記下流ロールを有する複合部と、を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の麺帯圧延装置。
【請求項7】
前記麺帯が連続的に送出される複数組の一対の圧延ロールを備え、
前記圧延ロールはそれぞれ、相対的に下流に隣接する他の前記圧延ロールに対して前記上流ロールであり、相対的に上流に隣接する他の前記圧延ロールに対して前記下流ロールである、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の麺帯圧延装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺帯圧延装置に関する。
【背景技術】
【0002】
うどん、ラーメン等の麺類を製麺機で製造するにあたり、一般的には、小麦粉等の食品用粉と水とを含む材料を混合撹拌して麺粒を生成し、麺粒を所定の厚さに圧延して帯状の麺帯を生成し、麺帯を所定の幅および長さに切り出して麺線を製造する。
【0003】
麺質の改善等を目的として、麺帯の生成にあたり、複数枚の粗麺帯を重ね合わせた上で圧延して1枚の複合麺帯を生成する複合圧延装置が知られている。従来の装置では、製造開始時の段取作業として、粗麺帯の先端を人力で持ち上げて、複合麺帯を生成する複合ロール間に挿入する必要があった。
【0004】
また、所望の厚さの麺帯を得るため、複数組配置したロールに麺帯を連続的に通過させる連続圧延装置が知られている。連続圧延装置においても同様に、製造開始時の段取作業として、各ロール間に麺帯を挿入することを手動で行っていた。
【0005】
複合圧延装置、連続圧延装置およびそれらを組み合わせた複合装置を含む麺帯圧延装置においては、麺帯を持ち上げることは重労働であり、また回転しているロールに手を挟まれないよう十分に安全に気を払う必要があった。さらには、衛生的な観点からも、人力による作業は製造ライン上から排除される方が望ましい。
【0006】
以上のような理由から、麺帯を製造工程において上流側のロール(上流ロール)から製造工程において下流側のロール(下流ロール)まで自動搬送して、人の手を介さずに段取作業を終えることができる麺帯圧延装置が求められる。一方、麺帯を水平方向に搬送するだけでは、下流ロールを搬送位置よりも低く設ける必要があるから、装置全体の高さが高くなってしまう。そこで、引用文献1および引用文献2に開示されるように、傾斜して配置したコンベアで徐々に斜め上方向に麺帯を搬送させる麺帯圧延装置が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4454871号公報
【特許文献2】実公平05−010620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
引用文献1および引用文献2に開示されるような従来装置においては、傾斜して配置したコンベアで麺帯を搬送しようとすると、重力の影響で麺帯がずり落ちてしまい、正常に搬送できないことがあった。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、上流、すなわち入口側を下方に位置するようにして傾斜して配置された一対の
無端コンベアを含んでなるチャックコンベアによって麺帯を挟みこんで把持した上で下流ロールまで搬送するよう構成することで、より適切に自動で段取作業を行うことができる麺帯圧延装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、麺帯を送出する一対の上流ロールと、麺帯をさらに送出する一対の下流ロールと、上流ロールから下流ロールへと麺帯を搬送する搬送部と、を備え、搬送部は、上流ロールから送出された麺帯を挟持し下流ロールまで搬送する一対の無端コンベアを含んでなるチャックコンベアを有し、チャックコンベアは、入口側が低くなるよう傾斜して配置され、出口は下流ロールの入口よりも高く位置する、麺帯圧延装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る麺帯圧延装置では、上流ロールから送出された麺帯を、入口側が低くなるよう傾斜して配置された一対の無端コンベアを含むチャックコンベアによって挟持し下流ロールまで搬送する。そのため、搬送時に麺帯がずり落ちることなく、自動で麺帯を下流ロール間に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態の麺帯圧延装置の構成図である。
【
図3】麺帯圧延装置の制御系を示すブロック図である。
【
図4】麺帯13の自動搬送手順を示す説明図である。
【
図5】麺帯13の自動搬送手順を示す説明図である。
【
図6】麺帯13の自動搬送手順を示す説明図である。
【
図7】麺帯13の高さの下限位置を示す説明図である。
【
図8】麺帯13の高さの上限位置を示す説明図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の麺帯圧延装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下に説明される各実施形態および複数の各構成部材における変形例は、それぞれ任意に組み合わせて実施することができる。なお、以下において上流とは麺帯13の圧延過程において先に麺帯13が通過する方を指し、下流とは後に麺帯13が通過する方を指す。
【0013】
第1の実施形態の麺帯圧延装置は、具体的には、複数組の粗製ロール31,32により複数枚の麺帯13を送出する粗製部3と、重なった複数枚の麺帯13を複合ロール51でさらに圧延して1枚の複合麺帯を形成する複合部5と、を備える複合圧延装置1である。本複合圧延装置1においては、粗製ロール31,32が上流ロールに、複合ロール51が下流ロールにそれぞれ該当する。
【0014】
図1に示すように、複合圧延装置1は、麺粒11を供給する供給装置2と、麺粒11を圧延して複数枚の麺帯13を形成し送出する粗製部3と、粗製部3から送出された麺帯13を搬送する搬送部4と、搬送部4から送られた重なった複数枚の麺帯13をさらに圧延し1枚の複合麺帯を形成する複合部5と、を備える。
【0015】
供給装置2は、供給コンベア21と、解砕部23と、調整板25と、ホッパ27と、を含む。まず不図示の混練装置によって食品用粉、水、食塩および添加剤等の材料が混練され、塊状の麺粒11が形成される。塊状の麺粒11は供給コンベア21によって徐々に送られ、回転羽根を有する解砕部23によって適当な大きさに解される。解砕された麺粒11は各粗製ロール31,32へと延びるホッパ27へと落下するが、所定角度範囲内で回動自在に構成された調整板25で落下位置を調整することにより、各粗製ロール31,32に均等に麺粒11を供給することができる。なお、異なる種類の麺帯を積層してなる多層麺帯を製造する場合は、粗製ロール毎にそれぞれ供給装置を別個に設ければよい。
【0016】
粗製部3は、第1の粗製ロール31と、第2の粗製ロール32と、を含む。各粗製ロール31,32は、1対のロールを有してなり、より具体的には、駆動ロールと、駆動ロールとの間に所定長さの間隙を置いて配置される駆動ロールと同一直径の従動ロールと、駆動ロールを所定の回転速度で回転させるモータと、従動ロールを駆動ロールと同期して同じ所定の回転速度で回転させる伝達部と、駆動ロールの両端に設けられ麺粒11および麺帯13が
図1における紙面手前方向および紙面奥方向にずれることを防止するフランジと、を有する。供給装置2から供給された麺粒11は駆動ロールと従動ロールとの間隙に送られ、加圧され引き延ばされて麺帯13として送出される。駆動ロールと従動ロールとの間隙の長さを調整することで所望の厚みの麺帯13を得ることができる。なお、本実施形態では2組の粗製ロール31,32を設けたが、3組以上の粗製ロールを設けて3枚以上の麺帯を複合圧延するよう構成してもよい。
【0017】
搬送部4は、水平コンベア41と、チャックコンベア43と、を含む。水平コンベア41は、各粗製ロール31,32の下に設けられ、各粗製ロール31,32から送出された麺帯13を受け取りチャックコンベア43へと搬送する。チャックコンベア43は、一対の無端コンベアである上側コンベア431と下側コンベア432とを有し、粗製部3側、すなわち入口側が低くなるよう傾斜して配置され、複合部5側である出口は複合ロール51の入口よりも高く位置するよう構成される。また、上側コンベア431と下側コンベア432は重なった複数枚の麺帯13の厚みと略同じ長さだけ離して設置されており、チャックコンベア43は、上側コンベア431と下側コンベア432との間に麺帯13を挟持して複合ロール51まで搬送する。このようにすれば、装置全体の高さを低くすることができるとともに、麺帯13がずり落ちることなく搬送することができる。チャックコンベア43は傾斜角度θが例えば10度以上90度以下であるように配置され、とりわけ、傾斜角度θが急角度、例えば25度以上90度以下であるときに、特に有効である。なお、本実施形態では水平コンベア41により各粗製ロール31,32から送出された麺帯13を受け取り搬送したが、チャックコンベア43により直接受け取るよう構成してもよい。その場合は一対の無端コンベアのうち下側コンベア432だけが各粗製ロール31,32の下に延びるよう構成される。
【0018】
搬送部4は、好ましくはさらに案内板45を含む。案内板45はチャックコンベア43と複合ロール51との間に設けられ、麺帯13が複合ロール51を通過するまでは麺帯13を支持して複合ロール51の入口により近い位置まで麺帯13を案内する。一方、麺帯13が複合ロール51を通過した後は、案内板45は麺帯13と接触しない位置まで移動し、麺帯13はチャックコンベア43と複合ロール51との間で弛むことができる。このようにすれば、段取時はより確実に複合ロール51へと麺帯13を案内できるとともに、製造時は麺帯13を弛ませることで麺帯13に過剰にテンションがかかることによる切断や破れを防ぐことができる。なお詳細は後述するが、この麺帯13の弛みの高さは弛みセンサ73によって測定される。以下において、案内板45が麺帯13を支持する状態を支持状態、麺帯13と接触しない状態を非支持状態とよぶ。なお、本実施形態の案内板45は、一端がチャックコンベア43の出口付近に固定され、所定角度範囲内で回動自在に構成されることで支持状態および非支持状態を切り替えたが、他の形態でもよい。例えば、案内板45全体を鉛直方向に上下させるよう構成してもよい。また、不図示であるが、水平コンベア41、チャックコンベア43および案内板45の両側面には麺帯13の搬送を案内するガイド板が設けられており、麺帯13の
図1における紙面手前方向および紙面奥方向の位置ずれが防止される。
【0019】
麺帯13が複合ロール51を通過したことを検出する方法として、麺帯13が案内板45を通過したことを検出する通過センサ71と、通過センサ71における麺帯13の通過検出をトリガとして起動するタイマ65と、を備え、タイマ65によって計測される時間が所定時間を経過した時点で麺帯13が複合ロール51を通過したとみなすようにしてもよい。すなわち、タイマ65が所定時間を計測した時点で、案内板45が支持状態から非支持状態へと切り替えられる。
図2に示すように、通過センサ71は例えば案内板45に設けられる。麺帯13が案内板45を通過してから複合ロール51を通過するまでの時間、すなわちタイマ65によって計測する所定時間は、例えばチャックコンベア43の搬送速度から算出することができる。特に、麺帯13が複合ロール51を通過した直後、すなわち麺帯13が複合ロール51の駆動ロールと従動ロールとの間隙に噛みこまれた直後に、案内板45が非支持状態に切り替えられるよう、所定時間が設定されることが望ましい。後述するように、本実施形態では、複合ロール51における麺帯13の送出速度はチャックコンベア43の麺帯13の搬送速度よりも遅く構成される。そのため、麺帯13が複合ロール51を通過後も案内板45が支持状態のままでは、案内板45上で麺帯13が輻輳して皺になる虞がある。本実施形態の構成では、適切に所定時間を設定することで、麺帯13が複合ロール51に噛みこまれた直後に案内板45を非支持状態にすることができ、麺帯13の輻輳を防止できる。
【0020】
複合部5は、複合ロール51を含む。複合ロール51は、1対のロールを有してなり、より具体的には、駆動ロールと、駆動ロールとの間に所定長さの間隙を置いて配置される駆動ロールと同一直径の従動ロールと、駆動ロールを所定の回転速度で回転させるモータと、従動ロールを駆動ロールと同期して同じ所定の回転速度で回転させる伝達部と、駆動ロールの両端に設けられ麺帯13が
図1における紙面手前方向および紙面奥方向にずれることを防止するフランジと、を有する。駆動ロールと従動ロールとの間隙の長さは、複数枚重なった麺帯13の厚みよりも短く設定され、搬送部4から送られた複数枚の麺帯13は駆動ロールと従動ロールとの間隙に送られ、加圧され引き延ばされて1枚の複合麺帯として送出される。
【0021】
次に、本複合圧延装置1の制御系について説明する。
図3に示すように、制御装置6においては、通過センサ71、弛みセンサ73、操作盤75等の各入力手段から受け付けた情報に応じて演算部61が必要な各部の動作を演算し、駆動制御部63を通じて供給装置2、粗製部3、搬送部4、複合部5を含む各部の各駆動装置77に動作指令を行う。特に、粗製ロール31,32、水平コンベア41、チャックコンベア43および複合ロール51の回転数、ひいては粗製ロール31,32および複合ロール51における麺帯13の送出速度ならびに搬送部4における麺帯13の搬送速度は、駆動制御部63によって所定の速度に制御される。なお、以下において、粗製ロール31,32における麺帯13の送出速度を粗製速度、搬送部4における麺帯13の搬送速度を搬送速度、複合ロール51における麺帯13の送出速度を複合速度という。
【0022】
ここで、
図4から
図6に基づき、順を追って段取時の麺帯13の自動搬送手順を説明する。なお、各図面において説明に不必要な構成は適宜図示省略している。
【0023】
まず、
図4に示すように、粗製部3にて麺粒11を圧延し複数枚の麺帯13を製造する。このとき、各粗製ロール31,32を同時に稼働させると複合部5により近い側、ここでは第2の粗製ロール32によって圧延された麺帯13が先行することになる。一方、複合ロール51は複数枚の麺帯13を複合圧延することを前提に麺帯13の送出速度が設定されているため、麺帯13に過剰なテンションがかかることを防止するには各麺帯13の先端位置は揃えられていることが望ましい。そこで、例えば、オペレータが操作盤75を操作して、第1の粗製ロール31を先に稼働させ、第1の粗製ロール31によって圧延された麺帯13の先端が第2の粗製ロール32の出口直下に到達したところで第1の粗製ロール31を一時停止させ、第2の粗製ロール32を稼働し、第2の粗製ロール32で圧延した麺帯13の先端が第1の粗製ロール31で圧延した麺帯13の先端付近に着地したところで再び第1の粗製ロール31を稼働するようにすればよい。または、第1の粗製ロール31を先に稼働させ、所定時間が経過する、もしくは所定位置を麺帯31が通過した時点で、第2の粗製ロール32を稼働するよう、制御装置6が自動制御するよう構成してもよい。先端が揃うように重ねられた複数の麺帯13は水平コンベア41によってチャックコンベア43へと送られる。
【0024】
次に、
図5に示すように、チャックコンベア43へと送られた麺帯13は上側コンベア431と下側コンベア432との間に挟持され、徐々に斜め上方向へと搬送される。案内板45は支持状態に設定されており、チャックコンベア43を通過した麺帯13を複合部5の複合ロール51の入口の直上へと案内する。ここで、麺帯13が案内板45を通過したことを通過センサ71が検出し、タイマ65が起動する。
【0025】
図6に示すように、複合部5へと送られた複数枚の麺帯13は、複合ロール51によってさらに圧延され、1枚の複合麺帯として送出される。ここで、タイマ65が所定時間を計測した時点で案内板45が非支持状態へと切り替えられ、以降は連続的に麺帯13の複合圧延が続けられる。
【0026】
製造時において、粗製速度、搬送速度および複合速度が同一速度であれば、理論上は麺帯13は引っ張られることも弛むこともなく圧延を行うことができる。しかしながら、実際の速度は麺帯13の状態の影響を受けるため、粗製ロール31,32、水平コンベア41、チャックコンベア43および複合ロール51の回転数と、実際の粗製速度、搬送速度および複合速度は完全な比例関係にはならず、同一の速度に設定・維持することは困難である。そこで、複合速度を相対的に遅くすることで、あえて麺帯13に弛みを形成し麺帯13に過剰なテンションが掛かることを抑制している。換言すれば、複合速度が粗製速度および搬送速度よりも遅くなるよう、各駆動装置77は駆動制御部63によって制御される。具体的には複合速度は、粗製速度および搬送速度の50%以上90%以下であることが望ましい。このようにすれば、製造時は案内板45が非支持状態であるので、チャックコンベア43と複合ロール51との間に麺帯13の弛みが発生する。
【0027】
一方で、ただ複合速度を相対的に遅くするだけでは、無制限に弛みが増大してしまい、好ましくない。そこで、麺帯13の弛みの高さを弛みセンサ73によって測定し、麺帯13の高さが上限位置から下限位置の間に維持されるよう、各駆動装置77を制御する。製造開始時は、粗製ロール31,3
2、搬送部4および複合ロール51は全て動作しており、麺帯13はチャックコンベア43と複合ロール51との間で徐々に弛んでいく。ここで、
図7に示すように麺帯13の高さが下限位置に達すると、粗製ロール31,3
2および搬送部4は一時的に動作を停止する。このようにすれば、麺帯13の弛みは徐々に解消され、麺帯13の高さは上昇していく。
図8に示すように、麺帯13の高さが上限位置に達したところで、粗製ロール31,3
2および搬送部4は動作を再開する。そして以上の工程が繰り返され、麺帯13の高さは一定範囲で維持される。
【0028】
以上に説明した第1の実施の形態の麺帯圧延装置は複合圧延装置1であったが、他の麺帯圧延装置であってもよい。例えば、麺帯圧延装置は、麺帯13が連続的に送出される複数組の一対の圧延ロール81,82,83を備える連続圧延装置8であってもよい。連続圧延装置8においては、圧延ロール81,82,83はそれぞれ、相対的に下流に隣接する他の圧延ロールに対して上流ロールであり、相対的に上流に隣接する他の圧延ロールに対して下流ロールである。隣接する2組の圧延ロール間において、上流側の圧延ロールから送出された麺帯13は同様の搬送部4を介して下流側の圧延ロールへと自動搬送される。圧延ロール81,82,83は少なくとも2組以上設けられ、それぞれ、駆動ロールと、駆動ロールとの間に所定長さの間隙を置いて配置される駆動ロールと同一直径の従動ロールと、駆動ロールを所定の回転速度で回転させるモータと、従動ロールを駆動ロールと同期して同じ所定の回転速度で回転させる伝達部と、駆動ロールの両端に設けられ麺帯がずれることを防止するフランジとを有する。最上流の圧延ロールである第1の圧延ロール81は、麺粒11を圧延して麺帯13を生成するよう構成されてもよいし、別の装置で生成した麺帯13を圧延するよう構成されてもよい。第1の実施形態における各部の説明は、粗製ロール31を隣接する2組の圧延ロールにおける上流側の圧延ロール、複合ロール51を隣接する2組の圧延ロールにおける下流側の圧延ロールとそれぞれ読みかえれば、連続圧延装置8に対しても適応できるので、詳細な説明は省略する。特に、搬送部4と制御装置6は第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0029】
また、
図9に示すように、複合圧延装置1と連続圧延装置8は組み合わせて実施可能である。複合圧延装置1において、粗製部3、搬送部4、複合部5の順に送られた麺帯13は、引き続き連続圧延装置8へと送られる。連続圧延装置8においては、複合圧延装置1と同様に構成された搬送部4によって麺帯13が第1の圧延ロール81、第2の圧延ロール82、第3の圧延ロール83へと連続的に搬送され、麺帯13は徐々に所望の厚さへと圧延される。所望の厚みになった麺帯13は、麺線切出機85によって縦断され連続する所望の太さの麺線15となり、麺線15は麺線切断機87によって同一の所定の長さに切断される。具体的な自動搬送の方法は、第1の実施形態において説明した方法と同様である。なお、本装置における複合圧延装置1の複合ロール51と連続圧延装置8の第1の圧延ロール81との関係において、複合ロール51が上流ロールであり、第1の圧延ロール81が下流ロールである。
【0030】
本発明の麺帯圧延装置は、具体的に説明されている実施の形態の麺帯圧延装置と全く同一の構成に限定されず、すでにいくつかの例が示されているが、本発明の技術思想に逸脱しない限り、様々な構成の変形が可能であって、種々の応用が可能である。
【符号の説明】
【0031】
3 粗製部
4 搬送部
5 複合部
13 麺帯
31 第1の粗製ロール
32 第2の粗製ロール
41 水平コンベア
43 チャックコンベア
45 案内板
51 複合ロール
65 タイマ
71 通過センサ
73 弛みセンサ
81 第1の圧延ロール
82 第2の圧延ロール
83 第3の圧延ロール
【要約】 (修正有)
【課題】搬送時に麺帯がずり落ちることなく、自動で麺帯を下流ロール間に挿入する、麺帯圧延装置を提供する。
【解決手段】麺帯13を送出する一対の上流ロールと、麺帯13をさらに送出する一対の下流ロールと、上流ロールから下流ロールへと麺帯13を搬送する搬送部4と、を備え、搬送部4は、上流ロールから送出された麺帯13を挟持し前記下流ロールまで搬送する一対の無端コンベアを含んでなるチャックコンベア41を有し、チャックコンベア41は、入口側が低くなるよう傾斜して配置され、出口は下流ロールの入口よりも高く位置する。
【選択図】
図1