特許第6343282号(P6343282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343282
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】歯間クリーナー
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20180604BHJP
【FI】
   A46B15/00 Z
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-525765(P2015-525765)
(86)(22)【出願日】2013年7月20日
(65)【公表番号】特表2015-524320(P2015-524320A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】EP2013002154
(87)【国際公開番号】WO2014023395
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年7月5日
(31)【優先権主張番号】102012015663.4
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510105709
【氏名又は名称】インターブロス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】INTERBROS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ブッツ、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ペッチュ、ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】リュンメレ、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー、ハンネス
(72)【発明者】
【氏名】レール、シュテッフェン
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4579345(JP,B2)
【文献】 特表2011−529729(JP,A)
【文献】 特開2009−183702(JP,A)
【文献】 実開昭53−010669(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3154935(JP,U)
【文献】 特開2002−345852(JP,A)
【文献】 特開2006−212136(JP,A)
【文献】 実開昭56−027030(JP,U)
【文献】 実開昭60−140431(JP,U)
【文献】 実開昭56−171727(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0041271(US,A1)
【文献】 米国特許第06082999(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の柄(え)(11)を有し、その軸方向の一端にクリーニング機構(12)を有する歯間クリーナーであって、このクリーニング機構(12)が前記柄の軟質弾性プラスチック製の被覆(14)を含み、この被覆(14)の外側に1つの構造体(19)が形成されており、この構造体が、半径方向要素が被覆(14)から突き出ている複数の指状突起(15)を有し、これらの指状突起が被覆(14)と同一の材料からなり、被覆と一体に結合されている歯間クリーナーにおいて、前記構造体(19)が植毛部を備え、この植毛部は、半径方向要素が前記被覆(14)から突き出ている複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)を有しており、これら複数の毛束、または、複数の単毛はそれぞれ、最大直径が0.25mmであるプラスチック製の単一繊維またはマルチ繊維で形成されており、前記柄(11)がプラスチック製であり、前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)が前記被覆(14)を貫通し、前記柄(11)で保持されており、且つ、前記柄(11)に埋め込まれていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項2】
複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)が、前記被覆(14)の円周上に輪状に分布して配置されてなる、少なくとも1つの毛輪(18)を形成していることを特徴とする請求項1に記載の歯間クリーナー。
【請求項3】
複数の指状突起(15)が、前記被覆(14)の円周上に輪状に分布して配置されてなる、少なくとも1つの指状突起輪(17)を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の歯間クリーナー。
【請求項4】
前記複数の毛輪(18)と前記複数の指状突起輪(17)とが前記被覆(14)の長手方向に交互に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の歯間クリーナー。
【請求項5】
前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)の少なくとも幾つかが、寸法Mだけ前記複数の指状突起(15)を超えて半径方向に突き出ていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【請求項6】
前記寸法Mが0.1mmから1.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の歯間クリーナー。
【請求項7】
前記寸法Mが0.3mmから0.7mmの範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の歯間クリーナー。
【請求項8】
前記複数の指状突起(15)の少なくとも幾つかが、寸法Nだけ前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)を超えて半径方向に突き出ていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【請求項9】
前記寸法Nが0.1mmから1.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の歯間クリーナー。
【請求項10】
前記寸法Nが0.3mmから0.7mmの範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の歯間クリーナー。
【請求項11】
前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)が、被覆(14)の長手方向に延びている少なくとも1つの毛列(21、22)に配列されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【請求項12】
前記毛列(21)が前記被覆(14)の長手方向に直線状に延びていることを特徴とする請求項11に記載の歯間クリーナー。
【請求項13】
前記毛列(22)が前記被覆(14)の長手方向に螺旋状に延びていることを特徴とする請求項11に記載の歯間クリーナー。
【請求項14】
前記指状突起(15)の少なくとも1つが、1つの毛束(16)、または、少なくとも1つの単毛(20)により貫通されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【請求項15】
前記毛束(16)、または、前記少なくとも1つの単毛(20)が、前記指状突起(15)の半径方向外側端部から突き出ていることを特徴とする請求項14に記載の歯間クリーナー。
【請求項16】
前記指状突起(15)が1本ないし4本の単毛(20)で貫通されていることを特徴とする請求項14または15に記載の歯間クリーナー。
【請求項17】
前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)の半径方向内側端部が前記柄(11)内で保持されていることを特徴とする請求項1から16のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【請求項18】
前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)が前記柄(11)を半径方向に貫通し、柄の反対側から突き出ていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【請求項19】
前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)がU字形またはV字形に成形され、それらのベース部が前記柄(11)に埋め込まれていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【請求項20】
前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)がL字形に成形され、L字脚の一方が前記柄(11)に埋め込まれ、L字脚の他方が柄から突き出ていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【請求項21】
前記複数の毛束(16)、または、複数の単毛(20)の1つの端部が幅広のヘッド(23)を備え、このヘッドが前記柄(11)に埋め込まれていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1つに記載の歯間クリーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状の柄(え)を有し、その軸方向の一端にクリーニング機構を有する歯間クリーナーに関し、このクリーニング機構が柄の軟質弾性プラスチック製の被覆を含み、この被覆の外側に1つの構造体が形成されており、この構造体は半径方向要素が被覆から突出している複数の指状突起を有し、これらの指状突起は被覆と同一の材料からなり、被覆と一体に結合されている。
【背景技術】
【0002】
これに相当する歯間クリーナーが特許文献1で知られている。そこに記載された歯間クリーナーは第1プラスチックからなる棒状の柄を有し、この柄はその1端に握り部を、その軸方向反対部に柄の被覆の形態のクリーニング機構を有する。この被覆は例えば熱可塑性エラストマーのような軟質弾性プラスチックからなり、柄に射出被着されている。この被覆はその外側に、いぼ状の、または半径方向外側に向かって延びている複数の指状突起形状の構造体を有している。使用者は歯間クリーナーの握り部を握り、棒状の柄の被覆を有する端部を歯間に挿入し、この歯間クリーナーを前後に動かし、こうして歯間部が清浄化され、場合により付着している粒子が剥離される。
【0003】
この歯間クリーナーを使えば歯間部の非常に良好なクリーニングは可能であることが分かったが、歯の狭くて微細なポケット部から汚れや沈着物を除去するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0932371B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、狭いポケット部と隙間でのクリーニングをも確実に行うことができる上述した種類の歯間クリーナーを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する歯間クリーナーにより達成される。この場合、前記の構造体は、半径方向要素が被覆から突き出ている複数の指状突起に加えて植毛部を備え、この植毛部は半径方向要素が被覆から突き出ている複数の毛束、および/または、複数の単毛を有し、これらの毛束、および/または、これらの単毛はそれぞれ、前加工されて被覆に、および/または、柄に埋め込まれた毛で形成されている。
【0007】
本出願における毛とは、プラスチック製の単一繊維またはマルチ繊維の細い、前加工された部材であり、その最大直径は0.25mmである。
【0008】
本明細書で使用されている「軸方向」なる用語は、棒状の柄の長手方向軸、すなわち、被覆の長手方向軸を示す。これに対して、「半径方向」なる用語は前記軸方向に直角な方向を示す。
【0009】
複数の指状突起、および/または、複数の毛束、および/または、複数の単毛は半径方向に、すなわち、この歯間クリーナーの長手方向軸に対して直角に延びていてもよいし、あるいは、この長手方向軸に対して斜めに延びていてもよく、このことが「半径方向要素」なる表現で表わされている。
【0010】
前記被覆は好ましくは、公知のように、棒状の柄に射出被着されており、例えばSEBSまたはエチレン−プロピレン−ジエン−ゴムに基づく熱可塑性エラストマーのような熱可塑性エラストマーで構成してもよいし、例えばシリコーンのような他の軟質プラスチックで構成してもよい。有利には、この被覆が鞘(さや)状に形成されており、棒状の柄の長手方向の延び形状に従う形状を有している。
【0011】
被覆の外側に複数の指状突起と植毛部とが共に配置されているので、この組合せにおいて高いクリーニング効果が得られる。歯間部にこの歯間クリーナーを挿入すると、これらの突き出た指状突起は変形し、曲がり、実質的に歯間部表面のクリーニングに役立つ。毛部はその寸法が小さいので、指状突起ではクリーニングできないような狭い隙間と歯間部にも入り込み、これらの箇所をクリーニングすることができる
【0012】
これらの指状突起は被覆と一体に結合されており、被覆と同一の材料からなっている。これらの指状突起はこの歯間クリーナー製造時に被覆形成と一緒に、好ましくは射出成形法で製造される。
【0013】
複数の毛束または複数の単毛が半径方向に、または少なくとも半径方向コンポーネントを有して、外側に向けて延びている。本発明の好ましい形態では、これらの毛束、および/または、単毛が被覆を完全に貫通し、柄で保持されている。この場合、これらの毛束、および/または、単毛は柄に固定されるか、あるいは、柄をプラスチック製とし、これらの毛束、および/または、単毛は柄の中に部分的に埋め込まれ、とりわけ、抜けないように保持されている。これは例えば次のようにして達成される。すなわち、これらの毛束、および/または、単毛が少なくとも1つの射出成形機内で位置決めされ、次いで、柄の材料で所望の部位にインサートモールドされ、こうして、これらの毛束、および/または、単毛が固定される。この場合、これらの毛束、および/または、単毛は嵌め合い結合、および/または、材料結合で柄に保持することができる。次いで、軟質弾性プラスチックからなる被覆を吹き付け、この時、被覆と一体に結合された指状突起が同時に形成される。
【0014】
指状突起と植毛部、すなわち、毛束、および/または、単毛の配置については、様々な幾何学的構成が可能である。本発明の1つの形態では、複数の毛束、および/または、複数の単毛を被覆の円周上に、好ましくは均等に分布させて、1つの毛輪を形成する。複数の毛輪を被覆の長手方向において軸方向に間隔をあけて配置することができる。この毛輪の複数の毛束、および/または、複数の単毛は円周方向において相互に間隔をあけて配置することもできるが、複数の毛束、および/または、複数の単毛を互いに密に配置し、この毛輪が被覆の長手方向に対して直角な毛の円板を形成するようにすることもできる。
【0015】
さらに、少なくとも幾つかの毛束を隣の毛束に対して歯間クリーナーの長手方向においてずらして配置することも可能である。
【0016】
本発明の1つの形態において、複数の指状突起を被覆の円周上に分布配置して1つの指状突起輪を形成することができる。複数の指状突起輪を相互に間隔をあけて被覆の軸方向に配置すると有利であり、この場合、本発明の一形態では、複数の毛輪と複数の指状突起輪が被覆の長手方向において交互に配置されている。
【0017】
さらに、少なくとも幾つかの指状突起を隣の指状突起に対して歯間クリーナーの長手方向においてずらして配置することも可能である。
【0018】
好ましくは半径方向外側に向かって先が尖った、例えば円錐形の形状を有する複数の指状突起がその長さだけ被覆から突き出ている。本発明の有利な形態では、少なくとも幾つかの毛束、および/または、幾つかの単毛が半径方向において寸法Mだけ指状突起を超えて突き出るように、複数の毛束、および/または、複数の単毛がより大きな突き出し長さを有しており、この寸法Mは0.1mmから1.5mmの範囲、好ましくは0.3mmから0.7mmの範囲、特に好ましくは0.4mmから0.6mmの範囲にある。
【0019】
本発明のもう1つの形態では、少なくとも幾つかの指状突起が半径方向において寸法Nだけ複数の毛束、および/または、複数の単毛を超えて突き出ており、この寸法Nは0.1mmから1.5mmの範囲、好ましくは0.3mmから0.7mmの範囲、特に好ましくは0.4mmから0.6mmの範囲にある。
【0020】
これらの毛束は単独の毛束として、すなわち、隣の毛束と間隔をあけて配置することができる。このことは単毛についても同様である。本発明の1つの形態では、少なくとも幾つかの毛束、および/または、幾つかの単毛が、被覆の長手方向に延びる1つまたは複数の毛列に配置されている。1つの毛列を形成するこれら複数の毛束、および/または、複数の単毛が、連続的で隙間のない1つの毛列を形成すべく、密に隣接して配置されていると有利である。これらの毛列は被覆の長手方向に直線状に延ばすことができるが、その代わりに、またはこれに加えて、被覆の長手方向に螺旋状に延ばすこともできる。
【0021】
これら複数の毛束、および/または、複数の単毛は、指状突起とは無関係に被覆の外側に配置することができる。しかし、本発明の展開では、その代わりに、またはこれに加えて、指状突起の少なくとも1つが1つの毛束、および/または、少なくとも1つの単毛で貫通されるようにすることができる。この場合、好ましくは、単毛の長さの半分以上、または毛束を形成している毛の長さの半分以上が指状突起の内部に配置され、その毛の自由端が指状突起から、好ましくは指状突起の半径方向外側端部、すなわち、指状突起の尖端部から突き出ている。
【0022】
この指状突起が1本ないし4本の単毛で貫通されていると有利であることが分かった。
【0023】
本発明の1つの形態では、これら複数の毛束、および/または、複数の単毛の半径方向内側端部が柄の内部に保持され、特に、柄の内部に埋め込まれている。しかし、この代わりに、この毛束、および/または、この単毛が柄を半径方向に貫通し、柄の反対側から突き出るようにすることも可能である。この毛束、および/または、この単毛は、柄の内部に配置されたその中央部が柄の内部に保持され、特に、この内部に埋め込まれている。
【0024】
本発明のもう1つの形態では、これら複数の毛束、および/または、複数の単毛がU字形またはV字形に成形され、それらの自由端が前述したように半径方向に突き出るように、そのベース部分が柄に埋め込まれている。
【0025】
本発明のもう1つの形態では、これら複数の毛束、および/または、複数の単毛がL字形に成形され、そのL字脚の一方が柄の内部に埋め込まれ、L字脚の他方が柄から突き出ている。この場合、柄の内部に埋め込まれたL字脚は歯間クリーナーの長手方向、すなわち、軸方向に延び、他方のL字脚はこれとほぼ直角に、すなわち、半径方向に、または軸方向に対して斜めに延びている。
【0026】
これらの毛は柄の内部において嵌め合い結合で、または、材料結合で保持することができる。これら複数の毛束、および/または、複数の単毛の半径方向の端部で幅広のヘッド状の厚さが形成され、これが柄の材料中に埋め込まれると、これら複数の毛束、および/または、複数の単毛の特に良好な嵌め合い保持が得られる。これに相応するヘッドの形成は、既知の方法により、場合により予熱して、毛束、および/または、単毛を打ちつぶすことによって行うことができる。
【0027】
本発明のさらなる詳細と特徴を、以下の実施例に基づき図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施例による歯間クリーナーの斜視図
図2図1の歯間クリーナーの前方端部の拡大図
図3図2のIII−III断面図
図4図2のIV−IV断面図
図5図4の形態の1つの変形
図6】第2の実施例による歯間クリーナーの前方端部
図7図6の実施例の1つの変形
図8】第3の実施例による歯間クリーナーの前方端部
図9図8のIX−IX断面図
図10図8のX−X断面図
図11図8の実施例の1つの変形
図12】第4の実施例による歯間クリーナーの前方端部
図13図12のXIII−XIII断面図
図14図12の実施例の1つの変形
図15図2の形態の1つの変形
図16】毛固定部の複数の代案の断面図
図17】L字形毛束の断面図
図18】U字形毛束の断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は歯間クリーナー10の斜視図を示す。この歯間クリーナーはプラスチック製の棒状の柄11を有し、この柄の後方、図1の右側端部にこの歯間クリーナー10の使用者が握ることができる握り部13が形成されている。
【0030】
握り部13の軸方向反対側の前方端部に、図1では左側端部に、棒状の柄11にクリーニング機構12が被着されている。このクリーニング機構は柄11の被覆14を有し、この被覆14は好ましくは軟質弾性プラスチックからなり、その外側に構造体19を有する。
【0031】
図2〜4はクリーニング機構12の構造と諸要素の細部および構造体19の細部を示す。
【0032】
図4に示すように、被覆14の外側で指状突起15の自由端が外側に向かって突き出ており、この指状突起は被覆14と同じ材料からなり、この被覆と一体に形成されている。これら指状突起15は半径方向に向かって先が尖っている円錐形状をしている(ここでは例として円錐形が示されている)。ここに示された実施例では、柄11の長手軸Lに直角な1つの面内に6個の指状突起15が被覆14の円周上に分布配置されており、1つの指状突起輪17を形成している。図2に示すように、被覆14の長手方向に複数の指状突起輪17が軸方向に間隔をあけて備えられている。隣り合う指状突起輪17の間にそれぞれ1つの毛輪18が配置されている。それぞれの毛輪18は6個の毛束16を有し、これらの毛束の半径方向内側端部は柄11に埋め込まれており(図3参照)、これらの毛束は被覆14を貫通し、被覆から半径方向外側に向かって突き出ている。図4に示すように、少なくとも幾つかの毛束の自由端の長さが指状突起15の自由端の長さよりも長くされており、毛束16の自由端が0.1mmから1.5mmの範囲の寸法Mだけ指状突起15を超えて外側に向かって突き出ている。
【0033】
図5図4に似た構造を示しているが、ここでは指状突起15が毛束16よりも寸法Nだけ長く半径方向に突き出ている。この寸法Nは、指状突起15が毛束16を超えて半径方向外側に突き出るように、0.1mmから1.5mmの範囲にある。
【0034】
図3と4が示すように、指状突起15と毛束16は、投影面においてそれぞれ1つの毛束16が2つの指状突起15の間に、あるいは、1つの指状突起15が2つの隣り合う毛束16の間に配置されるように、円周方向に配列されている。
【0035】
図6は第2の実施例を示す。これは植毛部の配置と配列が、図1〜4による第1の実施例とは異なる。図6では植毛部が被覆14あるいは棒状の柄11の長手方向に延びている複数の毛列21で形成されており、これらの毛列は被覆14の長手方向において直線状に延び、隙間のない密な「毛壁」を形成している。ここに示された実施例では4つの直線状の毛列が被覆14の円周上に均等に分布されており、円周方向に隣り合う2つの毛列の間にそれぞれ1列の指状突起15が配置されている。
【0036】
図7図6による形態の展開すなわちバリエーションを示す。図6と異なるのは、複数の毛列22が被覆14の長手方向に螺旋状に延び、その結果、被覆に巻き付いていることである。この場合にも円周方向に隣り合う2つの毛列22の間にそれぞれ1列の指状突起15が配置されている。
【0037】
図8〜10は第3の実施例を示す。これは図1〜4による実施例の展開であり、前記実施例と異なるのは、複数の毛輪18が複数の単毛20で形成され、これらの単毛が密に配置されているので、これら毛輪18は連続的な毛の円板状に構成され、これらの毛円板は被覆14ないし柄11の長手軸Lに直角に延びている。
【0038】
図9に示すように、複数の単毛20はその半径方向内側端部が柄11の材料の中に埋め込まれており、これら単毛は被覆14を貫通し、その自由端が被覆から半径方向に突き出ている。
【0039】
図11図8による形態の展開を示す。図8と異なるのは、これらの毛輪18ないし毛円板が、被覆14ないし柄11の軸方向において本質的により大きな寸法を有する、すなわち、本質的により厚く、その厚さsが0.5mmから1.0mmの範囲にあることである。
【0040】
これまでに示した複数の実施例では、複数の指状突起15と植毛部、すなわち、複数の毛束16あるいは複数の単毛20、とが互いに独立して形成され、支持あるいは保持されている。
【0041】
図12と13は本発明による歯間クリーナーの別の実施例であり、ここでは指状突起15を貫通する複数の単毛が備えられている。
【0042】
この歯間クリーナー10は棒状の柄11と被覆14とを備えた上述した構成を有し、この被覆の外側には半径方向外側に向かって突き出た一体に形成された複数の指状突起15が保持されている。図13に示すように、それぞれの指状突起15は2本の単毛20で貫通されている。これらの単毛20はその半径方向内側端部が柄11の材料に埋め込まれており、そこから指状突起15を通って半径方向外側に向かって延び、指状突起15の半径方向外側端部、すなわち、指状突起15の尖端部から飛び出し、そこから半径方向に突き出ている。こうして、単毛20と指状突起15が相互に影響を及ぼし、単毛20は指状突起15の曲がり安定性を強化し、指状突起15は単毛20をその軸方向長さの殆どの部分に渡って支えるので毛20が折れ曲がる危険が小さくなる。
【0043】
図14図13による形態の変形である。この場合にも2本の単毛20が半径方向に指状突起15を通って延び、指状突起15の外側尖端部から飛び出している。しかし、これらの単毛20はその内側端部が柄11の材料の中で保持されているのではなく、柄11と、反対側に配置された指状突起15とを通り抜け、この反対側の指状突起15の半径方向外側端部から飛び出している。こうして、これらの単毛20は柄の内部の中央部に配置され、その中で保持されている。
【0044】
前述の複数の実施例では複数の毛束16、および/または、複数の単毛20、および/または、複数の指状突起15は環状の指状突起輪の中に配置されていた。しかし、図15の実施例では、それぞれの指状突起が隣り合う指状突起に対して歯間クリーナーの軸方向すなわち長手方向においてずらして配置されている。毛束16、および/または、単毛についても同様である。このようにした結果、この歯間クリーナーを歯間部に軸方向に挿入すると、複数の指状突起15が次々に歯の表面と接触し、その結果、抵抗が小さくなる。毛束16についても同様である。
【0045】
図16は毛束16を柄11の材料内に固定するための複数の代案を示す。図16の上側に示された第1形態では、毛束16の半径方向内側端部で幅広のヘッド23が形成され、このヘッドによって毛束16が柄11の材料に埋め込まれているので、嵌め合い的な方法における大きな引抜き強さが得られる。
【0046】
16の中央に示された第2形態では毛束16は、柄11の材料を完全に貫通し、柄の反対側から突き出るように、長くなっている。
【0047】
図16の下部に示された第3形態では、毛束はV字形に曲げられ、曲げられたV字形のベース部が柄11の材料に埋め込まれており、V字形の両脚部は半径方向に突き出ている。この場合にも非常に大きな引抜き強さが得られる。
【0048】
図17は毛束16を固定するための別の案を示す。毛束16はL字形に曲げられており、L字形の1つの脚部は歯間クリーナーの長手方向に柄11の材料内部を延び、L字形の他方の脚部はこれと直角に、すなわち、歯間クリーナーの長手方向に対して半径方向に延び、半径方向に突き出ている。
【0049】
図18では毛束16がU字形に曲げられており、好ましくは水平な1つのベース部と、これから突き出ている2つの脚部を有する。毛束16はそのベース部が柄11の材料に埋め込まれており、そこで保持され、一方、両方の脚部は半径方向に突き出ている。
【符号の説明】
【0050】
10 歯間クリーナー
11 柄
12 クリーニング機構
14 被覆
15 指状突起
16 毛束
17 指状突起輪
18 毛輪
19 構造体
20 単毛
23 ヘッド
図1
図2
図3
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図5
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