特許第6343237号(P6343237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6343237酸性ガス分離のための再生可能溶媒混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343237
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】酸性ガス分離のための再生可能溶媒混合物
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20180604BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20180604BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20180604BHJP
   C10L 3/10 20060101ALN20180604BHJP
【FI】
   B01D53/14 210
   B01D53/14 220
   B01D53/50 260
   B01D53/62
   !C10L3/10ZAB
【請求項の数】16
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-560094(P2014-560094)
(86)(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公表番号】特表2015-513464(P2015-513464A)
(43)【公表日】2015年5月14日
(86)【国際出願番号】US2013028660
(87)【国際公開番号】WO2013130997
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】61/606,057
(32)【優先日】2012年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500240896
【氏名又は名称】リサーチ・トライアングル・インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライル,マーティー
(72)【発明者】
【氏名】コールマン,ルーク
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−538125(JP,A)
【文献】 特表2006−527153(JP,A)
【文献】 特開2012−030224(JP,A)
【文献】 特表2013−542848(JP,A)
【文献】 特開2012−030223(JP,A)
【文献】 特開平08−057250(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0220397(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/128001(WO,A1)
【文献】 特表2015−509840(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/121633(WO,A1)
【文献】 特表2011−521778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14−53/18
B01D 53/34−53/73
B01D 53/74−53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
求核性アミンのカチオンおよびプロトン性非水性液体のアニオンより成るイオン性液体で形成される溶液を含む溶媒系であって、前記イオン性液体は、酸性ガスと反応して、1)前記求核性アミンと酸性ガスとが、カルバメート塩、両性イオンスルファミン酸、サルフェート塩またはこれらの組合せを形成し、および2)前記プロトン性非水性液体が、プロトン化弱酸を含むイオン溶液を形成する、前記溶媒系。
【請求項2】
前記求核性アミンが疎水性である、請求項1に記載の溶媒系。
【請求項3】
水に対し、水100mLにつき溶媒系20g未満の混和性を有する、請求項1に記載の溶媒系。
【請求項4】
水100mLにつき溶媒20g未満の水溶解度を有する、請求項1に記載の溶媒系。
【請求項5】
前記酸性ガスが、CO、SOまたはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の溶媒系。
【請求項6】
前記酸性ガスが、COまたはSOを含む、請求項1に記載の溶媒系。
【請求項7】
前記求核性アミンが、第1級アミン、第2級アミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ペンタアミン、環式アミン、環式ジアミン、アミンオリゴマー、ポリアミン、アルコールアミンおよびこれの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の溶媒系。
【請求項8】
前記プロトン性非水性液体が、8から15のpKaを有する液体である、請求項1に記載の溶媒系。
【請求項9】
前記プロトン性非水性液体が、フッ素化アルコール、置換されていてもよいフェノール;窒素複素環およびこれの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の溶媒系。
【請求項10】
請求項1に記載の溶媒系であって、前記プロトン性非水性液体が、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール;2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール;2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブタノール;2,2,2−トリフルオロエタノール;ノナフルオロ−1−ヘキサノール;4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタノール;1,1,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール;4−メトキシフェノール;4−エトキシフェノール;2−エトキシフェノール;4−プロポキシフェノール;イミダゾール;ベンゾイミダゾール;N−メチルイミダゾール;1−トリフルオロアセチルイミダゾール;1,2,3−トリアゾール;1,2,4−トリアゾール;2−トリフルオロメチルピラゾール;3,5−ビストリフルオロメチルピラゾール;3−トリフルオロメチルピラゾール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2−トリフルオロメチルフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、4−トリフルオロメチルフェノールおよびこれの混合物から成る群より選択される、溶媒系。
【請求項11】
酸性ガス含有ガス流に請求項1から10に記載の溶媒系のいずれかを接触させることを含む、ガス流から酸性ガスを除去する方法。
【請求項12】
酸性ガスリッチ溶媒および酸性ガス・リーン・ガス流を回収することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸性ガスリッチ溶媒中に存在するよりも低い含有率で酸性ガスを含む再生溶媒を形成するために熱を加えることによって、前記酸性ガスリッチ溶媒を再生することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記再生成分によって加えられた前記熱が、蒸気、煙道ガスまたはこれの組合せから成る群より選択される供給源から得られる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガス含有流が、CO、SOまたはこれらの組合せを含む混合ガス流である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
20体積%以下の水を許容する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流の特定の成分を除去するための溶媒系ならびにこのような系を使用する装置および方法に関するものである。より具体的には、本発明は、酸性ガス、例えばCO、SO、COS、CSおよびNOの除去を提供することができる。本発明は、該系を用いる装置および方法の連続的な操作をさらに提供することができる。さらに、本発明の方法は、ガス吸着/脱着、および/または位相強化吸着/脱着を含む、多様な吸着/脱着手段を利用することができる。
【背景技術】
【0002】
燃焼工程からの望ましくない排気物質の産生および/または放出を最小限にするために、多様な方法が求められている。このような方法の1つに、炭素燃焼工程の排気ガスなどのガス混合物から酸性ガスを特異的に除去するための技術の開発がある。大規模な工業用発電所で求められるような大規模に使用される公知の工程はなかったが、ガス混合物からCOなどの酸性ガスを分離することは100年以上にわたって工業的に行われてきた。現在の技術は、COの分離に使用される多くの方法のうち、BENFIELD(商標)法(UOP、LLC)の炭酸アルカリ、ECONAMINE FG PLUS(商標)法(Fluor Corporation)のアルコールアミンならびにRECTISOL(登録商標)法(Lurgi、GMBH)のアルコール、ジオールおよびエーテルならびにSELEXOL(商標)溶媒(The Dow Chemical Company)などの多様な溶媒を使用することに主に焦点を当てている。代表的な溶媒ベース方法において、処理されるガス混合物を、ガス流中の酸性化合物(例えばCOおよびSO)と相互作用して、化合物を非酸性成分から分離する液体溶媒に通過させる。液体は酸性ガス成分がリッチとなり、酸性ガス成分は次に異なる一連の動作条件下で除去されるため、溶媒を追加的な酸性ガス除去のために再利用することができる。
【0003】
酸性ガス成分をリッチ溶媒から除去する方法は、圧力および温度変化を包含する。ガス混合物の温度および混合物中の酸性ガスの分圧に応じて、ある溶媒は特定の用途に好ましい。溶媒が化学的吸着によって酸性ガスと相互作用するように作用する時、発熱化学反応が起こる。この反応の逆転には、リッチ溶媒を逆転が感知できる温度にするためにおよび該逆反応を感知できる程度まで完了させる条件を維持するために必要なエネルギーに加えて、正反応によって生成されたリッチ溶媒に加え戻されるエネルギーの量が少なくとも必要である。リッチ溶媒から精製された酸性ガスを得るために必要なエネルギーは、精製生成物のコストの一因となる。特に、精製された酸性ガスのコストは、煙道ガスから酸性ガスを除去するための化石燃料火力発電所の溶媒技術の利用にとって大きな障害となってきた。
【0004】
非水性溶媒は、天然ガス流からCOを除去するために使用されて、再生に必要とするエネルギーはより少ない。単成分アルコール性物理収着溶媒、例えばRECTISOL(商標)およびSELEXOL(登録商標)は、CO分離用に市販されているが、煙道ガスに関連する高湿度の準大気圧条件では十分に機能しない。アルコールアミンおよびアミンは、様々な研究者によってアルコール、ジオールおよび環式カーボネートと組合されて「ハイブリッド溶媒」を形成し、この反応機構および反応速度論は文献にて研究されている。Alvarez−Fuster,et al.,Chem.Eng.Sci.1981,36,1513;Ali,et al.,Separation and Purification Technology 2000,18,163;Usubharatana,et al.,Energy Procedia 2009,1,95;およびPark,et al.,Sep.Sci.Technol.2005,40,1885を参照のこと。加えて、一般に窒素塩基およびアルコールより成る水より低比重の「吸収相」中への酸性ガスの吸収と、続いての吸収された酸性ガスの水性「キャリア相」中への移動より成る「相転移吸収法」として公知の方法が、ガス状混合物を脱酸性化する方法に関連して開示されている。水性キャリア相は再生装置にて再生することができる。該方法は、酸性ガスを吸収相単独よりも高速で吸収することによって、ならびに重力を利用して吸収および再生用の単一カラム内の相間で酸性ガスを移動させることにより、独立した再生装置にリッチ吸収相をポンプ輸送するために必要なエネルギーを回避することによって、エネルギーを節約するとしている。
【0005】
CO溶媒に影響する問題の多くに対処するために開発できる非水性液体の別の群には、室温切換型イオン液体がある。アミジンまたはグアニジン窒素塩基およびアルコールのこれらの等モル混合物は、COと反応して室温イオン液体を形成する非イオン性室温液体である。通例、等モル混合物の導電率は、COを添加すると、1または2桁上昇する。重要なのは、これらの溶媒が一部の水性アミンよりも高いCOローディングを有し、より穏やかな条件下で再生可能なことである。これらの溶媒は有望な代替技術であるが、通例、煙道ガスの主成分である水に対するこれらの化学的性質のために、これらは煙道ガス用途にはあまり適していない。COは、脱プロトン化アルコール成分の共役塩基から誘導されたアミジニウムおよびグアニジウムアルキルカーボネート塩の形成によって回収される。しかし、アルキルカーボネートエステルは通例、塩基性条件下で水中にて加水分解され、バイカーボネート塩を生じる。
【0006】
従って、酸性ガスをガス流(特に水含有ガス流)から効果的に除去可能であり、現在このような目的に利用されている溶媒よりも低い温度およびエネルギー負荷で再生可能である、新たな溶媒系を構築することが有益である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Alvarez−Fuster,et al.,Chem.Eng.Sci.1981,36,1513
【非特許文献2】Ali,et al.,Separation and Purification Technology 2000,18,163
【非特許文献3】Usubharatana,et al.,Energy Procedia 2009,1,95
【非特許文献4】Park,et al.,Sep.Sci.Technol.2005,40,1885
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は概して、酸性ガス、例えばCOをガス流から除去するための溶媒系およびこのような溶媒系を使用して酸性ガスを除去する方法を提供する。この機能において作用可能である、多様な溶媒系が本明細書に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、求核性アミンおよびプロトン性非水性液体より成るイオン性液体で形成された溶液を含み、該イオン液体が:1)カルバメート塩、両性イオンスルファミン酸、サルフェート塩またはこれの組合せおよび2)プロトン化弱酸を含むイオン溶液を形成するように酸性ガスと反応する溶媒系が提供される。あるこのような溶媒系において、求核性アミンは、第1級アミン、第2級アミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ペンタアミン、環式アミン、環式ジアミン、アミンオリゴマー、ポリアミン、アルコールアミンおよびこれの混合物から成る群より選択される。あるこのような溶媒系において、プロトン性非水性液体は、約8から約15のpKaを有する液体である。プロトン性非水性液体は例えば、フッ素化アルコール、場合により置換されたフェノール;窒素複素環およびこれの混合物から成る群より選択され得る。例示的なプロトン性非水性液体としては、これに限定されるわけではないが、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール;2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール;2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブタノール;2,2,2−トリフルオロエタノール;ノナフルオロ−1−ヘキサノール;4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタノール;1,1,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール;4−メトキシフェノール;4−エトキシフェノール;2−エトキシフェノール;4−プロポキシフェノール;イミダゾール;ベンゾイミダゾール;N−メチルイミダゾール;1−トリフルオロアセチルイミダゾール;1,2,3−トリアゾール;1,2,4−トリアゾール;2−トリフルオロメチルピラゾール;3,5−ビストリフルオロメチルピラゾール;3−トリフルオロメチルピラゾール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2−トリフルオロメチルフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、4−トリフルオロメチルフェノールおよびこれの混合物が挙げられる。
【0010】
別の態様において、2つ以上の求核性アミンおよび2つ以上の非水性液体の混合物で形成された溶液を含む溶媒系であって、前記求核性アミンの1つ以上が、これらが酸性ガスと反応してカルバメート塩、混合カルバメート、塩、両性イオンスルファミン酸およびサルフェート塩の1つ以上を形成するような構造を有する溶媒系が提供される。このような溶媒系のある実施形態において、2つ以上の求核性アミンはアルキルフルオロ芳香族アミンであることができる。例えば、アルキルフルオロ芳香族アミンは例えば3−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミンおよび4−フルオロフェネチルアミンから成る群より選択され得る。本溶媒系のある実施形態により使用される2つ以上の非水性液体は、ある実施形態において、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール、3,3,4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロブタノールおよび4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタノールから成る群より選択され得る。
【0011】
一態様において、求核性アミン;非求核性窒素塩基;および非水性液体で形成された溶液を含む溶媒系であって、該求核性アミンは、これが酸性ガスと反応してカルバメート塩、混合カルバメート塩、スルファミン酸、スルファメートまたはサルフェート塩を形成するような構造を有し、該非求核性窒素塩基および非水性液体が反応して混合カルバメート塩、カーボネートエステルまたはカーボネートエステルのヘテロ原子類似体を形成する溶媒系が提供される。あるこのような溶媒系において、求核性アミンは3−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミン、4−フルオロフェネチルアミンおよびこれの混合物から成る群より選択される。あるこのような溶媒系において、非求核性窒素塩基は、グアニジンまたは置換グアニジンであることができる。この種の溶媒系中の非水性液体は例えば、5個以上の炭素を有するフッ素化アルコールであることができる。
【0012】
追加の態様において、ニート求核性アミンより成り、これが酸性ガスと反応してアミンカルバメート塩、両性イオンスルファミン酸、サルフェート塩またはこれの混合物を形成するような構造を有する溶媒系が提供される。具体的な一実施形態において、このような溶媒系中の求核性アミンは3−フルオロ−N−メチルベンジルアミンであることができる。
【0013】
さらなる態様において、1つ以上の求核性アミンおよび1つ以上の非求核性窒素塩基の混合物で形成された溶液を含み、これらが酸性ガスと反応してカルバメート、混合カルバメート、スルファミン酸、サルフェート塩またはこれの混合物を形成するような構造を有する、溶媒系が提供される。ある実施形態において、このような溶媒系は、1つ以上の求核性アミンが第1級もしくは第2級アミンを含み、ならびに/または1つ以上の非求核性窒素塩基が第3級アミン、アミジンおよび/もしくはグアニジンを含むようであり得る(第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、グアニジンおよび/またはアミジンの1つ以上は場合によりフッ素化されていてよい。)。例示的な第1級および第2級アミンとしては、これに限定されるわけではないが、3−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミンおよび4−フルオロフェネチルアミンが挙げられる。
【0014】
幾つかの実施形態において、これらの溶媒系のいずれにおいても求核性アミン成分は疎水性であることができる。非求核性窒素塩基が存在する場合、非求核性窒素塩基は疎水性または実質的に水と不混和性であることができる。概して、本明細書に記載する溶媒系は、ある実施形態において、実質的に水と不混和性であり得る。例えば幾つかの実施形態において、溶媒系は、水100mLにつき溶媒約10g未満のまたは約20g未満の水溶解度を有し得る。幾つかの実施形態において、本明細書に記載する溶媒系の1つ以上(すべてを含む。)の成分は、疎水性、水と実質的に不混和性および/または水と不混和性として説明できる。本明細書に記載する多様な溶媒系と反応することができる酸性ガスは変わることがあり、例えばCO、SO、COS、CS2、NOまたはこれの組合せを含み得る。ある具体的な実施形態において、酸性ガスはCOまたはSOを含む。
【0015】
本発明の別の態様において、ガス流を含有する酸性ガスに本明細書に記載する溶媒系のいずれかを接触させることを含む、ガス流から酸性ガスを除去する方法が提供される。ガス含有流は、幾つかの実施形態において、CO、SO、COS、CS、NOまたはこれの組合せを含む混合ガス流であることができる。ある実施形態において、溶媒系は、溶媒の性能を低下させることなく、約20体積%以下の水を許容することができる。幾つかの実施形態において、酸性ガス含有ガス流は水を含み、水は溶媒系から独立した相として集積できる。
【0016】
該方法は、幾つかの実施形態において、酸性ガスリッチ溶媒および酸性ガス・リーン・ガス流を回収することをさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、該方法は、酸性ガスリッチ溶媒中に存在するよりも低い含有量で酸性ガスを含む再生溶媒を形成するために、熱を加えることによって酸性ガスリッチ溶媒を再生することをさらに含むことができる。このような方法に必要な熱は、例えば低圧流、高温煙道ガスまたはこれの組合せから成る群より選択される供給源から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】COを回収するために用いられる溶媒系および反応経路の各種の実施形態を示すスキームである。
図2】混合ガス流から酸性ガスを回収および再生するための、本発明によって実現されたリボイラ・ベース・システムの図である。
図3】混合ガス流から酸性ガスを回収するための、本発明によって実現されたリボイラを含まないシステムの図である。
図4】混合ガス流から酸性ガスを回収するための、本発明によって実現されたリボイラ補助システムの図である。
図5】混合ガス流から酸性ガスを回収するための、本発明によって実現された廃熱リボイラシステムの図である。
図6】混合ガス流から酸性ガスを回収するための、本発明によって実現された廃熱利用システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のすべてではないが、一部の実施形態を示す添付図面を参照して、本発明を以下でより十分に説明する。実際にこれらの発明は、多くの形態で実現されることがあり、本明細書に示す実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満足するために提供されている。同一の番号は同一の要素を示す。本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈によって別の内容が明確に示されていない限り、複数形の記載を含む。
【0019】
本発明の一態様において、液体溶媒系が提供される。該溶媒系は、ガス混合物から酸性ガスを分離するために使用され得る。「酸性ガス(acid gas)」または「酸性ガス(acidic gas」という用語は、水との混合時に酸の形成を生じることができるいずれのガス成分も示すものである。本発明に含まれる酸性ガスの非制限的な例としては、CO、SO、COS、CSおよびNOが挙げられる。簡単にするために、本発明は具体的にCOおよびSOに関連して以下で説明する。しかし、本発明がガス流からいずれの酸性ガス成分も除去するための方法およびシステムを含むことが理解される。ある実施形態において、酸性ガスを溶媒から放出させることが可能であり、溶媒を再使用して、さらなるガス混合物から追加的な酸性ガスを分離可能であるという点で、溶媒系は再生可能である。特定の実施形態において、溶媒系は、このような目的に使用される溶媒に通例必要な温度よりも低い温度で再生可能である。
【0020】
概して、本明細書に記載する溶媒系は、以下のクラスの試薬:窒素塩基(求核性アミンおよび非求核性窒素塩基を含む。);非水性液体;プロトン性非水性液体;希釈剤;および/またはイオン性液体の1つ以上のある組合せを含む。ある態様において、本発明の溶媒系は、これらのクラスの2つ以上からの成分の混合物を含む。ある態様において、本発明の溶媒系は、これらの試薬の単一のクラスからの1つ以上の成分より成る。これらのクラスの試薬は、概して本明細書に記載されている。本発明に含まれるものとする多様な種類の溶媒系およびそれぞれに対して特に好ましい試薬は、以下で個別に記載する。
【0021】
概して、窒素塩基成分としては、求核性アミンおよび非求核性窒素塩基が挙げられる。窒素塩基成分(即ち求核性アミンおよび/または非求核性窒素塩基)は、本明細書で提供する機構の1つ以上に従って反応する窒素塩基である。例えば窒素塩基は、本明細書で提供する機構の1つに従って、COおよび/または溶媒系の他の成分と反応し得る。幾つかの実施形態において、窒素塩基成分(求核性アミンおよび/または非求核性窒素塩基であってよい。)は、約8から約15の、約8から約14の、約8から約13の、約8から約12の、約8から約11の、または約8から約10のpKaを有することができる。ある実施形態において、窒素塩基成分は約11未満のpKaを有する。他の実施形態において、窒素塩基は約12から約15の間の、約12から約14の間の、または約13から約15の間の、例えば約12、約13、約14または約15のpKaを有することができる。
【0022】
本明細書に記載する溶媒系において、溶媒系の窒素塩基成分(または複数の成分)は、存在する場合、好都合には、溶媒系が水との低い混和性を有するように選択される。好ましい実施形態において、窒素塩基は、水よりも溶媒系の必須ではない1つ以上の他の成分と高い混和性を有する。幾つかの実施形態において、窒素塩基成分は、溶媒系の必須ではない1つ以上の成分への高い溶解度を有する。
【0023】
求核性アミンは、関連する工程時間スケールおよび求核性アミンとの処理を受けるガス混合物に関連する通例の工程条件下で、非水素核と結合する反応性窒素中心を有するアミンである。求核性アミンとしては、これに限定されるわけではないが、第1級アミン、第2級アミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ペンタアミン、環式アミン、環式ジアミン、アミンオリゴマー、ポリアミン、アルコールアミンなどが挙げられる。
【0024】
非求核性窒素塩基は、ブロンステッド塩基として作用して、関連する工程時間スケールおよび非求核性窒素塩基との処理を受けるガス混合物に関連する通例の工程条件下で1つ以上の水素核(プロトン)を形成し、正に帯電した窒素中心を与える窒素塩基(これに限定されるわけではないが、アミンを含む。)である。非求核性窒素塩基としては、第3級アミン、グアニジンおよびアミジンならびに/またはこれの類似体が挙げられる。
【0025】
ある具体的な実施形態において、溶媒系成分として有用な多様で例示的な窒素塩基は、1,4−ジアザビシクロ−ウンデカ−7−エン(「DBU」);1,4−ジアザビシクロ−2,2,2−オクタン;ピペラジン(「PZ」);トリエチルアミン(「TEA」);1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(「TMG」);1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン;モノエタノールアミン(「MEA」);ジエチルアミン(「DEA」);エチレンジアミン(「EDA」);1,3−ジアミノプロパン;1,4−ジアミノブタン;ヘキサメチレンジアミン;1,7−ジアミノヘプタン;ジエタノールアミン;ジイソプロピルアミン(「DIPA」);4−アミノピリジン;ペンチルアミン;ヘキシルアミン;へプチルアミン;オクチルアミン;ノニルアミン;デシルアミン;tert−オクチルアミン;ジオクチルアミン;ジヘキシルアミン;2−エチル−1−ヘキシルアミン;2−フルオロフェネチルアミン;3−フルオロフェネチルアミン;3,5−ジフルオロベンジルアミン;3−フルオロ−N−メチルベンジルアミン;4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン;イミダゾール;ベンゾイミダゾール;N−メチルイミダゾール;1−トリフルオロアセチルイミダゾール;1,2,3−トリアゾール;1,2,4−トリアゾール;およびこれの混合物から成る群より選択され得る。本発明により使用され得るなお他の窒素塩基としては、例えばJessop et al.の米国特許出願公開第2008/0058549号に開示されているものが挙げられ、これの開示は参照により本明細書に組み入れられている。
【0026】
非水性液体は水以外の液体と理解される。ある状況において、非水性液体は、非求核性アミンの存在下でただちに解離するイオン性水素を有する液体である、プロトン性非水性液体である。従って、幾つかの実施形態において、非水性液体(例えばプロトン性非水性液体)は、「相対的酸性成分」であり、水の酸性度より大きい、好ましくは実質的に水の酸性度より大きい酸性度を有する物質を意味すると理解される。例えば幾つかの実施形態において、相対的酸性成分である非水性液体(例えばプロトン性非水性液体)は、約15未満の、約14未満の、約13未満の、約12未満の、約11未満のまたは約10未満のpKaを有することができる。幾つかの実施形態において、相対的酸性成分は約8から約15の、9から約15の、約10から約15の、約11から約15の、約12から約15の、約13から約15の、約8から約14の、約8から約13の、約8から約12の、または約8から約11の、約9から約14の、約9から約13の、約9から約12の、約9から約11の、約10から約12の、約10から約13の、約10から約14の、約11から約13のまたは約11から約14のpKaを有する。本発明のある実施形態によって(非水性液体またはプロトン性非水性液体として)使用され得る例示的なクラスの相対的酸性成分としては、これに限定されるわけではないが、以下の:フッ素化アルコール;場合により置換されたフェノール;および窒素複素環(例えばピラゾールおよびイミダゾール)が挙げられる。特に好ましいのは、フッ素化アルコールおよび場合により置換されたフェノールより選択される相対的酸性成分である。
【0027】
幾つかの実施形態において、溶媒系は1つ以上の希釈剤を含む。希釈剤は、溶媒系中の他の成分との反応に影響を及ぼす程度までは関与しない溶媒成分であると理解される。このような実施形態において希釈剤として作用できる種類の物質としては、上記のようなある非水性液体(プロトン性非水性液体を含む。)が挙げられる。非水性液体(プロトン性非水性液体を含む。)が希釈剤として作用できるか否かは、非水性液体が使用される溶媒系の追加的成分によって変わる。非水性液体(プロトン性非水性液体を含む。)は、別途指摘しない限り、本明細書に記載する溶媒系の反応性成分であると見なされる。希釈剤は、幾つかの実施形態において、相対的酸性成分であり得る。本発明のある実施形態によって希釈剤として使用され得る例示的なクラスの相対的酸性成分としては、これに限定されるわけではないが、以下の:フッ素化アルコール;場合により置換されたフェノール;および窒素複素環(例えばピラゾールおよびイミダゾール)が挙げられる。
【0028】
幾つかの実施形態において、希釈剤は約15未満の、約14未満の、約13未満の、約12未満の、約11未満のまたは約10未満のpKaを有することができる。幾つかの実施形態において、希釈剤は、約6から約15の、約7から約15の、約8から約15の、約9から約15の、約6から約14の、約7から約14の、約8から約13の、約9から約13の、約6から約12の、約7から約12の、約8から約12の、約9から約12の、約6から約11の、約7から約11の、約8から約11の、約9から約11の、約6から約10の、約7から約10のまたは約8から約10の、アルコール成分のpKaを有する。他の実施形態において、希釈剤として作用する非水性液体は、相対的酸性成分ではなく、上記の範囲内に含まれるpKaを有していない。例えば希釈剤は、ある実施形態において、約15を超えるpKaを有し得る。
【0029】
幾つかの実施形態において、希釈剤は好ましくは非水性希釈剤である。ある実施形態において、希釈剤は、希釈剤が水との低い混和性を有するように選択される。例えば幾つかの実施形態において、希釈剤は、25℃の水に約10g/100mL(即ち水100mL当たり溶媒10g)または25℃の水に約20g/100mL以下の溶解度を有する。他の実施形態において、希釈剤は、25℃の水に約0.01g/100mL以下の、約0.1g/100mL以下の、約0.5g/100mL以下の、約1g/100mL以下の、約1.5g/100mL以下の、約2g/100mL以下の、約2.5g/100mL以下の、約3g/100mL以下の、約4g/100mL以下の、約5g/100mL以下の、約6g/100mL以下の、約7g/100mL以下の、約8g/100mL以下のまたは約9g/100mL以下の溶解度を有する。幾つかの実施形態において、希釈剤は水と完全に不混和性である。水への溶解度が低い希釈剤を使用すると、以下の属性の1つ以上を示す溶媒系が生じることがある:該溶媒系は、再生に必要なエネルギーがより少ないことがある;高いCOローディング能力を有し得る;ガス流中にて水に耐性であり得る;および/またはエネルギー上の大きな不利益なしに水から分離され得る。
【0030】
ある特定の溶媒系を本出願の図1に示し、以下でさらに説明する。本開示のある溶媒系で使用可能な溶媒成分の追加的な議論は、例えば2011年9月2日にLail et al.の国際出願第PCT/US2011/050442号および2011年9月3日に出願されたLail et al.の同第PCT/US2011/050452号に記載され、これらは参照により本明細書に組み入れられている。幾つかの実施形態において、本明細書に記載する溶媒系は、水と実質的に不混和性(immisible)であり、25℃にて水100mL当たり溶媒約10g以下の、溶媒約20g/水100mL以下の、溶媒約9g/水100mL以下の、溶媒約8g/水100mL以下の、溶媒約7g/水100mL以下の、溶媒約6g/水100mL以下の、溶媒約5g/水100mL以下の、溶媒約4g/水100mL以下の、溶媒約3g/水100mL以下の、溶媒約2g/水100mL以下の、溶媒約1g/水100mL以下の、溶媒約0.5g/水100mL以下の、約0.1g/水100mL以下のまたは約0.01g/水100mL以下の溶解度を有する。幾つかの実施形態において、溶媒系は水と完全に不混和性である。水混和性が低い溶媒系は、幾つかの実施形態において、以下の属性の1つ以上を示すことがある:該溶媒系は、再生に必要なエネルギーがより少ないことがある;COローディング能力を有し得る;ガス流中にて水に耐性であり得る;および/またはエネルギー上の大きな不利益なしに水から分離され得る。水との低い混和性を有する溶媒系成分が好ましいが、本発明は、溶媒系の成分の1つ以上が少なくとも水と部分的に混和性である溶媒系も含むことに留意する。
【0031】
本明細書に記載する溶媒系は、上記のように、ガス流から1つ以上の酸性ガスを除去するために使用され得る。幾つかの実施形態において、本開示の溶媒系は、ガス流からCOを回収するのにとりわけ有用であり得る。ガス流は、COに加えて1つ以上の他の成分を有する混合ガス流であり得る。本発明の溶媒系を含む溶液を、COを含有するガス混合物でパージする場合、溶媒系の1つ以上の成分はCOとの化学反応を受けて、溶液中のCOを結合する。幾つかの実施形態において、本発明の溶媒系は、高いCOローディングを有する。例えば溶媒系は、窒素塩基1モル当たりCO約0.05モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.1モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.2モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.3モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.4モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.5モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.6モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.7モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.8モル超、窒素塩基1モル当たりCO約0.9モル超または窒素塩基1モル当たりCO約1モル超を回収または除去するのに有用であり得る。
【0032】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載する溶媒系のいずれも、水の存在を許容する。ある実施形態において、溶媒系は約30体積%以下の水を許容する。例えば、幾つかの実施形態において、溶媒系は約25体積%の水、約20体積%以下の、約15体積%以下の、約10体積%以下の、約5体積%以下の、約2体積%以下のまたは約1体積%以下の水を許容する。幾つかの実施形態において、水の存在を許容することとは、示された水の量まで溶媒性能がほとんどまたは全く低下しないことを意味する。幾つかの実施形態において、溶媒系は、示された水の量までCOローディングの初期能力を、または初期能力付近を維持する。
【0033】
幾つかの実施形態において、溶媒系は1つ以上の追加成分をさらに含み得る。追加成分は、例えば溶媒系への回収されたCO生成物の溶解度を上昇させて、このため沈殿の形成を回避するために添加され得る。しかし、他の実施形態において、固体の形成が望ましいことがあり、このような形成は1つ以上の溶媒系成分の濃度を変えることによって向上され得る。
【0034】
好ましい実施形態において、本発明の溶媒系を使用して回収されたCOは、溶媒系を再生して再使用するために放出され得る。溶媒系は、穏やかな条件下(例えば低温にて)再生可能である(またはCOとの反応が可逆性である。)ことが好ましい。幾つかの実施形態において、COの放出および対応する溶媒系の再生は、溶液を加熱することによって実現される。結合COを含有する溶液を加熱すると、化学反応が逆転して、COが放出され、濃縮CO流が生じる。
【0035】
幾つかの実施形態において、本出願は、ガス流からCOを除去するための溶媒系および方法に関する。本発明は、COを含有するいずれのガス流にも適用される。例えば詳細な実施形態において、本発明は、化石燃料燃焼煙道ガス、天然ガス混合物またはCOを含有する閉鎖環境からの呼吸ガスの混合物からCOを除去する方法に関する。該方法は、本明細書に記載する溶媒系の1つに混合ガス流を通過させることを含む。幾つかの実施形態において、本発明はさらに、COを放出する溶媒系の再生に関する。幾つかの技法を溶媒の再生に用いることができる。これらは、これに限定されるわけではないが、温度スイング、分圧スイング、フラッシング、ストリッピング、圧力印加による、もしくはpHスイングの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態において、溶媒系の再生は、COを放出させるのに十分な温度にて溶媒系を加熱することを含む。幾つかの実施形態において、該方法は、約200℃以下の、例えば約185℃以下の、約150℃以下のまたは約125℃以下の温度で溶媒系を加熱することを含む。好ましい実施形態において、該方法は溶媒系を約100℃以下の温度で、例えば約95℃以下の、約90℃以下の、約85℃以下の、約80℃以下の、約75℃以下のまたは約70℃以下の温度で加熱することを含む。幾つかの実施形態において、COは周囲温度にて放出され得る。ある実施形態において、COは、水が分離したより低密度の相として蓄積する条件下で、非水相中に回収される。この相は、対応するリッチ水相単独よりも低い温度にて再生されるリッチ非水相と共に、再生装置に送ることができる。この後、再生されたリーン溶媒からの相分離を行って、吸収装置に送り返すことができる。
【0036】
ある実施形態において、100%または約100%のCOがCOリッチ溶媒系から除去される。しかし、他の実施形態では、100%未満のCOがCOリッチ溶媒系から除去される。好ましい実施形態において、約50から100%の、好ましくは約75%から100%の、約80%から100%の、約90%から100%の、約95%から約100%のまたは約98%から100%の回収されたCOが、COリッチ溶媒系から除去される。例えば幾つかの実施形態において、少なくとも約98%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、60%または50%の回収されたCOがCOリッチ溶媒系から除去される。
【0037】
幾つかの実施形態において、COに加えてHOを含有するガス混合物からCOを除去することによって、反応条件に応じて単相または2相溶液のどちらかとして、溶媒系へのHOの蓄積が生じることがある。上記のように、溶媒混合物中にHOが存在すると不利となり得るのは望ましくない副反応のためであり、溶媒から水を除去する必要があるために溶媒再生にさらにエネルギーが必要となる。このため、溶媒系へHOの蓄積により、再生エネルギー要求が上昇することがあり、再生系の効率を低下させる。
【0038】
幾つかの実施形態において、本発明の方法は、溶媒系におけるHO蓄積の有害作用が回避され得る方法を提供する。例えば溶媒系の再生エネルギー要求に対するHO蓄積の有害作用は、ガス混合物のHO飽和温度より高い温度の溶媒系内でCOが回収される方法を提供することによって最小限に抑えることができる。加えて、ある実施形態において、溶媒系の再生エネルギー要求に対するHO蓄積の有害作用は、HOが溶媒系内で分離水相として蓄積する方法を提供することによって最小限に抑えることができる。本方法は、水にほとんどまたは全く溶解性を示さない溶媒系を使用することを含む。このような系において、集積する水は分離相として存在する。分離水相は加熱工程ではなく機械的にデカンテーションまたは遠心分離してよく、効率的なCO除去系を維持するために必要なエネルギーが最小限に抑えられる。例えば脂肪族アルコールの炭化水素鎖が長くなると、該アルコールの水への溶解度は低下する。これはフッ素化アルコールにも当てはまる。例えば2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール(「OFP」)は、水と実質的に不混和性である。このため、適切な成分を含む本明細書に記載するある溶媒系は、水と合せたときに2相液体溶液を形成することがある。このような溶媒系では、水は蒸留または膜を使用することなく、フッ素化相からの水層のデカンテーションもしくは遠心分離によって、溶媒系から分離できる。幾つかの実施形態において、HOの除去後に、COリッチ溶媒系は、分圧要件を満足するために低沸点の希釈剤を添加して、低温にて再生することができる。このため溶媒系は、水の蒸留に関連するさらなるエネルギー上の不利益を回避できる。水溶解度の低い非水性CO吸収溶媒系を提供することによって、溶媒系は、水性または水親和性の高いCO溶媒系よりもエネルギー要求が低く、再生条件はより穏やかとなる。
【0039】
幾つかの実施形態において、ガス流からCOを除去するシステムが提供される。本発明の例示的なシステムの概略図を図2から6に示す。CO除去システム10は、ガス流を収容する入口を備えて構成された吸収装置12を含む。ガス流は、例えば発電所のボイラーシステムの燃焼チャンバから直接入来することがある。ガス流は、CO除去システムに入る前に、他の清浄システムを通過してもしなくてもよい。吸収装置は、COを除去するための溶媒系が含有され、ガス流のための入口および出口を備え、ガス流を溶媒系と接触させることができる、いずれのチャンバでもよい。吸収装置内ではCOを、本明細書で論じる原理に従ってガス相から液相に移行させることができる。吸収装置はいずれのタイプでもよく、例えば吸収装置としては、噴霧塔吸収装置、充填床吸収装置(向流塔または直交流塔を含む。)、棚段塔吸収装置(バブル・キャップ・トレイ、シーブトレイ、衝突トレイ(impingement trays)および/またはフロート・バルブ・トレイを含む、多様なトレイタイプを有する。)、ベンチュリ(venture)吸収装置またはエジェクタ吸収装置を挙げることができる。吸収装置内の温度および圧力を制御することができる。例えば一実施形態において、吸収装置の温度は50から60℃またはこれの付近に維持され得、吸収装置は大気圧またはこれの付近に維持され得る。このため吸収装置は、加熱/冷却システムおよび/または圧力/真空システムを装備し得る。
【0040】
吸収装置内では、ガス流は本明細書に記載するように溶媒系と流体接触して、溶媒系を通過する。溶媒系はガス流中に存在するCOと反応し、ガスの残存成分からCOを回収して、生じたCOを含まないガス流が吸収装置から出口を通じて放出される。溶媒系は、混合ガス流を通過させるときに流入するCOと、溶媒系がCOで「リッチ」になるまで反応を続ける。吸収装置は場合により、1つ以上の構成要素と連結されている。例えば吸収装置は、好ましくは、水がデカンテーション、遠心分離またはさもなければシステムから除去され得るユニットへ溶媒を送達する手段を備えて構成される。
【0041】
溶媒系はCO回収工程のいずれの段階においても再生できる。従って該システムは、回収されたCOを別のCOガス流によって放出し、このため溶媒系を再生する、必須ではない再生システム14を含む。再生システムは、吸収装置から供給される「リッチ」溶媒を収容して、COが「リッチ」溶媒からひとたび分離されると再生された溶媒を吸収装置に戻すように構成されている。再生システムは簡単には、ガスを放出するのに十分な温度で溶媒系を加熱する加熱ユニットを、COを再生システムから除去させる放出バルブと共に備えたチャンバを備え得る。再生システムはまた、蒸留カラムであり、吸収カラムについて上記したのと本質的に同じ設計を有していてよい。再生装置は場合により、1つ以上の構成要素と連結され得る。例えば再生装置は、好ましくは、水がデカンテーション、遠心分離またはさもなければシステムから除去され得るユニットへ溶媒を送達する手段を備えて構成される。
【0042】
放出されたCOは、システムから分離/抜き取りされて、貯留または他の所定の用途のためにアウトプットされ得る。再生された溶媒系は、ガス流からCOを吸収するために再び利用可能であり、吸収装置中に戻すことができる。
【0043】
I.求核性アミンおよびプロトン性非水性液体を含むイオン性液体
本開示の一態様において、イオン性液体を含む溶媒系であって、該イオン性液体が1つ以上の求核性アミンおよび1つ以上のプロトン性非水性液体を組合せることによって調製される溶媒系が提供される。本セクションに記載するイオン性液体溶媒系は、イオン(カチオンおよびアニオン)が溶解して存在している系である。成分は概して、求核性アミンがカチオンであるイオン性液体を形成するような適切なpKa値を有する。ある実施形態において、(例えば約20℃から約25℃の間の)周囲温度のイオン性液体を含む溶媒系が提供される。好都合には、本セクションに記載するイオン性液体溶媒系は、1)カルバメート塩、両性イオンスルファミン酸、サルフェート塩またはこれの組合せ;および2)プロトン化弱酸を含むイオン性溶液を形成するように酸性ガスと反応することができる。
【0044】
この種のある例示的なイオン性液体溶媒系を形成するために使用できる求核性アミンは、反応性窒素中心を有する第1級および/または第2級アミンであることができる。第1級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、Rは、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基であることができる。第2級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、RおよびRは独立して、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、RおよびR上の水素の1つ以上は、1つ以上の置換基によって場合により置換されてよい。例えばR、RまたはR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換されたアリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0045】
ある実施形態において、第1級または第2級アミンは、フッ素含有アルキル芳香族基によって官能化されたアミンより選択され得る。具体的な実施形態において、アミンは、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、2−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、3−フルオロ−N−メチルベンジルアミンおよび4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、3−フルオロベンジルアミン、4−フルオロベンジルアミン、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルアミン、2,3−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジフルオロベンジルアミン、2,6−ジフルオロベンジルアミン、3,4−ジフルオロベンジルアミン3,5−ジ−フルオロベンジルアミン、2−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、3−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、4−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、D−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンおよびL−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンから成る群より選択され得る。
【0046】
幾つかの実施形態において、このような溶媒系で使用できる求核性アミンとしては、環式アミン、ジアミン、第1級および/または第2級アルコールアミンを含むことができる。環式アミンは、窒素原子が環構造の一部を形成するアミンであり、これに限定されるわけではないが、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジンおよびピリミジンが挙げられ得る。環式アミンは1個以上の環を含んでよく、上に挙げた1つ以上の置換基で場合により置換されてよい。幾つかの実施形態において、窒素塩基はジアミンであり得る。幾つかの実施形態において、窒素塩基は第1級または第2級アルコールアミンであり得る。アルコールアミンはアミノアルコールとしても公知であり、アルコールおよびアミン基の両方を含有する。アルコールアミンのアミン基は、本明細書で開示するようないずれの種類のアミンでもよい。求核性アミン成分は、幾つかの実施形態において、好都合には疎水性である。
【0047】
このようなイオン性液体溶媒系を形成するために利用され得るプロトン性非水性液体としては、例えばフッ素化アルコール;場合により置換されたフェノール;および窒素複素環が挙げられる。あるプロトン性非水性液体はフッ素化アルコール(例えば好ましくは含水率が低い(例えば約10重量%未満の水)、5個以上の炭素を有するフッ素化アルコール)である。本開示による有用なフッ素化アルコールは、Rがアルキル基(例えばC−C10アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルキル、C−C10アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルキル、C−C10アルキル、C−CアルキルまたはC−Cアルキル)であり、アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素と置換されている、式R−OHを有するいずれの化合物も含み得る。幾つかの実施形態において、フッ素により置換された水素原子の数は、2、3、4、5、6、7、8、9であり、または有用と思われる場合、さらに多くてもよい。さらなる実施形態において、アルキル基の水素原子の1個以上は、これに限定されるわけではないが、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロ置換基を含む1個以上の他の置換基によって場合により置換されてよい。
【0048】
本発明で有用な場合により置換されたフェノールは、フェニル環上の水素原子の1個以上が置換基によって置換され得るフェノールを意味すると理解される。フェニル環上の水素原子の1個以上に対する非制限的な例示的置換基としては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロが挙げられる。窒素複素環は環構造に少なくとも1個の窒素原子を含み(これに限定されるわけではないが、イミダゾール、ピラゾールおよびトリアゾールを含む。)、環構造上の水素原子の1個以上が置換基によって置換され得るように場合により置換されている、いずれの環式化合物も意味すると理解される。ある実施形態において、環構造における少なくとも1個の窒素原子は、約15より低い(例えば約8から約15の間の)pKaの酸性水素原子を有する。環上の水素原子の1個以上に対する非制限的な例示置換基としては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロが挙げられる。
【0049】
幾つかの具体的な実施形態において、プロトン性非水性液体は:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール(「OFP」);2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(「TFP」);2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール(「PFP」);2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブタノール(「HFB」);2,2,2−トリフルオロエタノール(「TFE」);ノナフルオロ−1−ヘキサノール;4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタノール;1,1,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール;4−メトキシフェノール(「4−MeOPh」);4−エトキシフェノール(「4−EtOPh」);2−エトキシフェノール;4−プロポキシフェノール;イミダゾール;ベンズイミダゾール;N−メチルイミダゾール;1−トリフルオロアセチルイミダゾール;1,2,3−トリアゾール;1,2,4−トリアゾール;2−トリフルオロメチルピラゾール;3,5−ビストリフルオロメチルピラゾール;3−トリフルオロメチルピラゾール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2−トリフルオロメチルフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、4−トリフルオロメチルフェノールおよびこれの混合物から成る群より選択される相対的酸性成分であることができる。好都合には、本明細書に記載する溶媒系中で使用されるプロトン性非水性液体は、低い含水率(例えば約10重量%未満の水)および/または低い水溶解度を有することができる。通例、この種の溶媒系で使用されるプロトン性非水性液体は、溶媒系の活性成分である(即ち希釈剤としてのみ作用するわけではない。)。
【0050】
本明細書に記載するイオン性液体溶媒系において、プロトン性非水性液体の水素核は、プロトン性非水性液体から解離して、求核性塩基と反応するために十分にイオン化可能である。酸性ガス成分、例えばCOおよびSOは、このようなイオン性液体溶媒中で、プロトン性溶媒の可逆的形成および例えばアミンカルバメート塩、両性イオン(例えば両性イオンスルファミン酸)、スルファミン酸/塩またはこれの組合せを形成する、求核性アミン窒素と非水素酸性ガス核との間での結合の形成によって吸収することができる。1つの例示的な溶媒系および反応機構を図1A)に示す。
【0051】
この種の溶媒系において、酸性ガス成分の吸収は好都合には可逆性である。酸性ガス成分が損失すると、プロトン性溶媒は求核性塩基に再度プロトンを供与することができる。この溶媒系は、例えば吸収カラムにおけるイオン性液体塩の蒸気圧が低いためおよび例えば再生装置部におけるカルバメート塩の蒸気圧が低いために、蒸気に対する求核性アミンの損失を最小限に抑える利点を有する。
【0052】
II.2種以上の求核性アミンおよび2種以上の非水性液体を含有する混合物
別の態様において、2種以上の非水性液体と広範囲の成分比で混合された2種以上の求核性アミンを含む溶媒系が提供され、酸性ガス成分をガス混合物から分離するために使用できる。2種以上の求核性アミンは酸性ガス成分(例えばCOまたはSO)と反応して、水素以外の核を包含する窒素への少なくとも1個の結合を形成する。COによって形成された生成物はカルバメート塩であり、単一のアミンカルバメート構造または混合アミンカルバメート構造より成ることができる。ある実施形態において、溶媒系は、カーボネートエステルまたはカーボネートエステルのヘテロ原子類似体を実質的に一切形成することなくCOを除去する。
【0053】
この種のある例示的な溶媒系を形成するために使用できる求核性アミンは、反応性窒素中心を有する第1級および/または第2級アミンであり得る。第1級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、Rは、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基であることができる。第2級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、RおよびRは独立して、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、RおよびR上の水素の1つ以上は、1つ以上の置換基によって場合により置換されてよい。例えばR、RまたはR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換されたアリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0054】
ある実施形態において、第1級または第2級アミンは、フッ素含有アルキル芳香族基によって官能化されたアミンより選択され得る。具体的な実施形態において、アミンは、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、2−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、3−フルオロ−N−メチルベンジルアミンおよび4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、3−フルオロベンジルアミン、4−フルオロベンジルアミン、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルアミン、2,3−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジフルオロベンジルアミン、2,6−ジフルオロベンジルアミン、3,4−ジフルオロベンジルアミン3,5−ジ−フルオロベンジルアミン、2−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、3−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、4−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、D−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンおよびL−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンから成る群より選択され得る。
【0055】
幾つかの実施形態において、このような溶媒系で使用できる求核性アミンとしては、環式アミン、ジアミン、第1級および/または第2級アルコールアミンを含むことができる。環式アミンは、窒素原子が環構造の一部を形成するアミンであり、これに限定されるわけではないが、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジンおよびピリミジンが挙げられ得る。環式アミンは1個以上の環を含んでよく、上に挙げた1つ以上の置換基で場合により置換されてよい。幾つかの実施形態において、求核性アミンはジアミンであってよい。幾つかの実施形態において、求核性アミンは第1級または第2級アルコールアミンであってよい。アルコールアミンはアミノアルコールとしても公知であり、アルコールおよびアミン基の両方を含有する。アルコールアミンのアミン基は、本明細書で開示するようないずれの種類のアミンでもよい。
【0056】
好ましくは、求核性アミンの一方または両方は非水性および/または疎水性であり、好都合には低い水溶解度(例えば約10重量%未満)を有することができる。この種の溶媒系において有用なある例示的な求核性アミンとしては、これに限定されるわけではないが、アルキルフルオロ芳香族アミン、例えば3−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミンおよび4−フルオロフェネチルアミンが挙げられる。
【0057】
この種の溶媒系による有用な非水性液体は変わることがある。1つ以上のこのような非水性液体は、幾つかの実施形態において、プロトン性非水性液体であり得ることに留意する。好ましくは、非水性液体の一方および両方が低い水溶解度(例えば約10重量%未満)を有するおよび/または疎水性である。ある実施形態において、このような非水性液体はフッ素化アルコールを含む。本発明による有用なフッ素化アルコールは、Rがアルキル基(例えばC−C10アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルキル、C−C10アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルキル、C−C10アルキル、C−CアルキルまたはC−Cアルキル)であり、アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素と置換されている、式R−OHを有するいずれの化合物も含み得る。幾つかの実施形態において、フッ素により置換された水素原子の数は、2、3、4、5、6、7、8、9であり、または有用と思われる場合、さらに多くてもよい。さらなる実施形態において、アルキル基の水素原子の1個以上は、これに限定されるわけではないが、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロ置換基を含む1個以上の他の置換基によって場合により置換されてよい。ある例示的な非水性液体としては、これに限定されるわけではないが、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール、3,3,4,4,5,5,6,6−ヘキサフルオロブタノールおよび4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタノールが挙げられる。具体的な実施形態において、非水性液体の1つ以上は、トルエン、p−キシレン、1−メチルナフタレン、2,4,6−ジメチルアミノフェノール、ベンジルアルコール、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、3,5−ルチジン、シクロヘキサノン、アニリン、ピリジン、2−フルオロアセチルフェノン、1−フルオロデカン、2,4−ジフルオロベンゾフェノン、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリン、2−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、3−トリフルオロメチルアセトフェノン、2−トリフルオロメチルアセトフェノン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)メチルホスホネート、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドおよびこれの混合物から成る群より選択され得る。
【0058】
このクラスの溶媒系により使用され得る他の例示的なクラスのプロトン性非水性液体としては、これに限定されるわけではないが、以下の場合により置換されたフェノール;および窒素複素環が挙げられる。本発明で有用な場合により置換されたフェノールは、フェニル環上の水素原子の1個以上が置換基によって置換され得るフェノールを意味すると理解される。フェニル環上の水素原子の1個以上に対する非制限的な例示的置換基としては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロが挙げられる。窒素複素環は環構造に少なくとも1個の窒素原子を含み(これに限定されるわけではないが、イミダゾール、ピラゾールおよびトリアゾールを含む。)、環構造上の水素原子の1個以上が置換基によって置換され得るように場合により置換されている、いずれの環式化合物も意味すると理解される。ある実施形態において、環構造における少なくとも1個の窒素原子は、約15より低い(例えば約8から約15の間の)pKaの酸性水素原子を有する。環上の水素原子の1個以上に対する非制限的な例示置換基としては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロが挙げられる。
【0059】
幾つかの具体的な実施形態において、非水性液体は:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール(「OFP」);2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(「TFP」);2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール(「PFP」);2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブタノール(「HFB」);2,2,2−トリフルオロエタノール(「TFE」);ノナフルオロ−1−ヘキサノール;4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタノール;1,1,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール;4−メトキシフェノール(「4−MeOPh」);4−エトキシフェノール(「4−EtOPh」);2−エトキシフェノール;4−プロポキシフェノール;イミダゾール;ベンズイミダゾール;N−メチルイミダゾール;1−トリフルオロアセチルイミダゾール;1,2,3−トリアゾール;1,2,4−トリアゾール;2−トリフルオロメチルピラゾール;3,5−ビストリフルオロメチルピラゾール;3−トリフルオロメチルピラゾール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2−トリフルオロメチルフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、4−トリフルオロメチルフェノールおよびこれの混合物から成る群より選択される相対的酸性成分である。
【0060】
2つの求核性アミンおよび2つの非水性液体の例示的な1つの組合せを図1B)に示す。疎水性求核性アミンおよび非水性液体の混合物の組合せは、幾つかの実施形態において、(例えば、参照により本明細書に組み入れられている2011年9月3日に出願された、Lail et al.の国際出願第PCT/US2011/050452号に記載されているような)単一の疎水性アミンおよび単一の非水性液体のみを包含する溶媒と比較してある利点を提供することができる。幾つかの実施形態において、このような混合溶媒系がより望ましいのは、これらが重要な溶媒特性、例えば粘度、熱容量、反応熱、含水率を制御可能であるため、および/または酸性ガス除去方法の性能およびコスト効率に影響する幾つかの非ブレンド配合物において沈殿形成を防止し得るためである。
【0061】
通例、この種の溶媒系で使用される非水性液体は、溶媒系の活性成分である(即ち希釈剤としてのみ作用するわけではない。)。本溶媒系は1つ以上の非水性液体を含むとして記載されているが、関連する実施形態において、非水性液体の1つ以上が希釈剤であり得ることに留意する。このため本開示はまた、ある実施形態において、2つ以上の求核性アミンならびに非水性液体および希釈剤から成る群より選択される2つ以上の成分を含有する混合物に関する。
【0062】
III.求核性アミン、非求核性窒素塩基および非水性液体を含有する混合物
本発明の一態様において、溶媒系は1つ以上の求核性アミン、1つ以上の非求核性窒素塩基および1つ以上の非水性液体を含むことができる。溶媒の特性は、非ブレンド配合物と比べてこのような配合物において変更されていて、好都合には、ガス処理の具体的な工程要件を満たすために使用され得る。このような実施形態において、溶媒系は二酸化炭素および他の酸性ガスと可逆的に反応し得る。
【0063】
ある実施形態において、この種の溶媒配合物中で使用できる求核性アミンは、反応性窒素中心を有する第1級および/または第2級アミンであることができる。第1級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、Rは、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基であることができる。第2級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、RおよびRは独立して、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、RおよびR上の水素の1つ以上は、1つ以上の置換基によって場合により置換されてよい。例えばR、RまたはR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換されたアリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0064】
ある実施形態において、第1級または第2級アミンは、フッ素含有アルキル芳香族基によって官能化されたアミンより選択され得る。具体的な実施形態において、アミンは、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、2−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、3−フルオロ−N−メチルベンジルアミンおよび4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、3−フルオロベンジルアミン、4−フルオロベンジルアミン、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルアミン、2,3−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジフルオロベンジルアミン、2,6−ジフルオロベンジルアミン、3,4−ジフルオロベンジルアミン3,5−ジ−フルオロベンジルアミン、2−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、3−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、4−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、D−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンおよびL−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンから成る群より選択され得る。
【0065】
幾つかの実施形態において、このような溶媒系で使用できる求核性アミンとしては、環式アミン、ジアミン、第1級および/または第2級アルコールアミンを含むことができる。環式アミンは、窒素原子が環構造の一部を形成するアミンであり、これに限定されるわけではないが、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジンおよびピリミジンが挙げられ得る。環式アミンは1個以上の環を含んでよく、上に挙げた1つ以上の置換基で場合により置換されてよい。幾つかの実施形態において、求核性アミンはジアミンであってよい。幾つかの実施形態において、求核性アミンは第1級または第2級アルコールアミンであってよい。アルコールアミンはアミノアルコールとしても公知であり、アルコールおよびアミン基の両方を含有する。アルコールアミンのアミン基は、本明細書で開示するようないずれの種類のアミンでもよい。
【0066】
概して、このような化合物は反応して酸性ガス成分中の非水素原子と結合を形成することができる。これらの反応は、例えばカルバメート塩、混合カルバメート塩、両性イオン、スルファメートおよび/またはスルファミン酸の形成を生じ得る。求核性アミンが低い含水率(例えば約10重量%未満の水)を有し、水によって飽和されているときに分離した液相をただちに形成することは好都合である。この種の溶媒系において使用するための例示的な求核性アミンとしては、これに限定されるわけではないが、アルキルフルオロ芳香族アミン、例えば3−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミンおよび4−フルオロフェネチルアミンが挙げられる。
【0067】
この種の溶媒系における非求核性窒素塩基成分は変わることが可能である。ある実施形態において、低い含水率(例えば25℃にて約20重量%未満の水または約10重量%未満の水)を有する非求核性窒素塩基が使用され、これは水と合せると分離した液相をただちに形成する。従って好都合には、このような溶媒系において有用であるある非求核性窒素塩基は、疎水性および/または水と実質的に不混和性であることができ、「水と実質的に不混和性」とは本出願の別の箇所で記載されている通りである。この種の溶媒系において有用である非求核性窒素塩基の例示的な一種は、グアニジンまたは置換グアニジン(例えばフッ素化グアニジン)である。
【0068】
グアニジンは、構造RNC(NRの化合物であると理解され、式中、R、RおよびRは独立して、Hまたはこれに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、Rおよび/またはR上の水素原子の1つ以上は、場合により1つ以上の置換基によって置換されてよい。例えばR、R、RおよびR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換アリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0069】
このような溶媒系中で使用され得る別の種類の非求核性窒素塩基は、これに限定されるわけではないが、カルボキサミジン/カルボキシイミダミドを含むアミジンであり、アミジンは構造RC(=NH)NRの化合物と理解され、式中、R、RおよびRは独立して、Hまたはこれに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、Rおよび/またはR上の水素原子の1つ以上は、場合により1つ以上の置換基によって置換されてよい。例えばR、R、RおよびR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換アリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0070】
例示的なグアニジンおよびアミジンとしては、これに限定されるわけではないが、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(「TMG」);N−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン、1,1,3−トリメチル−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)グアニジン;1,1,3−トリメチル−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)グアニジン;1,3−ジメチル−1,3−ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)グアニジン;1,3−ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)グアニジン;1,3−ビス(4−フルオロフェニル)グアニジン;1,3−ビス(3−フルオロフェニル)グアニジン;1,3−ビス(2−フルオロフェニル)グアニジン;2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,4,5,6,−テトラヒドロピリミジン;2−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−1,4,5,6,−テトラヒドロピリミジン;3,3,4,4−テトラフルオロ−N,N−ジメチルブタンイミダミド;3,3,3−トリフルオロ−N,N−ジメチルプロパンイミダミド;およびこれの混合物が挙げられる。例えばこれに限定されるわけではないが、第3級アミン(例えばフッ素化第3級アミン)を含む他の非求核性窒素塩基も、このような溶媒系の非求核性窒素塩基成分として使用することができる。
【0071】
好都合には、本明細書に記載する溶媒系中で使用される非水性液体は、低い含水率(例えば約10重量%未満の水)および/または低い水溶解度を有することができる。このクラスの溶媒系による使用され得る例示的なクラスの非水性液体としては、これに限定されるわけではないが、以下のフッ素化アルコール;場合により置換されたフェノール;および窒素複素環が挙げられる。この特定の種類の溶媒系による特に好ましいものは、フッ素化アルコール(例えば5個以上の炭素を有し、好ましくは含水率が低い(例えば約10重量%未満の水)フッ素化アルコール)である。本開示による有用なフッ素化アルコールは、Rがアルキル基(例えばC−C10アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルキル、C−C10アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルキル、C−C10アルキル、C−CアルキルまたはC−Cアルキル)であり、アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素と置換されている、式R−OHを有するいずれの化合物も含み得る。幾つかの実施形態において、フッ素により置換された水素原子の数は、2、3、4、5、6、7、8、9であり、または有用と思われる場合、さらに多くてもよい。さらなる実施形態において、アルキル基の水素原子の1個以上は、これに限定されるわけではないが、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロ置換基を含む1個以上の他の置換基によって場合により置換されてよい。
【0072】
本発明で有用な場合により置換されたフェノールは、フェニル環上の水素原子の1個以上が置換基によって置換され得るフェノールを意味すると理解される。フェニル環上の水素原子の1個以上に対する非制限的な例示的置換基としては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロが挙げられる。窒素複素環は環構造に少なくとも1個の窒素原子を含み(これに限定されるわけではないが、イミダゾール、ピラゾールおよびトリアゾールを含む。)、環構造上の水素原子の1個以上が置換基によって置換され得るように場合により置換されている、いずれの環式化合物も意味すると理解される。ある実施形態において、環構造における少なくとも1個の窒素原子は、約15より低い(例えば約8から約15の間の)pKaの酸性水素原子を有する。環上の水素原子の1個以上に対する非制限的な例示置換基としては、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよびハロが挙げられる。
【0073】
幾つかの具体的な実施形態において、非水性液体は:2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール(「OFP」);2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール(「TFP」);2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール(「PFP」);2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブタノール(「HFB」);2,2,2−トリフルオロエタノール(「TFE」);ノナフルオロ−1−ヘキサノール;4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロヘプタノール;1,1,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノール;4−メトキシフェノール(「4−MeOPh」);4−エトキシフェノール(「4−EtOPh」);2−エトキシフェノール;4−プロポキシフェノール;イミダゾール;ベンズイミダゾール;N−メチルイミダゾール;1−トリフルオロアセチルイミダゾール;1,2,3−トリアゾール;1,2,4−トリアゾール;2−トリフルオロメチルピラゾール;3,5−ビストリフルオロメチルピラゾール;3−トリフルオロメチルピラゾール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2−トリフルオロメチルフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、4−トリフルオロメチルフェノールおよびこれの混合物から成る群より選択される相対的酸性成分である。通例、この種の溶媒系で使用される非水性液体は、溶媒系の活性成分である(即ち希釈剤としてのみ作用するわけではない。)。
【0074】
二酸化炭素などの酸性ガスと反応すると、1つ以上の求核性アミン、1つ以上の非求核性窒素塩基および1つ以上のプロトン性非水性液体を含む溶媒は、図1C)に示すような2つの生成物を形成する。求核性アミンの二酸化炭素との反応によって形成された生成物はアミンカルバメート塩となる。非求核性窒素塩基およびプロトン性非水性液体の二酸化炭素との反応によって、カーボネートエステルの形成が生じる。従って溶媒系は、純粋な求核性アミン溶媒よりも高い理論二酸化炭素ローディングを有する。アミンの非求核性窒素塩基溶液を添加すると、粘性イオン性液体の粘度が著しく低下することによって、溶媒系が改善される。非求核性窒素塩基およびプロトン性非水性液体溶媒系への求核性アミンの添加によって、非求核性窒素塩基からの水の分離が改善される。非求核性窒素塩基に対する求核性アミンのモル比は、広い範囲を含むことができる。同様に、プロトン性非水性液体に対する非求核性窒素塩基に対する求核性アミンのモル比も広い範囲を含むことができる。
【0075】
IV.ニート疎水性求核性アミン
本発明の別の態様において、ニート疎水性非水性溶媒を提供することができる。具体的には、本発明による純粋な溶媒は、単一の求核性アミンより成ることができる。「ニート」という用語は、本明細書で使用する場合、他の共溶媒が溶媒系に存在しないことを意味することができ、他の液体が溶媒系にほとんどまたは全く存在しないこと(例えば溶媒系が少量の、例えば約10重量%未満の望ましくない水を含む状況を含む。)を意味することがあり、または(即ち疎水性求核性アミン、酸性ガスまたは両方と反応することがある。)他の反応性成分が溶媒系に存在しないことを意味することがある。ニート疎水性求核性アミンは、幾つかの実施形態において、疎水性求核性アミンの混合物を含むことができるが、好ましくは単一の疎水性求核性アミン成分を含む。幾つかの実施形態において、「ニート」疎水性求核性アミン溶媒系は、ニート疎水性求核性アミンおよび酸性ガスより成る。ニート疎水性求核性アミンは、酸性ガス成分、例えばCOおよびSOと反応してアミンカルバメート塩、両性イオンスルファミン酸および/またはサルフェート塩を形成することができ、ある実施形態において、沈殿形成を防止するために追加的な希釈剤は必要ない。
【0076】
この目的に好適な1つの例示的な疎水性求核性アミンは、図1D)に示すような3−フルオロ−N−メチルベンジルアミンである。しかし、本発明は限定されるものではなく、このように反応することができる他の疎水性求核性アミンが本開示により含まれるものとする。
【0077】
例えば、この種のある例示的なニート溶媒系を形成するために使用できる疎水性求核性アミンは、幾つかの実施形態において、反応性窒素中心を有する第1級および/または第2級アミンであることができる。第1級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、Rは、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基であることができる。第2級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、RおよびRは独立して、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、RおよびR上の水素の1つ以上は、1つ以上の置換基によって場合により置換されてよい。例えばR、RまたはR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換されたアリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0078】
ある実施形態において、第1級または第2級アミンは、フッ素含有アルキル芳香族基によって官能化されたアミンより選択され得る。具体的な実施形態において、アミンは、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、2−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、3−フルオロ−N−メチルベンジルアミンおよび4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、3−フルオロベンジルアミン、4−フルオロベンジルアミン、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルアミン、2,3−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジフルオロベンジルアミン、2,6−ジフルオロベンジルアミン、3,4−ジフルオロベンジルアミン3,5−ジ−フルオロベンジルアミン、2−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、3−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、4−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、D−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンおよびL−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンから成る群より選択され得る。
【0079】
幾つかの実施形態において、このような溶媒系で使用できる疎水性求核性アミンとしては、環式アミン、ジアミン、第1級および/または第2級アルコールアミンを含むことができる。環式アミンは、窒素原子が環構造の一部を形成するアミンであり、これに限定されるわけではないが、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジンおよびピリミジンが挙げられ得る。環式アミンは1個以上の環を含んでよく、上に挙げた1つ以上の置換基で場合により置換されてよい。幾つかの実施形態において、求核性アミンはジアミンであってよい。幾つかの実施形態において、求核性アミンは第1級または第2級アルコールアミンであってよい。アルコールアミンはアミノアルコールとしても公知であり、アルコールおよびアミン基の両方を含有する。アルコールアミンのアミン基は、本明細書で開示するようないずれの種類のアミンでもよい。とりわけ、ニート疎水性アミン溶媒として機能するためには、幾つかの求核性アミン(例えば環式アミン)は好ましくは、フッ素含有基によって官能化される。
【0080】
ニート疎水性求核性アミン溶媒は好ましくは、低い含水率(例えば約10重量%未満)を有し、水と分離した液相を形成する。酸性ガス除去のための非水性溶媒工程には、ニート疎水性アミン溶媒の利用により、複数の利点がある。第1に、ニートアミン溶媒は熱容量が低いために、溶媒の顕熱要求事項は著しく低下する。第2に、溶媒と接触した工程水の処理は、溶媒混合物中の成分の数が減少することによって簡略化される。比較的少数の一連の第2級アミンは、酸性ガス(ニート求核性アミン)との反応時の沈殿形成を回避するために希釈剤を必要としない。この少数の一連のアミンのうち多くは、水と混和するために、工業的酸性ガス含有ガス流の処理には不適である。工業的酸性ガス含有ガス流(例えば燃焼煙道ガス、セメント・キルン・ガス、天然ガス、合成ガスなど)の多くは高い水濃度(通例約2から30体積%)を含有し得るため、水混和性を有するニート第2級アミンはガス流から水を除去するため、水との混合物を生成する。この混合物の形成を回避するために、ニート第2級アミンは好都合には、水との非常に低い混和性を有するように選択される。結果として、このような実施形態において、酸性ガス除去方法の溶媒は、単一成分より成るまたは本質的に単一成分より成ると見なすことができる。
【0081】
V.求核性アミンおよび非求核性窒素塩基を含有する混合物
本発明の別の態様において、1つ以上の求核性アミンおよび1つ以上の非求核性窒素塩基の組合せを使用して、酸性ガス成分(例えば二酸化炭素)をガス混合物から分離することができる。幾つかの実施形態において、このような溶媒系(例えば求核性アミンおよび非求核性窒素塩基の「ニート」混合物が提供される。)には、希釈剤は含有されていない。しかし、1つ以上の希釈剤が添加された実施形態も、このクラスの溶媒系に含まれる。好ましくは、求核性アミンおよび非求核性窒素塩基を含む溶媒系は、総含水率が10重量%未満の疎水性求核性アミンおよび疎水性非求核性窒素塩基の混合物を含む。
【0082】
この種のある例示的な溶媒系を形成するために使用できる求核性アミンは、反応性窒素中心を有する第1級および/または第2級アミンであり得る。第1級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、Rは、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基であることができる。第2級アミンは式NHRの化合物であると理解され、式中、RおよびRは独立して、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、RおよびR上の水素の1つ以上は、1つ以上の置換基によって場合により置換されてよい。例えばR、RまたはR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換されたアリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0083】
ある実施形態において、第1級または第2級アミンは、フッ素含有アルキル芳香族基によって官能化されたアミンより選択され得る。具体的な実施形態において、アミンは、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、2−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、3−フルオロ−N−メチルベンジルアミンおよび4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、3−フルオロベンジルアミン、4−フルオロベンジルアミン、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデシルアミン、2,3−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジフルオロベンジルアミン、2,6−ジフルオロベンジルアミン、3,4−ジフルオロベンジルアミン3,5−ジ−フルオロベンジルアミン、2−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、3−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、4−トリフルオロ(trifluor)メチルベンジルアミン、D−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンおよびL−4−フルオロ−アルファ−メチルベンジルアミンから成る群より選択され得る。
【0084】
幾つかの実施形態において、このような溶媒系で使用できる求核性アミンとしては、環式アミン、ジアミン、第1級および/または第2級アルコールアミンを含むことができる。環式アミンは、窒素原子が環構造の一部を形成するアミンであり、これに限定されるわけではないが、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジンおよびピリミジンが挙げられ得る。環式アミンは1個以上の環を含んでよく、上に挙げた1つ以上の置換基で場合により置換されてよい。幾つかの実施形態において、窒素塩基はジアミンであり得る。幾つかの実施形態において、窒素塩基は第1級または第2級アルコールアミンであり得る。アルコールアミンはアミノアルコールとしても公知であり、アルコールおよびアミン基の両方を含有する。アルコールアミンのアミン基は、本明細書で開示するようないずれの種類のアミンでもよい。
【0085】
この種の溶媒系における非求核性窒素塩基成分は変わることが可能である。ある実施形態において、低い含水率(例えば25℃にて約20重量%未満の水または約10重量%未満の水)を有する非求核性窒素塩基が使用され、これは水と合せると分離した液相をただちに形成する。従って好都合には、このような溶媒系において有用であるある非求核性窒素塩基は、疎水性および/または水と実質的に不混和性であることができ、「水と実質的に不混和性」とは本出願の別の箇所で記載されている通りである。この種の溶媒系で有用な例示的な種類の非求核性窒素塩基は、グアニジンまたは置換グアニジン(例えばフッ素化グアニジン)、アミジン(例えばフッ素化アミジン)または第3級アミン(例えばフッ素化第3級アミン)である。
【0086】
グアニジンは、構造RNC(NRの化合物であると理解され、式中、R、RおよびRは独立して、Hまたはこれに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、Rおよび/またはR上の水素原子の1つ以上は、場合により1つ以上の置換基によって置換されてよい。例えばR、R、RおよびR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換アリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0087】
アミジンとしては、これに限定されるわけではないが、カルボキサミジン/カルボキシイミダミドが挙げられ、アミジンは構造RC(=NH)NRの化合物と理解され、式中、R、RおよびRは独立して、Hまたはこれに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、Rおよび/またはR上の水素原子の1つ以上は、場合により1つ以上の置換基によって置換されてよい。例えばR、R、RおよびR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換アリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0088】
例示的なグアニジンおよびアミジンとしては、これに限定されるわけではないが、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(「TMG」);N−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン、1,1,3−トリメチル−3−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)グアニジン;1,1,3−トリメチル−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)グアニジン;1,3−ジメチル−1,3−ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)グアニジン;1,3−ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)グアニジン;1,3−ビス(4−フルオロフェニル)グアニジン;1,3−ビス(3−フルオロフェニル)グアニジン;1,3−ビス(2−フルオロフェニル)グアニジン;2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,4,5,6,−テトラヒドロピリミジン;2−(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)−1,4,5,6,−テトラヒドロピリミジン;3,3,4,4−テトラフルオロ−N,N−ジメチルブタンイミダミド;3,3,3−トリフルオロ−N,N−ジメチルプロパンイミダミド;およびこれの混合物が挙げられる。
【0089】
第3級アミンは式NRの化合物であると理解され、式中、R、RおよびRは独立して、これに限定されるわけではないが、C−C20アルキルを含む炭素含有基である。R、R、RおよびR上の水素の1つ以上は、場合により1つ以上の置換基によって置換されてよい。例えばR、R、RおよびR上の水素の1つ以上は、場合により置換されたC−Cアルキル、場合により置換されたC−Cアルコキシ、場合により置換されたC−C10アルケニル;場合により置換されたC−C10アルキニル;場合により置換されたアルキルアリール;場合により置換アリールアルキル;場合により置換されたアリールオキシ;場合により置換されたヘテロアリール;場合により置換された複素環;ハロ(例えばCl、F、BrおよびI);ヒドロキシル;ハロゲン化アルキル(例えばCF、2−Br−エチル、CHF、CHCFおよびCFCF);ハロゲン化アリール;ハロゲン化アルキルアリール;ハロゲン化ベンジル;場合により置換されたアミノ;場合により置換されたアルキルアミノ;場合により置換されたアリールアミノ;場合により置換されたアシル;CN;NO;N;CHOH;CONH;C−Cアルキルチオ;サルフェート;スルホン酸;スルホン酸エステル(例えばメタンスルホニル);ホスホン酸;ホスフェート;ホスホネート;モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートエステル;トリチルもしくはモノメトキシトリチル;CFS;CFSO;またはシリル(例えばトリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリルおよびジフェニルメチルシリル)によって置換され得る。
【0090】
ある例示的な配合物としては、これに限定されるわけではないが、1つ以上の第3級アミン(例えばフッ素化第3級アミン)、グアニジン(例えばフッ素化グアニジン)および/またはアミジン(例えばフッ素化アミジン)と組合せて使用される、アルキルフルオロ芳香族アミン、例えば3−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、4−フルオロ−N−メチルベンジルアミン、2−フルオロフェネチルアミン、3−フルオロフェネチルアミンおよび4−フルオロフェネチルアミンを含む1つ以上の第1級および/または第2級アミンが挙げられる。
【0091】
幾つかの具体的な実施形態において、この種の溶媒系は、図1E)に示すように第2級アミンおよびグアニジンより成ることができる。ある実施形態において、配合された溶媒(即ち求核性アミンおよび非求核性窒素塩基を含有する混合物)は、二酸化炭素と反応してカルバメート塩(例えば混合カルバメート塩)を形成する。反応生成物中では、求核性アミン成分はCO(または別の酸性ガス)との炭素−窒素結合を形成して、非求核性アミン成分は水素核(プロトン)との結合を形成する。形成された生成物の構造は、混合アミンカルバメート塩である。求核性アミンに対する非求核性アミンのモル比は、広い範囲を含むことができる。求核性塩基の非求核性塩基との混合物は、二酸化炭素吸収の反応速度を改善して、改善された熱力学のために所与の温度における二酸化炭素ローディング(二酸化炭素気液平衡)を改善し得る。単一の求核性アミンを利用した溶液からの従来のCO回収と比較して、混合溶媒は、ある実施形態において、わずかにより高い温度にてより多くのCOを吸収し、溶媒をある温度範囲におけるガス流からのCOの分離に好ましいものとする。
【0092】
これらの発明が関連する分野の当業者は、上述の記載および関連図面に示した教示の利点を有する本明細書に記載する本発明の多くの変更および他の実施形態に想到する。従って、本発明は開示した具体的な実施形態に限定されず、変更および他の実施形態は添付する特許請求の範囲内に含まれるものであることが理解される。本明細書では具体的な用語が用いられているが、該用語は一般的および説明的な意味のみで使用され、限定を目的とするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6