(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンテナのコーナ金具の溝穴の外側に位置するフランジ部と、上記フランジ部に設けられており、上記溝穴の開口部に嵌まる支柱部と、この支柱部に設けられており、上記溝穴の空洞部に嵌まる嵌合部と、を備えており、
上記嵌合部には、水平軸回りに回動可能であって上記支柱部の縦面部から横方向に突出するように付勢されている可動凸部が設けられており、
上記フランジ部が上記コーナ金具の外面部に接触し、且つ、上記可動凸部が回動動作の途中に上記開口部の奥側に位置する上記コーナ金具の奥角部に接触した状態でロック状態が形成されることを特徴とするコンテナ固定装置。
請求項1に記載のコンテナ固定装置において、上記コーナ金具の外面部から上記溝穴の上記開口部にかけて溝穴側テーパ部が形成されており、上記支柱部には上記溝穴側テーパ部に接触する支柱部側テーパ部が形成されていることを特徴とするコンテナ固定装置。
請求項1または請求項2に記載のコンテナ固定装置において、上記可動凸部の回動を制限して上記ロック状態を保持するストッパを備えることを特徴とするコンテナ固定装置。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコンテナ固定装置において、上記フランジ部に設けられており、別のコーナ金具の溝穴の開口部に嵌まる第2支柱部と、この第2支柱部に設けられており、上記溝穴の空洞部に嵌まる第2嵌合部と、を備えることにより、上下に積み上げられるコンテナを連結固定することを特徴とするコンテナ固定装置。
請求項6に記載のコンテナ固定装置において、上記第2支柱部には押圧部材が設けられており、上記第2嵌合部には傾斜部位が形成されており、上記押圧部材が上記開口部を形成する上記コーナ金具の開口縦面部を押圧することにより、上記開口部の奥側に位置する上記コーナ金具の奥角部に、上記傾斜部位が圧接されることを特徴とするコンテナ固定装置。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、いわゆるラッチロック方式のコンテナ固定装置が開示されている。上記コンテナ固定装置は、
図20に示すように、上下に積まれたコンテナ1100のコーナ金具1100aの間に配設されるフランジ部1002と、このフランジ部1002から突設された上側支柱部1003及び下側支柱部1004と、上側のコーナ金具1100aの溝穴1150に係合する上側コーン1031と、下側のコーナ金具1100aの溝穴1150に係合する下側コーン1041と、を備える。上記下側コーン1041は、固定凸部1042と、上記固定凸部1042の反対側に設けられた可動凸部(ラッチ)1043とからなる。上記可動凸部は、弾性部材の弾性力によって自動的に上記コーナ金具の溝穴に入る。
【0003】
ここで、上記コーナ金具1100aの溝穴1150は、
図21にも示すように、当該コーナ金具1100aの周囲壁部の内側に形成された空洞部1150aと、上記周囲壁部に形成されており、上記空洞部1150aに通じ、この空洞部1150aよりも小さい長孔形状の開口部1150bとからなる。そして、上記開口部1150bは、上記周囲壁部の肉厚による開口縦面部A、上記開口縦面部Aの入口側に位置する入口角部B(テーパ部)、上記開口縦面部Aに直交し入口角部Bに繋がる外面部C、上記開口縦面部Aの奥側に位置する奥角部D、上記開口縦面部Aに直交し奥角部Dに繋がる内面部E等を有するものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されているコンテナ固定装置は、上記上側コーン1031が上記コーナ金具1100aの溝穴1150に嵌ったロック状態において、当該上側コーン1031と上記奥角部Dおよび内面部Eとの間に隙間(遊び)Fが発生する。また、上記下側コーン1041が上記コーナ金具1100aの溝穴1150に嵌まったロック状態において、上記可動凸部1043と上記奥角部Dおよび内面部Eとの間にも隙間Fが発生する。
【0006】
ここで、
図22(A)に示すように、上記コンテナ1100を船舶2000上に積み上げる場合においては、船舶2000が傾くと上記コンテナ1100も傾くことになる。このとき、上記隙間Fが無いと仮定すると、上記コンテナ1100の傾きは上記船舶2000の傾きと同程度に収まる。しかしながら、
図22(B)に示すように、上下コンテナ1100、1100の各固定箇所に上記隙間Fが発生すると、高く積み上げたコンテナ間において上記隙間Fに起因する傾きが累積し、上側に位置するコンテナ1100が船舶2000の傾きに比べて大きく傾くことを阻止できない。すなわち、上記従来のコンテナ固定装置では、上記隙間Fのために、多くのコンテナを積み上げることが困難となり、コンテナ輸送費が割高になる等の問題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み、コンテナ固定装置とコーナ金具との間に生じる隙間を小さくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンテナ固定装置は、上記の課題を解決するために、コンテナのコーナ金具の溝穴の外側に位置するフランジ部と、上記フランジ部に設けられており、上記溝穴の開口部に嵌まる支柱部と、この支柱部に設けられており、上記溝穴の空洞部に嵌まる嵌合部と、を備えており、上記嵌合部には、水平軸回りに回動可能であって上記支柱部の縦面部から横方向に突出するように付勢されている可動凸部が設けられており、上記フランジ部が上記コーナ金具の外面部に接触し、且つ、上記可動凸部が回動動作の途中に上記開口部の奥側に位置する奥角部に接触した状態でロック状態が形成されることを特徴とする。
【0009】
上記の構成であれば、上記フランジ部が上記コーナ金具の外面部に接触し、且つ、上記可動凸部が回動動作の途中に上記開口部の奥側に位置する奥角部に接触した状態でロック状態が形成されるので、上記可動凸部と上記溝穴との間の隙間を小さくできる。これにより、多くのコンテナを積み上げることが可能になり、コンテナ輸送費を低減できる等の利点が得られる。一方、上記ロック状態において、上記可動凸部は、回動動作の途中状態であるので、当該コンテナ固定装置を上記コーナ金具から離脱させる動作により、上記可動凸部が上記奥角部に接触しつつさらに回動することができる。上記離脱時の上記可動凸部の回動により、上記コーナ金具と上記コンテナ固定装置とが斜め方向にずれながら互いに離間するのが許容され、上記支柱部および上記可動凸部が上記開口部を通過するための初期段階を形成することができる。すなわち、コンテナを引き上げる操作によって、上記コンテナ固定装置を上記コーナ金具から自動的に離脱させることができる。
【0010】
上記コーナ金具の外面部から上記溝穴の上記開口部にかけて溝穴側テーパ部が形成されており、上記支柱部には上記溝穴側テーパ部に接触する支柱部側テーパ部が形成されていてもよい。これによれば、当該コンテナ固定装置を上記コーナ金具から離脱させるときに、上記溝穴側テーパ部に沿って上記支柱部側テーパ部が斜め方向に案内されるので、上記離脱が円滑に行われる。
【0011】
上記可動凸部の回動を制限して上記ロック状態を保持するストッパを備えてもよい。これによれば、上記コンテナ固定装置を上記コーナ金具から自動的に離脱させることができなくなり、不所望なアンロックが防止される。
【0012】
上記フランジ部は荷台に固定または着脱可能に固定されてもよい。これによれば、当該コンテナ固定装置を用いてコンテナをトレーラーの荷台などに固定することができる。
【0013】
上記フランジ部に設けられており、別のコーナ金具の溝穴の開口部に嵌まる第2支柱部と、この第2支柱部に設けられており、上記溝穴の空洞部に嵌まる第2嵌合部と、を備え、上下に積み上げられるコンテナを連結固定するようにしてもよい。そして、この第2嵌合部側でのロック状態において、上記フランジ部が上記別のコーナ金具の外面部に接触するようにしてもよい。
【0014】
上記第2支柱部には押圧部材が設けられており、上記第2嵌合部には傾斜部位が形成されており、上記押圧部材が上記開口部を形成する上記コーナ金具の開口縦面部を押圧することにより、上記開口部の奥側に位置する上記コーナ金具の奥角部に、上記傾斜部位が圧接されるようにしてもよい。
【0015】
これによれば、上記開口部の奥側に位置する上記コーナ金具の奥角部に、上記第2嵌合部の上記傾斜部位が上記押圧部材によって接触するので、上記第2嵌合部と上記溝穴との間の隙間を小さくできる。これにより、多くのコンテナを積み上げることが可能になり、コンテナ輸送費を低減できる等の利点が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明であれば、コンテナ固定装置とコーナ金具との間の隙間を小さくできる。これにより、多くのコンテナを積み上げることが可能となり、コンテナ輸送費を低減することができる。さらに、上記隙間を小さくできると、必要とされる荷役用具を少なくできるので、軽量化が図れ、また、荷役時間も短縮できる。また、コンテナを積載する船舶の燃費の向上も期待でき、船舶へのダメージも低減できる。また、上記隙間を小さくできると、急な揺れ等によるコンテナの移動が早く止められるので、加速度的な負荷の発生を抑制できる。そして、コンテナおよびコンテナ固定装置のダメージも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナ固定装置と、上側のコンテナの下面のコーナ金具と、下側のコンテナの上面のコーナ金具とを示した説明図である。
【
図2】
図1のコンテナ固定装置の概略の底面図である。
【
図3】
図1のコンテナ固定装置の概略の正面図である。
【
図4】
図1のコンテナ固定装置の上側支柱部と上側嵌合部と押圧部材を示した概略の説明図である。
【
図5】
図1のコンテナ固定装置の上側嵌合部をコーナ金具の溝穴に装着する動作を説明する説明図である。
【
図6】
図1のコンテナ固定装置の上側嵌合部をコーナ金具の溝穴に装着する動作を説明する説明図である。
【
図7】
図1のコンテナ固定装置の上側嵌合部に装着される押圧部材の他の例を示した概略の説明図である。
【
図8】
図1のコンテナ固定装置の下側支柱部と下側嵌合部を下面のコーナ金具から離脱させる様子を示した説明図である。
【
図9】
図1のコンテナ固定装置の下側支柱部と下側嵌合部を下面のコーナ金具から離脱させる様子を示した説明図である。
【
図10】
図1のコンテナ固定装置の下側支柱部と下側嵌合部を下面のコーナ金具から離脱させる様子を示した説明図である。
【
図11】
図1のコンテナ固定装置の下側支柱部と下側嵌合部を下面のコーナ金具から離脱させる様子を示した説明図である。
【
図12】他の実施形態に係るコンテナ固定装置を示した概略の底面図である。
【
図14】
図12コンテナ固定装置と、上側のコンテナの下面のコーナ金具と、下側のコンテナの上面のコーナ金具とを示した説明図である
【
図15】
図12のコンテナ固定装置で用いられているストッパ装置を示した図であり、同図(A)は平面図、同図(B)は正面図である。
【
図18】同図(A)は
図12のコンテナ固定装置のロック状態をストッパ装置で保持している状態示した概略の正面図であり、同図(B)は
図12のコンテナ固定装置のストッパ装置を解除した状態を示した概略の正面図である。
【
図19】他の実施形態に係るコンテナ固定装置を示した説明図である。
【
図20】従来のコンテナ固定装置を示した説明図である。
【
図21】上下に位置するコンテナのコーナ金具を示した説明図である。
【
図22】同図(A)はコンテナとコンテナ固定装置との間に仮に隙間ができないとした場合において想定される、積み上げられたコンテナの傾きを示した説明図であり、同図(B)はコンテナとコンテナ固定装置との間に隙間ができる場合において想定される、積み上げられたコンテナの傾きを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示しているように、上側のコンテナ100の下面のコーナにはコーナ金具100aが設けられており、下側のコンテナ101の上面のコーナにはコーナ金具101aが設けられている。コンテナ固定装置1は、上記コーナ金具100aと上記コーナ金具101aの間に位置し、上側のコンテナ100と下側のコンテナ101を連結固定する。
【0019】
上記コーナ金具100aの溝穴150は、当該コーナ金具100aの周囲壁部の内側に形成された空洞部150aと、上記周囲壁部に形成されており、上記空洞部150aに通じ、この空洞部150aよりも小さい略長孔形状の開口部150bとからなる。そして、上記開口部150bは、上記周囲壁部の肉厚による開口縦面部A、上記開口縦面部Aの入口側に位置する入口角部B(テーパ部)、上記開口縦面部Aに直交し入口角部Bに繋がる外面部C、上記開口縦面部Aの奥側に位置する奥角部D、上記開口縦面部Aに直交し奥角部Dに繋がる内面部E等を有するものとなっている(
図4参照)。
【0020】
同様に、上記コーナ金具101aの溝穴151は、当該コーナ金具101aの周囲壁部の内側に形成された空洞部151aと、上記周囲壁部に形成されており、上記空洞部151aに通じ、この空洞部151aよりも小さい略長孔形状の開口部151bとからなる。そして、上記開口部151bは、上記周囲壁部の肉厚による開口縦面部A、上記開口縦面部Aの入口側に位置する入口角部B(溝穴側テーパ部)、上記開口縦面部Aに直交し入口角部Bに繋がる外面部C、上記開口縦面部Aの奥側に位置する奥角部D、上記開口縦面部Aに直交し奥角部Dに繋がる内面部E等を有するものとなっている。
【0021】
上記コンテナ固定装置1は、フランジ部2を備えている。このフランジ部2は、上記コーナ金具100a、101aの溝穴150、151の外側に位置する。そして、上記フランジ部2の上面側には上側支柱部(第2支柱部)3が設けられており、下面側には下側支柱部(支柱部)4が設けられている。当該コンテナ固定装置1におけるロック状態においては、上記フランジ部2が上記コーナ金具100a、101aの外面部Cに接触する。また、上記下側支柱部(支柱部)4における上記フランジ部2との境界部には、上記入口角部B(溝穴側テーパ部)の傾斜に沿った傾斜を有し、当該入口角部Bに接触する支柱部側テーパ部4aが形成されている。
【0022】
上記上側支柱部3の上部側には、上側コーン(第2嵌合部)31が設けられている。上記上側支柱部3は、上記開口部150bに嵌合し、上側コーン31は上記空洞部150aに嵌合する。また、上記下側支柱部4の下部側には、下側コーン(嵌合部)41が設けられている。上記下側支柱部4は、上記開口部151bに嵌合し、下側コーン41は上記空洞部151aに嵌合する。
【0023】
図2に示すように、上記上側支柱部3は、例えば横断面が略平行四辺形をなしており、この上側支柱部3を上記コーナ金具100aの溝穴150の空洞部150a内で所定の範囲で回転させることができる。そして、
図3にも示すように、上記フランジ部2に設けられている固定レバー21の上側部分を上記溝穴150の上記開口部150bに突出させることにより、上側コーン31が上記溝穴150で固定される。
【0024】
上記上側コーン31を上記溝穴150に入れるときには、
図4および
図5に示すように、当該上側コーン31の長手方向を上記開口部150bの長手方向に合せるとともに、コンテナ固定装置1を斜めにして上記上側コーン31を上記開口部150bから上記空洞部150a内に入れる。そして、
図6に示すように、水平面内でコンテナ固定装置1を略90度回す。これにより、上記上側コーン31の長手方向が上記開口部150bの略長孔形状の長手方向と交差することになる。
【0025】
なお、
図3に示したように、上記固定レバー21は、水平軸部21aによって回動可能に支持されており、バネ21bの弾性力によって上記上側部分が上記フランジ部2の上面側に突出される。また、上記固定レバー21における下側部分21cは上記フランジ部2の下面から出ており、この下側部分21cを操作することにより、当該固定レバー21の上側部分を上記フランジ部2側に没入させることができる。なお、上記フランジ部2の下面側に設けられているピン21dが上記下側部分21cに当たることで、上記固定レバー21の回動が制止される。
【0026】
また、上記上側支柱部3は、
図6等に示すように、上記開口部150bを形成する上記コーナ金具100aの開口縦面部Aを押圧する押圧部材300を備えている。この押圧部材300は、例えば、コイルバネからなり、上記上側支柱部3の縦面部に形成された横穴部に挿入されている。そして、上記押圧部材300は、自然長の状態で上記縦面部から突出し、先述したように、上記上側コーン31の長手方向が上記開口部150bの略長孔形状の長手方向と交差する状態で、上記開口縦面部Aに接触して、この開口縦面部Aを押圧する。
【0027】
上記フランジ部2側に対向する上側コーン31の部位に傾斜部位31aが形成されている。この傾斜部位31aは、その一方の端が上記空洞部150a内に位置し、他方の端が上記開口部150b内に位置できるように形成されている。また、上記他方の端と上記上側支柱部3との境界部には、凹部31bが形成されており、上記傾斜部位31aが上記奥角部Dに接触することを妨げないようになっている。
【0028】
先述したように、水平面内で上記コンテナ固定装置1を略90度回すと、上記押圧部材300が上記開口縦面部Aに接触し、この開口縦面部Aを押圧する。この押圧によって、上記開口縦面部Aとは反対側に位置する上記奥角部Dに、上記傾斜部位31aが圧接する。
【0029】
なお、
図2に示したように、上記上側支柱部3および上記上側コーン31に縦孔部32が形成されており、この縦孔部32の内壁に形成した収容凹部に上記押圧部材300の基端側が収容されている。また、上記縦孔部32から上記押圧部材300が見えるようになっており、例えば、上記縦孔部32から工具を挿入して上記押圧部材300の一部を潰して変形させ、この押圧部材300の抜け落ちを防止するようにしてもよい。また、上記押圧部材300自体が上記開口縦面部Aに接触するのではなく、上記押圧部材300の先端に設けた接触部材が上記開口縦面部Aに接触するようにしてもよい。
【0030】
また、上記押圧部材300を板バネによって形成することもできる。この板バネからなる押圧部材300は、例えば、
図7に示すように、湾曲バネ部と固定片部と有し、上記固定片部に挿通された螺子301によって、上記上側支柱部3に固定される。
【0031】
図1に示したように、上記下側支柱部4には、上記開口部151bの長辺部に平行となる縦面部が所形成されている。上記下側コーン41は、上記特許文献1(特許第4781786号公報)に記載のコンテナ固定装置と同様、一方の縦面部から突出する固定凸部42と、他方の縦面部から突出する可動凸部(ラッチ)43とを備える。上記固定凸部42の最も突出する箇所と上記可動凸部43の最も突出する箇所は上下にずれており、上記可動凸部43の方が上記固定凸部42よりも上記フランジ部2側(上側)に位置している。
【0032】
上記固定凸部42は、第1傾斜面420と、第2傾斜面421と、これら傾斜面の間に位置する凸頂部422とを有する。上記第1傾斜面420は、ロックのための降下動作時および荷揚時の引き抜き動作時に、上記開口部151bの奥側に位置する奥角部Dに接触する。上記第2傾斜面421は、ロックのための降下動作時および荷揚時の引き抜き動作時に、上記開口縦面部Aの入口側に位置する入口角部Bに接触する。上記第1傾斜面420および上記第2傾斜面421は、直線形状に限らず、曲線形状でもよいし、折れ線形状でもよい。そして、凸頂部422は、ロックのための降下動作時および荷揚時の引き抜き動作時に、上記開口縦面部Aに接触する。
【0033】
上記可動凸部43は、第1傾斜面430と、第2傾斜面431と、これら傾斜面の間に位置する凸頂部432とを有する。上記第1傾斜面430は、ロックのための降下動作時および荷揚時の引き抜き動作時に、上記開口部151bの奥側に位置する奥角部Dに接触する。上記第2傾斜面431は、ロックのための降下動作時および荷揚時の引き抜き動作時に、上記開口縦面部Aの入口側に位置する入口角部Bに接触する。上記第1傾斜面430および上記第2傾斜面431は、直線形状に限らず、曲線形状でもよいし、折れ線形状でもよい。また、上記第1傾斜面430の表面に、例えば微小な凹凸等を形成し、上記第1傾斜面430と上記奥角部Dと接触において滑りを生じ難くしてもよい。そして、凸頂部432は、ロックのための降下動作時および荷揚時の引き抜き動作時に、上記開口縦面部Aに接触する。なお、上記可動凸部43には、回動制止部433が形成されており、この回動制止部433によって、当該可動凸部43が規定量を越えて回動する(突出する)のを阻止している。
【0034】
上記可動凸部43は、上記下側支柱部4に水平に設けられた水平軸43aに回動可能に支持されており、コイルバネ43b(
図3参照)の弾性力によって回動して上記下側支柱部4の縦面部から横方向に突出する。また、ロックのための降下動作時および荷揚時の引き抜き動作時には、上記可動凸部43が上記コイルバネ43bの弾性力に抗して回動して上記下側支柱部4側に一時的に入り込む。すなわち、上記可動凸部43は、上記下側支柱部4の縦面部から横方向に突出した状態と、上記下側支柱部4側に入る状態とを形成する。
【0035】
上記フランジ部2が上記コーナ金具101aの外面部C(上面)に接触し、上記下側コーン41が溝穴151内に入り、且つ、上記可動凸部43が上記下側支柱部4の縦面部から横方向に突出する状態がロック状態となる。そして、このロック状態においては、上記コイルバネ43bにより、
図1において、時計回りに付勢される上記可動凸部43の回動動作の途中に、上記開口部151bの奥側に位置する奥角部Dに上記第1傾斜面430が接触し、この接触状態が維持される。上記水平軸43aは、上記奥角部Dの真下位置ではなく、
図1において、左側(上記開口部151bの中心側)に在る。また、上記奥角部Dに上記第1傾斜面430が接触した上記ロック状態において、上記第1傾斜面430は、水平ではなく、傾斜状態に位置しており、上記第1傾斜面430の一方の端が上記空洞部151a内に位置し、上記第1傾斜面430の他方の端が上記開口部151b内に位置する。
【0036】
図1に示すロック状態から荷揚時の引き抜き動作が行われると、
図8に示すように、上記コンテナ固定装置1は、真っ直ぐ上ではなく、上記固定凸部42側の入口角部Bの傾斜に沿って斜め上方(
図8では左上方)に持ち上がる。このとき、上記コイルバネ43bにより付勢される上記可動凸部43がさらに時計回りに回動することができる。換言すれば、上記可動凸部43がさらに回動できることにより、上記コンテナ固定装置1は、上記入口角部Bの傾斜に沿って斜め上方に持ち上がる。
【0037】
上記可動凸部43がさらに回動すると、
図9に示すように、この可動凸部43は、上記回動制止部433によって回動が阻止される。この回動阻止状態では、上記凸頂部432の先端から、その裏側に位置する上記下側支柱部4の他方の縦面部までの長さ(幅)は、上記開口部151bの短辺方向の幅よりも少し短く、所定のクリアランスが設けられる。なお、このようなクリアランスを設けない構成とし、上記下側コーン41が上記開口部151bを通るときに、上記可動凸部43が上記開口縦面部Aに接触するようにしてもよい。
【0038】
上記コンテナ固定装置1がさらに引き上げられると、
図10に示すように、上記固定凸部42の上記第1傾斜面420が上記奥角部Dに接触するため、この第1傾斜面420の傾斜に沿って斜め上方(
図10では右上方)に持ち上がる。また、この動作によって、上記可動凸部43は反時計回りに回動する。
【0039】
上記コンテナ固定装置1がさらに引き上げられると、
図11に示すように、上記凸頂部422が上記開口縦面部Aに接触しながら移動する。上記凸頂部422の先端から、当該凸頂部422とは反対側の上記下側コーン41の縦面部までの長さ(幅)は、上記開口部151bの短辺方向の幅よりも少し短く、所定のクリアランスが設けられる。
【0040】
上記の構成であれば、上記フランジ部2が上記コーナ金具101aの外面部Cに接触し、且つ、上記可動凸部43が回動動作の途中に上記開口部151bの奥側に位置する奥角部Dに接触した状態でロック状態が形成されるので、上記可動凸部43と上記溝穴151との間の隙間を小さくできる。これにより、多くのコンテナを積み上げることが可能になり、コンテナ輸送費を低減できる等の利点が得られる。一方、上記ロック状態において、上記可動凸部43は、回動動作の途中状態であるので、当該コンテナ固定装置1を上記コーナ金具101aから離脱させる動作により、上記可動凸部43が上記奥角部Dに接触しつつさらに回動することができる。上記離脱時の上記可動凸部43の回動により、上記コーナ金具101aと上記コンテナ固定装置1とが斜め方向にずれながら互いに離間するのが許容され、上記下側支柱部4および上記可動凸部43が上記開口部151bを通過するための初期段階を形成することができる。すなわち、コンテナを引き上げる操作によって、上記コンテナ固定装置1を上記コーナ金具101aから自動的に離脱させることができる。
【0041】
また、上記支柱部側テーパ部4aが形成されていると、当該コンテナ固定装置1を上記コーナ金具101aから離脱させるときに、上記固定凸部42側の入口角部Bの傾斜に沿って上記支柱部側テーパ部4aが斜め方向に案内されるので、上記離脱が円滑に行われる。
【0042】
また、上記傾斜部位31aが上記コーナ金具の奥角部Dに圧接される構成であると、上記上側嵌合部(第2嵌合部)31と上記溝穴150との間の隙間を小さくできるので、多くのコンテナを積み上げることが可能になり、コンテナ輸送費を低減できる等の利点が得られる。
【0043】
次に他の実施形態のコンテナ固定装置1に付いて説明していく。このコンテナ固定装置1は、
図12、
図13および
図14に示すように、上記ロック状態の上記可動凸部43を保持するストッパ5を備えている。上記ストッパ5は、
図15(A)および
図15(B)にも示すように、移動部材51と、第2弾性部材であるコイルバネ52と、接続部材であるワイヤ53と、操作ハンドル54とを備える。また、上記フランジ部2の側に位置する上記可動凸部43の端部には、
図16および
図17にも示すように、切欠き43cが形成されている。
【0044】
上記移動部材51は、円筒状の本体部と、この本体部の一部の外周側に形成されたストッパ片51aとを備えており、上記本体部が上記フランジ部2内に形成されたガイド部に案内されることで、上記移動部材51が上記水平軸43aと平行な方向にスライドする。このスライドにより、上記ストッパ片51aは、上記切欠き43cが形成されている箇所と、上記可動凸部43に接触する箇所とに選択的に位置することができる。なお、上記移動部材51の本体部の端部は図示しない止め部材に当たるため、上記ストッパ片51aが上記切欠き43cの箇所を越えてスライドすることはない。
【0045】
上記移動部材51が第1の位置にスライドしたときには、
図18(A)に示すように、上記ストッパ片51aは上記可動凸部43に接触できる状態となり、当該可動凸部43の回動を阻止する。一方、上記移動部材51が第2の位置にスライドしたときには、
図18(B)に示すように、上記ストッパ片51aが上記切欠き43cの形成箇所に位置し、上記可動凸部43の回動を許容する。
【0046】
上記コイルバネ52は、上記フランジ部2内に設けられており、一端側を上記フランジ部2の壁部に接触させ、他端側を上記移動部材51の一端側に接触させており、上記移動部材51を第2の位置方向に付勢して上記ストッパ片51aを上記切欠き43cの形成箇所に位置させる。また、上記ワイヤ53は、上記コイルバネ52内を通り、上記移動部材51と上記操作ハンドル54とを連結する。
【0047】
上記操作ハンドル54は、上記フランジ部2の外側に設けられており、作業者は上記操作ハンドル54を上記コイルバネ52の付勢に抗して引くことで、上記移動部材51を第1の位置にスライドさせることができる。また、作業者が上記操作ハンドル54を離すと、上記コイルバネ52のバネ力により、上記移動部材51が第2の位置に戻される。
【0048】
上記操作ハンドル54は、上記フランジ部2に形成されている水平突出部の先端側に位置するように設けられており、作業者は積み上げられたコンテナ間の極力外側において上記操作ハンドル54を操作することができる。また、上記水平突出部の先端側には上記操作ハンドル54の凸部を収容できる凹部が形成されており、上記凸部を上記凹部に収容させておくことにより、上記操作ハンドル54が安定保持される。
【0049】
上記フランジ部2に形成されている上記水平突出部の先端側には、上記移動部材51を第1の位置にスライドさせた状態の上記操作ハンドル54を係止する係止部2aが形成されている。この係止部2aは水平突出部の先端側の下面側で斜めに形成された傾斜面からなっており、上記凹部から引っ張り出した上記操作ハンドル54の上記凸部の先端を接触させることができる。上記コイルバネ52のバネ力は、上記凸部の先端を上記傾斜面に押し当てる方向に引く力となるため、上記操作ハンドル54が上記係止部2aによって係止されることになる。もちろん、上記係止部2aはこのような傾斜形状のものに限定されない。
【0050】
次に他の実施形態のコンテナ固定装置1に付いて説明していく。このコンテナ固定装置1は、上記上側支柱部3を備えず、上記第1嵌合部(下側コーン)41を上向きにして用いており、
図19に示すように、上記フランジ部2がトレーラー等の荷台500に固定できるように構成されている。この固定は、例えばボルト501によって行われているが、これに限らない。また、例えば、上記コンテナ固定装置1を上記荷台500に着脱自在に設けてもよい。例えば、上記コンテナ固定装置1を本体部とソケット部とに分離構成し、上記ソケット部を荷台500に固定する。また、上記フランジ部2がトレーラー等の荷台500に固定される一形態として、上記コンテナ固定装置1を本体部と収容部とにより構成し、上記本体部を上記収容部に収容できる構造としてもよい。
【0051】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。