(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ブラシレスモータの各相の電機子コイルと電源の正極との間に接続された第1アーム側スイッチング素子および前記各相の電機子コイルと前記電源の負極との間に接続された第2アーム側スイッチング素子を有するインバータ回路を含むモータ駆動部と、
入力されるクランプ信号に応じて前記電源の正極端子の電圧を所定の制限電圧にクランプするクランプ回路と、
前記電源の電圧を検知して得られた電圧値に応じて、前記モータ駆動部に対して駆動制御信号または逆転制動信号を出力し、前記電圧値に応じて、前記クランプ回路に対してクランプの動作を指示する前記クランプ信号を出力し、前記電源の電圧を定電圧化した定電圧源から電力供給される制御回路部と、を備えており、
前記制御回路部は、前記電源からの電力供給の停止を検知すると、
前記電圧値が所定の閾値以下であるならば、所定期間に亘り、前記電圧値に応じて、前記クランプ信号または前記逆転制動信号のどちらかを出力するとともに、
前記所定期間において、
前記電圧値が上限閾値電圧以上のときに前記クランプ信号を出力して前記電源の正極端子の電圧をクランプして前記電圧値を低下させ、
前記電圧値が下限閾値電圧以下のときに前記クランプ信号の出力を停止し、前記逆転制動信号を出力することにより発生する回生電圧により前記電圧値を上昇させる、
ブラシレスモータの駆動制御装置。
ブラシレスモータの各相の電機子コイルと電源の正極との間に接続された第1アーム側スイッチング素子および前記各相の電機子コイルと前記電源の負極との間に接続された第2アーム側スイッチング素子を有するインバータ回路を含むモータ駆動部と、
入力されるクランプ信号に応じて前記電源の正極端子の電圧を所定の制限電圧にクランプするクランプ回路と、
前記電源の電圧を検知して得られた電圧値に応じて、前記モータ駆動部に対して駆動制御信号または逆転制動信号を出力し、前記電圧値に応じて、前記クランプ回路に対してクランプの動作を指示する前記クランプ信号を出力し、前記電源の電圧を定電圧化した定電圧源から電力供給される制御回路部と、を備えており、
前記制御回路部は、前記電圧値が所定の閾値以下になったことを検知したならば、前記クランプ信号を出力し、
その後、所定期間に亘り、前記電源の電圧が下限以下であることを検知したならば、前記クランプ信号の出力を停止して更に前記逆転制動信号を出力し、前記電源の電圧が上限以上であることを検知したならば、前記クランプ信号を出力して更に前記逆転制動信号の出力を停止する、
ブラシレスモータの駆動制御装置。
ブラシレスモータの各相の電機子コイルと電源の正極との間に接続された第1アーム側スイッチング素子および前記各相の電機子コイルと前記電源の負極との間に接続された第2アーム側スイッチング素子を有するインバータ回路を含むモータ駆動部と、
入力されるクランプ信号に応じて前記電源の正極端子の電圧を所定の制限電圧にクランプするクランプ回路と、
前記電源の電圧を検知して得られた電圧値に応じて、前記モータ駆動部に対して駆動制御信号または逆転制動信号を出力し、前記電圧値に応じて、前記クランプ回路に対してクランプの動作を指示する前記クランプ信号を出力し、前記電源の電圧を定電圧化した定電圧源から電力供給される制御回路部と、を備えており、
前記制御回路部は、前記電源からの電力供給の停止を検知すると、所定期間に亘って、前記逆転制動信号を出力するとともに、前記所定期間において、前記クランプ信号を前記クランプ回路に間欠的に出力する動作を繰り返す、
ブラシレスモータの駆動制御装置。
前記クランプ回路は、ツェナーダイオードおよびコンデンサの直列接続と、前記制御回路部が出力する前記クランプ信号によりオンして前記コンデンサを放電するスイッチ素子とを含み、
クランプする前記所定の制限電圧は、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧であるとともに、前記ツェナー電圧は前記制御回路部の動作電圧よりも高く設定されている、
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のブラシレスモータの駆動制御装置。
前記所定期間の後から前記モータ駆動部への出力を停止するまでの間は、全ての前記第1アーム側スイッチング素子をオフするスイッチング信号を出力し、少なくとも1つの前記第2アーム側スイッチング素子をスイッチング動作させるとともに、他の前記第2アーム側スイッチング素子をオンする信号である短絡制動信号を出力する、
請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載のブラシレスモータの駆動制御装置。
ブラシレスモータの各相の電機子コイルと電源の正極との間に接続された第1アーム側スイッチング素子および前記各相の電機子コイルと前記電源の負極との間に接続された第2アーム側スイッチング素子を有するインバータ回路を含むモータ駆動部と、
前記電源を定電圧化する定電圧源と、
前記電源の正極端子の電圧をクランプするクランプ回路と、
前記定電圧源から電力供給されて前記モータ駆動部に対して駆動制御信号を出力する制御回路部と、
を備える駆動制御装置が実行するブラシレスモータの駆動制御方法であって、
前記制御回路部が、前記電源の電圧を監視するステップと、
前記電源の電圧が閾値以下であることを検知するステップと、
前記制御回路部が、所定期間において前記電源の電圧が上限閾値電圧以上のときにクランプ信号を前記クランプ回路に間欠的に出力する動作を繰り返して、前記電源の正極端子の電圧をクランプし、前記電源の電圧が下限閾値電圧以下のときに前記クランプ信号の出力を停止するステップと、
を含むブラシレスモータの駆動制御方法。
ブラシレスモータの各相の電機子コイルと電源の正極との間に接続された第1アーム側スイッチング素子および前記各相の電機子コイルと前記電源の負極との間に接続された第2アーム側スイッチング素子を有するインバータ回路を含むモータ駆動部と、
前記電源を定電圧化する定電圧源と、
前記電源の正極端子の電圧をクランプするクランプ回路と、
前記定電圧源から電力供給されて前記モータ駆動部に対して駆動制御信号を出力する制御回路部と、
を備える駆動制御装置が実行するブラシレスモータの駆動制御方法であって、
前記制御回路部が、前記電源の電圧を監視するステップと、
前記電源の電圧が閾値以下であることを検知するステップと、
前記電源の電圧が所定の閾値以下になったことを検知したならば、クランプ信号を出力するステップと、
その後、所定期間に亘り、前記電源の電圧が下限閾値電圧以下であることを検知したならば、前記クランプ信号の出力を停止して逆転制動信号を出力し、前記電源の電圧が上限閾値電圧以上であることを検知したならば、前記クランプ信号を出力して前記逆転制動信号の出力を停止するステップと、
を含むブラシレスモータの駆動制御方法。
ブラシレスモータの各相の電機子コイルと電源の正極との間に接続された第1アーム側スイッチング素子および前記各相の電機子コイルと前記電源の負極との間に接続された第2アーム側スイッチング素子を有するインバータ回路を含むモータ駆動部と、
前記電源を定電圧化する定電圧源と、
前記電源の正極端子の電圧をクランプするクランプ回路と、
前記定電圧源から電力供給されて前記モータ駆動部に対して駆動制御信号または逆転制動信号を出力する制御回路部と、
を備える駆動制御装置が実行するブラシレスモータの駆動制御方法であって、
前記制御回路部が、前記電源の電圧を監視するステップと、
前記電源の電圧が閾値以下であることを検知するステップと、
前記制御回路部が、前記電源からの電力供給の停止を検知すると、所定期間に亘って、前記逆転制動信号を出力するとともに、前記所定期間において、クランプ信号を前記クランプ回路に間欠的に出力する動作を繰り返すステップと、
を含むブラシレスモータの駆動制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態のブラシレスモータ20の駆動制御装置1を示す概略の構成図である。
ブラシレスモータ20の駆動制御装置1は、インバータ回路2(モータ駆動部の一部)と、プリドライブ回路3(モータ駆動部の一部)と、回転位置検出器4と、定電圧源11から電力供給される制御回路部5と、クランプ回路30とを備えている。駆動制御装置1は、直流電源Vdから電力の供給を受けている定電圧源11に接続され、U相配線、V相配線、W相配線の3相によって、ブラシレスモータ20に接続されている。駆動制御装置1は、ブラシレスモータ20の回転を制御するものである。駆動制御装置1は、ブラシレスモータ20に3相交流を出力する。
【0015】
制御回路部5は、例えばマイクロコンピュータであり、制御動作切換部6と、モータ制御部7と、モータ制動部8とを備えており、直流電源Vdと、回転位置検出器4の出力端子と、定電圧源11と、クランプ回路30とが接続されている。この制御回路部5は、電源電圧Vinが閾値以下であることを検知したならば、所定期間に亘り、クランプ信号S3および制動信号C2としての逆転制動信号を少なくとも1回以上出力する。制御回路部5がマイクロコンピュータとして実現されているときには、このマイクロコンピュータが内蔵の制御プログラムを実行することにより、制御動作切換部6と、モータ制御部7と、モータ制動部8とが具現化される。
制御動作切換部6は、直流電源Vdから電力が供給される定常動作時と直流電源Vdからの電力の供給が停止する停電(電源遮断)時のそれぞれに応じてブラシレスモータ20の制御を切り換える。モータ制御部7は、定常動作時において制御動作切換部6からの動作指令信号S1によりプリドライブ回路3に駆動制御信号C1を出力する。モータ制動部8は、停電時に、制御動作切換部6からの動作指令信号S2によりプリドライブ回路3に制動信号C2を出力し、クランプ回路30にクランプ信号S3を出力する。
【0016】
制御回路部5は、直流電源Vdに接続された定電圧源11から電力の供給を受けて動作し、直流電源Vdからの電力供給の停止を検知すると、プリドライブ回路3に制動信号C2を出力し、クランプ回路30にクランプ信号S3を出力する。
クランプ回路30は、直流電源Vdの正極ノードの電圧を所定の制限電圧にクランプする回路であり、後記する
図2で詳細に説明する。
直流電源Vdは、この駆動制御装置1とブラシレスモータ20とに電力を供給している電源である。
定電圧源11は、直流電源Vdから供給される電力に基づく定電圧を、制御回路部5に印加するものである。
【0017】
制御動作切換部6は、電源電圧監視部9と、制御動作判定部10とを備えている。電源電圧監視部9は、電源電圧Vinを検知してアナログ/デジタル変換し、制御動作判定部10に出力する。制御動作判定部10は、電源電圧Vinのデジタル変換値が閾値以上ならば、動作指令信号S1をモータ制御部7に出力し、電源電圧Vinのデジタル変換値が閾値未満ならば、動作指令信号S2をモータ制動部8に出力する。
【0018】
換言すると、制御動作切換部6は、直流電源Vdの正極ノード電圧が閾値以上であることを検知するとモータ制御部7を動作させ、直流電源Vdの正極ノード電圧が所定値未満であることを検知するとモータ制動部8を動作させる。
モータ制動部8は、制御動作切換部6から入力される動作指令信号S2に応じて、所定期間に亘り、クランプ信号S3または制動信号C2として短絡制動信号の少なくともどちらかを出力する。所定期間の開始時刻は直流電源Vdの電圧値が閾値未満になった時、終了時刻は、直流電源Vdの電圧値が所定の電圧値になった時、またはモータの回転速度が所定の値になった時である。
【0019】
すなわち、電源電圧監視部9から制御動作判定部10に電源供給されていることを示す信号が入力されたとき、制御動作判定部10は、図示しない上位装置から回転が指令されているか否かを判断し、回転が指令されているときには動作指令信号S1をモータ制御部7に出力して、ブラシレスモータ20を回転動作させる。
【0020】
モータ制御部7は、制御動作判定部10から動作指令信号S1が入力されると、回転位置検出器4によるロータの位置検出信号に基づき、駆動制御信号C1をプリドライブ回路3に出力する。駆動制御信号C1は、ブラシレスモータ20を回転駆動させる信号であり、その動作を後記する
図3(a)で詳細に説明する。制御回路部5は、モータ制御部7によって、6個の駆動制御信号C1をプリドライブ回路3に出力し、プリドライブ回路3に駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlを生成させる。
【0021】
モータ制動部8は、制御動作判定部10から動作指令信号S2が入力されると、制動信号C2をプリドライブ回路3に出力する。制動信号C2は、ブラシレスモータ20を短絡制動(ショートブレーキ)させる信号または逆転制動させる信号であり、その動作を後記する
図3(b),(c)で詳細に説明する。制御回路部5は、モータ制動部8によって、プリドライブ回路3に制動信号C2を出力することによって、ブラシレスモータ20を短絡制動または逆転制動させる駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlをプリドライブ回路3に生成させる。
【0022】
プリドライブ回路3は、例えば、6個のゲートドライブ回路を備えている。プリドライブ回路3は、6個の駆動制御信号C1が入力されると、それぞれのゲートドライブ回路で駆動制御信号C1に応じた駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlを生成し、インバータ回路2に出力する。更に、プリドライブ回路3は、6個の制動信号C2が入力されると、それぞれのゲートドライブ回路で制動信号C2に応じた駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlを生成し、インバータ回路2に出力する。
プリドライブ回路3と制御回路部5とは、本実施形態における制御部を構成する。
【0023】
インバータ回路2は、例えば、スイッチング素子Q1〜Q6として6個のFET(Field Effect Transistor)を有している。インバータ回路2は、U相のスイッチングレッグと、V相のスイッチングレッグと、W相のスイッチングレッグとで構成されている。
【0024】
U相のスイッチングレッグは、上アーム側(第1アーム側)のスイッチング素子Q1と、下アーム側(第2アーム側)のスイッチング素子Q2とを備えている。スイッチング素子Q1のドレイン端子は、直流電源Vdに接続されている。スイッチング素子Q1のソース端子は、U相の交流信号が出力されるとともに、スイッチング素子Q2のドレイン端子に接続されている。スイッチング素子Q2のソース端子は、抵抗R1を介して直流グランドに接続されている。スイッチング素子Q1のゲート端子には、駆動信号Vuuが出力される。スイッチング素子Q2のゲート端子には、駆動信号Vulが出力される。
【0025】
V相のスイッチングレッグは、上アーム側のスイッチング素子Q3と、下アーム側のスイッチング素子Q4とを備えている。スイッチング素子Q3のドレイン端子は、直流電源Vdに接続されている。スイッチング素子Q3のソース端子は、V相の交流信号が出力されるとともに、スイッチング素子Q4のドレイン端子に接続されている。スイッチング素子Q4のソース端子は、抵抗R1を介して直流グランドに接続されている。スイッチング素子Q3のゲート端子には、駆動信号Vvuが出力される。スイッチング素子Q4のゲート端子には、駆動信号Vvlが出力される。
【0026】
W相のスイッチングレッグは、上アーム側のスイッチング素子Q5と、下アーム側のスイッチング素子Q6とを備えている。スイッチング素子Q5のドレイン端子は、直流電源Vdに接続されている。スイッチング素子Q5のソース端子は、W相の交流信号が出力されるとともに、スイッチング素子Q6のドレイン端子に接続されている。スイッチング素子Q6のソース端子は、抵抗R1を介して直流グランドに接続されている。スイッチング素子Q5のゲート端子には、駆動信号Vwuが出力される。スイッチング素子Q6のゲート端子には、駆動信号Vwlが出力される。
【0027】
すなわち、インバータ回路2は、ブラシレスモータ20の各電機子コイルLu,Lv,Lwの各相と直流電源Vdの正極端子との間に接続された上アーム側のスイッチング素子Q1,Q3,Q5、および、各電機子コイルLu,Lv,Lwの各相と直流電源Vdのグランド端子との間に接続された下アーム側のスイッチング素子Q2,Q4,Q6とを有している。
【0028】
インバータ回路2は、直流電源Vdから電力の供給を受け、駆動制御信号C1に応じた駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlが入力されると、3相交流をブラシレスモータ20のU相配線、V相配線、W相配線に流す。更に、インバータ回路2は、制動信号C2に応じた駆動信号Vuu,Vul,Vvu,Vvl,Vwu,Vwlが入力されると、ブラシレスモータ20の短絡制動または逆転制動を行う。
つまり、インバータ回路2は、モータ駆動部を構成している。
【0029】
ブラシレスモータ20は、電機子コイルLu,Lv,Lwを備えている。この電機子コイルLu,Lv,Lwの一端は、Y型結線されている。電機子コイルLuの他端はU相に、電機子コイルLvの他端はV相に、電機子コイルLwの他端はW相に、それぞれ接続されている。ブラシレスモータ20は、インバータ回路2からU相、V相、W相に3相交流が入力されることにより、回転駆動する。
【0030】
回転位置検出器4は、ブラシレスモータ20の図示しないロータの回転位置を検出するものであり、例えば3組のホールセンサと増幅器の組合せを有し、各ホールセンサの検出信号を増幅した3個のパルス信号を生成し、制御回路部5のモータ制御部7に出力するものである。
【0031】
図2は、本実施形態のクランプ回路30の具体的な構成図である。
クランプ回路30は、ツェナーダイオードZDとコンデンサC3の直列接続と、コンデンサC3の電荷を放電するN型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)(Q7)と、このMOSFET(Q7)のゲートを駆動するゲート駆動部(トランジスタQ8、プルアップ抵抗R11を含む回路)と、コンデンサC4とを含んで構成される。ゲート駆動部は、トランジスタQ8とプルアップ抵抗R11とを含んで構成される。このクランプ回路30は、モータ制動部8からクランプ信号S3を受けて、直流電源Vdの正極ノードの電圧をクランプする。
【0032】
クランプ信号S3はアクティブ・ローの信号であり、トランジスタQ8の制御端子に入力されて、このトランジスタQ8をオフする。トランジスタQ8のコレクタには、プルアップ抵抗R11を介して電圧Vccが印加され、かつMOSFET(Q7)のゲートに接続されている。これによりゲート駆動部は、クランプ信号S3を反転してMOSFET(Q7)を制御する。MOSFET(Q7)のゲートとソースの間には、ノイズによる影響を抑制するためにコンデンサC4が接続される。
【0033】
定常状態においてクランプ信号S3はHレベルであり、トランジスタQ8はオンしている。これによりトランジスタQ8のコレクタはLレベルとなるので、MOSFET(Q7)はオフし、コンデンサC4には電荷が蓄積される。
【0034】
クランプ動作時においてクランプ信号S3はLレベルとなり、トランジスタQ8はオフして、コレクタをHレベルとする。これにより、MOSFET(Q7)はオンしてコンデンサC4の電荷を短期間に放電し、よって直流電源Vdの正極ノードの電圧をクランプする。これにより、逆転制動の時間比率を大きくすることができる。
【0035】
更に、クランプ回路30は、ツェナーダイオードZDを用いて、電源電圧Vinをツェナー電圧にクランプするようにしている。これにより、電源電圧Vinの下限閾値電圧Vlo(具体例として、
図5を参照)を、制御回路部5の動作電圧より高く設定することができる。
【0036】
図3は、正回転時、短絡制動時、逆転制動時の通電パターンを示す図である。
図3(a)〜(c)の横軸は時間軸を示し、1/6周期ごとに破線で目盛が付されている。
図3(a)は、正回転時の通電パターンの例を説明する図である。
【0037】
ここで、Q1UU,Q3VU,Q5WUは、上アーム側のスイッチング素子Q1,Q3,Q5(
図1参照)の通電パターンである。Q2UL,Q4VL,Q6WLは、下アーム側のスイッチング素子Q2,Q4,Q6(
図1参照)の通電パターンである。
ブラシレスモータ20の正回転時において、スイッチング素子Q1は、回転位置検出器4(
図1参照)が備える第1〜第3のホールセンサ(不図示)のうち、第1のホールセンサの検出信号に応じて、1/3周期分だけオンする通電パターンで制御される。
【0038】
この場合、スイッチング素子Q3は、第2のホールセンサの検出信号に応じて、1/3周期分だけオンする。スイッチング素子Q3は、スイッチング素子Q1よりも1/3周期だけ遅れたタイミングでオンオフする。さらに、スイッチング素子Q5は、第3のホールセンサの検出信号に応じて、1/3周期分だけオンする。スイッチング素子Q5は、スイッチング素子Q3よりも1/3周期だけ遅れたタイミングでオンオフする。
【0039】
また、スイッチング素子Q2は、第1のホールセンサの検出信号に応じて、スイッチング素子Q1とは半周期ずれたタイミングでオンオフする。さらに、スイッチング素子Q4は、第2のホールセンサの検出信号に応じて、スイッチング素子Q3とは半周期ずれたタイミングでオンオフする。また、スイッチング素子Q6は、第3のホールセンサの検出信号に応じて、スイッチング素子Q5とは半周期ずれたタイミングでオンオフする。
【0040】
スイッチング素子Q1のオン期間の前半にスイッチング素子Q4がオンし、電機子コイルLu,Lv(
図1参照)に電流が流れる。スイッチング素子Q1のオン期間の後半にスイッチング素子Q6がオンし、電機子コイルLu,Lwに電流が流れる。
スイッチング素子Q3のオン期間の前半にスイッチング素子Q6がオンし、電機子コイルLv,Lwに電流が流れる。スイッチング素子Q3のオン期間の後半にスイッチング素子Q2がオンし、電機子コイルLv,Luに電流が流れる。
【0041】
スイッチング素子Q5のオン期間の前半にスイッチング素子Q2がオンし、電機子コイルLw,Luに電流が流れる。スイッチング素子Q1のオン期間の後半にスイッチング素子Q2がオンし、電機子コイルLw,Luに電流が流れる。
上記の通電パターンにより、各電機子コイルLu,Lv,Lwが正回転方向に励磁されてブラシレスモータ20が正回転する。
【0042】
図3(b)は、短絡制動時の通電パターンの例を説明する図である。
ブラシレスモータ20の短絡制動時には、例えば上アーム側の3相のスイッチング素子Q1,Q3,Q5は、オフに制御されている。また、下アーム側のうち2相のスイッチング素子Q2,Q4は、オンに制御されている。そして、下アーム側の1相のスイッチング素子Q6は、オンオフを繰り返し行う。これにより、3相出力を同電位に制御して回転速度を落とすことができる。
【0043】
次に、
図3(c)に逆転制動時の通電パターンの例を説明する。
ブラシレスモータ20の逆転制動時は、ブラシレスモータ20に逆回転トルクがかかるようにスイッチング素子Q1〜Q6が制御される。
例えばスイッチング素子Q1は、回転位置検出器4(
図1参照)の第1〜第3のホールセンサのうち、第1のホールセンサの検出信号に応じて、1/3周期分だけオンする。このときのオンタイミングは、
図3(a)の正回転時の通電パターンよりも1/3周期だけ遅れている。
【0044】
この場合スイッチング素子Q5は、第3のホールセンサの検出信号に応じて、1/3周期分だけオンする。スイッチング素子Q5は、スイッチング素子Q1よりも1/3周期だけ遅れたタイミングでオンオフする。さらに、スイッチング素子Q3は、第2のホールセンサの検出信号に応じて、1/3周期分だけオンする。スイッチング素子Q3は、スイッチング素子Q5よりも1/3周期だけ遅れたタイミングでオンオフする。
【0045】
また、スイッチング素子Q2は、第1のホールセンサの検出信号に応じて、スイッチング素子Q1とは半周期ずれたタイミングでオンオフする。さらに、スイッチング素子Q6は、第3のホールセンサの検出信号に応じて、スイッチング素子Q5とは半周期ずれたタイミングでオンオフする。また、スイッチング素子Q4は、第2のホールセンサの検出信号に応じて、スイッチング素子Q3とは半周期ずれたタイミングでオンオフする。
【0046】
スイッチング素子Q1のオン期間の前半にスイッチング素子Q6がオンし、後半にスイッチング素子Q4がオンする。スイッチング素子Q5のオン期間の前半にスイッチング素子Q4がオンし、後半にスイッチング素子Q2がオンする。スイッチング素子Q3のオン期間の前半にスイッチング素子Q2がオンし、後半にスイッチング素子Q6がオンする。この通電パターンにより、各電機子コイルLu,Lv,Lwは、逆回転方向に励磁される。ブラシレスモータ20には逆回転方向のトルクが加わり、直流電源Vdの直流端子のノードに対して逆起電力を供給する。
【0047】
以下、第1比較例と第2比較例により、本発明の課題について説明する。
図11は、第1比較例のブラシレスモータ20の駆動制御装置1Aを示す概略の構成図である。
図1に示した駆動制御装置1のクランプ回路30の代わりに、抵抗R2とMOSFET(Q9)とを備えている。
【0048】
第1比較例のモータ制動部8は、逆転ブレーキ時にMOSFET(Q9)をオンさせて、回生電圧を抵抗R2とMOSFET(Q9)で消費させる。この場合、抵抗R2として大電力に耐えられる素子が必要なので、部品サイズが大きく高価となる。そのため、実装面積に限りがある場合には現実的ではない。
【0049】
図12は、第2比較例のブラシレスモータ20の駆動制御装置1Bを示す概略の構成図である。
図1に示した駆動制御装置1のクランプ回路30を備えず、ダイオードDとコンデンサCとを備えている。
ダイオードDは、直流電源Vdと駆動制御装置1Bとの間に接続されて、逆転制動により発生する回生電圧が、直流電源Vdに印加されないようにしている。コンデンサCは、逆転制動により発生する回生電圧を充電する。第2比較例の駆動制御装置1Bは、逆転制動により発生する回生電圧をコンデンサCに充電させながら逆転制動信号を出力する。このときの動作例を、
図13に示す。
【0050】
図13は、第2比較例のクランプ/逆転制動の動作を示すタイミングチャートである。電源電圧Vinは、直流電源Vdの正極ノードの電圧を示している。制動信号C2の白抜きの角丸四角は、短絡制動信号を示している。制動信号C2のハッチングを施した角丸四角は、逆転制動信号を示している。
【0051】
時刻t50以前にてモータ制動部8は、制動信号C2として短絡制動信号を出力する。時刻t50にて、電源電圧Vinが制動開始電圧Vth以下に低下すると、モータ制動部8は、制動信号C2として逆転制動信号を出力する。逆転制動により発生する回生電圧により、電源電圧Vinは次第に上昇する。
時刻t51にて、電源電圧Vinが上限閾値電圧Vupに達すると、モータ制動部8は、制動信号C2の出力を停止する。この上限閾値電圧Vupは、駆動制御装置1Bを構成する各素子が故障なく動作可能な電圧である。
【0052】
時刻t51〜t52は、コンデンサCの放電期間である。この放電期間にてモータ制動部8は、回生電圧の発生を無くすために逆転制動信号をオフする。時刻t52にて電源電圧Vinが下限閾値電圧Vlo以下となると、モータ制動部8は、再び制動信号C2として逆転制動信号を出力する。逆転制動により発生する回生電圧により、電源電圧Vinは次第に上昇する。下限閾値電圧Vloは、制御回路部5が動作可能な電圧である。
時刻t53にて電源電圧Vinが再び上限閾値電圧Vupに達すると、モータ制動部8は、逆転制動信号の出力を停止する。以下、駆動制御装置1Bは同様の動作を繰り返して、ブラシレスモータ20を停止させる。
【0053】
このように、第2比較例にて逆転制動信号を出力できるのは、コンデンサCの放電期間の合間である。第2比較例では、逆転制動信号を出力できる時間比率が小さいため、ブラシレスモータ20の停止までに時間が掛かってしまう。
そこで本実施形態の駆動制御装置1は、クランプ回路30を設けて、逆転制動信号を出力できる時間比率を大きくしている。この動作について
図4と
図5とを参照して説明する。
【0054】
図4は、本実施形態の逆転制動処理を示すフローチャートである。
最初に直流電源Vdがオフされると(ステップS21)、
図4の処理が開始する。
制御回路部5の電源電圧監視部9は、常に電源電圧Vinを監視している。具体的には、制御回路部5の電源電圧監視部9は、電源電圧Vinを検知してアナログ/デジタル変換し、制御動作判定部10に出力する。制御回路部5の制御動作判定部10は、電源電圧Vinが制動開始電圧Vth以下であるか否かを判定する(ステップS22)。電源電圧Vinが制動開始電圧Vth以下ならば(ステップS22でYes)、ステップS23の処理に進む。制御動作判定部10は、このステップS22において電源電圧Vinと制動開始電圧Vthとの大小関係を比較することにより、逆転制動が可能か否かを判断している。
【0055】
制御回路部5がクランプ信号S3をLレベルとしてMOSFET(Q7)をオンさせる(ステップS23)と、コンデンサC3が放電し、それに伴い電源電圧Vinが低下する。制御回路部5は、電源電圧Vinが下限閾値電圧Vlo以下に低下したならば(ステップS24でYes)、クランプ信号S3をHレベルとしてMOSFET(Q7)をオフし、更にプリドライブ回路3に逆転制動信号を出力する(ステップS25)。これにより回生電圧が発生して、直流電源Vdの正極ノードの電源電圧Vinが上昇する。
【0056】
制御回路部5は、電源電圧Vinが上限閾値電圧Vup以上に上昇したならば(ステップS26でYes)、逆転制動信号の出力を停止(ステップS27)して、ステップS23の処理に戻る。また、制御回路部5は、電源電圧Vinが上限閾値電圧Vup未満ならば(ステップS26でNo)、ブラシレスモータ20の回転速度と逆転制動終了閾値とを比較する(ステップS28)。制御回路部5は、ブラシレスモータ20の回転速度が逆転制動終了閾値を超えているならば(ステップS28でNo)ステップS26の処理に戻る。逆転制動終了閾値以下ならば(ステップS28でYES)、制御回路部5は、逆転制動信号の出力を停止して(ステップS29)、短絡制動信号を出力する(ステップS30)。その後暫くするとロータの回転が停止する(ステップS31)。
【0057】
図5は、本実施形態のクランプ/逆転制動の動作を示すタイミングチャートである。
図5は、電源電圧Vinと制動信号C2とクランプ信号S3の時系列変化を示している。電源電圧Vinは、直流電源Vdの正極ノードの電圧を示している。制動信号C2の白抜きの角丸四角は、短絡制動信号を示している。制動信号C2のハッチングを施した角丸四角は、逆転制動信号を示している。
図5では、制御回路部5は、モータ制動部8により、制御動作切換部6から入力される動作指令信号S2に応じて、所定期間(時刻t10〜時刻t14)に亘り、クランプ信号S3と制動信号C2として逆転制動信号を交互に出力する。
【0058】
直流電源Vdがオフされると、電源電圧Vinは次第に低下する。このときクランプ信号S3はHレベルであり、制動信号C2は何も出力されていない。
時刻t10にて、電源電圧Vinは制動開始電圧Vth以下となり、クランプ信号S3はHレベルからLレベルに変化する。これに伴い、電源電圧Vinは急峻に低下する。
【0059】
時刻t11にて、電源電圧Vinが下限閾値電圧Vlo以下に低下すると、クランプ信号S3はLレベルからHレベルに変化し、かつ制動信号C2として逆転制動信号が出力される。逆転制動に伴う回生電圧により、直流電源Vdの電源電圧Vinが上昇する。
【0060】
時刻t12にて、電源電圧Vinが上限閾値電圧Vup以上に上昇すると、クランプ信号S3はHレベルからLレベルに変化し、かつ制動信号C2の出力が停止される。これにより、電源電圧Vinはクランプされて低下する。これら時刻t10〜t13のような動作の繰り返しにより、ブラシレスモータ20の回転速度は低下する。これら繰り返し動作の後、短絡制動信号が出力され、電源電圧Vinが更に低下する。
時刻t14は、所定期間の終了時刻であって、ブラシレスモータ20の回転速度が逆転制動終了閾値以下となる時刻である(
図4のステップS28でYES)。以降、制動信号C2として短絡制動信号が出力され、クランプ信号S3はHレベルを維持する。
【0061】
このように動作することで、駆動制御装置1は、電源電圧Vinを上限閾値電圧Vupから下限閾値電圧Vloの間のいずれかとしつつ、逆転制動信号を出力することができるので、ブラシレスモータ20を短時間に停止することができる。
【0062】
《第1変形例》
次に、短絡制動を行う第1変形例について説明する。上記した実施形態のうち、逆転制動信号を出力していない期間には、短絡制動信号を出力することができる。
図6は、第1変形例の逆転制動処理を示すフローチャートである。
図4に示したフローチャートと同一の処理には同一の符号を付与している。
直流電源Vdがオフされると(ステップS21)、
図4の処理が開始する。
制御回路部5は、モータ制動部8により、プリドライブ回路3に制動信号C2として短絡制動信号を出力する(ステップS21A)。これにより、制御回路部5は、ブラシレスモータ20を減速することができる。
【0063】
ステップS22,S23の処理は、
図4に示した処理と同様である。その後制御回路部5は、モータ制動部8により、プリドライブ回路3に制動信号C2として短絡制動信号を出力する(ステップS23A)。これにより制御回路部5は、ブラシレスモータ20を減速することができる。
以降、ステップS24〜S31の処理は、
図4に示した処理と同様である。
【0064】
図7は、第1変形例のクランプ/逆転制動の動作を示すタイミングチャートである。
図7から
図9は、電源電圧Vinと制動信号C2とクランプ信号S3の時系列変化を示している。
図7では、制御回路部5は、モータ制動部8により、制御動作切換部6から入力される動作指令信号S2に応じて、所定期間(時刻t20〜時刻t24)に亘り、クランプ信号S3と制動信号C2として逆転制動信号を交互に出力するとともに、クランプ信号S3が出力されている間、制動信号C2として短絡制動信号を出力している。
時刻t24は、所定期間の終了時刻であって、ブラシレスモータ20の回転速度が逆転制動終了閾値以下となる時刻である(
図6のステップS28でYES)。以降、制動信号C2として短絡制動信号が出力され、クランプ信号S3はHレベルを維持する。
【0065】
図5に示す上記実施形態とは異なり、第1変形例のクランプ/逆転制動は、直流電源Vdがオフされた当初から制動信号C2として短絡制動信号の出力を開始していることと、所定期間において、クランプ信号S3をLレベルに切り替えている時刻t20〜t21と時刻t22〜t23にて、同時に短絡制動信号を出力していることが異なる。これにより制御回路部5は、より早くブラシレスモータ20を停止させることができる。
【0066】
《第2変形例》
次に、制動開始電圧Vthに達した後、最初に逆転制動信号を出力する第2変形例について説明する。
図8は、第2変形例のクランプ/逆転制動の動作を示すタイミングチャートである。
図7に示す第1変形例とは異なり、第2変形例のクランプ/逆転制動は、電源電圧Vinが制動開始電圧Vth以下に低下した後、時刻t30〜t31にて、制動信号C2として逆転制動信号を出力している。
図8では、制御回路部5は、モータ制動部8により、制御動作切換部6から入力される動作指令信号S2に応じて、所定期間(時刻t30〜時刻t34)に亘り、クランプ信号S3と制動信号C2として逆転制動信号を交互に出力するとともに、所定期間の開始時(時刻t30)に、制動信号C2として逆転制動信号を出力している。
【0067】
その後、電源電圧Vinが上限閾値電圧Vup以上に上昇すると、時刻t31〜t32にて、クランプ信号S3をLレベルに切り替えている。更に、電源電圧Vinが下限閾値電圧Vlo以下に低下すると、時刻t32〜t33にて、クランプ信号S3をHレベルに切り替えている。
時刻t34は、所定期間の終了時刻であって、ブラシレスモータ20の回転速度が逆転制動終了閾値以下となる時刻である。以降、制動信号C2として短絡制動信号が出力され、クランプ信号S3はHレベルを維持する。
【0068】
このように、電源電圧Vinが制動開始電圧Vth以下に低下した後に、制動信号C2として逆転制動信号を出力し、その後にクランプ信号S3を出力してもよい。
【0069】
《第3変形例》
図9は、第3変形例のクランプ/逆転制動の動作を示すタイミングチャートである。
図7に示す第1変形例とは異なり、第3変形例のクランプ/逆転制動は、電源電圧Vinが制動開始電圧Vth以下に低下した後、ブラシレスモータ20の回転速度が所定閾値以下に低下するまで、継続的に制動信号C2として逆転制動信号を出力している。クランプ回路30による電圧低下は、逆転制動信号の回生電圧による電圧上昇よりも変化量が大きいので、電源電圧Vinをクランプすることができる。
図9では、制御回路部5は、所定期間(時刻t40〜時刻t44)に亘り、制動信号C2として逆転制動信号を継続的に出力するとともに、クランプ信号S3を間欠的に出力している。すなわちモータ制動部8は、制御動作切換部6から入力される動作指令信号S2に応じて、所定期間(時刻t40〜時刻t44)に亘り、制動信号C2として逆転制動信号を継続的に出力するとともに、クランプ信号S3を間欠的に出力している。
時刻t44は、所定期間の終了時刻であって、ブラシレスモータ20の回転速度が逆転制動終了閾値以下となる時刻である。以降、制動信号C2として短絡制動信号が出力され、クランプ信号S3はHレベルを維持する。
【0070】
図10は、本実施形態の制動方法と第2比較例の制動方法の経過時間と回転速度との関係を示す図である。
時刻T0にて、ブラシレスモータ20は回転速度Rcを維持しており、時刻T1にて直流電源Vdがオフされる。
【0071】
時刻T2にて、ブラシレスモータ20の回転速度がRb以下となると、制動動作を開始する。以下、破線Aは、第2比較例におけるブラシレスモータ20の回転速度の変化を示している。実線Bは、本実施形態におけるブラシレスモータ20の回転速度の変化を示している。つまり、本実施形態では時刻T8でブラシレスモータ20が停止し、第2比較例では時刻T9でブラシレスモータ20が停止する。
本実施形態では、逆転制動信号を出力する時間比率を大きくすることができ、第2比較例と比べて、より早くブラシレスモータ20を停止させることができる。
【0072】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(l)のようなものがある。
【0073】
(a) 上記実施形態のブラシレスモータ20の駆動制御装置1は、回転位置検出器4は、3組のホールセンサと増幅器の組合せを有している。しかし、これに限られず、ホールセンサの数は特に限定されない。また、ブラシレスモータ20の駆動制御装置1は、ホールセンサと増幅器の組合せを有する回転位置検出器4を用いず、電機子コイルLu,Lv,Lwに発生する逆起電力を検知することにより、ロータの回転位置を検出してもよい。
【0074】
(b) 上記実施形態のブラシレスモータ20は3相である。しかし、これに限られず、相数は1相以上であればよい。
【0075】
(c) スイッチング素子Q1〜Q6は、FETに限定されず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などに代表される他の種類のスイッチング素子であってもよい。
【0076】
(d) 上記実施形態の駆動制御装置1は、短絡制動時に、下アーム側の1つのスイッチング素子Q6をスイッチング動作している。しかし、これに限られず、駆動制御装置は、1つのスイッチング素子Q6のスイッチング動作では十分な電圧が作り出せない場合、2つ以上のスイッチング素子をスイッチング動作させてもよい。
【0077】
(e) 短絡制動時にスイッチングさせるアーム(第2アーム)は、下アームに限定されず、上アームであってもよい。また、スイッチングさせるのは、W相のスイッチング素子に限定されず、他の相であってもよい。
【0078】
(f) 上記実施形態では短絡制動時に下アーム側の1つのスイッチング素子Q6を第1のパルス信号Vwlに基づいてスイッチング動作させている。しかし、周波数の増減やデューティ比の増減などは、特に限定されない。電源電圧Vinの変動や、回転停止時間を所望の状態になるように、周波数やデューティ比を適宜設定することができる。
【0079】
(g) 駆動制御装置1は、回転位置検出器4によってブラシレスモータ20の回転速度を検知し、この回転速度に応じたデューティ比、または、この回転速度に応じた周波数のパルス信号Vwlをインバータ回路2に出力するように構成してもよい。これにより、ブラシレスモータ20の回転速度がどのように減衰するか不明な場合であっても、回転速度に応じたパルス信号Vwlによって、電源電圧Vinを維持するので、更に長期間に亘ってブラシレスモータ20に短絡制動を掛けることができる。
【0080】
(h) 駆動制御装置1の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。
【0081】
(i) 上記実施形態では、制動制御の開始を電源電圧Vinで判定する例で説明したが、これには特に限定されない。具体的には、例えばブラシレスモータ20の回転速度に基づいて判定するようにしてもよい。
【0082】
(j) 上記実施形態で示したフローチャートや制動制御時の各部波形を説明する図などは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。例えば、
図4や
図6に示したフローチャートは、このフローに限定されるものではなく、適宜、各ステップ間に他の処理が挿入されてもよい。
【0083】
(k) 短絡制動と逆転制動との相互の切り替えの間に無信号期間を設ける構成も本発明の範囲に含むものである。
(l) クランプ回路30のトランジスタQ8は、MOSFETなどであってもよい。