(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343114
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】剥離シールの除去装置および方法
(51)【国際特許分類】
B65B 69/00 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
B65B69/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2009-552932(P2009-552932)
(86)(22)【出願日】2008年3月10日
(65)【公表番号】特表2010-520840(P2010-520840A)
(43)【公表日】2010年6月17日
(86)【国際出願番号】US2008056450
(87)【国際公開番号】WO2008112660
(87)【国際公開日】20080918
【審査請求日】2011年3月4日
【審判番号】不服2015-14965(P2015-14965/J1)
【審判請求日】2015年8月7日
(31)【優先権主張番号】60/894,188
(32)【優先日】2007年3月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/915,890
(32)【優先日】2007年5月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/946,799
(32)【優先日】2007年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509249678
【氏名又は名称】ネクサス バイオシステムズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ニーパ,ロバート,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】アフレック,レット,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハワード,ロジャー
【合議体】
【審判長】
千壽 哲郎
【審判官】
井上 茂夫
【審判官】
小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−288308(JP,A)
【文献】
特開平9−114384(JP,A)
【文献】
特開2006−232509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体サンプルを内包する容器アレイからフィルムを除去する装置であって:
処理面と;
前記処理面の上に配置される回収ロッドであって、前記容器アレイの幅と実質的に等しいか前記容器アレイの幅より大きい長さを有し、前記容器アレイと前記フィルムに対し下向きの力をかけるのに適した回収ロッドと;
前記回収ロッドの長さに沿って下側に延在し前記フィルムに接触する粘着面であって、前記下向きの力が前記粘着面を押すことにより、当該粘着面と前記フィルムの接触領域全体で前記粘着面が前記フィルムにしっかりグリップする粘着面と;
前記容器アレイおよび前記粘着面の一方を他方に対して前記処理面に平行な方向に移動させる並進手段と;
前記回収ロッドの下流側にて前記回収ロッドの断面の接線に沿って上向きに前記粘着面を引っ張る力を生成し、これにより前記容器アレイと前記粘着面の一方が移動経路に沿って動くのに伴って前記粘着面が前縁を引っ張り上げ、前記容器アレイの幅全体にわたって均一かつ一斉に持ち上げて、前記容器アレイの幅全体にわたって前記フィルムを前記容器アレイから上に剥離除去するのに適合した機構とを具え、前記粘着面が前記移動経路に沿って動く際に前記粘着面は当該粘着面と前記フィルム間の接触領域全部の隅々まで前記フィルムに連続的な強い把持力を有し、接触領域全部が前記容器アレイの幅全体にわたって連続的に延在し、前記並進手段により前記回収ロッドが前記フィルムの前縁から前記フィルムの後端縁まで変位すると前記フィルムが前記容器アレイから剥離されることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、前記粘着面が熱活性化型接着片を具えるとともに、前記装置がさらに前記接着片を活性化させる熱源を具えることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1の装置において、前記回収ロッドは、前記フィルムの一の角部から前記フィルムの剥離を開始するために、前記移動経路と前記容器アレイの前縁のそれぞれに対し平面視で約45度の角度で配置されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1の装置において、前記粘着面は粘着テープを具え、さらに:
未使用のテープを有するソースロールと;
容器アレイ上のフィルムと接触する押圧面と;
使用済みテープと除去されたフィルムを回収する巻き上げリールであって、テープ経路が前記ソースロールから前記押圧面の下と前記回収ロッドの下に延びて前記巻き上げリールで終端する巻き上げリールと;
前記巻き上げリールを回転させて前記テープを前記ソースロールから前記テープ経路を通して引っ張る駆動モータとを具えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4の装置において、前記テープ経路は前記回収ロッドにて方向を変え、これにより前記テープ経路は前記回収ロッドの下流で前記回収ロッドの上流に対して平面視で90°±10°をなすことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4の装置において、前記並進手段は、コンベアを具え、さらに前記容器アレイを支持し前記容器アレイの前縁を前記回収ロッドおよび前記粘着面に対して整列させるコンベアカーとを具えることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4の装置がさらに、前記巻き上げリールの回転速度を制御し、前記並進手段の速度を前記巻き上げリールの回転速度に調和させるコントローラを具えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1の装置において、前記粘着面が粘着テープを具え、さらに:
未使用のテープを有するソースロールと;
容器アレイ上のフィルムと接触する押圧面と;
使用済みテープと除去されたフィルムを回収する巻き上げリールであって、テープ経路が前記ソースロールから前記押圧面の下と前記回収ロッドの下に延びて前記巻き上げリールで終端する巻き上げリールと;
前記テープ経路内で前記回収ロッドと前記巻き上げリールの間に配置され、前記テープを前記ソースロールから前記テープ経路へと引っ張る駆動ローラを有するピンチローラのセットと、
裏紙テープのロールを繰り出すためのペーパーロールであって、前記裏紙テープは前記粘着テープとともに前記ピンチローラへと供給されて前記粘着テープと前記裏紙テープが前記巻き上げリールに回収され、ここで前記裏紙テープは前記粘着テープ上の粘着材を覆っている、ペーパーロールとを具えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1の装置がさらに、前記回収ロッドから下流の前記処理面の上に配置され、前記容器アレイに残ったフィルムを検出し、残ったフィルムを検出した場合に信号を生成するセンサを具えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項6の装置がさらに、前記処理面上での前記コンベアカーの移動の最後において、ロボット把持部の向きに応じて、前記コンベアカーおよびその上に支持された容器アレイの向きを選択するためのスイッチを具えることを特徴とする装置。
【請求項11】
液体サンプル容器のアレイからフィルムを除去する装置であって、
処理面と;
ソースロールから始まるテープ経路の下側に沿って粘着面を有する粘着テープと;
前記テープ経路の下の処理面を横切って前記液体サンプル容器のアレイを移動させるコンベアと;
前記テープ経路内に配置され前記液体サンプル容器のアレイが前記テープ経路の下を移動する際に前記テープと前記液体サンプル容器のアレイ上のフィルムに下向きの力をかける押圧面と;
前記押圧面から下流のテープ経路内に配置された回収ロッドであって、前記液体サンプル容器のアレイの幅と実質的に等しいかそれより大きい長さを有し、前記フィルムの前縁の一の角部から前記フィルムの剥離を開始するために前記テープ経路と前記液体サンプル容器のアレイの前縁に対し平面視で約45度の角度で配向された回収ロッドと;
前記テープ経路の一端部に配置され使用済みテープと除去されたフィルムを回収する巻き上げリールと;
前記巻き上げリールを回転させて前記テープを前記ソースロールから前記テープ経路に沿って引っ張る駆動モータと;
前記回収ロッドの上の、前記フィルムが前記液体サンプル容器のアレイから引きはがされる地点の上に配置されたシールドとを具え;
前記テープ経路は前記回収ロッドにおいて方向転換し、これにより前記回収ロッドの下流のテープ経路は前記回収ロッドの上流のテープ経路に対し平面視で90°±3°であることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11の装置がさらに、前記回収ロッドより下流の前記処理面の上に配置され、前記液体サンプル容器のアレイの上の余分なフィルムを検出して余分なフィルムの検出に応じた信号を発生するセンサを具えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項11の装置がさらに、前記処理面上での前記コンベアの移動の最後において、ロボット把持部の向きに応じて、前記コンベアおよびその上に支持された液体サンプル容器のアレイの向きを選択するためのスイッチを具えることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、以下の米国暫定出願2007年3月9日出願の第60/894,188号、2007年5月30日出願の第60/915,890号、2007年6月28日出願の第60/946,799号の優先権を主張するものであり、これらは参照により本書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
化学的、生物学サンプルの実験分析は、通常のテストで数百、数千ものサンプルを伴う時間がかかるプロセスである。薬品開発、診断、分析、その他のアプリケーション用のこのようなテストの要求は、特定の試験的な、また多数のサンプルへの処理プロトコルにより、多数の他の処理間での吸引、混合、調剤、同一性の読み取りおよび追跡、低温貯蔵ユニットへの出し入れする実験室の自動システムの開発につながった。現在のスタンダードは、処置中に液体サンプルを保持しロボットのプラットフォーム間で移動するウェルのアレイ(8×12アレイでは96、16×24アレイでは384)を有するプレートを含む。溶液をウェル内に保持するために、プレートは往々にしてシートで熱密閉され、これは通常樹脂か、樹脂コーティングされたアルミホイルでなり、それが最も費用対効果が高く適用が容易な方法である。このようなシールを生成する典型的な商業的に入手可能なシステムに、Velocity11(Agilent Technologies, Menlo Park, CA)によるPLATELOC(登録商標)の熱プレートシーラがある。単に後ろに粘着剤を設けたシーリングシートもまた入手可能である。他の密封方法を用いてもよいが、往々にして高価で、時間がかかり、僅かに効率がよいだけであり、カバーロック、隔壁、その他の機構を用いた複数のピースからなる。
【0003】
プレートは移動され、加熱され、遠心分離され、ビーズ打ちされ(bead beaten)、そして特定の実験計画に応じて他の操作がなされる。これらのプロセスが完了したら、サンプルへアクセスしてテストや分析が必要であり、これはサンプルを呼吸させるべく所望のウェルの上のシールを穿ったり、シール全体を剥がしたりしてウェルのすべてを露出させることで一般に達成される。シールの穿刺は自動装置に馴染みやすいが、穿刺したシールとは異なる新たなシールを適用して再封止がなされるため、所定のプレート上のウェルにアクセスできる回数には限界がある。複数回の穿刺と再封止の処置後には、シールは穿刺するには厚くなりすぎてしまう。
【0004】
プレート全体から手作業でシールを剥がすのは、引っ張る力が非常に均一でないとシールシートが往々にして破れてしまう。また、これによりウェルを横切る、あるいは開いたウェルに近接する粘着剤の筋が形成され、これらは相互汚染の可能性を増大させる。
【0005】
フィルムシールの経済的特徴を利用した、プレートへの容易なアクセスと再封止が可能な、ウェルのプレートや他の剥離シールで密閉された容器を開封する装置および方法が求められていた。
【発明の概要】
【0006】
本発明によると、剥離可能なシールで密閉されたウェルを具えるプレートまたはトレイが、シールの幅と実質的に等しいか大きい幅の粘着面が前記剥離可能なシールの上面に押しつけられる剥離ステーションに向かう処理経路に沿ったコンベアベルトまたはプラットフォームで搬送される。ロッドまたはローラの加圧面が、前記粘着面の上に下向きの圧力をかけ、これをシールに押しつけてプレートがコンベアとともに移動する際に当該プレートをコンベア上の定位置に保持する。シールの前縁がローラを通過したら、粘着面がシールの面から離れる上側に巻き上げられ、シールの前縁を引き上げてプレートから分離し、一方でプレートはローラにより下に保持される。シールを破いたりプレートを押し合うことなく優しくシールを除去する均一の引っ張り動作を与えることにより、プレートが継続的にステーションを通過するよう移動するに伴い、このシールは徐々にプレートから引き離される。除去されたシールは、粘着面に付いたままとなり、巻き上げられ最終的に破棄される。
【0007】
本発明の一態様では、対象からフィルムを除去する装置が、処理面と、当該処理面の上に配置され前記対象の幅と実質的に等しいか大きい長さを有する回収ロッドと、前記回収ロッドの長さに沿って下側に延在する粘着面と、前記処理面の上に配置され前記回収ロッドと前記粘着面に対して前記対象の前縁を整列させる整列手段と、前記対象と前記粘着面の一方を他方に対して前記処理面の平面に平行な方向に移動させる並進手段と、前記回収ロッドの下流側にて接線方向上側の力を生成する機構とを具え、これにより前記物品と前記回収ロッドの一方が前記フィルムの前縁から前記フィルムの後縁に動かされるに伴って前記粘着面が前記前縁を引っ張り上げ前記フィルムを前記物品から上に剥離除去する。例示的な一実施例では、この粘着剤は熱活性化型の接着片の形態であり、装置はさらに当該接着片を活性化するための熱源を具える。別の実施例では、前記接着面は粘着テープであり、前記装置は未使用テープのソースロールと、押圧面と、使用済みテープおよび剥離フィルムを回収する巻き上げリールとを具え、テープの経路が前記ソースロールから前記押圧面の下と前記回収ロッドの下に延在して前記巻き上げリールで終端し、前記巻き上げリールを回転させて前記テープを前記ソースロールから前記テープの経路へと引っ張る駆動モータを具える。
【0008】
本発明の別の実施例は、1またはそれ以上の密封容器からフィルムシールを除去する装置であって、前記容器または容器アレイの幅と実質的に等しいか大きい長さの巻き取りロッドまたはローラと、本体の長さに沿って下側に延在する接着面と、前記アレイをコンベアの経路に沿って移動させて前記巻き取りロッドを前記フィルムシールの前縁に整列させるためのコンベアと、前記ローラを回転させる機構とを具え、これにより前記アレイが前記ロッドを越えて移動した場合に前記巻き取りロッドと粘着剤が前記フィルムを前記アレイから離れるように上側に剥がす。
【0009】
第1の例示的な実施例では、前記接着面は、ソースロールから繰り出され巻き取りロールに回収されるテープロールを具える。この粘着テープのソースロールは、スピンドルまたはバーに支承されている。このテープは、前記プレートと実質的に等しいか大きい幅を有し、前記プレートが押圧ローラ、または前記シールの上面への接着を促進する下向きの力を与えうる他の面または手段(例えば気圧)の下に進むにつれ前記シールに接着する。いくつかの実施例では、コンベアは粘着剤の接触が良好となるよう小休止してもよい。プレートが第2のロッドまたはローラ、例えば回収または巻き取りロッドの下に進むと、テープが上側に引っ張られロッドの下流側にて前記シールの面に実質的に直交する接線の力が生じる。このテープは、駆動モータにより回転される巻き上げリールに引っ張られる。シールはテープとともに持ち上げられ、プレートを離れて引っ張られる。剥がされたシールはテープとともに巻き上げリール上に巻き取られ、これにより除去されるか部分的に剥がされたシールに不用意に接触することによるウェル内容物の相互汚染のリスクが低減する。ソースロールが使い尽くされ交換されるときに、巻き上げリールは使用済みテープとともに、通常はシールと一緒に破棄される。回収ロッドの直径の小さな下流側を用いると、テープの引っ張り角度を増大させてシールの除去を促進することができる。押圧ローラ(または他の押圧面)を僅かに下流側にシフトさせて、回収ロッドからの張力をさらに高めるようにしてもよい。一実施例では、回収ロッドはプレートの前縁に対し例えば約45°に角度づけられ、シールの角での剥離プロセスの開始によりシールがプレートから分離する機能をさらに増進してもよい。好適な実施例では、回収ロッドは、下流のテープ経路をコンベアの経路に対して直角から例えば1°−10°、好適には直角から約2°−3°のオーダーの範囲で僅かに外れるように変化させる。
【0010】
シールの除去速度は、ローラおよびもしあればテープガイドの周りで、テープの経路に沿ってテープを引っ張る巻き上げリールの回転速度により決定される。コンベアが移動する速度は、巻き上げリールの速度と調整される。両モータの動作はシステムコントローラにより制御され、これにより除去速度の設定が可能となる。適切な開封速度の選択の考慮は、プレートの直近の処理および扱いを含む。例えば、シールまたはプレートが濡れている場合、開封動作は開いたプレート全体に液体飛沫の霧散を避けるために遅い速度で行われる。多数のプレートでの開封動作において一貫した処理速度を維持するには、巻き上げリールに使用済みテープとシールが蓄積され直径が増大するのを補償すべく巻き上げリールを調整する。巻き上げリールおよび/またはソースリールの回転速度はまた、ソースリールに残っているシールの数を計算してロールの替え時を決定するために、システムコントローラに用いられる。
【0011】
代替実施例では、本発明はイワシ缶の原理を利用して、粘着面を有するキーをプラスチックシールの一端部に取り付け、回転させてシールを巻き込み除去する。本実施例ではいくつかの異なる接着剤を用いることができるが、溶液、霜、または水の存在下での粘着特性によりホットメルト接着剤が好ましい。例示的な実施例では、使い捨て可能な「キー」のマガジン、ロッドを回転させるヘッド付の筒状ロッドのキーが、装置に設けられる。1のキーが、PEZ(登録商標)キャンディー繰り出し器と同様の方法(米国特許2,620,061参照)でマガジンの底から押し出される。このキーは、当該キーのヘッドを回転できるスロット内に押し入れられる。ホットメルト接着剤を用いる場合、接着剤を融点に到達すべくキーは熱源に面するように回転される。その後、定位置にあるシール付のプレートの端部に面するように、キーは下に回転される。このプレートは正しく位置決めされ、その後持ち上げられて接着剤がシールに接触し、あるいはキーが下に移動されてシールに接触する。少し待って接着剤が冷えた後に、プレートがコンベアに沿って前進するのに伴いキーは回転され、キーの接線に沿ってシールを上側に持ち上げて筒状ロッドの周りにシールを巻き付けることにより徐々に剥がし、その後キーをプレートから離れるように引っ張る。開いたプレートはコンベアの経路を進み、開封ステーションを通過する。キーと除去したシールは廃物容器へと廃棄され、次のプレートの準備のために新たなキーがマガジンからロードされる。
【0012】
一実施例では、相対高さ調整手段を具え、キー機構とコンベア機構の間隔を変化させて異なる厚さのプレートにシステムを利用できるようにする。
【0013】
本発明は、均一な圧でフィルムシートを引っ張る手段を提供し、手作業でシートを除去する場合に生じる問題を回避する。本発明の装置と方法を用いるとシールをより簡単に除去できるため、より堅実にウェルプレートに適用して汚染やサンプル損失からの保護を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は 本発明により構成されたシステムの斜視図である。
【
図3a】
図3a−3cは、除去プロセスの3つの異なるステージの剥離器の第1実施例の概略側面図であり、
図3aはテープとシール面の最初の接触を示す。
【
図3b】
図3a−3cは、除去プロセスの3つの異なるステージの剥離器の第1実施例の概略側面図であり、
図3bはプレートから剥がれ始めるシールを示す。
【
図3c】
図3a−3cは、除去プロセスの3つの異なるステージの剥離器の第1実施例の概略側面図であり、
図3cはリフトローラに向かって動く押圧ロッドを示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例の概略平面図である。
【
図5】
図5は、角度のついたテープフィードを有する剥離器の代替実施例の概略平面図である。
【
図7】
図7は、ピンチローラを有する剥離器の代替実施例の概略側面図である。
【
図9】
図9aは、ウェルプレート上部のプラスチックシールシートに取り付けられる位置のキーの概略図である。
図9b、9cは、キーの代替実施例の斜視図である。
【
図10】
図10a−10cは、キーを繰り出すステップと、キー粘着剤を活性化させるステップと、キーをそれぞれプレートシールシートに適用するステップとを示す概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施例にかかる、プレートシール自動除去システムの概略側面図である。
【
図13】
図13a、13bはそれぞれ、プレート移動コンベアと、プレートを横切ってキーを移動させる押出機構の概略側面図と平面図である。
【
図14】
図14は、プレートシール除去システムの平面図である。
【
図15a】
図15aは、コンベアを動かしてプレートの挿入を可能にする機構の動作ステップ例を示す概略図である。
【
図15b】
図15bは、コンベアを動かしてプレートの挿入を可能にする機構の動作ステップ例を示す概略図である。
【
図15c】
図15cは、コンベアを動かしてプレートの挿入を可能にする機構の動作ステップ例を示す概略図である。
【
図15d】
図15dは、コンベアを動かしてプレートの挿入を可能にする機構の動作ステップ例を示す概略図である。
【
図15e】
図15eは、コンベアを動かしてプレートの挿入を可能にする機構の動作ステップ例を示す概略図である。
【
図15f】
図15fは、コンベアを動かしてプレートの挿入を可能にする機構の動作ステップ例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的において、テープまたはプレート(または他の密閉容器)の移動方向または相対位置は、テープやプレートの移動が開始する方向である「上流」、テープやプレートの移動の終端の方向である「下流」の語で説明される。「アレイ」または「プレート」は、以下の説明において説明目的でのみ参照される。本発明はマルチウェルプレートまたは同様のアレイの処理に限定されるものではなく、実質的に剥離フィルムが除去される様々な種類の容器または物品に用いることができる。
【0016】
図1−5に示す本発明の第1実施例では、シールの除去に粘着テープが用いられる。粘着テープのソースロール20が、処理面4と、
図3a−3cに示すように処理面4に沿って右から左へプレート16(または他の密閉容器)を移動させるプレートコンベア10との上のスピンドルまたは軸18に支持されている。例示的な実施例では、コンベア10は、コンベアモータが動作するとプレートまたは他の物品を保持し処理面4を横切ってスライドするコンベアカー11(
図5に示す)にリンクされたモータ駆動ベルトを具える。シール40と実質的に等しいか大きい幅のテープ22は、プレートが押圧ロッド24の下を図示するように右(上流側)に通過する際にシールにくっつく。押圧ロッドまたはローラ24は、
図3aに示すように、テープ22の粘着側をシール40の上面に押圧する。留意すべきは、ローラが好ましいが、押圧ローラの機能は所望の圧力をかけて粘着剤の効力を増強しうる様々な面で実行されてもよいことである。例えば、ロッド、バー、または平坦面を用いることができる。一実施例では、この面はシールの面に順応して圧力を分散させるフォーム接触領域を有してもよい。
【0017】
テープ22は、第2のロッドまたはここでは回収ロッド28とも称されるローラの下および周囲の経路を通り、巻き取りリール30へと上昇する。回収ロッド28は、平滑な面とその下流側の丸くなったエッジを有し、これ全体をテープが均一に引っ張る。この回収ロッド28は、細長い筒状である必要はないが、テープ22がエッジを引っ張る地点が滑らかで丸い面であるフラットなバーかプレートの形であってもよい。プレート16が前に進みシールの前縁が回収ロッド28の下を通過したら、シール40は回収ロッド28の下流側または後側の接線方向の力により上に引っ張られ、これが
図3aではT1、T2、T3で示され、
図3bに示すようにプレートが回収ロッド28を越えて進むにつれ、シールの前縁が持ち上がり徐々にシールが剥離される。除去されたシール40はテープにくっついたまま、テープ32とともに巻き取りリール30に巻き取られる。ソースロールがなくなったか、適切な場合にソースロールが使い尽くされる前に、巻き取りリール30は使用済みテープ32とともに巻き取りスピンドルから取り外され、使用済みシールとともに破棄される。回収ロッド28において比較的直径が小さい区画が、テープの引っ張り角度を増大させることによりシール40の除去を促進する。回収ロッド28は、好適には回転してテープの均一な引っ張りを確保するよう構成されており、典型的には直径2−3mmである。回収ローラを用いる代わりに、比較的摩擦の低い、例えば丸く平滑な面を有する限りにおいて回転しない回収ロッドを用いて、テープ幅全域で力が不均一となるのを回避してもよい。したがって、本発明の目的において、「回収ロッド」の語は、ロッド、ローラ、丸い縁を有する平坦面、およびテープがスムースに均一の力で引っ張られテープにダメージを与えない必要な特性を有する同等の構成を含むものとする。
【0018】
押圧ロッド24は、剥離の開始後に回収ロッド28からかかる張力をさらに増大させるべく、プレートの移動方向である左すなわち下流側にシフト可能に搭載されている。一実施例では、プレート経路の上に吊された固定サポートから下に延在するフォーム片を、押圧ロッド24の替わりあるいは追加で用いて、最初にテープ22をプレート16の前縁の上に押し下げてもよい。このフォームは、圧力をかけるのに十分に硬いが、またテープ22が確実にシール40と良好に接触するのに十分に柔軟である。プレート16の前進動作を一時停止し、動作続行前にシールの前縁の最初の接触位置に数秒間保持して、確実にテープがシール上でしっかりしたグリップを得るようにすることが望ましい。
【0019】
好適な実施例では、回収ロッド28は、
図4、5に示すように、プレート16の前縁に対して例えば45°の角度で位置決めされ、角部42で剥離プロセスを開始することにより、シール40のプレート16からの分離と、シールを約45°の角度で剥離することを促進する。このアプローチにより、シール40の前縁38の幅全体に沿って粘着剤の力を一度に打ち負かす必要がなくなり、手作業でのシール除去の具現化に近くなる。角度がついた回収ロッド28により、テープ経路が、プレートの移動方向と同じ元のテープ経路とほぼ直角な方向に変わる。テープ経路の方向を変えることの他の利点は、巻き取りリール30における破棄されたシールの蓄積がプレート16やコンベア10の上ではなく側部に位置するため、シールの底に残っている汚染駅が次のプレートに落ちる可能性が低減されることである。図示するように、テープ経路が方向変換される角度は通常は90°±約10°のオーダーである。より好適には、この角度は90°±2−3°である。好適な実施例では、スポンジまたは吸収剤を回収ロッド28または巻き取りリール30の近くに組み込んで、さらに相互汚染を回避するようにしてもよい。代替的に、テープまたは除去したシールの上に有意な量の液体が残る場合には、ロッド28またはその下流のテープの両側に吸引チューブまたはチャネルを設けるようにしてもよい。
【0020】
図4、5に示すような駆動モータ50は、巻き取りスピンドル52を回転させて、ソースロール20およびテープ経路に沿ってテープを引っ張って剥離動作を駆動する。スリップが生じないように、また均一な力がかかるようにすべく、スピンドル52は、巻き取りリール30の内面にある対応する切り欠きに合致する1またはそれ以上の放射状に伸びるタブ、リッジ、またはスプリングを有する。
【0021】
プレートからシールが除去される速度は、テープ経路、ローラ24、28周り、およびもしあればテープガイドに沿ってテープを引っ張る巻き取りリール30の回転スピードにより決定される。コンベア10がプレート16を移動させる速度は、巻き取りリール30の回転速度とともに調整される。コンベアと駆動モータ50の動作はシステムコントローラ(図示せず)により制御され、これにより除去速度が設定可能である。典型的な動作速度は、約30cm/秒(1フィート/秒)である。適切な剥離速度の選択の考慮には、プレートの最近の処理または扱いが含まれる。例えば、シールまたはプレートが濡れている場合、剥離動作は遅い速度で行って開いたプレート全体に液体の滴が飛び散らないようにすることが望ましい。多数のプレートへの剥離工程で矛盾のない処理速度を維持するために、巻き取りリール30の回転速度は、使用済みテープやシールを蓄積するのに伴う直径の増加を補償するよう調整することができる。巻き取りリール30の回転速度はまた、いつロールを交換するかを決定するために、ソースロール20に残っているシールの数を計算するのにシステムコントローラに用いられてもよい。
【0022】
本発明で用いられるテープは、典型的には従来のプラスチックの裏打ちのある感圧接着剤であり、粘着力が最大で自己接着傾向が最小となるよう選択される。テープの幅は、ほぼシールの幅と同じであるが、シール全体を効率的に持ち上げるのに十分な幅である限りにおいて、僅かに変化があってもよい。このテープは十分に強くあるべきであり、破断リスクを最小化すべく強化されていてもよい。
【0023】
代替実施例では、テープの粘着剤は、熱活性化されるか、圧力感応と熱の増加の組み合わせであってもよい。熱を用いると、表面に水分やDMSOなどの化学残留物を有するシールにテープが接着されるという利点がある。加熱は、押圧ロッド24のすぐ下流側に熱源を配置して実現するか、ローラ自体を加熱してもよい。巻き取りリールの回転とコンベアの前進移動を一次的に止めて、テープを持ち上げる力をかける前にテープと粘着剤が冷却されるようにしてもよい。
【0024】
一実施例では、ソースロールと巻き上げリールは、例えばVHSビデオテープのように使い捨てカートリッジに統合されて、ユーザが交換可能となっていてもよい。巻き上げリールがプレートの移動方向に関し所定角度(90°±x°)をなす場合、このカートリッジは、リールを所望位置に保持すべく適切に、例えばL字形に形成される。このカートリッジは、コストを適切に最小化すべく、廉価に鋳造されたプラスチック部品とボール紙と金属部品で製造することができる。
【0025】
選択的なウィンドウと測定手段を設けて、残りのテープが除去できるシールの数をユーザが判定できるようようにしてもよい。あるいは、この設備は除去したシールの数を記録してカートリッジに残っている数を予測してもよい。これはまた、ソースロールと巻き上げリールが分離している構成にも有用である。新しいソースロールまたはカートリッジを例えば夕方に装着し、システムが停止せず夜中動作するようにしてもよい。次の日、部分的に一杯のカートリッジまたはロールを再装填して残りの容量に用いてもよい。
【0026】
図1、2は、本発明の原理を用いた例示的な設備1を示す。ソースロール20は、ソースフランジ36から伸びるソーススピンドル14に適合するソースコア18を具える。ソースコア18はスピンドル18の上にスライドして締まり嵌めを形成し、ロール20からテープ22が引っ張られるよう十分な抵抗を提供しつつ、シール40に均一にかかるようテープとぴんと引っ張っている。代替的に、ソースコア18内のノッチがスピンドル18内のタブまたはスプリングと合致して、ソースロールのスリップを不正でテープの均一な繰り出しが確保されるようにする。任意の検出器を設けて、ソースロール20に残っているテープの量を監視し、システムコントローラに信号を送ってこのロールを用いてあといくつのシールを除去できるかを判断できるようにする。巻き取りリール30は、元のテープ経路の方向とプレート16の移動方向から約87°−88°に位置決めされており、スライドフランジを有して使用済みテープ32の位置調節(centering)を実現するとともに、除去されたシールと使用済みテープに残った残留物の封じ込めを補助している。シールが引き戻される地点に任意でシールド7を設け、新しく開いたウェルを相互汚染から保護するとともに、除去されたシールの底面に残る材料との不用意な接触を回避するようにしてもよい。
【0027】
コンベア10は、ソースロール20の下の位置からコンベア面4に沿ってプレート16を前進させる(図面で左から右)。上述したように、装置の動作速度は巻き取りリール30の回転速度により決定される。コンベア10は、単にプレート16をテープと同じ速度での移動を維持するよう制御される。光学検出器5がコンベア面4の上に部分的に伸びており、シールが除去されたかが確認される。典型的には、この光学検出器は下の領域の比較的大きな部分を見ることによりテープの反射を探す。プレート上で強い反射があると、シールの一部や全部が除去されていないことを示す。コントローラは、シールの一部が残っている状況を含めて許容しうる反射レベルを特定する閾値でプログラムされている。許容しがたいシールの残りが検出されたら、システムコントローラ(図示せず)は、シールの除去が不完全であることを示す信号(可聴または可視の)を生成する。このコントローラは付加的あるいは代替的に、プレートを取り出して剥離プロセスを繰り返すかプレートをさらに処理して取り扱うステーションに配置する付加的ロボットを動作させる電子信号を生成してもよい。
【0028】
テープリール、モータ、およびコンベアはすべてハウジング2内に保持されており、これは汚染や装置の可動部品との不用意な接触を最小限とすべく開平可能な保護カバー3を具える。このカバー3はコンベア経路に対応する切り欠きを具えて形成され、カバーを開けなくてもプレートが装置から出られるようになっている。
さらにロボットフレンドリーとすべく、
図1、
図2に示すようにその軌跡内
のユーザ選択スイッチ8により
、任意でコンベアカー11(
図8にのみ示すが、他の実施例ではプレート16の直下にある)をその移動の終端
で縦向きまたは横向きの配置にしてもよい。この特徴により、ロボットが、当該ロボットの
把持部の向きに応じてプレート16をその長辺または短辺でグリップすることが可能となる。
【0029】
制御パネル6は、START/STOPボタンと、シール除去の完了/有効性、テープ残量、または残テープで除去できるシール数などの種々のメッセージを表示するディスプ絵里を具え、またシールやプレートのサイズ、シール除去速度、粘着剤の設定の遅れその他の入力が可能である。一実施例では、ソースロールに残るテープ量を実際に検出するのではなく、コントローラは除去シール数をカウントし、テープの繰り出し速度を追跡し、シール面積を用いて、残りのテープを算出するようにしてもよい。
【0030】
新しいテープが常にプレートの前縁に適用されるように、装置は経過時間(あるいは、新たなカートリッジまたはロールが装填された事実)をモニタしていてもよい。最適な粘着のために、次のプレートがシール除去に供される前に十分な経過時間を得てから、駆動モータが自動的にテープを新たな位置へ進めるようトリガされる。この「フレッシュニング」動作を実現する遅延の例は、8時間またはそれ以上のオーダーである。
【0031】
図6に示すように、カートリッジとモータは共通のフレーム58に搭載され、これは異なる高さのプレートを処理できるようコンベア10に対してモータ60により上下させることができる。コンベア10は、プレートの前縁がカートリッジの一部である押圧ロッド24の直ぐ下にくるようプレート16を前進させる。種々の圧力設定によりテープのシールへの接着を改善しうる。数秒の遅延により、テープの粘着剤の粘着力を向上させることもできる。その後、巻き取りリール(本図には示さず)とコンベア10が双方ともシール40を除去するよう駆動され、プレート16を本例ではコンベア面の左側である出力側に継続して進める。
【0032】
代替実施例では、コンベア10をなくして、ユーザが、例えば処理面4上に配置されプレートより僅かに広い間隔に離れたレール対などのガイドで最初にプレートを整列させてから、プレート16を処理面4の上かつ回収ロッドの下に手でスライドさせる動作を行ってもよい。プレートを手で押すのは、通常均一な動作で、テープ経路に沿ってテープを進める巻き取りリールの回転速度と整合性があるべきである。第2の代替的な「マニュアル」構造では、面上に固定のガイドまたはフレームが設けられ、プレートを開放可能に保持する。ソースロール、回収ロッド、および巻き取りリールは、共通フレーム58と同様にプレートまたはフレーム上に搭載され、モータか手の力で水平スライドして、回収ロッドがプレートの前縁から後縁まで後ろに移動してシールを剥離可能となる。
【0033】
剥離動作を絶え間なく夜通し行うことが求められる大きな研究所で用いられる実施例では、1000またはそれ以上のプレートを剥離可能なようにテープの機能を向上させる必要がある。使用済みシールとテープのロールが大きくなると剥離動作での実行が求められる堅実なトルクで駆動するには柔らかすぎるため、単に巻き取りリールを大きくしたのではこれは適わない。
【0034】
この問題に対処するには、
図7、
図8に示す実施例のように、ピンチローラのシステムを設けてテープを引っ張るとともに、巻き取りリールは単にスラックを巻き取るようにする。第1実施例と同様に、ソースロール60はテープを押圧ローラ62の下にフィードし、コンベア10で移動するにつれローラがテープの粘着側をプレート16のシール40に押しつける。巻き取りロッド63は、移動方向に対して所定の角度で好適に配置され、これによりシール40は最初に一の角部で持ち上げられ除去し易くなる。シールが除去されたテープ70は、ガイドローラ(またはロッド)65によりガイドされピンチローラ68、72、74に案内される。ローラ68は駆動ローラであり、駆動モータ(図示せず)に駆動されて剥離動作用の張力を発生する。テープ70の片側に粘着剤があるため、ローラへの付着を防ぐために、消耗紙ロール(consumable paper roll)66が提供されてピンチローラに入る前に粘着剤をカバーする裏紙となる。この裏紙は、使用済みシール残る様々な液体を鳩首するという付加的な利点がある。粘着テープ、除去シール、および裏紙からなる層となった破棄テープ76は、巻き取りリール80に回収される。図示するように、巻き取りリール80の相対的なサイズは、紙のリール66やソースリール60より大きく、これはどの元のテープより分厚い3折りからなるテープを受けるからである。別個の駆動モータ(図示せず)または駆動ローラ68を回転させるのと同じ駆動モータで駆動されるリンク機構が、テープ76の緩みをとるよう用いられる。巻き取りリール80の回転速度は、リール上の使用済みテープ76の直径が増えたら調整される。ピンチローラは、第1実施例のような小型の装置に用いてもよく、同様に大きな容量のシステムに用いてもよい。
【0035】
本発明の代替的な実施例では、粘着剤の連続ロールが個々の使い捨てローラまたは「キー」に置換され、これらはそれぞれ単一のシールの除去に用いられる。
図9a−9cに示すように、各巻き取りキー90は巻き取りロッド94とキーヘッド96とを具える。好適には、ロッド94は筒状であり、すなわち動作中に均一の圧力となるよう円形断面を有するが、他の形状を用いてもよい。粘着片92がロッド94の長さに沿って延在している。いくつかの異なる粘着剤を用いることができるが、溶剤、霜、または水分の存在かでも良好な粘着特性を示すホットメルト接着剤が多くの場合に優秀である。粘着片92はシール40に押しつけられ、粘着剤が充分にセットされたら、プレートが進むにつれキー90がプレート16の後縁に向けて、すなわち
図9aに示すように時計回りに回転され、イワシの缶詰を開けるのと煮た方法でシールが除去される。キーを回転させるグリップ手段が、タブ98(
図9b)、四角いヘッド96(
図9c)の形態、またはキーの回転を制御可能な他の構成で設けられている。このグリップ手段は、以下に詳述する自動回転機構により駆動される。
【0036】
図10aに示すように、自動ディスペンサ100が使い捨てキーのマガジン102に複数のキー90を保持している。キー90はキープッシャ106によりキーマガジン102の底部開口104から押し出され、これによりディスペンサはPEZ(登録商標)キャンディディスペンサのように機能する。キープッシャ106は、
図14に示すモータ130により駆動される。キー90のヘッドは、キーローラの対応するスロット108に押し込まれる。図示するように、キーヘッドの形状は矩形であり、キーローラ110の矩形スロットに合致するが、キーの回転量とその方向を制御する何らかの手段が必要である。キーローラ110は、弓形回転チャネル112内に支持されており、モータ122(
図11、14に示す)に接続されたベルトで駆動される。この駆動モータ122が始動され、キーはストップタブ114が回転止め116に接触するまで回転し、これが
図10bに示す熱源120に接着片92を晒し、接着剤が融点となる。次に接着片92が正面となるようにキー90が回転される。プレート16は接着片92と整列されて、
図10cに示すように接着剤と接触するよう配置される。
【0037】
図11に示すように、プレート16は(モータ128に駆動される)コンベア118上で搬送され、これは一端にピボット124を具え、これがコンベアを上下に傾けてプレート16とキー90を接触させたり解除したりする。通常、コンベア118はスプリングで上側に付勢されている(
図15a−fに示す)。プレート上のシールが粘着片と接触し、粘着剤が冷えるよう少し遅らせた後、ベルトまたはモータ122との他のリンク機構により駆動されるキーローラ110は、プレート16が進む一方でキー90を回転させ、これによりシールが徐々に均一にプレート16から剥がされる。プレートの後縁がキー90を通過したら、キーは除去されたシールとともに排出されアセンブリの下の廃棄バケット109に落とされる。新たなキーがキーマガジン102から下降し、キーローラ110にロードされて次のサイクルが準備される。
【0038】
図12は、使用済みキーの排出機構の一例を示す。シールが使用済みキー90uに巻かれたら、キーローラ110は回転されてスロット108が下側に向く。キープッシャ106が繰り出し位置から引き戻され、これにより排出トリガ140がアーム134の下側部にカム係合(cam)する。アーム134の下側部が押し戻されると、アーム134が排出ピボット136を回動させ、アーム134の上側部が下側に動き、キーエジェクタ138を駆動させる。キーエジェクタ138の下端部が使用済みキー90uのヘッドをスロット108の外に押し、これにより使用済みキーが廃物受け109に落下する。スプリングタブ132は、使用済みキー90uがマガジン102の底部のローディングシュートにスライドして戻らないようにしている。
【0039】
図13a、13bは、シールが除去された後にコンベア118を押し下げてプレート16を取り外せるようにする機構を示す。このコンベア118は通常はスプリングで上に付勢されているため、プレートが剥離されたときにスプリングの付勢が打ち負かされなければならない。キーローラ110が逆回転されると、回動トリガ144がコンベア回動ピン146と接触する位置となりこれに押しつけられる。回動ピン146はフレームまたはコンベア118側の他の構造物に強固に取り付けられ、したがってピン146への下向きの力によりコンベア全体がコンベアピボット124で回動する。これにより、不都合な傾斜やプレート上に位置する剥離器の要素と接触することなく、コンベアと剥離部材との間隔が増大する。
【0040】
図15a−15fは、コンベアと剥離要素間の相対動作を実現する手段の一例を示す。
図15aは、コンベアピボット124の近くの位置でコンベア118上にあるプレート16の開始位置を示す。アーム126が、コンベア118が水平(回動しない)の位置にスプリング132で付勢されている。
図15b−eは、プロセスにおいてプレートを剥離準備に位置づける様々なステップでの回動位置を示すコンベア118を示す。
図15bでは、キーローラ110から延在するタブ144が、時計回り(逆回り)に回転された場合、バネ付勢されたアーム126にカム係合し、これがコンベア機構118に下向きの力をかけ、コンベアピボット124周りに傾斜させる。アーム126の上端部は、ピン150を開始ローラガイド112にスライド連結される。およそ5時の位置で、タブ144はアームの右上角部126に接触し、コンベア118に下向きの力をかけ、アーム126をローラガイド112の最下端へとスライドさせる。
図15cは、キーローラ110、の連続的な時計回りの回転を示し、タブ144がおよそ7時に位置決めされ、アーム126を左に押し(図示するように)、キーローラ110とローラガイドを整列させる。プレート16が剥離位置に到達したら、キーローラ110の回転方向は反時計回りに戻り、ローラガイド112内で回転し、これにより
図15dに示すようにアーム126の前縁をタブ144がキャッチする。反時計回りを継続すると、アームがローラガイド内へスライドし、アームが後ろに押され(図面の右)、
図15eに示すようにアーム126の上端部がローラガイド112の最上端の方へ移動する。
図15fでは、ピン150がローラガイド112の最上端の方へ完全にスライドし、スプリング132の付勢を上回る圧力を開放して、コンベア118が通常の水平に戻るようにする。キーローラ110の回転ポイントでは、キー90の粘着片92はシールの前縁に接触するよう配向されている。プレート16はコンベア118により左から右へ図示するように移動され、一方で前述したようにキーはプレートからシールを剥離するように回転される。
【0041】
一実施例では、システムは薄いプレートと厚いプレートに順応するよう適合されており、最も薄くて10mmから、深いウェルプレートで約45mmである。この機能を実現するには、相対高さ調整手段を設けてキー機構とコンベア機構の間隔を変化させるようにする。薄いプレートの場合にスペーサブロックを配置して、高いプレートの場合にそれを除去するのが実践的である。全範囲を一のスペーサブロックでカバーできることが望ましい。
【0042】
動作シーケンスは、簡単なリレー制御シーケンスも適切であるが、PICマイクロコントローラで制御してもよい。本システムは、単にプレートをロードして「start」を押すだけで動作するのが好ましい。ディスプレイは必須ではないが、通常動作を示すのに2−3のインジケータランプが有用である。
【0043】
上述した説明は、化合物や、化学的および生物学的アプリケーションの貯蔵に用いられる典型的なマルチウェルプレートから剥離シールを除去することを対象としている。これは説明的例示としてのみ提供されるのであって、本発明は、シールの上面に粘着剤を適用し粘着剤を上に引っ張ったときにシールが容器から分離するのに十分な力をかける条件を許容する様々な種類の容器から剥離シールを取り去るのに等しく用いることができる。例えば、本発明は他の容器アレイ、臨床テストキット、またはトレーや支持ラックに保持された個々のバイアルからのシール除去にも用いることができる。本発明は同様に、食料涼気や他のパッケージングの開封に用いることができる。通常、本発明の方法および装置は、剥離動作で除去可能なシールを有するほぼすべてのパッケージまたは容器の開封に用いることができ、考えられる例外は、容器にダメージを与えずに粘着剤を適用するには壊れやすいか柔らかすぎる容器である。
【0044】
本発明はまた、研磨技術が下の面にダメージを与えてしまう場合の乾燥塗料やフィルムを面から除去するのに有用である。
【0045】
当業者であれば、本発明の意図や範囲から逸脱することなく本発明のシステムや装置の様々な変形や変更を施すことができる。したがって、このような変形例や変更例は添付のクレームおよびその均等の範囲に入る限りにおいて、本発明に包含されると考えるべきである。