特許第6343294号(P6343294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6343294接着促進剤、これを含む組成物および前記組成物を利用した光学素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343294
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】接着促進剤、これを含む組成物および前記組成物を利用した光学素子
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/14 20060101AFI20180604BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20180604BHJP
   C09J 163/10 20060101ALI20180604BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20180604BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20180604BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   C08G59/14
   C08L83/07
   C09J163/10
   C09J183/07
   H01L23/30 R
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-12648(P2016-12648)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2016-138268(P2016-138268A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年1月26日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0012548
(32)【優先日】2015年1月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516026701
【氏名又は名称】ケーシーシー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KCC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】ソ スングァン
(72)【発明者】
【氏名】キム スンハン
(72)【発明者】
【氏名】ボク キョンジン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ジュンギ
(72)【発明者】
【氏名】アン ジュンモ
(72)【発明者】
【氏名】カン スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ グンム
【審査官】 亀谷 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−008996(JP,A)
【文献】 特開2010−001335(JP,A)
【文献】 特開2014−009322(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/077706(WO,A1)
【文献】 特開2013−129792(JP,A)
【文献】 特開2014−084417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00−59/72
C08L 63/00−63/10
C08G 77/00−77/62
C08L 83/00−83/16
C08K 3/00−13/08
C09J
H01L 23/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1を満足する、接着促進剤:
[化学式1]
RaSiO(4-a)/2
前記化学式1で、
Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基またはエポキシ含有有機基を表し、
aは1.0≦a<4.0の条件を満足する数であり、
R中の一つ以上は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基およびハロゲン基からなる群から選択される一つ以上の置換基で置換または非置換され、
1個の分子内に、アリール基の含量は、Rで表示されるすべての置換基の20モル%以上、エポキシ含有有機基の含量はRで表示されるすべての置換基の15〜30モル%、アルコキシ基の含量はRで表示されるすべての置換基の0.1〜5モル%であり、アルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比は0.78:1〜1.2:1である。
【請求項2】
接着促進剤の25℃での粘度は10〜60,000cPで、
重量平均分子量は(M.W.)1,000〜10,000であることを特徴とする、請求項1に記載の接着促進剤。
【請求項3】
下記の化学式2のオルガノシロキサン;
下記の化学式3のオルガノシロキサン;および
請求項1又は2に記載された接着促進剤を含む、硬化性オルガノポリシロキサン組成物:
[化学式2]
RbSiO(4-b)/2
前記化学式2で、
Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であるものの、1個の分子内に、2個以上のRはアルケニル基であり、
bは0.5≦b≦3の条件を満足する数であり、
[化学式3]
RcSiO(3-c)/2
前記化学式3で、
Rは水素または炭素数1〜10の炭素原子を有し、不飽和脂肪族結合を有しない、1価炭化水素基であるものの、1個の分子内に、2個以上のRは水素基であり、
cは0.5≦c≦3の条件を満足する数である。
【請求項4】
化学式2のオルガノシロキサン100重量部;
化学式3のオルガノシロキサン1〜100重量部;および
請求項1又は2に記載された接着促進剤0.005〜50重量部を含むことを特徴とする、請求項3に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
硬化性オルガノポリシロキサン組成物はヒドロシリル化触媒をさらに含むことができ、
ヒドロシリル化触媒は白金微粉、白金黒(platinum black)、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変成物、塩化白金酸/ジオレフィン錯体、白金/オレフィン錯体、白金-カルボニル錯体、塩化白金酸/アルケニルシロキサン錯体、白金/アルケニルシロキサン錯体および塩化白金酸とアセチレンアルコールの錯体から選択される水素ケイ素化触媒のうち1種以上であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
硬化性オルガノポリシロキサン組成物は不活性充填剤;補強性充填剤;非補強性充填剤;殺菌剤;香料;流動学的添加剤;腐食抑制剤;酸化抑制剤;光安定化剤;難燃剤;分散剤;溶媒;結合剤;顔料;染料;仮焼化剤;有機重合体(ただし、化学式1で表される接着促進剤並びに化学式2及び3で表されるオルガノシロキサンを除く。);熱安定化剤;酸化物または窒化物のナノ粒子;防炎剤;および耐熱剤から選択される1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれかに記載された硬化性オルガノポリシロキサン組成物を利用した光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着促進剤、これを含む組成物および前記組成物を利用した光学素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
硬化性オルガノシロキサンの接着促進剤としては代表的に韓国特許1,285,145号に記述された通り、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、エポキシ基を同時に5モル%以上含むオルガノシロキサンが挙げられる。しかしこの先行技術に開示された技術の場合、前記それぞれの官能基を5モル%以上導入することによって、有機樹脂プラスチック基材または金属基材に対する接着力は全般的に優秀であると示されたが、高温または高温高湿条件に長時間露出時に不安定なアルコキシ基によって下記のような問題点が発生する可能性が高い。具体的には、前記の接着促進剤が硬化性オルガノシロキサン組成物を金属または有機樹脂で作られた基材などに熱硬化で接着する場合に、アルコキシ基の縮合により発生するアルコールがオルガノシロキサン硬化物基材の間の界面を通じて揮発されながら硬化物と基材の間の接着力を弱化させる。したがって、半導体素子をシーリング時に前記構造の接着促進剤を用いる場合、光半導体デバイスの信頼性が低下し得る。
【0003】
その他に韓国特許1,278,456号は接着促進剤にヒドロシリル基を含有することによって主剤と硬化剤で構成される二液型硬化性オルガノポリシロキサンの構成で硬化剤パートにだけ配合しなければならない制限事項がある。
【0004】
また、屈折率が低く、高屈折形態の硬化性オルガノシロキサンに投入時に硬化物の光透過率が顕著に低下するので光半導体デバイス用に使用し難い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第1,285,145号
【特許文献2】韓国登録特許第1,278,456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は接着促進剤、これを含む組成物および前記組成物を利用した光学素子に関するもので、前記接着促進剤を用いることによって、硬化性オルガノシロキサン組成物の接着力を高め、前記組成物を利用した光学素子の層間接着力弱化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は接着促進剤、これを含む組成物および前記組成物を利用した光学素子に関するものである。
【0008】
前記接着促進剤の一つの例として、下記の化学式1を満足する接着促進剤を提供することができる。
【0009】
[化学式1]
RaSiO(4-a)/2
前記化学式1で、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基またはエポキシ含有有機基を現わし、aは1.0≦a<4.0の条件を満足する数であり、R中の一つ以上は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基およびハロゲン基からなる群から選択される一つ以上の置換基で置換または非置換され、1個の分子内に、アリール基の含量はRで表示されるすべての置換基の20モル%以上であり、エポキシ含有有機基の含量はRで表示されるすべての置換基の15〜30モル%で、アルコキシ基の含量はRで表示されるすべての置換基の5モル%以下であり、アルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比は0.3:1〜1.2:1である。
【0010】
また、前記接着促進剤を含む組成物の一つの例として、下記の化学式2のオルガノシロキサン;下記の化学式3のオルガノシロキサン;および前記接着促進剤を含む硬化性オルガノシロキサン組成物を提供することができる。
【0011】
[化学式2]
RbSiO(4-b)/2
前記化学式2で、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であるものの、1個の分子内に、2個以上のRはアルケニル基であり、bは0.5≦b≦3の条件を満足する数であり、
【0012】
[化学式3]
RcSiO(3-c)/2
前記化学式3で、
Rは水素または炭素数1〜10の炭素原子を有し、不飽和脂肪族結合を有しない、1価炭化水素基であるものの、1個の分子内に、2個以上のRは水素基であり、cは0.5≦c≦3の条件を満足する数である。
【0013】
また、前記組成物を利用した光学素子を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る接着促進剤はアリール基の含量は20モル%以上、エポキシ含有有機基の含量は15〜30モル%、アルコキシ基の含量は5モル%以下であり、アルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比を0.3:1〜1.2:1に制御することによって、これを含む硬化性オルガノシロキサン組成物の接着力を高めるとともに、前記組成物を利用した光学素子の層間接着力の弱化を防止することができ、素子のシーリング剤として用いる場合、素子に対する信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において重量部とは、個別成分間の含量比率を意味するもので、例えば成分の間の重量基準混合比率を意味し得る。
【0016】
本発明は接着促進剤、これの製造方法、これを含む組成物および前記組成物の硬化塗膜に関するもので、前記接着促進剤の一つの例として、下記の化学式1を満足する接着促進剤を提供することができる。
【0017】
[化学式1]
RaSiO(4-a)/2
前記化学式1で、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基またはエポキシ含有有機基を現わし、aは1.0≦a<4.0の条件を満足する数でありR中の一つ以上は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基およびハロゲン基からなる群から選択される一つ以上の置換基で置換または非置換され、1個の分子内に、アリール基の含量はRで表示されるすべての置換基の20モル%以上であり、エポキシ含有有機基の含量はRで表示されるすべての置換基の15〜30モル%、アルコキシ基の含量はRで表示されるすべての置換基の5モル%以下であり、アルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比は0.3:1〜1.2:1である。
【0018】
具体的には、前記化学式1のRの定義において、例えば、アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基またはオクタデシル基を含み、シクロアルキル基は、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基を含み、アルケニル基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基またはヘキセニル基を含み、アリール基は、フェニル基、トリル基、キシリル基またはナブチル基を含み、アリールアルキル基は、ベンジル基、フェネチル基または3-フェニルプロピル基を含み、エポキシ含有有機基は、2-グリシドキシエチル、3-グリシドキシプロピル、4-グリシドキシブチル、類似のグリシドキシアルキル基、2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)-エチル、3-(3、4-エポキシシクロヘキシル)-プロピル、類似のエポキシシクロヘキシルアルキル基、4-オキシラニルブチル、8-オキシラニルオクチル、またはオキシラニルアルキル基を含むことができる。
【0019】
また、1〜3個のハロゲン基で置換されたアルキル基は例えば、3、3、3-トリフルオロプロピル基または3-クロロプロピル基を含むことができる。
【0020】
また、場合によって、1個の分子に少なくとも2個以上のアルケニル基および1個以上のエポキシ含有有機基を含むことができる。
【0021】
この時、前記化学式1で、Rの一部であるアルコキシ基の含量が5モル%以上に高い場合、高温で進行されるオルガノポリシロキサン硬化過程で、これに含まれたアルコキシ基と待機中の水分との熱縮合反応によってアルコール類が副産物で発生する可能性が非常に高い。このようなアルコール類の沸点は硬化性オルガノポリシロキサンの一般的な硬化温度より非常に低く、蒸気状態で揮発することになり、この時、揮発成分がオルガノポリシロキサン硬化塗膜と半導体デバイス基材の界面の間に抜け出して接着力を弱化させる結果を招く。
【0022】
前記アルコキシ基は接着促進剤合成時、分子内に残存するアルコキシ基をボディング(bodying)することで5モル%以下に除去することができる。例えば、前記アルコキシ基の含量は0.1〜5モル%、1〜4.5モル%または1〜3モル%の範囲であり得る。
【0023】
これとともに、前記化学式1で、1個の分子内にアルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比を0.3:1〜1.2:1に制御することによって、接着促進剤の接着力を向上させることができる。具体的には、アルケニル基とエポキシ含有有機基の含量をすべて上げるとともに、前記アルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比を0.5:1〜1.2:1、0.8:1〜1.2:1または1:1に制御することができる。この時、アルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比が1:1に近接するほど接着力が向上することが確認した。
【0024】
また、1個の分子内でアルケニル基とエポキシ基の総含量が高く、そのモル比が1:1に近接しても20モル%以上のアリール基を含有しないと接着力の向上を図ることができないことが確認した。
【0025】
結果的に、本発明に係る接着促進剤は、1個の分子内に、アリール基の含量、エポキシ含有有機基の含量、アルコキシ基の含量およびアルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比を前記範囲に調節することによって、高い接着力を向上させ、後ほどこれを含む硬化塗膜を製造した時に接着力弱化を防止することができる。
【0026】
前記接着促進剤の粘度は10〜60,000cPであり、重量平均分子量は(M.W.)1,000〜10,000であり得る。
【0027】
例えば、前記接着促進剤の粘度は、10〜12,000cp、1,000〜30,000cp、5,000〜59,000cpまたは50,000〜59,000cp範囲であり、重量平均分子量は2,000〜9,000、2,000〜6,000または7,000〜9,000範囲であり得る。前記接着促進剤の粘度および重量平均分子量を同時に満足することによって、接着促進剤の分散性を向上させることができる。
【0028】
本発明において、前記接着促進剤を含む組成物の一つの例として、党分野で一般的に用いられる方法を用いてその組成物を製造することができ、少なくとも次のような成分を含む。
【0029】
下記の化学式2のオルガノシロキサン;下記の化学式3のオルガノシロキサン;および第1項に係る接着促進剤を含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物:
【0030】
[化学式2]
RbSiO(4-b)/2
前記化学式2で、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であるものの、1個の分子内に、2個以上のRはアルケニル基であり、bは0.5≦b≦3の条件を満足する数であり、
【0031】
[化学式3]
RcSiO(3-c)/2
前記化学式3で、Rは水素または炭素数1〜10の炭素原子を有し、不飽和脂肪族結合を有しない、1価炭化水素基であるものの、1個の分子内に、2個以上のRは水素基であり、cは0.5≦c≦3の条件を満足する数である。
【0032】
前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、化学式2のオルガノシロキサン100重量部;化学式3のオルガノシロキサン1〜100重量部;および本発明に係る接着促進剤0.005〜50重量部を含むことができる。
【0033】
この時、本発明に係る接着促進剤は前記説明した化学式1の接着促進剤を意味し得る。
【0034】
前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物の含量を前記範囲に調節することによって、発光ダイオードをはじめとする光学素子のシーリング用として用い、層間の高接着力を現わし、硬化後、接着力弱化を防止でき、装置のシーリング剤として用いる場合、素子に対する経済性〜信頼性を確保することができる。
【0035】
前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物はヒドロシリル化触媒をさらに含むことができ、ヒドロシリル化触媒は白金微粉、白金黒(platinum black)、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変成物、塩化白金酸/ジオレフィン錯体、白金/オレフィン錯体、白金-カルボニル錯体(例えば、白金ビス(アセトアセテート)および白金ビス(アセチルアセトネート))、塩化白金酸/アルケニルシロキサン錯体(例えば、塩化白金酸/ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体および塩化白金酸/テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン錯体)、白金/アルケニルシロキサン錯体(例えば、白金/ジビニルテトラメチルシロキサン錯体および白金/テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン錯体)および塩化白金酸とアセチレンアルコールの錯体などを含むことができる。この時、最も好ましくは白金/アルケニルシロキサン錯体を含むことができる。
【0036】
前記錯体をためのアルケニルシロキサンとしては1、3-ジビニル-1、1、3、3-テトラメチルシロキサン;1、3、5、7-テトラメチル-1、3、5、7-テトラビニルシクロテトラシロキサン;アルケニルシロキサンのメチル部分が、エチル、フェニルなどで置換されることによって、収得されたアルケニルシロキサンオリゴマー;およびアルケニルシロキサンのビニル部分が、アリルまたはヘキセニルなどで置換されることによって収得されたアルケニルシロキサンオリゴマーなどを含むことができる。この中でも優秀な安定性を有する白金/アルケニルシロキサン錯体を生成するためには、1、3-ジビニル-1、1、3、3-テトラメチルシロキサンが好ましい。
【0037】
前記白金-シロキサン錯体はキシレンなどの有機溶媒に溶解した状態で組成物に含まれ得る。
【0038】
ヒドロシリル化触媒は本発明の組成物の硬化を促進するために含むが、この配合量は特に限定されない。例えば、ヒドロシリル化反応用触媒は全体組成物の中で0.1〜100ppmまたは0.5〜30ppmで含まれることがある。ヒドロシリル化触媒を前記範囲内で含むことによって、硬化時に硬化速度が遅くなったり硬化されないことを防止でき、着色のような問題が発生して機能上問題が発生することを防止することができる。
【0039】
前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物は反応遅延剤をさらに含むことができる。
【0040】
前記反応遅延剤は、組成物内に場合によって微量含むが、反応遅延剤として例えば、2-フェニル-3-ブチン-2-オル(2-phenyl-3-butyn-2-ol)などを用いることができる。反応遅延剤の含量は組成物全体100重量部を基準として0.008重量部以下で含むことができる。例えば、前記遅延剤の含量は0.0001〜0.008重量部を含むことができる。遅延剤の含量を前記範囲で調節することによって、硬化速度が遅くなることを防止することができる。
【0041】
また、硬化性オルガノポリシロキサン組成物は本発明の目的に反しない限り、不活性充填剤;補強性充填剤;非補強性充填剤;殺菌剤;香料;流動学的添加剤;腐食抑制剤;酸化抑制剤;光安定化剤;難燃剤;電気的特性に影響を及ぼす製剤;分散剤;溶媒;結合剤;顔料;染料;仮焼化剤;有機重合体;熱安定化剤;酸化物または窒化物のナノ粒子;防炎剤;および耐熱剤から選択される1種以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0042】
本発明において、前記接着促進剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記の化学式aを満足する化合物にアルカリ触媒を混合する段階を含む接着促進剤を製造することができる。
【0043】
[化学式a]
RdSiO(4-d)/2
前記化学式aで、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、エポキシ含有有機基またはヒドロキシ基を現わし、dは1.0≦d<4.0の条件を満足する数であり、R中の一つ以上は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基およびハロゲン基からなる群から選択される一つ以上の置換基で置換または非置換される。
【0044】
この時、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基およびエポキシ含有有機基は前述した説明と同一であり、前記化学式2の化合物は線形結合を有することもでき、環状結合を有することもできる。
【0045】
具体的には、前記接着促進剤の製造方法として、前記化学式2の化合物にアルカリ触媒を投入および加熱して縮合反応または平衡化反応を進めることによって製造することができる。
【0046】
前記のアルカリ触媒としてはアルカリ金属ヒドロキシド;およびアルカリ金属ヒドロキシドシリル化された化合物を含むことができる。
【0047】
また、場合によって、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、またはこれらシリル化された化合物を含むことができる。
【0048】
この時、前記アルカリ金属ヒドロキシドは、ナトリウムヒドロキシド、リチウムヒドロキシド、カリウムヒドロキシド、ルビジウムヒドロキシド、セシウムヒドロキシド、フランシウムヒドロキシドを意味し得る。
【0049】
前記アルカリ触媒の含量は接着促進剤反応物全体に対して、1〜2,000ppmで含むことができる。例えば、1〜1,000ppmまたは3〜100ppmの含量で含むことができる。アルカリ触媒の含量を前記範囲内で調節することによって、反応速度の維持が容易で、変色または白濁現象の防止効果が優秀であり、最終製品のアルカリイオン含量を最小化して経済的側面で好ましい。
【0050】
本発明は前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物を利用した光学素子を提供することができる。
【0051】
具体的には、前記説明したような組成を有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物を半導体デバイス、電気/電子用部品、光半導体デバイスなどのような光学素子において、接着剤、コーティング剤、ポーティング剤、シーリング剤、被覆剤などとして用いて、必要とする部位に塗布した後、硬化して該当機能を遂行するようにすることができる。
【0052】
この時、硬化形態と硬化方法は特に限定されない。例えば、前記組成物の硬化物はJISK6251条件で測定した伸び率は60%以上であり得る。例えば、前記伸び率は60〜80%または60〜70%範囲で、機械的性質が優秀であることが確認できる。
【0053】
また、二つのポリフタルアミド(PPA)樹脂板の間に組成物を塗布して硬化させた後、前記二つのポリフタルアミド樹脂板を引張強度試験機を利用して互いに反対方向に引っ張って破裂する時点の接着力を測定した時の接着強度は35kgf/cm以上であり得る。
【0054】
具体的には、前記二つのポリフタルアミド樹脂板の間に本発明に係る硬化性オルガノポリシロキサン組成物を充填し、硬化させて硬化物を製造し、前記硬化物に対して前記条件で測定した接着強度は35〜50kgf/cmまたは35〜40kgf/cm範囲であり得る。
【0055】
また、二つのシルバー板の間に組成物を塗布して硬化させた後、前記二つのシルバー板を引張強度試験機を利用して互いに反対方向に引っ張って破裂する時点の接着力を測定した時の接着強度は79kgf/cm以上であり得る。
【0056】
この場合にも前記ポリフタルアミド樹脂板を利用した場合と同じ方式で硬化物を製造した後、接着強度を測定したもので、例えば、79〜90kgf/cmまたは79〜86kgf/cmの接着強度を示すことができる。
【0057】
結果的に、本発明に係る接着促進剤のように、アルコキシ基、アリール基、エポキシ含有有機基の含量およびアルケニル基とエポキシ含有有機基のモル比を前記範囲で調節することによって、これを含む硬化物の高い機械的物性および接着強度を具現することができることが確認できる。
【0058】
以下、実施例などを通して本発明をさらに詳細に説明する。本発明の実施例などは発明の詳細な説明のためのものに過ぎず、これによって権利範囲を制限しようとするものではない。
【0059】
製造例1:接着促進剤の製造
温度計、撹はん器および還流冷却器が装着されたフラスコ内にα、ω-ヒドロキシジメチルシリル-メチルフェニルポリシロキサン20.4g、ピニルメチルシクロシロキサン15.2g、グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン40.6g、フェニルトリメトキシシラン29.7gを投入した後、40℃に昇温させた後、ポタシウムヒドロキシド溶液を0.38g投入して80℃に昇温し、1時間の間反応させた。その後、蒸溜水21.1gを投入した後、同一温度で3時間の間反応をさらに維持した。
【0060】
引き続き、ディーンースターク(Dean-stark)管を設置した後、窒素を吹き込みながら反応副産物であるメタノールと蒸溜水を除去した後、トルエン32.1gを投入して105℃で反応物が透明になるまで還流を進めた。その次に、80℃でアルミニウムシリケートおよびマグネシウムシリケートをそれぞれ2.1gずつ添加して1時間維持した。その次に、反応物を濾過して濾過された溶液を含んだトルエンおよび低沸点物質を減圧および加熱蒸留して粘度が58,000cPで重量平均分子量(M.W.)が8,600である淡黄色の透明液体を得た。H-NMRおよびSi29-NMR分析結果、生成物はR1.49SiO1.25の構造を有し、すべてのRグループに対してメトキシ基2.78モル%、ビニル基13.1モル%、エポキシ基16.8モル%、フェニル基24.7モル%であった。
【0061】
製造例2:接着促進剤の製造
温度計、撹はん器および還流冷却器が装着されたフラスコ内にα、ω-ヒドロキシジメチルシリル-メチルフェニルポリシロキサン34.0g、ピニルメチルシクロシロキサン12.9g、グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン55.6gを投入して40℃に昇温させた後、ポタシウムヒドロキシド溶液を0.38g投入後、80℃に昇温し、1時間の間反応した。その後、蒸溜水16.3gを投入した後、同一温度で3時間の間反応を維持した。
【0062】
その次に、ディーンースターク管を設置した後、窒素を吹き込みながら反応副産物であるメタノールと蒸溜水を除去後、トルエン36.8gを投入して105℃で反応物が透明になるまで還流を進めた。その後、80℃でアルミニウムシリケートおよびマグネシウムシリケートをそれぞれ2.4gずつ添加して1時間の間維持した。その次に、反応物を濾過して濾過された溶液を含んだトルエンおよび低沸点物質を減圧および加熱蒸留して粘度5,043cPで重量平均分子量(M.W.)3,714である淡黄色の透明液体を得た。H-NMRおよびSi29-NMRを分析結果生成物は、R2.17SiO0.92の構造を有し、すべてのR基に対してメトキシ基0.31モル%、ビニル基12.07モル%、エポキシ基20.5モル%、フェニル基21.0モル%であった。
【0063】
製造例3:接着促進剤の製造
温度計、撹はん器および還流冷却器が装着されたフラスコ内にα、ω-ヒドロキシジメチルシリル-メチルフェニルポリシロキサン40.8g、ピニルメチルシクロシロキサン8.6g、グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン59.6gを投入して40℃に昇温させた後、ポタシウムヒドロキシド溶液を0.39g投入後80℃に昇温し、1時間の間反応した。その後、蒸溜水16.3gを投入した後、同一温度で3時間の間反応を維持した。
【0064】
その次に、ディーンースターク管を設置した後、窒素を吹き込みながら反応副産物であるメタノールと蒸溜水を除去後トルエン37.6gを投入して105℃で反応物が透明になるまで還流を進めた。以後80℃でアルミニウムシリケートおよびマグネシウムシリケートをそれぞれ2.5gずつ添加して1時間維持した。その次に、反応物を濾過して濾過された溶液を含んだトルエンおよび低沸点物質を減圧および加熱蒸留して粘度5,459cPで重量平均分子量(M.W.)2,861である淡黄色の透明液体を得た。H-NMRおよびSi29-NMRを分析結果生成物はR1.32SiO1.34の構造を有し、すべてのR基に対してメトキシ基0.29モル%、ビニル基7.98モル%、エポキシ基20.7モル%、フェニル基24.6モル%であった。
【0065】
製造例4:接着促進剤の製造
温度計、撹はん器および還流冷却器が装着されたフラスコ内にα、ω-ヒドロキシジメチルシリル-メチルフェニルポリシロキサン27.2g、ピニルメチルシクロシロキサン13.8g、グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン30.7gを投入して40℃に昇温させた後、ポタシウムヒドロキシド溶液を0.32g投入後80℃に昇温し、1時間の間反応した。その後、蒸溜水14.9gを投入した後、同一温度で3時間の間反応を維持した。
【0066】
その次に、ディーンースターク管を設置した後、窒素を吹き込みながら反応副産物であるメタノールと蒸溜水を除去後トルエン45.7gを投入して105℃で反応物が透明になるまで還流を進めた。以後80℃でアルミニウムシリケートおよびマグネシウムシリケートをそれぞれ1.8gずつ添加して1時間維持した。その次に、反応物を濾過して濾過された溶液を含んだトルエンおよび低沸点物質を減圧および加熱蒸留して粘度10,475cPで重量平均分子量(M.W.)5,831である淡黄色の透明液体を得た。H-NMRおよびSi29-NMRを分析結果生成物はR1.30SiO1.35の構造を有し、すべてのR基に対してメトキシ基2.81モル%、ビニル基14.45モル%、エポキシ基12.26モル%、フェニル基28.31モル%であった。
【0067】
比較製造例1:接着促進剤の製造
温度計、撹はん器および還流冷却器が装着されたフラスコ内にα、ω-ヒドロキシジメチルシリル-メチルフェニルポリシロキサン40.8g、ピニルメチルシクロシロキサン8.6g、グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン33.2g、ポタシウムかも遊ぶレートを0.08g投入後150℃に昇温させて4時間の間反応した。
【0068】
80℃で冷却後アルミニウムシリケートおよびマグネシウムシリケートをそれぞれ2.9gずつ添加して1時間維持した。反応物を濾過して濾過された溶液を含んだトルエンおよび低沸点物質を減圧および加熱蒸留して粘度80cPで重量平均分子量(M.W.)992である淡黄色の透明液体を得た。H-NMRおよびSi29-NMRを分析結果生成物はR2.27SiO0.86の構造を有し、すべてのR基に対してメトキシ基24.9モル%、ビニル基7.1モル%、エポキシ基11.0モル%、フェニル基24.6モル%であった。
【0069】
比較製造例2:接着促進剤の製造
温度計、撹はん器および還流冷却器が装着されたフラスコ内にα、ω-ヒドロキシジメチルシリル-メチルフェニルポリシロキサン27.2g、ピニルメチルシクロシロキサン17.2g、グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン59.5gを投入して40℃で昇温した後、ポタシウムヒドロキシド溶液を0.37g投入後80℃に昇温し、1時間の間反応した。蒸溜水16.3gを投入した後、同一温度で3時間の間反応を維持した。
【0070】
その次に、ディーンースターク管を設置した後、窒素を吹き込みながら反応副産物であるメタノールと蒸溜水を除去後トルエン31.2gを投入して105℃で反応物が透明になるまで還流を進めた。以後80℃でアルミニウムシリケートおよびマグネシウムシリケートをそれぞれ2.1gずつ添加して1時間維持した。その次に、反応物を濾過して濾過された溶液を含んだトルエンおよび低沸点物質を減圧および加熱蒸留して粘度3,461cPで重量平均分子量(M.W.)3,846である淡黄色の透明液体を得た。H-NMRおよびSi29-NMRを分析結果生成物はR1.31SiO1.34の構造を有し、すべてのR基に対してメトキシ基0.52モル%、ビニル基15.86モル%、エポキシ基20.32モル%、フェニル基17.28モル%であった。
【0071】
比較製造例3:接着促進剤の製造
温度計、撹はん器および還流冷却器が装着されたフラスコ内にα、ω-ヒドロキシジメチルシリル-メチルフェニルポリシロキサン40.8g、ピニルメチルシクロシロキサン2.2g、グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン77.0gを投入して40℃で昇温した後、ポタシウムヒドロキシド溶液を0.43g投入後80℃に昇温し、1時間の間反応した。蒸溜水21.1gを投入した後、同一温度で3時間の間反応を維持した。
【0072】
その次に、ディーンースターク管を設置した後、窒素を吹き込みながら反応副産物であるメタノールと蒸溜水を除去後トルエン60.1gを投入して105℃で反応物が透明になるまで還流を進めた。以後80℃でアルミニウムシリケートおよびマグネシウムシリケートをそれぞれ2.4gずつ添加して1時間維持した。その次に、反応物を濾過して濾過された溶液を含んだトルエンおよび低沸点物質を減圧および加熱蒸留して粘度10,985cPで重量平均分子量(M.W.)1,718である淡黄色の透明液体を得た。H-NMRおよびSi29-NMRを分析結果生成物はR1.5SiO1.3の構造を有し、すべてのR基に対してメトキシ基0.33モル%、ビニル基2.00モル%、エポキシ基27.24モル%、フェニル基25.18モル%であった。
【0073】
比較製造例4:接着促進剤の製造
温度計、撹はん器および還流冷却器が装着されたフラスコ内にα、ω-ヒドロキシジメチルシリル-メチルフェニルポリシロキサン40.8g、ピニルメチルシクロシロキサン8.6g、グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン5.9gを投入して40℃で昇温した後、ポタシウムヒドロキシド溶液を0.43g投入後80℃に昇温し、1時間の間反応した。蒸溜水21.1gを投入した後、同一温度で3時間の間反応を維持した。
【0074】
その次に、ディーンースターク管を設置した後、窒素を吹き込みながら反応副産物であるメタノールと蒸溜水を除去後トルエン60.1gを投入して105℃で反応物が透明になるまで還流を進めた。以後80℃でアルミニウムシリケートおよびマグネシウムシリケートをそれぞれ2.4gずつ添加して1時間維持した。反応物を濾過して濾過された溶液を含んだトルエンおよび低沸点物質を減圧および加熱蒸留して粘度6,180cPで重量平均分子量(M.W.)25,395である淡黄色の透明液体を得た。H-NMRおよびSi29-NMRを分析結果生成物はR1.9SiO1.1の構造を有し、すべてのR基に対してメトキシ基1.35モル%、ビニル基11.19モル%、エポキシ基2.81モル%、フェニル基34.20モル%であった。
【0075】
結果的に、前記製造例1〜4および比較製造例1〜4で製造された接着促進剤の粘度;分子量;Rグループに対するメトキシ基、ビニル基(アルケニル基)、エポキシ基およびフェニル基(アリール基)の含量;およびビニル基/エポキシ基のモル比(アルケニル基/エポキシ基)を整理すれば下記の表1の通りである。
【0076】
この時、粘度はブルックフィールド粘度計(Brookfield viscometer)を利用して25℃で測定した。
【0077】
【表1】
【0078】
前記表1を参照すれば、本発明に係る接着促進剤は粘度が5,000〜60,000cPで、重量平均分子量は2,000〜10,000MWであり、メトキシ基、ビニル基、エポキシ基、フェニル基およびビニル基とエポキシ基のモル比を前記説明した範囲内で満足することが確認できた。
【0079】
これに反し、比較製造例1の場合には、メトキシ基の含量が24.9mol%と、5mol%未満である本願と比較して顕著に高いことが確認でき、比較製造例2の場合には、フェニル基の含量が17.3mol%と、20mol%以上である本願と比較して足りないことが確認できた。また、比較製造例3の場合には、ビニル基/エポキシ基のモル比が0.07と、0.3〜1.2である本願と比較して顕著に低いことが確認でき、比較製造例4の場合には、ビニル基/エポキシ基のモル比が3.98と、0.3〜1.2である本願と比較して顕著に高いことが確認できた。
【0080】
実施例1、2、参考例1、2および比較例1〜4:硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造
A-1)平均化学式(CHSiO3/2)0.8[(CH)(CH=CH)SiO1/2]0.2と表示され、重量平均分子量が2,000MWであるオルガノポリシロキサン
A-2)平均化学式[(CH)(CH)SiO2/2]0.2[(CH)SiO3/2]0.8と表示され、重量平均分子量が1、300MWであるオルガノポリシロキサン
A-3)平均化学式(CHSiO3/2)0.25[(CH)(CH=CH)SiO1/2]0.75と表示され、重量平均分子量が700MWであるオルガノポリシロキサン
B)平均化学式[(CH)SiO2/2]0.33[(CH)HSiO1/2]0.67と表示され、重量平均分子量が330MWであるオルガノポリシロキサン
C)1、3-ジビニルテトラメチルシロキサンの白金錯物
D)遅延剤および添加剤
【0081】
前記A-1〜A-3、B、CおよびDを同じ比率で混合した5種の硬化性オルガノポリシロキサンサンプルを用意し、前記サンプルに製造例1〜4および比較製造例1〜4で製造した接着促進剤を混合して硬化性オルガノシロキサンを製造した。具体的な含量は下記の表2に示した。
【0082】
【表2】
【0083】
前記製造された組成物の物性である粘度と屈折率を測定した。測定条件を下記に記載し、その結果は下記の表3に示した。
(1)粘度:Anton Paar社で製作したレオメータ(Rheometer、モデル名MCR301)を利用して25℃で測定した。
(2)屈折率:25℃でアッベ屈折計(AbbeRefractometer)を利用して589nmで測定した。
【0084】
【表3】
【0085】
実験例:硬化塗膜の物性測定
前記実施例1、2、参考例1、2および比較例1〜4で製造された硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化して製造した硬化塗膜に対して物性を測定した。具体的な条件は下記に記載し、その結果は下記の表4に示した。
(1)硬度:硬化性オルガノポリシロキサン組成物を2mm厚さのシートを成形することができるモルドで150℃、3時間の間硬化した後、3重に重ねてShore D型硬度計で測定した。
(2)引張強度および伸び率:JISK6251に従うダンベル(dumbbell)No.3試片形態の硬化体は150℃で3時間の間硬化性オルガノポリシロキサン組成物を圧縮成形して製造した。その後、収得した硬化物の引張り強度はJISK6251により測定した。
(3)ポリフタルアミド(PPA)に対する接着強度:二つのポリフタルアミド(PPA)樹脂板(幅25mm、長さ50mmおよび厚さ2mm)の間に硬化性オルガノポリシロキサン組成物を充填し、150℃で3時間の間熱風循環オーブンの中で硬化させる。その後、前記二つのポリフタルアミド(PPA)樹脂板を引張強度試験機を利用して互いに反対方向でに引張り、破裂する時点の接着力を測定した。
(4)シルバー(Ag)に対する接着強度:二つのシルバー板(幅25mm、長さ50mmおよび厚さ2mm)の間に硬化性オルガノポリシロキサン組成物を充填して150℃で3時間の間熱風循環オーブンの中で硬化させる。その後、前記二つのシルバー板(Ag)を引張強度試験機を利用して互いに反対方向に引張り、破裂する時点の接着力を測定する。
【0086】
【表4】
【0087】
前記表4を参照すれば、本発明に係るメトキシ基、アルケニル基、エポキシ基およびアリール基の含量とアルケニル基とエポキシ基のモル比を満足する接着促進剤を用いた実施例1、2、参考例1、2の場合、比較例1〜4と比較して、硬度、伸び率、引張り強度および接触強度において、同一乃至顕著に優秀な物性を示すことが確認できた。