(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来のプロセスシステム構成機器作動状態提供装置について、スピンドルユニットの振動や温度を検出するワイヤレスセンサを例に、
図14、
図15を用いて、説明する。
【0003】
図14に示すワイヤレスセンサ1は、スピンドルユニット2に取付けられている。ワイヤレスセンサ1は、
図15に示すように、ハウジング3に固定される固定板6と、この固定板6に取付けられる本体7および電源8と、本体7および電源8を覆う外殻9とを備えている。本体7は、検出部10(図示せず)と制御部11(図示せず)と送信部12(図示せず)と電源制御部13(図示せず)とを備えている。また、本体7には、送信部12に接続されているアンテナ14が外殻9を貫通して設けられている。検出部10は、検出対象となる振動や温度などを検出する。制御部11は、検出部10で検出された信号を処理し、適宜、送信部12に対して送信指令信号を出力する。送信部12は、制御部11の送信指令信号によって制御され、アンテナ14から送信指令信号に基く情報などを無線で出力する。電源制御部13は、熱発電素子8によって発電された電力を検出部10、制御部11、送信部12に供給する。
【0004】
電源8は、温度差によって発電する熱発電素子を含み、この素子が発電した電力を検出部10、制御部11、送信部12に供給する。熱発電素子は、ワイヤレスセンサ1の動作に必要な電力をゼーベック効果により発電することが可能な素子であればよい。
【0005】
一般にスピンドルユニットなど、機械装置や車両の可動部は、運転中に摩擦などによって発熱する。そこで、
図15に示すように熱発電素子は、入熱面8aをスピンドルユニット2側の固定板6に接して取付けられる。
【0006】
以上のように取付けられた電源8は、スピンドルユニット2に面する熱発電素子の入熱面8aから熱が供給されるとともに、放熱面8bから放熱する。熱発電素子は、入熱面8aと放熱面8bとの間に生じた温度差によって発電する。なお、この熱発電素子の具体的な一例として、ペルチェ素子が知られている。
【0007】
以上のように構成されたワイヤレスセンサ1は、スピンドルユニット2が発生する熱を利用して発電する熱発電素子を有した電源8を採用しているので、この電源8を取替る必要がない(以上、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のワイヤレスセンサ1には、以下に示すような改善すべき点がある。電源8は、放熱面8bを介して放熱する。ここで、放熱面8bは、電源8の一面として形成されるだけである。つまり、電源8の放熱性は、電源8を構成する熱発電素子の放熱性能に依存するため、放熱効率が悪く、熱電発電効率が悪い、という改善すべき点がある。また、放熱面8bは、外殻9の内部に存在するため、外殻9の内部の温度が高くなると、放熱効率が落ち、結果として熱電発電効率が悪くなる、という改善すべき点がある。
【0010】
そこで、本発明は、放熱効率を高め、高い熱電発電効率を有するプロセスシステム構成機器作動状態提供装置を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明における課題を解決するための手段及び発明の効果を以下に示す。
【0012】
本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置は、プロセスシステム構成機器の振動を検出するプロセスシステム構成機器作動状態提供装置であって、前記プロセスシステム構成機器作動状態提供装置は、前記作動状態情報を取得する作動状態情報取得手段、前記作動状態情報を外部に提供する作動状態情報提供手段、前記作動状態情報取得手段と前記作動状態提供手段との間に形成される熱電発電手段、を有し、前記熱電発電手段は、外部に熱を放熱する放熱手段、温度差によって発電する熱電変換素子、を有する。
【0013】
これにより、放熱手段を介した効率的な放熱が可能となる。よって、熱電変換素子における高い熱電発電効率を実現することができる。
【0014】
本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置では、前記熱電変換素子は、前記放熱手段に対して、前記プロセスシステム構成機器側に位置すること、 を特徴とする。
【0015】
これにより、プロセスシステム構成機器から放熱手段までに形成される放熱経路において、熱電変換素子においてより大きな温度勾配を得ることができるので、熱電変換素子における高い熱電発電効率を実現することができる。
【0016】
本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置では、前記放熱手段は、放熱用の孔である放熱孔を有すること、を特徴とする。
【0017】
これにより、放熱手段における効率的な放熱が可能となる。よって、熱電変換素子における高い熱電発電効率を実現することができる。
【0018】
本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置では、前記放熱手段は、前記放熱孔の外縁に沿って形成される筒状の補助放熱手段、を有する。
【0019】
これにより、放熱手段における効率的な放熱が可能となる。よって、熱電変換素子における高い熱電発電効率を実現することができる。
【0020】
本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置では、前記放熱孔は、前記放熱手段における前記作動状態情報提供手段の投影領域よりも外側に形成され、前記補助放熱手段は、前記放熱手段に対して、前記作動状態情報提供手段側に突出するように形成されること、を特徴とする。
【0021】
これにより、放熱するプロセスシステム構成機器が存在する側とは反対側に放熱することができる。つまり、より温度が低い側に放熱できるので、放熱手段における効率的な放熱が可能となる。よって、熱電変換素子における高い熱電発電効率を実現することができる。
【0022】
また、放熱手段における作動状態情報提供手段の投影領域よりも外側に放熱できるため、放熱された熱による作動状態情報提供手段の加熱を防止でき、作動状態情報提供手段を熱から守ることができる。
【0023】
本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置では、前記熱電発電手段は、複数の前記熱電変換素子を有すること、を特徴とする。
【0024】
これにより、熱電変換素子の接続方法を調整することによって、必要な電圧、電力を得ることができる。
【0025】
ここで、特許請求の範囲における構成要素と、実施例における構成要素との対応関係を示す。特許請求の範囲における「プロセスシステム構成機器振動検出装置」は、実施例における「トラップ作動状態提供装置100」、「トラップ作動状態提供装置300」、「トラップ作動状態提供装置500」、「トラップ作動状態提供装置700」に対応する。また、特許請求の範囲における「プロセスシステム構成機器」は、実施例における「スチームトラップT」に対応する。
【0026】
また、特許請求の範囲における「作動状態情報取得手段」は「センサ部P101」に、「作動状態情報提供手段」は「電装部品配置部P103」に、「熱電発電手段」は「熱発電装置200」、「熱発電装置400」、「熱発電装置800」に、それぞれに対応する。特許請求の範囲における「放熱手段」は「放熱器201」、「放熱器601」、「放熱フィン801」、「放熱器1001」に、「熱電変換素子」は「熱電変換素子203」に、「放熱孔」は「放熱孔201b」に、「補助放熱手段」は「補助放熱筒201c」、「補助放熱フィン601c」に、「投影領域」は「投影領域R」に、それぞれ対応する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置の一実施例であるトラップ作動状態提供装置100を用いるトラップ振動監視システムMの構成を示す図である。
【
図2】トラップ作動状態提供装置100の全体構成を示す図である。
【
図3】トラップ作動状態提供装置100をスチームトラップTに取り付けた状態示す図である。
【
図4】トラップ作動状態提供装置100の熱発電部P107の内部構造を説明するための図である。
【
図7】本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置の一実施例であるトラップ作動状態提供装置300の全体構成を示す図である。
【
図8】トラップ作動状態提供装置300の熱発電部P307の内部構造を説明するための図である。
【
図9】本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置の一実施例であるトラップ作動状態提供装置500の全体構成を示す図である。
【
図10】トラップ作動状態提供装置500の熱発電部P507の内部構造を説明するための図である。
【
図11】本発明に係るプロセスシステム構成機器作動状態提供装置の一実施例であるトラップ作動状態提供装置700の全体構成を示す図である。
【
図12】トラップ作動状態提供装置700の熱発電部P707の内部構造を説明するための図である。
【
図13】その他の本発明に係るプラントシステム構成機器作動状態提供装置を示す図である。
【
図14】従来のプラントシステム構成機器作動状態提供装置を示す図である。
【
図15】従来のプラントシステム構成機器作動状態提供装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明していく。本発明に係るプロセスシステム構成機器作動情報提供装置の一実施例として、蒸気システムに用いられるスチームトラップの作動状態を提供するトラップ作動状態提供装置について説明する。
【実施例1】
【0029】
トラップ作動状態提供装置100は、プロセスシステムにおけるスチームトラップTの作動状態を監視し、スチームトラップTの保守点検に用いられる。ここで、作動状態情報提供装置100を用いるトラップ作動状態監視システムMについて、
図1を用いて説明する。トラップ作動状態監視システムMは、工場やプラント等に形成されるプロセスシステムに分散配備される多数のスチームトラップTの作動状態を、無線通信を用いて監視する監視システムである。トラップ作動状態監視システムMは、作動状態情報提供装置100、中継装置R、及び、サーバ装置SVを有している。
【0030】
中継装置Rは、作動状態情報提供装置100、サーバ装置SVの通信を中継し、作動状態情報提供装置100とサーバ装置SVとの間の相互通信を可能とする。サーバ装置SVは、作動状態情報提供装置100から作動状態情報を取得し、各スチームトラップTの作動状態を判断する。サーバ装置SVは、作動状態が適当でないと判断したスチームトラップTに対して、例えば、保守点検作業を実施するように、使用者に警告を発する。
【0031】
トラップ作動状態情報提供装置100は、プロセスシステムを構成する各スチームトラップTに設置される。トラップ作動状態提供装置100は、スチームトラップTの作動状態を取得し、取得した作動状態を作動状態情報として提供するものである。なお、トラップ作動状態提供装置100を
図1に示す減圧弁GやバルブV等に取り付けることにより、トラップ作動状態提供装置100を用いてトラップ以外の機器の作動状態を監視することもできる。
【0032】
第1 トラップ作動状態提供装置100の構成
トラップ作動状態提供装置100は、スチームトラップTの作動状態を取得するものである。トラップ作動状態提供装置100の外観構成について、
図2を用いて説明する。トラップ作動状態提供装置100は、センサ部P101、電装部品配置部P103、中間軸部P105、及び、熱発電部P107を有している。
【0033】
センサ部P101は、スチームトラップTの振動を電気信号として検出する。センサ部P101は、内部に、スチームトラップTの振動を検出する振動センサ、温度を検出する温度センサ等、各種のセンサを有している。なお、センサ部P101の詳細な構造については記載を省略する。
【0034】
電装部品配置部P103は、センサ部P101で検出した作動状態に関する電気信号を増幅し、作動状態情報として、他の通信機器に提供するための通信回路をはじめとする各種回路を有している。なお、電装部品配置部P103の詳細な構造については記載を省略する。
【0035】
中間軸部P105は、円筒状のフレキシブルパイプ116、及び、フレキシブルパイプ116の内部に配置されるケーブル(図示せず)を有している。なお、フレキシブルパイプ116の内部に配置されるケーブルは、電装部品配置部P103が有する電装部品、センサ部P101が有するセンサ、及び、熱発電部P107が有する熱電発電回路205(後述)を電気的に接続する。なお、中間軸部P105のフレキシブルパイプ116は、センサ部P101、熱発電部P107、それぞれと、下部袋ナットN101、上部袋ナットN103を用いて、接続される。
【0036】
熱発電部P107は、熱電変換素子を用いて発電し、電装部品配置部P103が有する電装部品、センサ部P101が有するセンサ、及び、熱発電部P107が有する熱電発電回路205に、電力を供給する。
【0037】
なお、
図3に示すように、トラップ作動状態提供装置100は、所定の固定装置HFを用いて、スチームトラップTに固定される。トラップ作動状態提供装置100をスチームトラップTに固定する際には、センサ部P101の先端Fが、スチームトラップTの例えば入口部に接するように固定する。スチームトラップTは、正常に作動している時に、高温状態となる。このため、トラップ作動状態提供装置100は、例えば、スチームトラップTからの放熱によって形成される対流や、接触部を介した直接的な熱伝導によって、加熱される。
【0038】
次に、
図2に示すトラップ作動状態提供装置100の熱発電部P107の内部構造を
図4に示す断面図を用いて説明する。
【0039】
図4に示すように、トラップ作動状態提供装置100の熱発電部P107は、上部ケーシング101、下部ケーシング103、熱発電装置200、固定ボルト105を有している。上部ケーシング101と下部ケーシング103とは、固定ボルト105を介して、一体的に結合される。発電装置200は、上部ケーシング101と下部ケーシング103との間に配置される。なお、上部ケーシング101及び下部ケーシング103は、熱発電装置200の一部を配置するための内部空間S101を形成する。
【0040】
第2 熱発電装置200の構成
熱発電装置200は、放熱器201、熱電変換素子203、熱電発電回路205、固定部材207、及び、固定ボルト(図示せず)を有している。放熱器201は、上部ケーシング101及び下部ケーシング103と接している。これにより、スチームトラップT→下部ケーシング103→放熱器201という放熱経路を形成する。
【0041】
放熱器201は、円盤状の本体部201a、放熱孔201b、及び、補助放熱筒201cを有している。
図5に放熱器201の平面図を示す。本体部201aは、円盤形状を有している。放熱孔201bは、本体部201aの外縁から内側に入った位置に、複数、形成される。放熱孔201bを形成することによって、より効率的な放熱を可能としている。補助放熱筒201cは、放熱孔201bの外縁に沿って形成される。
【0042】
ここで、補助放熱筒201cは、
図4に示すように、本体部201aから電装部品配置部P103側に向かって突出するように形成される。これにより、放熱器201全体としての表面積を増加させ、より効率的な放熱を可能とするとともに、放熱を補助放熱筒201cが突出する方向、つまり、本体部201aから電装部品配置部P103が位置する方向に促している。放熱孔201bは、
図4に示すように、電装部品配置部P103の本体部201aへの投影領域Rよりも外側に形成されている。これにより、放熱孔201b及び補助放熱筒201cを介した放熱によって、電装部品配置部P103を加熱することを防止できる。また、スチームトラップTからの放熱は、電装部品配置部P103の本体部201aへの投影領域によって遮られるため、スチームトラップTからの直接の放熱による電装部品配置部P103の加熱を防止することができる。
【0043】
図4に示すように、電変換素子203は、例えばゼーベック効果を利用する熱電変換材料を用いて形成されている。熱電変換素子203は、放熱器201に対して、センサ部P101側に配置される。これにより、熱電変換素子203において、より大きい熱勾配を形成でき、ひいてはより大きい電圧を発生させることができる。
図4におけるX−X断面における熱電変換素子203の平面配置図を
図6に示す。熱発電装置200では、3つの円筒状の熱電変換素子203を組み合わせている。また、熱電変換素子203は、所定の電圧が得られるように直列に接続される。
【0044】
図4に示すように、熱電発電回路205は、熱電変換素子203を用いて発生させた電圧に基づき、安定した電力を生成し、センサ部P101及び電装部品配置部P103に配置されている回路等へ供給する。
【0045】
固定部材207及び固定ボルトは、放熱器201、熱電変換素子203、及び、熱電発電回路205を、一体として結合する。
【実施例2】
【0046】
前述の実施例1に係るトラップ作動状態提供装置100の熱発電装置200は、1つの放熱器201を有していた。本実施例に係るトラップ作動状態提供装置300の熱発電装置400は、複数の放熱器201を有するものである。なお、実施例1と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な記述を省略する。
【0047】
第1 トラップ作動状態提供装置300の構成
トラップ作動状態提供装置300の外観構成について、
図7を用いて説明する。トラップ作動状態提供装置300は、センサ部P101、電装部品配置部P103、中間軸部P105、及び、熱発電部P307を有している。
【0048】
熱発電部P307は、熱電変換素子を用いて発電し、電装部品配置部P103が有する電装部品、センサ部P101が有するセンサ、及び、熱発電部P107が有する熱電発電回路205に、電力を供給する。
【0049】
次に、
図7に示すトラップ作動状態提供装置100の熱発電部P307の内部構造を
図8に示す断面図を用いて説明する。
【0050】
図8に示すように、トラップ作動状態提供装置300の熱発電部P307は、上部ケーシング101、下部ケーシング303、放熱器間ケーシング307、熱発電装置400、固定ボルト105を有している。上部ケーシング101、下部ケーシング303、及び、放熱器間ケーシング307は、固定ボルト105を介して、一体的に結合される。発電装置400は、上部ケーシング101と下部ケーシング303との間に配置される。なお、上部ケーシング101及び下部ケーシング303は、熱発電装置400の一部を配置するための内部空間S401を形成する。
【0051】
第2 熱発電装置400の構成
熱発電装置400は、3つの放熱器201、熱電変換素子203、熱電発電回路205、固定部材207、及び、固定ボルト(図示せず)を有している。放熱器201は、上部ケーシング101、下部ケーシング303、又は、放熱器間ケーシング307と接している。これにより、スチームトラップT→下部ケーシング303→放熱器間ケーシング307→放熱器201という放熱経路を形成する。
【0052】
熱発電装置400は、3つの放熱器201を有している。このため、熱発電装置400を有するトラップ作動状態提供装置300は、実施例1に係る熱発電装置200を有するトラップ作動状態提供装置100に比して、効率よく放熱することができる。
【実施例3】
【0053】
前述の実施例1に係るトラップ作動状態提供装置100の熱発電装置200は、放熱孔201b及び補助放熱筒201cを有する放熱器201を有していた。本実施例に係るトラップ作動状態提供装置500の熱発電装置600は、複数の円柱状の補助放熱フィンを有する放熱器601を有するものである。なお、実施例1と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な記述を省略する。
【0054】
第1 トラップ作動状態提供装置500の構成
トラップ作動状態提供装置500の外観構成について、
図9を用いて説明する。トラップ作動状態提供装置500は、センサ部P101、電装部品配置部P103、中間軸部P105、及び、熱発電部P507を有している。
【0055】
熱発電部P507は、熱電変換素子を用いて発電し、電装部品配置部P103が有する電装部品、センサ部P101が有するセンサ、及び、熱発電部P107が有する熱電発電回路205に、電力を供給する。
【0056】
熱発電部P507は、実施例1に係る熱発電装置200と同様の構成を有する熱発電装置600(図示せず)を有する。ただし、熱発電装置600は、複数の円柱状の補助放熱フィンを有する放熱器601を有する点で、熱発電装置200とは異なる。
【0057】
第2 補助放熱フィン601cの構成
図10に、放熱器601の平面図を示す。放熱器601は、円盤状の本体部601a、及び、補助放熱フィン601cを有している。補助放熱フィン601cは、マトリックス状に、本体部601a上に形成される。なお、放熱器601の本体部601aは、実施例1に係る放熱器201の本体部201aとは異なり、放熱孔201bを有していない。
【0058】
熱発電装置600は、複数の補助放熱フィン601cを有している。このため、熱発電装置600を有するトラップ作動状態提供装置500は、効率よく放熱することができる。
【実施例4】
【0059】
前述の実施例1に係るトラップ作動状態提供装置100の熱発電装置200は、1つの放熱器201が外部に突出する形態を有していた。本実施例に係るトラップ作動状態提供装置700の熱発電装置700は、複数の放熱フィンが外部に突出する形態を有するものである。なお、実施例1と同様の構成については、同じ符号を付し、その詳細な記述を省略する。
【0060】
第1 トラップ作動状態提供装置700の構成
トラップ作動状態提供装置700の外観構成について、
図11を用いて説明する。トラップ作動状態提供装置700は、センサ部P101、電装部品配置部P103、中間軸部P105、及び、熱発電部P707を有している。
【0061】
熱発電部P707は、熱電変換素子を用いて発電し、電装部品配置部P103が有する電装部品、センサ部P101が有するセンサ、及び、熱発電部P107が有する熱電発電回路205に、電力を供給する。
【0062】
次に、
図11に示すトラップ作動状態提供装置700の熱発電部P707の内部構造を
図12に示す断面図を用いて説明する。
【0063】
図12に示すように、トラップ作動状態提供装置700の熱発電部P707は、上部ケーシング701、下部ケーシング703、熱発電装置800、固定ボルト105を有している。上部ケーシング701、下部ケーシング703は、固定ボルト105を介して、一体的に結合される。
【0064】
第2 熱発電装置800の構成
熱発電装置800は、放熱フィン801、熱電変換素子203、熱電発電回路205、固定部材207、固定板809、及び、固定ボルト(図示せず)を有している。放熱フィン801は、上部ケーシング701及び下部ケーシング703、それぞれと、一体として形成される。これにより、スチームトラップT→下部ケーシング703→放熱フィン801という放熱経路を形成する。
【0065】
発電装置800のうち、放熱フィン801を除く熱電変換素子203、熱電発電回路205、固定部材207、固定板809、及び、固定ボルトは、上部ケーシング101と下部ケーシング303とで形成される内部空間S801に配置される。
【0066】
なお、固定板809は、熱電発電回路205を保持する。また、固定板809は、上部ケーシング701と下部ケーシング703との間で挟持され、熱電変換素子203、熱電発電回路205を内部空間S801に配置する。
【0067】
熱発電装置800は、実施例1に係る熱発電装置200とは異なり、放熱孔を有していない。その一方、熱発電部P707は、自動車のラジエータ等で用いられるフィン構造を有している。このため、熱発電装置800を有するトラップ作動状態提供装置700は、簡易な構造で効率よく放熱することができる。
【0068】
[他の実施例]
(1)プロセスシステム構成機器:前述の実施例1においては、プロセスシステム構成機器としてスチームトラップTを示したが、プロセスシステム構成機器であれば、例示のものに限定されない。例えば、ポンプ、減圧弁、セパレータ、フィルタ等の各種流体制御機器であってもよい。
【0069】
(2)放熱器201の配置位置:前述の実施例1においては、放熱器201を、放熱器201を、電装部品配置部P103から見てセンサ部P101側、電装部品配置部P103の直下に配置するとしたが、センサ部P101から電装部品配置部P103の間であれば、例示の位置に限定されない。熱電変換素子203において、最も大きい熱勾配が得られる位置に、放熱器201を配置することによって、最も効率よく電力を得ることができる。したがって、例えば、放熱器201を軸部P105の中間に配置するようにしてもよい。他の実施例についても、同様である。
【0070】
(3)放熱器201の形状:前述の実施例1においては、放熱器201を円盤状の本体部201a、円孔状の放熱孔201b、円筒状の補助放熱筒201cによって構成するとしたが、熱を放熱できる構成、形状であれば、例示のものに限定されない。例えば、パソコンのCPUに用いられるファンを本体部201aの所定の位置に配置するようにしてもよい。
【0071】
また、本体部201aを、例えば、多角形状板とするようにしてもよい。さらに、
図13に示すように、放熱器1001の外縁に沿って放熱孔201を配置するだけでなく、外縁に沿って配置される放熱孔201bの内側に、放熱孔201bを形成した本体部1001aを用いるようにしてもよい。その際に、外縁に沿って配置される放熱孔201bの内側に形成する放熱孔201bの外縁に沿っても補助放熱筒201cを形成するようにしてもよい。
【0072】
(4)熱電変換素子203:前述の実施例1においては、熱電変換素子203を3つ用いるようにしたが、例示のものに限定されない。例えば、2つ以下や、4つ以上の熱電変換素子203を用いるようにしてもよい。また、円筒状の熱電変換素子203を用いるとしたが、板状等、他の形状のものを用いるようにしてもよい。
【0073】
(5)熱電変換素子203の接続:前述の実施例1においては、所定の電圧が得られるように直列に接続するとしたが、例示のものに限定されない。例えば、所定の電流が得られるように並列に接続するようにしてもよい。
【0074】
(6)トラップ作動状態提供装置100の電源構成:前述の実施例1においては、トラップ作動状態提供装置100の熱発電装置200からセンサ部P101、電装部品配置部P103の各構成要素に対して電力を供給する、つまり、熱発電装置200を主電源とするとしたが、熱発電装置200により生成した電力を使用するものであれば、例示のものに限定されない。例えば、電装部品配置部P103に主電源又は補助電源としての2次電池を配置し、熱発電装置200を用いて、2次電池を充電するようにしてもよい。なお、2次電池を補助電源として用いる際には、1次電池を主電源として、別途、配置すればよい。
【0075】
(7)補助放熱筒201c:前述の実施例1においては、放熱孔201bの外縁に沿って補助放熱筒201cを形成するとしたが、補助放熱筒201cを形成しなくてもよい。