(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の電極層の間に圧電セラミックス層を積層してなる複数の圧電素子と、各圧電素子をそれぞれ所定の面方向に並べた状態で収納する上部保護材及び下部保護材と、前記各圧電素子の少なくとも一方の電極層に接続された銅箔と、を含む複数の発電ユニットを具備し、
前記各発電ユニットを平面視略多角形状に形成して所定の設置面上に並設した床発電構造であって、
前記銅箔は、平面視で前記圧電セラミックス層の外縁に沿う所定幅を除く領域で前記電極層に貼り付けられ、
前記各発電ユニットのコーナーには面取り部が形成され、当該面取り部と、その近傍に位置する他の発電ユニットの面取り部とに跨って位置決め手段が設けられ、
前記位置決め手段は、前記設置面と前記下部保護材とに挟み込まれるベースと、前記面取り部の近傍位置において前記ベースから起立する支持部材と、前記支持部材の上端側に装着されるキャップとを含み、
前記キャップは、平面視で、隣接する前記面取り部間の空間を覆い、且つ、当該面取り部近傍における前記上部保護材の上面側に位置し、
前記支持部材は、前記ベースの上面から立設された段付軸部と、当該段付軸部の上部に連なって下端が前記段付軸部の上端より太く形成された先端部とを備え、
前記キャップの下面側には、前記段付軸部の上部が挿入される穴と、当該穴の上部に連なって前記先端部を収容可能な収納空間が形成され、当該収納空間の上下幅は、前記先端部の上下幅より大きく形成されていることを特徴とする床発電構造。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、特に明示しない限り、「左」、「右」は、
図1を基準とし、「前」は、
図1中上側について用いる一方、「後」は、
図1中下側について用いる。また、「上」、「下」は、
図2を基準として用いる。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る床発電構造を示す平面図であり、
図2は、上記床発電構造の一部の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図1に示す床発電構造10では、表面板11が左右及び前後方向に並んで複数設けられている。各表面板11の下方には発電ユニット12がそれぞれ設けられ、各発電ユニット12は、フロア面等の設置面13に配設される。表面板11及び発電ユニット12は、平面視で概略方形状に形成され、それらのコーナーとなる四隅の近傍には位置決め手段15,15Aが設けられている。また、前後に隣り合う表面板11の間には、照明装置16が表出するように設けられ、左右に隣り合う表面板11の間には、ウレタン等からなる目地材17が充填されている。なお、目地材17は、位置決め手段15の後述するキャップ52と、照明装置16及び表面板11の面取り部11cとの間にも充填されている。
【0014】
表面板11は、発電ユニット12の上面上に載置される(
図2参照)。表面板11は、石材からなる表板部11aと、この表板部11aの下面に接着剤によって接着された裏板部11bとを有している。表面板11の四隅には、面取り部11cが形成されている。裏板部11bは、鉄等の金属製とされ、表板部11aを補強するように設けられている。
【0015】
照明装置16は、左右方向に延びる筐体16aと、この筐体16aに内蔵されたLED等からなる複数の発光体16bとを備えている。筐体16aは、透明又は透光性を有する樹脂材によって形成されている。筐体16aの左右長さは、発電ユニット12及び表面板11の左右幅より若干短く形成されている。
【0016】
次に、発電ユニット12の構造について説明する。
図3は、後述する上部保護材22を省略した発電ユニット12の平面図である。
図2及び
図3に示すように、発電ユニット12は、左右及び前後方向に6×6列に並んで設けられた複数の圧電素子20と、各圧電素子20が載置される下部保護材21と、下部保護材21を上方からカバーする上部保護材22とを備えている。発電ユニット12は、下部保護材21及び上部保護材22のコーナーとなる四隅に面取り部12aが形成された形状に設けられる。下部保護材21及び上部保護材22は、相互に組み合わされた状態で、各圧電素子20をそれぞれ水平方向に向けて収納している。下部保護材21及び上部保護材22は、絶縁性ゴムによって構成されている。
【0017】
図4は、
図3の一部を拡大した平面図であり、
図5は、圧電素子及びその周辺構造の縦断面図である。
図6は、圧電素子及びその周辺構造の概略分解斜視図である。
図4ないし
図6に示すように、圧電素子20は、上下一対となる上電極層20a及び下電極層20bと、上電極層20a及び下電極層20bの間に位置する圧電セラミックス層20cとを積層してなる。圧電セラミックス層20cは、円形で板状の圧電性を示すセラミックスにより形成されている。下電極層20bは、円形の板状電極であり、上面に圧電セラミックス層20cが接着剤を介して接着される。上電極層20aは、圧電セラミックス層20cの上面に膜状に形成されている。上電極層20a及び下電極層20bの材料は、電気伝導性の高い金、銀、銅、黄銅、鉄、ステンレスおよびパラジウムのうち、少なくとも1種類から選択され、本実施の形態では、上電極層20aが銀、下電極層20bがステンレスとされる。圧電素子20においては、上電極層20a、圧電セラミックス層20c、下電極層20bの順に径寸法が大きくなっている。
【0018】
上電極層20aの上面には、上銅箔テープ24が貼り付けられ、下電極層20bの下面には、下銅箔テープ25が貼り付けられている。各銅箔テープ24,25は、面方向に高い導電性を発揮する銅箔に対し、導電性を有する粘着剤を積層してなり、粘着剤層が電極層20a,20bに接着されることで、当該電極層20a,20bと電気的に接続される。
【0019】
各銅箔テープ24,25は、前後方向に延びる基板27に接続されている。
図3に示すように、基板27は、左右方向に6列並ぶ圧電素子20の左から1列目と2列目との間、3列目と4列目との間、5列目と6列目との間にそれぞれ配設されている。そして、基板27は、左右両側から挟むように位置する圧電素子20に対し、各銅箔テープ24,25によって接続されている。左右方向中央に位置する基板27は、同方向両側の各基板27に連結用の銅箔テープ28によって電気的に接続されるとともに、照明装置16や所定の外部装置(不図示)に接続するための配線コード29が接続されている。
【0020】
図4ないし
図6に戻り、上銅箔テープ24は、略正方形状に形成された主部24aと、この主部24aの一端に連なって左右方向に延び、基板27の上面に接着している延出部24bとを備えた形状に設けられている。上銅箔テープ24と圧電素子20との間には、絶縁シート31が配設されている。絶縁シート31の面内には、上電極層20aより一回り小さい円形の穴31aが形成され、この穴31aの内側全領域で上電極層20aと上銅箔テープ24の主部24aとが接着されている。従って、上銅箔テープ24の主部24aは、平面視で圧電セラミックス層20cの外縁に沿う所定幅を除く領域で上電極層20aに接着される。この接着状態において、穴31aの外側となる上電極層20aの外縁に沿う所定幅領域、圧電セラミックス層20c、及び下電極層20bの各上面が絶縁シート31で覆われ、それら覆われた領域が上銅箔テープ24に対して絶縁される。
【0021】
下銅箔テープ25は、左右方向に延びる帯状に形成され、一端部が下電極層20bの下面に貼り付けられ、他端部が基板27の下面に貼り付けられている。
【0022】
図7は、下部保護材21の構成を説明するための図である。
図7Aは、下部保護材21の平面図であり、
図7Bは、
図7AのA−A端面図であり、
図7Cは、下部保護材21の正面図である。
図7に示すように、下部保護材21は、底部33と、この底部33から上方に膨出する本体部34とを備えている。底部33の外周側は、本体部34の外周より所定幅はみ出る形状に設けられている。また、底部33の四隅における下面側には、後述するベース50を受容する受容部33aが形成されている。受容部33aは、底部33の下面を部分的に凹ませることによって形成されている。
【0023】
本体部34の上面には、各圧電素子20の設置位置それぞれに受容部35が形成されている。受容部35は、本体部34の上面を圧電素子20と概略同一の平面形状に凹ませることによって形成され、受容した圧電素子20の水平方向の移動を規制している(
図5参照)。また、受容部35の内部における外周側には、平面視円環状をなす載置部35aが形成されている。載置部35aは、本体部34の上面より若干低い位置であって、受容部35の底部より高い位置で水平方向に形成され、圧電素子20の周辺部を下方から支持している。
【0024】
また、本体部34には、基板27が配置される3本の基板用溝37が形成されている。3本の基板用溝37のうち、中央の基板用溝37の前後(
図7A中上下)両側には、左右方向に延びる第1配線用溝38が形成され、これら第1配線用溝38には、基板用溝37より太い幅に形成されて前後方向に延びる第2配線用溝39が形成されている。第1及び第2配線用溝38,39には、配線コード29(
図3参照)が収容される。また、本体部34の面内中央部における二箇所位置には凹部40が形成されている。
【0025】
図8は、上部保護材22の構成を説明するための図である。
図8Aは、上部保護材22の平面図であり、
図8Bは、
図8AのB−B断面図であり、
図8Cは、上部保護材22の正面図である。
図8に示すように、上部保護材22は、頂部42と、この頂部42の外周から垂下する周壁部43とを備えた蓋状に形成されている。周壁部43は、下部保護材21及び上部保護材22を相互に組み合わせた状態で、本体部34を囲う位置に配設され、これにより、下部保護材21及び上部保護材22の前後及び左右方向の相対移動を規制する。頂部42の下面であって、各圧電素子20の設置位置に対応する位置には、下方に突出する突出部44が形成されている。各突出部44は、平面視円形に形成され、その外径寸法は、上電極層20aの外径寸法より小さく設定されている(
図5参照)。頂部42及び周壁部43における第2配線用溝39(
図7参照)に対応する位置には、スリット46が形成されている。頂部42の下面における面内二箇所位置には凸部47が形成され、これら凸部47は、凹部40の内部に挿入されて下部保護材21及び上部保護材22の前後及び左右方向の相対移動を規制する。
【0026】
上記発電ユニット12においては、表面板11上で人が歩行したり飛び跳ねたりすると、上部保護材22が押し下げられるように変形し、その際に生じる圧力が突出部44によって圧電素子20に加えられる。すると、載置部35aによって圧電素子20の周辺部が支持されるので、圧電素子20の中央が凹むように変形し、圧電セラミックス層20cが下方に撓んで大きなひずみが得られる。このひずみによって各電極層20a,20bに電圧が発生し、発生した電圧が基板27にて所定処理されることで電力として用いることができる。基板27にて得られた電力は、配線コード29に接続される照明装置16に供給され、発光体16bが点灯する。また、例えば、配線コード29に外部装置(不図示)として充電装置等が接続されている場合には、充電装置に電力供給されて充電が行われる。
【0027】
次いで、位置決め手段15,15Aの構造について説明する。ここで、
図1に示すように、床発電構造10の外周側に位置する位置決め手段15Aと、床発電構造10の内側に位置して4体の表面板11及び発電ユニット12で囲まれる位置決め手段15とは、共通する構成があるものの異なる構成となる。ここでは、先ず、後者の位置決め手段15について、以下に説明する。
【0028】
図9は、位置決め手段15の構成を説明するための図である。
図9Aは、位置決め手段15の平面図であり、
図9Bは、位置決め手段15の説明用断面図である。
図9に示すように、位置決め手段15は、設置面13に載置されるベース50と、ベース50から起立する4本のピン(支持部材)51と、これらピン51の上端側に装着されるキャップ52とを備えている。位置決め手段15は、4体の表面板11及び発電ユニット12の各面取り部11c,12aが一箇所に集まる位置に設けられる。
【0029】
ベース50は、金属等からなる平面視方形の板部材によって形成されている。ベース50は、4体の発電ユニット12における受容部33aにそれぞれ受容され、当該受容部33aを形成する下部保護材21と設置面13との間に挟み込まれて上下移動が規制される。
【0030】
ピン51は、4体の発電ユニット12における面取り部12aの近傍位置にそれぞれ配設されている。ピン51は、ベース50の上面から立設された段付軸部54と、この段付軸部54の上部に連なって外周面がテーパ面とされた先端部55とを有している。先端部55は、下端から上端に向かうに従って次第に細くなるように形成されている。先端部55の下端は、段付軸部54の上端より太い径寸法に形成されている。
【0031】
キャップ52は、平面視で、表面板11の面取り部11c及び照明装置16の端部に所定の隙間を隔てて概略六角形状に形成されている。従って、キャップ52は、4体の発電ユニット12において隣接する面取り部12a間の空間Sを上方から覆う形状に設けられている。キャップ52の下面側には、4本のピン51に対応する位置に穴59が形成され、穴59の上部に連なって先端部54を収容可能な収納空間60が形成されている。穴59の内径寸法は、先端部55及び段付軸部54の各上端より大きく、且つ、先端部55の下端より小さく形成されている。収納空間60の上下幅は、先端部55の上下幅より大きく形成されている。
【0032】
次いで、位置決め手段15の設置作業について説明する。先ず、治具等を利用して、ベース50及びこれを囲んで位置する4体の発電ユニット12を設置面13上の所定位置に配置する。このとき、ベース50が受容部33a内に受容され、下部保護材21と設置面13とにより挟み込まれる。そして、キャップ52の各穴59内に4本のピン51の先端部55上端側が挿入されるよう、各ピン51の上部にキャップ52を載置する。この載置によって、穴59の形成縁が、先端部55の外周に形成されたテーパ面に接触した状態となる。この状態から、キャップ本体59を下方に押し込むと、穴59の周りが弾性変形し、先端部55が穴59を通過して収納空間60に収納され、各ピン51に対しキャップ52が装着される。
【0033】
各ピン51にキャップ52が装着されると、段付軸部54が穴59に挿入されるので、キャップ52の左右及び前後方向の移動が規制され、且つ、キャップ52が上下方向に僅かに変位し得る、いわゆる遊びを有する状態となる。本実施の形態では、
図8Bに示すように、先端部55上に収納空間60の上部形成面が載置され、キャップ52の下方への移動が規制されている。この状態から、キャップ52を上方に変位させる外力が作用した場合、キャップ52が上記の遊び分変位した後、先端部55の下端に収納空間60の下部形成面が接触して上方への移動が規制される。
【0034】
この装着状態において、発電ユニット12の面取り部12a近傍の上面側にキャップ52の外周側が位置している。具体的には、
図9Bに示すように、発電ユニット12の上面に隙間Cを隔ててキャップ52が位置している。従って、発電ユニット12に浮き上がる外力が加わった場合、隙間Cとキャップ52の上記遊び分、発電ユニット12の外周側が若干上昇するものの、その後は、キャップ52によって上昇が規制される。また、常時は、キャップ52によって、発電ユニット12が下方に押さえ付けられないので、キャップ52によって圧電素子20に圧力が加わらないようにすることができる。これにより、歩行等による圧力によって、当該圧力が加わる前後で圧電セラミックス層20cのひずみの差を大きくでき、発生する電圧も大きくなって発電効率を高めることができる。
【0035】
ここで、
図1に示すように、床発電構造10の外周側に位置する位置決め手段15Aについては、上述した位置決め手段15に対し、周辺に位置する発電ユニット12の設置数や照明装置16の設置の有無に応じて、キャップ52の平面形状を変更している。また、この変更に応じて、ピン51の設置数や、穴59の形成数、ベース50の平面形状等を変更しているが、ピン51に対するキャップ52の装着構造は共通し、キャップ52が発電ユニット12の上面側に位置して同様の機能を発揮し得るので、ここでは、説明を省略する。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係る床発電構造10によれば、発電ユニット12の四隅においてキャップ52が被さるように位置するので、発電ユニット12が設置面13から上方に大きく離れることを規制することができる。これにより、例えば、発電ユニット12の左端側に強い圧力が加わっても、その反対側の右端側が浮き上がることを回避でき、ひいては、浮き上がり後の落下によって発電ユニット12が設置面13に叩き付けられることを防止することができる。この結果、発電ユニット12に衝撃が付与されることを回避でき、圧電セラミックス層20cに割れが発生することを防止して発電効率を良好に保つことができる。
【0037】
また、上電極層20aに上銅箔テープ24が接着されるので、上銅箔テープ24によって通電可能としつつ、上電極層20a及び圧電セラミックス層20cを補強することができる。特に、上銅箔テープ24の主部24aは、絶縁シート31の穴31a内となる円形領域で接着されるので、主部24aによる補強作用を圧電セラミックス層20cにおいて広い領域で得ることができる。しかも、仮に、圧電セラミックス層20cに強い衝撃が加えられて割れたとしても、主部24aの補強作用によって圧電セラミックス層20cが多数の小片状にならず、2,3枚程度の大きい片状とした状態で発電を継続することができる。
【0038】
次に、本発明の第1の実施の形態以外の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施の形態と同一若しくは同等の構成部分については必要に応じて同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0039】
(第2の実施の形態)
図10は、第2の実施の形態に係る床発電構造を示す平面図であり、
図11は、
図10のC−C拡大断面図である。本実施の形態の床発電構造10Aは、表面板11Aが左右方向に複数(本実施の形態では4体)並んで設けられている。各表面板11Aは、第1の実施の形態の表面板11に対し、面取り部11cを形成しない点を除き同様の構造とされ、平面視で正方形状に形成されている。表面板11Aの下方には、第1の実施の形態の発電ユニット12と同構造の発電ユニット12がそれぞれ設けられ、発電ユニット12の上面に表面板11Aが載置される。発電ユニット12は、設置面13に両面テープ(不図示)を介して接着された板体70の上面に設置されている。また、床発電構造10Aでは、各発電ユニット12を囲う位置に、位置決め手段71が設けられている。
【0040】
位置決め手段71は、各発電ユニット12の外縁に沿う位置において、板体70の上面上に配置された下枠部材73と、下枠部材73に嵌合可能に設けられたキャップ74とを備えている。下枠部材73及びキャップ74は、各発電ユニット12の外周に沿う方向に延在しており、本実施の形態では、アルミニウムによって構成されている。位置決め手段71の右側には、当該位置決め手段71による高さ方向の段差を埋めるようにスロープ部材75が設けられる。
【0041】
下枠部材73は、板体70に載置されるベース76と、ベース76から起立する支持部材77とを備えている。支持部材77の上部には、キャップ74の後述する挿入部材81が挿入される受容部78が形成されている。受容部78は断面視凹状に形成され、その内部に傾斜面と水平面とが交互に形成される凹凸面を備えている。
【0042】
キャップ74は、細長い板状部材によって形成されたキャップ本体80を備えている。キャップ本体80は、表面板11Aにおける外周寄りの上面側に位置している。従って、キャップ本体80は、表面板11Aの下方に位置する発電ユニット12の外周近傍であって上部保護材22の上面側に位置することとなる。キャップ本体80の下面には、挿入部材81が下方に向かって突出しており、挿入部材81は、受容部78の内側に挿入可能に形成されている。挿入部材81は、
図11中左右両面に、受容部78の凹凸面に対応して傾斜面と水平面とが交互に形成される凹凸面を備えている。受容部78に挿入部材81を挿入したときに、挿入部材81の凹凸面は、受容部78の凹凸面と嵌合し、この嵌合によってキャップ74が下枠部材73に対し、意図的な外力を加えない限り移動不能に装着される。また、受容部78と挿入部材81との各凹凸面の嵌合位置は、傾斜面と水平面とが交互に形成されることから、上下方向に位置調整可能となり、ひいては、キャップ本体80の高さを調整できるようになっている。
【0043】
以上のように、本実施の形態に係る床発電構造10Aによれば、発電ユニット12上の表面板11Aに被さるように細長いキャップ本体80が位置するので、発電ユニット12の外周全範囲において大きく浮き上がることを規制することができる。従って、本実施の形態に係る床発電構造10Aによっても、発電ユニット12に衝撃が加わって圧電セラミックス層20cに割れが発生することを防止することが可能となる。
【0044】
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
【0045】
(第3の実施の形態)
図12は、第3の実施の形態に係る床発電構造を示す平面図であり、
図13は、第3の実施の形態の受け体及び発電ユニットの平面図である。
図14は、
図12のD−D拡大断面図である。本実施の形態の床発電構造10Bは、表面板11Bが左右方向に複数(本実施の形態では2体)並んで設けられている。各表面板11Bは、第1の実施の形態の表面板11に対し、面取り部11cを形成しない点を除き同様の構造とされ、平面視で正方形状に形成されている。表面板11Bは、箱体90の上面側に配置されている。箱体90の内部には、第1の実施の形態の発電ユニット12と同構造の発電ユニット12が複数(本実施の形態では2体)収納された状態で設置される。
【0046】
箱体90は、2体の発電ユニット12が敷設される受け体91と、この受け体91の上方に被せられる蓋体92とを備えている。受け体91及び蓋体92は、本実施の形態では、ステンレスによって構成されている。
【0047】
受け体91は、2体並んだ発電ユニット12に応じた平面形状をなす底壁93と、この底壁93の外周側から起立する側壁94とを備えて有底容器状に形成されている。側壁94の上下高さは、発電ユニット12の上下高さより低く形成されている。従って、受け体91に収納された発電ユニット12の上部領域は、側壁94の上端から上方にはみ出た状態となる。
【0048】
蓋体92は、側壁94の外面に沿って位置する第1周壁96と、この第1周壁96の上端に連なる頂壁97とを備えている。第1周壁96の上下高さは、発電ユニット12の上下高さより小さく形成されている。従って、受け体91を蓋体92によって閉蓋したときに、蓋体92の頂壁97が発電ユニット12の上面に接し、当該発電ユニット12に蓋体92が載置された状態となる。第1周壁96の外面には、第2周壁98が設けられている。第2周壁98の上端位置は、頂壁97より高く形成され、上部を開放して2枚の表面板11Bを収納する収納空間を形成している。第2周壁98の内面と表面板11Bとの間、及び、2枚の表面板11Bの間には、ウレタン等からなる目地材99が充填されている。
【0049】
なお、本実施の形態における床発電構造10Bの設置にあっては、図示を省略したが、箱体90の外周に沿って箱体90の高さ分の段差を埋めるためのスロープ部材を設けたり、箱体90に対応する平面サイズ及び深さの凹部を設置面に形成して箱体90を嵌め込んでもよい。
【0050】
以上のように、本実施の形態に係る床発電構造10Bによれば、表面板11Bに外力が加わったときに、表面板11B及び蓋体92を介して発電ユニット12の圧電素子20に圧力を加えることができる。また、各発電ユニット12に蓋体92を載せ、この蓋体92に更に2枚の表面板11Bが設置されるので、発電ユニット12が大きく浮き上がって衝撃を受けることを回避することができる。従って、本実施の形態に係る床発電構造10Bによっても、圧電セラミックス層20cに割れが発生することを防止することが可能となる。しかも、箱体90によって2体の発電ユニット12を全体的にカバーして保護することができる。
【0051】
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0053】
例えば、発電ユニット12の平面形状は、四角形以外の多角形状に変更して並設してもよい。
【0054】
また、圧電素子20や各銅箔テープ24,25等の平面形状は、上記実施の形態と同様に機能し得る限りにおいて、他の形状に変えてもよい。