(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
図1の符号1は、検査工程を行う検査ステーションであり、塗装工程の下流側に配置されている。この検査ステーション1に塗装工程から延在するチェーンコンベヤ(以下、単に「コンベヤ」と称する)2が貫通して配列されており、このコンベヤ2上を台車3が所定間隔を開けて移送されている。更に、この台車3に、車体のワークとしてのボディシェル4が載置されている。
図3に示すように、このボディシェル4はフロントフード4a、フロントフェンダパネル4b、サイドドアパネル4c、ルーフパネル4d、リヤクォータパネル4e、フューエルリッド4f、及びワゴンタイプではリヤゲート4g(セダンタイプはトランクリッド)等の、いわゆる蓋物が仮付けされて構成されており、前工程である塗装工程において所定に塗装が完了している。
【0014】
又、検査ステーション1を貫通するラインとしてのコンベヤ2の一側に足場昇降手段としての足場昇降装置5が配置され、他側に照明手段としての照明器6が対向配置されている。この足場昇降装置5は、検査員Mが検査作業を行う作業足場5a、この作業足場5aをグランド面GL側で支持する昇降リフタ5b、及び、この昇降リフタ5bを昇降動作させるモータアクチュエータ5c等が設けられている。一方、照明器6は、コンベヤ2と平行に延在する横長の矩形状をなしており、内部に縦長の照明灯6aが所定間隔毎に複数本配列されている。
【0015】
又、
図6に示すように、照明器6は作業足場5aに対してスタンドフレーム7を介して支持されており、作業足場5aと一体に昇降される。更に、
図7に示すように、ボディシェル4の車幅方向中心から検査員Mが立つ位置までの距離W1と、この車幅方向中心から照明器6までの距離W2とはほぼ等しく設定されている(W1=W2)。
【0016】
又、このスタンドフレーム7は照明器6を吊下した状態で支持しており、この吊下部7aに高さ調整手段としての高さ調整装置8が介装されている。この高さ調整装置8は、照明器6の高さを検査員Mの瞳Peの位置とほぼ同一位置に調整するもので、周知のウォーム機構等で構成された伸縮部8aと、この伸縮部8aを動作させる駆動モータ8bとを備えている。
【0017】
又、
図14(a)には、足場昇降装置5の作業足場5aが初期位置に待機している状態が示されている。この状態では、作業足場5aがグランド面GLとほぼ同じ高さに位置している。尚、図では省略しているが作業足場5aの周辺には落下防止柵が立設されており、この落下防止柵のコンベヤ2の上流側に入り口5dが設定されている。
【0018】
又、検査ステーション1は、作業足場5aの入り口5d側の近接位置に身長区分ゲート10が設けられている。この身長区分ゲート10は、作業足場5aに乗り込む検査員Mの目線高さに関する個体情報である身長を取得し、それを複数段階に区分するものであり、
図2に示すように、グランド面GLに立設されているゲート本体10aと、このゲート本体10aに設けられた個体情報取得手段としての光センサ列10bとを有している。光センサ列10bは透過型であり、光電管等を用いた投光器11aと受光器11bとからなる複数個の透過型光センサ11がゲート本体10aの両側対向面に対し、垂直方向に、所定ピッチ毎に配置されている。
【0019】
ところで、本実施形態では、この身長区分ゲート10で検査員Mの身長を所定レベルに区分し、検査員Mの目線高さを区分したレベル毎に推定しようとするものである。そのため、例えば特開2011−39844号公報や特開2012−37934号公報に開示されているように、検査員Mをカメラで撮影し、その画像データから身長を求め、この身長から目線高さ(直立した状態での瞳Peまでの高さ)を推定し、或いは、検査員Mの目線を認識して、目線高さを直接計測するようにしても良い。或いは検査員Mの目線高さを予め記憶させておき、作業足場5aに乗り込む際に、IDデータ等、検査員Mを特定する個人情報を読込むことで、予め登録されている目線高さを取得するようにしても良い。この場合、個人情報を取得するリーダが本発明の情報取得手段となる。
【0020】
尚、以下においては、便宜的に3個の透過型光センサ11が10cmピッチで配列されている場合を例示して説明する。但し、光センサ列10bは4個以上の透過型光センサ11の配列で構成されていても良く、又、各透過型光センサ11は10cmよりも短いピッチで配列されていても良い。
【0021】
図2に身長区分ゲート10の一例を示す。同図に示す身長区分ゲート10では、成人男性の平均身長を下から2番目と3番目との間に標準身長レベルL2として設定し、又、1番目と2番目との間に低身長レベルL1を設定し、更に、下から3番目の透過型光センサ11を遮断した場合は高身長レベルL3として設定している。尚、この身長レベル区分は一例であるため、これに限定されることはなく、光センサ11を多数配列させて身長レベルをより子細に区分するようにしても良い。
【0022】
更に、
図1に示すように、作業足場5aの上流側端部に、通過検知手段としての通過検知ゲート12が配設されている。この通過検知ゲート12は通過するボディシェル4の予め設定された部位P1〜P4(
図5参照)が通過したか否かを検出するものであり、ボディシェル4を移送するコンベヤ2が配設されている床面FL上であって、移送されて来るボディシェル4を挟む位置に対向一対のセンサポスト12a,12bが立設されている。更に、この各センサポスト12a,12bの対向面に投光器列12cと受光器列12dとが配設されている。
図5に示すように、投光器列12cと受光器列12dは、光電管等を用いた複数個の透過型光センサを構成する投光器(図においては第1〜第9投光器13a〜13i)と受光器(図においては第1〜第9受光器14a〜14i)とで構成されており、対をなす各投光器13a〜13iと各受光器14a〜14iは下から垂直方向に所定ピッチ毎に配設されている。尚、
図5には、説明を解りやすくするため、投光器13a〜13iと受光器14a〜14iとをボディシェル4側に向けて記載されている。
【0023】
この通過検知ゲート12は、車種毎に異なるボディシェル4の所定部位P1〜P4が所定に通過したか否かを、受光器14a〜14iが遮光されたか否かで検出する。従って、厳密には、この受光器14a〜14iが本発明の通過検知手段となる。
【0024】
図5に示すように、本実施形態では、第1〜第9受光器14a〜14iによって、ボディシェル4の前部に設けられているバンパビーム4hの高さ方向ほぼ中央部P1、フロントフェンダパネル4bの上部P2、ルーフパネル4dの先端部P3、及び後端部P4の通過を検知する。このボディシェル4の各部位P1〜P4の高さは車種毎に相違するため、本実施形態ではコンベヤ2上を移送されるボディシェル4の特徴部分を撮影し、その画像から車種を識別している。この特徴部分を撮影して、種別情報を取得する種別情報取得手段としてのカメラ15が、足場昇降装置5に対しコンベヤ2を挟む反対側に配設されている。
【0025】
又、このカメラ15は通過検知スイッチ16のON信号をトリガとして撮影が実行される。
図3に示すように、本実施形態ではカメラ15で撮影するボディシェル4の特徴部分として、車種毎に相違するフューエルリッド4fの形状が選択されている。尚、この特徴部分は他の部位であっても良い。一方、通過検知スイッチ16はリミットスイッチであり、フロントフェンダパネル4bに形成されているホイールハウスに設けられたアーチ部4jのサイドドアパネル4c側の通過を検知して、ON信号を出力する。
【0026】
図4に示すように、カメラ15は、通過検知スイッチ16のON信号に同期してコンベヤ2上を移動する全ての車種のフューエルリッド4fが撮影できるように画角が調整されている。尚、この通過検知スイッチ16は、後述する車種別光センサSen1がバンパビーム4hの通過を検知するよりも早い段階で、ホイールハウスのアーチ部4jの通過を検知して、ON信号を出力する。
【0027】
上述した身長区分ゲート10の各受光器11b、センサポスト12bに設けられている各受光器14a〜14i、カメラ15は昇降制御手段としての昇降制御ユニット21の入力側に接続されている。又、この昇降制御ユニット21の出力側に足場昇降装置5のモータアクチュエータ5c、及び高さ調整装置8の駆動モータ8bが接続されている。
【0028】
昇降制御ユニット21は、周知のマイクロコンピュータ、及びその周辺機器で構成されており、身長区分ゲート10の受光器11bからの信号に基づいて、欠陥検査を行う検査員Mの身長レベルL1〜L3を求め、この各身長レベルL1〜L3から所定値を減算して検査員Mの目線高さHEを推定する。更に、この昇降制御ユニット21は、カメラ15から送信された画像データを読込み、予め登録されているフューエルリッド4fの画像データとのパターンマッチングによりフューエルリッド4fを特定し、対応する車種の各部P1〜P4の高さデータを読み込み、センサポスト12に設けられている受光器列12dから各部P1〜P4の高さに最も近く、且つ各部P1〜3よりも低い位置にある受光器14a〜14iを選択する。
【0029】
すなわち、各受光器14a〜14iは、通過を検知する部位P1〜P4に対応してグループ化されており、第1〜第3受光器14a〜14cがバンパビーム4hの通過検知用であり、第4〜第6受光器14d〜14fがフロントフェンダパネル4bの上部P2の通過検知用であり、第7〜第9受光器14g〜14iがルーフパネル4dの先端部P3、及び後端部P4の通過検知用に設定されている。
【0030】
そのため、第1〜第3受光器14a〜14c、第4〜第6受光器14d〜14f、第7〜第9受光器14g〜14iは、グループ毎にそれぞれ一定のピッチで配列し、昇降制御ユニット21では、車種毎に各グループ(第1〜第3受光器14a〜14c、第4〜第6受光器14d〜14f、第7〜第9受光器14g〜14i)から、それぞれ一つの受光器を選択して、車種別光センサSen1〜3として特定する。
【0031】
そして、この選択した車種別光センサSen1〜3からの信号に基づき、ボディシェル4の各部P1〜P4の通過を検出すると共に、検査員Mの目線(瞳Pe)とボディシェル4の被検査面との間の高さhがほぼ一定となるように足場昇降装置5を昇降動作させる。
【0032】
上述した昇降制御ユニット21で実行される各制御処理は、具体的には、
図9〜
図13に示すルーチンに従って実行される。すなわち、検査員Mの身長レベルの区分処理は、
図9に示す身長レベル区分処理ルーチンに従って実行され、又、足場昇降装置5の昇降制御、及び、照明器6の高さを調整する高さ調整装置8の高さ調整処理は、
図10〜
図13に示す照明高さ・足場昇降制御ルーチンに従って実行される。
【0033】
先ず、
図9に示す身長レベル区分処理ルーチンについて説明する。ステップS1では、身長区分ゲート10の光センサ列10bを構成する透過型光センサ11の受光器11bから遮断信号が検出されるまで待機する。
【0034】
すなわち、コンベヤ2によって検査ステーション1へ移送される、塗装が所定に完了したボディシェル4の塗装面の欠陥検査を行うべく、検査員Mが作業足場5aに入り口5dから乗り込むに際しては、先ず、作業員Mは作業足場5aの入り口5d側に設けた身長区分ゲート10を脱帽、靴履の状態で通過する。すると、
図2(a),(b)に示すように、検査員Mの身長に応じて、複数の透過型光センサ11に設けられている受光器11bの何れかに対する受光が遮断される。
【0035】
そして、受光器11bの何れかから送信された遮断信号を昇降制御ユニット21が受信すると、プログラムはステップS2へ進み、遮断信号を送信する受光器11bに応じて、検査員Mの身長が何れの身長レベルLi(i=1,2,3)にあるかを調べる。すなわち、
図2(a)に示すように、下から1番目と2番目の受光器11bからの遮断信号を受信した場合は標準身長レベルL2に設定する。又、同図(b)に示すように、下から1番目の受光器11bのみからの遮断信号を受信した場合は低身長レベルL1に設定する。又、全ての受光器11bから遮断信号を受信した場合は、高身長レベルL3に設定する。
【0036】
そして、ステップS3で、設定した身長レベルLi(i=1,2,3)に対応する検査員Mの目線高さHEを算出して、ルーチンを終了する。尚、このステップS2,S3での処理が、本発明の目線高さ演算手段に対応している。
【0037】
本実施形態では、各身長レベルLi(i=1,2,3)に具体的な身長を設定し、例えば、3個の透過型光センサ11が10cmピッチで配列されており、標準身長レベルL2を170[cm]に設定した場合、低身長レベルL1=160[cm]、高身長レベルL3=180[cm]に設定する。そして、平均的な成人男性の頭頂部から目の位置までの距離を各身長レベルL1〜L3から減算して、検査員Mの目線高さHEを求める。
【0038】
この身長区分ゲート10は、検査員Mが通過することにより透過型光センサ11が遮断されたか否かを検出するだけであるため、検査員Mは身長区分ゲート10でいちいち立ち止まることなく、作業足場5aに乗ることができる。
【0039】
次に、
図10〜
図13に示す照明高さ・足場昇降制御ルーチンについて説明する。このルーチンは、ステップS11で、通過検知スイッチ16がフロントフェンダパネル4bのアーチ部4jの通過を検知したか否か、すなわち、ON信号が受信されるまで待機する。
【0040】
そして、通過検知スイッチ16からのON信号を受信すると、ステップS12へ進み、カメラ15を作動させ、所定画角で撮影を行う。このカメラ15は、通過検知スイッチ16がフロントフェンダパネル4bのアーチ部4jの通過を検知した際に、丁度、リヤクォータパネル4eのフューエルリッド4f付近に対峙しており、フューエルリッド4fを撮影した画像データが昇降制御ユニット21に送信される。
【0041】
その後、ステップS13へ進むと、
図4に示すように、カメラ15で撮影した画像と予め車種毎に登録されているフューエルリッドの全てのテンプレート画像Tとのパターンマッチングにより、ボディシェル4のフューエルリッド4fを特定し、フューエルリッド4fの特徴形状から当該ボディシェル4の車種(種別)を特定する。尚、このステップでの処理が、本発明の種別特定手段に対応している。
【0042】
そして、ステップS14へ進み、ステップS13の車種識別処理により車種が特定されたか否かを調べ、特定された場合はステップS15へ進み、特定できなかった場合はステップS48へジャンプする。
【0043】
車種が特定されたと判定されてステップS15へ進むと、当該車種の車体データを、各種車体データが記憶されている記憶手段から取得する。尚、このステップでの処理が、本発明のデータ取得手段に対応している。
【0044】
この車体データには、ボディシェル4の被検査面の予め特定した部位の高さデータ、及びセンサ列12dを構成する各受光器14a〜14iの中から選択する3つの車種別光センサSen1〜3のデータが含まれている。
図5に示すように、本実施形態では、この高さデータとして床面FLからフロントフェンダパネル4bの前後中央付近における上部迄の高さaと、そこからルーフパネル4dの先端付近までの高さbと、リヤゲート4g(セダンタイプはトランクリッド)の屈曲部分付近から床面FL迄の高さcと、床面FLからボディシェル4の後端までの高さdが記憶されている。又、符号PAは高さaからフロントピラー4kのおおよそ1/2までの高さであり、車種毎に設定されている。或いは、この高さPAは固定値であっても良い。尚、車種別光センサSen1〜3の選択手順については後述する。
【0045】
その後、ステップS16へ進むと、前述した身長レベル処理ルーチンで算出した検査員の目線高さHEに基づき初期足場高さHFinを設定する。
図14〜
図16に示すように、本実施形態では、後述する足場高さHFが床面FLを基準に設定されている。従って、検査員Mの身長の高低に変わらず、被検査面からの目線の基準高さhをほぼ一定にするために設定する初期足場高さはHFinは、作業足場5aの待機位置を床面FLと同じ高さとし、基準高さhから目線高さHEを減算した値で設定する(HFin←h−HE)。尚、このステップでの処理が、本発明の初期足場高さ演算手段に対応している。
【0046】
この基準高さhは、統計的に割り出したものであり、検査員Mの目線から被検査面までの高さを種々変更して、被検査面の欠陥検出率[%]を調べると、
図8に示すような、正規分布に近い形が得られた。本実施形態では、被検査面からの目線までの高さを欠陥検出率が90[%]となる領域を、その中心値を基準高さhと特定し、h±σを許容範囲に設定している。従って、被検査面からの目線までの高さはh±σの範囲に収まっていれば良いことになる。
【0047】
その後、ステップS17へ進み、照明器6の高さHLを設定する。
図6に示すように、照明器6は、作業足場5aにスタンドフレーム7を介して支持されており、
図7に示すように、検査員Mと照明器6とは、ボディシェル4の幅方向中央を挟んでほぼ対称な位置に設定されている(W1=W2)。従って、この照明器6の高さを検査員Mの目線高さHEと同じ高さに設定することで(HE=HL)、
図6、
図7に示すように、照明器6から投射される照明光の入射角θ1と検査員Mの視線の角度θ2とが等しくなり(θ1=θ2)、従って、照明光の被検査面からの反射光が検査員Mの視線上に入射されることになるため、視認性が向上する。
【0048】
そのため、昇降制御ユニット21は、検査員Mの目線高さHEと等しくなる照明器6の照明高さHLを求め、この値から高さ調整装置8に設けた伸縮部8aの移動量を算出する。そして、ステップS18でこの移動量に対応する駆動信号を高さ調整装置8の駆動モータ8bに出力し、伸縮部8aを伸縮動作させて、照明器6の高さを調整する。尚、
図7の符号h0は床面FLからボディシェル4の被検査面までの高さ、すなわち、
図5の各部位P1〜P4迄の高さに相当する。又、h1は床面FLから検査員Mの目線までの高さ、h2は床面FLから照明器6までの高さである。又、上述したステップS17,18での処理が、本発明の照明駆動信号出力手段に対応している。
【0049】
次いで、ステップS19へ進むと、上述したステップS15で読込んだ車体データに記憶されている、当該ボディシェル4の特定部位の追加を検出する3個の車種別光センサSen1〜3を特定し、設定する。すなわち、第1車種別光センサSen1を第1〜第3受光器14a〜14cの中から、当該バンパビーム4hの高さ方向中央部P1に最も近いものが設定されている。又、第2車種別光センサSen2が第4〜第6受光器14d〜14fの中からフロントフェンダパネル4bの上部P2に最も近く、且つこの上部P2よりも低い位置にあるものが選択されている。更に、第3車種別光センサSen3が、第7〜第9受光器14g〜14iの中から、ルーフパネル4dの先端部P3に最も近く、且つこの先端部P3よりも低く、しかも後端部P4の通過を検出できるものが選択されている。
【0050】
例えば、
図5にはSUV(Sport Utility Vehicle)タイプのボディシェル4が示されているが、このボディシェル4に対しては、第1車種別光センサSen1として、第2受光器13bが設定され(Sen1←13b)、第2車種別光センサSen2として、第5受光器13eが設定され(Sen2←13e)、第3車種別光センサSen3として、第8受光器13hが設定されている(Sen3←13h)。
【0051】
従って、ボディシェルがセダンタイプの場合は、例えば、第1車種別光センサSen1として第1受光器13aが設定され(Sen1←13a)、第2車種別光センサSen2として第4受光器13dが設定され(Sen2←13d)、第3車種別光センサSen3として第7受光器13gが設定される(Sen3←13g)。又、ボディシェル4がミニバンタイプの場合は、例えば、第1車種別光センサSen1として第3受光器13cが設定され(Sen1←13c)、第2車種別光センサSen2として、第6受光器13dが設定され(Sen2←13f)、第3車種別光センサSen3として、第9受光器13iが設定される(Sen3←13i)。尚、このステップS19での処理が、本発明の光センサ特定手段に対応している。
【0052】
その後、ステップS20へ進み、第1車種別光センサSen1がバンパビーム4hの通過を検知するまで待機する。そして、第1車種別光センサSen1が遮光されたとき、バンパビーム4hが通過検知ゲート12を通過中と判定し、ステップS21へ進む。ステップS21では、第2車種別光センサSen2が遮光しているか否かを調べ、受光している場合はステップS22へ進み、又、遮光されている場合はセンサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。
【0053】
ステップS22では、第3車種別光センサSen3が遮光しているか否かを調べ、受光している場合はステップS23へ進み、又、遮光している場合はセンサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。
【0054】
ステップS23へ進むと、足場高さHFを、初期足場高さHFinに予め設定されている高さa(床面FLからフロントフェンダパネル4bの前後中央付近における上部迄の高さ)を加算した値で設定し(HF←HFin+a)、ステップS24へ進み、今回算出した足場高さHFから直前に求めた足場高さHF(n-1)を減算した差分ΔHFに対応する駆動信号を、足場昇降装置5のモータアクチュエータ5cに出力する。尚、(n-1)は直前の値を示しており、ステップS23では、足場高さHF(n-1)は求められていないため、HF(n-1)=0である。又、足場高さHFは床面FLを基準に設定されている。
【0055】
すると、作業足場5aは、
図14(a)に示す待機位置から上昇を開始し、その間、ボディシェル4は台車3に載置された状態で作業足場5aの方向へ移動して来るため、作業足場5aに立っている検査員Mは、作業足場5aの上昇に従い、ボディシェル4の先端部からフロントフード4aの先端側付近における塗装面の欠陥検査を行う。
【0056】
そして、作業足場5aが足場高さHF(=ΔHF)に到達した場合(
図14(b)参照)、ステップS25へ進み、第2車種別光センサSen2が遮光しているか否かを調べる。第2車種別光センサSen2の遮光が検知された状態は、フロントフード4aの中間付近が通過検知ゲート12を通過している状態である。そして、遮光されている場合は、ステップS26へ進み、又、受光状態のときは遮光されるまで待機する。
【0057】
第2車種別光センサSen2が遮光していると判定されてステップS26へ進むと、第1車種別光センサSen1が遮光しているか否かを調べ、遮光している場合はステップS27へ進み、又、受光している場合は、センサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。ステップS27へ進むと、第3車種別光センサSen3が遮光しているか否かを調べ、受光している場合はステップS28へ進み、遮光されている場合はセンサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。
【0058】
ステップS27からステップS28へ進むと、上述のステップS23で算出した足場高さHF(n-1)にフロントピラー4kの中間位置付近までの高さPAを加算して、新たな足場高さHFを設定する(HF←HF(n-1)+PA)。そして、ステップS29へ進み、今回算出した足場高さHFから直前に求めた足場高さHF(n-1)を減算した差分ΔHFに対応する駆動信号を、高さ調整装置8の駆動モータ8bに出力する。尚、このフロントピラー4kの中間位置付近までの高さPAは、今回読込んだ車体データに記憶されている。或いは、この高さPAは固定値であっても良い。
【0059】
すると、作業足場5aは高さPA分だけ更に上昇し、その間、検査員Mは、ボディシェル4の移動に伴い、フロントフード4aの車体後部方付近からフロントピラー4k周辺にかけての塗装面を目視して、欠陥検査を行う。
【0060】
そして、作業足場5aが足場高さHFまで上昇した場合(
図15(a)参照)、ステップS30へ進み、第3車種別光センサSen3が遮光されているか否かを調べ、遮光されている場合はステップS31へ進み、受光状態のときは遮光されるまで待機する。
【0061】
第3車種別光センサSen3が遮光していると判定されてステップS31へ進むと、第1車種別光センサSen1が遮光しているか否かを調べ、遮光している場合はステップS32へ進み、又、受光している場合は、センサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。ステップS32へ進むと、第2車種別光センサSen2が遮光しているか否かを調べ、遮光している場合はステップS33へ進み、受光している場合はセンサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。
【0062】
ステップS33では、直前に求めた足場高さHF(n-1)に、高さbから高さPA(
図5参照)を減算した値を加算して、新たな高さHFを算出し(HF=HF(n-1)+(b−PA))、ステップS34へ進み、今回算出した足場高さHFから直前に求めた足場高さHF(n-1)を減算した差分ΔHFに対応する駆動信号を、足場昇降装置5のモータアクチュエータ5cに出力する。すると、作業足場5aは現在の位置から(b−PA)分だけ更に上昇する。この作業足場5aの上昇に伴い、検査員Mの目線高さHE(
図6参照)が、
図15(b)に示すように、ルーフパネル4dの塗装面から基準高さh付近に臨まされる。
【0063】
そして、作業足場5aが、上述したステップS33で求めた足場高さHFまで上昇すると、ステップS35へ進み、第3車種別光センサSen3が受光しているか否かを調べ、受光している場合は、ステップS36へ進み、又、遮光されている場合は受光されるまで待機する。この状態は、
図15(b)〜
図16(a)に示すように、作業足場5aの上昇が停止し、ボディシェル4が台車3に載置された状態で検査員Mの前方を横切っている状態であり、検査員Mは、移動するルーフパネル4dの塗装面を目視して欠陥検査を行う。
【0064】
第3車種別光センサSen3が受光されていると判定されてステップS36へ進むと、第1車種別光センサSen1が遮光しているか否かを調べ、遮光している場合はステップS37へ進み、又、受光している場合は、センサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。ステップS37へ進むと、第2車種別光センサSen2が遮光しているか否かを調べ、遮光している場合はステップS38へ進み、受光されている場合はセンサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。
【0065】
第3車種別光センサSen3が遮光から受光に切り替わった状態は、
図5、
図16(a)に示すように、ルーフパネル4dの後端付近が通過検知ゲート12を通過した状態であり、検査員Mはルーフパネル4dの後部付近からリヤゲート4gの上部付近にかけての塗装面を目視して欠陥検査を行う。
【0066】
ステップS38へ進むと、直前の足場高さHF(n-1)から、高さa,bを加算した値に高さcを減算した値を減算して(
図5参照)、新たな足場高さHFを算出し(HF=HF(n-1)−(a+b−c))、ステップS39へ進み、今回算出した足場高さHFから直前に求めた足場高さHF(n-1)を減算した差分ΔHFに対応する駆動信号を、高さ調整装置8の駆動モータ8bに出力する。
【0067】
この差分ΔHFは負値であり、モータアクチュエータ5cは逆回転して、作業足場5aを下降させる。その結果、
図16(a)に一点鎖線で示すように、作業足場5aの降下に伴い検査員Mの目線が次第に低くなるため、リヤゲート4gの上部付近から高さ方向中央付近にかけての塗装面を目視して欠陥検査を行う。
【0068】
そして、上述のステップS38で算出した足場高さHFに達した後、ステップS40へ進み、第2車種別光センサSen2が受光しているか否かを調べ、受光している場合はステップS41へ進み、遮光状態のときは受光されるまで待機し、受光されたとき、ステップS41へ進む。
図5に示すように、第2車種別光センサSen2が遮光から受光に切り替わった状態では、高さc付近までの欠陥検査が終了している。
【0069】
そして、ステップS41へ進むと、第1車種別光センサSen1が遮光しているか否かを調べ、遮光している場合はステップS42へ進み、又、受光している場合は、センサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。ステップS42へ進むと、第2車種別光センサSen2が遮光しているか否かを調べ、受光している場合はステップS43へ進み、遮光している場合はセンサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。
【0070】
ステップS43へ進むと、直前に求めた足場高さHF(n-1)から、高さc,dの差分を減算して(
図5参照)、新たな足場高さHFを算出し(HF=HF(n-1)−(c−d))、ステップS44へ進み、今回算出した足場高さHFから直前に求めた足場高さHF(n-1)を減算した差分ΔHFに対応する駆動信号を、足場昇降装置5のモータアクチュエータ5cに出力する。この差分ΔHFは負値であり、モータアクチュエータ5cは逆回転して、作業足場5aを更に下降させる。その結果、検査員Mはリヤゲート4gの高さ方向中央付近から下部にかけての塗装面を目視して欠陥検査を行う。
【0071】
尚、上述したステップS23,S28,S33,S38,S43での処理が、本発明の足場高さ演算手段に対応している。又、上述したステップS24,S29,S34,S39,S44での処理が、本発明の足場駆動信号出力手段に対応している。
【0072】
そして、作業足場5aが、上述のステップS43で求めた足場高さHFに達した場合、ステップS45へ進み、第1車種別光センサSen1が受光しているか否かを調べ、受光している場合はステップS46へ進み、遮光している場合は、受光するまで待機する。
【0073】
第1車種別光センサSen1が受光していると判定して、ステップS46へ進むと、第2車種別光センサSen2が受光しているか否かを調べ、受光している場合はステップS47へ進み、遮光している場合はセンサ異常と判定し、ステップS48へジャンプする。ステップS47へ進むと、第3車種別光センサSen3が受光しているか否かを調べ、受光している場合はステップS49へ進み、遮光している場合はセンサ異常と判定し、ステップS48へ分岐する。
【0074】
ステップS48では、モニタの表示や表示灯の点灯、スピーカからの音声等にて検査員Mに対し、通過検知ゲート12に検知エラーが発生したことを報知して、ステップS49へ進む。
【0075】
ステップS47、或いはステップS48からステップS49へ進むと、昇降制御ユニット21は、モータアクチュエータ5cを駆動させ、作業足場5aを、
図14(a)に示す待機位置へ復帰させて、1台のボディシェル4に対する欠陥検査を終了し、次のボディシェル4が通過検知スイッチ16をONさせるまで待機する。
【0076】
尚、検査員Mが塗装面の欠陥を発見した場合、検査員Mは当該欠陥箇所にマーキングを施し、次の補修工程で該当箇所の修復作業を行う。又、エラーが報知されたボディシェル4に対しては、検査エラーである旨を所定に表示し、次の補修工程等において欠陥検査を別途行う。
【0077】
このように、本実施形態では、検査員Mの目線高さHEを求め、この目線高さHEに基づき、コンベヤ2上を移動するボディシェル4の塗装面に対し、作業員Mの目線を予め設定した基準高さhになるように作業足場5aを自動的に昇降させるようにしたので、塗装面に対する検査員Mの目線の高さがほぼ一定となり、検査員Mの欠陥検査による合否判定のバラツキを最小現に抑制できる。その結果、高い欠陥検出率を安定的に得ることができる。又、従来のように検査員Mが塗装面の高さに応じて作業足場5aをいちいち昇降操作する必要がなくなり、作業効率が向上する。
【0078】
更に、検査員Mに対してボディシェル4を挟んで対向する側に配設した照明器6の高さも検査員Mの目線高さに合わせて調整されるため、常に安定した照明を得ることができ、より高い欠陥検出率を得ることができる。
【0079】
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば、ボディシェル4の種別は車体情報が記憶されたバーコードや2次元コード、或いはICタグから読み取るようにしても良い。この場合、バーコードや2次元コード、或いはICタグは台車3やボディシェル4に付設し、これをカメラ15やコードリーダ、或いはタグリーダで読込む。この場合、コードリーダやタグリーダが本発明の種別情報取得手段となる。
【0080】
更に、ワークは車体のボディシェルに限らず、コンベヤ2上を移送されるものであれば、完成車等であっても良く、車両以外の他の物であっても良い。又、被検査面も塗装面に限るものではない。