【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、総務省、第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動先予測部は、前記移動速度が速い場合には、前記移動先エリアとなる前記メッシュを前記移動速度が遅い場合より多く設定することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
前記移動先予測部は、前記移動方向に基づいて、自装置が前記メッシュを対角方向に移動する場合には、前記移動先エリアとなる前記メッシュを、自装置が前記メッシュを平行方向に移動する場合より多く設定することを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
前記測定対象抽出部は、前記移動速度が速い場合には、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を、前記移動速度が遅い場合より多く抽出することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
前記測定対象抽出部は、前記移動方向に基づいて、自装置が前記メッシュを対角方向に移動する場合には、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を、自装置が前記メッシュを平行方向に移動する場合より多く抽出することを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記基地局装置の通信エリアの各位置での自装置の通信状況を、自装置の過去の通信状況に関する履歴情報として蓄積する情報格納部と、前記位置情報に基づいて、自装置の移動状態を推定する移動状態推定部と、前記移動状態に基づいて、自装置の移動先エリアを予測する移動先予測部と、前記移動先エリアに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、通信品質が所定の基準を満たす基地局装置を、通信品質の測定対象とする測定対象候補として抽出する測定対象抽出部と、この測定対象抽出部で抽出された前記測定対象候補に関する通信品質を測定する通信品質測定部と、を備え、前記情報格納部は、前記基地局装置の前記通信エリアを対象にして、所定の形状の均一な大きさのエリアからなるメッシュごとに前記履歴情報を蓄積し、前記移動状態推定部は、前記移動状態として自装置の移動速度を取得し、前記測定対象抽出部は、前記移動速度が速い場合には、前記移動先エリアとしての前記メッシュに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を抽出する処理を、前記移動速度が遅い場合より
も移動先の前記メッシュまでの距離が遠い位置で開始する構成とする。
【0013】
これによると、端末で行われる接続先探索(測定対象抽出および通信品質測定)の処理で、端末の移動状態に基づいて端末の移動先エリアを予測して、その移動先エリアの履歴情報に基づいて通信品質の測定対象を絞り込むため、最適な接続先を効率よく探し出すことができる。
また、移動先エリアとなるメッシュごとの履歴情報の参照による測定対象の抽出を適切に行うことができる。
【0014】
また、第2の発明は、基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記基地局装置の通信エリアの各位置での自装置の通信状況を、自装置の過去の通信状況に関する履歴情報として蓄積する情報格納部と、前記位置情報に基づいて、自装置の移動状態を推定する移動状態推定部と、前記移動状態に基づいて、自装置の移動先エリアを予測する移動先予測部と、前記移動先エリアに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、通信品質が所定の基準を満たす基地局装置を、通信品質の測定対象とする測定対象候補として抽出する測定対象抽出部と、この測定対象抽出部で抽出された前記測定対象候補に関する通信品質を測定する通信品質測定部と、を備え、前記情報格納部は、前記基地局装置の前記通信エリアを対象にして、所定の形状の均一な大きさのエリアからなるメッシュごとに前記履歴情報を蓄積し、前記移動状態推定部は、前記移動状態として自装置の移動方向を取得し、前記測定対象抽出部は、前記移動方向に基づいて、自装置が前記メッシュを対角方向に移動する場合には、前記移動先エリアとしての前記メッシュに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を抽出する処理を、自装置が前記メッシュを平行方向に移動する場合より
も移動先の前記メッシュまでの距離が遠い位置で開始する構成とする。
これによると、端末で行われる接続先探索(測定対象抽出および通信品質測定)の処理で、端末の移動状態に基づいて端末の移動先エリアを予測して、その移動先エリアの履歴情報に基づいて通信品質の測定対象を絞り込むため、最適な接続先を効率よく探し出すことができる。また、移動先エリアとなるメッシュごとの履歴情報の参照による測定対象の抽出を適切に行うことができる。
また、第3の発明は、前記移動状態推定部は、前記移動状態として自装置の移動速度を取得し、前記移動先予測部は、前記移動速度が速い場合には、前記移動先エリアを前記移動速度が遅い場合より大きく設定する構成とする。
【0015】
これによると、移動速度が速い場合に、接続先探索の処理が完了する前に、端末が移動先エリアを通り過ぎてしまうことで、接続先探索の処理が無駄になる不都合を避けることができる。
【0016】
また、
第4の発明
は、前記移動先予測部は、前記移動速度が速い場合には、前記移動先エリアとなる前記メッシュを前記移動速度が遅い場合より多く設定する構成とする。
【0017】
これによると、移動速度が速い場合に、接続先探索の処理が無駄になる不都合を避けることができる。
【0018】
また、
第5の発明
は、前記メッシュは、前記移動速度が速い場合に前記移動速度が遅い場合より大きく設定されている構成とする。
【0019】
これによると、移動速度が速い場合に、接続先探索の処理が無駄になる不都合を避けることができる。
【0020】
また、
第6の発明
は、前記移動先予測部は、前記移動方向に基づいて、自装置が前記メッシュを対角方向に移動する場合には、前記移動先エリアとなる前記メッシュを、自装置が前記メッシュを平行な方向に移動する場合より多く設定する構成とする。
【0021】
これによると、移動先エリアとなるメッシュの漏れをなくして、接続先探索の処理を適切に行うことができる。
【0026】
また、
第7の発明
は、前記測定対象抽出部は、前記移動速度が速い場合には、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を、前記移動速度が遅い場合より多く抽出する構成とする。
【0027】
これによると、測定対象の再抽出を避けて、接続先探索の処理を効率よく行うことができる。また、移動先エリアとなるメッシュごとの履歴情報の参照による測定対象の抽出を適切に行うことができる。
【0028】
また、
第8の発明
は、前記測定対象抽出部は、前記移動方向に基づいて、自装置が前記メッシュを対角方向に移動する場合には、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を、自装置が前記メッシュを平行方向に移動する場合より多く抽出する構成とする。
【0029】
これによると、測定対象の再抽出を避けて、接続先探索の処理を効率よく行うことができる。また、移動先エリアとなるメッシュごとの履歴情報の参照による測定対象の抽出を適切に行うことができる。
【0030】
また、
第9の発明は、
基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記基地局装置の通信エリアの各位置での自装置の通信状況を、自装置の過去の通信状況に関する履歴情報として蓄積する情報格納部と、前記位置情報に基づいて、自装置の移動状態を推定する移動状態推定部と、前記移動状態に基づいて、自装置の移動先エリアを予測する移動先予測部と、前記移動先エリアに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、通信品質が所定の基準を満たす基地局装置を、通信品質の測定対象とする測定対象候補として抽出する測定対象抽出部と、この測定対象抽出部で抽出された前記測定対象候補に関する通信品質を測定する通信品質測定部と、前記測定対象抽出部および前記通信品質測定部で行われる接続先探索処理を開始するタイミングを制御するタイミング制御部
と、を備え、前記移動状態推定部は、前記移動状態として自装置の移動速度を取得し、前記タイミング制御部は、前記移動速度、および現在の接続先と前記測定対象候補とで周波数が異なるか否かに基づいて、前記接続先探索処理を開始するタイミングを制御する構成とする。
【0031】
これによると、移動先エリアに進入するまでに接続先探索処理を完了させることができるため、移動先エリアに進入したタイミングで即座に最適な接続先に接続することができる。また、不要な接続先探索処理(測定)を回避して、端末の消費電力を低減することができる。
【0032】
また、
第10の発明は、
基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記基地局装置の通信エリアの各位置での自装置の通信状況を、自装置の過去の通信状況に関する履歴情報として蓄積する情報格納部と、前記位置情報に基づいて、自装置の移動状態を推定する移動状態推定部と、前記移動状態に基づいて、自装置の移動先エリアを予測する移動先予測部と、前記移動先エリアに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、通信品質が所定の基準を満たす基地局装置を、通信品質の測定対象とする測定対象候補として抽出する測定対象抽出部と、この測定対象抽出部で抽出された前記測定対象候補に関する通信品質を測定する通信品質測定部と、現在の通信状況に関する情報を取得して、その情報を前記履歴情報として登録する履歴登録部
と、を備え、前記移動状態推定部は、前記移動状態として自装置の移動速度を取得し、前記履歴登録部は、前記移動状態推定部から現在の移動速度を取得して、この現在の移動速度ごとに前記履歴情報を登録し、前記測定対象抽出部は、前記移動状態推定部から現在の移動速度を取得して、この現在の移動速度に該当する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を抽出する構成とする。
【0033】
これによると、移動速度に応じた最適な接続先を選択することができる。
【0034】
また、
第11の発明
は、前記履歴登録部は、前記現在の移動速度に応じて、前記履歴情報を登録する処理を実施する周期を変更する構成とする。
【0035】
これによると、メッシュの大きさを統一して、1つのデータベースに移動速度ごとの履歴情報を登録することができる。
【0036】
また、
第12の発明
は、前記履歴登録部は、前記履歴情報を登録する処理を一定の周期で行う構成とする。
【0037】
これによると、履歴登録処理が実施される間隔、すなわち、履歴情報が登録される位置の間隔が、端末の移動速度に応じて変化するが、同じ区域ではユーザの移動速度に大きな差異はないため、履歴登録処理の周期に応じた適切なタイミングで接続先探索処理を実施することができる。
【0038】
また、第13の発明は、端末装置と、この端末装置と無線通信を行う基地局装置と、を備えた通信システムであって、前記端末装置は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記基地局装置の通信エリアの各位置での自装置の通信状況を、自装置の過去の通信状況に関する履歴情報として蓄積する情報格納部と、前記位置情報に基づいて、自装置の移動状態を推定する移動状態推定部と、前記移動状態に基づいて、自装置の移動先エリアを予測する移動先予測部と、前記移動先エリアに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、通信品質が所定の基準を満たす基地局装置を、通信品質の測定対象とする測定対象候補として抽出する測定対象抽出部と、この測定対象抽出部で抽出された前記測定対象候補に関する通信品質を測定する通信品質測定部と、を備と、を備え、前記情報格納部は、前記基地局装置の前記通信エリアを対象にして、所定の形状の均一な大きさのエリアからなるメッシュごとに前記履歴情報を蓄積し、前記移動状態推定部は、前記移動状態として自装置の移動速度を取得し、前記測定対象抽出部は、前記移動速度が速い場合には、前記移動先エリアとしての前記メッシュに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を抽出する処理を、前記移動速度が遅い場合より
も移動先の前記メッシュまでの距離が遠い位置で開始する構成とする。
【0039】
これによると、第1の発明と同様に、端末で行われる接続先探索の処理で、端末の状態に基づいて、最適な接続先を効率よく探し出すことができる。
また、第14の発明は、端末装置と、この端末装置と無線通信を行う基地局装置と、を備えた通信システムであって、前記端末装置は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記基地局装置の通信エリアの各位置での自装置の通信状況を、自装置の過去の通信状況に関する履歴情報として蓄積する情報格納部と、前記位置情報に基づいて、自装置の移動状態を推定する移動状態推定部と、前記移動状態に基づいて、自装置の移動先エリアを予測する移動先予測部と、前記移動先エリアに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、通信品質が所定の基準を満たす基地局装置を、通信品質の測定対象とする測定対象候補として抽出する測定対象抽出部と、この測定対象抽出部で抽出された前記測定対象候補に関する通信品質を測定する通信品質測定部と、を備と、を備え、前記情報格納部は、前記基地局装置の前記通信エリアを対象にして、所定の形状の均一な大きさのエリアからなるメッシュごとに前記履歴情報を蓄積し、前記移動状態推定部は、前記移動状態として自装置の移動方向を取得し、前記測定対象抽出部は、前記移動方向に基づいて、自装置が前記メッシュを対角方向に移動する場合には、前記移動先エリアとしての前記メッシュに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、前記測定対象候補を抽出する処理を、自装置が前記メッシュを平行方向に移動する場合より
も移動先の前記メッシュまでの距離が遠い位置で開始する構成とする。
これによると、第2の発明と同様に、端末で行われる接続先探索の処理で、端末の状態に基づいて、最適な接続先を効率よく探し出すことができる。
【0040】
また、第15の発明は、基地局装置と無線通信を行う端末装置で行われる通信制御方法であって、自装置の位置情報を取得し、前記基地局装置の通信エリアの各位置での自装置の通信状況を、自装置の過去の通信状況に関する履歴情報として蓄積し、前記位置情報に基づいて、自装置の移動状態を推定し、前記移動状態に基づいて、自装置の移動先エリアを予測し、前記移動状態として自装置の移動速度を取得し、前記移動速度が速い場合には、前記移動先エリアに関する前記履歴情報に基づいて、前記無線通信を接続可能な接続先候補の前記基地局装置の中から、通信品質が所定の基準を満たす基地局装置を、通信品質の測定対象とする測定対象候補として抽出する処理を、前記移動速度が遅い場合より
も前記移動先エリアまでの距離が遠い位置で開始し、抽出された前記測定対象候補に関する通信品質を測定する構成とする。
【0041】
これによると、第1の発明と同様に、端末で行われる接続先探索の処理で、端末の状態に基づいて、最適な接続先を効率よく探し出すことができる。
【0042】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1は、本実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0044】
この通信システムは、端末1(端末装置、図面ではUE1と記載)と、マクロセルの基地局2(基地局装置)と、低SHF帯セルの基地局3(基地局装置)と、高SHF帯セルの基地局4(基地局装置)と、無線LANの基地局5(アクセスポイント、基地局装置)と、を備えている。マクロセル、低SHF帯セル、高SHF帯セル、および無線LANの通信エリアは重畳して配置される。
【0045】
端末1は、スマートフォンやタブレット端末などである。この端末1は、マクロセルの基地局2、低SHF帯セルの基地局3、高SHF帯セルの基地局4、および無線LANの基地局5の全てと通信を行うことができる。
【0046】
マクロセルの基地局2は、UHF帯(周波数:300MHz〜3GHz)を利用した無線通信を行うものである。低SHF帯セルの基地局3は、低SHF帯(周波数:3GHz〜6GHz)を利用した無線通信を行うものである。高SHF帯セルの基地局4は、高SHF帯(周波数:6GHz〜80GHz帯)を利用した無線通信を行うものである。無線LANの基地局5は、WiFi(登録商標)やWiGig(登録商標)などの無線LAN通信を行うものである。
【0047】
本実施形態では、マクロセル、低SHF帯セル、高SHF帯セル、および無線LANの通信エリアの全てを含むエリアを対象にして、所定の形状(例えば正方形、円、楕円)の均一な大きさのメッシュが設定され、端末1において、各メッシュでの過去の通信状況に関する履歴情報を蓄積した履歴データベースが構築される。
【0048】
次に、端末1およびマクロセルの基地局2の動作について説明する。
図2は、端末1およびマクロセルの基地局2の動作の概要を示すシーケンス図である。
【0049】
マクロセルの基地局2では、まず、対象となる端末1と接続可能な基地局2〜5を接続先候補としてリストアップした接続先候補リストを生成する。そして、その接続先候補リストを含む測定制御情報を端末1に送信する。
【0050】
端末1では、マクロセルの基地局2から送信される測定制御情報を受信すると、端末1の移動状況に基づいて移動先となるメッシュを予測して、その移動先となるメッシュの履歴情報と、測定制御情報に含まれる接続先候補リストとに基づいて、通信品質の測定対象とする接続先候補を抽出する。ついで、抽出した接続先候補に関する通信品質(受信電力)の測定を実施する。そして、接続先候補に関する通信品質の測定結果を含む報告情報をマクロセルの基地局2に送信する。
【0051】
マクロセルの基地局2では、端末1から送信される報告情報を受信すると、その報告情報に基づいて、対象となる端末1の接続先を決定する。そして、接続先として決定された基地局2〜5に関する接続先情報を端末1に送信する。
【0052】
次に、端末1の概略構成について説明する。
図3は、端末1の概略構成を示すブロック図である。
【0053】
端末1は、通信部11と、位置情報取得部12と、制御部13と、情報格納部14と、を備えている。
【0054】
通信部11は、マクロセルの基地局2、低SHF帯セルの基地局3、高SHF帯セルの基地局4、および無線LANの基地局5(アクセスポイント)との間で通信を行う。
【0055】
位置情報取得部12は、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムにより端末1の位置情報を取得する。
【0056】
情報格納部14は、制御部13で取得した端末1の移動速度および移動方向に関する情報や、制御部13で管理される履歴データベースに関する情報や、制御部13を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを格納する。
【0057】
制御部13は、移動状態推定部21と、移動先予測部22と、接続先探索部23と、タイミング制御部24と、履歴登録部25と、を備えている。この制御部13はプロセッサで構成され、制御部13の各部は、情報格納部14に格納された所定のプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。
【0058】
移動状態推定部21は、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得し、また、情報格納部14から過去の位置情報を取得して、現在の位置情報および過去の位置情報に基づいて、端末1の現在の移動状態として、移動速度および移動方向を推定する。なお、この移動状態の推定では、位置情報としての緯度、経度および高度から空間的な移動状態を取得するようにするとよいが、緯度および経度のみから水平面上の移動状態を取得するようにしてもよい。また、セル切り替え回数やセル再選択回数を計数して、その回数に基づいて移動状態を推定するようにしてもよい。
【0059】
移動先予測部22は、移動状態推定部21で取得した端末1の移動状態(移動速度および移動方向)に基づいて、端末1の将来の移動先であるターゲットメッシュ(移動先エリア)を予測する。
【0060】
接続先探索部23は、最適な接続先を探索するものであり、測定対象抽出部26と、通信品質測定部27と、を備えている。
【0061】
測定対象抽出部26は、移動先予測部22で取得したターゲットメッシュの履歴情報を、情報格納部14の履歴データベースから取得して、そのターゲットメッシュの履歴情報に基づいて、通信品質の測定対象とする接続先候補を抽出する。
【0062】
通信品質測定部27は、測定対象抽出部26で測定対象として抽出された接続先候補に関する通信品質を測定する。本実施形態では、通信品質として受信電力を測定する。
【0063】
タイミング制御部24は、移動状態推定部21で取得した端末1の移動状態(移動速度および移動方向)、および現在の接続先と測定対象となる接続先候補とで周波数が異なるか否かに基づいて、接続先探索処理、すなわち、測定対象抽出部で行われる測定対象抽出、および通信品質測定部27で行われる通信品質測定の処理を開始するタイミング(位置)を決定し、接続先探索処理を開始するタイミングになると、測定対象抽出部26に測定対象抽出の処理を実施させ、続いて通信品質測定部27に通信品質測定の処理を実施させる。
【0064】
履歴登録部25は、1つのメッシュに端末1が位置するタイミングで、その時点での通信状況に関する情報(接続先情報および通信品質情報)を取得して、その情報を当該メッシュの履歴情報として履歴データベースに登録する。この履歴登録処理を周期的に行うことで、端末1が通過した全てのメッシュの履歴情報を履歴データベースに登録することができる。
【0065】
次に、移動先予測部22で行われる処理について説明する。
図4は、移動先予測部22で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0066】
本実施形態では、接続先探索処理として、履歴データベースにメッシュごとに登録された履歴情報を参照して、通信品質の測定対象とする接続先候補を抽出して、その接続先候補に関する通信品質を測定する。このとき、端末1が現在位置するメッシュの履歴情報を参照するようにすると、通信品質の測定が完了する前に、参照元のメッシュを端末1が通り過ぎてしまう場合があり、接続先探索の処理が無駄になる。
【0067】
そこで、本実施形態では、移動先予測部22において、端末1の移動状況に基づいて端末1の将来の移動先であるターゲットメッシュを予測し、そのターゲットメッシュの履歴情報を参照して、通信品質の測定対象とする接続先候補を抽出して、その接続先候補に関する通信品質を測定する。
【0068】
本実施形態では、移動状態推定部21で取得した端末1の移動速度および移動方向に基づいて、ターゲットメッシュを決定する。
【0069】
ここで、端末1の移動速度が遅い場合には、端末1が現在位置するメッシュに隣接するメッシュをターゲットメッシュとして選択する。
【0070】
図4(A)に示す例は、端末1の移動速度が遅く、かつ、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合である。この場合、端末1が現在位置するメッシュに対して端末1の進行方向に隣接する1つのメッシュをターゲットメッシュとして選択し、ターゲットメッシュの数は1となる。なお、ここではメッシュの形状を正方形として例示するが、円や楕円であってもよい。
【0071】
また、
図4(B)に示す例は、端末1の移動速度が遅く、かつ、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合である。この場合、端末1が現在位置するメッシュに対して端末1の進行方向に隣接する3つのメッシュをターゲットメッシュとして選択し、ターゲットメッシュの数は3となる。
【0072】
一方、端末1の移動速度が速いと、端末1が位置するメッシュに隣接するメッシュのみをターゲットメッシュとすると、接続先探索処理が完了する前にターゲットメッシュを端末1が通り過ぎてしまう場合がある。このため、端末1が位置するメッシュに隣接するメッシュの他に、進行方向の先にあるメッシュもターゲットメッシュとして選択する。
【0073】
図4(C)に示す例は、端末1の移動速度が速く、かつ、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合である。この場合、端末1の進行方向に並んだ3つのメッシュをターゲットメッシュとして選択し、ターゲットメッシュの数は3となる。
【0074】
また、
図4(D)に示す例は、端末1の移動速度が速く、かつ、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合である。この場合、端末1の進行方向に並んだ6つのメッシュをターゲットメッシュとして選択し、ターゲットメッシュの数は6となる。
【0075】
なお、
図4(C),(D)に示す高速移動時の例は、
図4(A),(B)に示す低速移動時の速度V1の3倍の速度V2で移動している場合を想定している。
【0076】
このように本実施形態では、端末1の移動速度および移動方向に基づいて、端末1が将来進入するメッシュをターゲットメッシュとして選択して、そのターゲットメッシュの履歴情報を参照して、通信品質の測定対象とする接続先候補を抽出する。
【0077】
特に、端末1の移動速度が速い場合には、移動速度が遅い場合より、移動先エリアを大きく設定する。すなわち、移動先エリアとなるターゲットメッシュを多く設定する。これにより、移動速度が速い場合に、接続先探索処理(測定対象抽出および通信品質測定)を早期に開始することができ、接続先探索の処理が完了する前に、端末1がターゲットメッシュを通り過ぎてしまうことで、接続先探索の処理が無駄になる不都合を避けることができる。
【0078】
なお、端末1の移動速度が速い場合には、移動速度が遅い場合より、メッシュを大きく設定するようにしてもよい。このメッシュの大きさを移動速度に応じて変更することは、履歴登録部25で行われる(
図13参照)。
【0079】
また、本実施形態では、
図4(B),(D)に示すように、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合には、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合より、移動先エリアとなるターゲットメッシュを多く設定する。これにより、ターゲットメッシュの漏れをなくして、接続先探索の処理を適切に行うことができる。
【0080】
次に、測定対象抽出部26で参照される履歴データベースについて説明する。
図5は、履歴データベースの登録内容の一例を示す説明図である。
【0081】
この履歴データベースには、メッシュIDごとに、接続先情報として、接続先識別子、周波数および通信方式が登録され、また、通信品質情報として、受信電力、スループットおよび通信データ量が登録されている。
【0082】
ここで、メッシュIDは、メッシュに付与された識別番号である。また、接続先識別子は、接続先の基地局2〜5の識別情報であり、セルラー通信ではセルIDなどであり、無線LANではSSIDなどである。
【0083】
なお、履歴データベースに、端末1の位置情報(緯度、経度および高度)も登録するようにしてもよい。また、通信品質情報は、受信電力、スループットおよび通信データ量に限定されるものではなく、干渉量、切断率、誤り率、接続率などを登録するようにしてもよい。
【0084】
また、時間帯ごとに履歴情報を履歴データベースに登録するようにしてもよい。これにより、時間帯に応じて最適な接続先が異なる場合に、最適な接続先に接続することが可能となる。
【0085】
また、端末1が過去に通過したことがない区域では通信の実績がないため、このような区域のメッシュには履歴情報が登録されていない。この場合、履歴情報が登録されていないメッシュの周辺に位置するメッシュの履歴情報を用いて履歴情報の補間を行うようにしてもよい。
【0086】
また、履歴データベースを他の端末1と共有するようにしてもよい。例えば、各端末1の履歴情報をサーバにアップロードして、サーバにおいて、各端末1の履歴情報を統合して、その統合された履歴情報を各端末1に配信する。これにより、端末1が過去に通過したことがない区域に位置するメッシュの履歴情報を利用することができる。また、履歴がない区域では、従来動作(接続先候補を全て測定)し、履歴情報を蓄積するようにしてもよい。
【0087】
測定対象抽出部26では、この履歴データベースから、移動先予測部22で取得したターゲットメッシュの履歴情報を取得して、このターゲットメッシュの履歴情報に基づいて、測定対象となる接続先候補を抽出する。
【0088】
このとき、端末1の移動速度が速い場合には、
図4(C),(D)に示したように、移動速度が遅い場合より、多数のターゲットメッシュを設定して、ターゲットメッシュの履歴情報の参照による測定対象の抽出を短い間隔で行う。また、
図4(B),(D)に示したように、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合にも、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合より、多数のターゲットメッシュを設定して、ターゲットメッシュの履歴情報の参照による測定対象の抽出を短い間隔で行う。これにより、各ターゲットメッシュの履歴情報の参照による測定対象の抽出を適切に行うことができる。
【0089】
また、履歴データベースを参照して測定対象を抽出する際に、ターゲットメッシュに2つ以上の接続先の通信履歴がある場合には、測定時間を短縮するために、測定対象を1つに絞り込むことが望ましい。この場合、高い通信品質が期待される接続先を抽出すればよい。このとき、期待されるスループットの高さで通信品質の高さを判断すればよい。また、受信電力で通信品質の高さを判断するようにしてもよい。また、通信データ量などのその他の通信品質情報で通信品質の高さを判断するようにしてもよい。
【0090】
また、複数の通信品質情報に基づいて測定対象を1つに絞り込むようにしてもよい。この場合、総合的な通信品質の高さを表す評価値を、複数の通信品質情報から算出して、その評価値に基づいて測定対象を抽出すればよい。この場合、複数の通信品質情報に重み付けを行って評価値を算出するようにしてもよい。例えば、スループットの重み付け係数を3とし、受信データ量の重み付け係数を1として、評価値を算出するようにしてもよい。
【0091】
また、ターゲットメッシュの履歴情報に複数の接続先がある場合において、評価基準となる1つの通信品質情報が同等である場合、または、複数の通信品質情報に基づく評価値が同等である場合には、測定対象を2つ抽出するようにしてもよい。この場合、評価基準となる1つの通信品質情報や評価値に基づいて、接続先候補の各々に通信品質測定時の優先順位を付与して、接続先候補ごとの通信品質の測定を優先順位の順で実施するとよい。
【0092】
また、ターゲットメッシュの履歴情報に複数の接続先がある場合において、移動速度が速い場合には、測定対象の抽出数を、移動速度が遅い場合より増やすようにするとよい。また、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合には、測定対象の抽出数を、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合より増やすようにするとよい。これにより、測定対象の再抽出を避けて、接続先探索の処理を効率よく行うことができる。
【0093】
また、ターゲットメッシュの履歴情報に複数の接続先がある場合には、測定対象の抽出数を増やすことで、測定対象の再抽出を避けることができるが、測定対象が増えると、接続先探索遅延時間が長くなり、また、端末1の移動速度が速いと、接続先探索遅延時間での移動距離が大きくなり、接続先探索が完了する前にターゲットメッシュを通り過ぎてしまい、最適な接続先に接続できなくなる。このように、ターゲットメッシュの履歴情報にある接続先の数や端末1の移動速度から単純に測定対象の最適な抽出数を求めることができない面がある。そこで、端末1の移動速度と、ターゲットメッシュの履歴情報にある接続先の数と、測定対象の抽出数と、1接続先当たりの探索遅延時間との最適な組み合わせをシミュレーションで決定して、その結果に基づいて測定対象の抽出を行うようにしてもよい。
【0094】
次に、タイミング制御部24で行われる処理について説明する。
図6は、端末1の移動速度に応じた接続先探索遅延時間における端末1の移動距離を示す説明図である。
図7は、端末1において接続先探索処理を開始するタイミングの一例を示す説明図である。
【0095】
本実施形態では、端末1において、履歴データベースからターゲットメッシュの履歴情報を取得して、このターゲットメッシュの履歴情報を参照して、測定対象となる接続先候補を抽出して、その接続先候補を対象として通信品質の測定を行う。
【0096】
このとき、本実施形態では、ターゲットメッシュに進入する前に、接続先探索処理(測定対象抽出および通信品質測定の処理)を開始して、ターゲットメッシュに進入するまでに接続先探索処理を完了させて、ターゲットメッシュに進入したところで即座に最適な接続先に接続することができるようにする。これには、接続先探索遅延時間(接続先探索処理に要する時間)における端末1の移動距離を考慮して、接続先探索処理を開始するタイミング(位置)を決定すればよい。すなわち、ターゲットメッシュまでの距離が、接続先探索遅延時間における端末1の移動距離に一致するタイミング(位置)で接続先探索処理を開始すればよい。
【0097】
ここで、
図6に示すように、端末1の移動速度が速いと、接続先探索遅延時間における端末1の移動距離が大きくなる。
【0098】
また、現在接続中の接続先と測定対象となる接続先とで周波数が異なる場合(以下、「異周波数」と呼称する)の接続先探索遅延時間は、現在接続中の接続先と測定対象となる接続先とで周波数が同じ場合(以下、「同周波数」と呼称する)の接続先探索遅延時間より長くなる。
図6に示す例では、同周波数の接続先探索遅延時間を1秒とし、異周波数の接続先探索遅延時間を3.84秒としている。なお、ここでは、測定対象の周波数が1つである場合を想定している。
【0099】
このように、端末1の移動速度に応じて接続先探索遅延時間における移動距離が変化し、また。同周波数の場合と異周波数の場合とで接続先探索遅延時間が異なる。そこで、本実施形態では、端末1の移動速度と、同周波数および異周波数のいずれであるかに応じて、接続先探索処理を開始するタイミング(位置)を決定する。すなわち、同周波数の場合は、同周波数の接続先探索遅延時間と移動速度とによる移動距離を考慮したタイミング(位置)で接続先探索処理を開始し、異周波数の場合は、異周波数の接続先探索遅延時間と移動速度による移動距離を考慮したタイミング(位置)で接続先探索処理を開始する。
【0100】
図7(A−1),(A−2)に示す例は、端末1の移動速度を3km/h(0.8m/s)とした場合であり、
図7(B−1),(B−2)に示す例は、端末1の移動速度を10km/h(2.8m/s)とした場合である。なお、メッシュサイズ(一辺の長さ)を10mとしている。
【0101】
図7(A−1)に示すように、移動速度が3km/hで同周波数の場合には、ターゲットメッシュまでの距離が0.8mとなる位置で、接続先探索処理(測定)を開始する。また、
図7(A−2)に示すように、移動速度を3km/hで異周波数の場合には、ターゲットメッシュまでの距離が3.2mとなる位置で接続先探索処理(抽出・測定)を開始する。
【0102】
一方、
図7(B−1)に示すように、移動速度が10km/hで同周波数の場合には、ターゲットメッシュまでの距離が2.8mとなる位置で接続先探索処理(測定)を開始する。また、
図7(B−2)に示すように、移動速度が10km/hで異周波数の場合には、ターゲットメッシュまでの距離が10.7mとなる位置で接続先探索処理(抽出・測定)を開始する。この場合、2つ手前のメッシュに端末1が位置するタイミングで接続先探索処理を開始する。
【0103】
ここで、測定対象として複数の接続先候補を抽出することで、測定する周波数が複数になる場合がある。この場合、測定する周波数の数に応じて、接続先探索処理(抽出・測定)を開始するタイミングを制御する。例えば、抽出・測定する周波数が2つある場合には、ターゲットメッシュまでの距離が、抽出・測定する周波数が1つだけの場合の2倍となるタイミング(位置)で、接続先探索処理(抽出・測定)を開始する。例えば、
図7(A−2)に示す例と同様に、端末1の移動速度が3km/hの場合では、ターゲットメッシュまでの距離が6.4mとなるタイミングで接続先探索処理(抽出・測定)を開始する。
【0104】
次に、端末1で行われる処理の手順について説明する。
図8は、端末1で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0105】
端末1では、まず、移動状態推定部21において、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得し、また、情報格納部14から過去の位置情報を取得して、現在の位置情報および過去の位置情報に基づいて、端末1の移動状態(移動速度および移動方向)を推定する(ST101)。次に、移動先予測部22において、端末1の移動状態に基づいて、移動先となるターゲットメッシュを予測する(ST102)。次に、タイミング制御部24において、接続先探索処理(抽出)を開始するタイミング(位置)を決定する(ST103)。
【0106】
次に、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得して(ST104)、その現在の位置情報に基づいて、接続先探索処理(抽出)を開始するタイミングか否かを判定する(ST105)。
【0107】
ここで、接続先探索処理(抽出)を開始するタイミングである場合には(ST105でYes)、次に、履歴データベースにターゲットメッシュの履歴情報があるか否かを判定する(ST106)。ここで、履歴データベースにターゲットメッシュの履歴情報がある場合には(ST106でYes)、測定対象抽出部26において、ターゲットメッシュの履歴情報を参照して、測定対象となる接続先候補(測定周波数)を抽出する(ST107)。
【0108】
次に、タイミング制御部24において、接続先探索処理(測定)を開始するタイミング(位置)を決定する(ST108)。そして、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得して(ST109)、その現在の位置情報に基づいて、接続先探索処理(測定)を開始するタイミングか否かを判定する(ST110)。ここで、接続先探索処理(測定)を開始するタイミングである場合には(ST110でYes)、通信品質測定部27において、抽出された接続先候補に関する通信品質を測定する(ST111)。
【0109】
一方、接続先探索処理を開始するタイミングでない場合には(ST105でNo)、接続先探索処理を開始するタイミングになるまで、位置情報の取得(ST104)を繰り返す。また、ターゲットメッシュの履歴情報がない場合には(ST106でNo)、履歴情報に基づく測定対象の抽出(ST107)は行わない。この場合、マクロセルの基地局2から取得した接続先候補リストから測定対象を選択する。
【0110】
ここで、通信品質の測定(ST108)において、通信品質が所定の基準を満たさない場合には、測定対象抽出部26において、測定対象となる接続先候補の抽出をやり直す。すなわち、ターゲットメッシュの履歴情報にある別の接続先候補を測定対象として抽出する。ターゲットメッシュの履歴情報にある全ての接続先候補で所定の基準を満たさない場合には、マクロセルの基地局2から取得した接続先候補リストから別の接続先候補を選択し、接続先候補リストの全ての接続先候補で所定の基準を満たさない場合には、接続不能であることを表す報告情報をマクロセルの基地局2に送信する。
【0111】
次に、本実施形態による接続先探索処理の効果について説明する。
図9および
図10は、接続先探索処理の効果の一例を示す説明図である。
【0112】
図9(A),(B)に示す例では、マクロセルと高SHF帯セルと低SHF帯セルとが重畳されており、高SHF帯セルの境界とメッシュの境界とが一致しており、端末1が現在位置するメッシュおよびターゲットメッシュの一方が高SHF帯セルの外側にあり、他方が高SHF帯セルの内側にある。
【0113】
図9(A)に示すように、端末1が高SHF帯セルに進入する場合、高SHF帯セルに位置するターゲットメッシュの履歴情報では、抽出の優先順位の1位が高SHF帯セルとなり、2位が低SHF帯セルとなり、高SHF帯セルが測定対象候補として抽出されるが、現在、端末1は低SHF帯セルにのみ在圏し、高SHF帯セルに在圏していないため、高SHF帯セルに関する通信品質の測定ができず、接続先探索処理を早期に完了させることができない。
【0114】
一方、
図9(B)に示すように、端末1が高SHF帯セルから退出する場合、現在端末1が位置するメッシュの履歴情報では、抽出の優先順位の1位が高SHF帯セルとなり、2位が低SHF帯セルとなり、ターゲットメッシュの履歴情報では、抽出の優先順位の1位が低SHF帯セルとなり、2位がマクロセルとなるが、現在、端末1はマクロセル、低SHF帯セルおよび高SHF帯セルのいずれにも在圏しているため、端末1の位置し、高SHF帯セルに接続しているメッシュの位置において低SHF帯セルに関する通信品質の測定が可能であり、接続先探索処理を現在端末1が位置するメッシュから開始し、早期に完了させることができ、高SHF帯セルの圏外に出た直後に低SHF帯に接続することができる。
【0115】
図10(A)、
図10(B)に示す例では、
図9(A)、
図9(B)に示す例と同様に、マクロセルと高SHF帯セルと低SHF帯セルとが重畳されているが、高SHF帯セルの境界とメッシュの境界とが一致せず、現在端末1が位置するメッシュが高SHF帯セルと低SHF帯セルとに跨がる状態となっている。また、
図10(A)、
図10(B)に示す例は、
図9(A)に示す例と同様に、端末1が高SHF帯セルに進入する場合である。
【0116】
この場合、
図10(A)では、ターゲットメッシュの履歴情報では、抽出の優先度1位が低SHF帯、抽出の優先度2位が高SHF帯セルで、抽出数が1の場合は測定対象候補として低SHF帯のみが抽出されるが、抽出数が2の場合は、測定対象候補として低SHF帯と高SHF帯が抽出される。または、次のターゲットメッシュを抽出対象にふくめた場合も、測定対象候補として低SHF帯と高SHF帯が抽出される。
図10(B)では、現在端末1が位置するメッシュは高SHF帯セルと低SHF帯セルとに跨がるため、
図10(A)の説明のように高SHF帯を含めて測定対象を抽出でき、現在端末1が位置するメッシュ内で高SHF帯セルに関する通信品質の測定を開始することができるため、接続先探索処理を早期に完了させることができる。
【0117】
次に、履歴登録部25で行われる処理について説明する。
図11は、履歴登録部25で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0118】
履歴登録部25では、1つのメッシュに端末1が位置するタイミングで、その時点での通信状況に関する情報(接続先情報および通信品質情報)を取得して、その情報を当該メッシュの履歴情報として履歴データベースに登録する。この履歴登録処理を周期的に行うことで、端末1が移動した区域に設定されたメッシュごとの履歴情報を履歴データベースに登録することができる。
【0119】
ここで、履歴登録処理を行う周期は、メッシュサイズ、接続先探索遅延時間、および端末1の移動速度に応じて設定すればよい。
【0120】
図11に示す例では、履歴登録処理を行う周期を移動速度に応じて設定している。
図11(A)に示すように、移動速度が速い場合には、履歴登録処理の周期を短く設定し、
図11(B)に示すように、移動速度が遅い場合には、履歴登録処理の周期を長く設定する。これにより、移動速度に関係なく、メッシュサイズを統一することができる。
【0121】
例えば、メッシュサイズを11.2mとし、接続先探索遅延時間を1sとした場合、端末1の移動速度が10km/h(2.8m/s)の場合には、履歴登録処理の周期を4sとし、端末1の移動速度が20km/h(5.6m/s)の場合には、履歴登録処理の周期を2sとする。これにより、11.2m間隔で履歴登録処理が実施され、11.2mのメッシュに履歴情報を1つずつ登録することができる。
【0122】
このように履歴登録処理の周期を移動速度に応じて変更して、メッシュサイズを統一するようにすると、メッシュごとに一定数の(
図11では1つ)履歴情報を登録することができるため、履歴データベースのための記憶容量を削減することができる。
【0123】
次に、履歴データベースの別例について説明する。
図12は、履歴データベースの別例における登録内容の一例を示す説明図である。
【0124】
図5に示したように、履歴データベースには、メッシュIDごとに、接続先情報として、接続先識別子、周波数および通信方式が登録され、また、通信品質情報として、受信電力、スループットおよび通信データ量が登録されるが、特に、
図12に示す別例では、接続先情報および通信品質情報の他に、端末1の移動速度が登録されている。
【0125】
このように、端末1の移動速度ごとに履歴情報を登録すると、同じメッシュに位置する場合でも、移動速度が異なる場合には、その移動速度に応じた最適な接続先が選択される。
【0126】
次に、履歴登録部25で行われる処理の手順について説明する。
図13は、履歴登録部25で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0127】
まず、移動状態推定部21において、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得し、また、情報格納部14から過去の位置情報を取得して、現在の位置情報および過去の位置情報に基づいて、端末1の移動状態(移動速度および移動方向)を推定する(ST201)。次に、履歴登録部25において、端末1の移動状態に基づいて、履歴登録処理の周期を設定する(ST202)。
【0128】
次に、カウンタの計数値が、履歴登録処理の周期に対応する目標値に達したか否かにより、履歴登録処理を実施するタイミングか否かを判定する(ST203)。ここで、履歴登録処理を実施するタイミングでない場合には(ST203でNo)、カウンタを1増分する(ST204)。
【0129】
一方、履歴登録処理を実施するタイミングである場合には(ST203でYes)、カウンタをリセットする(ST205)。次に、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得する(ST206)。次に、現在の位置情報から、端末1が位置するメッシュを判定し、現在の通信状況に関する情報(接続先情報および通信品質情報)を取得して、その情報と移動速度を、該当するメッシュの履歴情報として履歴データベースに登録する(ST207)。
【0130】
次に、履歴登録部25で行われる処理の別例について説明する。
図14は、履歴登録部25で行われる処理の別例の概要を示す説明図である。
【0131】
図11に示した例では、端末1の移動速度に応じて、履歴登録処理を実施する周期を変更するようにしたが、履歴登録処理を一定の周期で実施するようにしてもよい。この場合、
図14に示すように、端末1の移動速度に応じてメッシュサイズが変化し、高速移動時にはメッシュサイズが大きくなり、低速移動時にはメッシュサイズが小さくなる。
【0132】
図14に示す例では、
図14(A)に示す高速移動時の移動速度が、
図14(B)に示す低速移動時の移動速度の2倍としている。例えば、履歴登録処理を実施する周期を1秒とすると、移動速度が10km/h(2.8m/s)の場合には、2.8mの間隔で履歴登録処理が実施され、メッシュサイズが2.8mとなる。移動速度が20km/h(5.6m/s)の場合には、5.6mの間隔で履歴登録処理が実施され、メッシュサイズが5.6mとなる。
【0133】
このように、移動速度が速い場合には、メッシュサイズが大きくなるため、履歴データベースの容量を削減することができる。また、メッシュサイズが大きくなることで、接続先探索処理が過度な頻度で実施されなくなるため、端末1の省電力化を図ることができる。なお、メッシュサイズが大きくなると、接続先探索処理が実施される間隔も大きくなるが、移動速度が速い場合には、1つのメッシュに滞在する時間が短くなるため、メッシュサイズを大きくしても、実用上の支障はない。
【0134】
ここで、履歴登録処理を実施する周期を一定とすると、端末1の移動速度に応じて、履歴登録処理が実施される間隔が異なる、すなわち、メッシュサイズが異なる。このため、同一の区域で端末1の移動速度が異なる場合があると、端末1の移動速度ごとに履歴データベースを作成する必要がある。
【0135】
ただし、ユーザの行動パターンに応じて、位置に応じた移動速度は概ね一定と想定される。すなわち、ユーザが徒歩で移動する区域や車両で移動する区域は決まっており、ユーザが徒歩で移動する区域では端末1の移動速度が遅く、ユーザが車両で移動する区域では端末1の移動速度が速くなる。このため、1つの履歴データベースにおいて、ユーザが徒歩で移動する区域のメッシュサイズは小さくなり、ユーザが車両で移動する区域のメッシュサイズは大きくなる。
【0136】
このため、一定の周期で登録処理を実施するようにしても、移動速度に応じたメッシュサイズでメッシュごとの履歴情報を1つの履歴データベースに登録することができ、履歴データベースの記憶容量を最適化することができる。
【0137】
次に、履歴登録部25で行われる処理の別例の手順について説明する。
図15は、履歴登録部25で行われる処理の別例の手順を示すフロー図である。
【0138】
まず、履歴登録部25において、カウンタの計数値が、予め設定された履歴登録処理の周期に対応する目標値に達したか否かにより、履歴登録処理を実施するタイミングか否かを判定する(ST301)。ここで、履歴登録処理を実施するタイミングでない場合には(ST301でNo)、カウンタを1増分する(ST302)。
【0139】
一方、履歴登録処理を実施するタイミングである場合には(ST301でYes)、カウンタをリセットする(ST303)。次に、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得し、また、情報格納部14から過去の位置情報を取得する(ST304)。次に、現在の位置情報および過去の位置情報に基づいて、端末1の移動状態(移動速度)を推定する(ST305)。次に、現在の通信状況に関する情報(接続先情報および通信品質情報)を取得して、その情報と移動速度を、該当するメッシュの履歴情報として履歴データベースに登録する(ST306)。
【0140】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。