(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記棒状片が、平面視円弧状に湾曲して形成され、外胴部の内周面から前記棒状片までの距離が、前記棒状片の前記一の端部から他の端部になるにつれて短くなるようにされた請求項3記載の刈払機用コード保持装置。
【背景技術】
【0002】
刈払機は、柄と、柄の基端に設けられたハンドルと、柄の先端に設けられた刈刃とを備えたものが一般的となっている。コードが刈刃となるコード式刈払機においては、コードを保持するためのコード保持装置が、柄の先端に対して回転可能な状態で取り付けられる。コードは、その端部のみがコード保持装置の外側へ引き出され、コードにおける他の部分は、コード保持装置の内側に巻装される。コード保持装置が回転駆動されると、コードの端部は、遠心力によって伸びた状態で回転を行い、刈払対象物を刈り払う。使用を重ねるうち、刈刃となるコードの端部の切れ味が低下したり、コードの端部が破損したりすると、その部分を切除して、コード保持装置の内側に巻装されているコードの一部を巻き解いてコード保持装置の外側へと引き出す。このような機能を有するコード保持装置としては、これまでに種々のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1の
図2には、コード(ナイロンコード3)を巻装するための内胴部(内胴14)と、内胴部に巻装されたコードの外周を覆うための外胴部(外胴13)と、内胴部の下端と外胴部の下端とを繋ぐ底部(円形底板11)とを有し、内胴部に巻装されたコードの端部を外胴部の外側へ引き出すためのコード引出口(挿入孔16)が外胴部に設けられたコード保持装置(コード保持装置X)が記載されている。同文献のコード保持装置は、内胴部の外周面と外胴部の内周面との間に環状に形成された隙間(隙間4)の上側の開口部を通じて内胴部へコードを巻装するものとなっている。
【0004】
しかし、引用文献1の刈払機用コード保持装置では、新しいコードを内胴部に巻装してその端部を外胴部の外側へ引き出す作業(以下、この作業を「コード取付作業」と呼ぶ。)や、古くなったコードの端部を切除するとともに内胴部に巻装されているコードの一部を巻き解いて外胴部の外側へ引き出して新たな刈刃(コードの端部)とする作業(以下、この作業を「コード端部切替作業」と呼ぶ。)を行う際に、コードの先端をコード引出口の内側から外側へ通す必要があった。このため、同文献のコード保持装置は、コード取付作業やコード端部切替作業に非常に手間取るものとなっていた。というのも、刈刃となるコードは、直径2〜3mm程度の太さを有するものが一般的であるため、ナイロンなどの柔軟性を有する素材で形成されていたとしても、コード自体は、ある程度の硬さを有しており、前記隙間に指などを入れて容易に引き回せるものではないからである。
【0005】
このような実状に鑑みてか、引用文献2の
図1〜4には、内胴部(巻芯部2)と、外胴部(立上壁部4)と、底部(底板部3)とに加えて、外胴部の上端から外方へ突出する外鍔部(コード台部5)とを有し、この外鍔部に、内胴部に巻装されたコードの端部を外胴部の外側へ引き出すためのコード引出口(コード収容部6a)と、外鍔部の外周縁からコード引出口までコードを導き入れるためのスリット(コード出入れ部6c)とを設けた刈払機用コード保持装置(ロータリーカッター1)が提案されている。これにより、コードの先端をコード引出口の内側から外側へ通さなくても、コードの端部をコード引出口から引き出した状態とすることが可能になり、コード取付作業やコード端部切替作業を容易に行うことが可能になる。
【0006】
しかし、引用文献2の刈払機用コード保持装置は、その回転軸に対して略垂直な外鍔部にコード引出口が設けられており、このコード引出口の上側から下側にコードの端部が通されるものとなっていた。このため、コード引出口から引き出されたコードの端部は、一旦、下側に膨らんでから外方に広がるようになる。したがって、引用文献2の刈払機用コード保持装置では、それからある程度離れた範囲でしか刈払対象物を好適に刈り払うことができなかった。また、引用文献2の刈払機用コード保持装置では、外鍔部におけるコード引出口周辺のエッジがコードの側面だけでなく上面にも当接するため、刈払作業を行っている際にコードが傷つきやすいという問題もあった。
【0007】
さらに、引用文献2の刈払機用コード保持装置は、コード引出口の外端が開放されていたため、刈払時のコードが刈払対象物から衝撃を受けた場合などに、コード引出口に保持されていたコードが刈払機用コード保持装置の回転の順方向に移動してコード引出口から抜け出るおそれがあった。コードの端部がコード引出口から抜け出た状態にあっては、コード端部が広がりにくくなり、刈払対象物を好適に刈り払うことができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、コード取付作業やコード端部切替作業を容易に行えるだけでなく、刈払対象物を好適に刈り払うことができる範囲が広く、かつ、コードが傷つきにくい刈払機用コード保持装置を提供するものである。また、コードが刈払対象物から衝撃を受けてもコードがコード引出口から抜け出にくく、刈払対象物を好適に刈り続けることのできる刈払機用コード保持装置を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、コードを回転させることによって刈払対象物を刈り払うコード式刈払機に用いられる刈払機用コード保持装置であって、コードを巻装するための内胴部と、内胴部に巻装されたコードの外周を覆うための外胴部と、内胴部の下端と外胴部の下端とを繋ぐ底部とを有し、内胴部に巻装されたコードの端部を外胴部の外側へ引き出すためのコード引出口が外胴部に設けられるとともに、コード引出口の上端が外胴部の上端に達する開放端とされたことを特徴とする刈払機用コード保持装置を提供することによって解決される。本発明の刈払機用コード保持装置は、外胴部の上端から外方へ突出する外鍔部を有し、外鍔部の外周縁からコード引出口に達するスリットが外鍔部に設けられたものとすることもできる。
【0011】
このように、コード引出口を外胴部に設けることによって、コードの端部がコード引出口から水平方向(刈払機用コード保持装置の回転軸に垂直な方向)に引き出されるようにすることが可能になる。このため、刈払機用コード保持装置を回転させると、コード引出口から引き出されたコードは、コード引出口からその先端部までが水平状態となり、刈払機用コード保持装置の近くの刈払対象物も好適に刈り払うことが可能になる。また、コード引出口の近傍では、コードにおける前記回転(刈払機用コード保持装置の回転)の逆方向を向く側面のみが外胴部に当接し、コードの上面には、外胴部のエッジが当接しないため、刈払作業を行っている際にコードが傷つきにくくすることが可能になる。さらに、コード引出口の上端を外胴部の上端に達する開放端としたことにより、コードの中途部分を前記開放端からコード引出口に挿し込むことが可能になる。このため、コードの先端をコード引出口の内側から外側へ通さなくても、コード引出口からコードを引き出すことが可能になる。
【0012】
本発明の刈払機用コード保持装置においては、コード引出口から外胴部の外側へ引き出されるコードの端部を上側から押さえ付けてコード引出口から上側へ抜け出ないようにするためのコード押付手段を備えることも好ましい。これにより、刈払時のコードが刈払対象物から衝撃を受けた場合などであっても、コード引出口の前記開放端からコードが抜け出ないようにすることが可能になる。したがって、抵抗の大きな刈払対象物であっても好適に刈り続けることが可能になる。
【0013】
コード押付手段は、上記の効果が奏されるのであれば、その具体的な形態は、特に限定されない。コード押付手段の形態としては、棒状、板状若しくはブロック状又はこれらを結合した形態等が例示される。その他、コード押付手段を、勾玉フックのレバーのように、コード引出口の前記開放端側を横断する閉位置と当該閉位置から下側に回動した開位置との間で回動可能な状態でコード引出口周辺に軸支されたレバーと、レバーを閉位置に付勢する付勢手段とを備え、閉位置にあるレバーの上側から下向きに力を加えた際にはレバーが開位置へ移動し、閉位置にあるレバーの下側から上向きに力を加えた際にはレバーが閉位置から移動しない構造とすることもできる。しかし、コード押付手段を、このような可動部を有する構造とした場合には、機構が複雑になり、刈払機用コード保持装置の製造コストを増大させる原因ともなる。
【0014】
このため、コード押付手段は、可動部を有さない構造により実現すると好ましい。例えば、コード押付手段を、外胴部の内周面から内側へ所定距離を隔てた位置でコード引出口を横切って配された棒状片とし、当該棒状片の一の端部を、前記コード引出口の付近で途切れた形態とすると好ましい。また、コード押付手段を、外胴部の内周面から内側へ所定距離を隔てた位置でコード引出口の上方を横切って配された棒状片とし、当該棒状片の一の端部を、前記コード引出口の付近で途切れた形態とすることも好ましい。このとき、前記棒状片を、刈払機用コード保持装置の回転軸に垂直な平面に対して傾斜して設け、前記棒状片の前記一の端部を、前記棒状片の他の端部よりも高くすると好ましい。また、前記棒状片を、平面視円弧状に湾曲して形成し、外胴部の内周面から前記棒状片までの距離が、前記棒状片の前記一の端部から他の端部になるにつれて短くなるようにすると好ましい。これにより、コード引出口にコードを挿し込む際にコード押付手段が障害とならないようにしながらも、コード引出口に保持されたコードの端部が浮き上がって前記開放端から抜け出るのを防ぐことが可能になる。
【0015】
またこのとき、前記棒状片における前記一の端部と他の端部との間に、回転軸に対して略平行な方向に立ち上がる立上部を形成することも好ましい。この場合、立上部は、コード引出口付近となるように配置する。これにより、刈払機用コード保持装置を回転させる際に、コード引出口から引き出されるコードの付根付近を立上部で支持することが可能になる。刈払機用コード保持装置を回転させた際には、その回転の慣性によって、コード引出口から引き出されるコードが、コード引出口における一方のエッジ(刈払機用コード保持装置の回転方向に対して後側のエッジ)に当接し、コードが傷付くおそれがあるが、コード引出口から引き出されるコードの付根付近を立上部で支持することにより、コードがコード引出口における前記エッジに当たりにくくすることが可能になる。また、刈払機用コード保持装置を長時間回転させても、コードの付根付近が、棒状片(コード押付手段)と底部との間に挟み込まれないようにすることが可能になる。立上部を形成する場合には、前記棒状片における立上部よりも前記一の端部側の部分と前記他の端部側の部分とを、平面視くの字状に屈曲して形成することも好ましい。また、前記棒状片における立上部よりも前記一の端部側の部分を、回転軸に垂直な平面に対して傾斜して設けることも好ましい。これにより、上述した場合と同様、コード引出口にコードを挿し込む際にコード押付手段が障害とならないようにしながらも、コード引出口に保持されたコードの端部が浮き上がって前記開放端から抜け出るのを防ぐことが可能になる。
【0016】
本発明の刈払機用コード保持装置において、コード引出口は、その幅方向中心線が回転軸に対して平行になるように設けてもよいが、回転軸に対して傾斜して設け、コード引出口で保持されたコードが回転時においてコード引出口の下端に案内されるようにすると好ましい。これにより、刈払機用コード保持装置が回転する際に、コードにおけるコード引出口に保持された部分が前記開放端側へ移動しにくくし、コードがコード引出口からさらに抜け出にくくすることが可能になる。
【0017】
また、本発明の刈払機用コード保持装置において、コード引出口の側端部における外胴部は、断面アール状に形成すると好ましい。これにより、コード引出口の側端部における外胴部とコードとの接触面積を増大させて、コードに局所的な力が加わらないようにするとともに、その断面アール状の部分でコードがスムーズに滑るようにし、コードが急角度で折れ曲がらないようにすることが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によって、コード取付作業やコード端部切替作業を容易に行えるだけでなく、刈払対象物を好適に刈り払うことができる範囲が広く、かつ、コードが傷つきにくい刈払機用コード保持装置を提供することが可能になる。また、コードが刈払対象物から衝撃を受けてもコードがコード引出口から抜け出にくく、刈払対象物を好適に刈り続けることのできる刈払機用コード保持装置を提供することも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[刈払機用コード保持装置の概要]
本発明に係る刈払機用コード保持装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。本発明に係る刈払機用コード保持装置は、コードを回転させることによって刈払対象物を刈り払うコード式刈払機にコードを保持させるためのものとなっている。本実施態様において、刈払機用コード保持装置10は、
図1〜3に示すように、内胴部11と、外胴部12と、底部13と、上側抜止部14と、外鍔部15と、コード押付手段16とを備えたものとなっている。
図1は、本発明に係る刈払機用コード保持装置10の平面図である。
図2は、本発明に係る刈払機用コード保持装置10の側面図である。
図3は、本発明に係る刈払機用コード保持装置10を
図1に示すA−A面で切断した状態を示した断面図である。
【0021】
本実施態様においては、強度を考慮して、内胴部11と外胴部12と底部13と上側抜止部14と外鍔部15とコード押付手段16との全てを金属で形成しているが、刈払機用コード保持装置10を構成する各部の素材は、必要な強度を有するものであれば特に限定されず、硬質樹脂など、金属以外の素材を用いることができる。コード押付手段16のみを硬質樹脂で形成するなど、場所によって素材を切り替えることもできる。また、本実施態様においては、内胴部11と外胴部12と底部14と外鍔部15は、1枚の金属板にプレス加工を施すことにより一体的に形成しており、上側抜止部14は、内胴部11などとは別体の金属板を内胴部11に溶接することにより、他の部分と一体化させているが、刈払機用コード保持装置10の成形方法は、これに限定されることなく、各種の方法を採用することができる。
【0022】
以下、本実施態様の刈払機用コード保持装置10を構成する各部について、順に説明する。
【0023】
[内胴部]
内胴部11は、
図4に示すように、コード20を巻装するための部分となっている。
図4は、内胴部11に巻装したコード20の端部をコード引出口12aから引き出した状態の刈払機用コード保持装置10をその回転軸L
1を含む平面で切断して示した斜視図である。本実施態様において、内胴部11は、円筒状となっており、内胴部11の断面形状(回転軸L
1に垂直な断面の形状)は、円形となっている。しかし、その外周部にコード20を巻装できるのであれば、内胴部11の断面形状は、円形に限定されない。内胴部11の断面形状は、三角形や四角形などの多角形としたり、楕円形としたりすることもできる。また、内胴部11は、複数本の柱状体を組み合わせて構成することもできる。
【0024】
[外胴部]
外胴部12は、
図4に示すように、内胴部11に巻装されたコード20の外周を覆うための部分となっている。本実施態様において、外胴部12は、内胴部11の外径よりも大きな内径を有する円筒状となっている。外胴部12の内周面と内胴部11の外周面との間には、環状の隙間αが形成され、この隙間αの上側の開口部を通じて内胴部11にコード20を巻装できるようにしている。
図3に示すように、外胴部12は、内胴部11よりも低く形成している。これにより、コード20を内胴部11に巻装しやすくすることが可能となっている。内胴部11と同様、外胴部12の断面形状(回転軸L
1に垂直な断面の形状)は、円形に限定されず、各種形状を採用することができる。
【0025】
外胴部12には、
図4に示すように、コード20の端部を外胴部12の外側へ引き出すためのコード引出口12aが設けられている。コード引出口12aは、外胴部12を内外に貫通して設けられており、内胴部11に巻装されたコード20の端部を水平方向(回転軸L
1に垂直な方向)に引き出すことができるようになっている。このため、回転軸L
1を中心として刈払機用コード保持装置10を回転させると、コード引出口12aから外胴部12の外側へ引き出されたコード20の端部が綺麗に水平方向に広がった状態となるようになっており、広い範囲の刈払対象物を綺麗に刈り払うことが可能となっている。
【0026】
また、コード引出口12aは、
図4に示すように、外胴部12の高さ方向中間部から外胴部12の上端に達する範囲に亘って設けられており、コード引出口12aの上端は、開放端となっている。このため、コード20の先端をコード引出口12aの内側から外側へ通さなくても、コード20の端部をコード引出口12aの上方から下向きに挿し込むだけで、コード引出口12aからコード20の端部を引き出した状態とすることが可能となっている。加えて、コード引出口12aの上端を開放端としたことにより、コード20におけるコード引出口12aで保持された部分において、外胴部12がコード20の上面に当接しないようになるため、刈払対象物を刈り払う際に、コード引出口12aの周辺のコード20が傷つきにくくすることが可能となっている。
【0027】
図6は、刈払機用コード保持装置10が回転しているときのコード引出口12aの周辺を、
図5に示す矢印bの向きから見た状態を示した拡大図である。コード引出口12aは、既に述べた通り、その幅方向中心線を回転軸L
1に対して平行になるように設けてもよいが、本実施態様においては、
図6に示すように、コード引出口12aの幅方向中心線L
2は、回転軸L
1に対して傾斜させており、コード引出口12aで保持されたコード20が回転時においてコード引出口12aの下端に案内されるようにしている。回転軸L
1に対するコード引出口12aの幅方向中心線L
2の傾斜角度θは、3〜45°程度とすると好ましく、5〜30°程度とするとより好ましい。
【0028】
コード引出口12aは、外胴部12にパンチ加工や切削加工などを施すことにより形成される。
図6に示すコード引出口12aの側端部β,γ(外胴部12とコード引出口12aとの境界部)における外胴部12は、切れっ放しの状態としてもよいが、この場合には、側端部β,γのエッジにコード20が局所的に接触し、その部分でコード20が急角度で折れ曲がったり、コード20に傷がついたりするおそれがある。このため、コード20に接触する可能性のある側端部β,γは、断面アール状のエッジのない形状とすると好ましい。これにより、コード引出口12aの側端部における外胴部12とコード20との接触面積を増大させてコード20に局所的な力が加わらないようにするとともに、その断面アール状の部分でコード20がスムーズに滑るようにし、コード20が急角度で折れ曲がらないようにすることが可能になる。
【0029】
本実施態様においては、
図6に示すコード引出口12aの一対の側端部β,γのうち、回転の下流側となる側端部βは、外胴部12の外側から内側(
図6の紙面手前側)に向かってプレス加工を施すことにより、断面アール状に形成するとともに、回転の上流側となる側端部γは、外胴部12の内側から外側(
図6の紙面奥側)に向かってプレス加工を施すことにより、断面アール状に形成している。これにより、コード20が側端部βに接触している場合だけでなく、コード20が刈払対象物から衝撃を受けるなどして、側端部γに接触した場合であっても、上記の効果が好適に得られるようにすることが可能となっている。
【0030】
外胴部12に設けるコード引出口12aの個数は、特に限定されず、1つであってもよい。しかし、コード引出口12aを複数箇所に設けると、内胴部11に巻装した1本のコード20の両端部を外胴部12の外側に引き出したり、内胴部11に巻装した複数本のコード20のそれぞれの端部を外胴部12の外側へ引き出したりすることが可能になり、刈払対象物をより効率的に刈り払うことが可能になる。また、コード20を引き出しやすいコード引出口12aからコード20を引き出すことも可能になる。このため、コード引出口12aは、2個以上設けると好ましい。コード引出口12aの個数は、3個以上であるとより好ましく、4個以上であるとさらに好ましい。ただし、コード引出口12aの個数を多くしすぎると、外胴部12の内側にゴミなどが入り込みやすくなったり、外胴部12の強度が低下したりするおそれがある。このため、コード引出口12aの個数は、通常、10個以下とされる。
【0031】
コード引出口12aを複数個設ける場合には、それぞれのコード引出口12aは、刈払機用コード保持装置10の回転軸L
1に対して回転対称に設けると好ましい。本実施態様においては、
図5に示すように、刈払機用コード保持装置10の回転軸L
1に対して90°の回転対称となる位置に、4個のコード引出口12aを設けている。
図5は、内胴部11に巻装したコード20の端部をコード引出口12aから引き出した状態の刈払機用コード保持装置10を示した平面図である。
【0032】
[底部]
底部13は、
図3に示すように、内胴部11の下端と外胴部12の下端とを繋ぐ部分となっている。この底部13は、内胴部11の外周部に外胴部12を支持するだけでなく、内胴部11に巻装されたコード20が下側に抜け落ちないようにするための抜け止め(下側抜止部)としても機能するようになっている。底部13は、一部に開口部を有する形態であってもよいが、この場合には、内胴部11の外周面と外胴部12の内周面との隙間αに前記開口部を通じてゴミ(刈り払われた刈払対象物)などが入り込むおそれがある。このため、本実施態様において、底部13は、内胴部11の下端と外胴部12の下端との間を完全に塞ぐ連続面状に形成している。
【0033】
[上側抜止部]
上側抜止部14は、
図4に示すように、内胴部11の上端から外方に突出する鍔状の部分となっている。この上側抜止部14によって、内胴部11に巻装されたコード20が上側に抜け落ちないようになっている。本実施態様において、上側抜止部14は、刈払機用コード保持装置10をコード式刈払機に固定するための固定部としても機能するようになっている。すなわち、上側抜止部14には、固定孔14aを設けており、この固定孔14aの下側から上向きにボルトなどの固定具を通すことにより、刈払機用コード保持装置10をコード式刈払機における回転部に固定することができるようになっている。上側抜止部14は、上記の機能を発揮できるのであれば、その形態を適宜変更することができる。
【0034】
[外鍔部]
外鍔部15は、
図4に示すように、外胴部12の上端から外方へ突出する部分となっている。この外鍔部15によって、刈払対象物を刈り払っているときに何らかの原因で跳ね上がったコード20の端部を下側に押さえ、コード20がコード式刈払機に巻き込まれることを防いでいる。外鍔部15には、外鍔部15の外周縁からコード引出口12aに達するスリット15aが設けられている。このように、外鍔部15にスリット15aを設けることによって、コード20の端部をコード引出口12a及びスリット15aの上方から下向きに挿し込むだけで、コード引出口12aからコード20の端部を引き出した状態とすることが可能となっている。
【0035】
スリット15aは、刈払機用コード保持装置10の回転軸L
1に対して垂直な方向に設けてもよいが、本実施態様においては、
図5に示すように、スリット15aを傾斜して形成しており、スリット15の外端部が、スリット15の内端部よりも、刈払機用コード保持装置10の回転の順方向a側にずれるようにしている。これにより、刈払機用コード保持装置10が順方向aに回転した際に、コード引出口12aから引き出されたコード20の端部がスリット15aから上側に抜け出にくくすることが可能となっている。
【0036】
[コード押付手段]
コード押付手段16は、
図4に示すように、コード引出口12aから外胴部12の外側へ引き出されたコード20の端部を上側から押さえ付けてコード引出口12aから上側へ抜け出ないようにするための部分となっている。本実施態様において、コード押付手段16は、外胴部12の内周面から内側へ所定距離を隔てた位置でコード引出口12aを横切って配された棒状片によって構成している。棒状片16の基端部16aは、外胴部12の内周面下部又は底部13の上面縁部に固定された固定端となっており、棒状片16の先端部16bは、コード引出口12aの付近で途切れた自由端となっている。このため、コード20の端部は、棒状片16の先端部16bの側からコード引出口12aに向かって移動させることで、コード引出口12aに容易に保持させることができるようになっている。
【0037】
また、本実施態様において、棒状片16は、回転軸L
1に垂直な平面に対して傾斜した状態に設けられており、棒状片16の先端部16bは、棒状片16の基端部16aよりも高い位置となるようにしている。加えて、棒状片16は、
図5に示すように、平面視円弧状に湾曲して形成しており、棒状片16の先端部16bから基端部16aになるにつれて、外胴部12の内周面から棒状片16までの距離が、短くなるようにしている。これらの構成を採用することにより、棒状片16によるコード20の端部の押付機能を犠牲にすることなく、コード20の端部をコード引出口12aにさらに容易に保持させることが可能となっている。
【0038】
棒状片16の断面形状(その長手方向に垂直な断面の形状)は、三角形や四角形など、角を有する形状としてもよいが、円形や楕円形など、角を有さない形状(特に、コード20に当接するその下側の部分に角を有さない形状)とすると好ましい。これにより、棒状片16によってコード20が傷つきにくくすることが可能になる。
【0039】
[他の実施態様刈払機用コード保持装置]
本発明に係る刈払機用コード保持装置10は、
図1〜6に示した実施態様のもの以外にも、発明の主旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。以下、本発明に係る他の実施態様の刈払機用コード保持装置10の一例について説明する。
図7は、本発明に係る他の実施態様の刈払機用コード保持装置10の平面図である。
図8は、
図7の刈払機用コード保持装置10において内胴部11に巻装したコード20の端部をコード引出口12aから引き出した状態をその回転軸L
1を含む平面で切断して示した斜視図である。
図9は、
図7の刈払機用コード保持装置10において内胴部11に巻装したコード20の端部をコード引出口12aから引き出した状態を示した平面図である。
図10は、
図7の刈払機用コード保持装置10における棒状片16(コード押付手段)を側方から見た状態を示した図である。
【0040】
図1〜6の刈払機用コード保持装置10では、その棒状片16の全体が、回転軸L
1に垂直な平面(底部13の上面)に対して傾斜して設けられていたが、他の実施態様に係る刈払機用コード保持装置10では、
図7〜10に示すように、棒状片16の基端部16a側が、底部13の上面に固定されて当該上面と平行な状態となっている。また、棒状片16の基端部16aと先端部16bとの間に、回転軸L
1に対して略平行な方向に立ち上がる立上部16cが形成されている。棒状片16における立上部16cよりも基端部16a側の部分と先端部16b側の部分は、
図7に示すように、平面視くの字状に僅かに屈曲して形成されている。棒状片16における立上部16cよりも基端部16a側の部分は、
図10に示すように、上向きに傾斜して設けられている。
【0041】
図1〜6の刈払機用コード保持装置10では、その棒状片16の全体が傾斜しており、棒状片16の先端部16bから基端部16aに近づくにつれて棒状片16と底部13との隙間が狭くなるようになっていたため、刈払機用コード保持装置10が回転を繰り返すうちに、コード引出口12aから引き出されるコード20の付根付近が、棒状片16の基端部16aと底部13との隙間に挟み込まれた状態となることがあったが、
図7〜10に示す他の実施態様の刈払機用コード保持装置10では、コード引出口12aから引き出されるコード20の付根付近を回転軸L
1に略平行な立上部16cの外周部で支持するようになっているため、棒状片16の基端部16aと底部13との隙間にコード20が挟み込まれないようになっている。
【0042】
また、
図5の刈払機用コード保持装置10では、内胴部11に巻装した1本のコード20の両端部を一対のコード引出口12aから引き出すようにしていたが、他の実施態様の刈払機用コード保持装置10においては、
図9に示すように、内胴部11に巻装した2本のコード20のそれぞれの端部を外胴部12の外側へ引き出している。このため、刈払対象物をより効率的に刈り払うことが可能となっている。さらに、他の実施態様の刈払機用コード保持装置10では、
図1〜6に示した刈払機用コード保持装置10よりも、スリット15aをその外鍔部15の半径方向に対して傾斜した状態に設けている。このため、刈払対象物を刈り払う際にコード20がスリット15aからより抜け出にくくなっている。
【0043】
さらに、他の実施態様に係る刈払機用コード保持装置10では、
図11に示すように、外胴部12のコード引出口12aにおける一方のエッジ(刈払機用コード保持装置10の回転方向に対して後側のエッジ)の周辺A(
図7において網掛ハッチングで示した部分)を内側にアール状に凹ませて形成している。
図11は、刈払機用コード保持装置10におけるコード引出口12aにおける一方のエッジの周辺Aを拡大して示した斜視図である。刈払機用コード保持装置10が回転している際には、通常、コード引出口12aにおける一方のエッジの周辺Aには、コード20は当たらないものの、コード20が硬い木の枝等に当たった場合には、その反動でコード20が勢いよく当たるおそれがある。この点、他の実施態様に係る刈払機用コード保持装置10においては、コード引出口12aの前記一方のエッジをアール状に凹ませているため、前記一方のエッジにコード20が当たったとしても、その接触面積を大きく確保することで、コード20に局所的な外力が加わらないようにし、コード20が傷付くのを防止することが可能となっている。
【0044】
さらにまた、他の実施態様に係る刈払機用コード保持装置10では、
図7に示すように、外鍔部15のスリット15aの後側(刈払機用コード保持装置10の回転方向に対して後側)の爪部15bを長めに形成している。これにより、刈払機用コード保持装置10が回転する際にコード20が暴れたとしても、コード20がスリット15aを通ってコード引出口12aから脱落しにくくすることが可能となっている。爪部15bの長さ(刈払機用コード保持装置10の回転方向に沿った長さのこと。以下同じ。)は、刈払機用コード保持装置10の寸法等によっても異なるが、20mm以上とすると好ましく、25mm以上とするとより好ましく、30mm以上とするとさらに好ましい。爪部15bの長さに特に上限はないが、通常、50mm以下とされる。
【0045】
他の実施態様の刈払機用コード保持装置10における他の構成については、既に述べた
図1〜6の刈払機用コード保持装置10と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。