特許第6343315号(P6343315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6343315
(24)【登録日】2018年5月25日
(45)【発行日】2018年6月13日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20180604BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20180604BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20180604BHJP
【FI】
   H05K7/20 H
   G06F1/20 B
   G06F1/20 C
   H01L23/46 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-179586(P2016-179586)
(22)【出願日】2016年9月14日
(65)【公開番号】特開2018-46146(P2018-46146A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大山 敦史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 央
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 肇
(72)【発明者】
【氏名】星野 鷹典
【審査官】 鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−228985(JP,A)
【文献】 実開昭50−141160(JP,U)
【文献】 特開2013−251452(JP,A)
【文献】 特開2011−139029(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0002375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
G06F 1/20
H01L 23/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の壁部に形成された排気口と、
前記筐体内に配置され、前記排気口に向けて送風するファンと、
該ファンの送風出口と前記排気口との間を接続する排気ダクトと、
該排気ダクトを前記排気口が形成された前記壁部に対して付勢する付勢部材と、
を備え
前記付勢部材は、前記排気ダクトに一体的に形成されたバネ片とされ、
前記バネ片の一端が、前記ファンの前記送風出口に係止されている電子機器。
【請求項2】
前記バネ片は、前記排気ダクトの壁部を切り欠いて形成した切り起こし部とされている請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
前記排気ダクトは、前記排気口の全体を包囲するように前記筐体の前記壁部に当接する請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記排気ダクトは、樹脂製とされている請求項1からのいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコン等の電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノート型パソコン等の電子機器には、CPU等の発熱要素からの熱を除去するために冷却ファンが設けられている。冷却ファンは、電子機器の筐体内の空気を壁部に形成された排気口から外部へと排出する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−24615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、冷却ファンの出口部と、排気口が形成された壁部との間に隙間があった場合には、一部の排出空気が筐体外へと導かれずに筐体内に逆流するおそれがある。このように排出空気が筐体内に逆流すると筐体内の熱が筐体外へと排出することができず、冷却性能が低下してしまう。
【0005】
上述のような排出空気の逆流を防止するために、図7及び図8に示すように、冷却ファン30’の出口部31’と筐体10との間にスポンジ40’等の伸縮性のある発泡材を介在させることが考えられる。しかし、スポンジ40’を設けても、組立誤差等によってスポンジ40’の潰し代を一定にすることができず、潰し代が小さい場合には隙間を十分に埋めることができず逆流を防止できないおそれがある。また、潰し代が大きい場合にはスポンジ40’を過剰に潰してしまい筐体10に形成された排気口23からスポンジ40’が露出してしまうおそれがあり、美観上好ましくない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ファンからの流体を逆流させることなく筐体の外部へと確実に排出できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は以下の手段を採用する。
本発明の電子機器は、筐体の壁部に形成された排気口と、前記筐体内に配置され、前記排気口に向けて送風するファンと、該ファンの送風出口と前記排気口との間を接続する排気ダクトと、該排気ダクトを前記排気口が形成された前記壁部に対して付勢する付勢部材とを備えている。
【0008】
さらに、本発明の電子機器では、前記付勢部材は、前記排気ダクトに一体的に形成されたバネ片とされ、前記バネ片の一端が、前記ファンの前記送風出口に係止されている。
【0009】
さらに、本発明の電子機器では、前記バネ片は、前記排気ダクトの壁部を切り欠いて形成した切り起こし部とされている。
【0010】
さらに、本発明の電子機器では、前記排気ダクトは、前記排気口の全体を包囲するように前記筐体の前記壁部に当接する。
【0011】
さらに、本発明の電子機器では、前記排気ダクトは、樹脂製とされている。
【発明の効果】
【0012】
排気ダクトを付勢部材によって排出口が形成された壁部に対して付勢することとしたので、排気ダクトの端部が壁部に対して確実に当接することになる。これにより、ファンから流出した流体を逆流させることなく筐体の外部へと確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の電子機器の一実施形態に係るノートPCを概略的に示した斜視図である。
図2】冷却装置の要部を左方から見た斜視図である。
図3】冷却装置に設けられたヒートパイプを示した平面図である。
図4】排気口周りを示した部分断面斜視図である。
図5】排気口周りを示した縦断面図である。
図6】排気口周りを示した平面図である。
図7】参考例としての排気口周りを示した部分断面斜視図である。
図8】参考例としての排気口周りを示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、ノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、単に「ノートPC」という。)1の斜視図が示されている。ノートPC1は、いわゆるクラムシェル型のラップトップPCである。ノートPC1は、本体筐体10及び蓋体11を備えている。
【0015】
本体筐体10は、上面部12、左側面部13、右側面部14、前面部15、後面部16及び図示せぬ底面部から構成される箱状物である。本体筐体10の上面部12には、キーボード装置17及びタッチパッド18が設けてある。キーボード装置17は、詳細は図に明示しないが、金属板によって構成したベース部材の上面にメンブレンスイッチシート及び複数のキー(トップ)17aを配置して構成した入力装置である。上面部12において手前側に位置する部位にはパームレスト19が設けられている。
【0016】
蓋体11は、本体筐体10の上面部12に対向する面に液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等から構成される表示装置21を備えたものであり、本体筐体10の奥側縁部にヒンジ部22によってその下端部が回動可能に支持されている。蓋体11は、本体筐体10に対して開いた場合に本体筐体10の手前側に向けて表示装置21を露出させるとともに、本体筐体10の上面を開放した状態となる。一方、ヒンジ部22を介して回動させれば、本体筐体10の上面部12及び表示装置21を同時に覆うカバーとして機能する。
【0017】
本体筐体10の左側面部13における奥側には、複数の排気口23が所定間隔を空けて前後方向に並んだ状態で形成されている。各排気口23は、本体筐体10の内部に設けられた冷却装置30(図2参照)から導かれる空気を外部に排出させるための矩形状の開口である。なお、図示は省略するが、本体筐体10の右側面部14や後面部16、あるいは底面部等には、他の排気口や、外部の空気を本体筐体10の内部に取り入れるための吸気口が設けられている。
【0018】
本体筐体10の内部には、CPU、メモリ、及び電源等の動作により発熱する複数の電子部品(図示せず)と、これら複数の電子部品を冷却させるための冷却装置30(図2参照)とが収容されている。
【0019】
図2は、冷却装置30の要部を左方から見た場合の斜視図であり、一部の内部構造を露出させた状態で示されている。冷却装置30は、本体筐体10の左側面部13の後面部16側に配置されている。なお、冷却装置30の位置はこの位置に限定されるものではない。
【0020】
冷却装置30は、放熱ユニット31及びファン装置33を備えた構成である。
放熱ユニット31は、ファン装置33から送出される空気の出口側(送風出口)に設けられている。放熱ユニット31は、上面を構成する上方伝熱板311と、下面を構成する下方伝熱板312とを備え、これら伝熱板311,312の間に複数の放熱部材である放熱フィン313が所定間隔を有して立設されている。放熱ユニット31の全体形状は、上下方向の寸法が水平方向の寸法よりも小さい偏平な直方体形状とされている。上方伝熱板311、下方伝熱板312及び放熱フィン313は、例えば銅やアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料から構成されている。
【0021】
放熱ユニット31には、放熱フィン313の並設方向(前後方向)に沿って多数の開口が形成されており、各開口から排気口23に向けて空気が導かれる。図2では示されていないが、放熱ユニット31の上方伝熱板311の上には、図3に示すように、ヒートパイプ314の一端314aが熱的に接続されている。なお、図3では、後述する排気ダクト40が外された状態で示されている。ヒートパイプ314の他端は、CPU等の図示しない発熱部品に対して熱的に接続されており、ヒートパイプ314によって発熱部品の熱が効果的に放熱されるようになっている。
【0022】
図2に示したファン装置33は、駆動源となるモータ部によって回転駆動される回転部332と、回転部332の外周側に設けられ、放射状に広がる複数枚の羽根を備えたインペラ部333と、これらを収納するファン筐体334とを備えている。ファン筐体334は、上面カバー部334a、側面カバー部334b及び下面カバー部とで構成されている。ファン装置33は、いわゆる遠心式ファンであり、駆動させた場合に回転部332の径方向(遠心方向)に空気を送り出すように構成されている。なお、ファン装置33は、各種タイプのファン装置を使用することができ、例えば、流体動圧軸受を使用したファン装置を使用することにしてもよい。
【0023】
図4及び図5には、本体筐体10と放熱ユニット31との間に設けられた排気ダクト40が示されている。排気ダクト40は、樹脂製とされており、矩形状の横断面を有する。排気ダクト40は、放熱ユニット31の外周を包囲するように設けられている。排気ダクト40は、本体筐体10に固定された冷却装置30に対して、排気口23方向に往復動可能に設けられている。排気ダクト40の先端部40aが、本体筐体10の左側面部(壁部)13に当接する。この先端部40aの横断面形状は、一方向に並んだ排気口23の全体を包囲する大きさとされている。すなわち、排気ダクト40の先端部40aは、全ての排気口23を包絡する形状よりも大きい形状とされている。
【0024】
排気ダクト40の側壁には、バネ片(付勢部材)41が設けられている。なお、図4及び図5には、一方の側壁に形成されたバネ片41のみが示されているが、他方の側壁にも同様のバネ片41が設けられている。
バネ片41は、排気ダクト40の側壁を切り欠いて形成した切り起こし部とされている。バネ片41は、排気ダクト40の側壁から外方に突出して再び側壁側に略U字状に折り返す湾曲部41aを有している。この湾曲部41aによって、バネ片41に対して弾性力が付与されている。
【0025】
湾曲部41aにて折り返した後のバネ片41の先端部41bは、図6に示されているように、放熱ユニット31の側壁に形成された係止穴31aに挿入される。バネ片41の先端部41bが係止穴31aに挿入されることによって、バネ片41が放熱ユニット31に対して係止される。これにより、排気ダクト40が、放熱ユニット31に対して進退可能とされつつ、本体筐体10側に付勢される。排気ダクト40が進退可能とされるストローク量は、例えば1〜2mmとされる。なお、図6に示された矢印Aは、排気される空気の流れを示している。
【0026】
上述したように、本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
【0027】
ファン装置33の送風出口である放熱ユニット31から流出した空気は、排気ダクト40を介して、本体筐体10の左側面部13に形成された排気口23から本体筐体10の外部へと排出される。排気ダクト40は、バネ片41によって排気口23が形成された壁部に対して付勢されているので、排気ダクト40の先端部40aが壁部に対して確実に押し付けられることになる。これにより、排気ダクト40の先端部40aと壁部との間の隙間を可及的に小さくすることができるので、ファン装置33から流出した空気が排気口23から流出せずに再び本体筐体10内に再循環して逆流することを防止できる。
また、ファン装置33に対して排気ダクト40及びバネ片41を設けるという簡便な構成によって、上記効果を発揮することができる。
【0028】
バネ片41を排気ダクト40に一体的に形成することで、排気ダクト40を付勢するための部材を省スペースにて簡便に設けることができる。省スペースにてバネ片41を設けることができるので、狭隘なスペースにも排気ダクト40を設置することができる。
バネ片41の先端部41bを放熱ユニット31の側壁に形成した係止穴31aに係止することにより、バネ片41の弾性力を用いて排気ダクト40を壁部に向けて付勢することができる。
【0029】
排気ダクト40の壁部を切り欠いて形成した切り起こし部を用いてバネ片41を形成することとしたので、省スペースにバネ片41を構成することができる。
【0030】
排気口23の全体を包囲するように排気ダクト40が本体筐体10の壁部に当接するようにしたので、本体筐体10の外側から排気口23を見込んでも排気ダクト40の先端部40aが現れることがない。これにより、ノートPC1の排気口23周りのデザイン性が向上する。
【0031】
排気ダクト40を樹脂製とすることで、金属製に比べて、ファン装置33から本体筐体10への熱伝導による熱の伝達を小さくすることができる。また、排気ダクト40を金属製とし、排気ダクト40と一体的にバネ片41を構成した場合には、過剰な付勢力となるおそれがある。したがって、適正な付勢力を付与するためには本実施形態のように排気ダクト40を樹脂製とすることが好ましい。
【0032】
なお、上述した実施形態では、バネ片41を排気ダクト40の側壁に設けることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、排気ダクト40の上壁及び/又は下壁に設けても良い。
【0033】
また、図5に破線で示すように、放熱ユニット31の壁部に対してマーキング42を設けても良い。このマーキング42が排気ダクト40の変位によって隠れることで、排気ダクト40が本体筐体10に当接したことを目視によって確認することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ノートPC(電子機器)
10 本体筐体(筐体)
11 蓋体
12 上面部
13 左側面部
14 右側面部
15 前面部
16 後面部
17 キーボード装置
17a キー(トップ)
18 タッチパッド
19 パームレスト
21 表示装置
22 ヒンジ部
23 排気口
30 冷却装置
31 放熱ユニット
311 上方伝熱板
312 下方伝熱板
313 放熱フィン
33 ファン装置
332 回転部
334 ファン筐体
334a 上面カバー部
334b 側面カバー部
40 排気ダクト
40a 先端部
41 バネ片(付勢部材)
41a 湾曲部
41b 先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8