特許第6343174号(P6343174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343174
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】固縛力測定装置および固縛力測定方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/00 20060101AFI20180604BHJP
   G21F 5/012 20060101ALI20180604BHJP
   G21F 5/008 20060101ALI20180604BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   G21F5/00 Z
   G21F5/012
   G21F5/008
   G01L5/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-99608(P2014-99608)
(22)【出願日】2014年5月13日
(65)【公開番号】特開2015-215297(P2015-215297A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2016年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165697
【氏名又は名称】原子燃料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】乃村 一郎
【審査官】 藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−236063(JP,A)
【文献】 特開2012−242144(JP,A)
【文献】 特開平07−209461(JP,A)
【文献】 特開昭63−133087(JP,A)
【文献】 特開平09−211161(JP,A)
【文献】 特開平04−265894(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0121143(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 5/00−5/14
G01L 5/00
G21C 3/328−3/334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送容器内に固縛されるMOX燃料集合体の固縛力の管理のために行われる固縛力の測定に際して、前記輸送容器内の燃料収納部に挿入して固縛力を測定する固縛力測定装置であって、
前記MOX燃料集合体を模擬して直方体形状に作製されており、
長手方向に直交する断面が長方形に形成されており、
前記MOX燃料集合体の基準寸法Lに対する製造公差を±aとし、前記MOX燃料集合体の温度上昇による熱膨張に伴って膨張する長さの最大値をtとしたとき、
前記長手方向に直交する断面の短辺の外寸法がL−aであり、
前記長手方向に直交する断面の長辺の外寸法がL+a+tである
ことを特徴とする固縛力測定装置。
【請求項2】
輸送容器内に固縛されるMOX燃料集合体の固縛力の管理のために行われる固縛力の測定に際して、前記輸送容器内の燃料収納部に固縛力測定装置を挿入して前記固縛力測定装置の固縛力を測定する固縛力測定方法であって、
前記輸送容器内に形成された燃料収納部に、請求項1に記載の固縛力測定装置を挿入し、
前記MOX燃料の各支持格子並びに上下部ノズルに相当する位置で、長手方向に直交する断面の2方向から前記固縛力測定装置を固縛して、各方向における固縛力を測定した後、
前記輸送容器から前記固縛力測定装置を取出し、前記固縛力測定装置を90度回転し、前記固縛力測定装置を再度前記輸送容器に挿入して固縛し、固縛力を測定する
ことを特徴とする固縛力測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固縛力測定装置および固縛力測定方法に関し、詳しくは、輸送容器内に固縛されるMOX燃料集合体の固縛力の管理のために固縛力測定装置を用いて行われる固縛力の測定に際して、効率的に固縛力の測定を行うことができる固縛力測定装置および固縛力測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉に使用される燃料集合体は、多数の燃料棒を複数の支持格子および上下部ノズルにより固定して構成されており、輸送容器に収納されて輸送される。
【0003】
輸送容器は、内側に燃料集合体を収納する燃料収納部を有しており、収納された燃料集合体を固縛するための固縛具を有している。燃料収納部では、燃料集合体の各支持格子並びに上下部ノズルを固縛することにより、燃料集合体を固定している。そして、輸送容器は固縛された燃料集合体を水平状態に保って輸送される。
【0004】
このとき、燃料集合体を固縛する力(固縛力)が小さ過ぎる場合には輸送中に燃料集合体が動いて、燃料に変形が生じる恐れがあり、一方、固縛力が大き過ぎる場合には輸送中に燃料集合体に過大な力が加わり燃料が破損する恐れがあるため、この固縛力を一定の設計仕様値の範囲内に管理して、輸送される燃料集合体の健全性を確保する必要がある。
【0005】
図1は、上記した燃料収納部に燃料集合体を固縛している状況を示す断面図であり、複数の燃料集合体が収納される輸送容器における1つの燃料収納部で、燃料集合体の支持格子が固縛されている状況を示している。図1において、Aは燃料収納部、1は燃料集合体、1Bは燃料集合体1の支持格子、2は支持格子を固縛する固定枠2である。なお、固定枠2は、図1に示したような支持格子1Bの各位置だけでなく、図示しない他の支持格子及び上下部ノズルの位置に対応する位置にも設けられている。
【0006】
燃料収納部Aは円筒形状の外容器(図示せず)内に固定されて輸送されるが、この円筒形状の外容器は上下をかまぼこ形状に2分割することが可能な構造となっており、上部側の外容器を取り外すことによって作業者が固定枠2に設けられた固縛具3に近接して作業することができる。
【0007】
固定枠2には、ボルト3aとナット3bで構成された固縛具3およびサポート板4A、4Bが設けられており、各固縛具3のナット3bを所定のトルクで締め付けてボルト3aを動作させるなど設計仕様に基づく固縛方法により、燃料収納部Aに配置された燃料集合体1をサポート板4A、4Bを介して、X方向およびY方向から2枚の支持板5に押さえ付けることにより、ウラン燃料集合体1が固縛される。このとき、X方向およびY方向から押さえ付けられる力が固縛力である。
【0008】
このような輸送容器において、ウラン燃料集合体を固縛する場合、固縛作業を作業者が各支持格子並びに上下部ノズルに近接して行うことができるため、上記したように外容器を上下に分割して開閉可能にすると共に、燃料収納部の固定枠の片側に蝶番を配置して開閉可能とした容器が従来より使用されて、ウラン燃料集合体が固縛されている。
【0009】
具体的には、図1において、固定枠2を開状態にして、燃料集合体(ウラン燃料集合体)1を水平方向に配置された支持板5の上に裁置し、その後、固定枠2を閉じて、固縛具3を用いてX方向およびY方向の2方向に向けてサポート板4A、4Bを介して押し付けることにより固縛している。
【0010】
このように、ウラン燃料集合体を固縛して輸送容器に収納するに際しては、固縛作業を作業者が各支持格子並びに上下部ノズルに近接して行うことができるため、固縛具3の締め付け時のトルクと押さえ力(固縛力)との関係を予め求めておくことにより、各固定枠における支持格子並びに上下部ノズルの固縛力を個々に直接管理することができる。
【0011】
しかし、MOX燃料集合体を固縛する場合には、MOX燃料は線量当量率が高いため、ウラン燃料集合体の場合のように固縛作業を作業者が各支持格子並びに上下部ノズルに近接して行うことが困難であり、外容器を上下に分割して開閉可能にすることもできない。
【0012】
このため、MOX燃料集合体の輸送容器においては、図2に示すように、外容器内に複数の燃料収納部を設けた燃料バスケット11が形成され、燃料バスケット内に燃料収納部となる直方体状の空間(ロジメント)10が設けられている。
【0013】
そして、MOX燃料集合体の輸送容器への収納に際しては、燃料バスケットが鉛直となるように輸送容器を配置し、ロジメントにMOX燃料集合体を下部ノズル側から挿入した後、固縛具を燃料バスケット上端部側から操作することにより、MOX燃料集合体の全ての支持格子並びに上下部ノズルを一括して固縛して、輸送容器へ固定している。MOX燃料集合体が固定された輸送容器は、鉛直方向から水平方向に裁置方向が変更された後、輸送に供せられる。
【0014】
そして、このようなMOX燃料集合体用の輸送容器について、燃料バスケット上端部側から固縛具を操作して、輸送容器内においてMOX燃料集合体が動かないようにする器具(デバイス)等が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0015】
しかし、挿入されたMOX燃料集合体の固縛は、燃料バスケットの構造上、上端部側から一括して行うため、ウラン燃料集合体の場合のように締め付け時のトルクを個別に測定して、固縛力を管理することができない。
【0016】
そこで、MOX燃料集合体を固縛して輸送容器に収納するに際しては、従来より、固縛されたMOX燃料集合体について固縛力を直接測定するのではなく、実際の固縛作業前にMOX燃料集合体を模擬して作製された専用の固縛力測定装置を用いて、設計仕様において予め定められた手順に従って固縛作業を行って固縛力を測定し、測定された固縛力が仕様値の一定範囲内であることを確認して、予め定められた手順に従って固縛作業を行えば、実際のMOX燃料集合体においても固縛力が適切に管理されていると判断するようにしている。
【0017】
図3はこの固縛力測定装置を説明する斜視図であり、固縛力測定装置BはMOX燃料集合体の基準寸法に合わせて、長手方向に直交する断面が正方形の直方体に形成され、MOX燃料集合体の各支持格子並びに上下部ノズルに相当する位置に固縛力測定板6A、6Bが取り付けられている。なお、固縛力測定板6A、6Bには、図示しないロードセルが配置されており、固縛時の押さえ力(固縛力)を測定可能としている。
【0018】
この固縛力測定装置Bを用いた固縛力の測定は、以下のように行われる。まず、輸送容器内へのMOX燃料集合体の挿入と同様にして、輸送容器内の燃料バスケットに設けられたロジメントへクレーン等で吊り上げられた固縛力測定装置Bを下部ノズルに相当する側から挿入する。
【0019】
次に、燃料バスケット上端部側から設計仕様に基づく固縛方法により、各支持格子並びに上下部ノズルの位置に配置されたサポート板を介して、図1に示した方向と同じX方向およびY方向の2方向に向けて固縛力測定装置Bを押さえ付ける。
【0020】
このとき固縛力測定板6A、6Bが押さえ付けられる力を固縛力測定板6A、6Bに配置されたロードセルを用いて測定することにより、各支持格子並びに上下部ノズルの位置におけるX方向およびY方向の固縛力を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特表2002−501180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、実際のMOX燃料集合体には製造公差があること、また、MOX燃料が発熱して輸送容器内(燃料収納部)の温度が上昇してMOX燃料集合体が熱膨張することにより、MOX燃料集合体の外寸法が変化して固縛力の変化を招く。
【0023】
即ち、MOX燃料集合体の基準寸法Lに対する製造公差を±aとし、MOX燃料集合体の温度上昇による熱膨張に伴って膨張する長さの最大値を+tとしたとき、MOX燃料集合体の外寸法はL−aで最小となり、L+a+tで最大となるように変化する可能性があり、それに合わせて固縛力も変化する。
【0024】
具体的には、燃料集合体の外寸法が小さくなった場合には同じように固縛しても、固縛力が低下して燃料集合体を適切に固縛できなくなる恐れがある。一方、燃料集合体の外寸法が大きくなった場合には同じように固縛しても、固縛力が過大となり燃料集合体の破損を招く恐れがある。
【0025】
そこで、このような外寸法の変化を考慮して、MOX燃料集合体の固縛力の管理状況を判断する際には、外寸法を上記した最小にした固縛力測定装置と、最大にした固縛力測定装置の2種類を準備して、それぞれの固縛力測定装置を用いて、設計仕様に基づいて同じ固縛方法で固縛して固縛力を測定し、それぞれの固縛力測定装置において測定された固縛力が共に設計仕様値を満足することを輸送実施前に確認して、設計仕様に基づく固縛方法に従って固縛することにより実際のMOX燃料集合体が適切に固縛されていると判断していた。
【0026】
具体的には、先ず、いずれかの固縛力測定装置を用いて、上記した方法で固縛力を測定する。この測定が終了した後、測定した固縛力測定装置を輸送容器内の燃料収納部(ロジメント)より取り外して、もう1つの固縛力測定装置と交換する。そして、交換した固縛力測定装置を用いて、同様に固縛力を測定する。
【0027】
しかし、この固縛力の測定は、上記したように、2種類の固縛力測定装置を予め準備する必要があり、また、2回の固縛力測定をそれぞれの固縛力測定装置に交換して行うためにクレーン等の吊替えが必要となり、効率的な固縛力測定方法とは言えなかった。
【0028】
そこで、本発明は、輸送容器内に固縛されるMOX燃料集合体の固縛力の管理のために固縛力測定装置を用いて行われる固縛力の測定に際して、効率的に固縛力の測定を行うことができる固縛力測定装置および固縛力測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
請求項1に記載の発明は、
輸送容器内に固縛されるMOX燃料集合体の固縛力の管理のために行われる固縛力の測定に際して、前記輸送容器内の燃料収納部に挿入して固縛力を測定する固縛力測定装置であって、
前記MOX燃料集合体を模擬して直方体形状に作製されており、
長手方向に直交する断面が長方形に形成されており、
前記MOX燃料集合体の基準寸法Lに対する製造公差を±aとし、前記MOX燃料集合体の温度上昇による熱膨張に伴って膨張する長さの最大値をtとしたとき、
前記長手方向に直交する断面の短辺の外寸法がL−aであり、
前記長手方向に直交する断面の長辺の外寸法がL+a+tである
ことを特徴とする固縛力測定装置である。
【0031】
請求項に記載の発明は、
輸送容器内に固縛されるMOX燃料集合体の固縛力の管理のために行われる固縛力の測定に際して、前記輸送容器内の燃料収納部に固縛力測定装置を挿入して前記固縛力測定装置の固縛力を測定する固縛力測定方法であって、
前記輸送容器内に形成された燃料収納部に、請求項1に記載の固縛力測定装置を挿入し、
前記MOX燃料の各支持格子並びに上下部ノズルに相当する位置で、長手方向に直交する断面の2方向から前記固縛力測定装置を固縛して、各方向における固縛力を測定した後、
前記輸送容器から前記固縛力測定装置を取出し、前記固縛力測定装置を90度回転し、前記固縛力測定装置を再度前記輸送容器に挿入して固縛し、固縛力を測定する
ことを特徴とする固縛力測定方法である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、輸送容器内に固縛されるMOX燃料集合体の固縛力の管理のために固縛力測定装置を用いて行われる固縛力の測定に際して、効率的に固縛力の測定を行うことができる固縛力測定装置および固縛力測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】燃料収納部に燃料集合体を固縛している状況を示す断面図である。
図2】MOX燃料集合体の輸送容器を模式的に示す斜視図である。
図3】固縛力測定装置の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る固縛力測定装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を用いて説明する。
【0035】
本実施の形態において、輸送容器内に固縛されるMOX燃料集合体の固縛力の管理のために固縛力測定装置を用いて行われる固縛力の測定に際しては、MOX燃料集合体の基準寸法に合わせて長手方向に直交する断面が正方形で各辺が全て同じ外寸法に作製された従来の固縛力測定装置に替えて、断面が長方形で短辺と長辺を有する固縛力測定装置を用いる。
【0036】
図4は本実施の形態に係る固縛力測定装置の断面図であり、本実施の形態に係る固縛力測定装置は、従来の固縛力測定装置と同じようにMOX燃料集合体を模擬して直方体形状に作製されているが、図4に示すように、長手方向に直交する断面が長方形であり、短辺の外寸法がMOX燃料集合体の外寸法が最小になる場合の寸法であり、長辺の外寸法がMOX燃料集合体の外寸法が最大になる場合の寸法、即ち、X1の長さがL−a、Y1の長さがL+a+tと互いに異なる長さとなっている。なお、前記したようにLはMOX燃料集合体の基準寸法であり、±aは基準寸法Lに対する製造公差であり、+tはMOX燃料集合体の温度上昇による熱膨張に伴って膨張する長さの最大値である。
【0037】
この固縛力測定装置Bを用いた固縛力の測定は、基本的に、従来と同様である。即ち、固縛力測定装置Bをクレーン等で吊り上げて、固縛力測定装置Bの下部ノズルに相当する側から固縛力測定装置Bを輸送容器内に形成されている燃料収納部(ロジメント)に挿入して、燃料バスケット上端部側から設計仕様に基づく固縛方法により、各支持格子並びに上下部ノズルの位置に配置されたサポート板を介して、X1と平行な方向(X方向)およびY1と平行な方向(Y方向)の2方向に向けて固縛力測定装置Bを押さえ付け、各方向における固縛力を測定する。
【0038】
このとき、本実施の形態に係る固縛力測定装置においては、前記したように、固縛力測定板6A、6Bが押さえ付ける外寸法が異なっているため、固縛力測定板6AではX方向に押さえ付けられて外寸法が最小の場合に対応した固縛力が測定され、一方、固縛力測定板6BではY方向に押さえ付けられて外寸法が最大の場合に対応した固縛力が測定される。
【0039】
次に、固縛力測定装置Bをクレーン等で吊り上げて輸送容器内のロジメントから取り出して、90°回転させ、再び、輸送容器内のロジメントに挿入し、その後は、上記と同様にして固縛力を測定する。これにより、X方向に対しては外寸法が最大の場合に対応した固縛力が測定され、Y方向に対しては外寸法が最小の場合に対応した固縛力が測定される。
【0040】
このように、本実施の形態に係る固縛力測定装置を用いた場合には、従来と異なり、固縛力測定装置を2種類準備する必要がなく、また、クレーン等で吊り上げたままで単に90°回転させるだけで、X方向とY方向の2つの方向に対して、外寸法が最大の場合に対応した固縛力と外寸法が最小の場合に対応した固縛力を測定することができるため、クレーン等の吊替えが必要であった従来の方法に比べて、効率的に固縛力の測定を行うことができる。
【0041】
上記のようにして測定された固縛力が仕様値の一定範囲内に収まった場合、固縛力測定装置をロジメントから取り出して、MOX燃料集合体と交換して固縛力測定装置を固縛した時と同様にしてMOX燃料集合体を固縛する。
【0042】
一方、本実施の形態の固縛力測定装置を用いて上記のようにして測定された固縛力の最大値または最小値のうちいずれか一方または両方が一定範囲内に収まらない場合には、設計仕様に示された固縛方法に基づいて適宜調整して、再度固縛力を測定する。そして、測定された固縛力の最大値および最小値の両方が一定範囲内に収まるまで上記の測定を繰り返し、一定範囲内に収まった時点で、固縛力測定装置をロジメントから取り出して、MOX燃料集合体と交換し、そのときの固縛方法と同様にしてMOX燃料集合体を固縛する。
【0043】
なお、上記のような外寸法が異なる固縛力測定装置に替えて、外寸法を最小にして作製された従来の固縛力測定装置の1辺に、所定の厚みの板を取り付けて外寸法が最大となるようにして本実施の形態の固縛力測定装置としてもよい。
【0044】
本発明に係る固縛力測定装置の具体的な一例として、加圧水型原子炉(PWR)用の17×17型のMOX燃料集合体における固縛力測定装置について以下に説明する。
【0045】
最大外寸法と最小外寸法を設定するに当たり、このMOX燃料集合体の基準寸法は214mm角であり、これに対して製造公差を±1mmと仮定し、燃料収納部A内の温度上昇に伴う外寸法の熱膨張の最大値を+1mmと仮定すると、MOX燃料集合体1が最小の場合の外寸法は213mm、MOX燃料集合体1が最大の場合の外寸法は216mmとなる。
【0046】
そこで、固縛力測定装置の作製においては、短辺の外寸法をMOX燃料集合体が最小の場合に合わせた213mmとし、長辺の外寸法をMOX燃料集合体が最大の場合に合わせた216mmとなるように作製する。
【0047】
この場合、前記したように、固縛力測定装置をいずれの辺も最小寸法である213mmで製作しておき、1辺のみ3mm厚さの板を後から皿ネジなどにより取り付けて作製してもよい。
【0048】
このように作製された固縛力測定装置を用いて固縛力を測定することにより、上記したように、従来に比べて効率的な測定を行うことができる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 燃料集合体
1B 支持格子
2 固定枠
3 固縛具
3a ボルト
3b ナット
4A、4B サポート板
5 支持板
6A、6B 固縛力測定板
10 ロジメント
11 燃料バスケット
A 燃料収納部
B 固縛力測定装置
X1 X方向の長さ
Y1 Y方向の長さ
図1
図2
図3
図4