(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ろ層に外部から気体が供給される、あるいは、ろ層内部に気泡が発生するろ層の洗浄方法であって、所定のろ過時間経過後、または、ろ過池内水位がろ過可能限界水位に到達した場合に行う洗浄と、次に該洗浄を行う間に、該洗浄よりも相対的に簡易な洗浄を行い、前記簡易な洗浄を行って生じた洗浄排水を、ろ過装置から排出せずに再度ろ過することを特徴とするろ層の洗浄方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原水中に含まれる懸濁成分は、ろ材粒径の細かいろ層表面で最も捕捉され易いため、ろ層は捕捉した懸濁物質で表面付近が蓋をされるような状況となる。この捕捉された懸濁物質により形成される蓋によって、外的要因または内的要因で発生したガスが、ろ層内部に抑留される現象が起きる。すなわち、蓋に邪魔されて、液相側に逃げることができない。特に、有機源を人為的に添加して反応を促進することがある脱窒ろ過法の場合は、添加した有機源によって微生物が顕著に増殖し、原水中の懸濁物質と相まって、ろ層表層の目詰まり(蓋効果)を促進する傾向がある。
【0007】
ところで、生物ろ過装置の重要な処理性能として、前述の溶解性物質の除去能と懸濁物質の除去能に加え、洗浄無しで、ろ過を継続することが可能な時間の長さ(ろ過継続時間)が挙げられる。ろ過継続時間が短いと、次のようなデメリットがある。まず、頻繁に洗浄を行うことになるため、洗浄に使用する処理水の量が増えて、装置から得られる正味の処理水量が減少することが挙げられる。また、設備の稼働率(正味のろ過時間)が低下するので、規定の排水量を常時処理するために、予備のろ過装置が必要となることも挙げられる。これらのデメリットを回避するために、生物ろ過装置において、ろ過継続時間を長くすること、すなわち、洗浄回数を減らすことは重要な課題となっている。
【0008】
しかし、前述した好気性ろ床法や脱窒ろ過法では外的要因または内的要因によって、ろ層内部に、それらのガスが発生し、さらに原水中の懸濁物質に起因して発生するろ層表層の蓋によって、そのガスがろ層内部から抜けないという現象が頻繁に観察されるようになった。
このろ層内に捕捉されたガスは、ガスが存在する空間を水が通過することを妨げる。水が通過できるのはガスが存在しない空間だけとなるため、ガスが無い場合に比べて、ろ層の通過流速が上昇する。その結果、ろ層通過時の圧力損失が高まって、ろ抗の上昇が速められる。
【0009】
通常、ろ抗はろ層に汚濁物質が捕捉されるにつれて上昇するものだが、ろ層内にガスが存在すると、前述の通り、ろ材に濁質抑留能力が十分に残存しているにも関わらず、ろ抗が上昇してしまう現象が起きる。そのため、ろ材は、まだ汚濁物質を抑留できるにも関わらず、池内水位が、ろ過可能限界水位に到達して洗浄せざるを得なくなってしまう。これは、いたずらに洗浄頻度を増加させることとなり、前述のデメリットを引き起こす。
これらのことから、生物ろ過装置において、ろ過継続時間の増加は重要な課題でありながら、それを達成するためには、ろ層内部に抑留されているガスを除去することが必要であり、それには、ろ層表層に蓋をする様に捕捉されている懸濁物質および増殖した微生物を適宜排除する必要があることが分かった。
【0010】
本発明は、研究の結果明らかにしたろ抗上昇のメカニズムをもとに、抽出した上記課題を解決するものである。
すなわち、本発明の目的は、ろ層を通過する流体の流速が下がり、ろ過抵抗が下がって、ろ過継続時間の延長を図ることができるので、設備の稼働率低下を防止し、過大な予備設備の設置を抑制することができ、さらに洗浄水量の増加を防止することができるろ層の洗浄方法および水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記のような課題を解決するために鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は、ろ層に外部から気体が供給される、あるいは、ろ層内部に気泡が発生するろ層の洗浄方法であって、所定のろ過時間経過後、または、ろ過池内水位がろ過可能限界水位に到達した場合に行う洗浄と、次に該洗浄を行う間に、該洗浄よりも相対的に簡易な洗浄を行うことを特徴とするろ層の洗浄方法である。
このようなろ層の洗浄方法を、以下では「本発明の方法」ともいう。
【0012】
本発明の方法は、前記簡易な洗浄が水洗浄であることが好ましい。
【0013】
本発明の方法は、前記ろ層で好気性ろ床法または生物ろ過による脱窒処理が行われることが好ましい。
【0014】
本発明の方法は、前記簡易な洗浄が、線速度が0.1〜1.5m/分で、洗浄時間が5秒〜5分である水洗浄であることが好ましい。
【0015】
本発明の方法は、前記簡易な洗浄を行って生じた洗浄排水を、ろ過装置から排出せずに再度ろ過することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、ろ層に外部から気体が供給される、あるいは、ろ層内部に気泡が発生するろ層に処理対象水を通過させてろ過するための水処理装置であって、汚濁物質を除去するろ材と、ろ材を支える支持層と、水洗浄を行う水洗浄手段と、所定のろ過時間経過後、または、ろ過池内水位がろ過可能限界水位に到達した場合に行う洗浄と、次に該洗浄を行う間に、該洗浄よりも相対的に簡易な洗浄を行うように制御する制御部と、を備えることを特徴とする水処理装置である。
このような水処理装置を、以下では「本発明の装置」ともいう。
【0017】
本発明の方法は、本発明の装置によって実施することが好ましい。
以下において単に「本発明」と記した場合、本発明の方法および本発明の装置のいずれをも意味するものとする。
【0018】
本発明の装置は、空気洗浄を行う空気洗浄手段を有することが好ましい。
【0019】
本発明の装置は、ろ過池を複数備え、前記制御部が、複数のろ過池の内のいずれの池も所定のろ過時間経過後、または、ろ過池内水位がろ過可能限界水位に到達した場合に行う洗浄を行っていない場合、または、複数のろ過池の内の一池が該洗浄工程中でも、前記洗浄手段を使用していないときに、その他の一池が前記簡易な洗浄を行うように制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ろ層を通過する流体の流速が下がり、ろ過抵抗が下がって、ろ過継続時間の延長を図ることができるので、設備の稼働率低下を防止し、過大な予備設備の設置を抑制することができ、さらに洗浄水量の増加を防止することができるろ層の洗浄方法および水処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の方法を実施することができる水処理装置について、図を用いて説明する。
図1は本発明の方法を実施することができる水処理装置10の概略図である。水処理装置10は、本発明の装置の好適態様であり、好気性ろ床法によって原水14をろ過処理して処理水15を排出する装置である。
【0023】
図1に示す水処理装置は、外的要因によって(すなわち、外部から気体が供給されて)内部に気泡が発生するろ層12に処理対象水(原水14)を通過させてろ過するための水処理装置10であって、汚濁物質を除去するろ材16と、ろ材16を支える支持層18と、ろ層の洗浄を行う水洗浄手段20および空気洗浄手段22と、ろ層の洗浄と洗浄の間に該洗浄に対し相対的に簡易な洗浄(以下では「簡易洗浄」ともいう)を行うように制御する制御部24とを備える。さらに、水処理装置10は、溶解性有機物の除去や、アンモニア性窒素・亜硝酸性窒素の酸化を目的として、ろ過中にろ層12の下部から溶存酸素を供給するための散気手段26を備える。なお、所定のろ過時間経過後、または、ろ過池内水位がろ過可能限界水位に到達した場合に行われる洗浄を、以下では「通常洗浄」ともいう。通常洗浄としては、例えば従来公知の逆洗洗浄が挙げられる。
【0024】
ここで、ろ層12はろ材16が処理槽28内に充填されてなるものであり、支持層18は細かい砂利等が処理槽28内に充填されてなるものである。支持層18は処理槽28内でろ層12を支える役割を果たす。また、支持層18内には後述する散気部材Aおよび散気部材Bならびに逆洗部材32が設置されている。なお、散気部材Aおよび散気部材Bならびに逆洗部材32は、支持層18の下方に設置されていてもよい。
【0025】
そして、処理槽28内へ、その上部から原水供給管33を通じて原水14を供給し、下降流にて、その内部に充填されたろ材16からなるろ層12を通過させることによってろ過し、下部から処理水15として排出されるように構成されている。
【0026】
水洗浄手段20は、逆洗部材32、逆洗用弁34、洗浄水供給管36および逆洗ポンプ38を備える。逆洗部材32は洗浄水供給管36を介して逆洗ポンプ38と繋がっていて、逆洗用弁34を開け、逆洗ポンプ38を駆動させることで、外部から洗浄水40を洗浄水供給管36を通じて、逆洗部材32から処理槽28内へ供給して、ろ材16を洗浄できるように構成されている。
【0027】
空気洗浄手段22は、散気部材B、空洗用空気弁42、空気供給管44および空洗ブロワ46を備える。散気部材Bは空気供給管44を介して空洗ブロワ46と繋がっており、空洗用空気弁42を開け、空洗ブロワ46を駆動することで、外部の空気を空気供給管44を通じて、散気部材Bから処理槽28内へ供給して、ろ材16を洗浄できるように構成されている。
【0028】
散気手段26は、散気部材A、散気用空気弁48、空気供給管50および散気ブロワ52を備える。散気部材Aは空気供給管50を介して散気ブロワ52と繋がっており、散気用空気弁48を開け、散気ブロワ52を駆動することで、外部の空気を空気供給管50を通じて、散気部材Aから処理槽28内へ供給するように構成されている。このようにして空気がろ材16へ供給されることで、溶解性の有機物やアンモニア性窒素・亜硝酸性窒素が酸化され分解される。
【0029】
制御部24は、散気ブロワ52、空洗ブロワ46および逆洗ポンプ38の駆動または停止、ならびに各弁の開閉を制御することができるように構成されている。
【0030】
制御部24による制御フローについて、
図2を用いて説明する。
制御部24では、ろ過が開始されたときに、ろ過タイマーおよび簡易洗浄タイマーをリセットし、各タイマーのカウントを開始する(S60)。ここでろ過タイマーおよび簡易洗浄タイマーの設定時間は任意に定めることができ、処理対象水(原水)の種類等によって適した時間を設定する。このとき、ろ過タイマー時間>簡易洗浄タイマー時間である。
そして、ろ過が進行し(S62)、簡易洗浄タイマーが設定時間に達したならば(S64)、簡易洗浄工程を開始する(S66)。その後、簡易洗浄が完了したならば、ろ過工程を再開する。ここで、再度、簡易洗浄タイマーをリセットし、カウントを初めから行う(S68)。
次に、ろ過が行われている際に(S70)、ろ過タイマーが設定時間に達するか、またはろ抗水位が上限値に到達するかを測り(S72)、いずれかに該当する場合(YES)は、通常洗浄を実施し(S74)、その後、ろ過開始に戻る(S60)。これに対して、ろ過タイマーが設定時間に達するか、またはろ抗水位が上限値に到達するかを測り、いずれにも該当しない場合(NO)は、簡易洗浄タイマーが設定時間に達したかを確認する(S76)。そして、達した場合(YES)、簡易洗浄工程を実施(S78)した後、ろ過工程に戻る(S68)。また、簡易洗浄タイマーが設定時間に達していない場合(NO)は、ろ過工程を継続する(S70へ戻る)。
ここで、S72とS76との処理順番は逆であってもよく、S72の確認とS76の確認とを同時に行ってもよい。
本発明の装置は、このような制御部を有することが好ましい。
【0031】
次に、本発明の方法を実施することができる別の水処理装置について、図を用いて説明する。
図3は本発明の方法を実施することができる水処理装置80の概略図である。水処理装置80は、本発明の装置の好適態様であり、脱窒ろ過法によって原水14をろ過処理して処理水15を排出する装置である。
【0032】
図3に示す水処理装置80が、
図1に示した水処理装置10と異なるところは、散気手段26(散気部材A、散気用空気弁48、空気供給管50および散気ブロワ52)を有していない点と、有機源としてのメタノール(
図3にはメタノールと記したが、代わりに例えばイソプロパノールを用いてもよい)を原水に添加できる態様を備えている点と、適用する生物ろ過法の種類が異なる(好気性ろ床法に対して脱窒ろ過法)ことに基づく点(例えばろ層内の微生物の種類等)とであり、それ以外については同じ態様である。制御部24による制御フローについても、
図2を用いて説明したものと同様であってよい。
図3では、
図1に示した水処理装置と同じものについては、同じ符号を付している。
【0033】
図3に示す水処理装置は、内的要因(すなわち、例えば自発的な脱窒)によって内部に気泡が発生するろ層12に処理対象水(原水14)を通過させてろ過するための水処理装置80であって、汚濁物質を除去するろ材16と、ろ材16を支える支持層18と、ろ層の洗浄を行う水洗浄手段20および空気洗浄手段22と、通常洗浄と通常洗浄の間に該洗浄に対し相対的に簡易な簡易洗浄を行うように制御する制御部24とを備える。
【0034】
次に、本発明の方法を実施することができる、さらに別の水処理装置について、図を用いて説明する。
図4は本発明の方法を実施することができる水処理装置90の概略図である。水処理装置90は、本発明の装置の好適態様であり、好気性ろ床法によって原水14をろ過処理して処理水15を排出する装置である。
【0035】
図4に示す水処理装置90が、
図1に示した水処理装置10と異なるところは、ろ過池が複数存在し(本図では3つ記載してある。複数であれば、2つでも良いし、3つ以上でも良い)、一方で、逆洗ポンプ38および空洗ブロワ46が各々1つずつ存在して、各ろ過池における水洗および空洗を各々1つの逆先ポンプおよび空洗ブロワで賄っている点であり、それ以外については同じ態様である。ただし、
図4では、制御部の記載を省略している。
図4に示す水処理装置90では、
図1に示した水処理装置10が有するものと類似する制御部を有している。制御部による制御フローは、
図2を用いて説明したものと異なる箇所があるので、次に説明する。
なお、
図4では、
図1に示した水処理装置と同じものについては、同じ符号を付している。
【0036】
図4に示す水処理装置90が有する制御部による制御フローについて、
図5を用いて説明する。本例は、簡易洗浄手段が水洗浄手段のみを用いる場合を表している。
制御部では、ろ過が開始されたときに、ろ過タイマーおよび簡易洗浄タイマーをリセットし、各タイマーのカウントを開始する(S100)。ここでろ過タイマーおよび簡易洗浄タイマーの設定時間は任意に定めることができ、処理対象水(原水)の種類等によって適した時間を設定する。
そして、ろ過が進行し(S102)、簡易洗浄タイマーが設定時間に達したならば(S104)、他池の洗浄で逆洗ポンプ38を使用しているか否かを確認する(S106)。ここで使用していない場合(NO)は簡易洗浄工程を開始する(S112)が、使用している場合(YES)は、ろ過を継続し(S108)、他池での逆洗ポンプ38の使用が終了しているかを確認し(S110)、終了していなければ(NO)、さらにろ過を継続する(S108)。そして、他池での逆洗ポンプ38の使用が終了していれば(YES)、簡易洗浄工程を開始する(S112)。その後、簡易洗浄工程が完了したならば、ろ過工程を再開する。ここで、再度、簡易洗浄タイマーをリセットし、カウントを初めから行う(S114)。
次に、ろ過が行われている際に(S116)、ろ過タイマーが設定時間に達するか、またはろ抗水位が上限値に到達するかを測り(S118)、いずれかに該当する場合(YES)は、通常洗浄を実施し(S120)、その後、ろ過開始に戻る(S100)。これに対して、ろ過タイマーが設定時間に達するか、またはろ抗水位が上限値に到達するかを測り、いずれにも該当しない場合(NO)は、簡易洗浄タイマーが設定時間に達したかを確認する(S122)。そして、達していなかった場合(NO)、ろ過工程を継続する(S116)。また、達した場合(YES)、他池の洗浄で逆洗ポンプ38を使用しているか否かを確認する(S124)。ここで使用していない場合(NO)は簡易洗浄工程を開始する(S130)が、使用している場合(YES)は、ろ過を継続し(S126)、他池での逆洗ポンプ38の使用が終了しているかを確認し(S128)、終了していなければ(NO)、さらにろ過を継続する(S126)。そして、他池での逆洗ポンプ38の使用が終了していれば(YES)、簡易洗浄工程を開始する(S130)。その後、簡易洗浄が完了したならば、ろ過工程を再開する。ここで、再度、簡易洗浄タイマーをリセットし、カウントを初めから行う(S114)。
ここで、S118とS122との処理順番は逆であってもよく、S118の確認とS122の確認とを同時に行ってもよい。
本発明の装置は、このような制御部を有することが好ましい。
【0037】
図4に示す水処理装置は、外的要因によって(すなわち、外部から気体が供給されて)内部に気泡が発生するろ層12に処理対象水(原水14)を通過させてろ過するための水処理装置90であって、汚濁物質を除去するろ材16と、ろ材16を支える支持層18と、水洗浄を行う水洗浄手段20および空気洗浄を行う空気洗浄手段22と、通常洗浄と通常洗浄の間に該洗浄に対し、相対的に簡易な簡易洗浄を行うように制御する制御部とを備える。そして、ろ過池を複数備え、前記制御部が複数のろ過池の内のいずれの一池も洗浄していない場合に、または、洗浄工程中でも、水洗浄手段を使用していないときに、その他の一池が簡易な洗浄を行うように制御することができる。
このような水処理装置90では、他の池が洗浄工程中でも、逆洗ポンプを使用していない工程中に、簡易洗浄を行えるプログラムを持つ制御部を用いたため、簡易洗浄用の逆洗ポンプを別途設置することなく、簡易洗浄を実施できる。そして、簡易洗浄を行った結果、付帯設備はそのままに、ろ過継続時間の延長を達成することができる。
【0038】
次に、本発明の方法を実施することができる、さらに別の水処理装置について、図を用いて説明する。
図6は本発明の方法を実施することができる水処理装置130の概略図である。水処理装置130は、本発明の装置の好適態様であり、脱窒ろ過法によって原水14をろ過処理して処理水15を排出する装置である。
【0039】
図6に示す水処理装置130が、
図4に示した水処理装置90と異なるところは、散気手段26(散気部材A、散気用空気弁48、空気供給管50および散気ブロワ52)を有していない点と、有機源としてのメタノール(
図6にはメタノールと記したが、代わりに例えばイソプロパノールを用いてもよい)を原水に添加できる態様を備えている点と、適用する生物ろ過法の種類が異なる(好気性ろ床法に対して脱窒ろ過法)ことに基づく点(例えばろ層内の微生物の種類等)とであり、それ以外については同じ態様である。制御部による制御フローについても、
図5を用いて説明したものと同様であってよい。ただし、
図6では、制御部の記載を省略している。
図6では、
図5に示した水処理装置と同じものについては、同じ符号を付している。
【0040】
図6に示す水処理装置は、内的要因によって内部に気泡が発生するろ層12に処理対象水(原水14)を通過させてろ過するための水処理装置130であって、汚濁物質を除去するろ材16と、ろ材16を支える支持層18と、水洗浄を行う水洗浄手段20および空気洗浄手段22と、通常洗浄と通常洗浄の間に該洗浄に対し、相対的に簡易な簡易洗浄を行うように制御する制御部24とを備える。
【0041】
本発明の方法では、例えば
図1または
図4に示した水処理装置10または水処理装置90を用いて処理対象水に好気性ろ床法を適用してろ過処理する際や、例えば
図3または
図6に示した水処理装置80または水処理装置130を用いて処理対象水に脱窒ろ過法を適用してろ過処理する際に、水洗浄手段、空気洗浄手段を組み合わせて用いたり、洗浄の程度を調整することで、ろ層の洗浄と、次に該洗浄を行うまでの間に該洗浄に対して相対的に簡易な洗浄とを行う。
【0042】
ろ層の洗浄と、次に該洗浄を行うまでの間に該洗浄に対して相対的に簡易な洗浄を行うと、表層を覆う懸濁物質および微生物が排除され、ろ層内部のガスがろ層上の液相側に逃げることが可能となる。その結果、ろ層内部で水の流れを妨げていたガスが無くなって、ろ層を通過する流体の流速が下がり、ろ過抵抗が下がって、ろ過継続時間の延長を図ることを可能とする。
簡易な洗浄を行うことで、設備の稼働率低下を防いだり、過大な予備設備の設置を抑えることが可能となる。ただし、該簡易な洗浄が有効なのは、ろ材に濁質捕捉能力が残っているにも関わらず、ろ層内部のガス溜まりによってろ抗が上昇してしまう場合であり、ろ材の濁質捕捉能力が飽和している場合は、該簡易な洗浄ではなく、ろ層の洗浄を行う必要がある。
【0043】
ここで、前記ろ層の洗浄とは、所定のろ過時間経過後、または、ろ過池内水位がろ過可能限界水位に到達した場合に行われる洗浄で、例えば従来公知の逆洗洗浄が挙げられる(本明細書内では該洗浄をさして通常洗浄としている箇所もあるが、その意味は同様である。)。生物ろ過装置の場合、水洗浄、空気・水同時洗浄および空気洗浄から選ばれる少なくとも1つの洗浄を行うことが一般的で、通常は水洗浄、空気・水同時洗浄、空気洗浄の全てを実施する。
また、前記ろ層の洗浄に対して相対的に簡易な洗浄とは、前記洗浄よりも簡易な洗浄であれば、全てを意味している(本明細書内では該簡易な洗浄をさして簡易洗浄としている箇所もあるが、その意味は同様である。)。例えば、通常洗浄が水洗浄、空気・水同時洗浄および空気洗浄の3つの工程からなる場合に、簡易洗浄とは、水洗浄のみを行う場合等、工程数が少ない洗浄である場合が挙げられる。また、例えば、通常洗浄が水洗浄のみである場合に、簡易洗浄とは、相対的に処理時間が短かったり、使用する水量が少ない(線速度が低い)水洗浄を行う場合が挙げられる。また、例えば、通常洗浄が空気洗浄のみである場合に、簡易洗浄とは、相対的に処理時間が短かったり、使用する空気量が少ない(線速度が低い)空気洗浄を行う場合が挙げられる。例えば、通常洗浄が水洗浄、空気・水同時洗浄および空気洗浄の3つの工程からなる場合に、簡易洗浄とは、使用する水量が少ない水洗浄のみを行う場合が挙げられる。
【0044】
このように、通常洗浄よりも簡易な洗浄であれば、全てが簡易洗浄となる。ろ過装置が通常行っている洗浄が通常洗浄であり、それは所定のろ過時間経過後、または、ろ過池内水位がろ過可能限界水位に到達した場合に行われる。そして、簡易洗浄は通常洗浄よりも簡易な洗浄であればよい。すなわち、通常洗浄と簡易洗浄とは、絶対的な定義を持つものではなく、通常洗浄に比べて簡易であれば簡易洗浄となる。各ろ過装置によって通常洗浄の内容は異なるため、各ろ過装置毎に簡易洗浄の内容は異なり、各ろ過装置毎に簡易洗浄が何かが判断されることとなる。例えば、ろ過装置Aとろ過装置Bがあったとして、ろ過装置Aの通常洗浄が全ての工程において、ろ過装置Bの通常洗浄の2倍の洗浄時間で実施されていたとする。その場合、仮にろ過装置Aの簡易洗浄が、ろ過装置Bの通常洗浄と全く同様の洗浄内容だったとしても、ろ過装置Aの通常洗浄よりは簡易な内容の洗浄であるため、ろ過装置Aで実施される簡易洗浄は簡易洗浄となる。
【0045】
簡易洗浄における重要な点は、実施後に処理水質の悪化を招かないことである。特に懸念される水質項目はSSである。簡易洗浄は、通常洗浄と異なって十分に洗浄を実施しないため、場合によっては、ろ過開始直後に簡易洗浄によって、ろ材から剥離したSSが処理水側に漏出する恐れがある。そのため、ろ過開始直後でも、処理水側にSSが流出しないか最小限に抑えられる簡易洗浄を選定することが好ましい。
【0046】
簡易洗浄は、通常洗浄よりも簡易であれば、全てが本発明における簡易洗浄であるが、本発明の方法によって、処理対象水を下向流にてろ過する装置を洗浄する場合、水洗浄のみであることが好ましい。簡易洗浄が水洗浄のみであると、簡易洗浄によって剥離した濁質は、洗浄水の水流によって、ろ層上部に押し出され、洗浄水の流れが下から上になるため、処理水側への濁質の流出を防ぐことができるからである。一方で、空気を使用する空気洗浄のみの場合、ろ材から剥離した濁質は、ろ層上部へも、処理水側へも移動してしまうので、処理開始後に処理水の水質を悪化させる可能性がある。また、空気・水同時洗浄の場合は、水洗浄のみの場合に比べて、空気を併用しているために洗浄効果が高く、ろ材からの濁質剥離を促進する。水流があるために、処理水側への流出は抑制されるが、水洗浄単独よりも洗浄効果が高いため、水洗浄単独に比べると処理水の水質が悪化する可能性がある。また、簡易洗浄は、ろ層全体を良く洗うことを目的としておらず、ろ層表層の蓋を破壊し、ろ層内部のガス抜きを行うことが目的であるため、より簡易であることが好ましい。このことから、空気と水の二つを用いる空気・水同時洗浄よりも、水洗浄単独のみの方が、より好ましいことになる。
【0047】
さらには、簡易洗浄で用いた洗浄水は、ろ過装置から排出しないことが、より好ましい。洗浄排水が増加することは、それに関連する設備、例えば、洗浄排水槽や洗浄排水ポンプの設備容量を増強する必要を生じさせる。洗浄排水を排出せずに、再度ろ過すれば、洗浄排水に関連する設備の増強は不要となるため、より好ましくなるのである。通常洗浄時に、洗浄排水を再度ろ過することは一般的なことではなく簡易洗浄ならではの手法である。これは、次の理由による。簡易洗浄を行う場合と言うのは、ろ材には濁質捕捉能力が十分あるにも関わらず、ろ材内部のガスのためにろ抗が上昇した場合であって、ろ過機能はまだ十分に保有している状態である。そのため、洗浄排水を再度ろ過しても、直後のろ抗上昇や処理水質の悪化を招くことは無いか、少ないのである。
【0048】
一方で、洗浄排水槽や洗浄排水ポンプの設備容量に余裕があり、かつ、より高度な処理水質を得る必要がある場合は、洗浄排水を排出してもよく、さらには、目標とする処理水質を根拠にして水洗時間を調整しても良い。洗浄排水を排出するのは次の理由による。洗浄排水を排出しない場合、簡易洗浄直後のろ過原水は洗浄排水に由来した高濃度の濁質を含むが、濁質成分の性状によっては処理水の濁質濃度がろ過原水の濁質濃度に追随する場合があるためである。このような場合に洗浄排水を排出してからろ過を開始することで、原水の濁質濃度による影響を低減してより高度な処理水を得ることができる。また、水洗時間を調整する理由は、ろ材から剥離してろ層内に留まる濁質も排出することで、さらに高度な処理水質を得るためである。水洗時間は、ろ層内から効率よく濁質を排出できる時間を任意に設定すれば良く、制限はないが、洗浄効率と洗浄排水量の兼ね合いから、通水する洗浄水高さが、好ましくはろ層高さの0.01〜3倍、より好ましくは0.05〜2倍、さらに好ましくは、0.1〜1倍である。そして、洗浄排水の排出部の位置関係も考慮して洗浄時間を決定すると良い。ここで、洗浄水高さは洗浄LVに洗浄時間を乗じることで求められる。
【0049】
簡易洗浄は、上記のように水洗浄を含むことが好ましく、水洗浄のみであることがより好ましい。
また、簡易洗浄として水洗浄を行うときの洗浄水の線速度は0〜2.0m/分であることが好ましく、0.1〜1.5m/分であることがより好ましく、0.3〜1.0m/分であることがさらに好ましい。ここで洗浄水の線速度0m/分とは、洗浄水をろ床下部から通水することなく、例えば、原水の流入を停止したり、ろ床上の水層を系外に排出することによって、水層の水位、すなわち、ろ床にかかる水圧を一時的に下げた状態を意味する。このような状態にするだけでもろ床に溜まったガスの一部が放出され、そのガスの動きによってろ床表面の目詰まりが軽減できる場合があるためである。このような状態も本発明の範囲に含まれるが、低速(例えば0.1m/分程度)であってもろ床の下から上に向けて洗浄水を通水することがより効果的であるのは言うまでもない。
また、簡易洗浄として水洗浄を行うときの処理時間は5秒〜15分であることが好ましく、10秒〜5分であることがより好ましく、15秒〜60秒であることがさらに好ましい。
また、簡易洗浄を実施する回数は、通常洗浄と通常洗浄との間に、10回以内とすることが好ましく、5回以内とすることがより好ましく、2回以内とすることがさらに好ましい。
さらに、簡易洗浄は、線速度が0.1〜1.5m/分で、かつ、洗浄時間が5秒〜5分である水洗浄であることが好ましい。
これは、水流によって生じるろ層の膨張と、水流自体の物理的作用によって、ろ層表面付近に発生した蓋を破壊するのに効果的な範囲の組み合わせを検討し見出した範囲である。
【0050】
簡易洗浄は定期的に行っても良いが、通水抵抗やSS捕捉量を根拠にして実施しても良い。通水抵抗やSS捕捉量の値に制限は無いが、通水抵抗で設定する場合は、水位をもとにするのが良く、通水開始時の水位に対して、好ましくは20〜2000mm、より好ましくは50〜1000mm、さらに好ましくは100〜500mm上昇した時点で実施するのが効果的である。SS捕捉量で設定する場合は、充填槽容量あたりの捕捉量が、好ましくは0.01〜10kg/m
3、より好ましくは0.05〜5kg/m
3、さらに好ましくは0.1〜2kg/m
3となった時点で実施するのが効果的である。SS捕捉量は、SSの由来となる要素の指標から推定すれば良い。SSの由来の要素とは、例えば、流入SS濃度、流入NOx−N濃度、流入有機物濃度、流出SS濃度、流出NOx−N濃度、流出有機物濃度、メタノール(イソプロパノール)注入量、水量等であり、これらの値のいずれかもしくは二つ以上を組み合わせてSS捕捉量を推定すればよい。メタノールを注入して脱窒する場合のSS捕捉量の推定はたとえば式(1)や式(2)を用いて行う。
【0051】
SS捕捉量=水量×流入SS濃度+メタノール注入量×メタノール汚泥転換率 (1)
ここで、メタノール汚泥転換率とは、単位重量あたりのメタノールが生物分解されたときに発生する汚泥量
【0052】
SS捕捉量=水量×流入SS濃度+水量×流入NOx−N濃度×メタノール注入率×メタノール汚泥転換率 (2)
ここでメタノール注入率とは、NOx−N負荷量(水量×流入NOx−N濃度)に対するメタノール注入量
【0053】
ここで、流入SS濃度や流入NOx−N濃度の代わりに、(流入SS濃度―流出SS濃度)や、(流入NOx−N濃度―流出NOx−N濃度)を用いても良い。
通水抵抗を指標にする場合は、水位計等の計測機器を用いて自動制御しても良い。また、単なる水位ではなく、水位の変化、すなわち、水位上昇速度を検知して制御してもよい。水位の変化を読み取る場合には、まず、ガス溜りを排除しながらろ過を継続した場合の水位の上昇速度を求める。このガス溜りの影響が少ない時の水位上昇速度(通常の上昇速度とする)は、主にSS捕捉量の増加によるものである。これよりも上昇速度が早くなった場合に異常値として検知し簡易洗浄をかける。簡易洗浄をかける上昇速度の値に制限はないが、通常の上昇速度に対して、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは、2倍以上の上昇速度を検知した場合である。
SS捕捉量を指標にする場合は、SS濃度計、NOx−N濃度計、有機物濃度計、メタノール(イソプロパノール)注入量計、水量計等の指示値が利用でき、これらの値のいずれかもしくは二つ以上を組み合わせてSS捕捉量を推定し、その値が一定値に達したところで簡易洗浄がかかるように自動制御すればよい。SS捕捉量の指標値は、前述のとおりである。
【0054】
本発明において用いられるろ材は例えば従来公知のものを用いることができる。具体的には、砂、木炭、活性炭やアンスラサイト、珪砂、ガーネット、樹脂成型物、スポンジなどを用いることができる。
ろ材の仕様にも限定はないが、例えば、ろ材の有効径や均等係数で示すと、本発明の効果が顕著に現れるのは、有効径:0.4〜5mm、均等係数:1.0〜2.0のろ材である。
ここで有効径とは、ふるいわけ試験において、粒径累積曲線での10%通過径をmm単位で表したものであり、JIS K 1474(2007年)に規定される方法で測定される値を意味するものとする。
また、均等係数とは、ふるいわけ試験において、粒径累積曲線での60%通過径(d
60)と10%通過径(d
10)との比(d
60/d
10)であり、JIS K 1474(2007年)に規定される方法で測定される値を意味するものとする。
なお、均等係数の下限は1.0である。
【0055】
本発明の方法は、好気性ろ床法および脱窒ろ過法に適用することが可能であるが、脱窒ろ過法ではさらに有効である。
脱窒ろ過法では、脱窒反応を促進するために、メタノール等の有機物を添加することがある。脱窒反応を行う微生物は、従属栄養細菌に分類される微生物で、これら微生物の増殖速度は速い。そのため、ろ層内部で脱窒反応を担う微生物は顕著に増殖し、ろ層に蓋を掛ける効果を促進する。また、好気性ろ床では、ガスは、ろ層下部からブロワによって勢い良く散気されるが、脱窒ろ過では、脱窒反応の結果として、ろ層内部の各所で発生するので、好気性ろ床に比べるとガスの上昇速度が弱く、かつ散気によるガスや水の流動が期待できない。そのため、ガスがろ層内部に留まり易い傾向がある。これらの理由により、脱窒ろ過法では、本発明の方法の効果が最も現れ易い方法である。
【0056】
本発明の方法は、排水処理分野の生物ろ過装置に用いるのが好適だが、それに限られることは無く、上水分野で用いられる生物活性炭ろ過池に適用することも可能である。
【0057】
本発明における処理対象水は、従来公知の生物ろ過法を適用する水であってよい。例えば、懸濁物質と、溶解性の有機物やアンモニア性窒素・亜硝酸性窒素とを含む排水が挙げられ、このような処理対象水には好気性ろ床法を適用する。また、例えば、懸濁物質と、亜硝酸性窒素・硝酸性窒素とを含む排水が挙げられ、このような処理対象水には脱窒ろ過法を適用する。
【0058】
また、処理対象水として、具体的には下水が挙げられる。また、下水に従来公知の浄化処理、例えば沈降分離、活性汚泥処理、生物膜処理、凝集分離、浮上分離、ろ過、膜分離などを適用して得られる浄化処理後の下水も、処理対象水に該当する。これら以外にも、処理対象水として、し尿、ごみ浸出水、硝酸性窒素を含んだ雨水・地下水、各種産業廃水などが挙げられ、これらを従来公知の浄化処理、例えば沈降分離、活性汚泥処理、生物膜処理、凝集分離、浮上分離、ろ過、膜分離などを適用して得られる浄化処理後の水も、処理対象水に該当する。
【実施例】
【0059】
本発明について実施例を用いて説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
【0060】
<実験1:好気性ろ床>
図4に示した水処理装置90を用いて原水を処理した。
ここで、ろ材は、有効径が2mm、均等係数が1.2のアンスラサイトであり、これをろ層厚が2.0mとなるように処理槽内へ充填して、ろ層を形成した。
このような水処理装置90を用いて、原水(下水二次処理水(原水SS:10mg/L))を処理した。
【0061】
<比較例1>
水処理装置90を用いて原水の通水時線速度(LV)を120m/dとしたろ過処理を行った。ここで、通気ブロワを用いた散気の散気量(LV)を0.1m/分とし、ろ過中もろ層内を散気した。そして、第1表のタイムテーブルに示すような通常洗浄(空洗、空水洗および水洗を連続して行う洗浄処理)を行った。
【0062】
【表1】
【0063】
その結果、ろ過継続時間は24時間だった。すなわち、24時間毎にろ抗が上昇してろ過可能限界水位に達し、通常洗浄を行わざるを得なくなった。
【0064】
<実施例1>
水処理装置90を用いて、比較例1の場合と同じ原水の通水時線速度(LV)および散気量(LV)としたろ過処理を行った。また、比較例1と同様にろ過中もろ層内を散気した。そして、比較例1と同様に、第1表のタイムテーブルに示すような通常洗浄(空洗、空水洗および水洗を連続して行う洗浄処理)を行った。
そして、このような通常洗浄に加えて簡易洗浄も行った。簡易洗浄は水洗浄のみであり、6時間間隔で、1回あたり1分、線速度が1.0m/分の水洗浄を行った。
【0065】
その結果、ろ過継続時間は48時間に延びた。また、簡易洗浄後の処理水質の悪化は見られなかった。洗浄排水を排出しなかったため、洗浄排水槽および洗浄排水ポンプの容量は、通常洗浄のみを行う場合と同一で問題なかった。また、
図5を用いて説明したような、他の池が洗浄工程中でも逆洗ポンプを使用していない工程中に簡易洗浄を行えるプログラムを持つ制御部を用いたため、簡易洗浄用の逆洗ポンプを別途設置することなく、簡易洗浄を実施できた。簡易洗浄を行った結果、付帯設備はそのままに、ろ過継続時間の延長を達成することができた。
【0066】
<実験2:脱窒ろ床>
図6に示した水処理装置130を用いて原水を処理した。
ここで、ろ材は、有効径が3mm、均等係数が1.2のアンスラサイトであり、これをろ層厚が2.0mとなるように処理槽内へ充填して、ろ層を形成した。
このような水処理装置130を用いて、原水(下水二次処理水(原水SS:10mg/L))を処理した。
【0067】
<比較例2>
水処理装置130を用いて原水の通水時線速度(LV)を120m/dとしたろ過処理を行った。また、原水にメタノールを添加した。そして、第1表のタイムテーブルに示すような通常洗浄(空洗、空水洗および水洗を連続して行う洗浄処理)を行った。
【0068】
その結果、ろ過継続時間は12時間だった。すなわち、12時間毎にろ抗が上昇してろ過可能限界水位に達し、通常洗浄を行わざるを得なくなった。
【0069】
<実施例2>
水処理装置130を用いて、比較例2の場合と同じ原水の通水時線速度(LV)としたろ過処理を行った。そして、比較例2と同様に、第1表のタイムテーブルに示すような通常洗浄(空洗、空水洗および水洗を連続して行う洗浄処理)を行った。
そして、このような通常洗浄に加えて簡易洗浄も行った。簡易洗浄は水洗浄のみであり、6時間間隔で、1回あたり1分、線速度が1.0m/分の水洗浄を行った。
【0070】
その結果、ろ過継続時間は24時間に延びた。また、簡易洗浄後の処理水質の悪化は見られなかった。洗浄排水を排出しなかったため、洗浄排水槽および洗浄排水ポンプの容量は、通常洗浄のみを行う場合と同一で問題なかった。また、
図5を用いて説明したような、他の池が洗浄工程中でも、逆洗ポンプを使用していない工程中に、簡易洗浄を行えるプログラムを持つ制御部を用いたため、簡易洗浄用の逆洗ポンプを別途設置することなく、簡易洗浄を実施できた。簡易洗浄を行った結果、付帯設備はそのままに、ろ過継続時間の延長を達成することができた。簡易洗浄用に別途ポンプを設けても良いが、設備が増加するため設置しないほうが望ましい。