特許第6343270号(P6343270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343270
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】オニウム化合物およびその合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 303/32 20060101AFI20180604BHJP
   C07D 335/16 20060101ALI20180604BHJP
   C07C 309/12 20060101ALI20180604BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20180604BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   C07C303/32
   C07D335/16
   C07C309/12
   G03F7/004 503A
   G03F7/039 601
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-209987(P2015-209987)
(22)【出願日】2015年10月26日
(62)【分割の表示】特願2013-190009(P2013-190009)の分割
【原出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2016-106073(P2016-106073A)
(43)【公開日】2016年6月16日
【審査請求日】2015年10月26日
(31)【優先権主張番号】61/701,612
(32)【優先日】2012年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.ラボーム
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6144164(JP,B2)
【文献】 特開2012−167084(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0231392(US,A1)
【文献】 国際公開第2003/074509(WO,A1)
【文献】 特許第5739497(JP,B2)
【文献】 国際公開第2011/070947(WO,A1)
【文献】 特開2009−221195(JP,A)
【文献】 特開2010−044253(JP,A)
【文献】 特開2012−031145(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/093471(WO,A1)
【文献】 特開2010−276969(JP,A)
【文献】 特開2001−183832(JP,A)
【文献】 Umezawa, Hirohito et al.,Synthesis and crystal structures of fluorinated chromophores for second-order nonlinear optics,Bull. Chem. Soc. Jpn,2007年,vol.80 no.7,pp.1413-1417
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
G03F
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スルホネート成分が電子求引性基を含み、該電子求引性基が1以上のハロゲン原子を含、当該スルホネート成分が
次の一般式(I):
【化1】
(式中、RおよびRは、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、場合によって置換されているアルキル、および場合によって置換されている炭素環式アリールから選択され;
はRおよびRと同じかまたは異なっており、かつ結合部分、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、場合によって置換されているアルキル、および場合によって置換されている炭素環式アリールから選択され、
、RおよびRの少なくとも1つはハロゲン化アルキルである)のものであるスルホネート成分と、下記一般式:
【化2】
(式中、Xは、C=O、S(O)、SO、C(=O)O、C(=O)NH、C(=O)−C(=O)−、または−O−であり;Rは、場合によって置換されている炭素環式アリールまたは場合によって置換されているアルキルである)で表されるカチオン成分を含むオニウム塩化合物を提供し、および
(b)前記オニウム塩化合物をヨウ化物塩で処理してオニウム化合物の異なる塩を形成する
ことを含む、オニウム塩化合物を製造する方法。
【請求項2】
(i)前記オニウム塩化合物がヨウ化物塩で処理されて、オニウム化合物のヨウ化物塩を形成し、および(ii)前記オニウム化合物の前記ヨウ化物塩がさらに処理されて、前記オニウム化合物の異なる塩を提供する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の前記オニウム化合物の前記異なる塩とポリマーとを混合してフォトレジスト組成物を提供することを含む、フォトレジスト組成物を製造する方法。
【請求項4】
(i)請求項に従って製造されたフォトレジスト組成物のコーティング層を基体表面上に適用し、(ii)前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線に露光し、並びに(iii)前記露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供することを含む、フォトリソグラフィ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオニウム塩化合物およびかかる化合物の合成のための方法に関する。本発明のオニウム化合物は、フォトレジスト組成物の酸発生剤成分として有用である。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、像を基体に転写するための感光性の膜である。それらはネガまたはポジの像を形成する。フォトレジストを基体上にコーティングした後、被膜をパターン化されたフォトマスクを通して紫外光などの活性化エネルギー源に露光して、フォトレジスト被膜に潜像を形成する。フォトマスクは、活性化放射線に対して不透明の領域と透明の領域を有し、下にある基体に転写したい像を画定する。レリーフ像は、レジスト被膜の潜像パターンの現像によって得られる。
【0003】
フォトレジストは、一般に樹脂成分および酸発生剤化合物成分を含有する。オニウム塩化合物がこれまでフォトレジスト酸発生剤成分として利用されている。米国特許第6,929,896号;米国特許出願公開第2010/0143843号;および米国特許出願公開第2012/0015297号を参照されたい。
【0004】
既知のフォトレジストは、多くの既存の商業的用途に十分な解像度および寸法を有するフィーチャを提供することができる。しかし、多くの他の用途のために、サブミクロンの寸法の高解像度像を提供することのできる新しいフォトレジストが必要とされている。
【0005】
機能特性の性能を改良するために、フォトレジスト組成物の構成を変える様々な試みがなされてきた。数ある中で、フォトレジスト組成物で用いるための多様な光活性化合物がこれまでに報告されている。米国特許出願公開第20070224540号および欧州特許出願公開第1906241号を参照されたい。極紫外線(EUV)およびeビーム像形成技術も用いられている。米国特許第7,459,260号を参照されたい。EUVは、一般に1nm〜40nmの間の短い波長の照射を用い、13.5nmの放射線がしばしば用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,929,896号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0143843号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0015297号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0224540号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1906241号明細書
【特許文献6】米国特許第7,459,260号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フォトレジスト光活性成分への改良されたルートを含む、改良されたフォトレジスト組成物を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、今回、オニウム塩化合物の合成のための新しい方法を見出した。また、本発明者らは新しいオニウム塩酸発生剤化合物およびかかる酸発生剤を含むフォトレジスト組成物も提供する。
【0009】
数ある中でも、本発明の方法は、オニウム塩化合物の強酸アニオン成分を簡便に変換して、異なるアニオン成分を含むオニウム化合物を提供することができる。
【0010】
より具体的には、一態様では、(a)スルホネート成分が電子求引性基を含む、当該スルホネート成分を含むオニウム塩化合物を提供し;および(b)前記オニウム塩化合物をハロゲン化物塩で処理してオニウム化合物の異なる塩を形成することを含むオニウム塩化合物を製造する方法が提供される。
【0011】
かかる方法において、好ましくはオニウム化合物のスルホネートアニオン成分は、SO部分に対してアルファの炭素原子上に1以上の電子求引性基を含む。適した電子求引性基としては、1以上のハロゲン原子(特にフルオロ);シアノ;ニトロ;およびアルキル、例えば1以上のハロゲン(特にフルオロ)、ニトロおよび/またはシアノで置換されているC1−20アルキルなどが挙げられる。
【0012】
本発明の方法において、オニウム塩化合物は、様々なハロゲン化物塩、例えばBr、ClおよびI塩などで処理されることができ、ヨウ化物塩が好ましい。
【0013】
オニウム塩は、オニウム塩化合物のアニオン成分をハロゲン化物塩のハロゲン化物アニオンで置換すること適切に許容し、それによってオニウム化合物の異なる塩を形成するために、ハロゲン化物塩を用いて多様な方法で処理することができる。つまり、オニウム化合物とは異なる塩は、提供されるオニウム塩化合物のアニオン成分(例えば、トリフレート(CFSO))とは異なるアニオン成分(例えば、Iなどのハロゲン化物イオン)を有することになる。
【0014】
適した一処置方法では、オニウム塩化合物は、ハロゲン化物塩を含む流体溶液で洗浄される。かかる洗浄は、多様な方法で、例えばオニウム塩化合物の有機溶媒溶液とハロゲン化物塩を含む水溶液(例えば、ハロゲン化物塩の1、2または3M水溶液)を、オニウム化合物の異なる塩を形成するのに十分な時間および条件(例えば攪拌または渦攪拌)で混合することにより、適切に実行されることができる。
【0015】
また、オニウム化合物の望ましい異なる塩は、ハロゲン化物塩処理の後のさらなる処理によっても形成されうる。例として、オニウム化合物の形成されたハロゲン化物塩は、さらなるアニオン置換反応を受けて、1)ハロゲン化物塩での処理のために提供される第一のオニウム塩化合物、および2)この第一のオニウム塩化合物から形成されるハロゲン化物塩、の双方と異なるオニウム塩化合物を提供することができる。言い換えれば、提供されたオニウム化合物から形成されたハロゲン化物塩は、異なるアニオン成分を含む他のオニウム塩化合物の合成のための中間体として機能しうる。
【0016】
本発明の方法には、スルホニウムカチオン成分ならびにヨードニウムカチオン成分を有するオニウム化合物を含む多様なオニウム化合物の処理および形成が含まれ得る。適したスルホニウムカチオン成分には、スルホニウム原子(S)が、非芳香族(例えば、場合によって置換されているアルキル)および芳香族(例えば、場合によって置換されているフェニルまたはナフチル)、環式スルホニウム部分(例えば、炭素環原子および少なくとも1つのS環メンバーを含む芳香族もしくは非芳香族の5員もしくは6員環)、および/またはチオキサントン部分によって置換されていてよい、非環式スルホニウム部分が含まれ得る。
【0017】
本発明の酸発生剤のさらなる適したカチオン成分としては、次式のものが挙げられうる:
【化1】
式中、Xは、C=O、S(O)、SO、C(=O)O、C(=O)NH、C(=O)−C(=O)−、または−O−であり;Rは、非水素置換基、例えば、フェニルをはじめとする場合によって置換されている炭素環式アリール、および、場合によって置換されているC1−20アルキルをはじめとする場合によって置換されているアルキルなどである。
【0018】
フォトレジスト組成物およびフォトレジスト組成物を製造するための方法も提供される。本発明の特に好ましいフォトレジストは、像形成有効量の、本明細書に開示される1種以上のオニウム塩化合物および適したポリマー成分を含むことができる。また、本発明のフォトレジストは、異なるオニウム塩化合物の混合物、典型的には2または3種の異なるオニウム塩化合物の混合物、より典型的には、合計2種類の異なるオニウム塩化合物からなる混合物を含んでいてもよい。
【0019】
好ましい態様では、本発明のオニウム塩化合物およびフォトレジストは、EUV像形成に使用される。本明細書に開示される1以上のオニウム塩化合物を含むフォトレジストは、他の放射線源、例えば193nmおよびeビーム放射線などによって像形成させられることもできる。
【0020】
本発明のフォトレジスト組成物のレリーフ像(例えば、サブ50nmまたはサブ20nmの寸法のパターン形成されたライン)を形成するための方法も提供される。本発明のフォトレジスト組成物をその上にコーティングしたマイクロエレクトロニクスウエハなどの基体も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明者らは、従来のオニウム塩合成は特定の制限を有しうること、例えば、トリフレートが別の望まれるアニオン成分と置き換わることが困難である場合のあるトリフレート塩オニウム酸発生剤を生じさせることを見いだした。上述のように、従来のアプローチのかかる欠点は、希望通りにオニウム塩化合物の強酸アニオン成分を効果的に置き換えることができる本発明の方法によって対処されうる。
【0022】
より具体的には、本発明者らは、ここで、(a)スルホネート成分が電子求引性基を含む、当該スルホネート成分を含むオニウム塩化合物を提供し;および(b)前記オニウム塩化合物をハロゲン化物塩で処理してオニウム化合物の異なる塩を形成する;ことを含むオニウム塩化合物を製造する新しい方法を提供する。
【0023】
特定の態様では、準備されるオニウム化合物は、トリフレート塩(すなわち、CFSOアニオン成分)であり、ヨウ化物塩、例えばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムまたはヨウ化アンモニウムなどで処理される。オニウム化合物の適したハロゲン化物塩処理には、ヨウ化物塩を含む流体溶液との接触が含まれ得る。好ましくは、オニウム塩は、例えばハロゲン化物塩の水溶液で複数回(例えば、2、3、4、5回またはそれより多い回数)洗浄することなどによって接触されるが、ハロゲン化物塩での一回の洗浄または他の一回の曝露も使用されうる。上述のように、様々な濃度のハロゲン化物塩溶液(例えばハロゲン化物塩の1、2、3または4M水溶液)を、適切に用いればよい。オニウム化合物のハロゲン化物塩による処理は、比較的穏やかな条件下で、例えば室温(25℃)で、適切に実施されうる。
【0024】
本発明者らは、かかるハロゲン化物アニオン処理が、強酸、例えばトリフレートまたはオニウムカチオン成分由来の他の活性化スルホネートなどを置き換えることができ、異なるオニウム化合物、すなわち、異なる(例えば、提供されたオニウム化合物のトリフレートアニオンとは異なる)アニオン成分と複合体化したオニウムカチオン成分の形成を可能にすることを見出した。
【0025】
本発明者らはまた、ヨウ化物塩を使用することが、オニウム塩化合物の強酸アニオン成分の置換について評価される他の塩と比較して、向上した結果を提供できることを見出した。評価される他の塩には、塩化物、臭化物および酢酸塩が含まれた。よって、本発明者らは、トリフレート塩スルホニウム化合物のヨウ化物塩処理が結果として、塩化物、臭化物および酢酸塩による同等の処理と比較して、トリフレートアニオンの置換を向上させたことを見出した。向上した置換は、比較的低減された回数の塩洗浄サイクルを使用する間での、異なるスルホニウム塩(すなわち、トリフレート塩とは異なる)のより高い収率を含んでいた。
【0026】
上述のように、本発明の方法において、提供されるオニウム化合物の好ましいスルホネートアニオン成分は、1以上の電子求引性基を含むことができる。適した電子求引性基としては、1以上のハロゲン原子;シアノ;ニトロ;並びにアルキル、例えば1以上のハロゲン(特にフルオロ)、ニトロおよび/またはシアノで置換されているC1−20アルキルなどが挙げられる。ハロゲン、特にフルオロおよび1以上のハロゲン(特にフルオロ)で置換されているC1−20アルキルが好ましい場合が多い。提供されるオニウム化合物の好ましいスルホネート成分は、トリフレート部分ならびに他のフッ素化アルキルスルホネート基、例えば、1〜20個の炭素および1〜20個またはそれより多いフッ素原子を有するアルキルスルホネートを含むことができ、例えば、過フッ素化アルキルスルホネート基が挙げられる。
【0027】
好ましい態様では、提供されるオニウム化合物のスルホネートアニオン成分は、次の一般式(I)のものである:
【化2】
式中、RおよびRは、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、場合によって置換されているアルキル、および場合によって置換されている炭素環式アリールから選択され;Rは、RおよびRと同じかまたは異なっており、かつ結合(linker)部分、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、場合によって置換されているアルキル、および場合によって置換されている炭素環式アリールから選択され、並びにR、RおよびRの少なくとも1つは電子求引性基である。好ましい実施形態では、R、RおよびRの1以上は、ハロゲンまたはハロゲン化アルキル、例えばフッ素およびフッ素化アルキル、例えば1〜20個の炭素および1〜20個、またはそれより多いフッ素原子を有しており、例えば、過フッ素化アルキルが挙げられる。
【0028】
さらなる好ましい態様では、提供されるオニウム化合物のアニオン成分は、次の一般式(II)のスルホネートであってよい:
【化3】
式(II)中、各Rは同じかまたは異なっており、かつ電子求引性基、例えばハロゲン、シアノ、ニトロ、または置換アルキルなどであり;あるいは他の、場合によって置換されているアルキルまたは場合によって置換されている炭素環式アリールであり、少なくとも1つのRは電子求引部分であり;並びに、mは1〜5の整数である。好ましい実施形態では、1以上のR基は、ハロゲンまたはハロゲン化アルキル、例えばフッ素およびフッ素化アルキル、例えば1〜20個の炭素および1〜20個、またはそれより多いフッ素原子を有しており、例えば、過フッ素化アルキルが挙げられる。
【0029】
また、本発明は、本明細書に開示される方法によって適切に得ることのできるオニウム塩化合物を提供する。
【0030】
より具体的に、
(a)スルホネート成分が電子求引性基を含む、当該スルホネート成分を含むオニウム塩化合物を提供し;および
(b)前記オニウム塩化合物をハロゲン化物塩で処理してオニウム化合物の異なる塩を形成すること
を含む方法によって得られうるヨウ化物塩オニウム化合物が提供される。
また、
(a)スルホネート成分が電子求引性基を含む、当該スルホネート成分を含むオニウム塩を提供し;および
(b)前記スルホネート塩をハロゲン化物塩で処理してオニウム化合物のハロゲン化物塩を形成し;および
(c)前記オニウム化合物の前記ハロゲン化物塩を処理して前記オニウム化合物の異なる塩を形成すること
を含む方法によって得られうるさらなるオニウム塩化合物も提供される。
【0031】
フォトレジスト組成物
上述のように、本明細書に開示されるオニウム塩化合物は、ポジ型およびネガ型の両方の化学増幅型レジスト組成物をはじめとする、フォトレジスト組成物中の放射線感受性成分として有用である。
【0032】
本発明のフォトレジストは、一般に、ポリマー、およびリソグラフィ処理の際の酸発生剤として機能する、本明細書に開示される1種以上のオニウム塩化合物を含む。好ましくは、ポリマーは、アルカリ水性現像性をレジスト組成物に付与する官能基を有する。例えば、極性官能基、例えば水酸基またはカルボキシレート基など、あるいは、リソグラフィ処理でかかる極性部分を生じさせることのできる酸不安定基を含むポリマーが好ましい。好ましくは、前記ポリマーは、レジストをアルカリ水溶液で現像可能にするために十分な量でレジスト組成物に使用される。
【0033】
本発明のオニウム塩化合物はまた、芳香族基を含有する繰り返し単位、例えば、フェノールをはじめとする場合によって置換されているフェニル、場合によって置換されているナフチル、および場合によって置換されているアントラセンなどを含むポリマーとともに適切に使用される。場合によって置換されているフェニル(例えば、フェノール)を含有するポリマーが、EUVおよびeビーム放射線によって像形成されるものをはじめとする、多くのレジスト系に特に適している。ポジ型レジストのためには、ポリマーは酸不安定基を含む1以上の繰り返し単位も含有することが好ましい。例えば、場合によって置換されているフェニル基または他の芳香族基を含有するポリマーの場合、ポリマーは、1以上の酸不安定部分、例えば酸に不安定なエステル(例えば、アクリル酸t−ブチルまたはメタクリル酸t−ブチル)を含むアクリレートもしくはメタクリレートモノマーの重合により形成されるポリマーなどを含有する繰り返し単位を含むことができる。そのようなモノマーは、芳香族基(1種または複数種)、例えば場合によってフェニル、例えばスチレンまたはビニルフェノールモノマーなどを含む1種以上の他のモノマーと共重合されうる。
【0034】
かかるポリマーの形成に使用される好ましいモノマーとしては:式(V)を有する酸脱保護性モノマー、式(VI)のラクトン含有モノマー、アルカリ現像液中の溶解速度を調節するための式(VII)の塩基可溶性モノマー、および式(VIII)の酸発生モノマー、または前述のモノマーの少なくとも1種を含む組合せが挙げられる:
【化4】
式中、各Rは、独立に、H、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルである。式(V)の酸脱保護性モノマーにおいて、Rは、独立に、C1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキルであり、各Rは互いに結合していないか、または少なくとも1つのRが隣のRに結合して環式構造を形成している。式(VI)のラクトン含有モノマーにおいて、Lは、単環式、多環式、または縮合多環式C4−20ラクトン含有基である。式(VII)の塩基可溶性モノマーにおいて、Wは、12以下のpKaを有する、ハロゲン化されているかまたはハロゲン化されていない、芳香族または非芳香族のC2−50ヒドロキシル含有有機基である。式(VIII)の酸発生モノマーにおいて、Qは、エステルを含有するかまたはエステルを含有せず、およびフッ素化されているかまたはフッ素化されておらず、かつC1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキル基であり、Aは、エステルを含有するかまたはエステルを含有せず、およびフッ素化されているかまたはフッ素化されておらず、かつC1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキルであり、Zは、カルボキシラート、スルホネート、スルホンアミドのアニオン、またはスルホンイミドのアニオンを含むアニオン性部分であり、Gは、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0035】
例となる酸脱保護性モノマーとしては、限定されるものではないが:
【化5】
または前述のものの少なくとも1種を含む組合せが挙げられ、式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルである。
【0036】
適したラクトンモノマーは、次式(IX)のものであってよく:
【化6】
式中、RはH、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルであり、RはC1−10アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、並びにwは0〜5の整数である。式(IX)において、Rは、ラクトン環に直接結合しているか、またはラクトン環および/または1以上のR基に共通に結合し、並びにエステル部分はラクトン環に直接的にまたはRを介して間接的に結合している。
【0037】
例となるラクトン含有モノマーとしては:
【化7】
または前述のモノマーの少なくとも1種を含む組合せが挙げられ、式中、Rは、H、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルである。
【0038】
適した塩基可溶性モノマーは、次式(X)のものであってよく:
【化8】
式中、各Rは、独立に、H、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルであり、Aは、ヒドロキシルを含有するかまたはヒドロキシルを含有しない、エステルを含有するかまたはエステルを含有しない、フッ素化されているかまたはフッ素化されていない、C1−20アルキレン、C3−20シクロアルキレン、C6−20アリーレン、またはC7−20アラルキレンであり、並びにxは0〜4の整数であり、ここで、xが0である場合、Aはヒドロキシル含有C6−20アリーレンである。
【0039】
例となる塩基可溶性モノマーとしては次の構造を有するもの:
【化9】
または前述のものの少なくとも1種を含む組合せが挙げられ、式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルである。
【0040】
好ましい酸発生モノマーとしては、式(XI)または(XII)のものが挙げられ:
【化10】
式中、各Rは独立に、H、F、−CN、C1−6アルキルまたはC1−6フルオロアルキルであり、Aはフッ素置換C1−30アルキレン基、フッ素置換C3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C6−30アリーレン基、またはフッ素置換C7−30アルキレン−アリーレン基であり、並びにGはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0041】
好ましくは、式(XI)および(XII)において、Aは、−[(C(RC(=O)O]−C((R(CF−基、またはo−、m−またはp−置換−C−基であり、この際、各RおよびRは、各々独立に、H、F、C1−6フルオロアルキル、またはC1−6アルキルであり、bは0または1であり、xは1〜10の整数であり、yおよびzは独立に0〜10の整数であり、並びにy+zの合計は少なくとも1である。
【0042】
例となる好ましい酸発生モノマーとしては:
【化11】
または前述のものの少なくとも1つを含む組合せが挙げられ、式中、各Rは独立に、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルであり、kは適切に、0〜5の整数であり;並びに、Gはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0043】
好ましい酸発生するモノマーはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンを含むことができる。好ましくは、式(IV)において、Gは、式(XIII)のものである:
【化12】
式中、Xは、SまたはIであり、各Rは、ハロゲン化されているかまたはハロゲン化されておらず、かつ独立に、C1−30アルキル基;多環式もしくは単環式C3−30シクロアルキル基;多環式もしくは単環式C4−30アリール基;または前述のものの少なくとも1つを含む組合せであり、ここで、XがSである場合には、R基の1つは、場合によって単結合によって隣の1つのR基に結合し、かつaは2または3であり、ここで、XがIである場合には、aは2であり、あるいはXがSである場合には、aは3である。
【0044】
例となる酸発生モノマーには、次式を有するものが挙げられる:
【化13】
式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルである。
【0045】
本発明のポジ型化学増幅型フォトレジストで使用するための酸不安定デブロッキング基を有する適したポリマーは、欧州特許出願公開第0829766A2号(アセタールおよびケタールポリマーを含むポリマー)および欧州特許出願公開第0783136A2号(1)スチレン;2)ヒドロキシスチレン;および3)酸不安定基、特にアルキルアクリレート酸不安定基、例えば重合されたt−ブチルメタクリレートおよびメチルアダマンチルメタクリレートなどの単位を含むターポリマーおよび他のコポリマー)にも開示されている。
【0046】
本発明のフォトレジストに使用するためのポリマーは、適切には、分子量および多分散度の点で広範囲に変化してよい。適したポリマーとしては、約1,000〜約50,000、より典型的に約2,000〜約30,000のMw、約3以下の分子量分布、より典型的には約2以下の分子量分布を有するものが挙げられる。
【0047】
本発明の好ましいネガ型組成物は、酸、および本発明の光活性成分への曝露によって硬化するか、架橋するかまたは固化する材料の混合物を含む。好ましいネガ型組成物は、ポリマーバインダー、例えばフェノール系または非芳香族ポリマーなど、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。かかる組成物およびその使用は、欧州特許出願公開第0164248号およびThackerayらに対する米国特許第5,128,232号に開示されている。ポリマーバインダー成分としての使用に好ましいフェノール系ポリマーとしては、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば上に考察されるものなどが挙げられる。好ましい架橋剤としては、アミン系材料が挙げられ、それには、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン系材料および尿素系材料が含まれる。メラミン−ホルムアルデヒドポリマーが多くの場合特に適している。かかる架橋剤は、市販されており、例えば、メラミンポリマー、グルコールウリルポリマー、尿素系ポリマーおよびベンゾグアナミンポリマー、例えばCytecにより、Cymel 301、303、1170、1171、1172、1123および1125ならびにBeetle 60、65および80の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0048】
193nmでの像形成のために、適したポリマー成分は、芳香族含有量が実質的になくてよい、例えばフェニルまたは他の芳香族基を含有するレジストに使用されるポリマーの全繰り返し単位の20、10、5または1パーセント未満であってよい。193nm放射線による像形成に適した典型的なフォトレジスト組成物については、米国特許第7208261号および同第7968268号を参照されたい。
【0049】
本発明のフォトレジストは、他の材料も含むことができる。例えば、他の任意成分の添加剤としては、化学線およびコントラスト染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、速度向上剤、増感剤、光破壊性塩基などが挙げられる。かかる任意成分の添加剤は、一般にフォトレジスト組成物中に半分未満の濃度で存在する。
【0050】
塩基材料、好ましくは光分解性カチオンのカルボン酸塩またはスルホン酸塩を含めることによって、酸分解性基からの酸の中和のための機構がもたらされ、放射線によって発生した酸の拡散を制限し、それによってフォトレジストのコントラストが改善される。
【0051】
光破壊性塩基には、弱酸(pKa>2)、例えば、C1−20カルボン酸などのアニオンと対になった、光分解性カチオン、好ましくはPAGを製造するために有用な光分解性カチオンが挙げられる。例となるかかるカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、および他のかかるカルボン酸が挙げられる。
【0052】
代替的にまたは追加的に、他の添加剤には、非光破壊性塩基であるクエンチャー、例えば、水酸化物、カルボン酸塩、アミン、イミン、およびアミドに基づくものなどが含められてよい。好ましくは、かかるクエンチャーには、C1−30有機アミン、イミン、もしくはアミドが含まれ、またはそれは、強塩基(例えば、ヒドロキシドまたはアルコキシド)または弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1−30第四級アンモニウム塩であってよい。典型的には、クエンチャーとしては、アミン、例えばトリプロピルアミン、ドデシルアミン、1,1’,1”,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールなど;アリールアミン、例えばジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、および2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トレーガー塩基、ヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)もしくはジアザビシクロノネン(DBN)、または、第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性クエンチャー、例えばテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)または乳酸テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0053】
界面活性剤にはフッ素化および非フッ素化界面活性剤が含まれ、非イオン性であるものが好ましい。例となるフッ素化非イオン性界面活性剤としては、パーフルオロC界面活性剤、例えば、3Mコーポレーションより入手可能なFC−4430およびFC−4432界面活性剤など;ならびにフルオロジオール、例えば、Omnova製POLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656、およびPF−6520フルオロ界面活性剤などが挙げられる。
【0054】
フォトレジストには、フォトレジストで用いられる成分の溶解、分配、およびコーティングに一般的に適した溶媒がさらに含まれる。例となる溶媒としては、アニソール、アルコール、例えば、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、および1−エトキシ−2プロパノールなど、エステル、例えば、酢酸n−ブチル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、メトキシエトキシプロピオネート、エトキシエトキシプロピオネートなど、ケトン、例えば、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンなど、ならびに前述の溶媒の少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。
【0055】
かかるフォトレジストは、固形分の全重量に基づいて50〜99重量%、特に55〜95重量%、より特に60〜90重量%、さらにより特に65〜90重量%の量でポリマー成分を含むことができる。光破壊性塩基は、フォトレジスト中に、固形分の全重量に基づいて0.01〜5重量%、特に0.1〜4重量%、さらにより特に0.2〜3重量%の量で存在していてよい。界面活性剤は、固形分の全重量に基づいて0.01〜5重量%、特に0.1〜4重量%、さらにより特に0.2〜3重量%の量で含まれていてよい。クエンチャーは、比較的少量で、例えば、固形分の全重量に基づいて0.03〜5重量%で含められてよい。他の添加剤は、固形分の全重量に基づいて30重量%以下、特に20%以下、またはより特に10%以下の量で含まれていてよい。フォトレジスト組成物の全固形分含量は、固形分および溶媒の全重量に基づいて、0.5〜50重量%、特に1〜45重量%、より特に2〜40重量%、さらにより特に5〜30重量%であってよい。酸発生剤化合物(1種または複数種)は、レジストのコーティング層に潜像を生じさせうるのに十分な量で存在しなければならない。より具体的には、1種以上のオニウム化合物は、レジストの全固形分の約1〜50重量パーセントの量で適切に存在する。これらの固形分には、溶媒以外の、ポリマー、光破壊性塩基、クエンチャー、界面活性剤、オニウム塩化合物、および任意成分の添加剤が含まれることが理解される。
【0056】
コーティングされた基体は、オニウム塩化合物(1種または複数種)を含有するフォトレジストから形成されることができ、このオニウム塩化合物は、レジストおよびオニウム塩化合物(1種または複数種)のコーティング層での潜像の形成を可能にするのに十分な量で存在するべきである。かかるコーティングされた基体は(a)その表面上にパターン形成される1以上の層を有する基体;および(b)前記パターン形成される1以上の層上の、酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物の層を含む。EUVまたはeビーム像形成のためには、フォトレジストは、比較的高い含量のオニウム塩化合物(1種または複数種)を適切に有してよく、例えば、1以上のオニウム塩化合物がレジストの全固形分の5〜10〜約50重量パーセントを占める。一般に、より少量の光活性成分が化学増幅型レジストに適しているであろう。
【0057】
本発明のフォトレジストは、本発明の1種以上の塩化合物が、かかるフォトレジストの配合物中に使用される従来の光活性化合物と置き換えられること以外は、既知の手順に従って通常製造される。本発明のフォトレジストは、既知の手順に従って使用されうる。
【0058】
基体はどんな寸法および形状であってもよく、好ましくはフォトリソグラフィに有用なもの、例えば、シリコン、二酸化ケイ素、シリコン・オン・インシュレーター(SOI)、ストレインド(strained)シリコン、ガリウムヒ素、コーティングされた基体、例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、超薄ゲート酸化物、例えば、酸化ハフニウムなどのでコーティングされたもの、金属または金属コーティングされた基体、例えば、チタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、これらの合金でコーティングされたもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、本明細書中の基体の表面は、例えば半導体製造用基体の上の1以上のゲートレベル層または他の限界寸法層をはじめとする、パターン形成される限界寸法層を含む。かかる基体には、好ましくは、シリコン、SOI、ストレインドシリコン、および他のかかる基体材料が挙げられることができ、例えば、20cm、30cm、もしくはそれよりも大きい直径などの寸法、またはウエハの製造に有用な他の寸法を有する円形のウエハとして形成されうる。
【0059】
さらに、電子デバイスを形成する方法は、(a)フォトレジスト組成物の層を基体の表面上に適用すること;(b)前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様で露光すること;および(c)前記露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供することを含む。
【0060】
適用は、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ドクターブレード法などをはじめとする、任意の適した方法によって達成されうる。フォトレジストの層の適用は、好ましくはコーティングトラックを用いて溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され、そこでフォトレジストは回転しているウエハ上に分配される。分配の間、ウエハは、4,000rpmまでの速度で、好ましくは約500〜3,000rpm、より好ましくは1,000〜2,500rpmの速度で回転させられうる。コーティングされたウエハを回転させて溶媒を除去し、ホットプレート上でベークして残留溶媒および自由体積を膜から除去してそれを均一に稠密にする。
【0061】
次いでパターン様露光は、ステッパのような露光ツールを用いて行われ、ここで膜はパターンマスクを通して照射され、それによってパターン様に露光される。この方法は、好ましくは、極紫外線(EUV)またはeビーム放射線をはじめとする高解像度が可能な波長にて活性化放射線を発生させる先進的な露光ツールを使用する。他の放射線源、例えば193nm放射線も使用されうる。活性化放射線を用いる露光は、露光された領域にてオニウム塩化合物(1種または複数種)を分解し、そして酸および分解副生成物を生じ、次いで酸は、ポリマー中の化学的変化をもたらすことが理解される(酸感受性基を脱ブロックして塩基可溶性基を生じさせるか、あるいは露光された領域において架橋反応を触媒する)。こうした露光ツールの解像度は30nm未満でありうる。
【0062】
露光されたフォトレジスト層の現像は、次いで膜の露光された部分を選択的に除去できる好適な現像剤で、露光された層を処理して(フォトレジストがポジ型トーンである場合)または膜の露光されていない部分を除去して(フォトレジストが露光された領域において架橋性である、すなわちネガ型トーン)達成される。好ましくはフォトレジストは、酸感受性(脱保護性)基を有するポリマーに基づくポジ型トーンであり、現像剤が、好ましくは金属−イオンフリーのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば水性0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。パターンは、現像によって生じる。
【0063】
さらに、ポジ型レジストに関して、未露光領域が、ネガ型トーンの現像のために好適な非極性溶媒での処理によって選択的に除去されうる。ポジ型フォトレジストのネガ型トーン現像のための好適な手順に関して、米国特許出願公開第2011/0294069号を参照のこと。ネガ型トーン現像のために典型的な非極性溶媒は、有機現像剤、例えばケトン、エステル、炭化水素、およびこれらの混合物から選択される溶媒、例えばアセトン、2−ヘキサノン、メチルアセテート、ブチルアセテート、およびテトラヒドロフランである。
【0064】
フォトレジストは、1つ以上のこうしたパターン形成プロセスに使用される場合、電子および光電子デバイス、例えばメモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックスチップ、および他のこうしたデバイスを製作するために使用されてもよい。
【0065】
実施例1〜4:オニウム塩化合物の合成
【0066】
実施例1:10−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−9−オキソ−9,10−ジヒドロチオキサンチリウムヨージドの合成
【化14】
10−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−9−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4,4a,9,10−テトラヒドロチオキサンチリウムトリフルオロメタンスルホネート(20.9g、31.3mmol)を、ジクロロメタン(250mL)に溶解し、1Mヨウ化ナトリウム水溶液(4×250mL)、水(4×250mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して標題化合物(17.1g、84%)を淡橙色の固体として得た。NMR(300MHz,(CDSO)δ:9.05(vis s,1H)、8.52−8.59(m,2H)、8.35−8.43(m,1H)、8.20−8.28(m,2H)、7.93−8.08(m,4H)、7.35(d,J=10Hz,1H)、4.91(s,2H)、3.47(s,3H)、1.90−2.10(m,4H)、1.5−1.73(m,6H)、0.89(t,J=7Hz,3H)。
【0067】
実施例2:10−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−9−オキソ−4,4a,9,10−テトラヒドロチオキサンチリウム 3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネートの合成
【化15】
10−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−9−オキソ−4,4a,9,10−テトラヒドロチオキサンチリウムヨージド(5.00g、7.73mmol)および3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩(3.46g、8.12mmol)を、ジクロロメタン(125mL)および水(125mL)に溶解し、室温で一晩撹拌した。層を分離し、水相をジクロロメタンで洗浄した(3×100mL)。合せた有機層を水(4×250mL)で洗浄し、濃縮して標題化合物(5.56g、96%)を淡橙色の固体として得た。NMR(300MHz,(CDSO)δ:9.04(vis s,1H)、8.51−8.59(m,2H)、8.39(dd,J=10,2.4Hz,1H)、8.21−8.27(m,2H)、7.92−8.06(m,4H)、7.35(d,J=10Hz,1H)、4.91(s,2H)、4.57(s,1OH)、4.23(t,J=6Hz,2H)、3.47(s,3H)、2.43−2.63(m,4H)、1.90−2.12(m,7H)、1.44−1.73(m,15H)、0.88(t,J=7Hz,3H)。
【0068】
実施例3:10−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−9−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−9,10−ジヒドロチオキサンチリウムヨージドの合成:
【化16】
10−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−9−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4,4a,9,10−テトラヒドロチオキサンチリウム(5.21g、7.07mmol)を、ジクロロメタン(100mL)に溶解し、1Mヨウ化ナトリウム水溶液(4×150mL)、水(4×150mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して標題化合物(3.81g、75%)を淡橙色の固体として得た。NMR(500MHz,(CDSO)δ:9.17(vis s,1H)、8.73(vis s,1H)、8.55−8.59(m,1H)、8.47−8.52(m,1H)、8.37−8.43(m,2H)、8.23(d,J=8.5Hz,1H)、7.98−8.07(m,2H)、7.35(d,J=8.5Hz,2H)。
【0069】
実施例4:10−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−9−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4,4a,9,10−テトラヒドロチオキサンチリウム 3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネートの合成
【化17】
10−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−9−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4,4a,9,10−テトラヒドロチオキサンチリウムヨージド(0.8g、1.12mmol)および3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウム塩(0.501g、1.18mmol)を、ジクロロメタン(25mL)および水(25mL)に溶解し、室温で一晩撹拌した。層を分離し、水相をジクロロメタンで洗浄した(3×50mL)。合せた有機層を水(4×50mL)で洗浄し、濃縮して標題化合物(1.04g、95%)を淡橙色の固体として得た。NMR(300MHz,(CDSO)δ:9.21(vis s,1H)、8.73−8.78(m,1H)、8.37−8.61(m,6H)、8.21−8.26(m,1H)、7.97−8.08(m,2H)、7.35(d,J=10Hz,1H,4.94(s,2H)、4.24(t,J=6Hz,2H)、3.45(s,3H)、2.44−2.63(m,4H)、1.89−2.12(m,7H)、1.44−1.74(m,15H)、0.88(t,J=7Hz,3H)。
【0070】
実施例5:酸発生剤単位を含むポリマーの製造
開始剤溶液は、65.96gの開始剤(V−65)を66gのアセトニトリル/テトラヒドロフラン(2/1 v/v)に溶解することによって調製された。重合は、水凝縮器およびフラスコ内の反応をモニターするための温度計を装備した2L三口丸底フラスコで行われた。オーバーヘッド撹拌機を用いて内容物を撹拌した。反応器にヒール溶液を入れ、その内容物を75℃に加熱した。シリンジポンプを用いて、フィード溶液および開始剤溶液が4時間にわたって反応器に供給された。次に、内容物をさらに2時間撹拌し、それにより、ヒドロキノン(2.0g)を用いて反応がクエンチされた。内容物を室温まで冷却し、10倍の(重量による)IPE/MeOH 95/5(w/w)で2回沈殿させた。得られたポリマーを、各沈殿工程の後に50℃で24時間真空乾燥させて500gのポリマーを得た。
【0071】
実施例6:フォトレジスト組成物の製造および処理
ポジ型フォトレジスト組成物は、実施例20のポリマーの乳酸エチル中10重量%溶液21.088g、上記実施例1の酸発生剤化合物の乳酸エチル中2重量%溶液18.779g、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールの乳酸エチル中0.5重量%溶液1.898g、フッ素化界面活性剤(Omnova PF656)の乳酸エチル中0.5重量%溶液0.422g、47.342gの乳酸エチルおよび29.250gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製される。配合したレジストを0.01μm PTFEフィルターに通す。こうして製造したレジストをシリコンウエハ上にスピンコーティングし、ソフトベークしてキャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光する。次に、像形成したレジスト層を110℃で60秒間ベークした後、水性アルカリ組成物で現像する。
【0072】
実施例7:フォトレジスト組成物のさらなる製造および処理
ポジ型フォトレジスト組成物は、実施例20のポリマーの乳酸エチル中10重量%溶液21.088g、上記実施例2の酸発生剤化合物の乳酸エチル中2重量%溶液19.522g、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールの乳酸エチル中0.5重量%溶液1.898g、フッ素化界面活性剤(Omnova PF656)の乳酸エチル中0.5重量%溶液0.422g、46.342gの乳酸エチルおよび29.150gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製される。配合したレジストを0.01μm PTFEフィルターに通す。こうして製造したレジストをシリコンウエハ上にスピンコーティングし、ソフトベークしてキャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光する。次に、像形成したレジスト層を110℃で60秒間ベークした後、水性アルカリ組成物で現像する。