(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.概要>
図1は、本実施の形態に係る電流制御回路を備えたインピーダンス測定システム1の概略構成を示す。インピーダンス測定システム1は、内燃機関(図示せず)を備えた自動車等に備えられ、かかる内燃機関に備えられた空燃比センサ2のインピーダンスを測定するシステムである。なお、空燃比を検出するためには、空燃比センサに用いられる素子(ジルコニア素子)を活性状態に維持する必要がある。この活性状態は、素子温度を一定値、例えば700°Cに保つことにより維持される。また、素子温度と素子インピーダンスとは一定の相関関係を有する。このため、素子温度を一定値に保つよう制御するために、インピーダンス測定システム1により空燃比センサ2のインピーダンスを測定する必要がある。インピーダンス測定システム1は、空燃比センサ2、加熱器3、及び電子制御装置4を備える。
【0017】
空燃比センサ2は、内燃機関から排出された排気ガス中の空気と燃料の混合度を示す空燃比を測定するセンサである。空燃比センサ2は、内燃機関の排気管の内部に向けて突出して設置される。空燃比センサ2は、ジルコニアセラミックスの両側面に多孔質電極を設け、片側を大気、その反対側を排気ガスにさらすよう構成される。この際、ジルコニア素子を高温に保ち、イオン伝導性を持たせることにより、酸素濃度の高い大気側から排気ガス側への酸素イオン流が発生し、排気ガス側の酸素濃度に応じた起電力が発生する。空燃比センサ2は、この起電力を検出し、マイクロコンピュータMCへ出力する。
【0018】
加熱器3は、空燃比センサ2を加熱するセラミック製のヒータである。加熱器3が空燃比センサ2のジルコニア素子を高温に保つことで、素子が活性化し、空燃比センサ2は空燃比に応じた電圧を精度よく出力することができる。加熱器3は、空燃比センサ2の大気側電極層内に収容され、発熱エネルギによりセンサ本体を加熱し、ジルコニア素子を活性化する。
【0019】
ECU4は、空燃比センサ2のインピーダンスを測定し、加熱器3の作動及び非作動を制御する電子制御装置である。また、ECU4は、空燃比センサ2から排気ガスの空燃比を取得し、内燃機関へ燃料を噴射する燃料噴射装置(図示せず)を制御する。ECU4は、電流制御回路5及びマイクロコンピュータMCを備える。
【0020】
電流制御回路5は、空燃比センサ2のインピーダンスを測定するために、空燃比センサ2に通電するための電流を制御する電子回路である。電流制御回路5の詳細な構成は、後述する。
【0021】
マイクロコンピュータMCは、空燃比センサ2のインピーダンスを測定し、加熱器3へ作動及び非作動を指示する演算装置である。また、マイクロコンピュータMCは、電流制御回路5の備えるスイッチング素子を制御し、電流制御回路5による電流の通電タイミングを制御する。なお、マイクロコンピュータMCは、空燃比センサ2の検出した空燃比に基づき、燃料噴射装置へ燃料噴射量を指示する。
【0022】
次に、電流制御回路5の従来の構成について説明する。
図2は、従来の電流制御回路50を示す。電流制御回路50は、空燃比センサ2に接続された接続端子Tmにソース電流I1を通電する(吐き出す)ソース電流回路51、及び、接続端子Tmから電流制御回路50へシンク電流I2を通電する(吸い込む)シンク電流回路52を各々備えている。
【0023】
ソース電流回路51は、バッテリより電源が供給されるオペアンプOp1及びバッファB1と、位相補償コンデンサC1と、PNP型スイッチングトランジスタ(以下、単に「トランジスタ」という。)Tr1及びTr2と、電気抵抗R1とを備え、ソース電流I1を接続端子Tmに通電する。また、オペアンプOp1の非反転入力端子には、基準電源VAinが入力される。
【0024】
トランジスタTr1のコレクタ及びエミッタ端子は、接続端子Tmに接続される。ベース端子は、図示しないマイクロコンピュータMCに接続される。ベース電流は、かかるマイクロコンピュータにより制御される。したがって、マイクロコンピュータMCによりトランジスタTr1のベース電流の供給が停止され、トランジスタTr1がオフとなると、電気抵抗R1を介してソース電流I1が接続端子Tmに通電される。また、マイクロコンピュータMCによりベース電流の供給が行われ、トランジスタTr1がオンすると、トランジスタTr2のコレクタ端子には電流が流れず、ソース電流I1の通電が停止する。
【0025】
シンク電流回路52は、バッテリより電源が供給されるオペアンプOp2及びバッファB2と、位相補償コンデンサC2と、トランジスタTr3及びTr4と、電気抵抗R2とを備え、シンク電流I2を接続端子Tmに接続された空燃比センサ2(図示せず)から電流制御回路50へ通電する。また、オペアンプOp2の非反転入力端子には、基準電源VBinが入力される。
【0026】
トランジスタTr3のベース端子は、電気抵抗R1を介してトランジスタTrのコレクタ端子に接続され、図示しないマイクロコンピュータMCにより、ベース電流が制御される。したがって、マイクロコンピュータMCによりベース電流の供給が停止され、トランジスタTr1がオフとなると、電気抵抗R1を介してソース電流I1が接続端子Tmに通電される。また、マイクロコンピュータMCによりベース電流の供給が行われ、トランジスタTr1がオンとなると、トランジスタTr2のコレクタ端子に電流が流れず、ソース電流I1の通電は停止する。
【0027】
このように、従来の電流制御回路50は、ソース電流回路51とシンク電流回路52との2つの回路を備え、ソース電流及びシンク電流の通電制御を行っていた。
【0028】
<1−2.電流制御回路の構成>
次に、本実施の形態に係る電流制御回路5について説明する。
図3は、電流制御回路5の回路構成を示す。電流制御回路5は、定電流回路6、抵抗部7、カレントミラー回路8、及び切替部9を備える。また、電流制御回路5aは、電流制御回路5aの外部に設置された抵抗部7と接続される。
【0029】
定電流回路6は、基準電源VBinを電流に変換し、一定の電流を出力する回路である。定電流回路6は、オペアンプ61、バッファ62、及び位相補償コンデンサ63を備える。オペアンプ61の出力端子とバッファ62とは直列に接続される。オペアンプ61の出力端子とバッファ62との接続点には、グランドに接続された位相補償コンデンサ63が設けられる。
【0030】
オペアンプ61は、出力端子のほか非反転入力端子及び反転入力端子を備える。出力端子は、後述のバッファ62に接続される。非反転入力端子には基準電源VBinが入力される。反転入力端子にはバッファ62の出力電圧が入力される。
【0031】
バッファ62は、オペアンプ61の出力する電圧の安定化を行う緩衝素子である。バッファ62は、入力端子がオペアンプ61の出力端子に接続され、出力端子がオペアンプ61の反転入力端子、後述の抵抗部7及び切替部9に接続される。
【0032】
位相補償コンデンサ63は、オペアンプ61の出力電圧が発振するのを防止する素子である。位相補償コンデンサ63は、一端がオペアンプ61とバッファ62との間に接続され、他端がグランドに接続される。
【0033】
抵抗部7は、電気抵抗71を備え、電流制御回路5の外部に接続される。抵抗部7は、一端が定電流回路6の出力端、すなわちバッファ62の出力端子に接続され、他端がグランドに接続される。定電流回路6は、この抵抗部7に流れる電流を一定にする。
【0034】
カレントミラー回路8は、PNP型トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」という。)Tr81及びTr82を備える。トランジスタTr81及びTr82は、エミッタ端子がバッテリBATTに接続され、ベース端子が互いに接続される。トランジスタTr81は、コレクタ端子が抵抗部7と接続され、ベース端子とコレクタ端子とが接続される。また、トランジスタTr82のコレクタ端子は、接続端子Tmに接続される。カレントミラー回路8において、2つのトランジスタTr81、Tr82それぞれのコレクタ電流は略一致する。
【0035】
切替部9は、NPN型スイッチングトランジスタ(以下、「切替トランジスタ」という。)Tr91及びTr92を備える。切替トランジスタTr91及びTr92は、ベース端子が図示しないマイクロコンピュータMCに接続され、かかるマイクロコンピュータMCによりベース電流が供給される。切替トランジスタTr91及びTr92は、マイクロコンピュータMCのベース電流により、オン(電気的に閉じる)及びオフ(電気的に開く)となるよう制御される。切替トランジスタTr91は、コレクタ端子がトランジスタTr81のコレクタ端子に接続され、エミッタ端子が定電流回路6の出力端及び抵抗部7に接続される。切替トランジスタTr92は、コレクタ端子が接続端子Tmに接続され、エミッタ端子が定電流回路6の出力端及び抵抗部7に接続される。
【0036】
ここで、電流制御回路5における次の接続点及び配線を以下の通りとする。トランジスタTr81のベース端子とコレクタ端子との接続点を接続点Aとする。定電流回路6の出力端と、抵抗部7と、切替トランジスタTr91のエミッタ端子との接続点を接続点Bとする。定電流回路6の出力端と、抵抗部7と、切替トランジスタTr92のエミッタ端子との接続点を接続点Cとする。切替トランジスタTr91を介して接続点Aと接続点Bとを接続する配線を接続線L1とする。切替トランジスタTr92を介して接続端子Tmと接続点Cとを接続する配線を接続線L2とする。したがって、接続線L1は、切替トランジスタTr91により短絡(電気的に閉じる)と開放(電気的に開く)とが行われる。また、接続線L2は、切替トランジスタTr92により短絡(電気的に閉じる)と開放(電気的に開く)とが行われる。なお、抵抗部7は、接続線L2を介して接続端子Tmに接続される。
【0037】
<1−3.電流制御回路の動作>
次に、電流制御回路5の動作について、タイムチャートを用いて説明する。
図4は、切替トランジスタTr91及びTr92の動作を示し、また、ソース電流I1、シンク電流I2、及びカレントミラー回路8の入力電流Irefの変化を示すタイムチャートである。なお、各電流の値は、入力電流Irefを基準に示す。また、ソース電流I1及びシンク電流I2は、接続端子Tmにおける通電量を示し、入力電流Irefは接続点Aにおける通電量を示す。
【0038】
まず、時刻t0において、切替トランジスタTr91及びTr92はオフとなっており、入力電流Iref、ソース電流I1、及びシンク電流I2は通電していない。この状態において、マイクロコンピュータMCにより切替トランジスタTr91がオンとされると、すなわち接続線L1が短絡され、カレントミラー回路8の入力電流Irefが一定量まで徐々に高まる(時刻t1)。なお、一定量とは、抵抗部7とオペアンプ61の非反転入力端子に入力されるVBinにより定まる電流値である。例えば、1[mA]である。抵抗部7に通電される入力電流Irefは、定電流回路6により一定量まで徐々に高められ、一定量に達すると電流量が維持される(時刻t2)。
【0039】
また、入力電流Irefの通電に伴い、カレントミラー回路8の出力側を流れるソース電流I1も一定量まで徐々に高まり、入力電流Irefと同等の電流量が接続端子Tmへ流れる。すなわち、カレントミラー回路8は、接続端子Tmを流れるソース電流I1と、抵抗部7を流れる入力電流Irefとを略一致させるよう制御する。なお、入力電流Irefが一定量に到達後、マイクロコンピュータMCにより入力電流Irefの値が取得され、空燃比センサ2のインピーダンスの測定が行われる。マイクロコンピュータMCによるインピーダンスの測定の処理は後述する。
【0040】
切替トランジスタTr91がオンした後、所定時間経過後、マイクロコンピュータMCは切替トランジスタTr91をオフする(時刻t3)。切替トランジスタTr91がオフとなると、接続線L1が開放されることにより、入力電流Iref及びソース電流I1の通電は停止する。時刻t3は、例えば時刻t1の80[μsec]後である。
【0041】
切替トランジスタTr91をオフした後、所定時間経過後、マイクロコンピュータMCは切替トランジスタTr92をオンとする(時刻t4)。これにより、接続線L2が短絡され、空燃比センサ2からシンク電流I2が通電する。時刻t4は、例えば時刻t3の40[μsec]後である。
【0042】
シンク電流I2は、定電流回路6により一定量(例えば、1[mA])まで徐々に高められ、一定量に達すると維持される(時刻t5)。なお、シンク電流I2は、ソース電流I1とは接続端子Tmにおいて逆方向に流れるため、タイムチャートではソース電流I1と逆向きに電流量が変化して示される。
【0043】
切替トランジスタTr92をオンした後、所定時間経過後、マイクロコンピュータMCは切替トランジスタTr92をオフとする(時刻t6)。切替トランジスタTr92がオフとなると、接続線L2が開放されることにより、シンク電流I2の通電は停止する。時刻t6は、例えば時刻t4の80[μsec]後である。
【0044】
このように、マイクロコンピュータMCが切替トランジスタTr91及びTr92のオン及びオフ制御を行うことにより、接続線L1及び接続線L2の一方を短絡(電気的に閉じる)し、他方を開放(電気的に開く)することができる。これにより、接続端子Tmを介して空燃比センサ2へ通電される(吐き出す)ソース電流I1と、空燃比センサ2から接続端子Tmを介して電流制御回路5へ通電される(吸い込む)シンク電流I2とを、定電流回路6により一定に維持しつつ制御することができる。
【0045】
<1−4.加熱器の制御手順>
次に、ECU4が加熱器3を制御する処理手順について、
図5を参照して説明する。
図5は、ECU4に備わるマイクロコンピュータMCが行う処理手順を示すフローチャートである。マイクロコンピュータMCは、ソース電流I1及びシンク電流I2のいずれかが通電された負荷のインピーダンスを測定し、測定した負荷のインピーダンスに基づき、負荷を加熱する加熱器3を制御する。本処理は、例えば128[msec]毎に繰り返し実行される。
【0046】
処理が開始されると、マイクロコンピュータMCは、切替トランジスタTr91のベース端子に電圧を印加してベース電流を通電し、切替トランジスタTr91をオンとする(ステップS11)。すなわち、接続線L1を短絡し、導通させる。この際、マイクロコンピュータMCは、切替トランジスタTr92には電圧を印加せず、切替トランジスタTr92はオフとなり、接続線L2は非導通の状態が維持される。
【0047】
切替トランジスタTr91がオンすると、前述の通り、カレントミラー回路8の入力側に入力電流Irefが流れると共に、出力側に入力電流Irefと略同値のソース電流I1が流れる。これにより、入力電流Irefは定電流回路6により一定に保持されるため、ソース電流I1は一定の値を保って空燃比センサ2へ通電される。
【0048】
次に、マイクロコンピュータMCは、入力電流Irefの値を取得する(ステップS12)。入力電流Irefの値は、下記の演算式(1)により取得する。
【0049】
Iref=Vr7/R71 ・・・・・(1)
Vr7は、電気抵抗R71に入力電流Irefが通電された場合に生じる電圧値である。マイクロコンピュータMCは、
図3において図示しない配線により接続点Bの電圧値を取得する。この際、
図4における時刻t0のR7に生じる電圧値と、Irefが一定量に通電された時刻(時刻t1の60[μsec]後程度)の電気抵抗R71に生じる電圧値との差分を算出し、Vr7の値を取得すればよい。なお、時刻t0から時刻t1までは、40[μsec]程度である。また、電気抵抗R71は抵抗部R7の抵抗値である。電気抵抗R71の抵抗値は、設計時に予め記憶しておけばよい。マイクロコンピュータMCは、入力電流Irefの値を取得することで、空燃比センサ2に通電されるソース電流I1を代替的に取得できる。接続端子Tmを流れるソース電流I1と、抵抗部7を流れる入力電流Irefとを略一致させるカレントミラー回路の作用によるためである。
【0050】
マイクロコンピュータMCは、入力電流Irefの値を取得すると、空燃比センサ2にソース電流I1が通電された場合に生じる空燃比センサ2の電圧値を取得する(ステップS13)。マイクロコンピュータMCは、
図3において図示しない配線により空燃比センサ2の電圧値を取得できる。
【0051】
空燃比センサ2の電圧値を取得すると、マイクロコンピュータMCは、切替トランジスタTr91をオフし(ステップS14)、切替トランジスタTr92をオンする(ステップS15)。そして、切替トランジスタTr92をオンすると、所定時間が経過したか否か判断する(ステップS16)。
【0052】
マイクロコンピュータMCは、所定時間が経過したと判断すると(ステップS16でYes)、切替トランジスタTr92をオフし(ステップS17)、所定時間が経過していないと判断すると(ステップS16でNo)、切替トランジスタTr92を継続してオンとする(ステップS15)。なお、切替トランジスタTr91をオフかつ切替トランジスタTr92をオンにして、空燃比センサ2にソース電流I1とは逆方向に流れるシンク電流I2を通電するのは、空燃比センサ2の状態を復帰させるためである。したがって、切替トランジスタTr92をオンする所定時間は、空燃比センサ2の状態を復帰させるのに十分な時間であればよい。例えば、切替トランジスタTr91をオンとしていた時間である。
【0053】
次に、マイクロコンピュータMCは、下記の演算式(2)により、空燃比センサ2のインピーダンスRi測定する(ステップS18)。
【0054】
Ri=Vr7/Iref ・・・・・(2)
空燃比センサ2のインピーダンスを測定すると、測定したインピーダンスの値が所定値より高いか否か判断する(ステップS19)。所定値は、例えば30[Ω]である。空燃比センサ2のインピーダンスが30[Ω]程度の場合は、空燃比センサ2が700[°C]程度と考えられ、センサ活性化の分岐点となり得るからである。
【0055】
マイクロコンピュータMCは、インピーダンスの値が所定値より高いと判断すると(ステップS19でYes)、加熱器3をオンとして(ステップS20)、空燃比センサ2の加熱を行う。空燃比センサ2は、高インピーダンスとなる程、低温となるからである。
【0056】
一方、マイクロコンピュータMCは、インピーダンスの値が所定値より高くないと判断すると(ステップS19でNo)、加熱器3をオフとして(ステップS21)、空燃比センサ2の加熱を行わない。空燃比センサ2は、低インピーダンスとなる程、高温であるため、加熱を行う必要がないからである。
【0057】
加熱器3をオン又はオフとする制御が実行されると、本処理は終了する。
【0058】
以上のように、第1の実施の形態の電流制御回路5は、接続端子Tmに接続される抵抗部7に通電される電流を一定に制御する定電流回路6と、接続端子Tmを流れる電流と抵抗部7を流れる電流とを略一致させるカレントミラー回路8とを備える。そして、第1接続部及び第2接続部の一方を電気的に閉じ、他方を電気的に開く切替部9とを備える。これにより、ソース電流I1を通電する回路とシンク電流I2を通電する回路とを各々備える必要をなくし、回路規模を縮小できる。
【0059】
また、ソース電流を制御する回路とシンク電流を制御する回路とで、オペアンプやコンデンサを各々備えていた場合には、1つの回路でのみ備えればよいので、部品点数を削減できる。
【0060】
また、従来の電流制御回路のように、基準電源をVAinとVBinと2つ備える必要がなく、VBinだけ備えればよい。このため、基準電源との配線を簡素化することができる。
【0061】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態の電流制御回路について説明する。前述の第1の実施の形態では、定電流回路6のバッテリBATT側にカレントミラー回路が接続され、グランド側に抵抗部が接続されていた。これに対し、第2の実施の形態は、定電流回路6のバッテリBATT側に抵抗部が接続され、グランド側にカレントミラー回路が接続される。このような構成の電流制御回路であっても、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。したがって、電子制御装置のバッテリBATT端子やマイクロコンピュータ等の配置に応じて、第1の実施の形態又は第2の実施の形態の電流制御回路のうち、最適な回路構成を選択することができる。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の構成及び処理を含むため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0062】
図6は、第2の実施の形態の電流制御回路5aの構成を示す。第1の実施の形態と共通の構成には、第1の実施の形態で説明した符号と同一の符号を付す。
【0063】
電流制御回路5aは、定電流回路6a、抵抗部7a、カレントミラー回路8a、及び切替部9aを備える。
【0064】
定電流回路6aは、オペアンプ61a、バッファ62a、及び位相補償コンデンサ63aを備える。オペアンプ61aは、出力端子がバッファ62aに接続され、非反転入力端子に基準電源VAinが入力され、反転入力端子にバッファ62aの出力が入力される。バッファ62は、入力端子がオペアンプ61aの出力端子に接続され、出力端子がオペアンプ61aの反転入力端子及び後述の抵抗部7aに接続される。
【0065】
位相補償コンデンサ63aは、一端がオペアンプ61aとバッファ62aとの間に接続され、他端がバッテリBATTに接続される。
【0066】
抵抗部7aは、電気抵抗71aを備え、電流制御回路5aの外部に接続される。抵抗部7aは、一端が定電流回路6aの反転入力端子に接続され、他端がバッテリBATTに接続される。
【0067】
カレントミラー回路8aは、NPN型トランジスタ(以下、単に「トランジスタ」という。)Tr81a及びTr82aを備える。トランジスタTr81a及びTr82aは、エミッタ端子がグランドに接続され、ベース端子が互いに接続される。トランジスタTr81aは、コレクタ端子が抵抗部7aと接続され、ベース端子とコレクタ端子が接続される。また、トランジスタTr82aのコレクタ端子は、接続端子Tmに接続される。
【0068】
切替部9aは、PNP型スイッチングトランジスタ(以下、「切替トランジスタ」という。)Tr91a及びTr92aを備える。切替トランジスタTr91a及びTr92aは、ベース端子が図示しないマイクロコンピュータMCに接続され、かかるマイクロコンピュータMCによりベース電流が供給されることにより、オン及びオフとなる。切替トランジスタTr91aは、エミッタ端子がトランジスタTr81aのコレクタ端子に接続され、コレクタ端子が定電流回路6aの出力端及び抵抗部7aに接続される。切替トランジスタTr92aは、エミッタ端子が接続端子Tmに接続され、コレクタ端子が定電流回路6aの出力端及び抵抗部7aに接続される。
【0069】
ここで、電流制御回路5aにおける以下の接続点及び配線を次の通りとする。トランジスタTr81aのベース端子とコレクタ端子との接続点を接続点Aaとする。定電流回路6aの出力端と、抵抗部7aと、切替トランジスタTr91aのエミッタ端子との接続点を接続点Baとする。定電流回路6aの出力端と、抵抗部7aと、切替トランジスタTr92aのエミッタ端子との接続点を接続点Caとする。切替トランジスタTr91aを介して接続点Aaと接続点Baとを接続する配線を接続線L2aとする。切替トランジスタTr92aを介して接続端子Tmと接続点Caとを接続する配線を接続線L1aとする。したがって、接続線L1aは、切替トランジスタTr92aにより短絡(電気的に閉じる)と開放(電気的に開く)とが行われる。また、接続線L2aは、切替トランジスタTr91aにより短絡(電気的に閉じる)と開放(電気的に開く)とが行われる。
【0070】
このような回路構成において、以下のように、切替トランジスタTr91a及びTr92aを制御することにより、ソース電流I1及びシンク電流I2を制御することができる。
【0071】
まず、マイクロコンピュータMCにより切替トランジスタTr91aがオンとされ、すなわち接続線L2aが短絡され、カレントミラー回路8aの入力電流Irefが一定量まで徐々に高まる。抵抗部7aへ入力される電圧は定電流回路6aの反転入力端子へ入力されるため、VAinを基準とする電圧で一定となる。このため、抵抗部7に通電される入力電流Irefは、定電流回路6aにより一定量まで徐々に高められ、一定量に達すると電流量が維持される。
【0072】
また、入力電流Irefの通電に伴い、カレントミラー回路8aの出力側を流れるシンク電流I2も一定量まで徐々に高まり、入力電流Irefと同等の電流量が接続端子Tmからカレントミラー回路8aの出力側を流れる。したがって、カレントミラー回路8aは、接続端子Tmから流れるシンク電流I2と、抵抗部7aを流れる電流Irefとを略一致させるよう制御する。
【0073】
次に、マイクロコンピュータMCは切替トランジスタTr91aをオフし、切替トランジスタTr92aをオンとする。これにより、接続線L2aが開放され、接続線L1aが短絡される。接続線L1aが短絡されると、抵抗部7aを介して定電流回路6により一定量に維持されたソース電流I1が接続端子Tmへ流れる
このように、第2の実施の形態においても、マイクロコンピュータMCが切替トランジスタTr91a及びTr92aのオン及びオフ制御を行うことにより、接続線L1a及び接続線L2aの一方を電気的に閉じ、他方を電気的に開くことができる。これにより、空燃比センサ2から接続端子Tmを介して電流制御回路5へ通電される(吸い込む)シンク電流I2と、接続端子Tmを介して空燃比センサ2へ通電される(吐き出す)ソース電流I1とを、定電流回路6aにより一定に維持しつつ制御することができる。
【0074】
以上のように、第2の実施の形態の電流制御回路5aは、第1の実施の形態の電流制御回路5と回路構成を異にしつつも、同等の効果を奏する。したがって、電子制御装置のバッテリBATT端子やマイクロコンピュータ等の配置に応じて、第1の実施の形態又は第2の実施の形態の電流制御回路のうち、最適な回路構成を選択することができる。
【0075】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。前述の第1の実施の形態では、抵抗部7は単一の電気抵抗R71を備えた。これに対し、第3の実施の形態は、抵抗部は抵抗値の異なる複数の電気抵抗を備える。入力電流Iref及びシンク電流I2を抵抗値の異なるいずれかの電気抵抗に通電することにより、入力電流Iref及びシンク電流I2の電流値を抵抗値に応じて様々に変化させることができる。抵抗部7に流れる入力電流Iref及びシンク電流I2は、抵抗部7とオペアンプ61の非反転入力端子に入力されるVBinにより定まるためである。
【0076】
なお、入力電流Irefの電流値が変化すれば、前述の通り、カレントミラー回路の作用によりソース電流I1の電流値も同様に変化する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の構成を含むため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と共通の構成には、第1の実施の形態で説明した符号と同一の符号を付す。
【0077】
第3の実施の形態における電流制御回路の構成を説明する。
図7は、第3の実施の形態の電流制御回路5bの構成を示す。第1の実施の形態との主な相違点は、抵抗部7が電気抵抗R71のほかR72を備える点である。また、抵抗部7の+側に第2の切替部10を備える点である。その他の構成は、第1の実施の形態と同様に構成され、また同様に機能する。
【0078】
抵抗部7は、電流制御回路5bの外部に設けられ、電気抵抗R71及びR72を備える。電気抵抗R71及びR72は、各々異なる抵抗値である。
【0079】
切替部10は、NPN型トランジスタ(以下、「抵抗切替トランジスタ」という。)Tr101及びTr102を備える。抵抗切替トランジスタTr101及びTr102は、ベース端子が図示しないマイクロコンピュータMCに接続され、コレクタ端子が接続点Bに接続されている。抵抗切替トランジスタTr101のエミッタ端子は電気抵抗R71の一端に接続され、抵抗切替トランジスタTr102のエミッタ端子は電気抵抗R72の一端に接続されている。すなわち、切替部10は、接続線L1及び接続線L2の各々の一端と、抵抗部7の複数の抵抗のいずれかとを切替えて接続する。
【0080】
このような構成において、マイクロコンピュータMCにより、切替トランジスタTr91をオンとすると、入力電流Irefが抵抗部7を流れる。この場合、入力電流Irefは抵抗部7の抵抗値とオペアンプ61の非反転入力端子に入力されるVBinにより定まるため、抵抗切替トランジスタTr101及びTr102のいずれかをオンとすることで、電気抵抗R71及びR72のいずれかの抵抗値に基づき所望の入力電流Irefを得ることができる。
【0081】
また、マイクロコンピュータMCにより、切替トランジスタTr92をオンとすると、シンク電流I2が抵抗部7を流れる。この場合も、シンク電流I2は抵抗部7の抵抗値とオペアンプ61の非反転入力端子に入力されるVBinにより定まるため、抵抗切替トランジスタTr101及びTr102のいずれかをオンとすることで、電気抵抗R71及びR72のいずれかの抵抗値に基づき所望のシンク電流I2を得ることができる。
【0082】
以上のように、第3の実施の形態は、抵抗部は抵抗値の異なる複数の電気抵抗を備える。入力電流Iref及びシンク電流I2を抵抗値の異なるいずれかの電気抵抗に通電することにより、入力電流Iref及びシンク電流I2の電流値を抵抗値に応じて所望の値に変化させることができる。
【0083】
<4.第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。前述の第1の実施の形態では、切替部9の切替トランジスタTr91及びTr92を制御することにより、接続線L1及びL2の短絡と開放を行った。この場合、切替部9の制御により接続線L1及びL2のいずれかを開放させても、オフ制御されたトランジスタを介して開放させた接続線に微小な電流が通電され、電流値の測定において精度の低下を招く恐れがあった。
【0084】
これに対し、第4の実施の形態に係る電流制御回路5cは、切替部9を備える代わりに、出力部11c、及びグランドに接続された切替部12cを備える。切替部12cがグランドに接続されることにより、接続線L1及びL2のいずれかを開放させた場合には、開放させた接続線に通電される電流を遮断することができる。
【0085】
なお、第4の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の構成を含むため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と共通の構成には、第1の実施の形態で説明した符号と同一の符号を付す。
【0086】
第4の実施の形態における電流制御回路の構成を説明する。
図8は、第4の実施の形態の電流制御回路5cの構成を示す。第1の実施の形態との主な相違点は、切替部9を備えず、出力部11c、切替部12c、及びバッファ64を備える点である。その他の構成は、第1の実施の形態と同様に構成され、また同様に機能する。
【0087】
出力部11は、オペアンプ61の出力を制御する回路である。出力部11は、NPN型の出力トランジスタTr111c及びTr111cを備える。
【0088】
出力トランジスタTr111cは、ベース端子がオペアンプ61の出力端子、エミッタ端子がエミッタ端子が抵抗部7、コレクタ端子がカレントミラー回路8の出力側(すなわち、接続点A)に各々接続される。出力トランジスタTr112cは、ベース端子がオペアンプ61の出力端子、エミッタ端子が抵抗部7、コレクタ端子が接続端子Tmに各々接続される。
【0089】
出力トランジスタTr111cは、ベース端子にオペアンプ61の出力が与えられると、出力トランジスタTr111cがオンとなり、接続線L2を短絡させる。また、出力トランジスタTr112cは、ベース端子にオペアンプ61の出力が与えられると、出力トランジスタTr112cがオンとなり、接続線L1を短絡させる。
【0090】
切替部12cは、オペアンプ61の出力を出力トランジスタTr111c及びTr111cのいずれかに与えるよう制御する。切替部12cは、NPN型の切替トランジスタTr121c及びTr122cを備える。
【0091】
切替トランジスタTr121cは、ベース端子が図示しないマイクロコンピュータ5、エミッタ端子がグランド、コレクタ端子がオペアンプ61の出力端子及び出力トランジスタTr111cのベース端子に各々接続される。
【0092】
切替トランジスタTr122cは、ベース端子が図示しないマイクロコンピュータ5、エミッタ端子がグランド、コレクタ端子がオペアンプ61の出力端子及び出力トランジスタTr112cのベース端子に各々接続される。
【0093】
バッファ64は、オペアンプ61の出力する電圧の安定化を行う緩衝素子である。バッファ64は、入力端子がオペアンプ61の出力端子に接続され、出力端子が切替トランジスタ122cのコレクタ端子及び出力トランジスタTr112cのベース端子に接続される。
【0094】
このような構成において、マイクロコンピュータMCにより、切替トランジスタTr121cをオンとすると、オペアンプ61の出力が切替トランジスタTr121cを介してグランドと接続される。オペアンプ61の出力がグランドと接続されると、オペアンプ61の出力が出力トランジスタTr111cのベース端子に与えられなくなり、出力トランジスタTr111cがオフとなる。出力トランジスタTr111cがオフとなると、接続線L1が開放され、カレントミラー回路8の入力電流Irefの通電が停止する。これにより、ソース電流I1の通電が停止する。この際、オペアンプ61の出力が、切替トランジスタTr121cを介してグランドと接続されるので、オペアンプ61の出力が接続線L1に漏洩することがない。
【0095】
また、切替トランジスタTr121cをオン制御と同時に切替トランジスタTr122cをオフとすると、オペアンプ61の出力が切替トランジスタTr122cによりグランドから開放される。オペアンプ61の出力がグランドから開放されると、オペアンプ61の出力が出力トランジスタTr112cのベース端子に与えられ、出力トランジスタTr112cがオンとなる。出力トランジスタTr112cがオンとなると、接続線L2が短絡され、図示しない空燃比センサ2からシンク電流I2が通電される。
【0096】
一方、マイクロコンピュータMCにより、切替トランジスタTr122cをオンとし、切替トランジスタTr121cをオフとすると、オペアンプ61の出力が、切替トランジスタTr122cを介してグランドと接続されるので、オペアンプ61の出力が接続線L2に漏洩することがない。また、出力トランジスタTr112cがオンとなり、出力トランジスタTr111cがオフとなるため、接続線L1が短絡及び接続線L2が開放される。これにより、カレントミラー回路8の出力電流Irefが通電され、ソース電流I1が空燃比センサ2に通電される。
【0097】
以上のように、第4の実施の形態は、出力部11c及び切替部12cを備えたことにより、ソース電流I1及びシンク電流I2を制御すると共に、オペアンプ61の出力を接続線に漏洩することがない。
【0098】
<5.第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態について説明する。前述の第2の実施の形態では、切替部9aの切替トランジスタTr91a及びTr92aを制御することにより、接続線L1a及びL2aの短絡と開放を行った。この場合、切替部9aの制御により接続線L1a及びL2aのいずれかを開放させても、オフ制御されたトランジスタを介して開放させた接続線に微小な電流が通電され、電流値の測定において精度の低下を招く恐れがあった。
【0099】
これに対し、第5の実施の形態に係る電流制御回路5dは、切替部9を備える代わりに、出力部11d、及びバッテリBATTに接続された切替部10dを備える。切替部10dがバッテリBATTに接続されることにより、接続線L1a及びL2aのいずれかを開放させた場合には、開放させた接続線に通電される電流を遮断することができる。
【0100】
なお、第5の実施の形態は、第2の実施の形態と同様の構成を含むため、以下、第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。なお、第2の実施の形態と共通の構成には、第2の実施の形態で説明した符号と同一の符号を付す。
【0101】
第5の実施の形態における電流制御回路の構成を説明する。
図9は、第5の実施の形態の電流制御回路5dの構成を示す。第2の実施の形態との主な相違点は、切替部9aを備えず、出力部11d、切替部10d、及びバッファ64aを備える点である。その他の構成は、第1の実施の形態と同様に構成され、また同様に機能する。
【0102】
出力部11dは、オペアンプ61の出力を制御する回路である。出力部11dは、PNP型の出力トランジスタTr111d及びTr111dを備える。
【0103】
出力トランジスタTr111dは、ベース端子がオペアンプ61の出力端子、エミッタ端子が抵抗部7a、コレクタ端子が接続端子Tmに各々接続される。出力トランジスタTr112dは、ベース端子がオペアンプ61の出力端子、エミッタ端子が抵抗部7a、コレクタ端子がカレントミラー回路8の入力側(すなわち、接続点Aa)に各々接続される。
【0104】
出力トランジスタTr111dは、エミッタ端子とベース端子間に電位差が生じると、オンとなり、接続線L1aを短絡させる。また、出力トランジスタTr112cは、エミッタ端子とベース端子間に電位差が生じると、オンとなり、接続線L2aを短絡させる。
【0105】
切替部10cは、バッテリBATTの出力を出力トランジスタTr111d及びTr112dのいずれかのベース端子に与えるよう制御する。切替部12cは、切替トランジスタTr101d及びTr102dを備える。
【0106】
切替トランジスタTr101dは、ベース端子が図示しないマイクロコンピュータ5、エミッタ端子がバッテリBATT、コレクタ端子がオペアンプ61の出力端子及び出力トランジスタTr111dのベース端子に各々接続される。
【0107】
切替トランジスタTr102dは、ベース端子が図示しないマイクロコンピュータ5、エミッタ端子がバッテリBATT、コレクタ端子がオペアンプ61の出力端子及び出力トランジスタTr112dのベース端子に各々接続される。
【0108】
バッファ64aは、オペアンプ61の出力する電圧の安定化を行う緩衝素子である。バッファ64aは、入力端子がオペアンプ61の出力端子に接続され、出力端子が切替トランジスタ102dのコレクタ端子及び出力トランジスタTr111dのベース端子に接続される。
【0109】
このような構成において、マイクロコンピュータMCにより、切替トランジスタTr101dをオンとすると、出力トランジスタTr112dのベース端子が切替トランジスタTr101cを介してバッテリBATTと接続される。バッテリBATTの出力が出力トランジスタTr112dのベース端子に与えられると、出力トランジスタTr112dのベース端子の電位がエミッタ端子の電位を上回り、出力トランジスタTr112dがオフとなる。出力トランジスタTr111cがオフとなると、接続線L2aが開放され、カレントミラー回路8の入力電流Irefの通電が停止する。これにより、シンク電流I2の通電が停止する。この際、出力トランジスタTr112dは、ベース端子の電位がエミッタ端子の電位を上回ることでオフとなるので、出力トランジスタTr112dの電流の流れが遮断され、オペアンプ61の出力が接続線L2aに漏洩することがない。
【0110】
また、切替トランジスタTr101cをオン制御と同時に切替トランジスタTr102dをオフとすると、出力トランジスタTr111dのベース端子にバッテリBATTが与えられなくなり、出力トランジスタTr111dがオンとなる。出力トランジスタTr111dがオンとなると、接続線L1aが短絡され、ソース電流I1が図示しない空燃比センサ2へ通電される。
【0111】
一方、マイクロコンピュータMCにより、切替トランジスタTr102dをオンとし、切替トランジスタTr101dをオフとすると、バッテリBATTの出力が、切替トランジスタTr102dを介して出力トランジスタTr111dのベース端子に与えられる。これにより、出力トランジスタTr111dのベース端子の電位がエミッタ端子の電位より高まり、出力トランジスタTr111dがオフとなる。この際、出力トランジスタTr111dは、ベース端子の電位がエミッタ端子の電位を上回ることでオフとなるので、出力トランジスタTr111dの電流の流れが遮断され、オペアンプ61の出力が接続線L1aに漏洩することがない。また、出力トランジスタTr112dがオンとなり、出力トランジスタTr111dがオフとなるため、接続線L2aが短絡及び接続線L1aが開放される。これにより、カレントミラー回路8の出力電流Irefが通電され、シンク電流I2が空燃比センサ2から通電される。
【0112】
以上のように、第5の実施の形態は、出力部11d及び切替部12dを備えたことにより、ソース電流I1及びシンク電流I2を制御すると共に、オペアンプ61の出力を接続線に漏洩することがない。
【0113】
<6.第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態について説明する。前述の第3の実施の形態では、切替部9の切替トランジスタTr91及びTr92を制御することにより、接続線L1及びL2の短絡と開放を行った。この場合、切替部9の制御により接続線L1及びL2のいずれかを開放させても、オフ制御されたトランジスタを介して開放させた接続線に微小な電流が通電され、電流値の測定において精度の低下を招く恐れがあった。
【0114】
これに対し、第6の実施の形態に係る電流制御回路5eは、切替部9を備える代わりに、出力部11e、及びグランドに接続された切替部12eを備える。切替部12eがグランドに接続されることにより、接続線L1及びL2のいずれかを開放させた場合には、開放させた接続線に通電される電流を遮断することができる。
【0115】
なお、第6の実施の形態は、第3の実施の形態及び第4の実施の形態と同様の構成を含むため、以下、第4の実施の形態との共通点を中心に説明する。なお、第3の実施の形態と共通の構成には、第3の実施の形態で説明した符号と同一の符号を付す。
【0116】
第6の実施の形態における電流制御回路の構成を説明する。
図10は、第6の実施の形態の電流制御回路5eの構成を示す。第3の実施の形態との主な相違点は、切替部9を備えず、出力部11e、切替部12e、及びバッファ64を備える点である。その他の構成は、第3の実施の形態と同様に構成され、また同様に機能する。
【0117】
出力部11eは、オペアンプ61の出力を制御する回路である。出力部11eは、NPN型の出力トランジスタTr111e及びTr111eを備える。
【0118】
出力トランジスタTr111eは、ベース端子がオペアンプ61の出力端子、エミッタ端子が抵抗部7の電気抵抗R71、コレクタ端子がカレントミラー回路8の出力側(すなわち、接続点A)に各々接続される。出力トランジスタTr112eは、ベース端子がオペアンプ61の出力端子、エミッタ端子が抵抗部7の電気抵抗R72、コレクタ端子が接続端子Tmに各々接続される。
【0119】
なお、出力部11eは、第4の実施の形態で説明した出力部11cと同様の動作を行うので、詳細な説明は省略する。
【0120】
切替部12eは、オペアンプ61の出力を出力トランジスタTr111e及びTr111eのいずれかに与えるよう制御する。
切替部12eは、NPN型の切替トランジスタTr121e及びTr122eを備える。
なお、切替部12eは、第4の実施の形態で説明した切替部12cと同様の動作を行うので、詳細な説明は省略する。
【0121】
以上のように、第6の実施の形態は、出力部11e及び切替部12eを備えたことにより、第4の実施の形態と同様に、ソース電流I1及びシンク電流I2を制御すると共に、オペアンプ61の出力を接続線に漏洩することがない。
【0122】
<7.第7の実施の形態>
次に、第7の実施の形態について説明する。前述の第1の実施の形態では、ソース電流I1を検出を、入力電流Irefを検出することで行っていた。すなわち、マイクロコンピュータMCは、電気抵抗R71に入力電流Irefが通電された場合に生じる電圧値Vr7と、電気抵抗R71の値とから入力電流Irefを検出した。そして、空燃比センサ2のインピーダンスRiの測定する際、入力電流Irefがソース電流I1と略同一として入力電流Irefを利用していた。これに対し、第7の実施の形態に係る電流制御回路5fは、空燃比センサ2のマイナス側に電流検知抵抗を設け、空燃比センサ2に通電されるソース電流I1を検出する。これにより、カレントミラー回路8の電流制御機能のバラツキに影響されず、ソース電流I1を精度よく検出し、精度の高いインピーダンスRiの検出を可能とする。
【0123】
なお、第7の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の構成を含むため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と共通の構成には、第1の実施の形態で説明した符号と同一の符号を付す。
【0124】
第7の実施の形態における電流制御回路の構成を説明する。
図11は、第7の実施の形態の電流制御回路5fの構成を示す。第1の実施の形態との主な相違点は、電流検出用抵抗Rmon、オペアンプOpA、及び基準電源VCinをさらに備えた点である。その他の構成は、第1の実施の形態と同様に構成され、また同様に機能する。
【0125】
電流検出用抵抗Rmonは、空燃比センサ2のマイナス側に接続される。電流検出用抵抗Rmonのプラス側端子Mon1とマイナス側端子Mon2とは、図示しない配線によりマイクロコンピュータMCに接続される。これにより、マイクロコンピュータMCは、電流検出用抵抗Rmonのプラス側端子Mon1に生じる電位Vmon1と、マイナス側端子Mon2に生じる電位Vmon2との電位差Vmonを検出し、空燃比センサ2のインピーダンスRiの検出に利用する。すなわち、マイクロコンピュータMCは、
図4における時刻t0における電流検出用抵抗Rmonに生じる電位差Vmon0と、ソース電流I1が一定量に通電された時刻(時刻t1の60[μsec]後程度)の電位差Vmon1との差分を検出し、インピーダンスRiの検出に利用する電位差Vmonを取得する。なお、電流検出用抵抗Rmonは、電流制御回路5fの外部に設置されるのが好ましい。電流制御回路5fの作製後に、抵抗器を交換しやすくするためである。
【0126】
オペアンプOpAは、電流検出用抵抗Rmonのマイナス側に接続され、空燃比センサ2及び電流検出用抵抗Rmonに通電されたソース電流I1を出力端子から吸収する。オペアンプOpAの反転入力端子は、電流検出用抵抗Rmonのプラス側に接続される。オペアンプOpAの非反転入力端子は、後述の基準電源VCinに接続される。
【0127】
基準電源VCinは、プラス側がオペアンプOpAの非反転入力端子に接続され、マイナス側がグランドに接続される。基準電源VCinは、例えば3.3[v]を出力する。
【0128】
このような構成において、マイクロコンピュータMCは、下記演算式により、ソース電流I1及び空燃比センサ2のインピーダンスRiを測定する。なお、空燃比センサ2のインピーダンスRiで生じる電圧降下を電圧値VRiとする。
【0129】
I1=Vmon/Rmon ・・・・・(3)
Ri=VRi/I1 ・・・・・(4)
以上のように、第7の実施の形態は、空燃比センサ2のマイナス側に電流検出用抵抗Rmonを設けたため、ソース電流I1と略同一のIrefでなく、空燃比センサ2に通電されるソース電流I1の値を利用して空燃比センサ2のインピーダンスRiを測定する。これにより、カレントミラー回路8の電流制御機能のバラツキに影響されず、ソース電流I1を精度よく検出することができる。したがって、ソース電流I1に基づく精度の高いインピーダンスRiの測定が可能となる。
【0130】
<8.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。様々な変形が可能である。以下、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜組み合わせ可能である。
【0131】
上記実施の形態では、電流が通電される負荷は空燃比センサ(いわゆる、A/Fセンサ)であると説明した。しかし、負荷は空燃比センサでなくともよい。例えば、酸素濃度センサ(いわゆる、O2センサ)であってもよい。要するに、定電流が通電され、インピーダンスが測定される負荷であればよい。
【0132】
また、切替トランジスタTr91をオンして空燃比センサ2のインピーダンスの測定を行ったが、切替トランジスタTr92をオンして行ってもよい。その場合、カレントミラー回路8の入力電流Irefを取得する代わりに、シンク電流I2を取得すればよい。
【0133】
抵抗部7を電流制御回路5の外部に設けたが、電流制御回路5の内部に設けてもよい。ただし、抵抗部7を電流制御回路5の外部に設けた場合には、電流制御回路5の作製後に抵抗部7の変更が容易となる。特に、電流制御回路5の作製者と使用者が異なる場合には、使用者が電流制御回路5の作製後に抵抗部7の電気抵抗の値を自由に変更でき、有用である。
【0134】
また、第3の実施の形態では、電気抵抗を2つ示したが、2つより多く接続してもよい。切替部と組み合わせ、いくつ接続してもよい。
【0135】
また、第2の実施の形態において、電気抵抗を複数設けてもよい。この場合、抵抗部7aが電気抵抗71aと並列に他の電気抵抗を備える。さらに抵抗部7aのバッテリBATT側に切替部を設け、バッテリBATTからの電流を所望の電気抵抗に通電すればよい。この場合、入力電流Iref及びソース電流I1を抵抗値の異なるいずれかの電気抵抗に通電し、入力電流Iref及びソース電流I1の電流値を抵抗値に応じて様々に変化させることができる。