特許第6343216号(P6343216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6343216-車両用のペダルパッド 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343216
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】車両用のペダルパッド
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/483 20080401AFI20180604BHJP
【FI】
   G05G1/483
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-200175(P2014-200175)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-71618(P2016-71618A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 健太
(72)【発明者】
【氏名】芥田 幸一
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−236179(JP,A)
【文献】 特開2008−276685(JP,A)
【文献】 実公昭49−009853(JP,Y1)
【文献】 特開2000−242354(JP,A)
【文献】 実開昭61−189845(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/483
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダル本体を被覆するように前記ペダル本体に取り付けられる車両用のペダルパッドであって、
車両の運転者から見て右下側に位置し、かつ斜め右上がり方向の溝部が形成された溝部領域と、
前記溝部領域に対して左上側の領域すべてを占めており、かつ複数の突起部が形成された突起部領域とを有することを特徴とする、車両用のペダルパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のペダルパッド、特にブレーキペダル本体に取り付けられるペダルパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、特許文献1により開示されている車両用のペダルパッドの正面図である。ペダルパッド90は、たとえば合成ゴムからなり、板状部材91の表面に複数の突起部92が形成されている。突起部92が形成されることで、ペダルを大きく踏み込んだ運転者の靴底をすべりにくくさせるとともに、ペダルパッドの美感を良好なものとすることができる。
【0003】
しかしながら、通常の車両の制動操作は、運転者の足の踵を浮かさず、前記踵を回転軸として、前記足の爪先が弧を描くようにアクセルペダルからブレーキペダルに踏み替えることが一般的である。このとき、開示されているペダルパッド90では、運転者の靴底が突起部92に引っかかりやすいという問題があり、通常の車両の制動操作を阻害させる懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−50731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、ペダルを大きく踏み込んだ際に運転者の靴底がすべることを抑制するとともに、通常の車両の制動操作をスムーズに行うことが可能な車両用のペダルパッドを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される車両用のペダルパッドは、ペダル本体を被覆するように前記ペダル本体に取り付けられる車両用のペダルパッドであって、車両の運転者から見て右下側に位置し、かつ斜め右上がり方向の溝部が形成された溝部領域と、前記溝部領域に対して左上側の領域すべてを占めており、かつ複数の突起部が形成された突起部領域とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記ペダルパッドにおいて、運転者から見て右下側に形成された前記溝部領域の前記溝の方向が斜め右上がり方向となっている。該方向は、運転者の通常の制動操作において、アクセルペダルからブレーキペダルに踏み替える際、運転者の足の爪先が通過する方向と略一致する。また、前記制動操作において、運転者の靴底は前記溝部領域のみを通過する。これにより、前記制動操作において、運転者の靴底が前記突起部に引っかかるという事態が解消される。したがって、前記突起部領域の形成によりペダルを大きく踏み込んだ際に運転者の靴底がすべることを抑制するとともに、前記溝部領域の形成により通常の車両の制動操作をスムーズに行うことが可能であるという効果が得られる。
【0008】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るペダルパッドの一例を示す正面図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3】従来のペダルパッドの一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係るペダルパッドについて、添付図面を参照して以下のとおり説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るペダルパッドの一例を示している。本実施形態のペダルパッド1は、たとえば合成ゴムからなり、溝部領域AGおよび突起部領域APを備えている。
【0012】
溝部領域AGには、複数の溝部11が形成されている。複数の溝部11は、車両の運転者から見てペダルパッド1の右下側に位置し、かつ各々が斜め右上がり方向に延びている。溝部11の設置により、溝部領域AGにおいて複数の縞状突起部12があわせて形成される。本実施形態の溝部11の数は複数であるがこれに限定されず、1のみとすることができる。また、本実施形態の溝部11の横断面形状はV型であるがこれに限定されず、たとえばこれをU型とすることができる。
【0013】
突起部領域APは、溝部領域AGに対してペダルパッド1の左側の領域すべてを占めており、かつ複数の突起部13が設置されることで形成される。本実施形態の突起部13の形状は円形であるがこれに限定されず、たとえばこれを多角形とすることができる。
【0014】
図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。ペダルパッド1の使用形態は、鍵状部14をペダル本体2に掛合させ、ペダル本体2を被覆するようにペダル本体2に取り付けられる。本実施形態では、縞状突起部12の高さと、突起部13の高さとが略一致しているがこれに限定されず、相互の高さは自在に変更可能である。
【0015】
次に、ペダルパッド1の作用について説明する。
【0016】
本実施形態によれば、ペダルパッド1に形成された溝部領域AGの溝部11の方向が斜め右上がり方向となっている。該方向は、運転者の通常の制動操作において、アクセルペダルからブレーキペダルに踏み替える際、運転者の足の爪先が通過する方向と略一致する。また、前記制動操作において、運転者の靴底は溝部領域AGのみを通過する。これにより、ペダルパッド1において、前記制動操作による運転者の靴底の移動方向は、溝部11の方向、すなわち縞状突起部12の長辺方向と略一致する。したがって、前記靴底が突起部13に引っかかるという事態が解消される。
【0017】
溝部領域AGに対して、ペダルパッド1の左側の領域すべてを、突起部13により形成された突起部領域APが占めている。よって、ペダルを大きく踏み込んだとき、運転者の靴底に作用するペダルパッド1からの支圧応力が増加するため、前記靴底とペダルパッド1との摩擦抵抗が増加し、前記靴底がすべりにくくなる。たとえば、上り勾配の坂道において信号待ち等により車両を停止させるときは、ブレーキペダルを大きく踏み込む必要があるため、突起部領域APが有効に作用する。
【0018】
以上より、突起部領域APの形成により、ペダルを大きく踏み込んだ際に運転者の靴底がすべりにくくなるとともに、溝部領域AGの形成により、通常の車両の制動操作をスムーズに行うことが可能であるという効果が得られる。
【0019】
本発明に係るペダルパッドは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るペダルパッドの具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0020】
1:ペダルパッド
11:溝部
12:縞状突起部
13:突起部
14:鍵状部
AP:突起部領域
AG:溝部領域
2:ペダル本体
図1
図2
図3